JP2013126993A - 治療ワクチン - Google Patents

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Abstract

【課題】アミロイドーシスを含む、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質に起因するかまたはそれに関連した疾患および障害の治療において、治療および診断上使用するための方法および組成物の提供。
【解決手段】非常に特異的かつ非常に効果的な免疫応答を、生物、詳細には動物、詳細には哺乳動物またはヒトにおいて誘発する新規な方法および組成物を提供し、これは、例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群であり、続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスまたはアミロイドーシスに付随する症状を、予防または軽減することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、アルツハイマー病などの、アミロイドタンパク質に関連した障害および異常の一群であるアミロイドーシスを含む、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質に起因するかまたはそれに関連した疾患および障害の治療において治療および診断上使用するための方法および組成物に関する。
アミロイドーシスとは単一の疾患実態ではなく、むしろ体組織の1つまたは複数の器官に蓄積する、アミロイドと称される蝋状の澱粉様タンパク質の細胞外組織沈着を特徴とする進行性疾患過程の多様な群である。アミロイド沈着物が形成されるにつれて、これは器官または体組織の正常な機能を妨げ始める。少なくとも15種類の異なるアミロイドーシスが存在する。主要な型は、公知の前歴のない原発性アミロイドーシス、いくつかの他の病態に続く続発性アミロイドーシス、および遺伝性アミロイドーシスである。
続発性アミロイドーシスは、結核、家族性地中海熱と称される細菌感染症、骨感染症(骨髄炎)、関節リウマチ、小腸の炎症(肉芽腫性回腸炎)、ホジキン病、およびハンセン病などの慢性感染症または炎症性疾患を有する人に起こる。
アミロイド沈着物は典型的に3つの成分を含む。アミロイド物質の約90%を占めるアミロイドタンパク質原線維は、いくつかの異なる種類のタンパク質のうちの1つを含む。これらのタンパク質は、コンゴレッドに対する結合部位を示してアミロイドタンパク質の独特の染色特性をもたらす独特なタンパク質立体配置である、いわゆる「βプリーツ」シート原線維に折りたたまれ得る。さらに、アミロイド沈着物は、正常な血清アミロイドP(SAP)に関連した糖タンパク質であるアミロイドP(5角形)成分(AP)、および結合組織の複合糖質である硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)と密接に会合している。
多くの加齢疾患はアミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連しており、一部に、発症および疾患の進行に寄与するアミロイドまたはアミロイド様物質の細胞外沈着物の形成を特徴とする。これらの疾患には、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害が含まれるが、これに限定されない。進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患。
これらの疾患の病因は多様であると考えられるが、その特徴的な沈着物は多くの共通した分子成分を含む場合が多い。かなりの程度で、これは炎症誘発性経路の局所的活性化に起因し、そのため活性化補体成分、急性期反応物質、免疫調節因子、および他の炎症性メディエータの同時沈着を引き起こし得る(McGeer et al., 1994)。
アルツハイマー病(AD)は、脳におけるタンパク質の異常な沈着物の蓄積であるアミロイド斑に起因すると主に考えられている神経障害である。罹患個体の脳で認められる最も頻度の高いアミロイドの種類は、主にAβ原線維から構成されている。科学的証拠から、斑におけるβアミロイドタンパク質の生成および蓄積の増加によって神経細胞死が起こり、これがアルツハイマー病の発症および進行に寄与することが実証されている。そして機能上重要な脳領域における神経細胞が喪失することで、神経伝達物質の減少および記憶障害が起こる。斑の形成に主に関与するタンパク質には、アミロイド前駆体タンパク質(APP)および2種類のプレセニリン(プレセニリンIおよびプレセニリンII)が含まれる。大部分の細胞において構成的に発現し異化されるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の、酵素βおよびγセクレターゼによる連続的な切断により、39〜43アミノ酸のAβペプチドが放出される。APPの分解により、斑において凝集する傾向が強くなる可能性が高い。特にAβ(1〜42)断片は、そのC末端における非常に疎水性の高い2つのアミノ酸残基にために、凝集物を形成する傾向が高い。したがってAβ(1〜42)断片は、アルツハイマー病における老人斑形成の開始に主に関与しその原因であって、そのため高い病理学的素質を有すると考えられている。したがって、アミロイド斑形成を標的として、これを拡散させ得る特異的抗体の必要性が存在する。
アルツハイマー病の症状は緩やかに現れ、初発症状は軽度の健忘症に留まり得る。この段階で、個体は、最近の出来事、行動、家族または物の名前を忘れる場合があり、また簡単な算数の問題を解けなくなる場合がある。疾患の進行に伴い、症状は容易に目に付くようになり、アルツハイマー病患者またはその家族が医学的処置を求めるほど重度となる。アルツハイマー病の中期症状には、身繕いなどの簡単な課題のやり方を忘れることなどが含まれ、話すこと、理解すること、読むこと、または書くことに問題が生じる。後期のアルツハイマー病患者は不安または攻撃的になる場合があり、家を出て徘徊する恐れもあり、最終的には全面看護が必要となり得る。
現在、アルツハイマー病を診断する唯一の明確な方法は、個体の死後の剖検において脳組織中の斑およびもつれを同定することである。したがって医師は、人が生存している間は、アルツハイマー病の「疑いがある」、または「ほぼ確実に」アルツハイマー病であるという診断を下せるに過ぎない。現在の方法では、医師は、「ほぼ確実な」アルツハイマー病を診断するためのいくつかの手段を用いて、最大90パーセント正しくアルツハイマー病を診断することができる。医師は、人の全般的健康状態、病歴、および日常活動を行う上で経験した過去の困難に関する質問を行う。記憶、問題解決、注意、計算、および言語に関する行動試験によって認知障害に関する情報が得られ、また血液、尿、または髄液の検査などの医学的検査、および脳スキャンによって、さらなる情報がいくつか得られ得る。
アルツハイマー病の管理は、薬物療法に基づく治療、および薬物療法を行わない治療からなる。疾患の基礎過程の変化(進行の遅延または逆転)を目的とした治療は、これまでほとんど成功していない。コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)など、神経細胞の化学的伝達物質(神経伝達物質)の欠損(欠陥)または機能不全を回復させる薬物は、症状を改善することが示されている。薬物療法はまた、アルツハイマー病の精神的徴候に対処するためにも利用できる。
タクリンおよびリバスチグミンなどのコリンエステラーゼ阻害薬は、現在のところ、アルツハイマー病の治療に関してFDAによって認可されている唯一の種類の薬剤である。これらの薬剤は、脳内の化学的神経伝達の欠陥または機能不全を回復させる薬物である。ChEIは、神経伝達物質の酵素分解を妨げることで、脳内の神経シグナルの伝達に利用され得る化学的伝達物質の量を増加させる。
この疾患の初期および中期の一部の患者に関して、薬物タクリン(COGNEX(登録商標)、ニュージャージー州、モリスプレーンズ)、ドネペジル(ARICEPT(登録商標)、日本、東京)、リバスチグミン(EXELON(登録商標)、ニュージャージー州、イーストハノーバー)、またはガランタミン(REMINYL(登録商標)、ニュージャージー州、ニューブランズウィック)は、いくつかの症状が悪化するのを一定期間防ぐのに役立ち得る。別の薬物、メマンチン(NAMENDA(登録商標)、ニューヨーク州、ニューヨーク)は、中程度〜重度のアルツハイマー病の治療に関して認可されている。また、いくつかの薬物は、不眠、激越、徘徊、不安、および抑うつなど、アルツハイマー病の行動症状を抑えるのに役立ち得る。これらの症状を治療することで、多くの場合、患者は落ち着き、介護者にとっては患者の介護が容易になる。しかし残念なことに、この種類の薬剤が一貫してプラセボより有効であることを示す治療上の進歩は大きいものの、疾患は進行し続け、精神機能に対する平均的な効果はわずかに過ぎない。またChEIには、胃腸障害、肝毒性、および体重減少を含む副作用もある。
アルツハイマー病で起こる脳の異常に関する理解が進むことは、疾患の経過および進行の変化により焦点を当てた新たな治療標的の枠組みをもたらす上で望ましい。抗炎症薬を含む多くの化合物に関する研究が活発に行われている。ロフェコキシブおよびセレコキシブなどの特異的シクロオキシゲナーゼ阻害薬(COX-2)を用いた臨床試験も進行中である。
アミロイド様タンパク質の蓄積および沈着に基づくかまたはこれと関連した他の疾患には、軽度認知障害、レビー小体型認知症(LBD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、封入体筋炎(IBM)、および黄斑変性症、特に加齢性黄斑変性症(AMD)がある。
軽度認知障害(MCI)とは、わずかであるが無視できない記憶障害として最も一般的に定義される総称である。MCI患者は、正常通り加齢が予測される人よりも多くの記憶障害を経験するものの、判断または推論の障害など、認知症の他の症状を示すことはない。MCIは、ADの発症前段階を示すことの多い状態である。
嗅内皮質(EC)におけるβアミロイドの沈着は、高齢者における軽度認知障害(MCI)の発症に重要な役割を果たすと考えられている。これは、ADが臨床的に明白になった時点で、CSF-A Aβ(1〜42)レベルが減少するという知見と一致している。CSF-Aβ(1〜42)とは対照的に、CSF-τレベルはMCI段階で顕著に増加し、この値はその後も上昇し続け、CSF-τレベルの増加が、ADの発症が予測されるMCI対象の検出に役立ち得ることが示される。
レビー小体型認知症(LBD)は、65歳を超える人に起こり得る神経変性疾患であり、典型的に認知(思考)障害および異常な行動変化の症状を引き起こす。症状には、認知障害、神経学的徴候、睡眠障害、および自律神経不全症が含まれ得る。認知障害は、大部分の症例におけるLBDの主特性である。患者は、次第に悪化する錯乱の再発エピソードを経験する。認知能力の変動は、注意力および覚醒の変わりやすさの程度と関連している場合が多い。認知障害および思考の変動は、分、時間、または日にち単位で変動し得る。
レビー小体は、リン酸化および非リン酸化神経フィラメントタンパク質から形成される;レビー小体は、シナプスタンパク質α-シヌクレイン、および損傷または異常タンパク質の除去に関与するユビキチンを含む。レビー小体に加えて、神経細胞の細胞突起における封入体であるレビー神経突起もまた存在し得る。DLB罹患患者の脳においてアミロイド斑が生じ得るが、その数はアルツハイマー病患者において見られる数よりも少ない傾向がある。ADの他の微小病理学的特徴である神経原線維のもつれは、DLBの主な特徴ではないものの、アミロイド斑に加えて存在する場合が多い。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位および下位運動ニューロンの変性を特徴とする。一部のALS患者には、認知症または失語症も存在し得る(ALS-D)。認知症は最も一般的には前頭側頭型認知症(FTD)であり、これらの症例の多くは、前頭葉および側頭葉の歯状回および表面層のニューロン中にユビキチン陽性、τ陰性封入体を有する。
封入体筋炎(IBM)は、通常50歳を超える人に認められる麻痺疾患であり、筋線維が炎症を起こし萎縮し始めるが、脳は被害を受けず、患者は完全な知性を保持する。高齢者に最もよく見られるこの進行性筋疾患を患う患者の筋細胞の内部では、アミロイドβタンパク質の生成に関与する2種類の酵素が増加しており、アミロイドβもまた増加することが認められた。
アミロイド様タンパク質の蓄積および沈着に基づくかまたはこれと関連した別の疾患には、黄斑変性症がある。
黄斑変性症は、網膜(感光性細胞が視覚信号を脳に送る、眼の後ろ側の紙のように薄い組織)の中央領域である黄斑の悪化を引き起こすよく見られる眼疾患である。鋭く明瞭な「真っすぐな」視覚は、黄斑によって処理される。黄斑に損傷が起こると、盲点が生じ、視覚がぼやけるかまたは歪む。加齢性黄斑変性症(AMD)は米国における視力障害の主な原因であり、65歳を超える人に関しては白人における法的盲の主な原因である。40歳以上のアメリカ人約180万人が進行性AMDに罹患しており、さらなる中度AMD患者約730万人が視力喪失の実質的リスクを有している。2020年までに、進行性AMD患者は290万人に上ると政府は推定している。AMDの被害者は、この盲目病態の原因および治療についてほとんどわかっていないことに気づき、驚き失望することが多い。
黄斑変性症には、非滲出型黄斑変性症および滲出型黄斑変性症の2つの型がある。黄斑変性症症例の85パーセントが非滲出型と診断され、非滲出型では黄斑の細胞がゆっくりと破壊し始める。通常は両眼が非滲出型AMDに罹患するが、一方の眼が視力を失い、他方の眼が罹患しない場合もある。網膜下の黄色沈着物であるドルーゼンは、非滲出型AMDの一般的な初期徴候である。進行性非滲出型AMDまたは滲出型AMDの発症リスクは、ドルーゼンの数または大きさの増加に伴って高まる。非滲出型AMDが進行し、滲出型疾患に変化せずに視力喪失を引き起こすこともあり得る;しかしまた、初期非滲出型AMDが滲出型に突然変化することもあり得る。
滲出型は症例の15パーセントを占めるに過ぎないが、失明を90パーセント引き起こし、進行性AMDと見なされる(滲出型AMDに初期および中期は存在しない)。滲出型AMDには常に、非滲出型疾患が先行する。非滲出型が悪化するにつれて、一部の患者では黄斑の後方で異常な血管増殖が起こり始める。これらの血管は非常に脆弱であり、体液および血液を漏出させ(したがって「滲出型」黄斑性変性症という)、黄斑に急速に損傷を引き起こす。
非滲出型のAMDでは、最初は視覚がわずかにぼやける場合が多い。次いで特に視野の中心がぼやけ始め、疾患の進行に伴ってこの領域が大きくなっていく。一方の眼のみが罹患した場合には、症状に気付かない場合もある。滲出型AMDでは、直線が波打って見える場合があり、中心視力の喪失が急速に起こり得る。
黄斑変性症の診断は典型的に、拡張した眼の検査、視力検査、およびAMDの診断に役立つ眼底検査と称する手順を用いた眼の裏側の検査を含み、滲出型AMDが疑われる場合には、蛍光眼底血管造影を行う場合もある。非滲出型AMDが進行期に達した場合、視力喪失を防ぐ治療法は現在存在しない。しかし、抗酸化剤および亜鉛の特異的高用量処方によって、中期AMDの進行期への進行を遅らせるまたは妨げることができる。Macugen(登録商標)(ペガプタニブナトリウム注射剤)、レーザー光凝固術、および光線力学療法は、黄斑における異常な血管増殖および出血を制御することができ、一部の滲出型AMD患者に有益である;しかし、既に失われた視力はこれらの技法により回復されることはない。既に視力が失われた場合には、生活の質の改善を助け得る低視力補助具が存在する。
加齢性黄斑変性症(AMD)の初発徴候の1つは、網膜色素上皮(RPE)の基底膜とブルッフ膜(BM)との間のドルーゼンとして知られる細胞外沈着物の蓄積である。Andersonらによって行われた最近の研究から、ドルーゼンがアミロイドβを含むことが確認された(Experimental Eye Research 78 (2004) 243-256)。
進行中の研究は、AMDに寄与し得る環境要因、遺伝要因、および食事要因を調べる研究を継続している。新たな治療戦略もまた探索が続けられており、これには網膜細胞移植、疾患の進行を防ぐまたは遅延させる薬物、放射線療法、遺伝子療法、視力の促進を助け得る網膜に移植するコンピュータチップ、および黄斑下の新たな血管増殖を防ぐ薬剤が含まれる。
したがって必要であるのは、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスに伴う合併症を解決するための効果的な治療ワクチン組成物および方法である。特に必要であるのは、アミロイドまたはアミロイド様ペプチドの線維の凝集と関連した斑の形成などの疾患の生理学的徴候に対抗可能な特殊化したかつ非常に効果的な治療ワクチン、およびそのようなワクチンを含む組成物である。
本発明は、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスまたはアミロイドーシスに付随する症状を予防または軽減し得る、非常に特異的でありかつ非常に効果的な免疫応答を生物、詳細には動物、詳細には哺乳動物またはヒトにおいて誘発する、新規な方法および組成物を提供する。
特に本発明は、アミロイド関連疾患または病態を呈する哺乳動物において、認知記憶能を保持または改善する、詳細には回復させる、より詳細には完全に回復させる、新規な方法および組成物を提供する。
本発明の目的は、AβペプチドのN末端部分に由来するペプチド断片、詳細にはAβペプチドのN末端部分に由来する単一のまたは反復した一続きの13〜15個の連続したアミノ酸残基からなるAβペプチド断片、詳細にはAβペプチドのN末端部分に由来する残基1〜15、1〜14、および1〜13からなる群より選択されるアミノ酸残基、より詳細にはその機能的に等価な断片も含めた配列番号:1に示す残基1〜15からなるAβペプチド断片、特に例えばリポソームなどの担体粒子/アジュバントに結合しているか、またはその中に取り込まれたもしくは再構成された本明細書に上記のAβペプチド断片を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスを含む、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質に起因するかまたはそれに関連した疾患および障害、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態を治療するための治療ワクチン組成物、およびそのような組成物を作製する方法を提供することである。
この連続した一続きの13〜15アミノ酸残基は、AβペプチドのN末端断片1〜16、1〜17、1〜18、または1〜20から、詳細にはそれぞれ配列番号:2および配列番号:5に示すAβペプチドのN末端断片1〜16または1〜17から得ることができ、一続きの13〜15アミノ酸残基を得るために1〜3アミノ酸残基の欠失により中断させることができ、欠失させるアミノ酸残基は隣接したアミノ酸残基、または少なくとも1アミノ酸残基によって相互に隔てられた残基であってよく、詳細には抗原ペプチド分子の全体的な正味電荷が負であることを所望する場合には、負に荷電した残基ではないアミノ酸残基、または抗原ペプチド分子の全体的な正味電荷が正であることを所望する場合には、正に荷電していないアミノ酸残基であってよい。この連続した一続きの13〜15アミノ酸残基は、本発明による抗原性構築物中で2〜50回、詳細には2〜30回、より詳細には2〜20回、さらにより詳細には2〜16回、特に2〜10回反復してよい。
本発明の特定の態様において、連続した一続きの13〜15アミノ酸残基は、2-mer、3-mer、4-tramer、5-mer、6-mer、7-mer、8-mer、9-mer、10-mer、11-mer、12-mer、13-mer、14-mer、15-mer、16-mer、20-mer、30-mer、および50-merからなる群より選択されるポリマーの形態で使用する。
さらなる態様において、本発明は、AβペプチドのN末端部分に由来するAβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるAβペプチド断片、より詳細には配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるAβペプチド断片を使用する、本明細書において以下にさらに明示するような、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスを含む、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質に起因するかまたはそれに関連した疾患および障害、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態を治療するための治療ワクチン組成物、およびそのような組成物を作製する方法を提供する。
上記の断片と本質的に同一であり、そのような断片と実質的に同じ生物活性を有するペプチド断片、詳細には変更によって1つまたは複数のアミノ酸、詳細には1〜10アミノ酸、より詳細には1〜6アミノ酸、さらにより詳細には1〜4アミノ酸、特に1〜3アミノ酸の化学的に類似したアミノ酸による置換が生じる、そのような断片の保存的改変変種であるペプチド断片もまた、本発明に含まれる。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は当技術分野において周知であり、本明細書において以下に開示する。保存的置換は好ましくは、ペプチドの全体的な正味電荷およびペプチド分子の電荷分布が本質的に同じ状態のままであるように行う。
本発明の特定の態様においては、負荷電アミノ酸残基1、3、7、11位の少なくとも1つ、詳細には2つ、より詳細には3つ、またはさらにはすべてを、化学的に類似した負荷電アミノ酸で置換することができる。詳細には、1および7位のAspをそれぞれGluで置換することができ、9および11位のGluをそれぞれAspで置換することができる。
本発明の特定の態様においては、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスを含む、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質に起因するかまたはそれに関連した疾患および障害、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態を治療するための、AβペプチドのN末端部分に由来するAβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるAβペプチド断片、Aβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはAβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるAβペプチド断片を含む治療ワクチン組成物、およびそのような組成物を作製する方法を提供する。
特定の態様において、本発明は、AβペプチドのN末端部分に由来するAβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるAβペプチド断片、詳細にはAβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはAβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるAβペプチド断片を使用する、記憶障害を患う動物、詳細には哺乳動物またはヒトの認知記憶能を保持または改善する、詳細には完全に回復させるための治療ワクチン組成物および治療ワクチン組成物を作製する方法を提供する。
