JP2013128366A - ヘリカル巻シート状コイル、その固定方法及びモータコイル - Google Patents

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Abstract

【課題】 コイル端部における高占積率化を図り、スロットを備えるステータコアを有する回転電機に適用可能なヘリカル巻シート状コイルを提供する。
【解決手段】 本発明のヘリカル巻シート状コイルは、コイル辺部と、コイル辺部の同一側端部を接続するコイル端部と、を有するコイル導体がヘリカル状につながり波巻き構成となるようにしたヘリカル巻シート状コイルであって、コイル辺部は、可動子磁極の移動方向に対して略直交する方向に直線状に、厚さ方向に2層に形成されており、コイル端部は、2層の異なる層に配されるコイル辺部を波巻き方向に順に接続してコイル要素を形成し、同一スロット内で隣接するコイル要素を一対として、コイル要素が2磁極ピッチ毎に可動子磁極の移動方向に配されて接続される一対のコイルユニットが互いに直列接続されて相単位コイルを形成し、同相の電磁気的に位相の異なる相単位コイルが直列接続されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転電機の波巻き巻線及びその固定方法に関する。
モータ等の回転電機の固定子巻線や回転子巻線の巻装方法として、導体を波状に巻装する波巻き巻装方式が知られている。例えば、波巻き巻装方式の一例として、非特許文献1及び2に記載の電動機用巻線が挙げられる。非特許文献1及び2に記載の発明は、ヘリカル巻線を用いてスロットレスの電動機用巻線を形成している。
安川電機 技報 第51巻(通巻第197号)No.4 1987 351〜359頁 安川電機 技報 第53巻(通巻第205号)No.4 1989 304〜312頁
しかしながら、非特許文献1及び2に記載の発明では、ステータコアはスロットを備えていないので、ロータとステータ間の空隙部分における磁束密度が小さく、出力トルクが比較的大きい電動機には適用が困難であった。また、回転電機に広く使用されている3相コイルを巻装する場合には、コイル端部に重なりが生じるため、コイル端部のスペースが大きくなり、回転電機の体格が増大するという問題があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、コイル端部における高占積率化を図り、スロットを備えるステータコアを有する回転電機に適用可能なヘリカル巻シート状コイルを提供することを課題とする。
請求項1に係るヘリカル巻シート状コイルは、ステータコアの各スロットに交互に挿通される往き導体部及び還り導体部からなるコイル辺部と、コイル辺部と一体に形成されて往き導体部及び還り導体部の同一側端部を接続するコイル端部と、を有するコイル導体がヘリカル状につながり波巻き構成となるようにしたヘリカル巻シート状コイルであって、コイル辺部は、可動子磁極の移動方向に対して略直交する方向に直線状に、厚さ方向に2層に形成されており、コイル端部は、2層の異なる層に配される往き導体部及び還り導体部を波巻き方向に順に接続してコイル要素を形成し、同一スロット内で隣接するコイル要素を一対として、コイル要素が2磁極ピッチ毎に可動子磁極の移動方向に配されて接続される一対のコイルユニットが互いに直列接続されて相単位コイルを形成し、同相の電磁気的に位相の異なる相単位コイルが直列接続されていることを特徴とする。
請求項2に係るヘリカル巻シート状コイルは、請求項1において、可動子磁極の移動方向の隣接するコイル辺部間が、ステータコアの磁極歯部を収容可能に離間されている。
請求項3に係るヘリカル巻シート状コイルは、請求項1又は2において、コイルユニットが、複数の細線を並列に配列した並列細線からなる。
請求項4に係るヘリカル巻シート状コイルは、請求項3において、細線同士が交差しないように巻装されている。
請求項5に係るヘリカル巻シート状コイルの固定方法は、請求項3又は4に記載の並列細線をコイル端部の一部又は全部において相互に固定して、スロット開口部を通過する際にコイル辺部の細線の向き及び/又は配列を変えて、スロット開口部を通過させた後にスロット内で細線の向き及び/又は配列を元に戻す。
請求項6に係るモータコイルは、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルを可動子磁極の移動面に対して垂直方向に複数枚積層して、モータとして作動するうえで電磁気的に有効な相構成となるように配列して直列接続又は並列接続されている。
請求項7に係るモータコイルは、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルを可動子磁極の移動面に対して垂直方向に複数枚積層して、可動子磁極の移動方向にスキュー相当分の位相差を設けて配列して直列接続されている。
請求項8に係るモータコイルは、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルがステータコアの径方向に巻き重ねられている。
請求項9に係るモータコイルは、請求項8において、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルがステータコアの内周側から取付けられる場合及び/又は請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルの周回が多重のときにステータコアの径方向内側に巻き重なる場合において、モータ回転軸方向のコイル端子取り出し側から視て、コイル端子部を出発点とするヘリカル巻シート状コイルの周回方向は、ヘリカル巻きの巻き方向と逆方向になるようにステータコアに取付けられている。
