JP2013126718A - 積層体および導電パターンフィルム製造方法 - Google Patents

積層体および導電パターンフィルム製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013126718A
JP2013126718A JP2011276216A JP2011276216A JP2013126718A JP 2013126718 A JP2013126718 A JP 2013126718A JP 2011276216 A JP2011276216 A JP 2011276216A JP 2011276216 A JP2011276216 A JP 2011276216A JP 2013126718 A JP2013126718 A JP 2013126718A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
layer
conductive layer
shielding
amorphous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011276216A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5822132B2 (ja
Inventor
Masanori Kawakami
上 正 徳 河
Tatsuji Nakajima
嶋 達 司 中
Masayasu Takahashi
橋 正 泰 高
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2011276216A priority Critical patent/JP5822132B2/ja
Publication of JP2013126718A publication Critical patent/JP2013126718A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5822132B2 publication Critical patent/JP5822132B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】ブロッキング現象が生じることを抑制することができる積層体を提供する。
【解決手段】積層体10は、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第1遮光導電層22と、基材フィルム11の他方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第2遮光導電層32と、を備えている。また、第1遮光導電層の一方の側または第2遮光導電層の他方の側の少なくともいずれか一方には、アモルファス状態の導電性酸化物材料から構成されるアモルファス層23,33が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材フィルムと、基材フィルムの両側に設けられ、遮光性および導電性を有する遮光導電層と、を備えた積層体に関する。また本発明は、基材フィルム上に導電パターンが設けられた導電パターンフィルムを積層体を用いて製造する導電パターンフィルム製造方法に関する。
近年、タッチパネル装置、有機EL表示装置、液晶表示装置や電子ペーパーなど、様々な薄型の電子デバイスが実用化されている。薄型の電子デバイスは、一般に、ガラスやフィルムなどの基材上に光学素子や導電パターンなどを設けることによって作製される。
薄型の電子デバイスを作製する具体的な方法の1つとして、はじめに、基材と、基材上に設けられ、電子デバイスの機能を実現するための様々な材料からなる複数の層と、を有する積層体を用いる方法が知られている。この場合、エッチングなどによって積層体の各層を所望のパターンにパターニングすることにより、電子デバイスが作製される。例えば特許文献1においては、はじめに、透明な基材フィルムと、基材フィルムの一方の側に設けられた透明導電層および金属層と、基材フィルムの他方の側に設けられた透明導電層および金属層と、を有する積層体が準備される。次に、所定のエッチング液を用いて各透明導電層および金属層を部分的にエッチングする。これによって、所定のパターンで基材フィルム上に形成され、透明導電材料からなる透明導電パターンと、透明導電パターンに接続され、金属材料からなる遮光導電パターンと、を備えたタッチパネルセンサが作製される。
特開2010−238052号公報
電子デバイスの取り扱いや製造工程の容易さを実現するため、基材として、可撓性を有する合成樹脂を含むフィルムが用いられることがある。可撓性を有するフィルムをベースとして製造される積層体は、一般に、ロール状に巻き取られた巻回体として製造され保管される。ところで、積層体の両側に設けられる各層のうち最も外側に位置する層が金属層となっている場合、巻回体において互いに隣接する積層体の金属層同士が癒着してしまう(貼りついてしまう)こと、いわゆるブロッキング現象が生じることが知られている。ブロッキング現象が生じると、積層体の展開性が悪くなり、作業性が低下するという問題や、積層体の金属層に、癒着していた個所の跡が残るという問題などが起こる。
ブロッキング現象を防ぐため、積層体の巻取時に、粘着性の弱いフィルムを隣接する積層体間に挿入することが知られている。しかしながら、この場合、積層体を巻き取る際にフィルムを挿入するための機構や、積層体を展開する際にフィルムを取り除くための機構などが追加で必要になってしまう。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る積層体であって、ブロッキング現象が生じることを抑制することができる積層体を提供することを目的とする。
本発明は、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第1遮光導電層と、前記基材フィルムの他方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第2遮光導電層と、第1遮光導電層の一方の側または第2遮光導電層の他方の側の少なくともいずれか一方に設けられ、アモルファス状態の導電性酸化物材料から構成されるアモルファス層と、を備えたことを特徴とする積層体である。
本発明による積層体において、前記アモルファス層が、第1遮光導電層の一方の側および第2遮光導電層の他方の側のいずれにも設けられていてもよい。
本発明による積層体において、前記基材フィルムと前記第1遮光導電層との間、または、前記基材フィルムと前記第2遮光導電層との間の少なくともいずれか一方に、透光性および導電性を有する透明導電層が設けられていてもよい。
本発明による積層体において、前記アモルファス層は、前記透明導電層上の前記第1遮光導電層または前記第2遮光導電層を、所定のエッチング液を用いて部分的に除去する際、同時に除去されるよう構成されていてもよい。
本発明による積層体において、前記透明導電層および前記アモルファス層はいずれも、インジウムを含む導電性酸化物材料から構成されていてもよい。
本発明による積層体において、前記第1遮光導電層および前記第2遮光導電層は、好ましくは、銀、銅若しくはアルミニウム、またはこれらの合金の少なくとも1種類から構成されている。