本発明の目的はまた、本明細書に記載の本発明によるワクチン組成物を動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与することにより、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスを含む、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質に起因するかまたはそれに関連した疾患および障害、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態を治療する方法を提供することである。
特定の態様において、本発明は、本明細書に記載の本発明によるワクチン組成物を動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与することにより、記憶障害を患う動物、詳細には哺乳動物またはヒトの認知記憶能を保持するまたは増加させる、詳細には認知記憶能を完全に回復させる方法を提供する。
本発明のさらなる目的は、バランスのとれた比率のαヘリックスおよび/またはβシートおよび/またはランダムコイル部分を特徴とする明確な高次構造を維持および安定化し、治療する動物において非常に特異的な免疫応答を誘導し得るように修飾された、本明細書に上記した本発明によるAβペプチド抗原、詳細にはAβペプチドのN末端部分に由来するAβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるAβペプチド断片、詳細にはAβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはAβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるAβペプチド断片を使用する、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスを含む、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質に起因するかまたはそれに関連した疾患および障害、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態を治療するための治療ワクチン組成物、およびそのような組成物を作製する方法、ならびにそのような疾患および障害を治療する方法を提供することである。
本明細書に上記した本発明によるワクチン組成物は、動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに投与した際に、主に例えばアイソタイプIgG1およびIgG2bなどの非炎症性Th2サブタイプの抗体、および/もしくは例えばIgG3などのT細胞非依存性IgGサブクラスの抗体の産生をもたらし、ならびに/または脳において炎症マーカー、詳細にはIL-1β、IL-6、IFN-γ、およびTNFαからなる群より選択される炎症マーカーの有意な増加を引き起こさない。
本発明のさらなる態様において、本明細書に上記した本発明によるワクチンは、動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに投与した際に、脳において斑に関連した不溶性Aβ1〜40およびAβ1〜42の有意な減少を引き起こす。
本発明のさらなる態様において、本明細書に上記した本発明によるワクチンは、動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに投与した際に、脳において可溶性Aβ1〜42のレベルの有意な低下を引き起こす。
認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与した際に、認知記憶能の保持の増加をもたらす、本明細書に上記した本発明によるワクチンをさらに提供する。本発明はさらに、認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与した際に、認知記憶能の完全な回復をもたらす、本明細書に上記した本発明によるワクチンに関する。
特に、本明細書に上記した本発明によるAβペプチド抗原、具体的にはAβペプチドのN末端部分に由来するAβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるAβペプチド断片、詳細にはAβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはAβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるAβペプチド断片は、例えば小胞、粒子体または粒子状分子などの担体、詳細にはリポソームに結合する、またはその中に取り込まれるかもしくは再構成されて、提示される。
本発明の免疫原性組成物は、本発明による精製もしくは部分精製されたまたは修飾された抗原ペプチドの存在下で、リポソームを再構成することによって作製されたリポソームを含み得る。さらに、ペプチド断片をリポソーム中に再構成することができる。本発明はまた、抗原性が増加するように修飾された抗原ペプチド断片を含む。例えば、抗原部分およびアジュバントをペプチドに結合させるかまたはこれと混合することができる。抗原部分およびアジュバントの例には、これらに限定されないが、親油性ムラミルジペプチド誘導体、非イオン性ブロックポリマー、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムアジュバント、およびそれらの混合物が含まれる。
本発明の別の態様においては、本明細書に上記した本発明によるAβペプチド抗原、具体的にはAβペプチドのN末端部分に由来するAβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるAβペプチド断片、詳細にはAβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはAβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるAβペプチド断片を、リポソーム担体/免疫アジュバントの脂質二重層への挿入を促進する親油性または疎水性部分によって、詳細にはリポソーム二重層内でペプチドのアンカーとして機能し、かつペプチドがリポソーム表面に近接して配置され安定化されるように導く寸法を有する親油性または疎水性部分によって、修飾する。
本発明のさらなる態様において、親油性または疎水性部分は、脂肪酸、トリグリセリド、またはリン脂質、特に脂肪酸の炭素骨格が少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸、トリグリセリド、またはリン脂質である。詳細には、親油性または疎水性部分は、少なくとも約14個の炭素原子でかつ最大約24個の炭素原子の炭素骨格を有する脂肪酸であり、この範囲に入るそれぞれ個々の炭素原子数もまた本発明の一部である。より詳細には、親油性または疎水性部分は、少なくとも14個の炭素原子、特に16個の炭素原子の炭素骨格を有する。疎水性部分の例には、これらに限定されないが、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリル酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸が含まれる。本発明の特定の態様において、親油性または疎水性部分はパルミチン酸である。
本発明のさらなる態様において、疎水性部分はパルミチン酸であり、リポソーム調製物は、例えばリピドA、ミョウバン、リン酸カルシウム、インターロイキン1、ならびに/または多糖およびタンパク質のマイクロカプセルなどのアジュバント、詳細にはモノホスホリルもしくはジホスホリルリピドAなどの無毒化リピドA、またはミョウバンをさらに含み得る。
本発明のさらなる目的は、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスを含む、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質に起因するかまたはそれに関連した疾患および障害を治療するため、詳細には記憶障害を患う動物、詳細には哺乳動物またはヒトの認知記憶能を保持する、増加させる、または回復させるための治療ワクチン組成物、および本明細書に上記した本発明による免疫原性抗原ペプチドを使用してそのような組成物を作製する方法、ならびにそのようなアミロイドーシスを治療する方法を提供することであり、この場合、βアミロイドペプチド抗原は、リジン、グルタミン酸、もしくはシステイン、または抗原ペプチドにパルミトイル残基を結合するのに適切に用いられ得る任意の他のアミノ酸残基のような1つまたは複数、詳細には1つまたは2つの適切なアミノ酸残基を介してペプチド抗原の各末端に結合される、パルミトイル残基、詳細には2〜4個のパルミトイル残基、より詳細には4個のパルミトイル残基の共有結合により修飾された、リポソーム中に再構成された本明細書に上記の本発明によるパルミトイル化Aβペプチド、具体的にはAβペプチドのN末端部分に由来するパルミトイル化Aβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるパルミトイル化Aβペプチド断片、詳細にはパルミトイル化Aβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはパルミトイル化Aβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはパルミトイル化Aβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるパルミトイル化Aβペプチド断片である。
本発明の特定の態様においては、ペプチドの各末端でパルミトイル残基の共有結合によって修飾された2つまたはそれ以上のパルミトイル化Aβペプチド抗原分子を、単一リポソーム中に再構成する。
本発明は、アミロイド関連病態、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与した際に、そのような動物またはヒトにおいて免疫応答を誘導する免疫原性抗原ペプチドを含む新規な方法および免疫原性組成物を提供する。本発明による治療ワクチンによる治療は、認知記憶能の保持または増加、詳細には認知記憶能の完全な回復をもたらす。
本発明の別の目的は、治療した動物またはヒトの認知記憶能が保持されるまたは増加する、詳細には完全に回復するように、例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した動物またはヒトに、本明細書に上記した本発明によるAβペプチド抗原、具体的にはAβペプチドのN末端部分に由来するパルミトイル化Aβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるパルミトイル化Aβペプチド断片、詳細にはパルミトイル化Aβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはパルミトイル化Aβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはパルミトイル化Aβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるパルミトイル化Aβペプチド断片を含む治療ワクチン組成物を投与することにより、そのような動物、詳細には哺乳動物またはヒトにおいて、免疫応答を誘導するための治療ワクチン組成物、および免疫原性抗原ペプチドを使用してそのような組成物を作製する方法、ならびにそのような動物、詳細には哺乳動物またはヒトにおいて免疫応答を誘導する方法を提供することである。
本明細書に上記した抗原ペプチド、具体的にはAβペプチドのN末端部分に由来するAβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるAβペプチド断片、詳細にはAβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはAβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるAβペプチド断片もまた、本発明の一部である。
リジン、グルタミン酸、もしくはシステイン、または抗原ペプチドにパルミトイル残基を結合するのに適切に用いられ得る任意の他のアミノ酸残基など、1つまたは複数、詳細には1つまたは2つの適切なアミノ酸残基を介してペプチド抗原の各末端に結合される、パルミトイル残基、詳細には2〜4個のパルミトイル残基、より詳細には4個のパルミトイル残基の共有結合により修飾された、本明細書に上記した本発明によるパルミトイル化Aβペプチド抗原、具体的にはAβペプチドのN末端部分に由来するパルミトイル化Aβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるパルミトイル化Aβペプチド断片、詳細にはパルミトイル化Aβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはパルミトイル化Aβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはパルミトイル化Aβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるパルミトイル化Aβペプチド断片もまた、本発明の一部である。
本発明の特定の態様においては、ペプチドの各末端でパルミトイル残基の共有結合によって修飾された2つまたはそれ以上のパルミトイル化Aβペプチド抗原分子を、単一リポソーム中に再構成する。
本明細書に上記した、例えば小胞、粒子体、または粒子状分子などの担体、詳細にはリポソームに結合して、またはその中に取り込まれてもしくは再構成されて提示された抗原ペプチド、具体的には本明細書に上記した、例えば小胞、粒子体または粒子状分子などの担体に結合して、またはその中に取り込まれてもしくは再構成されて提示された、AβペプチドのN末端部分に由来するAβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるAβペプチド断片、詳細にはAβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはAβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるAβペプチド断片も、本発明によってさらに含まれる。
特定の仮説によって縛られることを意図しないが、本発明の治療ワクチン組成物によって誘導される免疫応答は、動物またはヒトにおいて免疫原に対するT細胞および他の反応性免疫細胞の刺激を引き起こし得、詳細には一連のβアミロイド抗原の特定のエピトープを特異的に認識しこれと結合する能力を有する非常に特異的でありかつ非常に効果的な抗体の産生を引き起こし得、抗体は治療した動物またはヒトにおいて、抗原に結合して、認知記憶能の保持、増加、および詳細には完全な回復の観察可能な効果を媒介および/または誘導すると想定することは理にかなっている。
本発明はさらに、動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与した際に、治療した動物またはヒトにおいて抗体の産生を誘導するワクチン組成物をさらに提供し、この抗体は、例えばAβ単量体ペプチド1〜39;1〜40、1〜41、1〜42、または1〜43を含む線維などのβアミロイド線維、特にAβ1〜42単量体ペプチドを含む線維に直接かつ特異的に結合し、および/またはβアミロイドタンパク質のエピトープ領域、詳細にはアミノ酸残基aan-aam(nは2〜15、詳細には5〜15、より詳細には8〜15、さらにより詳細には10〜15の整数であり、mは3〜17、詳細には6〜17、より詳細には9〜17、さらにより詳細には11〜17の整数であり、nとmは同じ数字であってはならず、nは常にmよりも小さくなければならず、nとmの差は2である)によって限定されるAβポリペプチドのエピトープ領域内のエピトープを標的化してこれに特異的に結合することによって、アミロイド単量体ペプチド、詳細には例えばAβ単量体ペプチド1〜39;1〜40、1〜41、1〜42、または1〜43などのβアミロイド単量体ペプチド、特にAβ1〜42単量体ペプチドの凝集によって形成される前もって形成された高分子量ポリマーアミロイド原線維またはフィラメントの可溶化を誘導することができる。
本発明の特定の態様において、抗体は、アミノ酸残基1〜10、詳細にはアミノ酸残基1〜9を含むβアミロイドタンパク質のエピトープ領域内のエピトープに結合する。
そのような抗体はまた、可溶性アミロイド単量体およびオリゴマーペプチド、詳細にはAβペプチド1〜39;1〜40、1〜41、1〜42、または1〜43からなる群より選択されるβアミロイド単量体またはオリゴマーペプチド、特にAβ1〜42に特異的に結合し、Aβ単量体またはオリゴマーの高分子量ポリマー原線維への凝集を阻害する。
さらなる態様において、本発明は、凝集阻害、脱凝集、高次構造転移の誘導、4〜16領域、詳細には1〜9領域内のエピトープの認識およびそこへの直接的結合からなる群より選択される特性の少なくとも1つ、特にそのような特性の2つまたはそれ以上の組み合わせを組み入れた抗体、詳細にはモノクローナル抗体を、任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含めて提供する。より具体的には、1〜16および29〜40領域、より詳細には1〜16および22〜35領域に対する混合反応性を示し、それぞれ1〜16および29〜40領域ならびに1〜16および22〜35領域の両領域を認識してそれに結合することができ、かつ本明細書に上記した特性、すなわち凝集阻害、脱凝集、高次構造転移の誘導の少なくとも1つ、特にそのような特性の2つまたはそれ以上の組み合わせを組み入れた抗体、詳細にはモノクローナル抗体を、任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含めて提供する。
本発明によるワクチン組成物によって誘導される抗体であって、免疫した動物またはそのような抗体を産生するハイブリドーマ細胞から得られ得る抗体もまた、本発明の一部である。
特定の態様において、本発明は、本明細書に上記した本発明によるワクチン組成物、詳細にはAβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、特にAβ1〜15ペプチド抗原を含むワクチン組成物で適切な動物を免疫することによって得られる抗体であって、任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含む抗体、詳細には任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含むモノクローナル抗体を提供し、本抗体は、二機能性抗体であり、アミロイド単量体ペプチド、詳細には例えばAβ単量体ペプチド1〜38、1〜39;1〜40、1〜41、1〜42、または1〜43などのβアミロイド単量体ペプチド、特にAβ1〜42単量体ペプチドと同時インキュベートした際に、Aβ単量体の高分子量ポリマー原線維への凝集を阻害し、さらにアミロイド単量体ペプチド、詳細には例えばAβ単量体ペプチド1〜38、1〜39;1〜40、1〜41、1〜42、または1〜43などのβアミロイド単量体ペプチド、特にAβ1〜42単量体ペプチドの凝集によって形成される前もって形成された高分子量ポリマーアミロイド原線維またはフィラメントと同時インキュベートした際に、前もって形成されたポリマーアミロイド原線維またはフィラメントを脱凝集することができる。
特定の態様において、本発明は、Aβ1〜42単量体ペプチドに対する高い特異性を示し、Aβ1〜38、Aβ1〜39、Aβ1〜40、および/またはAβ1〜41単量体ペプチドに対する交差反応性を本質的に示さないかまたはごくわずかに示す抗体、詳細には二機能性抗体、特にモノクローナル抗体、詳細には二機能性モノクローナル抗体を、任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含めて提供し、詳細にはAβ1〜38、Aβ1〜39、Aβ1〜40、Aβ1〜41と比較してアミロイドペプチドAβ1〜42に対して最大で100倍、詳細には50〜100倍、より詳細には80〜100倍、特に100倍感受性が高く、Aβ1〜38と比較してアミロイドペプチドAβ1〜42に対して最大で1000倍、詳細には500〜1000倍、より詳細には800〜1000倍、特に1000倍感受性が高く、ひいてはアミロイド形成性単量体ペプチド、特にアミロイドペプチドAβ1〜42の凝集をインビトロおよびインビボで阻害し得る抗体、特にモノクローナル抗体を、任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含めて提供する。
本発明の別の特定の態様において、アミロイドペプチドAβ1〜42に対する高い結合感受性を有し、最低0.001μgまでの濃度、詳細には0.5μg〜0.001μg、より詳細には0.1μg〜0.001μgの濃度範囲、特に0.001μgの濃度のAβ1〜42線維を検出し得る、任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含めた抗体、詳細には二機能性抗体、特にモノクローナル抗体、詳細には二機能性モノクローナル抗体。
本発明の非常に明確な態様においては、線維量最低濃度0.001μgまでのAβ1〜42線維、および最低濃度0.1μgまでのAβ1〜40線維、および最低濃度1μgまでのAβ1〜38線維を検出し得る抗体、詳細にはモノクローナル抗体を任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含めて提供する。
アミロイド形成性単量体ペプチド、詳細にはアミロイド型(1〜42)に本明細書に上記した本発明による抗体が結合することで、単量体アミロイド形成性ペプチドの高分子量原線維またはフィラメントへの凝集の阻害が起こる。アミロイド形成性単量体ペプチドの凝集の阻害により、本発明による抗体は、アミロイド斑、詳細には高次構造の変化によって不溶性となることおよび罹患動物またはヒトの脳におけるアミロイド斑の主要な部分であることが知られているアミロイド型(1〜42)の形成を妨げるまたは遅延させることができる。
特定の態様において、本発明は、2005年12月8日にDSM ACC2756として寄託したハイブリドーマ細胞株EJ 7H3によって産生される抗体の特有の性質を有する、任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含めたモノクローナル抗体に関する。
より詳細には、本発明は、2005年12月8日にDSM ACC2756として寄託したハイブリドーマ細胞株EJ 7H3によって産生される、任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含めたモノクローナル抗体に関する。