請求項10に係るモータコイルは、請求項8において、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルがステータコアの外周側から取付けられる場合及び/又は請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルの周回が多重のときにステータコアの径方向外側に巻き重なる場合において、モータ回転軸方向のコイル端子取り出し側から視て、コイル端子部を出発点とするヘリカル巻シート状コイルの周回方向は、ヘリカル巻きの巻き方向と同じ方向になるようにステータコアに取付けられている。
請求項11に係るモータコイルは、請求項6〜10のいずれか1項において、コイル辺ピッチ、コイル端部の高さ及びコイル辺部の断面形状のうちの少なくともひとつが、ステータコアへの取り付け周毎に異なり、コイル端部の断面形状は、コイルユニット間で共通の形状部分を有する。
請求項12に係るモータコイルは、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルがステータコアの軸方向に巻き重ねられている。
請求項1に係るヘリカル巻シート状コイルによれば、同一スロット内で隣接するコイル要素を一対として、コイル要素が2磁極ピッチ毎に可動子磁極の移動方向に配されているので、可動子磁極の移動方向のコイル要素間の相対的な位置関係を保持することができる。さらに、厚さ方向に2層に形成されるコイル辺部の異なる層に配される往き導体部及び還り導体部は、コイル端部によってヘリカル状につながり波巻き構成となるように順に接続されてコイルユニットが形成されているので、コイル端部にて構成導体毎に整列して規則正しく層間を渡らせることができる。そのため、コイル端部同士の重なりを3次元的に、きめ細かく回避することができ、コイル端部の占積率が向上してコイル端部のスペースを小さくすることができる。また、全節巻の波巻き構成において、同相の電磁気的に位相の異なる相単位コイルは、1磁極内に位置するコイル辺部の電流方向が一致するように直列接続されているので、短節巻の効果を得ることができ、トルクリプル等を低減することができる。さらに、コイル端部を短くしてコンパクトにできるので、漏れリアクタンスを減少させることができる。
請求項2に係るヘリカル巻シート状コイルによれば、可動子磁極の移動方向の隣接するコイル辺部間は、ステータコアの磁極歯部を収容可能に離間されているので、スロットを備えるステータコアを有する回転電機に用いることができる。
請求項3に係るヘリカル巻シート状コイルによれば、コイルユニットは、複数の細線を並列に配列した並列細線からなるので、コイル導体部に発生する渦電流損を低減させることができ、モータ効率が向上する。また、コイル成形に要する力を小さくすることができるので、成形性が向上してコイル製作が容易になる。
請求項4に係るヘリカル巻シート状コイルによれば、細線同士が交差しないように巻装されているので、コイル端部をコンパクトにして占積率を高めることができ、回転電機を小型化、低コスト化することができる。
請求項5に係るヘリカル巻シート状コイルの固定方法によれば、並列細線からなるコイル辺部を幅狭なスロット開口部を有するステータコアに取付けることができる。
請求項6に係るモータコイルによれば、ヘリカル巻シート状コイルが可動子磁極の移動面に対して垂直方向に複数枚積層されて、モータとして作動するうえで電磁気的に有効な相構成となるように配列されて接続されているので、1枚分のシートコイル長を短くでき、コイル成形やステータコアへの組付けが簡便となる。
請求項7に係るモータコイルによれば、ヘリカル巻シート状コイルが複数枚積層されて、可動子磁極の移動方向にスキュー相当分の位相差を設けて配列されているので、急激な磁束変化を抑制して、トルクリプル等を低減することができる。
請求項8に係るモータコイルによれば、ロータ及びステータが径方向に同芯に配されるラジアル型の円筒状モータに用いることができる。
請求項9に係るモータコイルによれば、ヘリカル巻シート状コイルがステータコアの内周側から取付けられる場合及び/又はヘリカル巻シート状コイルの周回が多重のときにステータコアの径方向内側に巻き重なる場合において、モータ回転軸方向のコイル端子取り出し側から視て、コイル端子部を出発点とするヘリカル巻シート状コイルの周回方向は、ヘリカル巻きの巻き方向と逆方向になるようにステータコアに取付けられている。また、請求項10に係るモータコイルによれば、ヘリカル巻シート状コイルがステータコアの外周側から取付けられる場合及び/又はヘリカル巻シート状コイルの周回が多重のときにステータコアの径方向外側に巻き重なる場合において、モータ回転軸方向のコイル端子取り出し側から視て、コイル端子部を出発点とするヘリカル巻シート状コイルの周回方向は、ヘリカル巻きの巻き方向と同じ方向になるようにステータコアに取付けられている。これにより、コイル素線端部及びコイル端子部をステータコアのスロット径方向端部に配置することができるので、コイル素線端部及びコイル端子部をコイル端部と交差しないように引回すことができ、回転電機を小型化することができる。
請求項11に係るモータコイルによれば、コイル辺ピッチ又はコイル端部の高さがステータコアに取り付ける円周に合わせて形成されているので、取り付け周毎にコイル長を適切にすることができ、回転電機を小型化、低コスト化することができる。また、コイル辺部の断面形状が取り付け周毎に異なるので、コイル辺部における占積率を高めることができる。さらに、コイル端部の断面形状は、コイルユニット間で共通の形状部分を有するので、コイル端部をコンパクトにすることができる。
請求項12に係るモータコイルによれば、ロータ及びステータが同軸上に配されるアキシャル型の円筒状モータに用いることができる。