本発明は、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第1遮光導電層と、前記基材フィルムの他方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第2遮光導電層と、第1遮光導電層の一方の側に設けられ、アモルファス状態の導電性酸化物材料から構成される第1アモルファス層と、を有する積層体の一方の側に感光性を有する第1感光層を形成し、前記積層体の他方の側の面上に感光性を有する第2感光層を形成する工程と、前記第1感光層上に第1マスクを配置するとともに前記第2感光層上に第2マスクを配置した状態で、前記第1感光層および前記第2感光層を互いに異なるパターンで露光する工程と、前記第1感光層および前記第2感光層を現像してパターニングする工程と、パターニングされた前記第1感光層をマスクとして前記第1アモルファス層および前記第1遮光導電層をエッチングし、パターニングされた前記第2感光層をマスクとして前記第2遮光導電層をエッチングする第1パターニング工程と、前記パターニングされた前記第1感光層および前記第2感光層を除去する工程と、を備えたことを特徴とする導電パターンフィルムの製造方法である。
本発明による導電パターンフィルムの製造方法において、前記積層体は、前記基材フィルムと前記第1遮光導電層との間に設けられ、透光性および導電性を有する第1透明導電層と、前記基材フィルムと前記第2遮光導電層との間に設けられ、透光性および導電性を有する第2透明導電層と、をさらに有していてもよい。この場合、第1パターニング工程において、パターニングされた前記第1感光層をマスクとして前記第1透明導電層がさらにエッチングされ、かつ、パターニングされた前記第2感光層をマスクとして前記第2透明導電層がさらにエッチングされる。この場合、前記タッチパネルセンサの製造方法は、前記第1パターニング工程の後、所定のエッチング液を用いて、前記第1透明導電層上の前記第1遮光導電層を部分的に除去するとともに前記第1遮光導電層上の第1アモルファス層を除去する第2パターニング工程をさらに備えていてもよい。
本発明によれば、積層体の第1遮光導電層の一方の側または第2遮光導電層の他方の側の少なくともいずれか一方に、アモルファス状態の導電性酸化物材料から構成されるアモルファス層が設けられている。このため、ロール状に巻き取られた巻回体として積層体が製造され保管される際、一の積層体の遮光導電層と、一の積層体に隣接する積層体の遮光導電層とが接することがない。このため、ブロッキング現象が生じることを抑制することができる。
図1は、本発明の実施の形態における積層体を示す断面図。 図2は、積層体を製造する積層体製造装置を示す図。 図3は、図2に示す積層体製造装置の巻出装置を示す図。 図4は、図2に示す積層体製造装置の成膜装置を示す図。 図5は、図2に示す積層体製造装置の巻取装置を示す図。 図6(a)(b)は、本発明の実施の形態における積層体から作製されるタッチパネルセンサの一例を示す図。 図7は、タッチパネルセンサを製造する方法を説明するフローチャート。 図8(a)〜(f)は、タッチパネルセンサの製造工程を示す図。 図9は、成膜装置の一変形例を示す図。 図10は、積層体の一変形例を示す断面図。 図11は、積層体の一変形例を示す断面図。 図12は、積層体の一変形例を示す断面図。 図13は、積層体の一変形例を示す断面図。
以下、図1乃至図8を参照して、本発明の実施の形態について説明する。まず図1により、本実施の形態における積層体10について説明する。
積層体
図1に示すように、積層体10は、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の側の面上に設けられた第1透明導電層21と、第1透明導電層21の一方の側の面上に設けられた第1遮光導電層22と、第1遮光導電層22の一方の側の面上に設けられた第1アモルファス層23と、基材フィルム11の他方の側の面上に設けられた第2透明導電層31と、第2透明導電層31の他方の側の面上に設けられた第2遮光導電層32と、第2遮光導電層32の他方の側の面上に設けられた第2アモルファス層33と、を備えている。
以下、積層体10を構成する各層について説明する。
(基材フィルム)
はじめに基材フィルム11について説明する。基材フィルム11は、積層体10を製造する際のベースとなるものであり、図1に示すように合成樹脂層12を有している。合成樹脂層12の材料としては、透明性および可撓性を有する材料が用いられ、例えば合成樹脂(プラスチック)が用いられる。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー(COP)、環状オレフィン・コポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、トリアセチルセルロース(TAC)または(ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの可撓性及び透明性を有する樹脂が用いられる。合成樹脂層12の厚みは、例えば25〜200μmの範囲内となっている。
基材フィルム11は、合成樹脂層12の一方の側の面上に設けられた第1ハードコート層13と、合成樹脂層32の他方の側の面上に設けられた第2ハードコート層14と、をさらに有していてもよい。第1ハードコート層13および第2ハードコート層14を設けることにより、擦り傷などに対する基材フィルム11の耐擦傷性を高めることができる。ハードコート層13,14を構成する材料としては、例えばアクリル樹脂が用いられる。
(透明導電層)
透明導電層21,31は、透光性および導電性を有するよう構成された層である。透明導電層21,31を構成する材料としては、導電性を有しながら透光性を示す透明導電性材料が用いられ、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物が用いられる。透明導電層21,31の厚みは、例えば18〜50nmの範囲内となっている。好ましくは、透明導電層21,31は、結晶状態の透明導電性材料から構成されている。
(遮光導電層)
遮光導電層22,32は、遮光性および導電性を有するよう構成された層である。遮光導電層22,32を構成する材料としては、透明導電層21,31を構成する透明導電性材料よりも高い導電性を有する材料が用いられ、例えば、銀、銅若しくはアルミニウム、またはこれらの合金の少なくとも1種類からなる金属材料が用いられる。このうち銀合金は、従来の一般的なタッチパネルセンサにおいて導電パターンの材料として用いられているモリブデン合金などよりも比抵抗が小さく、このため遮光導電層22,32の材料として好ましい。このような銀合金の一例として、銀、パラジウム、銅を含んでなるAPC合金を挙げることができる。遮光導電層22,32の厚みは、例えば100〜400nmの範囲内となっている。
(アモルファス層)
アモルファス層23,33は、導電性を有するとともに、アモルファス状態となっている導電性酸化物材料から構成された層である。アモルファス層23,33を構成する導電性酸化物材料としては、透明導電層21,31の透明導電性材料の場合と同様に、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物が用いられる。アモルファス層23,33の厚みは、例えば1〜30nmの範囲内となっており、例えば約5nmとなっている。