本発明の目的はまた、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシス、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態の影響を予防、治療、または軽減する方法であって、本発明による超分子抗原性構築物、詳細には本発明によるそのような超分子抗原性構築物を含むワクチン組成物を、そのような障害に罹患し、そのためそのような治療を必要とする動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与することによる方法を提供することである。
本発明の別の態様においては、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシス、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態の影響を予防、治療、または軽減するために、そのような障害、疾患、または病態に罹患し、そのためそのような治療を必要とする生物、特に動物またはヒトにおいて免疫応答を誘導するためのワクチン組成物を調製する方法を提供する。
したがって本発明のさらなる態様においては、薬学的に許容される剤形で本発明による抗体を製剤化する段階を含む、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシス、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態の影響を予防、治療、または軽減するための治療ワクチン組成物を調製する方法を提供する。
特定の態様において、本発明は、曝露の増強および好ましい抗原高次構造の安定化をもたらし、最終的に非常に特異的な免疫応答を引き起こし、独特の性質を有する抗体の産生をもたらす抗原提示を利用する。
1つの態様において、本発明は、βアミロイドペプチドのN末端部分の特徴を表す本明細書に上記した本発明によるβアミロイドペプチド抗原であって、抗原の明確な高次構造、詳細にはバランスのとれた比率のランダムコイル、αヘリックス、およびβシート部分を特徴とする高次構造を維持および安定化することができるように修飾された抗原ペプチドを含む超分子抗原性構築物を含む免疫原性組成物を提供する。この明確な高次構造によって、動物またはヒトに導入した際に、強力でかつ非常に特異的な免疫応答の誘導が起こる。
本発明の別の態様において、本発明によるワクチン組成物は、Aβペプチド抗原、詳細には本明細書に上記した本発明のAβペプチド抗原に加えて、補体活性化の阻害剤を含み得る。したがって本発明は、補体系の阻害剤、詳細には可溶型の膜調節タンパク質、補体タンパク質に対するヒト化抗体、補体経路の様々な段階で作用する小分子阻害剤、およびトランスジェニック動物で発現されるヒト補体調節因子からなる群より選択される補体経路の阻害剤と共に、AβペプチドのN末端部分に由来するペプチド断片、詳細には、詳細にはAβペプチドのN末端部分に由来する7〜16個の連続したアミノ酸残基、特に13〜16個の連続したアミノ酸残基の単一のまたは反復した一続きのAβペプチド断片、詳細にはAβペプチドのN末端部分に由来する残基1〜16、1〜15、1〜14、および1〜13からなる群より選択されるアミノ酸残基、より詳細にはその機能的に等価な断片も含めた配列番号:1に示す残基1〜15からなるAβペプチド断片、特に例えばリポソームなどの担体粒子/アジュバントに結合しているか、またはその中に取り込まれたもしくは再構成された本明細書に上記したAβペプチド断片を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスを含む、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質に起因するかまたはそれに関連した疾患および障害、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態を治療するためのワクチン組成物、およびそのような組成物を作製する方法に関する。
この連続した一続きの13〜15アミノ酸残基は、本発明による構築物中で2〜50回、詳細には2〜30回、より詳細には2〜20回、さらにより詳細には2〜16回、特に2〜10回反復してよい。
本発明の特定の態様において、本明細書に上記した治療ワクチン組成物の成分である補体活性化阻害剤は、可溶性ヒト補体受容体1、例えばヒト化抗C5モノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体の一本鎖断片などの抗ヒト補体タンパク質C5、C1エステラーゼ阻害剤N、および天然ヒトC1阻害剤からなる群より選択される化合物である。
Aβペプチド断片、詳細には本発明によるAβペプチド断片に加えて、酸素がその後調節された様式で組織に放出されるように、赤血球においてO2/ヘモグロビン親和性の減少を誘発するアロステリックエフェクターを含む、本明細書に上記した本発明によるワクチン組成物も本発明によってさらに含まれる。
したがって本発明は、酸素がその後器官組織に放出されるように、O2/ヘモグロビン親和性の減少を誘発する化合物と共に、AβペプチドのN末端部分に由来するペプチド断片、詳細には、詳細にはAβペプチドのN末端部分に由来する7〜16個の連続したアミノ酸残基、特に13〜16個の連続したアミノ酸残基の単一のまたは反復した一続きのAβペプチド断片、詳細にはAβペプチドのN末端部分に由来する残基1〜16、1〜15、1〜14、および1〜13からなる群より選択されるアミノ酸残基、より詳細にはその機能的に等価な断片も含めた配列番号:1に示す残基1〜15からなるAβペプチド断片、詳細には2〜4個、詳細には4個のパルミトイル残基をもたらすペプチドの各末端におけるパルミトイル残基の共有結合により修飾された本明細書に上記したAβペプチド断片、特に例えばリポソームなどの担体粒子/アジュバントに結合しているか、またはその中に取り込まれたもしくは再構成された本明細書に上記したAβペプチド断片を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスを含む、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質に起因するかまたはそれに関連した疾患および障害、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態を治療するためのワクチン組成物、およびそのような組成物を作製する方法に関する。この連続した一続きの13〜15アミノ酸残基は、本発明による構築物中で2〜50回、詳細には2〜30回、より詳細には2〜20回、さらにより詳細には2〜16回、特に2〜10回反復してよい。
特に、本発明による組成物中で適切に用いられ得る化合物は、例えばクロフィブリン酸またはベザフィブラート誘導体LR16およびL35を含むベザフィブラートなどの抗高脂血症薬、例えば[2-[4[[(アリールアミノ)カルボニル]-アミノ]フェノキシ]-2-メチルプロピオン酸などの尿素誘導体、ヘモグロビンのアロステリックエフェクターからなる群より選択される化合物である。
O2/ヘモグロビン親和性調節化合物はさらに、ヘモグロビンのアロステリック部位の陰イオン性リガンドを含む化合物であってよく、陰イオン性リガンドは、任意で例えばCa2+およびNa+などの非毒性陽イオンと共に内部ピロリン酸環を含む。
より具体的には、本発明は、本発明によるAβペプチド断片に加えて、任意で例えばCa2+およびNa+などの非毒性陽イオンと共に内部ピロリン酸環を含むイノシトール六リン酸(IHP)誘導体を含む、本明細書に上記した本発明による治療ワクチン組成物に関する。
さらに別の態様においては、Aβペプチド断片、詳細には本発明によるAβペプチド断片に加えて、補体活性化系の阻害剤、詳細には可溶型の膜調節タンパク質、補体タンパク質に対するヒト化抗体、補体経路の様々な段階で作用する小分子阻害剤、およびトランスジェニック動物で発現されるヒト補体調節因子からなる群より選択される補体経路の阻害剤、ならびにより多くの酸素がその後調節された様式で組織に放出されるように、O2/ヘモグロビン親和性を減少させるヘモグロビンのアロステリックエフェクターの組み合わせを含む、本明細書に上記した本発明によるワクチン組成物を提供する。
したがって本発明はさらに、補体系の阻害剤、詳細には可溶型の膜調節タンパク質、補体タンパク質に対するヒト化抗体、補体経路の様々な段階で作用する小分子阻害剤、およびトランスジェニック動物で発現されるヒト補体調節因子からなる群より選択される補体活性化の阻害剤、ならびにより多くの酸素がその後調節された様式で組織に放出されるように、O2/ヘモグロビン親和性を減少させる化合物、詳細にはヘモグロビンのアロステリックエフェクターと共に、AβペプチドのN末端部分に由来するペプチド断片、詳細には、詳細にはAβペプチドのN末端部分に由来する7〜16個の連続したアミノ酸残基、特に13〜16個の連続したアミノ酸残基の単一のまたは反復した一続きのAβペプチド断片、詳細にはAβペプチドのN末端部分に由来する残基1〜16、1〜15、1〜14、および1〜13からなる群より選択されるアミノ酸残基、より詳細にはその機能的に等価な断片も含めた配列番号:1に示す残基1〜15からなるAβペプチド断片、詳細には2〜4個、詳細には4個のパルミトイル残基をもたらすペプチドの各末端におけるパルミトイル残基の共有結合により修飾された本明細書に上記したAβペプチド断片、特に例えばリポソームなどの担体粒子/アジュバントに結合しているか、またはその中に取り込まれたもしくは再構成された本明細書に上記したAβペプチド断片を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスを含む、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質に起因するかまたはそれに関連した疾患および障害、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態を治療するためのワクチン組成物、およびそのような組成物を作製する方法に関する。
この連続した一続きの13〜15アミノ酸残基は、本発明による構築物中で2〜50回、詳細には2〜30回、より詳細には2〜20回、さらにより詳細には2〜16回、特に2〜10回反復してよい。
さらに別の態様においては、アミロイド関連疾患または病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに、本明細書に上記した本発明による治療ワクチン組成物、詳細にはAβ1〜15ペプチド抗原、より詳細にはパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原を含むワクチン組成物を投与する段階を含む、アミロイド関連疾患または病態を治療する方法を提供する。
本発明の特定の態様においては、そのようなワクチン組成物の投与により、主に非炎症性サブタイプ、詳細には例えばアイソタイプIgG1およびIgG2bなどの非炎症性Th2サブタイプの抗体が産生される。
さらなる特定の態様においては、そのようなワクチン組成物の投与により、主にT細胞非依存性IgGサブクラス、詳細にはIgG3アイソタイプの抗体が産生される。
本発明のさらに別の態様においては、そのようなワクチン組成物の投与により、脳において炎症マーカー、詳細にはIL-1β、IL-6、IFN-γ、およびTNFαからなる群より選択される炎症マーカーの有意な増加が起こらない。
本発明のさらに別の態様においては、そのようなワクチン組成物の投与により、脳において斑に関連した不溶性Aβ1〜40およびAβ1〜42の有意な減少が起こる。
本発明のさらなる態様においては、そのようなワクチン組成物の投与により、脳において可溶性Aβ1〜42のレベルの有意な低下が起こる。
特に、アミロイド関連疾患または病態は、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない疾患からなる群より選択されるものである。
より詳細には、アミロイド関連疾患または病態はアルツハイマー病である。
本発明のさらに別の特定の態様においては、認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトへのそのようなワクチン組成物の投与により、認知記憶能の保持の増加、詳細には完全な回復が起こる、本明細書に上記した本発明によるアミロイド関連疾患または病態を治療する方法を提供する。
さらなる別の態様においては、アミロイド関連疾患または病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに、本明細書に上記した本発明による抗原性構築物および補体系の阻害剤を含む治療ワクチン組成物を投与する段階を含み、詳細には補体阻害剤および抗原性構築物を同時に、断続的に、または連続して投与するようにそのようなワクチン組成物を投与する、アミロイド関連疾患または病態を治療する方法を提供する。
特定の態様において、補体阻害剤は、詳細にはワクチン接種の最大20時間前に始まりワクチン接種の直前に終わる時間範囲内で、抗原性構築物によるワクチン接種の前に投与する。
別の特定の態様においては、補体阻害剤は、ワクチン接種の直後に始まりワクチン適用の1日後に終わる時間範囲内で、抗原性構築物によるワクチン接種の後に投与する。
本発明のさらに別の態様においては、本明細書に上記した本発明によるワクチン組成物を使用する段階を含む、アミロイド関連疾患または病態を治療するための薬物を調製する方法を提供する。
本発明のこれらおよびその他の目的、特徴、および利点は、開示する態様の以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を検討することで明らかになるであろう。
全長アミロイドβ1〜42ペプチドの最初の15(ACI-24、Aβ1〜15)および16(ACI-01、Aβ1〜16)アミノ酸を有するペプチド免疫原を含む2つのリポソームワクチンの設計および生物物理学的特徴づけ。b) ACI-01は、PEG鎖のもう一方の末端上にリポソームアンカーとして役立つDSPEを保有しているペグ化リジン残基が両側に1つ隣接したAβ1〜16を含む(a)。ACI-24では(b)、抗原をリポソーム中に再構成し繋留するために、2つの末端パルミトイル化リジン残基がAβ1〜15の各末端に共有結合している(a)。c) リポソーム中に再構成された2つの抗原のCDスペクトル。ACI-01がランダムコイルまたは非構造化タンパク質高次構造を示すスペクトルを示すのに対し(210 nmまでの負のシグナル、および260 nmまでのゼロ軸へのゆっくりとした接近)、ACI-24スペクトルは顕著な割合のβ構造を含む(210 nmまでの正のシグナル、次のゼロ軸の通過、および260 nmまでのゼロ軸への再度の接近)。CDスペクトル解析のため、βアミロイド試料(ACI-01およびACI-24)をリポソーム中に再構成し、ペプチド濃度0.9865 mg/ml(PBS中での1 ml)でプローブソニケーターを使用して超音波処理した。0.1 cm光路長の石英セルキュベットを備えたDichrograph(JASCO J-810)で、CDスペクトルを記録した。スペクトル範囲は、スキャン速度20 nm/分、25℃において190〜260 nmであり、粗データをθ(mdeg)単位の楕円率で表した。 PBS緩衝液、pH 7.2中のA. ACI-01ワクチン、B. ACI-24ワクチン、C. 1 mM ACI-01,D. 1mM ACI-24、およびE. 4 mM Ab1〜15ペプチドのマジック角回転NMRスペクトルのペプチドアミドプロトンおよび芳香族側鎖を包含する1Hスペクトル領域。 ペグ化(黒色)およびパルミトイル化βアミロイド1〜15(青色)の9〜5.5 ppmにおける一次元1H NMRスペクトル。ペプチドを合成し、それぞれパルミチン酸またはPegを共有結合させ、PBS中で再構成した。NMR解析のため、試料を遠心分離し、9〜0.2 ppmの全スペクトルを記録した。 空のリポソーム(対照)で免疫したマウスと比較した、リポソーム中のペグ化(ACI-01)またはパルミトイル化(ACI-24)抗原で免疫したAPPxPS1マウスの血清中のアミロイド特異的力価の解析。a) ACI-24による免疫化により、わずか2回の免疫化後で最初の免疫化の3週間後に高レベルのアミロイド特異的IgG抗体が生じ(a、左側)、5週間後に最大に達した。ACI-01による免疫化により、7週間後に最大となる高レベルのアミロイド特異的IgM抗体が生じたが(a、右側)、ACI-24と比較して低いIgGレベルが生じるに過ぎなかった(a、左側、p<0.5)。
本明細書で用いる「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は互換的であり、ペプチド結合により連結されたアミノ酸から構成される生体分子を意味すると定義される。
「ペプチド」という用語は、そのα炭素が、1つのアミノ酸のα炭素のカルボキシル基と、別のアミノ酸のα炭素のアミノ基との間の縮合反応によって形成されるペプチド結合を介して連結された、アミノ酸(典型的にはL-アミノ酸)の鎖である。鎖の一方の端(すなわち、アミノ末端)の末端アミノ酸は遊離アミノ基を有し、鎖のもう一方の端(すなわち、カルボキシ末端)の末端アミノ酸は遊離カルボキシル基を有する。したがって、「アミノ末端」(N末端と略記)という用語は、ペプチドのアミノ末端におけるアミノ酸上の遊離のαアミノ基、またはペプチド内の任意の他の位置におけるアミノ酸のαアミノ基(ペプチド結合に関与する場合はイミノ基)を指す。同様に、「カルボキシ末端」(C末端と略記)という用語は、ペプチドのカルボキシ末端におけるアミノ酸上の遊離のカルボキシル基、またはペプチド内の任意の他の位置におけるアミノ酸のカルボキシル基を指す。
典型的に、ペプチドを構成するアミノ酸は、アミノ末端から開始して、ペプチドのカルボキシ末端方向に向かって増えていくように、順番に番号がつけられる。したがって、1つのアミノ酸が別のアミノ酸に「続く」と表現される場合、そのアミノ酸は、先行するアミノ酸よりもペプチドのカルボキシ末端側に近接して位置する。
本明細書で用いる「残基」という用語は、アミド結合によりペプチド中に取り込まれたアミノ酸を指す。したがって、アミノ酸は天然アミノ酸であってよく、または特記しない限り、天然アミノ酸と同様の様式で機能する天然アミノ酸の公知の類似体(すなわち、アミノ酸模倣体)も包含し得る。さらに、アミド結合模倣体は、当業者に周知のペプチド骨格の修飾を含む。
「本質的に〜からなる」という語句は、この語句が指すペプチドの本質的な特性を実質的に変化させる任意の要素を排除するように本明細書において用いられる。したがって、「本質的に〜からなる」ペプチドという記述は、そのペプチドの生物活性を実質的に変化させる任意のアミノ酸置換、付加、または欠失を排除する。
さらに当業者であれば、上記したように、コード配列中の単一アミノ酸または少数アミノ酸(典型的には5%未満、より典型的には1%未満)を変化させる、付加する、または欠失させる個々の置換、欠失、または付加が、変更によってアミノ酸の化学的に類似したアミノ酸による置換が生じる保存的改変変化であることを理解すると考えられる。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は当技術分野において周知である。以下の6つの群はそれぞれ、相互に保存的置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
「単離された」または「生物学的に純粋な」という語句は、天然状態で認められる通常付随する成分を実質的または本質的に含まない物質を指す。したがって、本明細書に記載のペプチドは、インサイチュー環境で通常会合している物質を含まない。典型的には、本明細書に記載の単離された免疫原性ペプチドは、銀染色したゲル上のバンド強度により測定して少なくとも約80%純粋、通常は少なくとも約90%純粋、好ましくは少なくとも約95%純粋である。
タンパク質の純度または均一性は、タンパク質試料のポリアクリルアミドゲル電気泳動とそれに続く染色による可視化などの、当技術分野で周知のいくつかの方法によって示すことができる。目的によっては高解像度が必要であり、HPLCまたは類似の精製手段が用いられる。
免疫原性ペプチドの長さが比較的短い(すなわち、約50アミノ酸未満の)場合には、ペプチドは標準的な化学的ペプチド合成技法を用いて合成することが多い。
配列のC末端アミノ酸を不溶性支持体に結合させた後に、配列の残りのアミノ酸を連続して付加していく固相合成は、本明細書に記載の免疫原性ペプチドの好ましい化学合成法である。固相合成の技法は当業者に公知である。
または、本明細書に記載の免疫原性ペプチドは、組換え核酸法を用いて合成する。一般的にこの方法は、ペプチドをコードする核酸配列を作製する段階、核酸を発現カセットの特定のプロモーターの制御下に配置する段階、宿主でペプチドを発現させる段階、発現されたペプチドまたはポリペプチドを単離する段階、および必要に応じてペプチドを復元する段階を含む。このような手順による当業者にとって十分な手引きとなる技法は、文献に記載されている。
一旦発現された組換えペプチドは、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などの標準的な手順により精製することができる。約50%〜95%の均一性である実質的に純粋な組成物が好ましく、治療薬として使用する場合には80%〜95%またはそれ以上の均一性が最も好ましい。
当業者であれば、化学合成、生物学的発現、または精製後に、免疫原性ペプチドが、成分ペプチドの天然の高次構造とは実質的に異なる高次構造を有する場合があることを理解すると考えられる。このような場合には、抗増殖性ペプチドを変性および還元し、その後このペプチドを好ましい高次構造に再び折りたたませることが必要である場合が多い。タンパク質を還元および変性させ、再折りたたみを誘導する方法は、当業者に周知である。
精製タンパク質の抗原性は、例えば免疫血清、またはタンパク質そのものに対して生成された抗血清との反応を実証することで確認することができる。
本明細書で用いる「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という用語は、「1つまたは複数の」を意味すると定義され、文脈上不適切でない限り複数形も含む。
本明細書で用いる「検出する」または「検出された」という用語は、免疫化学的方法または組織学的方法などの、生体分子を検出する公知の技法を用いることを意味し、検討対象の生体分子の存在または濃度を質的または量的に決定することを指す。
「単離された」とは、天然において共に存在する成分の少なくとも一部を含まない生体分子を意味する。
本明細書で用いる「抗体」という用語は当技術分野で認められた用語であり、公知の抗原に結合する分子または分子の活性断片、詳細には免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち抗原と免疫特異的に結合する結合部位を含む分子を指す。本発明による免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意の型(IgG、IgM、IgD、IgE、IgA、およびIgY)またはクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)またはサブクラスのものであってよい。
「抗体」は、本発明の範囲において、モノクローナル抗体、ポリクローナル、キメラ、一本鎖、二重特異性、サル化、ヒト、およびヒト化抗体、ならびにそれらの活性断片を含むことが意図される。公知の抗原に結合する分子の活性断片の例には、Fab免疫グロブリン発現ライブラリーの産物を含めたFabおよびF(ab')2断片、ならびに上記の抗体および断片のいずれかのエピトープ結合断片が含まれる。
