明 細 書
リン酸マグネシウムアンモニゥムの生成.回収方法及び装置
技術分野
[0001] 本発明は、下水処理場や各種廃水処理施設等において有機性廃水を処理するシ ステムに係わり、更に詳しくはリン及び窒素を含有する廃水から、リン等をリン酸マグ ネシゥムアンモ -ゥム(Magnesium Ammonium Phosphate:頭文字をとつて「MAP」とも 呼ばれる:化学式は MgNH PO ·6Η Ο)の結晶として効率良く回収する方法、及び装
4 4 2
置に関するものである。
背景技術
[0002] 21世紀を迎え、廃水処理技術は、単に水を浄ィヒするだけではなぐ浄化した水を 資源として回収する必要性が増してきている。こうした中で、下水などの有機性廃水 力 リンを除去 ·回収する技術が生まれて 、る。
[0003] リンの除去法は、薬品凝集沈殿法が開発'実用化され、実績も得てきたが、薬品コ ストや大量の汚泥発生のために、実設備での導入は敬遠される傾向にある。 1970年 代に入って、生物学的なリン除去法として、活性汚泥におけるリン過剰摂取に着目し た嫌気一好気法や、窒素との同時除去を目指した方法が開発され、実用化されてい る。なかでも嫌気無酸素好気法は、微生物の代謝作用をたくみに利用し、増殖する 微生物の細胞内にリンを多量に蓄積させることができるので、日本国内においても広 く普及している。しかし、嫌気無酸素好気法は、水質の変化や季節変動に伴う外部 環境の変化により、処理性能が安定しない等の問題があり、このような場合には、凝 集沈殿法等を組み合わせた方法が必要になることもある。その結果、処理工程が煩 雑なことと、薬品代等のランニングコストが高いことが問題になっている。
[0004] 一方、廃水力もリンを回収する試みとして、 1970年代にリンをリン酸アパタイトとして 析出させる接触脱リン法ゃ晶析法が開発された。近年では、し尿処理や下水処理の 工程で発生する返流水や嫌気性消化脱離液等を対象として、 MAP晶析法等が試 みられている。 MAP晶析法とは、水中でリン酸イオン、アンモニゥムイオン、マグネシ ゥムイオンが等モルずつ反応して MgNH POの 6水塩の結晶(MAP結晶)を生成す
る現象を利用したものである。 MAP結晶の生成反応を下式に示す。
[0005] [化 1]
P04 ;i + NH4+ + Mg + 6H20→MgNH4P04 · 6H2O (l)
[0006] 通常の下水汚泥では、マグネシウムイオンに比べてリン酸イオン、アンモ-ゥムィォ ンの濃度が高いことが一般的である力 そのような廃水にマグネシウムイオンを添カロ して、 pHを中性付近力もアルカリ性付近とすることにより MAPの結晶が生成する。そ して、成長した MAP結晶粒子を反応系から引き抜くことで、廃水中からリンを除去す ると共に、アンモ-ゥムイオンの一部も除去することができる。
[0007] MAP晶析法は、運転操作の煩雑さが少なぐ特にリンの回収を安定的に行える。
回収される MAPは、重量にして 13%のリンを含む上に、優れた肥料であるという付 加価値があり、資源の有効利用の点から、優れたリン及び窒素の除去 ·回収技術とい える。
[0008] しかし、 MAP晶析法の場合も、(1) ρΗ調整剤としての水酸ィ匕ナトリウムや Mg源とし て添加する塩ィ匕マグネシウム等の薬品コストが高 ヽ;(2) 30分程度の短 、滞留時間 で急速に MAPを晶析させる(以下、「急速 MAP反応」と呼ぶ)と、微細な MAP粒子 が生成され、 MAP反応槽力 流出する処理水中に微細 MAP粒子が同伴されて排 出されるため、 MAP回収率が 6— 7割程度に低下する;(3)急速 MAP反応は、約 10 OOmg/L以上の SSが液中に混在すると、 SSが MAP晶析物と絡み合うために、純度 の高 ヽ MAP結晶として回収できな ヽ;(4) MAP処理工程の前段に嫌気性消化工程 等を採用して ヽる場合は、嫌気性消化工程にぉ ヽてすでに MAP反応が起こって ヽ る。このため、生成された MAP粒子はそのままでは有機性 SSとの分離が困難である ので、回収されな ヽまま汚泥と混在した状態で処分されて!ヽる;などの問題点が存在 する。
[0009] そこで、本発明者らは上述した従来の問題を解決すベぐ廃水中のリンを効率良く MAPとして回収する技術を提案した (特開 2002— 45889号公報、国際出願 PCTZ JP03Z04909参照)。すなわち、有機性廃水処理工程において発生する余剰汚泥 (一般的には、最初沈殿池において沈降分離した初沈汚泥と、最終沈殿池において