なお、透明導電層21,31およびアモルファス層23,33はいずれも、インジウムを含む導電性酸化物材料から構成されていてもよい。例えば、透明導電層21,31およびアモルファス層23,33がいずれもITOから構成されていてもよい。また、透明導電層21,31およびアモルファス層23,33がそれぞれ、ITOまたはIZOのいずれか一方から構成されていてもよい。
図1に示すように、アモルファス層23,33は、積層体10の一方の側の面および他方の側の面を構成する層となっている。すなわちアモルファス層23,33は、積層体10の最外面に位置している。本件発明者が鋭意研究を重ねた結果、このように積層体10の最外面をアモルファス層23,33によって構成することによって、積層体10の最外面が遮光導電層22,32によって構成されている場合に比べて、ブロッキング現象を生じにくくすることができることを見出した。その理由としては、例えば、アモルファス状態の導電性酸化物材料が金属材料に比べて高い放熱性を有していることが考えられる。一般に、真空蒸着やスパッタリングなどの真空成膜方法によって形成される積層体においては、積層体の各層を構成する材料の結晶状態を制御するため、成膜処理の際、若しくはその後に行われるアニール処理の際、積層体が加熱される。しかしながら、積層体が高温となっている状態で積層体が巻き取られる場合、隣接する積層体間での癒着(貼りつき)が生じやすくなってしまう。ここで、本実施の形態のように積層体10の最外面に高い放熱性を有するアモルファス層23,33が位置している場合、成膜処理またはアニール処理の後、積層体10が巻き取られるまでの間に、積層体10の最外面の温度を十分に低くすることができる。これによって、隣接する積層体間でブロッキング現象が生じることを抑制することができる。
なお、アモルファス層23,33を設けることによってブロッキング現象が生じにくくなる原因が、アモルファス層23,33における高い放熱性に限られることはない。アモルファス層23,33が備えている、遮光導電層22,32とは異なるその他の特性が、ブロッキング現象の抑制に寄与することもある。従って、成膜処理の際、若しくはその後に行われるアニール処理の際に積層体が加熱されない場合であっても、アモルファス層23,33を設けることによるブロッキング現象の抑制効果は生じ得る。
本実施の形態によるアモルファス層23,33は、様々な観点から定義され得る。例えば、アモルファス層23,33は、アモルファス層23,33を構成するアモルファス状態の導電性酸化物材料に対するX線解析や電子線解析によって得られる回折パターンが、明確なピークを含まないパターン、いわゆるハローパターンとなっている、ということによって定義され得る。この場合、仮に導電性酸化物材料が結晶状態となっている際の回折パターンの最大ピークの高さ(最大回折強度)を1とした場合、同一条件下で測定されたアモルファス状態の導電性酸化物材料の回折パターンにおける、前記最大ピークに対応する位置での回折強度は、1に比べて十分に小さくなっている、例えば0.5以下になっている。若しくは、アモルファス層23,33は、導電性酸化物材料から構成される層であって、その耐薬品性が低い層として定義されてもよい。この場合、アモルファス層23,33は、塩化鉄系や燐硝酢酸系のエッチング液に曝された場合に5分以内に溶解する層となっている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、はじめに積層体10の製造方法について、図2乃至図5を参照して説明する。次に、得られた積層体10を用いて、導電性を有する導電性パターンが基材フィルム11上に設けられた導電パターンフィルムを製造する方法について説明する。ここでは一例として、タッチパネルセンサ80を作製する方法について、図6乃至図8を参照して説明する。
積層体の製造方法
図2は、積層体10を製造する積層体製造装置40を示す図である。図2に示すように、積層体製造装置40は、基材フィルム11を巻き出す巻出装置50と、基材フィルム11上に各層21,22,23,31,32,33を設けて基材フィルム11を形成する成膜装置60と、積層体10を巻き取る巻取装置70と、を備えている。図3乃至図5は、図2の巻出装置50,成膜装置60および巻取装置70をそれぞれ拡大して示す図である。
(第1巻出工程)
はじめに図2に示すように、巻出装置50において、基材フィルム11が巻回されたシャフト51を準備し、次に、成膜装置60に向けて基材フィルム11を巻き出す。このとき、ヒーター53を含む加熱機構52によって基材フィルム11を80〜120℃で加熱するとともに、排気手段54によって巻出装置50内の気体を外部に排出する。これによって、基材フィルム11に付着している水分や油分などの不純物が取り除かれる。
(第1成膜工程)
次に、成膜装置60によって、基材フィルム11の一方の側に所望の層を設ける第1成膜工程を実施する。成膜装置60による成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリング、CVDやイオンプレーティングなど様々な方法が採用され得るが、ここでは、成膜方法としてスパッタリングが用いられる例について説明する。
成膜装置60は、図4に示すように、成膜処理が実施される成膜室66と、基材フィルム11が巻き付けられて搬送される搬送ドラム68と、成膜室66の内部の気体を外部に排出する真空排気機構67と、搬送されている基材フィルム11に対向するよう設けられ、基材フィルム11上に設けられる層の原料となるターゲットと、を備えている。図4に示す例においては、ターゲットとして、搬送ドラム68の第1回転方向Rの上流側から順に、透明導電性材料からなる第1ターゲット61aと、金属材料からなる第2ターゲット62aと、導電性酸化物材料からなる第3ターゲット63aと、が配置されている。
成膜装置60による第1成膜工程においては、はじめに、基材フィルム11が搬送ドラム68に巻き付けられる。次に、各ターゲット61a,62a,63aを構成する原子をスパッタリングによって基材フィルム11の一方の側に付着させる。これによって、基材フィルム11の一方の側の面上に、第1透明導電層21,第1遮光導電層22および第1アモルファス層23が順に設けられる。この際、搬送ドラム68は、各層の成膜に適した温度に基材フィルム11を加熱または冷却するよう構成されていてもよい。例えば搬送ドラム68は、基材フィルム11を−20〜180℃に加熱または冷却するための温度調整手段(図示せず)を含んでいてもよい。なお成膜装置60による第1成膜工程の後、基材フィルム11上に設けられた各層を加熱して結晶化を進行させるアニール処理が実施されてもよい。
ここで、スパッタリングによって第1アモルファス層23を第1遮光導電層22の一方の側の面上に設ける際、成膜装置60は、第1遮光導電層22の一方の側の面上に形成される導電性酸化物材料がアモルファス状態となるよう、成膜条件を制御する。具体的には、第3領域63における温度や圧力などの成膜雰囲気が調整される。これによって、アモルファス状態となっている導電性酸化物材料から構成される第1アモルファス層23を得ることができる。