これらの活性断片は、いくつかの技法により本発明の抗体から導出することができる。例えば、精製モノクローナル抗体をペプシンなどの酵素で切断し、HPLCゲル濾過に供することができる。次いで、Fab断片を含む適切な画分を回収し、膜濾過などにより濃縮し得る。抗体の活性断片を単離するための一般的技法のさらなる記載については、例えば、Khaw, B. A. et al. J. Nucl. Med. 23:1011-1019 (1982);Rousseaux et al. Methods Enzymology, 121:663-69, Academic Press, 1986を参照されたい。
「ヒト化抗体」とは、非ヒトドナー免疫グロブリン由来のCDRを有し、分子の残りの免疫グロブリン由来部分が1つ(または複数)のヒト免疫グロブリンに由来する、改変抗体の1つの種類を指す。さらに、結合親和性を保持するよう、フレームワーク支持残基を変更することができる。「ヒト化抗体」を得る方法は、当業者に周知である。(例えば、Queen et al., Proc. Natl Acad Sci USA, 86:10029-10032 (1989)、Hodgson et al., Bio/Technology, 9:421 (1991)を参照されたい)。
「ヒト化抗体」はまた、例えばウサギなどの大型動物において親和性成熟ヒト様ポリクローナル抗体の産生を可能にする新規な遺伝子改変アプローチによって得ることもできる(http://www.rctech.com/bioventures/therapeutic.php)。
「モノクローナル抗体」という用語もまた当技術分野において十分に認められており、実験室において単一クローンから大量生産され、1つの抗原のみを認識する抗体を指す。モノクローナル抗体は典型的に、通常は寿命の短い抗体産生B細胞を、癌細胞などの増殖の速い細胞(場合により「不死」細胞と称される)に融合することによって作製される。得られたハイブリッド細胞、すなわちハイブリドーマは、迅速に増殖し、大量の抗体を産生するクローンを生じる。
「機能的に等価な抗体」とは、本発明の範囲において、βアミロイドタンパク質、詳細にはAβ1〜42タンパク質、より詳細にはAβ1〜42タンパク質の4〜16エピトープ領域への結合特異性、インビトロでの免疫反応性、Aβ1〜42単量体の高分子量ポリマー原線維への凝集の阻害、および/または前もって形成されたAβ1〜42ポリマー原線維の脱凝集、および/またはβシート破壊特性、ならびに予防的または治療的に投与した場合の、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスに関連した障害の影響の軽減を含む、本明細書に記載する上記の抗体と少なくとも1つの主要な機能特性を実質的に共有する抗体を指す。抗体は、IgG、IgM、またはIgAなどの任意のクラス、またはIgG1、IgG2aなど、および本明細書に上記するかもしくは当技術分野において公知の他のサブクラスなどの任意のサブクラスのものであってよい。
さらに、抗体は、ファージディスプレイなどの任意の方法により作製することができ、またはヒト化抗体など、所望の特徴を有する抗体を産生する、細菌、昆虫、哺乳動物、もしくは他の種類の細胞もしくは細胞株を含む任意の生物もしくは細胞株において産生させることができる。抗体はまた、異なる種に由来するFab部分とFc領域を組み合わせることによって形成することもできる。
「抗原」という用語は、生物、詳細には動物、より詳細にはヒトを含む哺乳動物において免疫応答を誘導し得る実体またはその断片を指す。この用語には、免疫原、および抗原性または抗原決定基に関与する領域が含まれる。
本明細書で用いる「可溶性の」という用語は、水溶液に部分的または完全に溶解することを意味する。
やはり本明細書で用いる「免疫原性の」という用語は、免疫原に対する抗体、T細胞、および他の反応性免疫細胞の産生を誘発または増強し、ヒトまたは動物における免疫応答に寄与する物質を指す。
個体が、投与された本発明の免疫原性組成物に対する十分な抗体、T細胞、および他の反応性免疫細胞を産生する場合に免疫応答が起こり、治療すべき障害が緩和または軽減される。
「ハイブリドーマ」という用語は当技術分野で認められており、抗体産生細胞と不死細胞、例えば多発性骨髄腫細胞との融合によって作製された細胞を指すことが当業者によって理解される。このハイブリッド細胞は、抗体の継続的な供給をもたらし得る。上記の「モノクローナル抗体」の定義、および融合法のより詳細な説明に関する以下の実施例を参照されたい。
本明細書で用いる「担体」という用語は、抗原ペプチドまたは超分子構築物を組み入れまたは結合させ、それによって抗原ペプチドまたはペプチドの一部をヒトまたは動物の免疫系に提示または曝露することができる構造を意味する。例えば小胞、粒子、または粒子体など、動物またはヒト治療において適切に用いられ得る任意の粒子を、本発明の状況において担体として用いることができる。
「担体」という用語はさらに、抗原ペプチドを含む超分子抗原性構築物組成物が送達機構によって所望の部位に輸送され得る送達法を含む。このような送達系の一例では、金コロイドなどのコロイド金属を使用する。
本発明の超分子抗原性構築物組成物に用いられ得る担体タンパク質には、これらに限定されないが、マルトース結合タンパク質「MBP」;ウシ血清アルブミン「BSA」;キーホールリンペットヘモシアニン「KLH」;オボアルブミン;フラジェリン;サイログロブリン;任意の種の血清アルブミン;任意の種のγグロブリン;同系細胞;Ia抗原を有する同系細胞;ならびにD-アミノ酸および/またはL-アミノ酸のポリマーが含まれる。
本発明による超分子抗原性構築物において、リポソームは本明細書に上記した超分子構築物を含む担体として使用することができ、それと同時に、本発明による治療ワクチンで治療する標的動物またはヒトにおいて免疫応答を増強または促進するためのアジュバントとして機能し得る点で、リポソームは二重機能を有し得る。本発明の超分子抗原性構築物組成物が、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ならびに例えばリピドA、ミョウバン、リン酸カルシウム、インターロイキン1、および/または多糖およびタンパク質のマイクロカプセルなどの他のアジュバント、詳細にはモノホスホリルもしくはジホスホリルリピドAなどの無毒化リピドAまたはミョウバンを含むがこれらに限定されないさらなるアジュバント、既知であり先行技術のワクチンに使用されているさらなる保存剤、希釈剤、乳化剤、安定剤、ならびに他の成分をさらに含み得ることもまた理解される。さらに、当技術分野で公知の任意のアジュバント系を、本発明の組成物に使用することができる。このようなアジュバントには、これらに限定されないが、フロイントの不完全アジュバント、フロイントの完全アジュバント、多分散型β-(1,4)結合アセチル化マンナン(「エースマンナン」)、TITERMAX(登録商標)(CytRx Corporation製のポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体アジュバント)、Chiron Corporation製の改変脂質アジュバント、Cambridge Biotech製のサポニン誘導体アジュバント、百日咳菌(Bordetella pertussis)死菌、グラム陰性細菌のリポ多糖(LPS)、硫酸デキストランなどの大型ポリマー陰イオン、およびミョウバン、水酸化アルミニウム、またはリン酸アルミニウムなどの無機ゲルが含まれる。
さらに、「有効量」という用語は、ヒトまたは動物に投与した際に、免疫応答を誘発する抗原性/免疫原性組成物の量を指す。有効量は、常用の手順に従って当業者によって容易に決定される。
「超分子抗原性構築物」という用語は、本明細書に上記した本発明による抗原性構築物を指す。特に「超分子抗原性構築物」とは、本明細書に上記した本発明によるAβペプチド抗原、具体的にはAβペプチドのN末端部分に由来するAβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるAβペプチド断片、詳細にはAβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはAβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるAβペプチド断片であって、小胞、粒子体または粒子状分子などの担体、詳細にはリポソームに結合して、またはその中に取り込まれてもしくは再構成されて提示された抗原ペプチドを含む抗原性構築物を指す。より詳細には、本発明による抗原ペプチドは、リポソーム担体/免疫アジュバントの脂質二重層への挿入を促進する親油性または疎水性部分によって、詳細にはこれらに限定されないが脂肪酸、トリグリセリド、またはリン脂質、特に脂肪酸の炭素骨格が少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸、トリグリセリド、またはリン脂質を含む、リポソーム二重層内でペプチドのアンカーとして機能し、ペプチドがリポソーム表面に近接して配置され安定化されるように導く寸法を有する親油性または疎水性部分によって修飾する。
例えば、本発明による超分子抗原性構築物組成物は、患者当たり約1.0μg〜10.0 mgの範囲で非経口投与、詳細には腹腔内、静脈内、皮下、および筋肉内投与することができるが、この範囲は限定が意図されない。免疫応答の誘発に必要な組成物の実際の量は、投与する組成物の免疫原性および個体の免疫応答に応じて、それぞれ個々の患者により変動する。したがって、個体に投与する特定の量は、当業者の訓練および経験に基づき、常用の実験によって決まる。
本発明による超分子抗原性構築物は、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシス、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態の影響を予防、治療、または軽減するために、生物、特に動物またはヒトにおいて免疫応答を誘導するためのワクチン組成物を調製するために使用することができる。
したがって本発明の目的は、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシス、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態の影響を予防、治療、または軽減する方法であって、本発明による超分子抗原性構築物、詳細には本発明によるそのような超分子抗原性構築物を含むワクチン組成物を、そのような障害に罹患し、そのためそのような治療を必要とする動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与することによる方法を提供することである。
本発明の別の態様においては、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシス、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態の影響を予防、治療、または軽減するために、そのような障害、疾患、または病態に罹患し、そのためそのような治療を必要とする生物、特に動物またはヒトにおいて免疫応答を誘導するためのワクチン組成物を調製する方法を提供する。
したがって本発明のさらなる態様においては、薬学的に許容される剤形で本発明による抗体を製剤化する段階を含む、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシス、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態の影響を予防、治療、または軽減するための組成物を調製する方法を提供する。
特定の態様において、本発明は、曝露の増強および好ましい抗原高次構造の安定化をもたらし、最終的に非常に特異的な免疫応答を引き起こし、独特の性質を有する抗体の産生をもたらす抗原提示を利用する。
1つの態様において、本発明は、βアミロイドペプチドのN末端部分の特徴を表す本明細書に上記した本発明によるβアミロイドペプチド抗原であって、抗原の明確な高次構造、詳細にはバランスのとれた比率のランダムコイル、αヘリックス、およびβシート部分を特徴とする高次構造を維持および安定化することができるように修飾された抗原ペプチドを含む超分子抗原性構築物を含む免疫原性組成物を提供する。この明確な高次構造によって、動物またはヒトに導入した際に、強力でかつ非常に特異的な免疫応答の誘導が起こる。
抗原ペプチドの所望の高次構造の形成および安定化を達成する1つの方法は、抗原ペプチドを、例えば小胞、粒子体もしくは粒子状分子、または抗原ペプチドの担体/アジュバントとして適切に役立ち得る任意の他の手段などの担体に部分的にまたは完全に結合させて、またはその中に取り込んでもしくは再構成して提示させることによる。本発明の特定の態様においては、抗原ペプチドを、例えばファンデルワールス、疎水性、もしくは静電気的相互作用、またはそのような相互作用の2つもしくはそれ以上の組み合わせなどの弱い相互作用を介して担体に結合させるか、またはその中に取り込むもしくは再構成し、その結果ペプチドは、高次構造変化が妨げられるかまたは厳重に制限されるように抗原ペプチドの運動の三次元自由度を制限することによって維持および安定化される特定の高次構造を有して提示される。
例えばリポソームなどの小胞、粒子、または粒子体を担体/アジュバントとして使用する場合、抗原ペプチドの組成物は、その全体的な正味電荷が、ペプチドを結合させる担体/アジュバント表面の全体的な正味電荷と同じになるように選択し得る。同様に荷電した担体/アジュバント表面と抗原ペプチド、詳細には同様に荷電した担体表面と抗原ペプチドを構成するアミノ酸残基、より詳細には同様に荷電した担体表面と抗原ペプチド中に含まれる同様に荷電したアミノ酸残基との間の有効な静電反発力により、抗原ペプチドが、高い生物活性を保証する明確で、非常に特異的で、かつ安定した高次構造をとることが可能になる。結果として、標的生物の免疫系が、生物学的に活性のある高次構造をした抗原性構築物中に含まれる抗原決定基と自由に相互作用できるようになる生物活性の高い高次構造で、抗原ペプチドが曝露および提示され、それによって強力でかつ高次構造特異的な免疫応答が起こり、例えば標的生物において高い抗体力価が得られる。
一方の抗原ペプチドの、およびペプチドが結合するか、その中に取り込まれるまたは再構成されるもう一方の担体の全体的な正味電荷を慎重に調整することにより、同様に荷電した担体表面と抗原ペプチド、詳細には同様に荷電した担体表面と抗原ペプチドを構成するアミノ酸残基、より詳細には同様に荷電した担体表面と抗原ペプチド中に含まれる同様に荷電したアミノ酸残基との間の有効な静電反発力により誘導および安定化される高次構造で、抗原ペプチドが担体表面上に露出して、または担体表面に近接して提示される。これによって、標的生物の免疫防御機構に自由に接近できるような抗原性構築物の提示が起こり、そのため動物またはヒトに投与した際に、強力でかつ非常に特異的な免疫原性応答が誘導され得る。免疫原性応答はさらに、本発明による治療ペプチドで治療する標的動物またはヒトにおいて免疫応答を増強または促進するアジュバントとして機能し得るリポソームを担体として使用することにより、さらに増強することができる。任意でリポソームは、例えばリピドA、ミョウバン、リン酸カルシウム、インターロイキン1、ならびに/または多糖およびタンパク質のマイクロカプセルなどのさらなるアジュバント、詳細にはモノホスホリルもしくはジホスホリルリピドAなどの無毒化リピドA、またはミョウバンをさらに含み得る。
本発明の特定の態様においては、本明細書に上記した本発明による抗原ペプチド、詳細には全体的な正味電荷が負である抗原ペプチドを、リポソーム、詳細にはリポソーム頭部基の正味の全体的電荷が負となるようにその成分を選択したリポソーム中に再構成して使用する。特に、リポソームは、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPEA)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、およびコレステロールからなる群より選択される成分から構成され、任意で、モノホスホリルリピドA、または例えばミョウバン、リン酸カルシウム、インターロイキン1、ならびに/または多糖およびタンパク質のマイクロカプセルなど、本発明の範囲内で適切に用いられ得る任意の他のアジュバントをさらに含む。
本発明の別の特定の態様において、本明細書に上記した本発明による修飾ペプチド抗原は、担体/アジュバント中に挿入し、それによってペプチドを担体/アジュバントに固定し、本明細書に上記したように静電力が有効となり得るようにペプチドを担体アジュバント分子の表面上に、または表面に近接して提示させ得るアンカー型分子に共有結合させて提供する。
リポソームを担体/アジュバントとして使用する場合、抗原ペプチド構築物は一般的に、リポソーム形成時にリポソーム膜内に挿入する疎水性尾部を有する。加えて抗原ペプチドは、リポソーム内に挿入され得るように、疎水性尾部を含むよう修飾することができる。
本発明の超分子抗原性構築物は一般的に、抗原性効果を増強するように修飾されたペプチドを含み、そのようなペプチドは、ペグ化(ポリエチレングリコールまたは修飾ポリエチレングリコールを使用する)により修飾するか、または本明細書に上記したパルミチン酸、ポリアミノ酸(例えば、ポリグリシン、ポリヒスチジン)、多糖(例えば、ポリガラクツロン酸、ポリ乳酸、ポリグリコリド、キチン、キトサン)、合成ポリマー(ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル)、もしくは共重合体(例えば、ポリ(メタクリル酸)およびN-(2-ヒドロキシ)プロピルメタクリルアミド)などによる他の方法により修飾することができる。
本発明の特定の態様においては、ペプチドがリポソーム中に挿入され得るように、疎水性尾部を含むよう修飾された、本明細書に上記した本発明による抗原ペプチドを提供する。特に、βアミロイドペプチドは、担体/アジュバントの脂質二重層中への挿入を促進する親油性または疎水性部分により修飾し得る。本発明の親油性または疎水性部分は、脂肪酸、トリグリセリド、およびリン脂質、詳細には脂肪酸の炭素骨格が少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸、トリグリセリド、およびリン脂質であってよく、詳細には親油性部分は少なくとも約14個の炭素原子でかつ最大約24個の炭素原子の炭素骨格を有する脂肪酸を有し、より詳細には疎水性部分は少なくとも14個の炭素原子の炭素骨格を有する。疎水性部分の例には、これらに限定されないが、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびコレステロールまたはDSPEが含まれる。本発明の特定の態様において、疎水性部分はパルミチン酸である。
パルミトイル化は、C16:0脂肪酸部分の比較的短い長さのためにリポソーム二重層内でペプチドのアンカーを提供し、ペプチドはリポソーム表面上に露出して、またはリポソーム表面に近接して提示される。したがって、抗原を処理する細胞は、ペプチドと共にリポソーム全体を取り込まなくてはならない。本発明の別の態様では、PEGを超分子構築物の調製に使用し、この場合、遊離のPEG末端はホスファチジルエタノールアミンの分子に共有結合している(脂肪酸は、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸など、またはそれらの組み合わせであってよい)。この超分子構造は、リン脂質およびコレステロール(ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、コレステロール)の種々のモル比からなるリポソーム中に再構成することができる。他のリン脂質を使用することもできる。リピドAは、約40μg/pmolリン脂質の濃度で使用する。
本発明のさらに別の目的は、抗原性効果を増強するように修飾された、本明細書に上記した本発明による抗原ペプチドを含む超分子抗原性構築物を含むワクチン組成物を提供することであり、この場合、そのようなペプチド、詳細にはAβペプチドのN末端部分に由来するAβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるAβペプチド断片、Aβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはAβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるAβペプチド断片は、ペグ化(ポリエチレングリコールまたは修飾ポリエチレングリコールを使用する)により修飾するか、またはポリアミノ酸(例えば、ポリグリシン、ポリヒスチジン)、多糖(例えば、ポリガラクツロン酸、ポリ乳酸、ポリグリコリド、キチン、キトサン)、合成ポリマー(ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル)、もしくは共重合体(例えば、ポリ(メタクリル酸)およびN-(2-ヒドロキシ)プロピルメタクリルアミド)などによる他の方法により修飾する。
本発明の別の態様において、本明細書に上記した本発明によるβアミロイドペプチド抗原は、リポソーム中に再構成された、2〜4個、詳細には4個の残基をもたらすペプチドの各末端におけるパルミトイル残基の共有結合により修飾された、AβペプチドのN末端部分に由来するパルミトイル化Aβペプチド断片、詳細には1〜15、2〜15、3〜15、1〜14、2〜14、1〜13;1〜16(Δ2)、1〜16(Δ4)、1〜16(Δ5)、1〜16(Δ6)、1〜16(Δ8)、1〜16(Δ9)、1〜16(Δ10);1〜16(Δ12)、16(Δ13)、16(Δ14)、1〜16(Δ15)、1〜15(Δ2)、1〜15(Δ4)、1〜15(Δ5)、1〜15(Δ6)、1〜15(Δ8)、1〜15(Δ9)、1〜15(Δ10);1〜15(Δ12)、15(Δ13)、15(Δ14)からなる群より選択されるアミノ酸残基からなるパルミトイル化Aβペプチド断片、詳細にはパルミトイル化Aβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはパルミトイル化Aβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはパルミトイル化Aβ1〜14ペプチド抗原、具体的にはパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原、特に配列番号:1に示すアミノ酸残基1〜15および配列番号:3に示す1〜16(Δ14)からなるパルミトイル化Aβペプチド断片である。この抗原性パルミトイル化構築物は、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスを治療するため、および疾患に付随する症状を軽減するため、または非罹患健常個体において認められる状態を回復するために使用することができる。
特定の態様において、本発明の超分子抗原性構築物は、各末端で少なくとも1つ、詳細には各末端で1つまたは2つのペグ化リジンと共有結合している、本明細書に上記した抗原ペプチド配列を含む。PEG(ポリエチレングリコール)鎖の長さは、n = 8〜n = 150.000またはそれ以上、詳細にはn = 10〜n = 80.000、より詳細にはn = 10〜n = 10.000の間で変動し得る。本発明の特定の態様において、PEG鎖の長さはn = 45以下、詳細にはn = 5〜n = 40、より詳細にはn = 10〜n = 30、さらにより詳細にはn = 10である。