沈降分離した活性汚泥力 返送汚泥を除いた余剰汚泥を混合したものを意味する。 )に対して嫌気性消化処理を行い、かつ該工程においてマグネシウム源を供給して 反応槽内に MAPを積極的に生成せしめ、生成した MAPを消化汚泥力 分離し回 収する工程を有する有機性排液の処理方法と処理装置を提案した。この方法を実施 することにより、廃水中力 のリン回収率を大幅に高めることが可能となった。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] し力しながら、これらの技術では、薬剤コストの低減と特別なリアクターを不要にした 利点があるが、反応時間として 25日程度の長い日数を要するという問題があった。そ こで、本発明者らは更に研究を重ね、特に汚泥の嫌気性消化処理を前提としない排 水処理システムにおいて、汚泥や廃水中のリンを MAPとして効率良く回収する技術 を確立した。
[0011] 本発明は、上述した従来技術の問題点の解決を行うことを目的とする。すなわち、 本発明は、有機性排水処理システムの中で、リン及び窒素を含有する廃水から、リン 等を MAP結晶として効率良く回収すると共に、生物学的脱窒 '脱リン法の処理性能 を大幅に改善する方法及び装置を提供することを課題とする。つまり、本発明は、安 価な薬剤コストに加えてリン回収のための反応時間を短縮し且つ合理的な有機性排 水処理システムを提供するものである。
課題を解決するための手段
[0012] 従来の MAP回収技術では、薬剤コストの低減と特別なリアクターが不要であるとい う利点があるが、反応時間として 25日程度の長い時間を要するという欠点がある。こ の欠点を解消するため、本発明者らは更に工夫'検討を行い、汚泥の嫌気性消化処 理を前提としない排水処理システムにおいて、汚泥や廃水中のリンを 300— 1000 μ mのサイズの顆粒状の MAPとして効率良く回収する技術を確立することに成功した。
[0013] 本発明は、以下の手段によって上記課題を解決することを可能とするものである。
[0014] 1.微生物代謝を利用した有機性廃水の生物学的処理工程で発生する汚泥を処 理する方法であって、該汚泥に、通性嫌気性菌による酸発酵を主体とする生物学的 処理を行って汚泥からリン酸イオンとアンモニアイオンを溶出させると共に、該汚泥に
マグネシウム源を添加することにより、溶出したリン酸イオン及びアンモ-ゥムイオンよ りリン酸マグネシウムアンモ-ゥム粒子を生成させ、生成したリン酸マグネシウムアン モ -ゥム粒子を含む汚泥からリン酸マグネシウムアンモ-ゥム粒子を分離することを 特徴とする汚泥の処理方法。
[0015] 2. (A)リン酸マグネシウムアンモ-ゥム粒子を分離した後の汚泥を脱水工程に導く 工程;及び Z又は(B)リン酸マグネシウムアンモ-ゥム粒子を分離した後の汚泥を有 機性廃水の生物学的処理工程に戻すと共に、有機性廃水の生物学的処理工程で 発生する汚泥を脱水する工程を有する上記第 1項記載の汚泥の処理方法。
[0016] 3.リン酸マグネシウムアンモ-ゥム粒子を含む汚泥から分離されたリン酸マグネシ ゥムアンモ -ゥム粒子、又はリン酸マグネシウムアンモ-ゥム粒子を分離した後の汚 泥を、リン酸マグネシウムアンモ-ゥム粒子の生成工程に戻す上記第 1項又は第 2項 記載の汚泥の処理方法。
[0017] 4.微生物の代謝を利用した有機性廃水の生物学的処理工程で発生する汚泥を 処理する装置であって、該汚泥に、通性嫌気性菌による酸発酵を主体とする生物学 的処理を行って汚泥からリン酸イオンとアンモニアイオンを溶出させると共に、該汚泥 にマグネシウム源を添加することにより、溶出したリン酸イオン及びアンモ-ゥムィォ ンよりリン酸マグネシウムアンモ-ゥム粒子を生成させるリン酸'アンモ-ゥムイオン溶 出兼リン酸マグネシウムアンモ-ゥム生成槽;該リン酸'アンモ-ゥムイオン溶出兼リン 酸マグネシウムアンモ-ゥム生成槽で生成したリン酸マグネシウムアンモ-ゥム粒子 を含む汚泥からリン酸マグネシウムアンモニゥム粒子を分離する分離装置;を具備す ることを特徴とする汚泥の処理装置。
[0018] 5.前記分離装置で得られるリン酸マグネシウムアンモニゥム粒子を分離した後の汚 泥を、前記リン酸'アンモ-ゥムイオン溶出兼リン酸マグネシウムアンモ-ゥム生成槽 に戻す返送手段を具備する上記第 4項に記載の装置。
発明の効果
[0019] 本発明は、有機性排水処理システムの中で、特に有機物、窒素、リンを含有する廃 水から、リンを回収するシステムにおいて、以下のような効果を発揮することができる。 (1)高純度 MAPとしてリンを回収できる。具体的には、純度 70%以上、最高純度で