ヘリカル巻シート状コイルの1相の単位コイル分を示す模式図である。 ヘリカル巻シート状コイルの3相分を示す模式図である。 図2のAA−AA断面図である。 ヘリカル巻シート状コイルの相構成を模式的に示す図である。 ヘリカル巻シート状コイルのU相の接続状態を模式的に示す図である。 シート端接続によるヘリカル巻シート状コイルの端部構成を模式的に示す図である。 シート端引回しによるヘリカル巻シート状コイルの端部構成を模式的に示す図である。 並列細線の配列を模式的に示す図である。 ヘリカル巻シート状コイルが積層されたモータコイルの層渡り状態及びシート端部での接続状態を模式的に示す図である。 ヘリカル巻シート状コイルがステータコアの径方向に巻き重ねられているモータコイルを模式的に示す図である。 ヘリカル巻シート状コイルがステータコアの軸方向に巻き重ねられているモータコイルを模式的に示す図である。 ステータコアへの取り付け周毎にヘリカル巻シート状コイルが変形されているモータコイルを模式的に示す図である。 並列細線からなるヘリカル巻シート状コイルを半閉スロットのステータコアに固定する手順を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態について共通の箇所には共通の符号を付して対応させることにより重複する説明を省略する。なお、各図は概念図であり、細部構造の寸法まで規定するものではない。
(1)ヘリカル巻シート状コイル
図1は、ヘリカル巻シート状コイルの1相の単位コイル分を示す模式図である。(b)は、コイル導体が巻芯に巻装された状態を示しており、(c)は、(b)において、巻芯を取り除いた状態を示している。(d)は、紙面奥側(A側)のコイル導体の巻装状態(B側からの透視図)を示しており、(e)は、紙面手前側(B側)のコイル導体の巻装状態を示している。
図1の実線は、巻線ピッチS10の位置から6巻線ピッチ(1磁極ピッチ)毎にコイル導体が巻装された状態を示している。実線で示すコイルユニット1aは、巻線ピッチS10の位置において、紙面手前側(B側)から紙面奥側(A側)の方向に巻装されており、巻線ピッチS10、S16、S22、S28及びS34において、コイルユニット1aは、巻芯の短手方向(巻芯軸に垂直な方向)に直線状に延びるコイル辺部10aが形成されている。図1のB側からA側に向けてコイル導体が巻装されるときに形成されるコイル辺部10aを往き導体部11aと呼称し、A側からB側に向けて巻装されるときに形成されるコイル辺部10aを還り導体部12aと呼称する。往き導体部11a及び還り導体部12aの同一側端部は、コイル辺部10aと一体に形成されるコイル端部20aによって接続されている。コイル端部20aは、巻線ピッチS13、S19、S25、S31及びS37において巻き曲げられて、巻き曲げ部21aがそれぞれ形成されている。
図1に示すように、本明細書では、半磁極ピッチ分のコイル端部20aと、往き導体部11aと、1磁極ピッチ分のコイル端部20aと、還り導体部12aと、半磁極ピッチ分のコイル端部20aと、を有するコイル導体をコイル要素4aと呼称する。コイル要素4aが2磁極ピッチ毎に巻芯の長手方向(巻芯軸方向)に配されて接続された状態のコイル導体をコイルユニット1aと呼称する。
図1の破線は、実線で示すコイルユニット1aと同様に、巻線ピッチS10の位置から6巻線ピッチ(1磁極ピッチ)毎にコイル導体が巻装された状態を示している。破線で示すコイルユニット1bは、巻線ピッチS10の位置において、紙面奥側(A側)から紙面手前側(B側)の方向に巻装されている点が実線で示すコイルユニット1aと異なる。破線で示すコイルユニット1bは、実線で示すコイルユニット1aと同様に巻線ピッチS10、S16、S22、S28及びS34においてコイル辺部10bが形成されており、コイル辺部10bは、往き導体部11b及び還り導体部12bからなる。また、往き導体部11b及び還り導体部12bの同一側端部は、コイル辺部10bと一体に形成されるコイル端部20bによって接続されている。コイル端部20bは、巻線ピッチS13、S19、S25、S31及びS37において巻き曲げられて、巻き曲げ部21bがそれぞれ形成されている。
コイルユニット1aと同様に、本明細書では、半磁極ピッチ分のコイル端部20bと、往き導体部11bと、1磁極ピッチ分のコイル端部20bと、還り導体部12bと、半磁極ピッチ分のコイル端部20bと、を有するコイル導体をコイル要素4bと呼称する。コイル要素4bが2磁極ピッチ毎に巻芯の長手方向(巻芯軸方向)に配されて接続された状態のコイル導体をコイルユニット1bと呼称する。実線で示すコイルユニット1aと破線で示すコイルユニット1bは、シート厚さ方向に対をなしている。
コイルユニット1aのコイル辺部10aとコイルユニット1bのコイル辺部10bとがシート厚さ方向に隣接して密着するように加圧成形すると、コイル辺部10a及びコイル辺部10bは、巻芯の長手方向(巻芯軸方向)に2層に亘って2磁極ピッチずつ離間された状態で整列する。紙面奥側(A側)に形成されるコイル辺部10a及びコイル辺部10bを第1層と呼称し、紙面手前側(B側)に形成されるコイル辺部10a及びコイル辺部10bを第2層と呼称する。図1(a)及び(f)は、第1層及び第2層におけるコイル導体の層渡り状態を示している。これらの図では、層間を接続する部分が最短となるようにコイル導体の層渡り状態を模式的に図示している。なお、コイルユニット1a、1bがステータコアに取り付けられた際には、図1に示す巻芯の長手方向(巻芯軸方向)は、可動子磁極の移動方向に相当する。