本発明の組成物に用いられ得るリポソームには、当業者に公知のリポソームが含まれる。リポソームの作製に有用な標準的な脂質のいずれかを用いることができる。標準的な二重層および多層のリポソームを使用して、本発明の組成物を作製することができる。当業者に公知のリポソームを作製する任意の方法を用いることができるが、最も好ましいリポソームは、参照により本明細書に組み入れられるAlving et al., Infect. Immun. 60: 2438-2444, 1992の方法に従って作製される。リポソームは任意で、アジュバントもしくは免疫調節剤またはその両方を含み得る。好ましい免疫調節剤は、リピドA、詳細には例えばモノホスホリルまたはジホスホリルリピドAなどの無毒化リピドAである。
リポソームは本明細書に上記した超分子構築物を含む担体として使用することができ、それと同時に、本発明による治療ワクチンで治療する標的動物またはヒトにおいて免疫応答を増強または促進するためのアジュバントとして機能し得る点で、リポソームは二重機能を有し得る。任意でリポソームは、例えばリピドA、ミョウバン、リン酸カルシウム、インターロイキン1、ならびに/または多糖およびタンパク質のマイクロカプセルなどのさらなるアジュバントもしくは免疫調節剤またはその両方、しかし特にリピドA、より詳細にはモノホスホリルもしくはジホスホリルリピドAなどの無毒化リピドAまたはミョウバンをさらに含み得る。
特に、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含む加齢性アミロイドーシス、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態は、本発明による超分子抗原性構築物、詳細には本発明によるそのような超分子抗原性構築物を含むワクチン組成物を、そのような障害、詳細にはその症状の発現が軽度健忘症から最大で記憶の全喪失までの証拠により明らかとなるアルツハイマー病に罹患し、そのためそのような治療を必要とする動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与することにより治療する。
本明細書に上記した本発明による超分子抗原性構築物を含む本発明の組成物は、溶液もしくは注射用懸濁液の形態として、または以下に記載するように、例えば本組成物を使用するためのキットの状況において、注射の前に溶解するのに適した固体形態として調製することができる。
超分子抗原性構築物を含む本発明の組成物は、アミロイド関連疾患に罹患したヒトまたは動物において免疫応答を誘導して、疾患に付随する症状を軽減するため、または非罹患健常個体において認められる状態を回復するために、そのようなヒトまたは動物に投与する。
本発明の組成物は、任意の適切な標準的な投与経路によりヒトまたは動物に投与する。一般的に組成物は、局所、経口、直腸内、鼻腔内、または非経口(例えば、静脈内、皮下、または筋肉内)経路で投与することができる。加えて組成物は、生分解性ポリマーなどの徐放性基質中に組み入れることができ、ポリマーは、例えば腫瘍部位など送達が所望される部位の近傍に埋め込む。本方法は、単回投与、所定の時間間隔での反復投与、および所定の期間にわたる持続的投与を含む。
特に、本発明による抗原ペプチド組成物は、非経口、詳細には腹腔内、静脈内、皮下、および筋肉内注射により投与する。
組成物の用量は、治療する病態、使用する組成物の詳細、ならびに患者の体重、体格、および状態、体表面積などの他の臨床的要因、投与する化合物または組成物の詳細、同時に投与する他の薬物、ならびに投与経路に依存する。
本発明による治療ワクチン組成物は、疾患を治療するための他の生物活性物質および手順と組み合わせて投与することができる。他の生物活性物質は、治療ワクチンおよび他の生物活性物質が薬学的に許容される同じ溶媒および/もしくは担体中にもしくはそれと共に混合される混合物の形態として、本発明による治療ワクチンを既に含む同じ組成物の一部であってよく、または別の組成物の一部として別々に提供することができ、これは別々にまたは部分キットの形態として共に提供することができる。
本発明による治療ワクチン組成物は、1つまたは複数の他の生物活性物質と同時に、断続的に、または連続して投与することができる。例えば、本発明による治療ワクチン組成物は、付加的な第1生物活性物質と同時に、または治療ワクチンの投与後もしくは投与前に連続して投与することができる。複数の付加的な生物活性物質を本発明による少なくとも1つの治療ワクチンと共に投与する適用計画を選択する場合、化合物または物質は種々の組み合わせで一部同時に、一部連続して投与することができる。
本発明の別の目的は、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない疾患などの、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスの影響を予防するおよび/または治療処置するおよび/または軽減するための、本発明による治療ワクチンおよび任意で1つまたは複数のさらなる生物活性物質の混合物、ならびに本発明による治療ワクチン、またはそのような治療ワクチンもしくは治療ワクチンの混合物を含む組成物を含むその混合物を使用する方法を提供することである。
本発明による混合物は、本発明による治療ワクチンに加えて、例えば、免疫原性ペプチド抗原に対する抗体、詳細には超分子抗原性構築物の形態として提示された免疫原に対する抗体、より詳細には本明細書に開示する本発明による抗体を含む、アルツハイマー病に関与するAβタンパク質などのアミロイドまたはアミロイド様タンパク質に関連した疾患および障害の一群であるアミロイドーシスの薬物療法において用いられる公知の化合物などの生物活性物質を含み得る。
本発明の別の態様において、他の生物活性物質または化合物はまた、アミロイドβに起因するアミロイドーシスを含む、アミロイドもしくはアミロイド様タンパク質に起因するかもしくはそれに関連した疾患および障害の治療において用いられ得る、または他の神経障害の薬物療法において用いられ得る治療薬であってよい。
他の生物活性物質または化合物は、本発明による治療ワクチンと同じかもしくは類似した機構により、または非関連の作用機構により、または多数の関連および/もしくは非関連の作用機構により、その生物学的効果を発揮し得る。
一般的に、他の生物活性化合物には、中性子透過促進剤、精神治療薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、生体アミン、ベンゾジアゼピン系精神安定薬、アセチルコリンの合成、貯蔵、または放出の促進剤、アセチルコリンシナプス後受容体作動薬、モノアミンオキシダーゼAまたはモノアミンオキシダーゼB阻害薬、N-メチル-D-アスパラギン酸グルタミン酸受容体拮抗薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗酸化薬、およびセロトニン受容体拮抗薬が含まれ得る。
特に、本発明による混合物は、本発明による治療ワクチン、ならびに任意で薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/または賦形剤と共に、酸化ストレスに対する化合物、抗アポトーシス化合物、金属キレート剤、ピレンゼピンおよび代謝産物などのDNA修復阻害剤、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3APS)、1,3-プロパンジスルホン酸(1,3PDS)、セクレターゼ活性化薬、βセクレターゼおよびγセクレターゼ阻害薬、τタンパク質、神経伝達物質、βシート破壊剤、抗炎症分子、またはタクリン、リバスチグミン、ドネペジル、および/もしくはガランタミンなどのコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)、ならびに他の薬物および栄養補助剤からなる群より選択される少なくとも1つの他の生物活性化合物を含み得る。
さらなる態様において、本発明による混合物は、本発明による治療ワクチン、ならびに任意で薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/または賦形剤と共に、ナイアシンまたはメマンチンを含み得る。
本発明のさらに別の態様においては、本発明による治療ワクチン、ならびに任意で薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/または賦形剤と共に、幻覚、妄想、思考障害(顕著な思考錯乱、脱線、脱線思考によって顕在化する)、および奇異なまたは混乱した行動、ならびに快感消失症、感情鈍麻、無感情、および引きこもりを含む陽性または陰性の精神病症状を治療するための、例えばクロザピン、ジプラシドン、リスペリドン、アリピプラゾール、またはオランザピンなどの「非定形抗精神病薬」を含む混合物を提供する。
本発明の特定の態様において、本明細書に上記した本発明による組成物および混合物は、それぞれ治療または予防有効量の本発明によるワクチンおよび生物活性物質を含む。
本発明によるワクチンと組み合わせて混合物で適切に用いられ得る他の化合物は、例えば、治療薬標的(36〜39ページ)、アルカンスルホン酸およびアルカノールスルホン酸(39〜51ページ)、コリンエステラーゼ阻害薬(51〜56ページ)、NMDA受容体拮抗薬(56〜58ページ)、エストロゲン(58〜59ページ)、非ステロイド性抗炎症薬(60〜61ページ)、抗酸化薬(61〜62ページ)、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)作動薬(63〜67ページ)、コレステロール低下薬(68〜75ページ);アミロイド阻害剤(75〜77ページ)、アミロイド形成阻害剤(77〜78ページ)、金属キレート剤(78〜79ページ)、抗精神病薬および抗うつ薬(80〜82ページ)、栄養補助剤(83〜89ページ)、ならびに脳中の生物活性物質の利用能を増加させる化合物(89〜93ページ)、およびプロドラッグ(93および94ページ)を含むWO 2004/058258(特に16および17ページを参照されたい)に記載されており、この文献、特に上記のページに記載の化合物は参照により本明細書に組み入れられる。
正常宿主タンパク質による動物またはヒト宿主のワクチン接種によって、宿主タンパク質に対する自己抗体が生じ、総じて自己免疫疾患として知られる疾患が起こり得ることが以前から知られている。AβおよびそのAPP前駆体タンパク質は、そのような正常タンパク質である。したがって、ワクチン接種にこれらの宿主タンパク質を使用することは、望ましくない副作用をもたらす恐れがある。Aβが、アルツハイマー病または他の神経変性疾患に罹患した患者において既に高度に活性化されている補体系の過剰活性化に一部起因し得る神経炎症反応を活性化し得るという証拠が、文献にいくつか存在する。
βシート高次構造のヒトAβは、ヒト補体系の強力な活性化因子である。これは、ヒト補体C1qのコラーゲン尾部に強力に結合する。補体系の過剰活性化により宿主の天然防御系が変化し、ニューロンおよびその突起を含む細胞および組織の自己破壊が起こり得る。例えば、膜侵襲複合体(MAC)は宿主の天然防御系の一部であり、侵入してくる細菌およびウイルスにこれを挿入することによって細菌およびウイルスから宿主を保護するが、過剰活性化時には、MACはこれを宿主細胞に挿入して自己破壊を引き起こす。過剰活性化はさらに、ミクログリアを刺激して、酸素フリーラジカルおよび有害なプロテアーゼなどの毒性化合物を産生させ得る。
したがって本発明のさらなる目的は、既に過剰活性化された補体系をさらに促進する可能性を有する自己抗原による自己免疫疾患罹患動物またはヒトのワクチン接種に起因する神経学的合併症などの、潜在的副作用を妨げることである。これは、本発明の範囲において、補体阻害剤と組み合わせて、Aβペプチド抗原、詳細にはパルミトイル化Aβペプチド抗原、より詳細にはパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原、特にパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原(ACI-24、Aβ1〜15)を投与することにより達成され得る。
したがって本発明の別の態様は、Aβペプチド抗原、詳細には本明細書に上記した本発明によるAβペプチド抗原に加えて、補体系の阻害剤を含むワクチン組成物を提供することである。
補体阻害剤は、可溶性ヒト補体受容体1、例えばヒト化抗C5モノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体の一本鎖断片などの抗ヒト補体タンパク質C5、C1エステラーゼ阻害剤N、および天然ヒトC1阻害剤からなる群より選択される化合物であってよい。
Aβと脳血管疾患の併存症、Aβとアテローム性動脈硬化症との関連、アミロイド血管症、顕著な脳微小血管病変、およびアルツハイマー病における血液脳関門を介したAβの排除欠損に関連した認知障害が重視されているが、これらはいずれも、血管障害がアルツハイマー病における慢性神経変性状態の重要な特徴であることを示している。(Zlokovic, B.: (2005) Trends in Neurosciences 28, 202-208) したがって、神経血管機能障害は、アルツハイマー病の発病において主要な役割を有すると考えられる。
アルツハイマー病における認知低下と脳血管障害との間に強い関連性があるという十分な証拠が存在する(Torre, de la, J. C.: (2004) Neurol. Res. 26, 517-524、Gorelick, P. B.: (2004) Stroke 35, 2620-2622)。微小血管密度の減少、断片化した血管数の増加、血管径の顕著な変化などが、アルツハイマー病において記載されている(Bailey, T. L. et al: (2004) Neurol. Res. 26, 573-578、Farkas, E., and Luiten, P. G.: (2001) Prof. Neurobiol. 64, 575-611)。
大規模集団に基づくRotterdam試験(Greenberg, S. M et al: (2004) Stroke 35, 2616-2619)から、血管危険因子が高齢者における認知低下に関与し、いわゆる「血管性認知症」が生じ得ることが示された。一過性の虚血発作、アテローム性動脈硬化症、心疾患、高い血清粘度などを含むいくつかの危険因子が、アルツハイマー病および血管性認知症で重複している。
血管性認知症は、脳の血管の狭窄または遮断に起因する酸素欠乏後の脳組織への損傷の結果として起こり、2番目に頻度の高い認知症の形態である。患者は多くの場合、アルツハイマー病と血管性認知症の両方に罹患する。EUでは170万人の人々および米国では55.000人の人々が、血管性認知症に罹患していると推定される。
血流障害にかかわらず、脳において正常なO2圧を回復する治療は、アルツハイマー病の進行に顕著に影響する、および血管認知症を劇的に軽減する可能性を有する。
したがって本発明のさらに別の態様は、Aβペプチド抗原、詳細には本明細書に上記した本発明によるAβペプチド抗原に加えて、酸素がその後器官組織に放出されるように、O2/ヘモグロビン親和性の減少を誘発する化合物を含むワクチン組成物を提供することである。
特に、O2/ヘモグロビン親和性調節化合物は、例えばクロフィブリン酸またはベザフィブラート誘導体LR16およびL35を含むベザフィブラートなどの抗高脂血症薬、例えば[2-[4[[(アリールアミノ)カルボニル]-アミノ]フェノキシ]-2-メチルプロピオン酸などの尿素誘導体、例えば2,3-ジホスホグリセリン酸(DPG)、イノシトール六リン酸(IHP)、およびピリドキサールリン酸などのヘモグロビンのアロステリックエフェクターからなる群より選択される化合物であってよい。
より詳細には、O2/ヘモグロビン親和性調節化合物は、ヘモグロビンのアロステリック部位の陰イオン性リガンドを含む化合物であってよく、陰イオン性リガンドは、任意で非毒性陽イオンと共に内部ピロリン酸環を含む。
さらにより詳細には、O2/ヘモグロビン親和性調節化合物は、任意で非毒性陽イオンと共に少なくとも1つの内部ピロリン酸環を含むイノシトール六リン酸(IHP)誘導体である。
補体系の過剰活性化および脳血管障害それぞれの潜在的悪影響を軽減する上で、補体阻害剤およびO2/ヘモグロビン親和性調節化合物によって提供される有益な効果を得るため、本発明は、Aβペプチド抗原、詳細には本明細書に上記した本発明によるAβペプチド抗原を、補体系の阻害剤およびO2/ヘモグロビン親和性調節化合物、詳細にはヘモグロビンのアロステリックエフェクターと組み合わせて含めたワクチン組成物を提供する。
補体系の過剰活性化および脳血管障害それぞれの潜在的悪影響を軽減するために、Aβペプチド抗原、詳細には本明細書に上記した本発明によるAβペプチド抗原を含む本発明によるワクチン組成物は、補体阻害剤およびO2/ヘモグロビン親和性調節化合物と同時に、断続的に、または連続して投与することができる。例えば、本発明によるワクチン組成物は、補体阻害剤と同時に、またはワクチンの投与後もしくは投与前に連続して投与することができる。補体阻害剤およびO2/ヘモグロビン親和性調節化合物、詳細にはヘモグロビンのアロステリックエフェクターを本発明による少なくとも1つのワクチンと共に投与する適用計画を選択する場合、化合物または物質は種々の組み合わせで一部同時に、一部連続して投与することができる。
本発明の別の目的は、アルツハイマー病(アルツハイマー病)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの神経障害;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含むがこれに限定されない疾患などの、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシスの影響を予防するおよび/または治療処置するおよび/または軽減するための、本発明によるワクチンならびに補体阻害剤および/またはO2/ヘモグロビン親和性調節化合物、詳細にはヘモグロビンのアロステリックエフェクターの混合物、ならびに本発明によるワクチン、またはそのようなワクチン、もしくは本発明によるワクチンならびに補体阻害剤および/もしくはO2/ヘモグロビン親和性調節化合物、詳細にはヘモグロビンのアロステリックエフェクターの混合物を含む組成物を含むその混合物を使用する方法を提供することである。
修飾アミロイド1〜15ペプチドは、Nicolau et. al. (2002) Proc Natl. Acad. Sci USA 99, 2332-2337に報告されている方法に従って合成することができる。Nicolau et alに報告されているアプローチは、予め形成されたペプチドの末端アミノ酸残基への親油性または疎水性部分の樹脂上接合により、抗原ペプチドを修飾する段階を含む。特に、保護アミノ酸、詳細にはFmoc保護アミノ酸を、公知のカップリング化学を用いて樹脂に結合させる。保護基を除去し、第2の保護アミノ酸残基を結合させる。次いで、公知の保護化学、詳細にはFmoc/tBu化学、および標準的なアミノ酸側鎖保護基を用いる標準的な自動化ペプチド合成を用いて、アミロイドタンパク質Aβ1〜42のアミノ酸1〜15の結合によってAβ抗原ペプチド、詳細にはAβ1〜15抗原ペプチドを合成し、配列番号:1に示す配列を有するペプチド断片を生成する。最終段階で、2つのさらなる保護アミノ酸を、伸長過程のペプチド断片に結合させる。次に、Mtt基を選択的に除去し、パルミチン酸に結合させ得る。樹脂を洗浄した後、保護基を除去し、同時に樹脂を切断し、続いて標準的な方法を用いて側鎖を脱保護する。このようにして最終産物を高純度で得ることができ、その同一性は、例えばエレクトロスプレー質量分析などの当技術分野において公知の方法により確認することができる。
本発明による親油性または疎水性部分は、脂肪酸の炭素骨格が少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸、トリグリセリド、またはリン脂質であってよい。詳細には、親油性または疎水性部分は、少なくとも約14個の炭素原子でかつ最大約24個の炭素原子の炭素骨格を有する脂肪酸であり、この範囲に入るそれぞれ個々の炭素原子数もまた本発明の一部である。より詳細には、親油性または疎水性部分は、少なくとも14個の炭素原子、特に16個の炭素原子の炭素骨格を有する。疎水性部分の例には、これらに限定されないが、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリル酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸が含まれる。本発明の特定の態様において、親油性または疎水性部分はパルミチン酸である。
次に、本発明によるリポソーム抗原を、Nicolau et al., 2002に記載されている通りに調製し得る。修飾アミロイドAβ抗原ペプチド、詳細には修飾Aβ1〜15抗原ペプチドは、任意でモノホスホリルリピドAを含むリポソーム、詳細にはジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPEA)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、およびコレステロールで作製されたリポソームからなる構築物中に再構成することができる。
本発明の特定の態様においては、リピドAを有するリポソームをアジュバントとして使用して、抗アミロイドワクチンを調製する。ジミリストイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、およびコレステロールを、詳細には0.9:1.0:0.7のモル比で混合する。次に、モノホスホリルリピドAなどの強力な免疫調節剤を適切な濃度で、詳細には30〜50 mg/mmolリン脂質の濃度で、より詳細には40 mg/mmolリン脂質で添加する。次いで、修飾抗原性Aβペプチドを、ペプチド:リン脂質のモル比1:30〜1:200で、詳細にはモル比1:50〜1:120、より詳細には1:100で添加する。溶媒を例えば蒸発により除去し、得られた膜を例えばPBSなどの滅菌緩衝液で水和させる。
リポソームはまた、例えばWagner et al (2002) Journal of Liposome Research Vol 12(3), pp 259-270に記載されている交差流注入技法により調製してもよい。脂質溶液の水性緩衝系への注入中、脂質は「沈殿物」を形成し、その後小胞として自己配列する傾向がある。得られる小胞の大きさは、脂質濃度、撹拌速度、注入速度、および脂質の選択などの要因に依存する。調製系は、交差流注入モジュール、極性相(例えば、PBS緩衝液)の容器、エタノール/脂質溶液の容器、および加圧装置、詳細には窒素加圧装置からなり得る。水溶液または極性溶液を交差流注入モジュールを通して送り出しながら、種々の圧力を加えてエタノール/脂質溶液を極性相に注入する。
修飾Aβ抗原性構築物の免疫原性を決定するには、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、トリなどからなる群より選択される適切な動物、詳細にはマウス、特にC57BL/6マウスを抗原ペプチドで免疫する。抗原性構築物の免疫原性は、例えばELISAアッセイ法などの免疫測定法を用いて、免疫化後の適切な時間間隔で血清試料を精査することにより決定する。