92%の MAPとしてリンを回収することができる。
(2)有機物中に含まれるリンの多ぐ具体的には 35%以上を回収することができる。
(3)汚泥の嫌気性消化処理 (滞留日数 25日程度)を採用しな 、処理システムにも適 応できる。さらに、汚泥消化槽が既に設置されているシステムにおいても、消化槽で の MAP生成を抑制する結果になるので消化槽自体の維持管理が容易になる。
(4)使用する薬品量が従来型 MAP回収装置と比較して少ない (何故ならば pH中性 領域で反応を進行させるために、アルカリの添カ卩が必要最小限に抑えられるから)。
(5)生物学的脱窒 ·脱リンの処理性能が向上する、
(6)生物学的処理システム力 排出される汚泥の減量ィ匕が計れる。
(7)脱水ケーキを焼却 ·溶融する場合には、リンが原因となる飛灰トラブルが回避でき る。
図面の簡単な説明
[0020] [図 1]本発明の処理装置の一実施形態のフロー図である。
[図 2]本発明の処理装置の別の実施形態のフロー図である。
[図 3]特願 2000— 231633号に記載の実施形態のフロー図である。
[図 4]従来の処理装置の一実施形態のフロー図である。
[0021] 各図面において、符号はそれぞれ以下の意味を有する。
1 流入水
2 最初沈殿池流出水
3 生物学的水処理反応槽流出水
4 処理水
5 初沈汚泥
6 余剰汚泥
7 濃縮汚泥
8 リン酸'アンモ-ゥムイオン溶出兼 MAP生成槽流出汚泥
9 回収 MAP
10 MAP脱離汚泥
11 最初沈殿池
12 生物学的水処理反応槽
13 最終沈殿池
14 流出水
15 返送汚泥
21 汚泥濃縮装置
22 リン酸'アンモ-ゥムイオン溶出兼 MAP生成槽
23 MAP分離回収機
24 汚泥脱水装置
25 MAP生成槽
31 脱水ケーキ
32 脱水ろ液
発明を実施するための最良の形態
[0022] 本発明の実施形態を図 1、図 2に従って説明する。図 1及び図 2は本発明の一実施 形態であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。なお、本発明で いう「余剰汚泥」は、有機性廃水処理工程で発生するすべての汚泥を対象とする。
[0023] 有機性排水 (流入水) 1は最初沈殿池 11に導入され、沈殿し易い浮遊物質が沈降 •分離される。固液分離後の上澄水 2は、生物学的水処理反応槽 12に導かれ、 BO Dや窒素、リン等が浄化される。生物学的水処理反応槽 12には、好気性微生物の活 動に必要な酸素を供給するための空気供給供給装置が配備されているのが一般的 である。この反応槽は単一槽でも良いが、一般的には複数の槽力 構成することが 好ましい。近年の廃水処理では、 BODだけではなぐ窒素やリンも効率的に浄化す る方法が実施されている。具体的には、一部の槽を嫌気状態にして生物代謝機能を 人為的に制御する手段がとられているが、この制御手段は循環式硝化脱窒素法や 嫌気 無酸素一好気法などと言われている。本発明に置いては、このような形態の嫌 気 無酸素一好気槽を生物学的水処理反応槽 12として用いることもできる。
[0024] 生物学的水処理反応槽 12の流出水 3は、最終沈殿池 13に導入され、固液分離さ れる。固液分離後の上澄水は処理水 4として系外に排出される。固液分離された汚 泥のうち一部は、返送汚泥 15として生物学的水処理反応槽 12に戻されて、これによ
つて生物学的水処理反応槽 12の菌体量が維持される。また、残りの汚泥は、余剰汚 泥 6として最初沈殿池 11で固液分離された初沈汚泥 5とともに汚泥濃縮装置 21に送 られる。
[0025] 汚泥濃縮装置 21は、沈殿方式でも機械濃縮方式でもよぐさらには溶解性リンゃァ ンモユアと結合しない限り薬品を添加する方式でもよぐ基本的には初沈汚泥 5と余 剰汚泥 6とを濃縮できれば良い。このようにして得られた濃縮汚泥 7は、リン酸'アンモ -ゥムイオン溶出兼 MAP生成槽 22に導入される。濃縮汚泥 7は、超音波処理また はオゾン処理を行った後にリン酸'アンモ-ゥムイオン溶出兼 MAP生成槽 22に導入 してちよい。
[0026] 嫌気条件下における一般的な汚泥の分解は 2段階に分けて捉えることができる。第 1段階として、まず高分子有機物の加水分解が起こり、単糖、アミノ酸などが生成し、 それらが有機酸やアルコール、 H CO 2
2、 2などに分解される(酸発酵)。その後、第 段 階に入ると、絶対嫌気性菌による反応が起こる。