ところで、従来、ITOなどの導電性酸化物材料の成膜処理において、成膜雰囲気の水蒸気分圧を制御することによって、得られる導電性酸化物材料の結晶状態を制御できることが知られている。例えば、成膜処理時の水蒸気分圧が非常に小さい場合、微細な結晶粒からなる多結晶状態のITO層が得られ、また、水蒸気分圧を大きくするにつれて、得られる結晶粒が大きくなることが知られている。また、例えば特開2003−16858号公報に記載されているように、成膜処理時の水蒸気分圧をさらに大きくすると、アモルファス状態のITO層が得られることが知られている。
本実施の形態においても、成膜工程時の水蒸気分圧を調整し、これによってアモルファス状態の導電性酸化物材料が得られるようにしてもよい。例えば図4に示すように、成膜装置60の第3領域63に、第3ターゲット63aおよび基材フィルム11の周囲の雰囲気に水蒸気を供給する水蒸気供給部65eと、第3領域63の水蒸気分圧を測定する測定部65cと、測定部65cによる水蒸気分圧の測定結果に基づいて水蒸気供給部65eを制御する制御部65dと、が設けられていてもよい。これによって、アモルファス状態をより確実に実現することができる。
また図4に示すように、成膜装置60の第1領域61にも、第3領域63と同様に、第1ターゲット61aおよび基材フィルム11の周囲の雰囲気に水蒸気を供給する水蒸気供給部65eと、第1領域61の水蒸気分圧を測定する測定部65cと、測定部65cによる水蒸気分圧の測定結果に基づいて水蒸気供給部65eを制御する制御部65dと、が設けられていてもよい。この場合、第1領域61の水蒸気分圧を調整することにより、所望の大きさの結晶粒を含む透明導電性材料から構成される第1透明導電層21をより確実に得ることができる。
(第1巻取工程)
その後、巻取装置70において、その一方の側に第1透明導電層21,第1遮光導電層22および第1アモルファス層23が設けられた基材フィルム11が、シャフト71によって巻き取られる。
(第2巻出工程)
その後、その一方の側に第1透明導電層21,第1遮光導電層22および第1アモルファス層23が設けられた基材フィルム11を巻出装置50内に再び搬入し、次に、成膜装置60に向けて基材フィルム11を巻き出す。この際、基材フィルム11の他方の側、すなわち層がまだ設けられていない側が外方に向いた状態で基材フィルム11が搬送ドラム68に巻き付けられるよう、基材フィルム11を成膜装置60に向けて巻き出す。
(第2成膜工程)
次に、成膜装置60によって、基材フィルム11の他方の側に所望の層を設ける第2成膜工程を実施する。第2成膜工程においては、はじめに、基材フィルム11が搬送ドラム68に巻き付けられる。次に、各ターゲット61a,62a,63aを構成する原子をスパッタリングによって基材フィルム11の他方の側に付着させる。これによって、基材フィルム11の他方の側の面上に、第2透明導電層31,第2遮光導電層32および第2アモルファス層33が順に設けられる。具体的な方法は、上述の第1成膜工程の場合と同様であるので、詳細な説明を省略する。
(第2巻取工程)
その後、巻取装置70において、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の側に設けられた第1透明導電層21,第1遮光導電層22および第1アモルファス層23と、基材フィルム11の他方の側に設けられた第2透明導電層31,第2遮光導電層32および第2アモルファス層33と、を備えた積層体10が、シャフト71によってロール状に巻き取られる。
ここで本実施の形態によれば、高い放熱性を有するアモルファス層23,33によって積層体10の最外面が構成されている。このため、成膜処理の後、積層体10が巻き取られるまでの間に、積層体10の最外面の温度を十分に低くすることができる。これによって、隣接する積層体10間に癒着が生じること、すなわちブロッキング現象が生じることを抑制することができる。
タッチパネルセンサの作製方法
次に図6乃至図8を参照して、積層体10からタッチパネルセンサ80を作製する方法について説明する。
(タッチパネルセンサ)
はじめに図6(a)(b)を参照して、作製されるタッチパネルセンサ80について説明する。図6(a)は、タッチパネルセンサ80の一例を示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIa−VIa線に沿った断面図である。
図6(a)(b)に示すように、タッチパネルセンサ80は、基材フィルム11上に所定のパターンで設けられた複数の第1透明導電パターン81および第2透明導電パターン86を有している。図6(a)(b)に示すように、各第1透明導電パターン81は、基材フィルム11の一方の側においてx方向に延びており、また各第2透明導電パターン86は、基材フィルム11の他方の側において、x方向に直交するy方向に延びている。なお図6(a)において、基材フィルム11の一方の側に設けられた各パターンが実線で示されており、基材フィルム11の他方の側に設けられた各パターンが点線で示されている。
図6(b)に示すように、各透明導電パターン81,86は、透明導電性材料からなる透明導電層21,31から構成されている。この場合、人体などの被検出体からの静電気に起因する、各透明導電パターン81,86における電流や電圧の変化に基づいて、タッチ箇所を検出することができる。具体的には、各第1透明導電パターン81により、被検出体のタッチ箇所のy方向における位置を検出することができ、各第2透明導電パターン86により、被検出体のタッチ箇所のx方向における位置を検出することができる。
また基材フィルム11上には、第1透明導電パターン81および第2透明導電パターン86にそれぞれ電気的に接続された第1遮光導電パターン82および第2遮光導電パターン87と、第1遮光導電パターン82および第2遮光導電パターン87に接続され、第1透明導電パターン81および第2透明導電パターン86からの信号を外部へ取り出すための第1端子部83および第2端子部88と、がさらに設けられている。各遮光導電パターン82,87および各端子部83,88は、金属材料からなる遮光導電層22,32を含んでいる。このため、第1透明導電パターン81および第2透明導電パターン86からの信号を低抵抗で外部へ取り出すことができる。
第1遮光導電パターン82および第1端子部83は、基材フィルム11と第1遮光導電層22との間に介在された第1透明導電層21と、第1遮光導電層22の一方の側に設けられた第1アモルファス層23と、をさらに含んでいてもよい。上述のように、第1透明導電層21および第1アモルファス層23を構成する材料はそれぞれ導電性を有している。このため、第1透明導電層21および第1アモルファス層23は、第1遮光導電パターン82および第1端子部83の低抵抗化に寄与することができる。同様に、第2遮光導電パターン87および第2端子部88は、基材フィルム11と第2遮光導電層32との間に介在された第2透明導電層31と、第2遮光導電層22の他方の側に設けられた第2アモルファス層33と、をさらに含んでいてもよい。
次に、図7に示すフローチャートに沿ってタッチパネルセンサ80を作製する方法について、図8(a)〜(f)を参照して説明する。