図2は、ヘリカル巻シート状コイルの3相分を示す模式図である。図2は、図1の(a)〜(f)にそれぞれ対応しており、図2に示す巻線ピッチSは、図1に示す巻線ピッチSに対応している。図3は、図2のAA−AA断面図を示している。本実施形態では、同一スロット内で隣接する実線で示すコイル要素4aと破線で示すコイル要素4bを一対として、一対のコイル要素4a、4bが2磁極ピッチ毎に巻芯の長手方向(巻芯軸方向)に配されている。例えば、図2及び図3に示すように、巻線ピッチS10の第2層と巻線ピッチS16の第1層との間でコイル要素4aが形成され、これと対になるコイル要素4bは、巻線ピッチS10の第1層と巻線ピッチS16の第2層との間で形成されている。同様にして、1巻線ピッチ進んだ巻線ピッチS11の第2層と巻線ピッチS17の第1層との間でコイル要素4aが形成され、これと対になるコイル要素4bは、巻線ピッチS11の第1層と巻線ピッチS17の第2層との間で形成されている。
本実施形態では、図3に示すように、可動子磁極の移動方向に、U相(順方向U1)、U相(順方向U2)、W相(逆方向W1)、W相(逆方向W2)、V相(順方向V1)、V相(順方向V2)、U相(逆方向U1)、U相(逆方向U2)の順にコイルが形成されている。本実施形態では、同相のコイルユニット1a、1bが可動子磁極の移動方向に2本隣接しており、同相コイルの巻線単位は4本からなる。同相のコイルユニット1a、1b、1a、1bは、回転電機の駆動時に流れる電流方向が一致するように直列接続されており、12本の巻線単位からなる3相巻線が構成されている。なお、同図に示すように、可動子磁極の移動方向の隣接する各コイル辺部間は、ステータコアの磁極歯部を収容可能に所定間隔1W離間されている。
図4は、ヘリカル巻シート状コイルの相構成を模式的に示す図である。本実施形態では、シート厚さ方向に対をなすコイルユニット1a、1bがシート端部で直列接続されて、相単位コイル5U1が形成されている。相単位コイル5U1を構成するコイルユニット1a、1bに対して、1巻線ピッチ分、可動子磁極の移動方向に離間しているシート厚さ方向に対をなすコイルユニット1a、1bがシート端部で直列接続されて、相単位コイル5U2が形成されている。そして、相単位コイル5U1、5U2がシート端部で直列接続されて、相コイル6Uが形成されている。
図5は、ヘリカル巻シート状コイルのU相の接続状態を模式的に示す図である。U相端子5TUを起点にして、相単位コイル5U1のコイルユニット1a、1b及び相単位コイル5U2のコイルユニット1a、1bが直列接続されて中性点5Nに接続されており、U相コイル6Uが形成されている。相単位コイル5U1、5U2は可動子磁極の移動方向に1巻線ピッチ分、離間しているので、相単位コイル5U1、5U2が発生する誘起電圧は、同相(U相)ではあるが、正確には位相が異なる。これを本明細書では、「電磁気的に位相が異なる」という。これらのことは、V相及びW相についても同様であり、図4に示すように、V相及びW相は、U相と同様の相構成になっている。
図6は、シート端接続によるヘリカル巻シート状コイルの端部構成を模式的に示す図である。同図は、シート厚さ方向視におけるシート両端部の巻線の接続状態を示している。(a)〜(c)は、順にU相〜W相の1相分の接続状態を示しており、(d)は、3相分の接続状態を示している。同図では、図1及び図2と同様に、コイルユニット1aを実線で示し、コイルユニット1bを破線で示している。図中の丸数字は、相端子から中性点までの巻線の接続順を示している。以下、同図(a)に基づいてU相を例に説明するが、V相及びW相についても同様である。
相単位コイル5U1のコイルユニット1aは、U相端子5TUを起点にして紙面右方向に巻装されている(丸数字1〜5)。相単位コイル5U1のコイルユニット1aは、シート端部の接続点5JU1において、相単位コイル5U1のコイルユニット1bと接続されている。相単位コイル5U1のコイルユニット1bは、接続点5JU1で巻き返されて紙面左方向に巻装されている(丸数字6〜10)。相単位コイル5U1のコイルユニット1a、1bは、シート厚さ方向に対をなしている。
相単位コイル5U1のコイルユニット1bは、シート端部の接続点5JU2において、相単位コイル5U2のコイルユニット1aと接続されている。相単位コイル5U2は、相単位コイル5U1に対して可動子磁極の移動方向(紙面右方向)に1巻線ピッチ分、離間している。相単位コイル5U2のコイルユニット1aは、紙面右方向に巻装されており(丸数字11〜16)、シート端部の接続点5JU3において、相単位コイル5U2のコイルユニット1bと接続されている。相単位コイル5U2のコイルユニット1bは、接続点5JU3で巻き返されて紙面左方向に巻装されており(丸数字17〜22)、中性点5Nに接続されている。相単位コイル5U2のコイルユニット1a、1bは、シート厚さ方向に対をなしている。
ヘリカル巻シート状コイルの端部構成は、以下の端部構成とすることもできる。図7は、シート端引回しによるヘリカル巻シート状コイルの端部構成を模式的に示す図である。図7に示す端部構成は、図6に示す端部構成と比べて、紙面右方向のシート端部にコイルユニット1a、1bの接続点を有しない点が異なる。図7の(a)〜(d)は、図6の(a)〜(d)にそれぞれ対応しており、共通の箇所には共通の符号を付して対応させることにより、重複する説明を省略する。以下、(a)に基づいてU相を例に説明するが、V相及びW相についても同様である。
図7では、コイルユニット1a、1bは、説明の便宜上、実線及び破線により区別して記載されているが、コイルユニット1a、1bは、一体に形成されている。具体的には、相単位コイル5U1は、U相端子5TUを起点にして紙面右方向に巻装された後(実線で示すコイルユニット1aに相当。丸数字1〜5)、コイル引回し点5RU1で巻き返されて紙面左方向に巻装されている(破線で示すコイルユニット1bに相当。丸数字6〜10)。相単位コイル5U2は、相単位コイル5U1との接続点5JU2を起点にして紙面右方向に巻装された後(コイルユニット1aに相当。丸数字11〜16)、コイル引回し点5RU2で巻き返されて紙面左方向に巻装されており(コイルユニット1bに相当。丸数字17〜22)、中性点5Nに接続されている。