[0027] 酸発酵によって汚泥中の有機物質を酢酸やプロピオン酸などの有機酸に分解する 際に、リンやアンモニアの溶出が生じる。リンの溶出は、加水分解によるリン酸の放出 と、酸性代謝産物(有機酸や硝酸、硫酸)によるリン酸カルシウムの可溶ィ匕および硫 化水素によるリン酸第二鉄の溶解などによる。またアンモニアの溶出は、たんぱく質 の通性嫌気性菌群による分解に伴うアンモニア放出、すなわちたんぱく質が分解し て生成したアミノ酸力 の脱カルボキシル、脱ァミノによるアンモニア生成などによる。
[0028] リン酸'アンモ-ゥムイオン溶出兼 MAP生成槽 22 (以下「反応槽 22」とも 、う)では 、通性嫌気性菌による酸発酵を主体とする生物学的処理が行われる、即ち、通性嫌 気性菌群による有機物分解の第 1段階、すなわち酸発酵などの手段によって、汚泥 力もリンとアンモニアを溶出させると共に、生成したリン酸イオンとアンモ-ゥムイオン 力も MAPが合成され、ここが本発明方法の中核をなす。
[0029] 絶対嫌気性であるメタン菌の成長が極めて遅いのに対し、通性嫌気性菌群の成長 は速いので、滞留日数 20日前後というメタン発酵に比べて、 2時間から 7日間程度、 好ましくは 5時間一 60時間の短期間で処理を行うことが可能である。ただし、反応槽 22の通気条件や温度条件により通性嫌気性菌の中に一部絶対嫌気性菌が発生し、
リン酸ゃアンモ-ゥムイオンの溶出反応に関与する場合があるが、基本的には通性 嫌気性菌によるリン酸'アンモ-ゥムイオン溶出を想定して反応槽 22を用いる。
[0030] 本発明において、「通性嫌気性菌による酸発酵を主体とする生物学的処理が行わ れる」とは、「絶対嫌気性菌による処理を主体としない」ことを意味し、以下のように説 明することができる。通常の嫌気性消化処理において滞留日数 25日程度の消化槽 内では絶対嫌気性のメタン生成菌が主体となってプロピオン酸等の有機酸をメタンに 分解するが、本プロセスにおいては滞留日数も比較的短ぐ必要に応じて通気を行う ことから、主体となる微生物群は通性嫌気性菌であると思われる。しかし、運転条件 によっては一部メタン生成菌などの絶対嫌気性菌の発生も考えられる。この意味を込 めて、上記では「絶対嫌気性菌による処理を主体としない」という表現を用いた。これ は言 、換えれば、「実質的に絶対嫌気性菌のみによる嫌気性処理工程を組み込ま ない」と表現することもできる。本反応槽による処理システムの目的はあくまで「有機 物を分解して有機酸や溶解性リンを多くする」ことで、その生成した有機酸をさらに分 解してメタンを発生させることではない。ただ、一部発生した絶対嫌気性菌によってメ タンが生成されることがあるが、それは問題にならない。なぜならば、メタン発酵の進 行は、リン酸やアンモ-ゥムイオンの溶出を促進する方向にあり、 MAPの生成を妨げ るものでは全くな 、からである。
[0031] 勿論、本発明では有機物質分解の効率ィ匕を図るために、必要に応じて pH調整剤 を適度に添加したり、温度調節、適度の撹拌、及び適度のエアレーシヨン等を行うこ とがでさる。
[0032] さらに、リン酸とアンモニアイオンの溶出方法として、汚泥減量化で利用されている オゾン、超音波、電気化学的処理等の物理化学処理を採用しても良ぐ酸発酵に代 表される生物学的反応と、これら物理化学的反応を併用しても良い。
[0033] このようにして、汚泥に取り込まれている SS (suspended solid:懸濁固形分)性リンや SS性窒素を、リン酸態リンやアンモニア性窒素という溶存状態に変成することができ る。この時同時に、該反応槽 22内において汚泥の中で分離性が良ぐ純度の高い M APを生成させるよう反応槽内の条件を調整する。具体的には、水酸化マグネシウム や塩ィ匕マグネシウム等の Mg源の添加や MAP結晶を成長させるための緩やかな撹
拌、更には種晶として、後段の回収 MAP9のうちの一部の循環を実施しても良い。
[0034] 酸発酵に際しては、酢酸やプロピオン酸等の有機酸が多く生成されるため、アル力 リ成分を補給することによりアルカリ成分不足による酸発酵効率の低下を防ぐことがで きる。先に述べた水酸ィ匕マグネシウムはアルカリ源でもあり、 MAP生成反応に用いら れる Mg源であり、一石二鳥の効果がある。また、従来の MAP脱リン法では、 pHを 8 . 0-9. 0の領域に維持するためにアルカリ剤等を添加することが多いが、本プロセ スは pH7. 0前後を想定しているため、 pH調整剤等の薬品使用量を低減できる。
[0035] 添加した Mgは、酸発酵した汚泥に含まれるリン酸イオンに対して等モルで MAPを 生成するので、 Mgの添加量としては、リン酸イオンに対して等モルから 2倍モルの範 囲が適当である。リン酸イオンの低減と Mgの利用効率の両方の点を勘案すると、 1. 1倍モルから 1. 4倍モルが Mgの最適な添カ卩量である。
