JP2013132618A - 有機性廃水の生物処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、最初沈殿槽と、活性汚泥処理槽と、最終沈殿槽とを用いて行う下水の処理を標準活性汚泥処理方法に、さらに最終沈殿槽で固液分離された余剰汚泥の一部又は全部を可溶化処理するための可溶化処理工程を設け、該可溶化処理工程で処理した汚泥を最初沈殿槽に戻し、上記最初沈殿槽で固液分離した初沈沈殿物を、可溶化処理されない余剰汚泥がある場合は該余剰汚泥とともに脱水処理することを特徴とする有機性廃水の生物処理方法。
【選択図】図1
Description
実施例1では、図1に示したフローにしたがって処理した。すなわち、上記した試験装置に更に、余剰汚泥の一部を可溶化処理するための2Lの汚泥処理装置を設けたものを用い、該処理装置で余剰汚泥の一部を可溶化処理(殺菌処理)した後、得られた可溶化した汚泥を最初沈殿槽に戻すように構成した。可溶化処理は、可溶化処理するための処理装置に導入した余剰汚泥に、硫酸と硫酸第1鉄を固形物重量で1:1の比率で混合した溶液を加えて、汚泥のpHが3となるようにし、同時に過酸化水素を酸素換算で500mg/l添加して行った。本実施例における処理は、可溶化処理工程で可溶化処理する汚泥量を、比較例1で行った汚泥を可溶化処理しない標準活性汚泥処理方法を行った時の余剰汚泥量(kg−DrySS)に対して1.2倍としたものである。
比較例1では、図3に示したフローにしたがって処理した。すなわち、上記した実施例1で用いた試験装置において、汚泥処理装置を設けない装置を用い、余剰汚泥の一部を可溶化処理しない以外は実施例1と同様にして下水処理を行った。
比較例2では、図4に示したフローにしたがって処理した。すなわち、上記した実施例1で用いた試験装置と同様の返送汚泥処理装置を設け、該処理装置で余剰汚泥の一部を可溶化処理(殺菌処理)した後、得られた可溶化した汚泥を曝気槽に戻すように構成した。可溶化処理の条件は、実施例1と同様にした。
実施例1、比較例1、2では、上記した各フローで、それぞれ63日間にわたって連続して試験した。いずれの場合も、処理水量は0.5m3/日であり、この間の積算処理水量は30m3であった。最初沈殿槽および最終沈殿槽からの排泥は、1日1回手動で所定量を引き抜き、それぞれ汚泥濃度の測定を行い、排泥量を求め、それぞれ表2に示した。さらに、7日分の最初沈殿槽と最終沈殿槽の排泥汚泥を合わせて混合し、該混合汚泥を脱水機で脱水処理した。脱水処理に際しては、脱水助剤としてカチオン系の高分子凝集剤を注入して行った。その際の添加量は、目視判断によって、フロック径が整って、かつ、しっかりした凝集フロックのできる量をそれぞれ注入した。表2に、各フローにおける脱水助剤の添加量および添加率をまとめて示した。また、脱水機は、ベルトプレス型脱水機を用いた。そして、上記した混合汚泥1Lに、脱水助剤として上記した凝集剤をそれぞれに加えて凝集フロックを作った混合汚泥を脱水機のろ布上に静かに流下して脱水し、ろ布から剥離した脱水ケーキを採取して、含水率の測定を行った。得られた結果を、表2にまとめて示した。また、各フローでの処理後の処理水の水質について表3にまとめて示した。水質は、63日間にわたっての試験中、継続的に測定を行ったが、表3では、その間の平均値で示した。表3中に、処理した原水の性状と、曝気槽への流入水の性状についても合して示した。
表2、3に示したように、曝気槽中のMLSSは、実施例1の処理と、比較例1の処理では、ほぼ同じ値で推移したが、可溶化処理した汚泥を曝気槽に戻して処理を行った比較例2の処理では、若干高い値となった。さらに、処理水についても、実施例1の処理と、比較例1の処理では、ほぼ同じで、しかも極めて良好な処理水質のものが得られることが確認された。しかし、比較例2の処理では、表2、3に示したように、これらの処理に比較して、処理水のSS、BODとも若干高い値となった。このように、余剰汚泥の減量化をするために、余剰汚泥の一部を可溶化処理した場合に、可溶化処理した汚泥を曝気槽に戻す比較例2で行った従来の方法では、汚泥の可溶化工程を設けない比較例1の標準活性汚泥処理方法と比較して、曝気槽中のMLSSの値が増加し、また、処理水の水質が若干低下することが確認された。これらのことは、従来の余剰汚泥の減量化のために従来行っている余剰汚泥の一部を可溶化して、可溶化処理した汚泥を曝気槽に戻して処理する方法における課題が、本発明方法によって改善されたことを示している。さらに、表3に示したように、実施例1の処理では、処理水中のリン分の量が比較例で処理した場合に比べて低減できることが確認され、リン分が最終的な処理汚泥へと移行するという新たな効果があることを確認した。
最初沈殿槽で固液分離された沈殿物(以下、「生汚泥」と呼ぶ)と、最終沈殿槽からの余剰汚泥とを混合して脱水ケーキとした場合に、得られる脱水ケーキの含水率は、両者の混合率によって変化する。表4に、その変化の程度を調べた結果を示した。表3に示した通常の標準活性汚泥処理方法で処理した場合、生汚泥と余剰汚泥の混合比は60:40であるので、表4に示したように、混合汚泥の含水率は80.6%となる。余剰汚泥のみの場合は87.8%であるので、混合汚泥とすることで含水率を低下させることができる。表4に示したように、例えば、余剰汚泥量を、通常の処理に比べて半分(50%減量)の20にできれば、混合汚泥の含水率は76.2%となり、余剰汚泥のみの場合に比べて含水率を11%以上低減でき、また、更なる余剰汚泥の量の低減に伴って混合汚泥の含水率をより低減できる。表4に示したように、余剰汚泥量をゼロにできれば、最終的な汚泥の処理対象は、余剰汚泥に比べて格段に脱水が容易な含水率が70%程度の生汚泥のみになる。
1.基準とする従来の処理の、生:余剰=60:40(質量比)の場合の含水率は80.6%である。
したがって、汚泥の脱水ケーキ量(例えば、kg)は、下記の通り515kgとなる。
(60+40)÷(1−0.806)=515
2.一方、余剰汚泥がゼロになった、生:余剰=60:0(質量比)の場合の含水率は69.8%である。
したがって、この時の脱水ケーキ量(例えば、kg)は、下記の通り199kgとなる。
(60+0)÷(1−0.698)=199
3.したがって、これらの値から算出される総合減量率は、下記の通り61.5%となる
(515−199)÷515×100=61.5%となる
Claims (2)
- 下水の処理を、少なくとも、最初沈殿槽と、活性汚泥処理槽と、最終沈殿槽とを用いて行う標準活性汚泥処理方法に、さらに最終沈殿槽で固液分離された余剰汚泥の一部又は全部を可溶化処理するための可溶化処理工程を設け、該可溶化処理工程で処理した汚泥を最初沈殿槽に戻し、上記最初沈殿槽で固液分離した初沈沈殿物を、可溶化処理されない余剰汚泥がある場合は該余剰汚泥とともに脱水処理することを特徴とする有機性廃水の生物処理方法。
- 前記可溶化処理工程で可溶化処理する汚泥量を、汚泥を可溶化処理しない標準活性汚泥処理方法を行った時の余剰汚泥量(kg−DrySS)に対して0.2〜4倍とする請求項1に記載の有機性廃水の生物処理方法。
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