シート端部でコイルを引回す端部構成は、紙面右方向のシート端部に接続点を有しないので、シート端部でコイル同士を接続する場合と比べて、コイル端部20a、20bをコンパクトにすることができる。逆に、シート端部でコイル同士を接続する端部構成は、コイルユニット1a、1bをそれぞれ巻装した後に互いの端部同士を接続することができるので、コイルを引回す場合と比べて、製作が容易である。
本実施形態では、同一スロット内で隣接するコイル要素4a、4bを一対として、コイル要素4a、4bが2磁極ピッチ毎に可動子磁極の移動方向に配されているので、可動子磁極の移動方向のコイル要素4a、4b間の相対的な位置関係を保持することができる。さらに、厚さ方向に2層に形成されるコイル辺部10a、10bの異なる層に配される往き導体部11a、11b及び還り導体部12a、12bは、コイル端部20a、20bによってヘリカル状につながり波巻き構成となるように順に接続されてコイルユニット1a、1bが形成されているので、コイル端部20a、20bにて構成導体毎に整列して規則正しく層間を渡らせることができる。そのため、コイル端部20a、20b同士の重なりを3次元的に、きめ細かく回避することができ、コイル端部20a、20bの占積率が向上してコイル端部20a、20bのスペースを小さくすることができる。
また、全節巻の波巻き構成において、同相の電磁気的に位相の異なる相単位コイル5X1、5X2(XはU、V、Wのいずれか)は、1磁極内に位置するコイル辺部の電流方向が一致するように直列接続されているので、短節巻の効果を得ることができ、トルクリプル等を低減することができる。さらに、コイル端部20a、20bを短くしてコンパクトにできるので、漏れリアクタンスを減少させることができる。
本節最後に、ヘリカル巻シート状コイルのコイル巻線について詳説する。本実施形態では、コイルユニット1a、1bの巻線は、断面略正方形の細線を3本並列に配列した並列細線を用いている。並列細線は、細線同士が交差しないように巻装されている。図8は、並列細線の配列を模式的に示す図である。BB−BB視において、往き導体部11aの並列細線が1、2、3の順に配列されているとすると、CC−CC視において、還り導体部12aの並列細線は、巻装された結果、1、2、3の順に巻き返した状態で配列されている。このことは、コイルユニット1bの巻線についても同様である。
なお、巻線を構成する細線の本数及び細線の断面形状は、特に限定されるものではなく、任意の本数及び任意の断面形状とすることができる。例えば、断面円形状の丸線、断面多角形状の角線などの種々の断面形状の細線を用いることができる。また、巻線は、1本の細線からなる単線とすることもできる。単線の場合も並列細線の場合と同様に細線の断面形状は、特に限定されるものではなく、既述の断面形状をはじめ任意の断面形状とすることができる。なお、巻線は、導体表面がエナメルなどの絶縁層で被覆されている。
本実施形態では、コイルユニット1a、1bは、複数(図8では3本)の細線を並列に配列した並列細線からなるので、単線の場合と比べてコイル導体部に発生する渦電流損を低減させることができ、モータ効率が向上する。また、コイル成形に要する力を小さくすることができるので、成形性が向上してコイル製作が容易になる。さらに、細線同士が交差しないように巻装されているので、コイル端部20a、20bをコンパクトにして占積率を高めることができ、回転電機を小型化、低コスト化することができる。
コイルユニット1a、1bは、例えば、巻芯に細線をヘリカル状に巻装して成形することができる。細線は、1本毎に巻芯に巻装しても複数本を同時に巻装しても良い。巻線ピッチSを確保するために、巻芯にピンや溝等を設けて、ピンや溝をガイドにして巻装することもできる。そして、図2に示すように、すべての巻線を巻装後に巻芯を巻線から取り除き、一対のコイルユニット1a、1bを形成するコイル辺部10a及び10bが隣接して密着するように加圧成形する。加圧成形の際に巻線が損傷する場合を考慮して、加圧成形後に補修用樹脂コーティング等を施しても良い。
(2)モータコイル
図9は、ヘリカル巻シート状コイルが積層されたモータコイルの層渡り状態及びシート端部での接続状態を模式的に示す図である。本実施形態では、2層からなるヘリカル巻シート状コイル3が可動子磁極の移動面に対して垂直方向に3枚積層されてモータコイルが形成されている。ヘリカル巻シート状コイル3、3、3が3枚積層された結果、コイル辺部10a、10bからなる層は、6層に形成されている。3枚のヘリカル巻シート状コイル3、3、3は、可動子磁極の移動方向に同相になるように配列されており、同相のコイル端同士は、モータとして作動するうえで電磁気的に有効な向きに電流が流れるように電気的に接続されている。
同図(a)は、3枚のヘリカル巻シート状コイル3、3、3を直列接続した場合を示し、(b)は、並列接続した場合を示している。巻線の接続はU相のみを示しており、シート端部の端部構成はコイルを引回す場合を例に示している。V相及びW相の巻線の接続方法はU相と同様であり、また、シート端部でコイル同士を接続する端部構成とすることもできる。層渡り状態及び巻線の接続状態は、シート側面方向(図7(d)に示すE矢印方向)視であり、層渡り状態は、層間を接続する部分が最短となるように模式的に図示している。図中の丸数字は、U相端子5TUから中性点5Nまでの巻線の接続順を示している。