[0036] Mg源を添加して MAPを生成させる際には、 pHは重要な条件である。酸発酵にと つても MAP生成にとっても、酸性域はあまり好ましくなく、どちらかというとアルカリ性 の方が好ましい。しかし、 pHが高すぎると、過飽和度が上昇し、結晶化を促す力が強 く作用するあまり、微細 MAPの生成につながる恐れがある。 pHは 6. 8-7. 7の範囲 にあることが好ましぐ更には 7. 1-7. 4の間であればより好ましい。
[0037] Mg源としては、酸発酵を阻害せず、 Mg2+をリン酸イオンやアンモ-ゥムイオンに対 して等モル以上に添カ卩して MAP反応を起こさせることができるものであればよぐ薬 品であっても、海水などの水であっても、場合によっては廃水でも適用することが可 能である。晶析の原理上、リン酸やアンモ-ゥムイオンの基質濃度が高ければ高いほ ど MAP生成量は増加する。薬品の中では、塩ィ匕マグネシウムは比較的溶解度が高 いので、水に溶かして高濃度の Mgとして注入することができる。コストの面では、水 酸ィ匕マグネシウムが最も安価であり、更に安価な工業用の水酸ィ匕マグネシウムのスラ リーを直接注入する方法がコストの上でも操作の上でも好ましい。
[0038] Mg源を注入する際には、酸発酵槽に直接注入することもできる。しかし、この方法 では、部分的に急激に Mg濃度が上昇し、 Mgの過飽和度が高くなつて MAP生成が 瞬時に行われるので、回収しきれない微細な MAP結晶の生成につながる恐れがあ る。このような事情から、 Mgの注入は、酸発酵槽に入る手前で原汚泥に混入させる
方法が、急速な MAP反応を防ぐことができ、効果的である。 Mg化合物の中でも溶解 度の低い水酸ィ匕マグネシウムのスラリーを原汚泥に混入した後に酸発酵槽に注入す れば、更に MAPの回収率を上げるのに効果的である。 MAPの回収率を上げるため には、ー且回収した MAP粒子を種晶として再度 MAP生成槽に戻し、 MAPが析出 する種晶の表面積を増やすことで微細 MAPの生成を防ぐことが好ま 、。種晶とし て MAP生成槽に戻す MAP粒子は、径が φ 150 μ m以上のものが好ましぐ更には φ 250— 800 μ mの範囲のものが最適である。
[0039] ある下水処理場の余剰汚泥に対して、酸発酵 MAP生成プロセスのベンチスケー ル実験を行ったところ、下表に示すような結果が得られた。
[0040] [表 1]
[0041] 従来法の汚泥消化処理では、滞留時間約 25日の消化槽にお!/、て有機物を構成 する炭素はメタンと炭酸ガスに、リンと窒素はリン酸とアンモニア性窒素に分解され、リ ン酸とアンモニアの一部は、消化槽の 25日の滞留時間の間にゆっくりと MAPとして 合成され、分離性の良い MAP粒子が生成していた。本発明者らは、有機物の分解 により [NH +]と [HPO 2刁が溶出し、水酸ィ匕マグネシウム等の添カ卩により [Mg2+]
4 4 、 [O
H—]を供給された反応槽 22において、 Mgの過飽和度を下げる種々の工夫を行うこと により、 3時間一 7日間という酸発酵の反応時間の間に分離性の良い MAPを合成す ることに成功した。つまり、汚泥中に分離性の良い MAP粒子を合成する時間を従来 法の 25日程度から、その約 4分の 1程度にできる方法を見出した。これにより、該反 応槽 22の汚泥力も容易に MAP粒子を回収することができ、汚泥消化設備を持たな い施設でも、汚泥からの高効率リン回収を可能とした。
[0042] また、程よく通気等を行うことにより、汚泥中の有機物分解を酸発酵を主体とする分 解反応までとし、積極的にメタン発酵にまで反応を進めないことにより汚泥中に有機
酸を多く残すことができ、 MAP生成によりリン及び窒素濃度が減少した汚泥を生物 学的水処理工程に戻すことにより、例えば脱窒処理の水素供与体や脱リン処理の B OD源として利用することを可能にした。消化槽のない施設において本発明が極めて 有効であることは勿論である力 本発明は、既に消化槽のある施設においても有効 である。この場合、消化槽の前段で MAPが除去されるため、消化槽の維持管理が容 易になるという利点が生じる。また、この時、消化槽の汚泥の一部を反応槽 22に戻す ことにより、酸発酵に伴う pH低下を緩和することも可能になる。