修飾抗原性構築物、詳細にはパルミトイル化抗原性構築物、より詳細にはパルミトイル化Aβ1〜15構築物を、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない、アミロイド斑形成に関連した疾患および障害の一群である続発性アミロイドーシスおよび加齢性アミロイドーシスを含むアミロイドーシス、詳細には例えば軽度認知障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とする疾患もしくは病態、または任意の他のアミロイド関連疾患に付随する症状を患う動物、詳細には哺乳動物またはヒトの免疫化に使用する。
本発明による超分子抗原性構築物、詳細には本発明によるそのような超分子抗原性構築物を含むワクチン組成物は、任意の適切な標準的な投与経路により動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与する。一般的に組成物は、局所、経口、直腸内、鼻腔内、または非経口(例えば、静脈内、皮下、または筋肉内)経路で投与することができる。加えて組成物は、生分解性ポリマーなどの徐放性基質中に組み入れることができ、ポリマーは、例えば腫瘍部位など送達が所望される部位の近傍に埋め込む。本方法は、単回投与、所定の時間間隔での反復投与、および所定の期間にわたる持続的投与を含む。
本発明の特定の態様において、本発明による抗原性構築物、詳細には薬学的に許容される剤形としてのそのような抗原性構築物を含むワクチン組成物は、1〜10週間の時間間隔で、詳細には1〜6週間の時間間隔で、より1〜4週間の時間間隔で、さらにより詳細には2〜3週間の時間間隔で、詳細には1〜15回、より詳細には2〜10回、より詳細には3〜7回、さらにより詳細には4〜6回反復投与する。追加免疫後の適切な時点で、詳細には追加免疫の3〜10日後、より詳細には追加免疫の4〜8日後、より詳細には追加免疫の5〜6日後に血清試料を採取し、公知の方法、詳細には例えばELISAアッセイ法などの通常用いられる免疫測定法の1つを用いて抗原性構築物の免疫原性を決定することにより、免疫応答をモニターする。
本発明による抗原性構築物、詳細には薬学的に許容される剤形としての本発明による抗原性構築物を含むワクチン組成物による免疫化により、治療した動物またはヒトにおいて、顕著でかつ非常に特異的な免疫応答が起こる。
本発明の超分子抗原性構築物組成物は、感染性生物などの抗原、またはβアミロイド凝集などの他の病態(アルツハイマー病)もしくは癌などの過増殖性疾患の抗原局面に対する免疫を誘導するために、ヒトまたは動物に投与する。免疫されたヒトまたは動物は、感染性生物に対する循環抗体を生じ、それによって疾患の促進能が低下するまたは不活化される。
本発明の組成物はまた、抗原ペプチドに対する抗体を作製するために用いることができる。得られた抗体を個体に投与することで、個体は、アミロイドタンパク質に関連した疾患を含むがこれに限定されない種々の疾患または障害に対して受動的に免疫される。
したがって本発明の特定の態様では、本発明の超分子抗原性構築物組成物を使用して、例えばアルツハイマー病を含む種々の疾患に特異的な一連のモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を作製する。抗体は、当業者に周知の方法で作製する。
本発明の組成物は、任意の適切な手段、好ましくは注射によりヒトまたは動物に投与する。例えば、リポソーム中に再構成された修飾抗原ペプチドは、皮下注射により投与する。内部で産生されたか、または外部供給源から提供されたかにかかわらず、循環抗体は抗原に結合し、疾患の促進能を低下させるかまたは不活化する。
特定の態様において、超分子抗原性構築物は、βアミロイドのアミノ酸配列を有するペプチドを含む。ペプチドはまた、アミロイドβペプチド全体およびその活性断片を含むか、またはこれらに対応し得る。加えて、本発明に有用なペプチドはさらにAβを含む。
本発明による任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分も含めた抗体を作製する方法、詳細には本発明による任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分も含めたモノクローナル抗体を作製する方法であって、例えばパルミチン酸などの疎水性部分もしくは例えばポリエチレングリコール(PEG)などの親水性部分またはその両方の組み合わせで修飾され、そのような疎水性部分および親水性部分がそれぞれ、例えばリジン、または例えばグルタミン酸およびシステインなどの、ペプチド断片に疎水性部分および親水性部分を結合させるための連結装置として役立ち得る任意の他の適切なアミノ酸もしくはアミノ酸類似体などの、抗原ペプチドの各末端における末端アミノ酸残基に結合している少なくとも1つ、詳細には1つまたは2つのアミノ酸を介して抗原ペプチドの各末端に共有結合している、本明細書に上記した本発明によるAβペプチド抗原、詳細にはAβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、特にβアミロイドペプチドAβ1〜15のアミノ酸配列に対応する抗原ペプチドを含む超分子抗原性構築物に対して抗体、詳細にはモノクローナル抗体を産生させる段階を含む方法をさらに提供する。
そのような方法によって得られる抗体、詳細にはモノクローナル抗体は、記憶障害を患う動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与した際に、治療した動物、哺乳動物、またはヒトにおいて認知記憶能を保持し得るかまたは増加させ得る。本発明のさらなる局面は、例えばパルミチン酸などの疎水性部分もしくは例えばポリエチレングリコール(PEG)などの親水性部分またはその両方の組み合わせで修飾され、そのような疎水性部分および親水性部分がそれぞれ、例えばリジン、またはリンカー分子として役立ち得る任意の他の適切なアミノ酸もしくはアミノ酸類似体などのアミノ酸を介して抗原ペプチドの各末端に共有結合している、本明細書に上記した本発明によるAβペプチド抗原、詳細にはAβ1〜16(Δ15)ペプチド抗原、より詳細にはAβ1〜16(Δ14)またはAβ1〜16(Δ13)ペプチド抗原、さらにより詳細にはAβ1〜14ペプチド抗原、特にβアミロイドペプチドAβ1〜15のアミノ酸配列に対応する抗原ペプチドを含む超分子抗原性構築物に対して産生された、任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含めた抗体、より詳細には任意の機能的に等価な抗体またはその機能的部分を含めたモノクローナル抗体を提供することである。
実施例
実施例1:テトラ(パルミトイルリジン)-Aβ1〜15ペプチド抗原の合成
1.1 合成手順1:
パルミトイル化アミロイド1〜15ペプチドは、改良型の以前に報告された方法(Nicolau et. al. 2002)に従って合成した。この新たなアプローチは、修飾アミノ酸Fmoc-Lys(Pal)-OHを取り込む段階的な固相合成ではなく、予め形成されたペプチドの末端Lys残基へのパルミチン酸の樹脂上接合を含む。この新たなアプローチにより、カップリング効率が改善され、かなり高純度の産物が得られる。したがって、直交保護アミノ酸Fmoc-Lys(Mtt)-OHを、HBTUカップリング化学を用いてWang樹脂に結合させた。DMF中の20%ピペラジンを用いてFmoc基を除去し、Fmoc-Lys(Mtt)-OHの第2残基を結合させた。次いで、Fmoc/tBu化学および標準的な側鎖保護基を用いる標準的な自動化ペプチド合成を用いて、次の15アミノ酸を結合させた。最終的に、最後の2つのアミノ酸Fmoc-Lys(Mtt)-OHを結合させた。次いで、ジクロロメタン中の1% TFAを用いてMtt基を選択的に切断した後、HBTUを用いてパルミチン酸に結合させた。樹脂を洗浄した後、N, N-ジメチルホルムアミド(DMF)中の20%ピペラジンでFmoc基を除去し、最終的に標準的な条件下においてTFAを用いて、樹脂の切断および側鎖の脱保護を同時に行った。冷ジエチルエーテルからの
倍散によって、産物が白色固体として得られた。エレクトロスプレー質量分析により産物の同一性が確認され(予測されるm/z:1097.9 ([M3+]);実際のm/z:1096.8 ([M-3H]3+)、その他のトリ-、ジ-、およびモノ-パルミトイル化ペプチドは検出されなかった。
1.2 合成手順2:
予め形成されたペプチドの末端リジン残基へのパルミチン酸の樹脂上接合に基づく、テトラ(パルミトイルリジン)-Aβ1〜15ペプチド抗原の合成には、別のアプローチを用いることもできる。したがって、2-クロロトリチル樹脂に直交保護アミノ酸Fmoc-Lys(ivDde)-OHを結合させた。Fmocの脱保護後、第2 Fmoc-Lys(ivDde)-OHを結合させ、その後Fmoc/tBu化学および標準的なアミノ酸側鎖保護基を用いる標準的な自動化ペプチド合成を15ラウンド行った。最後の2つのFmoc-Lys(ivDde)-OH残基の結合後、DMF中の20%ピペラジンを用いてFmoc基を除去し、二炭酸tert-ブチルを用いてN末端をBoc基で保護した。次いで、DMF中の3%ヒドラジンで処理してivDde保護基を化学選択的に除去し、その後HBTUを用いてそれぞれ18時間の2回のカップリングにより、これらの4つのリジン残基にパルミチン酸を結合させた。樹脂の洗浄後、標準的な条件下でTFA-TIPSを用いて、側鎖を脱保護した。冷ジエチルエーテルからの倍散によって、産物が白色固体として得られた。MALDI-Tofにより産物の同一性が確認され、その他のトリ-、ジ-、およびモノ-パルミトイル化ペプチドは検出されなかった。
リポソームワクチンは、US6843942およびEP1337322に記載されている方法を用いて調製した。
実施例2:N末端およびC末端脂質-PEG βアミロイドペプチド抗原の合成
パルミトイル化は、C16:0脂肪酸部分の比較的短い長さのためにリポソーム二重層内でペプチドのアンカーを提供し、ペプチドは実際にリポソーム表面上に提示される。したがって、抗原を処理する細胞は、ペプチドと共にリポソーム全体を取り込まなくてはならず、相対的にゆっくりと免疫応答が起こると考えられる。
免疫応答を増強するため、例えばポリエチレングリコール(PEG)などの別のアンカー/スペーサーを適用して、リポソーム中にペプチドを再構成した。ペプチドの両末端に結合しているリジン残基に、PEGを共有結合させた。鎖のもう一方の末端(PEG n=70)には、ホスファチジルエタノールアミン(PEA)が共有結合しており、これはリポソーム二重層内で繋留成分として機能する。したがって、リポソームはやはりアジュバントとして機能し、二重層から十分に遠く離れているペプチドは単独で処理され得て、そのためパルミトイル化抗原と比較して免疫原性が増加する。
N-α位におけるペプチドのモノペグ化の方法は公知であり、広く用いられている。中程度の大きさのペプチドの内部、N末端、またはC末端アミノ酸残基における部位特異的モノペグ化もまた、固相またはペプチド接合アプローチに従って記載されている。
立体障害の問題を回避するために、反応は液相で行った。この功を奏したアプローチは、標準的なFmoc/tBuアミノ酸側鎖保護を用いるペプチド配列の合成を含んだ。内部Lys残基またはHis残基を含むこれらのペプチド配列(1〜16、1〜15)については、直交保護Lys(ivDde)を各末端に付加した。合成を促進するため、さらなるGlyをC末端に付加した。DMF中の20%ピペラジンでFmoc基を除去し、無水酢酸を用いてN-アセチル化した。ivDde基の選択的切断は、DMF中の3%ヒドラジン水和物を使用して1時間かけて達成した。2-クロロトリチル樹脂は、広く使用されているWang樹脂よりも優れており、それは前者がヒドラジン分解により強い抵抗性を示すことが判明したためである。さらに、2-クロロトリチル樹脂は極めて酸感受性が高く、そのためWang樹脂とは異なり、保護ペプチドの単離が可能となる。樹脂に結合したペプチドの、活性化済みペグ化脂質試薬DSPE-PEG-SPAへの結合では、いかなるカップリング産物も生じなかったため、実際には、カップリング反応は液相で行う必要があった。したがって、穏和な条件下(酢酸/トリフルオロエタノール/ジクロロメタン、1:1:8、1時間、室温)における樹脂からの選択的切断により、内部保護ペプチドを得た。
液相カップリングは、DMSOおよび過剰塩基中のDSPE-PEG-SPAに対して配列1〜16、1〜15由来のペプチドを使用して成功した。次いで、過剰なエタノールアミンを添加し2時間置くことで反応を停止させ、溶液を凍結乾燥させた。
HPLC(半分取逆相C4カラム)による精製により、MALDIにより同一性が確認された、50〜70%純度のN末端およびC末端PEG-脂質複合体が得られた。各配列はカップリング反応の容易さにかなりのばらつきを示したため、条件(温度、DSPE-PEG-SPAのモル当量、時間)を調節した。所望の産物からの過剰なDSPE-PEG-SPAの分離には、HPLC精製を適用する。最終的な側鎖の脱保護に先立つモノ-およびジ-結合産物の分離は、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて達成し得る。その後のペプチド側鎖の脱保護および過剰な消光DSPE-PEG-SPAの分離により、許容される純度を有する所望の複合体が単離される。
ペグ化およびパルミトイル化抗原
Figure 2013126993
実施例3:構造および高次構造解析
3.1 再構成された抗原の高次構造の解析
リポソーム表面上に抗原Aβ1〜15を繋留するため、以前に記載されている通りに、直列のパルミトイル化リジンをペプチドの各末端で使用した(Nicolau, C. et al, 2002)。
パルミチン酸の脂肪酸は、リポソーム二重層への安定した挿入に適した長さを有することが示されている16個の炭素原子を含む。この構築物では、C16脂肪酸部分の長さのために、ペプチドは実際にリポソームの表面上に提示される。異なる高次構造の、リポソーム-リピドAと会合した抗原ペプチドを得ることを目的として、別のアンカー/スペーサー、すなわちポリエチレングリコール(77個の反復単位を有するPEG)を用いて、ペプチドAβ1〜16(ACI-01)をリポソーム中に再構成した。リポソーム中に再構成されたアミロイド配列の二次高次構造に及ぼす、リポソームアンカーとAβペプチドとの間のスペーサーの影響を、円二色性により測定した(図1a)。ペグ化Aβ1〜16は、ランダムコイルまたは非構造化タンパク質高次構造をとると考えられるのに対し(210 nmにおける負のシグナル、および260 nmまでのゼロ軸へのゆっくりとした接近)、パルミトイル化ペプチドAβ1〜15は、顕著な割合のβシート高次構造を含む(210 nmまでの正のシグナル、次のゼロ軸の通過、および260 nmまでのゼロ軸への再度の接近)。したがって、パルミトイル化ペプチドのリポソーム表面への近接性により、明確な二次高次構造が強いられ得ると考えられる。これは、ペプチドとリポソーム表面との静電気的相互作用による可能性があり、これはペグ化ペプチドでは不可能であると考えられる。
3.2 リポソーム中に再構成されたパルミトイル化βアミロイド1〜15の構造解析
リポソーム中に再構成されたβアミロイド1〜15ペプチドの高次構造に及ぼす異なるリンカー分子の影響を解析するため、NMR解析を行った(図1bおよび1c)。ここでは、パルミチン酸およびポリエチレングリコール(n=77のPEG)をそれぞれ、リンカー分子またはリポソームへのアンカーとして使用した。
NMR試験のため、リポソーム中に再構成されたパルミトイル化アミロイド1〜15(ACI-24)およびペグ化Aβ1〜16抗原(ACI-01)ペプチドを含む試料を、ボルテックスにより均質化し、遠心分離(3000 rpm、4℃で90分を3回)により溶液の濃度を増加させ、得られた湿ペレットをMASローターに移した。ACI-01およびACI-24ペプチド調製物をPBS緩衝液、pH 7.2に1 mMの濃度で懸濁して、さらなる試料を調製し、またリンカーを含まないペプチド配列を同じ緩衝液で4 mM溶液として調製した。10% D2Oを各試料に添加した。
4 mm三重共鳴(1H/13C/2H) HR-MASプローブを備えた周波数500.13 MHz(11.4T)で作動するBruker Avance 500分光計で、1H HR-MAS NMRスペクトルを記録した。各試料を、50μL円柱状挿入口を装着した4 mm ZrO2ローターに導入した。すべてのNMR実験に関して、試料を、スペクトルからスピニングサイドバンドを除去するスペクトル幅(6250 Hz)と等しい周波数で回転させた。1000〜1500スキャンを蓄積することにより、事前飽和およびWatergate配列の両方で、一次元プロトンNMRスペクトルを獲得した(Piotto, M. et al (1992);Piotto, M., et al (2005))。プローブ中への軸受け気流の温度は、試料中の298Kを保証するために295Kに設定した。
図1bおよび1cから、パルミトイル化およびペグ化βアミロイドペプチドの一次元NMRスペクトルにおける相違が示される。8.00および8.25 ppmにおける2つの顕著な相違が認められ得る。両ペプチドが16番目のリジンを除いて全く同じアミノ酸配列を有するという事実により、リジンは芳香族アミノ酸残基のこのスペクトル領域で正のシグナルを生じるはずがないという理由で、8.00および8.25 ppmにおけるこれらの相違から二次構造の相違が示される。
芳香族アミノ酸残基の領域における一次元プロトンNMRスペクトルにより、本発明による超分子構築物の特定の設計が、リポソーム中への再構成時に、異なるリンカー分子によって異なる、独特で、非常に特異的でかつ顕著な二次構造を有するアミロイド抗原ペプチドをもたらすことが実証され得る。このことは、リンカー/アンカーによって、ペプチドが、使用したリンカー分子に依存する特定のまたは明確な二次構造に強いられるおよび固定されることを意味し得る。これらの分子を能動免疫用のワクチンとして使用した場合、これらの構造的に異なる抗原に対して産生される抗体は、抗原および高次構造特異的である可能性が高い。
パルミトイル化Aβ1〜15およびペグ化Aβ1〜16抗原によるAPP x PS-1マウスの免疫化後に、ELISAおよびORT(認知記憶試験としての物体認識課題)により得られた以前のデータから(以下の実施例を参照されたい)、いずれも同じ免疫原性を示すものの、パルミトイル化抗原のみがこのアルツハイマー病疾患モデルにおいて記憶障害を回復させることが示される。同じペプチドを提示する2つの抗原がインビボで2つの異なる機能的抗体をもたらす潜在的機構は、リンカー技術によって生じる提示ペプチドの異なる二次構造に関連している可能性が最も高い。
実施例4:外部および内部配向再構成ペプチドの定量
ACI-01およびACI-24における再構成ペプチドの量を、一級アミンと特異的に反応して強い蛍光を発する共有結合付加体を形成する、フルオレスカミン(FLA)に基づくアッセイ法により確定した(Udenfriend, S. et al, 1972)。FLAとACI-24中のPal1〜15ペプチドのN末端およびACI-01中のLys-16との反応が予測される。
リポソーム中のペプチドから遊離ペプチドを分離するため、試料を超遠心に供し、得られた上清をFLAアッセイ法によりペプチド含量について解析した。ACI-01およびACI-24上清のいずれにおいても、遊離ペプチドは検出されなかった。
FLAによるペレット化画分の標識により、ACI-24およびACI-01のいずれに関しても、リポソーム中のペプチドとの反応の非常に高い選択性が示された。リポソーム表面上に存在する全ペプチドを決定するため、脂質二重層を破壊する目的でTriton X-100(PBS中の2%)の存在下でアッセイを繰り返した。これにより標識の顕著な増加が起こり、ペプチドの約63%が外膜表面上に露出していることが明らかになった。一方、FLAによるACI-01の標識は1.2 mM FLAでプラトーに達し、この濃度において、発光はアッセイをTriton X-100の非存在下または存在下で行った場合に同じである。このことから、すべてのペプチドが、ペグ化ワクチンACI-01の表面上に露出していることが実証される。
実施例5:野生型C57BL/6マウスにおけるペグ化およびパルミトイル化抗原の免疫原性の比較(ELISA)
リポソーム抗原を記載の通りに調製した(Nicolau et al., 2002)。抗原ペグ化Aβ1〜16(Δ14)、Aβ4〜11、およびパルミトイル化Aβ1〜15を、40 mg/mMリン脂質のモノホスホリルリピドA(Sigma-Aldrich、米国、ミズーリ州、セントルイス)を含む、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPEA)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、およびコレステロール(モル比0.9:0.1:0.1:0.7)で作製されたリポソームからなる構築部中に再構成した。
ペグ化Aβ1〜16(Δ14)、Aβ4〜11、およびパルミトイル化Aβ1〜15(ACI-24)抗原を、2週間間隔でC57BL/6マウスの免疫化に使用した。動物10〜12匹を各抗原で免疫した。追加免疫の5日後に血清を採取し、いくつかの血清希釈物でELISAを行った。異なる抗原の免疫原性を示す比較結果が示される。
ELISAデータから、リポソームPEG-Aβ1〜16(Δ14)がパルミトイル化Aβ1〜15よりも有意に免疫原性が高いことが示された。付加的なミョウバンは、マウスにおいてPEG-Aβ1〜16(Δ14)の免疫原性を増強しなかった。PEG-Aβ4〜11によって誘導された抗体応答は、PEG-Aβ1〜16(Δ14)と比較してより遅かった。
より速い免疫応答がより高い記憶能に転換するかという疑問により、二重トランスジェニックアルツハイマー病マウスモデルにおいて、ペグ化抗原をパルミトイル化抗原と比較した。
別法は、US6843942およびEP1337322に記載されている通りに行い得る。
実施例6:アルツハイマー病マウスモデルにおけるペグ化およびパルミトイル化抗原の免疫原性の比較(ELISA)
6.1 インビボ免疫化試験に関しては、APP717 C57BL/6 x PS-1 A246E FVBマウス(APPxPS-1マウス)を個々に収容し、二重盲検式に無作為化し、年齢を適合させ、PCRにより遺伝子型を同定した
いずれもマウスthy1遺伝子プロモーターの制御下において変異体ヒトアミロイド前駆体タンパク質(APP-V717I)および変異体プレセニリン-1(PS1-A246E)を発現し、F1(FVB x C57Bl)遺伝的背景にある二重トランスジェニックマウス系統の若齢(3〜4か月齢)雌マウスを使用した。マウスはすべて3週間齢の時点でポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により遺伝子型を同定し、各マウスを一意的に標識した。マウスはすべて、試験の開始時であって、異なる実験群への盲検無作為化の前に行う2回目のPCRにより、生涯期間中に2回遺伝子型を同定した。マウスは、水および標準的なマウス固形飼料(Muracon-G、Trouw Nutrition、ベルギー、ヘント)を自由に利用できた。動物保護の地域立法に従って、マウスは、標準的な金属ケージ中に昼夜逆転リズム下で収容した。行動試験を開始する5日前に、マウスをmacrolon 2型ケージに収容し、気候順化させ、試験実験室の環境に慣らすために行動実験室に移した。
6.2 免疫化
リピドAを含むリポソームをアジュバントとして使用して、抗アミロイドワクチンを調製した(Nicolau et al., 2002)。ジミリストイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、およびコレステロールをモル比0.9:1.0:0.7で混合した。強力な免疫調節剤であるモノホスホリルリピドAを、40 mg/mmolリン脂質の濃度で添加した。パルミトイル化およびペグ化ペプチドを、ペプチド:リン脂質のモル比1:100で添加した。溶媒を蒸発させ、得られた膜を最終リン脂質濃度4 mmolとなるように滅菌PBS(pH 7.3)で水和させた。