(感光層の形成工程)
はじめに積層体10を準備する(工程S11)。次に図8(a)に示すように、積層体10の一方の側の面上に第1感光層29aを設け、積層体10の他方の側の面上に第2感光層39aを設ける(工程S12)。感光層29a,39aは、特定波長域の光、例えば紫外線に対する感光性を有している。感光層29a,39aの具体的な感光特性が特に限られることはない。例えば、感光層29a,39aとして、光硬化型の感光材が用いられてもよく、若しくは、光溶解型の感光材が用いられてもよい。ここでは、感光層29a,39aとして光硬化型の感光材が用いられる例を説明する。
(一次露光工程)
次に、図8(b)に示すように、第1感光層29a上に第1露光マスク28aを配置するとともに第2感光層39a上に第2露光マスク38aを配置する。マスク28a,38aは各々、後に形成される透明導電パターン81,86,遮光導電パターン82,87および端子部83,88に対応したパターンで露光光を透過させる開口部と、露光光を遮蔽する遮光部と、を含んでいる。その後、露光光を、マスク28a,38aを介して感光層29a,39aに照射する(工程S13)。この結果、第1感光層29aおよび第2感光層39aが互いに異なるパターンで同時に露光される。
ここで本実施の形態によれば、積層体10は、遮光性を有する第1遮光導電層22および第2遮光導電層32を有している。このため、第1感光層29aを透過した露光光は第1遮光導電層22によって遮光される。また、第2感光層39aを透過した露光光は第2遮光導電層32によって遮光される。従って、第1感光層29aを露光するために積層体10の一方の側から照射される露光光が第2感光層39aに到達することはなく、同様に、第2感光層39aを露光するために積層体10の他方の側から照射される露光光が第1感光層29aに到達することもない。この結果、この露光工程S13において、第1感光層29aおよび第2感光層39aを、それぞれ所望のパターンで精度良く同時に露光することができる。
(現像工程)
次に、露光された第1感光層29aおよび第2感光層39aを現像する(工程S14)。具体的には、第1感光層29aおよび第2感光層39aに対応した現像液を用意し、この現像液を用いて、感光層29a,39aを現像する。これにより、図8(c)に示すように、感光層29a,39aのうち露光光が照射されていない部分が除去され、この結果、感光層29a,39aが所定のパターンにパターニングされる。
(第1パターニング工程)
その後、パターニングされた第1感光層29aをマスクとして、第1アモルファス層23,第1遮光導電層22および第1透明導電層21をエッチングする。また、パターニングされた第2感光層39aをマスクとして、第2アモルファス層33,第2遮光導電層32および第2透明導電層31をエッチングする。このエッチングにより、図8(d)に示すように、第1アモルファス層23,第1遮光導電層22および第1透明導電層21が、第1感光層29aのパターンと略同一のパターンにパターニングされる。また、第2アモルファス層33,第2遮光導電層32および第2透明導電層31が、第2感光層39aのパターンと略同一のパターンにパターニングされる(工程S15)。なお、このようなエッチングを実施するための具体的な方法が特に限られることはなく、様々な方法が用いられ得る。例えば、アモルファス層23,33、遮光導電層22,32および透明導電層21,31の各々を選択的にエッチングするエッチング液をそれぞれ用いて、アモルファス層23,33、遮光導電層22,32および透明導電層21,31を順次エッチングしてもよい。若しくは、アモルファス層23,33、遮光導電層22,32および透明導電層21,31のうち2種以上の層を侵食することができるエッチング液を用いて、アモルファス層23,33、遮光導電層22,32および透明導電層21,31のうち2種以上の層を同時にエッチングしてもよい。エッチング後、アモルファス層23,33上に残留している感光層29a,39aを除去する(工程S16)。
(二次露光工程)
次に、図8(e)に示すように、第1アモルファス層23のうち後に形成される第1遮光導電パターン82および第1端子部83に対応する部分に第3感光層29bを設ける。また、第2アモルファス層23のうち後に形成される第2遮光導電パターン87および第2端子部88に対応する部分に第4感光層39bを設ける。具体的には、上述の工程S12〜S14の場合と同様に、はじめに積層体10上に感光層29b,39bを設け(工程S17)、次に、感光層29b,39bを所定パターンで同時に露光し(工程S18)、その後、感光層29b,39bを現像する(工程S19)。
(第2パターニング工程)
その後、図8(f)に示すように、エッチングによって、感光層29b,39bによって被覆されていない遮光導電層22,32およびアモルファス層23,33を除去する(工程S20)。この際、エッチング液として、遮光導電層22,32に対する浸食性を有するとともに、結晶状態の透明導電性材料からなる透明導電層21,31に対する浸食性を有さない若しくは弱い浸食性のみを有するエッチング液が用いられてもよい。このようなエッチング液としては、例えば燐硝酢酸系のエッチング液が挙げられる。
ところで上述のように、アモルファス層23,33は、アモルファス状態となっている導電性酸化物材料から構成されている。ところで一般に、アモルファス状態の導電性酸化物材料の耐薬品性は、結晶状態の導電性酸化物材料の耐薬品性よりも低くなっている。このため、第2パターニング工程においてエッチング液を用いて透明導電層21,31上の遮光導電層22,32を部分的に除去する際、アモルファス層23,33を同時に除去することができるよう、エッチング液またはアモルファス層23,33を設定することが可能である。例えば、第2パターニング工程で用いられるエッチング液が、透明導電層21,31に対する浸食性を有さないが、アモルファス層23,33に対する浸食性を有するよう、選択される。若しくは、アモルファス層23,33の導電性酸化物材料のアモルファス状態が、第2パターニング工程で用いられるエッチング液によって浸食され得るよう、設定される。これによって、遮光導電層22,32と同時にアモルファス層23,33を除去することができ、このことにより、第2パターニング工程に要する工数を少なくすることができる。
その後、アモルファス層23,33上に残留している感光層29b,39bを除去する(工程S21)。これによって、図6(a)(b)に示すようなタッチパネルセンサ80を得ることができる。
ここで本実施の形態によれば、感光層29a,29b,39a,39bは、アモルファス層23,33上に設けられる。ここで一般に、感光層29a,29b,39a,39bを構成する感光材と、アモルファス層23,33を構成する導電性酸化物材料との間の密着性は、感光材と、遮光導電層22,32を構成する金属材料との間の密着性よりも高くなっている。このため、アモルファス層23,33に対して事前に光学的または化学的な処理を施すことなく、アモルファス層23,33上に容易に感光層29a,29b,39a,39bを設けることができる。このことにより、遮光導電層22,32上に感光層29a,29b,39a,39bが設けられる場合に比べて、感光層29a,29b,39a,39bを設けることに要する工数を少なくすることができる。