同図(a)に示す直列接続の場合は、U相端子5TUは1枚目のヘリカル巻シート状コイル3の相単位コイル5U1に接続されている。相単位コイル5U1は、紙面右方向に巻装された後、コイル引回し点5RU1で巻き返されて紙面左方向に巻装されている(丸数字1〜2)。相単位コイル5U2は、相単位コイル5U1との接続点5JU2を起点にして紙面右方向に巻装された後、コイル引回し点5RU2で巻き返されて紙面左方向に巻装されている(丸数字3〜4)。そして、相単位コイル5U2は、2枚目のヘリカル巻シート状コイル3の相単位コイル5U1に接続されている(丸数字5)。
2枚目のヘリカル巻シート状コイル3は、1枚目のヘリカル巻シート状コイル3と同様に巻装されている(丸数字6〜9)。2枚目のヘリカル巻シート状コイル3の相単位コイル5U2は、3枚目のヘリカル巻シート状コイル3の相単位コイル5U1に接続されている(丸数字10)。3枚目のヘリカル巻シート状コイル3は、1枚目及び2枚目のヘリカル巻シート状コイル3と同様に巻装されており(丸数字11〜14)、中性点5Nが形成されている。
一方、同図(b)に示す並列接続の場合は、U相端子5TUは3枚のヘリカル巻シート状コイル3、3、3の相単位コイル5U1にそれぞれ接続されている。ヘリカル巻シート状コイル3内の接続は、同図(a)の直列接続の場合と同様である(丸数字1〜4)が、中性点5Nは3枚のヘリカル巻シート状コイル3、3、3の相単位コイル5U2にそれぞれ形成されている点が異なる。なお、3つの中性点5Nは、3枚のヘリカル巻シート状コイル3、3、3に個別に設けたままにしておいても良く、3つの中性点5Nを電気的に接続して、実質的に1つの中性点にしても良い。
本実施形態では、ヘリカル巻シート状コイル3、3、3が可動子磁極の移動面に対して垂直方向に3枚積層されて、モータとして作動するうえで電磁気的に有効な相構成となるように配列されて接続されているので、1枚分のシートコイル長を短くでき、コイル成形やステータコアへの組付けが簡便となる。また、3枚のヘリカル巻シート状コイル3、3、3は、可動子磁極の移動方向にスキュー相当分の位相差を設けて配列することもできる。これにより、急激な磁束変化を抑制して、トルクリプル等を低減することができる。
また、積層されるひとつのヘリカル巻シート状コイル3は、ロータの1磁極対分に相当するヘリカル巻シート状コイルを一単位として、それをステータ1周分に亘って直列接続して形成することもできる。なお、ヘリカル巻シート状コイル3の積層数は、3枚に限定されるものではなく、任意の積層数とすることができる。
(第1変形形態)
図10は、ヘリカル巻シート状コイルがステータコアの径方向に巻き重ねられているモータコイルを模式的に示す図である。本変形形態では、2層からなるヘリカル巻シート状コイル3がステータコアの径方向に巻き重ねられて、モータコイルが形成されている。本変形形態のモータコイルは、ロータ及びステータが径方向に同芯に配されるラジアル型の円筒状モータに用いることができる。
ヘリカル巻シート状コイル3がステータコアの内周側から取付けられる場合及び/又はヘリカル巻シート状コイル3の周回が多重のときにステータコアの径方向内側に巻き重なる場合は、モータ回転軸方向のコイル端子取り出し側から視て、コイル端子部を出発点とするヘリカル巻シート状コイル3の周回方向が、ヘリカル巻きの巻き方向と逆方向になるようにステータコアに取付けられていると好適である。一方、ヘリカル巻シート状コイル3がステータコアの外周側から取付けられる場合及び/又はヘリカル巻シート状コイル3の周回が多重のときにステータコアの径方向外側に巻き重なる場合は、モータ回転軸方向のコイル端子取り出し側から視て、コイル端子部を出発点とするヘリカル巻シート状コイル3の周回方向が、ヘリカル巻きの巻き方向と同じ方向になるようにステータコアに取付けられていると好ましい。
これにより、コイル素線端部及びコイル端子部をステータコアのスロット径方向端部に配置することができるので、コイル素線端部及びコイル端子部をコイル端部20a、20bと交差しないように引回すことができ、回転電機を小型化することができる。ここで、コイル素線端部とは、相端子(5TU〜5TW)側において、コイルユニット1aとコイルユニット1bとを接続するコイル導体部分をいう。コイル端子部とは、相端子(5TU〜5TW)とコイルユニット1aとを接続するコイル導体部分をいう。
(第2変形形態)
図11は、ヘリカル巻シート状コイルがステータコアの軸方向に巻き重ねられているモータコイルを模式的に示す図である。本変形形態では、2層からなるヘリカル巻シート状コイル3がステータコアの軸方向に巻き重ねられて、モータコイルが形成されている。本変形形態のモータコイルは、ロータ及びステータが同軸上に配されるアキシャル型の円筒状モータに用いることができる。
(第3変形形態)
図12は、ステータコアへの取り付け周毎にヘリカル巻シート状コイルが変形されているモータコイルを模式的に示す図である。(a)及び(b)は、モータコイルの軸方向視断面を示し、(c)及び(d)は、ステータコアのスロット部分の軸方向視断面を示している。
同図(a)は、ヘリカル巻シート状コイル3を複数枚(図では2枚)積層して、その両端部31、32を適宜接続して、モータとして作動するうえで電磁気的に有効な向きに電流が流れるように形成された同芯円筒状のモータコイルを示している。同図(b)は、ヘリカル巻シート状コイル3がステータコアの径方向に巻き重ねられて(図では2周)形成された円筒状のモータコイルを示している。円筒状のモータコイルは、内周側と外周側とでは円周が異なるので、ステータコアへの取り付け周によって、必要なコイル長は異なる。また、平行磁極を形成するスロットに同一断面形状のモータコイルを取り付けると、取り付ける円周によって、コイル辺部10a、10bの占積率が異なる。