パルミトイル化(ACI-24、Aβ1〜15)およびペグ化(ACI-01、Aβ1〜16)抗原を、2週間間隔でAPPxPS-1マウスの免疫化に使用した(隔週で5回の腹腔内接種)。各実験群において、動物10匹を腹腔内注射(注射当たり、ペプチド8 nモルを含む200μl)により各抗原で免疫した。空のリポソームを対照とした。一定間隔(隔週)で、および追加免疫の5日後に血清を採取し、いくつかの血清希釈物で抗アミロイドELISAを行った。異なる抗原の免疫原性を示す比較結果が示される。
6回目の抗原接種の5日後に、パルミトイル化およびペグ化リポソーム/Aβ抗原免疫化APPxPS-1マウスにおいて、顕著な免疫応答が達成された。しかし健常C57BL/6マウスにおける免疫応答とは対照的に、疾患モデルにおいては、ペグ化抗原はパルミトイル化抗原よりも高い抗体力価を生じなかった。
抗Aβ特異的IgG免疫応答はACI-24でより迅速に増加し、5週間後にピークに達した。両ワクチンは顕著に異なる免疫グロブリンのクラスおよびアイソタイプを誘発し、ペグ化ACI-01がIgMクラスの抗体をより多くの誘発したのに対して、パルミトイル化ACI-24抗原はより高いIgG力価をもたらした。すべての動物に由来する最終血液試料もまた、そのIgGアイソタイプについて解析した(図2)。
1〜42特異的IgGおよびIgM抗体を、ELISAにより同定した。プレートを10μg/mlアミロイドβ1〜42で、4℃で一晩被覆した。各ウェルをPBS-0.05% Tween 20で洗浄し、1% BSAでブロッキングした後、血清の段階希釈物をプレートに添加し、37℃で2時間インキュベートした。洗浄後、プレートをホスファターゼ結合抗マウスIg(IgG、全抗体、Sigma-Aldrich、米国、ミズーリ州、セントルイス)またはアイソタイプ特異的抗体(Pharmingen BD、米国、カリフォルニア州、サンディエゴから購入したIgM、IgG1、IgG2a、およびIgG3、ならびにZymed Laboratories、カリフォルニア州、サンフランシスコから購入したIg2b)と共に37℃で2時間インキュベートした。最終的な洗浄後、プレートをホスファターゼ基質であるPNPP(パラ-ニトロ-フェニル-リン酸)と共にインキュベートし、ELISAプレートリーダーを用いて405 nmで読み取りした。結果は、免疫した成体マウス由来の血清の力価測定済みプールの段階希釈物、または市販抗体(6E10、Chemicon International、米国、カリフォルニア州、テメキュラ)の段階希釈物を参照して表す。または結果は、いずれの血清も飽和レベルでない希釈におけるO.D.として表す(表1)。
Figure 2013126993
ACI-24は主として、いずれも主に非炎症性Th2サブタイプであるアイソタイプIgG1およびIgG2b、ならびにまたT細胞非依存性IgGサブクラスであるIgG3をもたらした。ACI-24をワクチン接種した動物1匹を除いて、いずれのワクチンも非常に低レベルのIgG2a(Th1)を誘導するに過ぎなかった。
得られた抗体のエピトープマッピングを、Aβ1〜42の完全なアミノ酸配列を網羅する全部で33種のビオチン化ペプチドを含むペプチドライブラリーを用いてELISAにより行い、ビオチン化完全βペプチドを陽性対照とした。ACI-01およびACI-24の両ワクチンによる免疫化により、Aβのアミノ酸1〜9(ペプチド1)によって限定される同じエピトープを有する抗Aβ抗体が生じた。加えて、ELISAアッセイ法をAβ1〜42線維に適合化することによって、得られた抗Aβ抗血清のポリマーAβへの特異的結合を測定することにより、最終的な高次構造依存性を解析した。ACI-24による免疫化により、ACI-01で免疫したマウスによって産生される抗血清よりも顕著に高い力価の、Aβ1〜42線維を認識する抗Aβ抗体が産生された(表2)。得られた結果から、ACI-01およびACI-24による免疫化により、力価、サブクラス、およびIgアイソタイプの点のみならず、高次構造特異性の点でも異なる免疫応答が生じるということになる。
Figure 2013126993
実施例7:アルツハイマー病マウスモデルの認識能におけるペグ化およびパルミトイル化抗原の比較(ORT)
7.1 APP x PS1アルツハイマー病マウスモデルにおける非空間的海馬依存的記憶能の改善に対する影響
パルミトイル化(ACI-24、Aβ1〜15)およびペグ化(ACI-01、Aβ1〜16)抗原を使用する活性抗Aβ1〜16/1〜15ワクチン接種による3か月間の免疫化における、APP x PS1アルツハイマー病マウスモデルにおける非空間的海馬依存的記憶能の改善に対する影響を解析するため、物体認識試験(ORT)を本質的に記載の通りに行った(Tang et al. 1999;Rampon et al. 2000)。統計解析は、記載通りにANOVA Turkey-Kramer多重比較検定を用いて行った(Moechars, D. et al (1999)および(1996))。この検定は、Windows用GraphPad InStatバージョン3.06、GraphPad Software、米国、カリフォルニア州、サンディエゴ、www.graphpad.comを用いて行った。
簡潔に説明すると、ACI-01およびACI-24による6回の隔週接種という3か月間の免疫化スケジュールを設定した。1つのマウス群には、対照として空のリポソームを接種した。マウスを1時間かけて、黒色垂直壁、および箱の下に置いたランプによって弱い光が当てられる半透明の床を有するプレキシグラスのオープンフィールド箱(52 x 52 x 40 cm)に慣らした。翌日、動物を同じ箱に入れ、10分間の獲得試行に供した。この試行では、マウスを物体A(球体または立方体)の存在下でオープンフィールド内に個別に入れ、物体Aを探索するのに費やした時間(動物の鼻が< 1 cmの距離で物体に向いた時)を測定した。3時間後に実施した10分間の記憶力試行(2回目の試行)では、新規物体(物体B:立方体または球体)を見慣れた物体(物体A)と共にオープンフィールド内に入れた。動物が2つの物体を探索するのに費やした時間(tAおよびtB)を記録した。両物体を探索するのに費やした時間に対する新規物体の探索に費やした時間の比[(tB/(tA + tB)) x 100]として定義される認識指標(RI)を、非空間記憶の測定に使用した。統計解析は、記載通りにANOVA一因子を使用して行った((Moechars et al. 1999;Moechars et al. 1996))。
パルミトイル化(ACI-24)およびペグ化(ACI-01)抗原を、2週間間隔でAPPxPS-1マウスの免疫化に使用した。3か月齢の動物10匹を各抗原で腹腔内より免疫し(各腹腔内注射および100μgペプチド当たり200μl)、空のリポソームを対照とした。追加免疫の5日後に血清を採取し、いくつかの血清希釈物でELISAを行った。比較結果より、異なる抗原の免疫原性が示される。
パルミトイル化(ACI-24)およびペグ化(ACI-01)したAβ抗原で免疫したAPPxPS-1トランスジェニックマウスの認知能を、海馬活性に依存することが知られている物体認識課題にマウスを供することにより、非空間的視覚認識記憶のパラダイムで評価した((Tang et al. 1999)、(Rampon et al. 2000))。基本的には、すべてのマウスを所与の物体に慣らす訓練の3時間後に、見慣れた物体に加えてその隣にある新規物体とマウスを直面させることにより、マウスを記憶力について試験した。
APP x PS-1マウスの記憶力または認知記憶能は、対照処理APP x PS-1マウスと比較して、パルミトイル化Aβ1〜15抗原(ACI-24)による免疫化によって有意に増加したと考えられる(76.1±3.9% 対 対照の49.1%±4.5%;表3)。このことから、ACI-24免疫化マウスが最初の物体を少なくとも3時間認識し覚えており、そのためその意欲および探索能が、健常な非処置かつ非トランスジェニック野生型マウス(61.8±5.1%)と比較して、健常な年齢、性別、および系統適合マウスのように無傷であったことがわかる。ACI-01ペプチドはACI-24ペプチドよりもC末端アミノ酸が1つだけ長く(16番目のリジン)、これらのワクチン間ではリンカー技術が異なるに過ぎないが、ペグ化Aβ1〜16抗原(ACI-01)による免疫化は、ACI-24に匹敵する記憶回復を示さない(45.6±6.2%)。
Figure 2013126993
n.s.*:有意でない
7.2 認知機能に対する異なる抗体クラスIgMおよびIgGの潜在的寄与
認知機能に対する異なる抗体クラスIgMおよびIgGの潜在的寄与を解析するため、相関解析を行った。
IgM抗体は記憶能と相関しなかったが(r2=0.2333)、得られたIgGクラスの抗体は記憶能の程度(ORT指標)と2相でほぼ相関した(r2=0.857)。0〜20のORT指標ではより直線的な相関が認められ、20よりも高いORT指標では相関は飽和相に入った。このことから、血液脳関門を通過しないIgM抗体は記憶の回復に寄与しなかったことが示され得る。対照的に、IgG抗体は、そのサブクラスに応じて血液脳関門を通過し、記憶の改善と関連している。
APPxPS-1マウスの脳における可溶性および不溶性アミロイドペプチドの量を変更するACI-24免疫化の能力を評価するため、ヒトAβ1〜40およびAβ1〜42を、脳ホモジネートの可溶性画分での特異的ELISAにより測定した。市販のELISAキットを使用した(アミロイドβ40またはβ42 ELISA、The Genetics Company、スイス、チューリッヒ)。ELISAは製造業者の手順に従って行った。試料のAβ含量の定量は、吸光度を、合成Aβ1〜40またはAβ1〜42で作成した検量線と比較することによって求めた(表4)。
Figure 2013126993
n.s.* 有意でない
データは平均値(Aβ ng/g脳ホモジネート±SEM)で表す
ACI-24による免疫化によって、斑に関連した不溶性Aβ1〜40およびAβ1〜42の有意な減少が起こった。可溶性Aβ1〜42レベルもまた有意に減少したが、可溶性Aβ1〜40のレベルは減少傾向を示すに留まった。
実施例8:炎症を引き起こさないACI-01およびACI-24による免疫化
両リポソームワクチン、ACI-01およびACI-24の安全性を、炎症性サイトカインIL-1β、IL-6、IFN-γ、およびTNFαの局所的産生を特異的ELISAにより測定することによって評価した。TNF-α、IFN-γ、IL-6、およびIL-1βのレベルは、製造業者の手引き書に従ってサンドイッチELISAを使用して(すべてR&D Systems、米国、ミネソタ州、ミネアポリス)、全脳ホモジネートで測定した。結果は、組換えサイトカインの段階希釈物への参照により、pg/mlで表す。鉤状回の領域における脳中の活性化ミクログリア細胞(MHCII)およびアストログリオーシス(GFAP)の程度を、定量的免疫組織化学により評価した。
ACI-01およびACI-24のいずれによる免疫化によっても、脳におけるIL-1β、IL-6、IFN-γ、およびTNFαのレベルは顕著に増加しなかった。同様に、ACI-24による免疫化に際してアストログリオーシスの変化は認められなかったが、活性化ミクログリアの程度は、免疫化の3カ月後に減少傾向を示した。
実施例9:mAbの作製
パルミトイル化抗原(ACI-24、Aβ1〜15)を、2週間間隔でC57BL/6マウスの免疫化に使用した。動物10〜12匹を各抗原で免疫した(注射量:8 nモルペプチドを含む200μl)。最後の注射は、動物の屠殺の4日前に行った。5回の追加免疫の後、治療力価を有する(1:5,000希釈の血清がELISAで陽性であった)マウスを融合に選択した。免疫した動物から脾細胞を回収し、感作脾細胞を骨髄腫細胞株と融合してハイブリドーマを作製した。脾臓由来のマウスBリンパ球の融合は、Kohler and Milstein(Nature 256: 495-497 (1975))およびHarlow and Lane(Antibodies: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1988))の周知の工程を使用して、骨髄腫細胞株SP2-0(ATCC、ヴァージニア州、マナッサス)の細胞と行った。
細胞は、ポリエチレングリコールの添加により融合を誘導する。次いで、得られたハイブリッド細胞を、従来の様式で、例えば限界希釈によりクローニングし、IgG産生ハイブリドーマクローンを選択し、ELISAによってAβ1〜42ペプチドへの特異的結合について試験し、所望のモノクローナル抗体を産生する得られたクローンを培養する。
そのようにして得られるハイブリドーマは、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT)を含む選択培地中で細胞をプレーティングすることにより、化学的に選択する。
続いて、ハイブリドーマを、特定のアミロイド関連疾患または障害に対するモノクローナル抗体を産生する能力に関してスクリーニングする。関心対象の抗体を産生するハイブリドーマをクローニングし、拡大し、さらなる産生のために凍結して保存する。好ましいハイブリドーマは、IgGアイソタイプ、より好ましくはIgG2アイソタイプを有するモノクローナル抗体を産生する。
実施例10:抗体mACI-24-Ab4の特異性の決定
抗体ACI-24-Ab4の特異性を解析するため、前もって形成された種々の濃度のアミロイド1〜42、1〜40、および1〜38原線維を、Hybond ECLニトロセルロース膜(Amersham Biosciences)にブロットした。10%ドライミルクおよび0.7% Tween 20でブロッキングした後、膜を20μg/mlの一次抗体と共に室温で2時間インキュベートした。洗浄後、膜を西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヒツジ抗マウスIgG抗体(Amersham Biosciences)と共に室温で1時間インキュベートし、洗浄し、化学発光溶液と共にインキュベートした後、膜をX線フィルムに露光した。
アミロイドβ1〜42線維に対するmAb(mACI-24-Ab4)の結合を測定するため、Aβ1〜42、1〜40、および1〜38線維を37℃で7日間かけて前もって形成し、膜にブロットした。20μg/ml抗体を使用して結合能を測定し、結合した抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヒツジ抗マウスIgG抗体に20分間曝露して検出した。
ドットブロット解析によって示され得るように、抗体mACI-24-Ab4は、前もって形成された種々のAβ線維に種々の感受性で結合する。抗体は、Aβ1〜40またはAβ1〜38よりも、Aβ1〜42線維に対して最も高い結合感受性を示す。少なくとも0.001μgのAβ1〜42線維を検出できるのに対して、Aβ1〜40線維に関する抗体の検出限界は少なくとも0.1μgであり、Aβ1〜38線維に関する抗体の検出限界は1μgであり、これらの種類のアミロイド線維に関して感受性が100倍〜1000倍低いことが示される。これらのデータから、抗体ACI-24-Ab4が、二次高次構造の変化によって不溶性となること、およびアルツハイマー病患者の脳におけるアミロイド斑の主要な部分であることが知られているアミロイド型(1〜42)に対して少なくとも100倍感受性が高いことが実証される。
実施例11:密度勾配超遠心による分画
1〜42線維重合の阻害およびAβ1〜42線維の脱凝集におけるモノクローナル抗体の特性を、抗体を伴うおよび伴わないインキュベーション後に得られる異なる大きさのペプチド線維を分配するという原理に基づく、予め形成された勾配(OptiPrep(商標))での密度勾配超遠心、およびその後のSDS-PAGE沈降解析によって試験した(Rzepecki et al., 2004)。前もって形成されたAβ線維の集団、同時にインキュベートした抗体の脱凝集および凝集阻害特性、ならびに抗体の線維への結合の同時解析は、本方法の明白な利点である。
1〜15に対するモノクローナル抗体(mACI-24-Ab4)を、脱凝集および阻害アッセイですべて解析した。
1〜42凝集の阻害に関しては、Aβ1〜42単量体を、Aβの最終濃度を50μMとし、2つの異なるモル比のmABと共にインキュベートした(MAbよりも30倍または100倍高い単量体Aβ1〜42のモル比)。37℃で24時間インキュベートした後、試料をOptiprep(商標)の非連続的な勾配上に重層し、チューブを259 000 g、4℃で3時間遠心した。画分1が勾配の上部に由来する最も密度の低い画分であり、画分15が勾配の底部に由来する最も密度の高い画分である、15画分を回収した(各140μL)。ペレットもまた採取した。回収した画分を、SDS-PAGEおよび銀染色により解析した。阻害アッセイ用のAβ1〜42の濃度は脱凝集アッセイ用の濃度よりも5倍低く、これによりアミロイド凝集速度が減少して、直線相での測定が保証される。
mAbを添加しないと、Aβペプチドは24時間のインキュベーション時間後に凝集し、大部分のタンパク質は画分13〜ペレットに認められ(ペレット、ごくわずかに12に存在)、Aβペプチド単量体の完全な重合が実証された。功を奏した顕著な凝集阻害により、線維またはオリゴマーは減少するはずであり、これはより低い密度の画分中に認められるはずである。凝集アッセイにおいて、mACI-24-Ab4により、大部分のバンド(最も強いバンド)が13から11および12に移行し、画分13〜沈殿に及ぶバンドの顕著な可溶化が起こった。これらのことから、mACI-24-Ab4が、Aβペプチド単量体の線維への重合を阻害する強い能力を示し、Aβ線維への特異的結合を表した(画分11および12において)ことが示される。
MAbとの同時インキュベーション(2つの異なるモル比1:30および1:100のMab + Aβ最終濃度246μMの単量体Aβ1〜42)による前もって形成されたAβ1〜42の脱凝集のため、試料を37℃で24時間インキュベートした。24時間後、上記におよび以前に記載されている通りに、試料を超遠心により分画し、SDS-PAGEにより分離した(Rzepecki et al., 2004)。
凝集アッセイと同様に、画分12〜P(ペレット)におけるAβ1〜42線維単独の分布により、完全な線維重合が示され得る。線維のより低い密度の画分への移行から、前もって形成された線維と同時インキュベートした場合の抗体の脱凝集活性が示される。モル比1:100のmACI-24-Ab4の添加により、アミロイド線維の大部分の12から11への移行が示された。したがって、mACI-24-Ab4はまた強い脱凝集活性を示す。
実施例12:アルツハイマー病マウスモデルでの認知能保持試験におけるパルミトイル化抗原および補体活性化阻害剤の併用適用(ORT)
既に過剰活性化された補体系のワクチン接種によるさらなる促進によって起こる神経学的合併症などの潜在的副作用を妨げるため、パルミトイル化(ACI-24、Aβ1〜15)抗原を、TP10(可溶性ヒト補体受容体1)、エクリズマブ(抗ヒト補体タンパク質C5)、パキセリズマブ(抗C5補体)、天然C1阻害剤Cetor(登録商標)(C1エステラーゼ阻害剤N(C1-esteraseremmer-N))、および天然ヒトC1阻害剤からなる群より選択される補体阻害剤と併用して投与する。
補体阻害剤は、パルミトイル化(ACI-24、Aβ1〜15)抗原によるヒト患者のワクチン接種の前に、またはその直後に投与する。
補体阻害剤をパルミトイル化(ACI-24、Aβ1〜15)抗原によるワクチン接種の前に投与する治療適用では、補体化合物を、ワクチン接種の最大20時間前に始まりワクチン接種の直前に終わる時間範囲内で投与する。(適用計画1)
補体阻害剤をパルミトイル化(ACI-24、Aβ1〜15)抗原によるワクチン接種の後に投与する治療適用では、補体化合物を、ワクチン接種の直後に始まりワクチン適用の1日後に終わる時間範囲内で投与する。(適用計画2)
12.1 TP10(可溶性ヒト補体受容体1)
TP10を使用するヒト治験において、TP10濃度を、CPB後の24時間の間、100μg/mL〜160μg/mLの範囲に維持することが好ましいことが見出された。そのような濃度範囲を達成するためには、0.5時間にわたって初期用量10 mg/kgを投与し、その後23.5時間にわたって10 mg/kgを投与することが最も適切である(Li JS, Am Heart J. 2004 Jan;147(1):173-80.)
パルミトイル化(ACI-24、Aβ1〜15)抗原によるワクチン接種は、適用計画1に従ってTP10の所望濃度が達成された後に、または適用計画2に従って初期用量の10 mg/kg TP10を適用する前に行う。
12.2 エクリズマブ(抗ヒト補体タンパク質C5)
エクリズマブ(600 mg)は4週間にわたり週1回点滴によって投与し、その1週間後に900-mg用量を投与し、その後12週目まで隔週でさらに900-mg用量を投与する(Hillmen P, N Engl J Med. 2004 Feb 5;350(6):552-9.)。
長期治療の場合、エクリズマブは、12〜14日ごとに900 mg用量を投与することができる。(Hill A, Blood. 2005 Oct 1;106(7)2559-65. Epub 2005 Jun 28.)
パルミトイル化(ACI-24、Aβ1〜15)抗原によるワクチン接種は、適用計画1に従って最初の600 mg用量のエクリズマブを投与した後に、または適用計画2に従って初期用量の600 mgエクリズマブを投与する前に行う。
場合によっては、最初の4ラウンドのエクリズマブ投与が終了し、ヒト体内で安定した定常状態濃度が達成された4週目に初めて、適用計画1を適用することがより適切である場合がある。
12.3 パキセリズマブ(抗C5補体)
パキセリズマブは、10分間にわたる2.0 mg/kgボーラスとして静脈内投与し、ボーラス投与後に、20時間にわたる1.0 mg/kg(http://circ.ahajournals.org/cgi/content/full/ 106/23/2986-a)または24時間にわたる0.05 mg/kg/時間の点滴を行い得る。
パルミトイル化(ACI-24、Aβ1〜15)抗原によるワクチン接種は、適用計画1に従って最初の2.0 mg/kgボーラスのパキセリズマブを投与した後に、または適用計画2に従って初期2.0 mg/kgボーラスのパキセリズマブを投与する前に行う。
場合によっては、点滴による2回目の適用を完了し、ヒト体内で安定した定常状態濃度が達成されて初めて、適用計画1を適用することがより適切である場合がある。
12.4 天然ヒトC1阻害剤
C1阻害剤は、6.25〜100 U/kgの用量で投与する(van Doorn MB, , Allergy Clin Immunol. 2005 Oct;116(4):876-83. Epub 2005 Aug 8.)
または、低温殺菌されたC1エステラーゼ阻害剤濃縮製剤を500〜1000 IUの用量で投与することができる(De Serres J, Transfus Apher Sci. 2003 Dec;29(3):247-54.);(Bork K, Arch Intern Med. 2001 Mar 12;161(5):714-8.)
C1阻害剤はまた、6000 IUから開始し、その後12時間間隔で3000 IU、2000 IU、および1000 IUとする1時間の点滴により静脈内投与することも可能である(Caliezi C,Crit Care Med. 2002 Aug;30(8):1722-8.)