[0043] さらに、消化槽のない施設においては、本発明により汚泥の減量ィ匕が図れる利点も 生じる。このようにして、リン酸 'アンモニアイオン溶出兼 MAP生成槽 22で効率的に 生成させた MAPを含む流出汚泥 8は、 MAP分離回収機 23に導入される。ここでは 、汚泥中の MAP粒子の約 95%以上を回収することができる。 MAP分離回収機 23と して ίま、特願 2002— 328336号ゃ特願 2002— 326968号等に記載した分離装置力 S 望ましぐ液体サイクロン、電動式のふるいやスクリーン状の分離体、沈殿分離装置、 及び MAP洗浄装置や、それらを糸且み合わせたシステムを使用しても良!、。
[0044] MAP分離回収機 23により分離 '回収した MAPは、リン含有有価物として肥料原料 等に利用することができる。また、 MAPの一部は必要に応じて、リン酸 'アンモニアィ オン溶出兼 MAP生成槽 22に返送し、 MAP合成の種晶として利用することができる 。 MAP分離回収機 23において MAPを除去された MAP脱離汚泥 10は、図 1のよう に直接、汚泥脱水装置 24により脱水処理を行い脱水ケーキ 31として排出することが できる。脱水ろ液 32は、最初沈殿池 11等に返流しても良い。
[0045] ところで、汚泥の種類によっては、 MAP脱離汚泥 10をそのまま脱水工程に導くと、 脱水性能が低下し、多量の凝集剤等の薬剤が必要になったり、ケーキ含水率が上昇 したりすることがある。このような場合には、図 2に示すように、 MAP脱離汚泥 10の一 部を生物学的水処理工程 12に戻すこともできる。このときには、余剰汚泥 6や濃縮汚 泥 7の一部を汚泥脱水装置 24に導くこともできる(図示せず)。また、先に述べたよう に MAP脱離汚泥 10には、従来型の標準活性汚泥処理方式の返送汚泥とは異なり 、液中に含まれるリン含有率が大幅に下がっている上に、豊富に含まれる有機酸等 の易分解性有機物を生物学的水処理の脱窒の水素供与体、脱リン処理の BOD源と
して効率良く使用できるという利点がある。ただし、この場合、汚泥脱水性能や生物 学的水処理性能が向上する反面、 MAP回収率が低下する傾向にある。更に、本発 明においては、 MAP脱離汚泥 10の一部をリン酸'アンモ-ゥムイオン溶出兼 MAP 生成槽 22に戻すこともできる。このようにすると、回収しきれな力つた汚泥中の微小な MAP粒子が種晶の役割を果たし、成長して十分な大きさに育ち MAP粒子として回 収が可能になるという利点が得られる。
[0046] 本発明では、汚泥脱水装置 24に導く汚泥の種類を限定するものではなぐ図 1と図 2とを併用する方法を取ることもできる。特に、下水処理のように夏季と冬季で原水性 状や汚泥性状が異なるとき、又は工場廃水において製造品の変化により原水性状や 汚泥性状が著しく変動する場合などでは、あらかじめ両方の操作ができるようしておく ことが得策である。
[0047] 汚泥脱水装置 24で脱水された脱水ケーキ 31は、そのまま系外に搬出しても良いし 、乾燥 '焼却'溶融処理を施し、減容化することもできる。特に、焼却'溶融処理する 際には脱水ケーキ中のリン含有率が低下しているため、リンによる飛灰トラブルが回 避できる。
[0048] 上記の本発明に対して、従来の方法の例を図 3及び図 4に示す。図 3は、特願 200 0—231633号に記載の実施形態のフロー図である。ここでは、 MAP生成槽 25が嫌 気性消化槽となっている。嫌気性消化槽は滞留時間が 25日と非常に長ぐ巨大で大 掛かりな設備を要し、スペースやコストの制約が大きい。また、 H S
2 や CH
4などのガス 発生の問題もあり、煩雑なメンテナンスを必要とする。そのため、導入できる件数が限 られる。また、図 4は従来の処理装置の一実施形態のフロー図である。ここでは、嫌 気性消化槽 25での Mg添加を経て、嫌気性消化槽からの流出汚泥力 MAP分離回 収機を通らないで脱水機 24に導入されるフローとなっている。したがって、嫌気性消 化槽内で発生した MAP粒子が回収されずに脱水ケーキ中に混入し、脱水機ゃコン ベアに摩耗によるダメージを与える。脱離液のリン濃度は低減し、水処理への負担は 軽くなるものの、消化汚泥中には T Pとして高濃度のリンが含まれるので、焼却時に リン飛灰トラブルの原因となる。また、このフローは鉄塩などの凝集剤を添加する方法 と同様、汚泥発生量を増大させるという欠点がある。
実施例
[0049] 次に、本発明の廃水処理技術を実際に組み込んだ実験プラントの運転結果の一 例について説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されるものではない。
[0050] 実施例 1