本変形形態では、ヘリカル巻シート状コイル3のコイル辺ピッチ、コイル端部の高さ及びコイル辺部の断面形状が取り付け周毎に異なっている。コイル辺ピッチとは、波巻きされる1相の往き導体部11a及び還り導体部12a間の距離又は1相の往き導体部11b及び還り導体部12b間の距離をいう。コイル端部の高さとは、コイル端部20aの巻き曲げ部21aから往き導体部11a及び還り導体部12aの同一側端部を結ぶ直線までの距離又はコイル端部20bの巻き曲げ部21bから往き導体部11b及び還り導体部12bの同一側端部を結ぶ直線までの距離をいう。本変形形態では、コイル辺部10a、10bの断面形状は、等断面積のもとに断面形状を変更するのが好ましい。本変形形態では、コイル辺ピッチ又はコイル端部の高さを取り付ける円周に合わせて形成することにより、取り付け周毎にコイル長を適切にすることができる。また、ステータコアとコイルの組付け作業に応じて調整ができるので、回転電機を小型化、低コスト化することができる。
平行磁極を形成するスロットにモータコイルを取り付けるときには、同図(c)又は(d)に示すように、磁極歯部40の形状に合わせて、取り付け周毎にコイル辺部10a、10bの断面形状を等断面積のもとに変更することができる。コイル辺部10a、10bの断面形状は、同図(c)又は(d)に示す長方形又は台形をはじめ、任意の形状とすることができる。また、巻線に並列細線を用いる場合は、磁極歯部40の形状に合わせて、細線の配列を変更することもできる。これにより、コイル辺部10a、10bにおける占積率を高めることができる。なお、ヘリカル巻シート状コイル3は、シート厚さ方向に2層(2本のコイル導体)に形成されているが、2本のコイル導体の断面形状は略同一とし、ヘリカル巻シート状コイル3の取り付け周毎にコイル導体の断面形状を変更しても良い。
本変形形態では、コイル辺ピッチ、コイル端部の高さ及びコイル辺部の断面形状の全てが取り付け周毎に異なっているが、モータ仕様に合わせて、これらのうちの少なくともひとつを取り付け周毎に変えることもできる。さらに、本変形形態では、コイル端部20a、20bの断面形状は、巻き曲げ部21a、21b近傍がコイルユニット1a、1b間で共通になっている。そのため、コイル端部20a、20bは、周方向の略中央部分が同形状になっているので、略中央部分にて構成導体毎に整列させることができ、コイル端部20a、20bをコンパクトにすることができる。
(3)ヘリカル巻シート状コイルの固定方法
図13は、並列細線からなるヘリカル巻シート状コイルを半閉スロットのステータコアに固定する手順を示す説明図である。本実施形態では、2枚のヘリカル巻シート状コイル3、3を1枚ずつ順に半閉スロットのステータコアに挿入して固定する。したがって、スロット内には、4層のコイル辺部10a、10b、10a、10bが積層される。
同図(a)に示すように、コイル辺部10a、10bがスロット開口部41を通過するときに、コイル辺部10a、10bのみをヘリカル巻シート状コイル3の厚さ方向に略90度回転させる。そして、下層側のコイル辺部10aをスロット方向に移動させて、スロット内に挿入する。下層側のコイル辺部10aをスロット内に挿入するときに、上層側のコイル辺部10bをスロット開口部41上に移動させて、上層側のコイル辺部10bをスロット内に挿入する。コイル辺部10a、10bがスロット開口部41を通過した後は、上述の回転方向と逆方向に略90度コイル辺部10a、10bを回転させてスロット底部42に配する。これにより、1枚のヘリカル巻シート状コイル3がスロット内に配される。
次に、2枚目のヘリカル巻シート状コイル3をスロット内に挿入する。同図(b)に示すように、1枚目と同様にコイル辺部10a、10bがスロット開口部41を通過するときに、コイル辺部10a、10bのみをヘリカル巻シート状コイル3の厚さ方向に略90度回転させる。そして、下層側のコイル辺部10aをスロット方向に移動させて、スロット内に挿入する。スロット開口部41を通過させた後、下層側のコイル辺部10aを上述の回転方向と逆方向に略90度回転させて1枚目のヘリカル巻シート状コイル3の上に積置する。上層側のコイル辺部10bは、スロット内に空隙が少なく、スロット内で細線を回転させることができないので、スロット開口部41を通過するときに、細線の配列を変更する。同図(b)に示すように、ステータの径方向に細線番号1、3の順に細線を並び変え、細線番号2の細線は、細線番号3に隣接してステータの周方向に配列する。細線番号1、3の細線がスロット開口部41を通過した後、逆方向に略90度回転させて下層側と同じ細線番号の位置に上層側の細線番号1、3の細線を積置する。最後に、細線番号2の細線を逆方向に略90度回転させて下層側と同じ細線番号2の位置に積置する。
2枚目のヘリカル巻シート状コイル3の上層側のコイル辺部10bは、同図(c)に示す方法によって、スロット内に挿入することもできる。同図(c)に示す方法は、細線をヘリカル巻シート状コイル3の厚さ方向に回転させない。磁極歯部40の側壁側に配される細線番号1、3の細線がそれぞれスロット開口部41を通過してスロット内に積置された後、残る細線番号2の細線をスロット内に挿入して積置する。以上のことは、コイル辺部10a及び10bの積層順が逆の場合についても同様に言える。
また、本実施形態では、並列細線は、相対的な位置関係が保持できるように、コイル端部20a、20bの巻き曲げ部21a、21b近傍で細線同士が相互に固定されている。細線の固定は、ワニスの含浸、樹脂モールド等によって行うことができる。並列細線は、コイル端部20a、20bの一部又は全部において相互に固定することが望ましい。これにより、コイル辺部10a、10bのスロット内への挿入及び固定が容易になる。本図では、説明の便宜上、図8に示す素線数が3本の並列細線について説明したが、細線数が増減しても3本の場合と同様に細線をスロット内に挿入配置することができる。