最後に、C1阻害剤は、25血漿単位/キログラム体重の濃度の蒸気加熱阻害剤濃縮製剤として、3日ごとに静脈内投与することができる(Waytes AT, N Engl J Med. 1996 Jun 20;334(25):1630-4.)。
パルミトイル化(ACI-24、Aβ1〜15)抗原によるワクチン接種は、適用計画1に従ってC1阻害剤を投与した後に、または適用計画2に従って初期投与量のC1阻害剤を投与する前に行う。
12.5 天然C1阻害剤Cetor(登録商標)(C1エステラーゼ阻害剤N)
C1エステラーゼ阻害剤NまたはCetor(登録商標)は、1,000 U、1,500 U、または2,000 Uの投与量で投与し、その後同じ用量のさらなる産物を投与する。
パルミトイル化(ACI-24、Aβ1〜15)抗原によるワクチン接種は、適用計画1に従って2回目の用量の投与後に、または適用計画2に従って初期投与量の1,000 U、1,500 U、または2,000 U C1エステラーゼ阻害剤NまたはCetor(登録商標)を投与する前に行う。
寄託:
以下のハイブリドーマ細胞株は、ブダペスト条約の条項に従って、Braunschweig, Mascheroder Weg 1 B, 38124 Braunschweigの「Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ)」に寄託した:
Figure 2013126993
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参考文献
Figure 2013126993
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Claims (110)

  1. アミロイド関連疾患または病態を治療するための、AβペプチドのN末端部分に由来する単一のまたは反復した一続きの13〜15個の連続したアミノ酸残基からなるAβ抗原ペプチド断片を使用する段階を含む、治療ワクチン組成物を作製する方法。
  2. 連続した一続きの13〜15アミノ酸残基が、AβペプチドのN末端断片1〜16または1〜17から得られる、請求項1記載の方法。
  3. 治療ワクチン組成物が、残基1〜15、1〜14、および1〜13からなる群より選択されるAβペプチドのN末端部分に由来する単一のまたは反復した一続きの13〜15個の連続したアミノ酸残基からなるAβペプチド断片を含む、請求項1または2記載の方法。
  4. 治療ワクチン組成物が、配列番号:1に示すAβ1〜15ペプチド抗原および配列番号:3に示すAβ1〜16(Δ14)からなる群より選択される単一のまたは反復したAβペプチド断片を含む、請求項3記載の方法。
  5. Aβペプチド抗原が、バランスのとれた比率のαヘリックスおよび/またはβシートおよび/またはランダムコイル部分を特徴とする明確な高次構造を維持および安定化することができるように修飾される、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. Aβペプチド抗原が、例えば小胞、粒子体または粒子状分子などの担体中に再構成されて提示される、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. Aβペプチド抗原がリポソーム中に再構成されて提示される、請求項6記載の方法。
  8. Aβペプチド抗原が、リポソーム担体/アジュバントの脂質二重層への挿入を促進する親油性または疎水性部分によって修飾される、請求項7記載の方法。
  9. 抗原ペプチドの、およびペプチドが結合するか、その中に取り込まれるまたは再構成される担体/アジュバントの全体的な正味電荷と組み合わせた、親油性または疎水性部分の寸法が、抗原ペプチドが生物活性の高い高次構造で曝露、安定化、および提示される寸法であり、これは標的生物の免疫系が、その曝露され安定化された生物活性の高い高次構造の抗原性構築物中に含まれる抗原決定基と自由に相互作用することを可能にし、それによって強力な免疫応答が起こる、請求項8記載の方法。
  10. 親油性または疎水性部分が脂肪酸、トリグリセリド、またはリン脂質である、請求項8または9記載の方法。
  11. 親油性または疎水性部分が脂肪酸、詳細には少なくとも10個の炭素原子の炭素骨格を有する脂肪酸である、請求項10記載の方法。
  12. 疎水性部分がパルミチン酸である、請求項11記載の方法。
  13. リポソーム調製物がアジュバントを含む、請求項7〜12のいずれか一項記載の方法。
  14. アジュバントが、リピドA、詳細にはモノホスホリルもしくはジホスホリルリピドAなどの無毒化リピドA、またはミョウバンである、請求項13記載の方法。
  15. βアミロイドペプチド抗原が、リポソーム中に再構成された、パルミトイル化アミノ酸残基、詳細には2〜4個、より詳細には4個の残基の共有結合により修飾されたパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原である、アミロイド関連疾患または病態を治療するための免疫原性抗原ペプチドを使用する段階を含む、治療ワクチン組成物を作製する方法。
  16. 1〜15ペプチド抗原が、それぞれペプチドのN末端およびC末端に共有結合している2つのパルミトイル化アミノ酸残基によって修飾される、請求項13記載の方法。
  17. 1〜15ペプチド抗原が、そのうち2つがそれぞれペプチドのN末端およびC末端に共有結合している4つのパルミトイル化アミノ酸残基によって修飾される、請求項16記載の方法。
  18. ペプチドの各末端でパルミトイル残基、詳細には1つまたは2つの残基の共有結合によって修飾された2つまたはそれ以上のパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原分子が、単一リポソーム中に再構成される、請求項15記載の方法。
  19. アミロイド関連疾患または病態が、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない疾患からなる群より選択される疾患または病態である、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
  20. アミロイド関連疾患または病態がアルツハイマー病である、請求項19記載の方法。
  21. アミロイド関連病態が、動物、詳細には哺乳動物またはヒトにおける認知記憶能の喪失を特徴とする、請求項19記載の方法。
  22. 認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトの治療が、認知記憶能の保持の増加をもたらす、請求項21記載の方法。
  23. 認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトの治療が、認知記憶能の完全な回復をもたらす、請求項22記載の方法。
  24. アミロイド関連疾患または病態を治療するための、AβペプチドのN末端部分に由来する単一のまたは反復した一続きの13〜15個の連続したアミノ酸残基からなるAβ抗原ペプチド断片を含む、抗原性構築物。
  25. 連続した一続きの13〜15アミノ酸残基が、AβペプチドのN末端断片1〜16または1〜17から得られる、請求項24記載の抗原性構築物。
  26. 治療ワクチン組成物が、残基1〜15、1〜14、および1〜13からなる群より選択されるAβペプチドのN末端部分に由来する単一のまたは反復した一続きの13〜15個の連続したアミノ酸残基からなるAβペプチド断片を含む、請求項24記載の抗原性構築物。
  27. 治療ワクチン組成物が、配列番号:1に示すAβ1〜15ペプチド抗原および配列番号:3に示すAβ1〜16(Δ14)からなる群より選択される単一のまたは反復したAβペプチド断片を含む、請求項24〜26のいずれか一項記載の抗原性構築物。
  28. Aβペプチド抗原が、バランスのとれた比率のαヘリックスおよび/またはβシートおよび/またはランダムコイル部分を特徴とする明確な高次構造を維持および安定化することができるように修飾される、請求項24〜27のいずれか一項記載の抗原性構築物。
  29. Aβペプチド抗原が、例えば小胞、粒子体または粒子状分子などの担体/アジュバントに結合して、またはその中に再構成されて提示される、請求項24〜28のいずれか一項記載の抗原性構築物。
  30. Aβペプチド抗原がリポソーム中に再構成されて提示される、請求項29記載の抗原性構築物。
  31. Aβペプチド抗原が、リポソーム担体の脂質二重層への挿入を促進する親油性または疎水性部分によって修飾される、請求項30記載の抗原性構築物。
  32. 抗原ペプチドの、およびペプチドが結合するか、その中に取り込まれるまたは再構成される担体の全体的な正味電荷と組み合わせた、親油性または疎水性部分の寸法が、標的生物の免疫系が抗原性構築物中に含まれる抗原決定基と自由に相互作用することを可能にする点で生物学的に活性である高次構造で、抗原ペプチドが溶媒に曝露されて提示される寸法であり、それにより標的生物において、強力な免疫原性応答およびしたがって高い抗体力価がもたらされる、請求項30記載の抗原性構築物。
  33. 親油性または疎水性部分が、脂肪酸、トリグリセリド、またはリン脂質である、請求項30〜32のいずれか一項記載の抗原性構築物。
  34. 親油性または疎水性部分が、脂肪酸、詳細には少なくとも10個の炭素原子の炭素骨格を有する脂肪酸である、請求項33記載の抗原性構築物。
  35. 疎水性部分がパルミチン酸である、請求項34記載の抗原性構築物。
  36. リポソーム調製物が、アジュバントまたは免疫調節剤を含む、請求項30〜35のいずれか一項記載の抗原性構築物。
  37. 免疫調節剤が、リピドA、詳細にはモノホスホリルもしくはジホスホリルリピドAなどの無毒化リピドA、またはミョウバンである、請求項36記載の抗原性構築物。
  38. アミロイド関連疾患または病態を治療するためのAβ1〜15ペプチド抗原を含む、ワクチン組成物。
  39. 1〜15ペプチド抗原が、バランスのとれた比率のランダムコイル、αヘリックス、およびβシート部分を特徴とする明確な高次構造を維持および安定化することができるように修飾される、請求項38記載のワクチン組成物。
  40. 1〜15ペプチド抗原が、例えば小胞、粒子体または粒子状分子などの担体に結合して提示される、請求項38または39記載のワクチン組成物。
  41. 1〜15ペプチド抗原がリポソーム中に再構成されて提示される、請求項40記載のワクチン組成物。
  42. 1〜15ペプチド抗原が、リポソーム担体/アジュバントの疎水性脂質二重層への挿入を促進する親油性または疎水性部分によって修飾される、請求項41記載のワクチン組成物。
  43. 抗原ペプチドの、およびペプチドが結合するか、その中に取り込まれるまたは再構成される担体の全体的な正味電荷と組み合わせた、リポソーム二重層内でペプチドのアンカーを提供する親油性または疎水性部分の寸法が、標的生物の免疫系が抗原性構築物中に含まれる抗原決定基と自由に相互作用することを可能にする点で生物学的に活性である高次構造で、抗原ペプチドが溶媒に曝露されて提示される寸法であり、それにより標的生物において、強力な免疫原性応答およびしたがって高い抗体力価がもたらされる、請求項42記載のワクチン組成物。
  44. 親油性または疎水性部分が、脂肪酸、トリグリセリド、またはリン脂質である、請求項43記載のワクチン組成物。
  45. 脂肪酸の炭素骨格が、少なくとも10個の炭素原子を有する、請求項44記載のワクチン組成物。
  46. 疎水性部分がパルミチン酸である、請求項45記載のワクチン組成物。
  47. リポソーム調製物がアジュバントおよび/または免疫調節剤を含む、請求項41〜46のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  48. 免疫調節剤が、モノホスホリルまたはジホスホリルリピドAなどの無毒化リピドAである、請求項47記載のワクチン組成物。
  49. βアミロイドペプチド抗原が、リポソーム中に再構成されたペプチドの各末端で、パルミトイル残基、詳細には2〜4個、より詳細には4個の残基の共有結合により修飾されたパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原である、アミロイド関連疾患または病態を治療するための免疫原性抗原ペプチドを含む、ワクチン組成物。
  50. ペプチドの各末端でパルミトイル残基の共有結合によって修飾された2つまたはそれ以上のパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原分子が、単一リポソーム中に再構成される、請求項49記載のワクチン組成物。
  51. 動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに投与した際に、主に非炎症性サブタイプの抗体の産生をもたらす、前記請求項のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  52. 抗体が、非炎症性Th2サブタイプ、詳細にはアイソタイプIgG1およびIgG2bの抗体である、請求項51記載のワクチン組成物。
  53. 動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに投与した際に、主にT細胞非依存性IgGサブクラスの抗体の産生をもたらす、前記請求項のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  54. 抗体がIgG3アイソタイプの抗体である、請求項53記載のワクチン組成物。
  55. 動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに投与した際に、脳において炎症マーカーの有意な増加を引き起こさない、前記請求項のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  56. マーカーが、IL-1β、IL-6、IFN-γ、およびTNFαからなる群より選択される、請求項53記載のワクチン組成物。
  57. 動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに投与した際に、脳において斑に関連した不溶性Aβ1〜40およびAβ1〜42の有意な減少を引き起こす、前記請求項のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  58. 動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに投与した際に、脳において可溶性Aβ1〜42のレベルの有意な低下を引き起こす、前記請求項のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  59. アミロイド関連疾患または病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトにおいてそのような疾患または病態を治療するための、前記請求項のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  60. アミロイド関連疾患または病態が、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない疾患からなる群より選択される疾患または病態である、請求項59記載のワクチン組成物。
  61. アミロイド関連疾患または病態がアルツハイマー病である、請求項60記載のワクチン組成物。
  62. 認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトに投与した際に、認知記憶能の保持の増加をもたらす、前記請求項のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  63. 認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに投与した際に、認知記憶能の完全な回復をもたらす、前記請求項のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  64. 補体系の阻害剤と共に、アミロイド関連疾患または病態を治療するためのAβペプチド抗原を含む、ワクチン組成物。
  65. Aβペプチド抗原がAβ1〜15ペプチド抗原である、請求項64記載のワクチン組成物。
  66. アミロイド関連疾患または病態を治療するための免疫原性抗原ペプチドを含むワクチン組成物であって、βアミロイドペプチド抗原が、補体系の阻害剤と共にリポソーム中に再構成されたペプチドの各末端で、パルミトイル残基、詳細には2〜4個、より詳細には4個の残基の共有結合により修飾されたパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原である、請求項65記載のワクチン組成物。
  67. 組織への増強され調節された酸素放出を誘発する化合物、詳細にはヘモグロビンのアロステリックエフェクターと共に、アミロイド関連疾患または病態を治療するためのAβペプチド抗原を含む、ワクチン組成物。
  68. Aβペプチド抗原がAβ1〜15ペプチド抗原である、請求項67記載のワクチン組成物。
  69. アミロイド関連疾患または病態を治療するための免疫原性抗原ペプチドを含むワクチン組成物であって、βアミロイドペプチド抗原が、組織への増強され調節された酸素放出を誘発する化合物、詳細にはヘモグロビンのアロステリックエフェクターと共にリポソーム中に再構成されたペプチドの各末端で、パルミトイル残基、詳細には2〜4個、より詳細には4個の残基の共有結合により修飾されたパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原である、請求項68記載のワクチン組成物。
  70. 補体系の阻害剤、および組織への増強され調節された酸素放出を誘発する化合物、詳細にはヘモグロビンのアロステリックエフェクターと共に、アミロイド関連疾患または病態を治療するためのAβペプチド抗原を含む、ワクチン組成物。
  71. Aβペプチド抗原がAβ1〜15ペプチド抗原である、請求項70記載のワクチン組成物。
  72. アミロイド関連疾患または病態を治療するための免疫原性抗原ペプチドを含むワクチン組成物であって、βアミロイドペプチド抗原が、補体系の阻害剤、および組織への増強され調節された酸素放出を誘発するO2/ヘモグロビン親和性調節化合物、詳細にはヘモグロビンのアロステリックエフェクターと共にリポソーム中に再構成されたペプチドの各末端で、パルミトイル残基、詳細には2〜4個、より詳細には4個の残基の共有結合により修飾されたパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原である、請求項71記載のワクチン組成物。
  73. 補体阻害剤が、可溶性ヒト補体受容体1、例えばヒト化抗C5モノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体の一本鎖断片などの抗ヒト補体タンパク質C5、C1エステラーゼ阻害剤N、および天然ヒトC1阻害剤からなる群より選択される化合物である、請求項64〜66および70〜72のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  74. O2/ヘモグロビン親和性調節化合物が、例えばクロフィブリン酸またはベザフィブラート誘導体LR16およびL35を含むベザフィブラートなどの抗高脂血症薬、例えば[2-[4[[(アリールアミノ)カルボニル]-アミノ]フェノキシ]-2-メチルプロピオン酸などの尿素誘導体、例えば2,3-ジホスホグリセリン酸(DPG)、イノシトール六リン酸(IHP)、およびピリドキサールリン酸などヘモグロビンのアロステリックエフェクターからなる群より選択される化合物である、請求項67〜69および70〜72のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  75. O2/ヘモグロビン親和性調節化合物が、任意で非毒性陽イオンと共に内部ピロリン酸環を含む、ヘモグロビンのアロステリック部位の陰イオン性リガンドを含む化合物である、請求項67〜69および70〜72のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  76. O2/ヘモグロビン親和性調節化合物が、任意で非毒性陽イオンと共に少なくとも1つの内部ピロリン酸環を含むイノシトール六リン酸(IHP)誘導体である、請求項75記載のワクチン組成物。
  77. βアミロイドペプチド抗原が、請求項24〜37のいずれか一項記載の抗原性構築物を含む、請求項64〜75のいずれか一項記載のワクチン組成物。
  78. アミロイド関連疾患または病態を治療するための薬学的組成物を調製するための、AβペプチドのN末端部分に由来する単一のまたは反復した一続きの13〜15個の連続したアミノ酸残基からなるAβ抗原ペプチド断片の使用。
  79. アミロイド関連疾患または病態を治療するための、請求項2〜23のいずれか一項記載のAβペプチド抗原、または請求項24〜37のいずれか一項記載の抗原性構築物の使用。
  80. アミロイド関連疾患または病態が、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない疾患からなる群より選択される疾患または病態である、請求項79記載のAβペプチド抗原の使用。
  81. アミロイド関連疾患または病態がアルツハイマー病である、請求項80記載のAβペプチド抗原の使用。
  82. アミロイド関連病態が、動物、詳細には哺乳動物またはヒトにおける、例えば軽度認知障害(MCI)におけるような認知記憶能の喪失を特徴とする、請求項80記載のAβペプチド抗原の使用。
  83. 認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトの治療が、認知記憶能の保持の増加をもたらす、請求項80記載のAβペプチド抗原の使用。
  84. 認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトの治療が、認知記憶能の完全な回復をもたらす、請求項80記載のAβペプチド抗原の使用。
  85. アミロイド関連疾患または病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物、特にヒトに、請求項38〜77のいずれか一項記載の治療ワクチン組成物を投与する段階を含む、アミロイド関連疾患または病態を治療する方法。
  86. ワクチン組成物が、Aβ1〜15ペプチド抗原、詳細にはパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原を含む、請求項85記載の方法。
  87. ワクチン組成物の投与が、主に非炎症性サブタイプの抗体の産生をもたらす、請求項85記載の方法。
  88. 抗体が、非炎症性Th2サブタイプ、詳細にはアイソタイプIgG1およびIgG2bの抗体である、請求項87記載の方法。
  89. ワクチン組成物の投与が、主にT細胞非依存性IgGサブクラスの抗体の産生をもたらす、請求項85記載の方法。
  90. 抗体がIgG3アイソタイプの抗体である、請求項89記載の方法。
  91. 脳において炎症マーカーの有意な増加を引き起こさない、請求項85記載の方法。
  92. マーカーが、IL-1β、IL-6、IFN-γ、およびTNFαからなる群より選択される、請求項91記載の方法。
  93. ワクチン組成物の投与が、脳において斑に関連した不溶性Aβ1〜40およびAβ1〜42の有意な減少をもたらす、請求項85記載の方法。
  94. ワクチン組成物の投与が、脳において可溶性Aβ1〜42のレベルの有意な低下をもたらす、請求項85記載の方法。
  95. アミロイド関連疾患または病態が、例えば軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン認知症複合などの、認知記憶能の喪失を特徴とする疾患または病態;ならびに進行性核上性麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、および黄斑変性症を含むその他の疾患などの、アミロイド様タンパク質に基づくかまたはこれと関連した他の疾患を含む、アルツハイマー病(AD)などの神経障害を含むがこれに限定されない疾患からなる群より選択される疾患または病態である、請求項85〜94のいずれか一項記載の方法。
  96. アミロイド関連疾患または病態がアルツハイマー病である、請求項95記載の方法。
  97. 認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトへのワクチン組成物の投与が、認知記憶能の保持の増加をもたらす、請求項85〜94のいずれか一項記載の方法。
  98. 認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトへのワクチン組成物の投与が、認知記憶能の完全な回復をもたらす、請求項85〜94のいずれか一項記載の方法。
  99. 請求項38〜77のいずれか一項記載の治療ワクチン組成物による免疫化により、哺乳動物の記憶力または認知記憶能を有意に増加させる方法。
  100. ワクチン組成物がAβ1〜15ペプチド抗原、詳細にはパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原を含む、請求項99記載の方法。
  101. 例えば軽度認知記憶障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトにおいて、治療した動物またはヒトの記憶力または認知記憶能が増加するように、該動物またはヒトに、請求項38〜77のいずれか一項記載の治療ワクチン組成物を投与することにより、免疫応答を誘導する方法。
  102. 例えば軽度認知記憶障害(MCI)などの認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連病態に罹患した、動物、詳細には哺乳動物またはヒトにおいて、治療した動物またはヒトの認知記憶能が完全に回復するように、該動物またはヒトに、Aβ1〜15ペプチド抗原、詳細にはパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原を含む治療ワクチン組成物を投与することにより、免疫応答を誘導する方法。
  103. 補体阻害剤および抗原性構築物を同時に、断続的に、または連続して投与するように、請求項64〜77のいずれか一項記載のワクチン組成物を投与する、請求項85記載の方法。
  104. 補体阻害剤を、詳細にはワクチン接種の最大20時間前に始まりワクチン接種の直前に終わる時間範囲内で、抗原性構築物によるワクチン接種の前に投与する、請求項103記載の方法。
  105. 補体阻害剤を、ワクチン接種の直後に始まりワクチン適用の1日後に終わる時間範囲内で、抗原性構築物によるワクチン接種の後に投与する、請求項103記載の方法。
  106. ワクチン組成物がAβ1〜15ペプチド抗原、詳細にはパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原を含む、請求項103〜105のいずれか一項記載の方法。
  107. 請求項38〜77のいずれか一項記載のワクチン組成物を使用する段階を含む、アミロイド関連疾患または病態を治療するための薬物を調製する方法。
  108. βアミロイドペプチド抗原が、リポソーム中に再構成された、パルミトイル化アミノ酸残基、詳細には2〜4個、より詳細には4個の残基の共有結合により修飾されたパルミトイル化Aβ1〜15ペプチド抗原である、免疫原性抗原ペプチドを使用する段階を含む、アミロイド関連疾患または病態を治療するための薬物を作製する方法。
  109. 請求項31〜43のいずれか一項記載のワクチン組成物で免疫した動物から得られる抗体または抗体混合物。
  110. モノクローナル抗体またはその誘導体であることを特徴とする、請求項50記載の抗体。
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