本実施例は A下水処理場の汚泥を使用して行ったノ ィロットプラントによる実験例 であり、フローは先に示した図 1のフローと同じである。 A下水処理場は、嫌気無酸素 好気法による活性汚泥処理を採用している。本実施例では、 A下水処理場から採取 した初沈汚泥と余剰汚泥を約 1: 1で混合し、遠心濃縮機により濃縮した。濃縮汚泥 は、リン酸 'アンモニアイオン溶出兼 MAP生成槽 22に導入した。該槽 22は、槽底部 がホッパー状であり、槽内は撹拌機により撹拌されており、槽底部から引抜いた汚泥 を槽上部に連続的に循環することで槽底部の MAP粒子を槽内全体に流動させた。 該槽 22のその他の条件は、水理学的滞留時間: 60時間、水温: 45度、通気量: 0. 1 2wm、 pH : 7. 3、 MAP (6水塩)濃度: 1. 5g/Lに設定した。該槽 22に導入する Mg 源及び PH調整剤は、 35%水酸ィ匕マグネシウムスラリー及び水酸ィ匕ナトリウム溶液と した。 MAP濃度調整は、液体サイクロンにより濃縮した MAP濃縮スラリーの一部を 該槽 22に返送する方式とした。 MAP分離装置 23は穴径 2mmの振動ふるい、液体 サイクロン、回転円筒型分級洗浄機を直列に組み合わせたものを使用した。脱水機 はスクリュープレス型脱水機を使用した。また、比較例として、本発明を適用しない既 設プラント、即ち、最初沈殿池からの初沈汚泥 5と最終沈殿池からの余剰汚泥 6に関 して消化処理を行わずに脱水して脱離液を最初沈殿池 11に戻すフローのプラントに よる廃水の処理実験をあわせて行った。
[0051] 運転開始後 30日間の処理成績を表 2に示す。表 2より、放流水質の特に T - N、 T - Pにおいて大幅に実施例の方が処理成績が良いのがわかる。この結果の要因として は、従来方式の返流水と比較した場合の返流水中に含まれるリン及び窒素負荷の軽 減、及び有機酸を比較的多く含む返流水による水処理系の脱窒、脱リン反応の効率 化等が挙げられる。その上、従来方式では回収できな力つたリンを MAPとして回収 することにより、流入下水中のリンの約 43%を MAPとして回収することが可能となつ た。また、汚泥発生量も固形物ベースで約 3割減少した。これは、実施例方式のリン
酸'アンモニアイオン溶出兼 MAP生成槽 22において有機物の一部が可溶ィ匕したこ とと、汚泥から MAP粒子を取り除いたことに起因すると思われる。 MAP脱離汚泥 10 の一部を嫌気槽に戻したところ、処理水のリン濃度は 0. 2-0. 6mg/Lであったもの 力 0. 1-0. 4mg/Lまで低下する傾向があり、嫌気性菌がリン酸を放出する際に取 り込む有機物として有効に利用されたことが確認された。
[0052] [表 2] 表 2 : 実施例 1の実験結果
注 1 ) ( ) は平均値を示す
. 2 ) リン回収率は、 流入水中のリン負荷量に対する回収 M A P中
のリンの割合を示す
[0053] 実施例 2
次に、本発明の廃水処理技術を実際に組み込んだ他の形態の実験プラントの運転 結果の一例について説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されるものではな V、。本実施例は A食品廃水処理場の汚泥を使用して行ったパイロットプラントによる 実験例であり、フローは先に示した図 2のフローと同じである。 A処理場は、生物学的 水処理工程 12として、嫌気無酸素好気法による活性汚泥処理を採用している。本実 施例では、 A処理場力 採取した初沈汚泥と余剰汚泥を約 2 : 1で混合し、重力濃縮 機により濃縮した。濃縮汚泥はリン酸'アンモニアイオン溶出兼 MAP生成槽 22に導 入した。該槽 22は汚泥投入配管部に超音波処置装置が設置されており、濃縮汚泥 は、超音波処理を施された後にリン酸 ·アンモニアイオン溶出兼 MAP生成槽 22に投 入した。該槽 22は、槽底部がホッパー状であり、槽内は撹拌機により撹拌されており
、槽底部から引抜 ヽた汚泥を槽上部に連続的に循環することで槽底部の MAP粒子 を槽内全体に流動させた。該槽 22のその他の条件は、水理学的滞留時間: 45時間 、水温: 40度、通気量: 0. 15wm、pH : 7. 2、 MAP (6水塩)濃度: 1. Og/Lに設定し た。該槽 22に導入する Mg源、 pH調整剤、 MAP分離装置 23、及び脱水機 24は実 施例 1と同じものを使用した。
[0054] また、比較例として、本発明を適用しない既設プラント、即ち、最初沈殿池からの初 沈汚泥 5と最終沈殿池からの余剰汚泥 6に関して消化処理を行わずに脱水して脱離 液を最初沈殿池 11に戻すフローのプラントによる廃水の処理実験をあわせて行った