なお本実施の形態によるタッチパネルセンサ80において、図6(b)において一点鎖線で示されているように、第1透明導電パターン81および第1遮光導電パターン82を覆う第1オーバーコート層84が基材フィルム11の一方の側に設けられ、第2透明導電パターン86および第2遮光導電パターン87を覆う第2オーバーコート層89が基材フィルム11の他方の側に設けられていてもよい。これによって、透明導電パターン81,86および遮光導電パターン82,87を外部雰囲気から遮蔽することができる。このことにより、タッチパネルセンサ80における透明導電パターン81,86および遮光導電パターン82,87の信頼性を向上させることができる。オーバーコート層84,89を構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂などの絶縁性を有する材料が用いられる。
ところで、タッチパネルセンサ80の端子部83,88は、透明導電パターン81,86からの信号を外部に取り出すための部材である。このため図6(b)に示すように、端子部83,88をオーバーコート層84,89によって完全に覆うことはできない。ここで本実施の形態によれば、図6(b)に示すように、第1端子部83において、第1遮光導電層22が第1アモルファス層23によって覆われている。また、図示はしないが、第2端子部88においても、第2遮光導電層32が第2アモルファス層33によって覆われている。上述のように、アモルファス層23,33は、導電性を有する導電性酸化物材料から構成されている。従って、このようなアモルファス層23,33によって端子部83,88の最外面を構成することにより、端子部83,88における導電性を確保しながら、遮光導電層22,32の表面を外部雰囲気から遮蔽することができる。このことにより、端子部83,88の遮光導電層22,32が酸化してしまうことを防ぐことができる。この結果、端子部83,88における良好な導電性を長期にわたって確保することができる。
変形例
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
(積層体製造方法の変形例)
本実施の形態において、はじめに、積層体製造装置40において基材フィルム11を一方向に流すことによって、基材フィルム11の一方の側に複数の層が設けられ、次に、当該基材フィルム11を再び積層体製造装置40において一方向に流すことによって、基材フィルム11の他方の側に複数の層が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図9に示すように、ロール・トゥ・ロールで基材フィルム11を往復させる間に基材フィルム11の一方の側および他方の側のそれぞれに複数の層を設けることができる成膜装置60Aを用いて積層体を製造してもよい。
図9に示す成膜装置60Aにおいては、第1回転方向Rの上流側から順に、透明導電性材料からなる第1ターゲット61aと、金属材料からなる第2ターゲット62aと、導電性酸化物材料からなる第3ターゲット63aと、金属材料からなる第4ターゲット62a’と、透明導電性材料からなる第5ターゲット61a’と、が配置されている。なお図9において、成膜室66内を複数の領域に区画する隔壁66aおよび成膜用真空排気機構67、並びに、ターゲットの近傍に配置され得る水蒸気供給部65eなどは、簡単のため省略されている。
図9に示す成膜装置60Aを用いた積層体製造方法においては、はじめに、図9の左から右へ基材フィルム11を搬送する間に第1成膜工程を実施する。まず、第1回転方向Rに回転している搬送ドラム68に基材フィルム11が巻き付けられる。次に、各ターゲット61a,62a,63aを構成する原子を、スパッタリングによって基材フィルム11の一方の側に付着させる。これによって、基材フィルム11の一方の側の面上に、第1透明導電層21,第1遮光導電層22および第1アモルファス層23が順に設けられる。その後、基材フィルム11の表裏を反転させた上で、図9の右から左へ基材フィルム11を搬送する間に第2成膜工程を実施する。まず、第2回転方向Rに回転している搬送ドラム68に基材フィルム11が巻き付けられる。次に、各ターゲット61a’,62a’,63aを構成する原子を、スパッタリングによって基材フィルム11の他方の側に付着させる。これによって、基材フィルム11の他方の側の面上に、第2透明導電層31,第2遮光導電層32および第2アモルファス層33が順に設けられる。このようにして、本実施の形態による積層体10を製造することができる。
(積層体の変形例)
また本実施の形態において、第1遮光導電層22の一方の側および第2遮光導電層32の他方の側のいずれにも、アモルファス層23,33が設けられている例を示した。すなわち、積層体10の一方の側の最外面および他方の側の最外面のいずれにもアモルファス層が位置している例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1遮光導電層22の一方の側および第2遮光導電層32の他方の側の少なくともいずれか一方にアモルファス層が設けられて入ればよい。例えば図10に示すように、第1遮光導電層22の一方の側の面上にのみ第1アモルファス層23が設けられ、第2遮光導電層32の他方の側の面上にはアモルファス層が設けられていなくてもよい。この場合であっても、成膜処理またはアニール処理の後、積層体10が巻き取られるまでの間に、第1アモルファス層23によって、第1遮光導電層22の一方の側の面の温度を十分に低くすることができる。これによって、ブロッキング現象が生じることを抑制することができる。
また図11に示すように、積層体10は、基材フィルム11と第1透明導電層21との間に設けられた第1インデックスマッチング層24と、基材フィルム11と第2透明導電層31との間に設けられた第2インデックスマッチング層34と、をさらに備えていてもよい。各インデックスマッチング層24,34は、例えば図11に示すように、透明導電層21,31よりも高い屈折率を有する高屈折率層25,35と、透明導電層21,31よりも低い屈折率を有する低屈折率層26,36と、を少なくとも1組含んでいる。このようなインデックスマッチング層24,34を設けることにより、積層体10における光の透過率および反射率を適切に調整することが可能となる。例えば、積層体10を用いてタッチパネルセンサ80を作製した場合に、透明導電パターン81,86が設けられている領域と透明導電パターン81,86が設けられてない領域との間における光の透過率および反射率の差が小さくなるよう、インデックスマッチング層24,34を適宜設定することができる。
高屈折率層25,35を構成する材料としては、透明導電層21,31を構成する材料よりも高い屈折率を有する材料であれば特に限定はされないが、例えば酸化ニオブが用いられる。低屈折率層26,36を構成する材料としては、透明導電層21,31を構成する材料よりも低い屈折率を有する材料であれば特に限定はされないが、例えば酸化珪素が用いられる。高屈折率層25,35および低屈折率層26,36の厚みは、所望の透過率や反射率が達成されるよう、用いられる材料に応じて適宜設定される。