なお、インナーロータを備える円環状のステータコアにヘリカル巻シート状コイル3を固定する場合には、まず、ヘリカル巻シート状コイル3を渦巻き状に巻き上げて、ステータコアの内周側に収容し、渦巻き状ヘリカル巻シート状コイル3の外周側シートから巻きほどきながらステータコアに取り付ける。また、渦巻き状ヘリカル巻シート状コイル3の全てをステータコアの内周側に収容することができない場合は、収容できない部分又は全てをステータコアの軸方向端部の外側より、平面状ヘリカル巻シート状コイルにて供給して、渦巻き状に巻きとりつつ、ステータコアに取り付けても良い。
(4)その他
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。また、本発明は、波巻き巻装方式の種々の回転電機に用いることができ、例えば、車両用モータや家庭用電器に用いられるモータあるいは一般的な産業用機械を駆動するモータに用いることができる。
1a、1b:コイルユニット
10a、10b:コイル辺部
11a、11b:往き導体部
12a、12b:還り導体部
20a、20b:コイル端部
21a、21b:巻き曲げ部
3:ヘリカル巻シート状コイル
4a、4b:コイル要素
5U1、5U2、5V1、5V2、5W1、5W2:相単位コイル
6U、6V、6W:相コイル

Claims (12)

  1. ステータコアの各スロットに交互に挿通される往き導体部及び還り導体部からなるコイル辺部と、前記コイル辺部と一体に形成されて前記往き導体部及び前記還り導体部の同一側端部を接続するコイル端部と、を有するコイル導体がヘリカル状につながり波巻き構成となるようにしたヘリカル巻シート状コイルであって、
    前記コイル辺部は、可動子磁極の移動方向に対して略直交する方向に直線状に、厚さ方向に2層に形成されており、
    前記コイル端部は、前記2層の異なる層に配される前記往き導体部及び前記還り導体部を波巻き方向に順に接続してコイル要素を形成し、
    同一スロット内で隣接する前記コイル要素を一対として、前記コイル要素が2磁極ピッチ毎に前記可動子磁極の移動方向に配されて接続される一対のコイルユニットが互いに直列接続されて相単位コイルを形成し、
    同相の電磁気的に位相の異なる前記相単位コイルが直列接続されていることを特徴とするヘリカル巻シート状コイル。
  2. 前記可動子磁極の移動方向の隣接するコイル辺部間は、前記ステータコアの磁極歯部を収容可能に離間されている請求項1に記載のヘリカル巻シート状コイル。
  3. 前記コイルユニットは、複数の細線を並列に配列した並列細線からなる請求項1又は2に記載のヘリカル巻シート状コイル。
  4. 前記細線同士が交差しないように巻装されている請求項3に記載のヘリカル巻シート状コイル。
  5. 前記並列細線を前記コイル端部の一部又は全部において相互に固定して、
    スロット開口部を通過する際にコイル辺部の細線の向き及び/又は配列を変えて、前記スロット開口部を通過させた後にスロット内で前記細線の向き及び/又は配列を元に戻す請求項3又は4に記載のヘリカル巻シート状コイルの固定方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルを前記可動子磁極の移動面に対して垂直方向に複数枚積層して、モータとして作動するうえで電磁気的に有効な相構成となるように配列して直列接続又は並列接続されているモータコイル。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルを前記可動子磁極の移動面に対して垂直方向に複数枚積層して、前記可動子磁極の移動方向にスキュー相当分の位相差を設けて配列して直列接続されているモータコイル。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルが前記ステータコアの径方向に巻き重ねられているモータコイル。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルが前記ステータコアの内周側から取付けられる場合及び/又は請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルの周回が多重のときに前記ステータコアの径方向内側に巻き重なる場合において、
    モータ回転軸方向のコイル端子取り出し側から視て、コイル端子部を出発点とする前記ヘリカル巻シート状コイルの周回方向は、ヘリカル巻きの巻き方向と逆方向になるように前記ステータコアに取付けられている請求項8に記載のモータコイル。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルが前記ステータコアの外周側から取付けられる場合及び/又は請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルの周回が多重のときに前記ステータコアの径方向外側に巻き重なる場合において、
    モータ回転軸方向のコイル端子取り出し側から視て、コイル端子部を出発点とする前記ヘリカル巻シート状コイルの周回方向は、ヘリカル巻きの巻き方向と同じ方向になるように前記ステータコアに取付けられている請求項8に記載のモータコイル。
  11. コイル辺ピッチ、前記コイル端部の高さ及び前記コイル辺部の断面形状のうちの少なくともひとつは、ステータコアへの取り付け周毎に異なり、
    前記コイル端部の断面形状は、前記コイルユニット間で共通の形状部分を有する請求項6〜10のいずれか1項に記載のモータコイル。
  12. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘリカル巻シート状コイルが前記ステータコアの軸方向に巻き重ねられているモータコイル。
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