[0055] MAP脱離汚泥 10は、一部を、嫌気無酸素好気槽 12の嫌気槽の入口及び無酸素 槽の入口に返送し、必要に応じて各返送量を調節した。残りの MAP脱離汚泥 10は 初沈汚泥 5の一部と混合して、脱水機 24により脱水処理した。運転開始後 30日間の 処理成績を表 3に示す。表 3より、実施例 1と同様に放流水質の特に T N、 T Pにお いて大幅に実施例の方が処理成績が良いのがわかる。また、本実施例では、濃縮汚 泥に対して超音波処理を施したために通常より汚泥の可溶ィ匕が進行しており、溶解 性のリンや窒素は増加する力 その増加分の大部分は MAPとして回収されるので、 処理水質のリン及び窒素濃度に悪影響を及ぼすことは無かつた。流入水中のリンの 約 55%を MAPとして回収することが可能であった。また、汚泥発生量も固形物べ一 スで約 35%減少した。また、 MAP脱離汚泥 10に対して初沈汚泥 5の一部を添加し ていることから汚泥の脱水性も向上し、既設プラントの脱水ケーキと同等以上の脱水 性を得ることが可能であった。
[0056] [表 3]
表 3 : 実施例 2の実験結果
注 1 ) ( ) は平均値を示す
注 2 ) リン回収率は、 流入水中のリン負荷量に対する回収 M A P中
のリンの割含を す
[0057] 実施例 3
更に、本発明の廃水処理技術を実際に組み込んだ他の形態の実験プラントの運転 結果の一例について説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されるものではな い。
[0058] 本実施例は A食品工場の廃水処理場の汚泥を使用して行ったパイロットプラントに よる実験例であり、フローは先に示した図 2のフローと同じである。 A工場の廃水処理 場は嫌気無酸素好気法による活性汚泥処理を採用している。本実施例では、 A工場 の処理場から採取した初沈汚泥と余剰汚泥を約 2 : 1で混合し、重力濃縮機により濃 縮した。濃縮汚泥は、まずオゾン処理槽(図 2には図示せず)に導入され、オゾンによ る可溶化処理を施した後に、リン酸 'アンモニアイオン溶出兼 MAP生成槽 22に導入 した。該槽 22は、槽底部がホッパー状であり、槽内は撹拌機により撹拌されており、 槽底部から引抜 ヽた汚泥を槽上部に連続的に循環することで槽底部の MAP粒子を 槽内全体に流動させた。該槽 22のその他の条件は、水理学的滞留時間: 45時間、 水温: 40度、通気量: 0. 15wm、pH : 7. 2、 MAP (6水塩)濃度: 1. Og/Lに設定した 。該槽 22に導入する Mg源、 pH調整剤、 MAP分離装置 23、及び脱水機 24は実施 例 1と同じものを使用した。
[0059] また、比較例として、本発明を適用しない既設プラント、即ち、最初沈殿池からの初 沈汚泥 5と最終沈殿池からの余剰汚泥 6に関して消化処理を行わずに脱水して脱離 液を最初沈殿池 11に戻すフローのプラントによる廃水の処理実験をあわせて行った
[0060] MAP脱離汚泥 10は、一部を嫌気無酸素好気槽 12の嫌気槽の入口及び無酸素 槽の入口に返送し、必要に応じて各返送量を調節した。残りの MAP脱離汚泥 10は 初沈汚泥 5の一部と混合して、脱水機 24により脱水処理した。運転開始後 30日間の 処理成績を表 4に示す。表 4より、実施例 1と同様に放流水質の特に T N T Pにお いて大幅に実施例の方が処理成績が良いのがわかる。また、本実施例では、濃縮汚 泥に対してオゾン処理を施したために通常より汚泥の可溶ィヒが進行しており、溶解性 のリンや窒素は増加する力 その増加分の大部分は MAPとして回収されるので、処 理水質のリン及び窒素濃度に悪影響を及ぼすことは無かつた。流入水中のリンの約 49%を MAPとして回収することが可能であった。また、汚泥発生量も固形物ベース で約 38%減少した。また、 MAP脱離汚泥 10に対して初沈汚泥 5の一部を添カ卩して いることから汚泥の脱水性も向上し、既設プラントの脱水ケーキと同等以上の脱水性 を得ることが可能であった。
[0061] [表 4] 表 4 : 施例 3の实験結果
注 1 ) ( ) は平均値を示す
注 2 > リン回収率は、 流入水中のリン負荷量に対する回収 M A P
のリ ンの割合を示す
産業上の利用可能性
本発明は、下水処理場や各種廃水処理施設等において、リン及び窒素を含有する 廃水から、リン等をリン酸マグネシウムアンモ-ゥム結晶として効率良く回収する方法 、装置として有用な技術である。