また図12に示すように、積層体10は、第1透明導電層21と第1遮光導電層22との間に設けられた第1中間層27と、第2透明導電層31と第2遮光導電層32との間に設けられた第2中間層37と、をさらに備えていてもよい。ここで中間層27,37は、透明導電層21,31に比べて、遮光導電層22,32に対するより大きな密着力を有するよう構成された層である。このような中間層27,37を透明導電層21,31と遮光導電層22,32との間に介在させることにより、透明導電層21,31に対して遮光導電層22,32を確実に固定することができる。
中間層27,37を構成する材料は、透明導電層21,31および遮光導電層22,32に対する密着力が良好な材料であれば特に限定されないが、例えばモリブデン(Mo)合金などの金属が用いられる。Mo合金としては、例えばMoとニオブ(Nb)の合金であるMoNbを挙げることができる。
また本実施の形態において、基材フィルム11と遮光導電層22,32との間に透明導電層21,31が設けられる例を示したが、これに限られることはない。積層体10は、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の側および他方の側に設けられた遮光導電層22,32と、第1遮光導電層22の一方の側または第2遮光導電層32の他方の側の少なくともいずれか一方に設けられたアモルファス層と、を備えていればよい。少なくともこれらの層を備えた積層体10は、巻き取られる際のブロッキング現象の発生が抑制されるという上述の効果を享受することができる。例えば図13に示すように、積層体10は、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の側の面上に設けられた第1遮光導電層22と、第1遮光導電層22の一方の側の面上に設けられた第1アモルファス層23と、基材フィルム11の他方の側の面上に設けられた第2遮光導電層32と、第2遮光導電層32の他方の側の面上に設けられた第2アモルファス層33と、を備えたものであってもよい。また図示はしないが、積層体10において、透明導電層が、基材フィルム11と第1遮光導電層22との間、または基材フィルム11と第2遮光導電層32との間のいずれか一方にのみ設けられていてもよい。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
10 積層体
11 基材フィルム
12 合成樹脂層
13 第1ハードコート層
14 第2ハードコート層
21 第1透明導電層
22 第1遮光導電層
23 第1アモルファス層
24 第1インデックスマッチング層
25 第1高屈折率層
26 第1低屈折率層
27 第1中間層
31 第2透明導電層
32 第2遮光導電層
33 第2アモルファス層
34 第2インデックスマッチング層
35 第2高屈折率層
36 第2低屈折率層
37 第2中間層
40 積層体製造装置
50 巻出装置
60 成膜装置
70 巻取装置
80 タッチパネルセンサ
81 第1透明導電パターン
82 第1遮光導電パターン
83 第1端子部
84 第1オーバーコート層
86 第2透明導電パターン
87 第2遮光導電パターン
88 第2端子部
89 第2オーバーコート層

Claims (9)

  1. 基材フィルムと、
    前記基材フィルムの一方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第1遮光導電層と、
    前記基材フィルムの他方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第2遮光導電層と、
    第1遮光導電層の一方の側または第2遮光導電層の他方の側の少なくともいずれか一方に設けられ、アモルファス状態の導電性酸化物材料から構成されるアモルファス層と、を備えたことを特徴とする積層体。
  2. 前記アモルファス層が、第1遮光導電層の一方の側および第2遮光導電層の他方の側のいずれにも設けられていることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材フィルムと前記第1遮光導電層との間、または、前記基材フィルムと前記第2遮光導電層との間の少なくともいずれか一方に、透光性および導電性を有する透明導電層が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記アモルファス層は、前記透明導電層上の前記第1遮光導電層または前記第2遮光導電層を、所定のエッチング液を用いて部分的に除去する際、同時に除去されるよう構成されていることを特徴とする請求項3に記載の積層体。
  5. 前記透明導電層および前記アモルファス層はいずれも、インジウムを含む導電性酸化物材料から構成されることを特徴とする請求項3または4に記載の積層体。
  6. 前記第1遮光導電層および前記第2遮光導電層は、銀、銅若しくはアルミニウム、またはこれらの合金の少なくとも1種類から構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第1遮光導電層と、前記基材フィルムの他方の側に設けられ、遮光性および導電性を有する第2遮光導電層と、第1遮光導電層の一方の側に設けられ、アモルファス状態の導電性酸化物材料から構成される第1アモルファス層と、を有する積層体の一方の側に感光性を有する第1感光層を形成し、前記積層体の他方の側の面上に感光性を有する第2感光層を形成する工程と、
    前記第1感光層上に第1マスクを配置するとともに前記第2感光層上に第2マスクを配置した状態で、前記第1感光層および前記第2感光層を互いに異なるパターンで露光する工程と、
    前記第1感光層および前記第2感光層を現像してパターニングする工程と、
    パターニングされた前記第1感光層をマスクとして前記第1アモルファス層および前記第1遮光導電層をエッチングし、パターニングされた前記第2感光層をマスクとして前記第2遮光導電層をエッチングする第1パターニング工程と、
    前記パターニングされた前記第1感光層および前記第2感光層を除去する工程と、を備えたことを特徴とする導電パターンフィルムの製造方法。
  8. 前記積層体は、前記基材フィルムと前記第1遮光導電層との間に設けられ、透光性および導電性を有する第1透明導電層と、前記基材フィルムと前記第2遮光導電層との間に設けられ、透光性および導電性を有する第2透明導電層と、をさらに有し、
    第1パターニング工程において、パターニングされた前記第1感光層をマスクとして前記第1透明導電層がさらにエッチングされ、かつ、パターニングされた前記第2感光層をマスクとして前記第2透明導電層がさらにエッチングされ、
    前記タッチパネルセンサの製造方法は、前記第1パターニング工程の後、所定のエッチング液を用いて、前記第1透明導電層上の前記第1遮光導電層を部分的に除去するとともに前記第1遮光導電層上の第1アモルファス層を除去する第2パターニング工程をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の導電パターンフィルムの製造方法。
  9. 積層体は、請求項7または8に記載の製造方法で導電パターンフィルムを作製するために用いられる積層体であることを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
JP2011276216A 2011-12-16 2011-12-16 積層体および導電パターンフィルム製造方法 Active JP5822132B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011276216A JP5822132B2 (ja) 2011-12-16 2011-12-16 積層体および導電パターンフィルム製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011276216A JP5822132B2 (ja) 2011-12-16 2011-12-16 積層体および導電パターンフィルム製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013126718A true JP2013126718A (ja) 2013-06-27
JP5822132B2 JP5822132B2 (ja) 2015-11-24

Family

ID=48777538

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011276216A Active JP5822132B2 (ja) 2011-12-16 2011-12-16 積層体および導電パターンフィルム製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5822132B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20150016901A (ko) * 2013-08-05 2015-02-13 다이니폰 인사츠 가부시키가이샤 전자 부품을 제작하기 위하여 사용되는 적층체, 필름 센서 및 필름 센서를 구비하는 터치 패널 장치
CN111210944A (zh) * 2018-11-22 2020-05-29 日东电工株式会社 导电性薄膜的制造方法
JP2020522407A (ja) * 2017-06-09 2020-07-30 エルジー・ケム・リミテッド 金属パターンフィルムおよびその製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6255127A (ja) * 1985-09-04 1987-03-10 コニカ株式会社 導電性フイルム
JPH1024520A (ja) * 1996-07-11 1998-01-27 Mitsui Petrochem Ind Ltd 透明導電性積層体
JP2000243145A (ja) * 1999-02-18 2000-09-08 Teijin Ltd 透明導電薄膜付きフィルムおよびその製造方法
JP2008226581A (ja) * 2007-03-12 2008-09-25 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 透明導電膜、およびこれを用いた透明導電性基板、透明導電性フィルム、並びに近赤外線遮断フィルター
JP2010238052A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Dainippon Printing Co Ltd タッチパネルセンサ、タッチパネルセンサを作製するための積層体、および、タッチパネルセンサの製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6255127A (ja) * 1985-09-04 1987-03-10 コニカ株式会社 導電性フイルム
JPH1024520A (ja) * 1996-07-11 1998-01-27 Mitsui Petrochem Ind Ltd 透明導電性積層体
JP2000243145A (ja) * 1999-02-18 2000-09-08 Teijin Ltd 透明導電薄膜付きフィルムおよびその製造方法
JP2008226581A (ja) * 2007-03-12 2008-09-25 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 透明導電膜、およびこれを用いた透明導電性基板、透明導電性フィルム、並びに近赤外線遮断フィルター
JP2010238052A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Dainippon Printing Co Ltd タッチパネルセンサ、タッチパネルセンサを作製するための積層体、および、タッチパネルセンサの製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20150016901A (ko) * 2013-08-05 2015-02-13 다이니폰 인사츠 가부시키가이샤 전자 부품을 제작하기 위하여 사용되는 적층체, 필름 센서 및 필름 센서를 구비하는 터치 패널 장치
KR102203406B1 (ko) 2013-08-05 2021-01-15 다이니폰 인사츠 가부시키가이샤 전자 부품을 제작하기 위하여 사용되는 적층체, 필름 센서 및 필름 센서를 구비하는 터치 패널 장치
JP2020522407A (ja) * 2017-06-09 2020-07-30 エルジー・ケム・リミテッド 金属パターンフィルムおよびその製造方法
CN111210944A (zh) * 2018-11-22 2020-05-29 日东电工株式会社 导电性薄膜的制造方法
JP2020088112A (ja) * 2018-11-22 2020-06-04 日東電工株式会社 導電性フィルムの製造方法
JP7136669B2 (ja) 2018-11-22 2022-09-13 日東電工株式会社 導電性フィルムの製造方法
CN111210944B (zh) * 2018-11-22 2023-07-25 日东电工株式会社 导电性薄膜的制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5822132B2 (ja) 2015-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6377735B2 (ja) タッチパネル用透明体の製作方法及びタッチスクリーンパネル用透明体を製作するシステム
TWI653670B (zh) 具有單一基板與抗反射和/或抗指紋塗層的透明體及其製造方法
TW201237708A (en) Sensor of cover glass of integrated type
KR102542844B1 (ko) 표시 장치 및 이의 제조 방법
JP5818383B2 (ja) 酸化膜が形成された導電性フィルムを備える有機発光ダイオードディスプレイ及びその製造方法
JP2010184477A (ja) 積層フィルム及びその製造方法
US9214562B2 (en) Method of manufacturing field-effect transistor, field-effect display device and electromagnetic wave detector
JP5822132B2 (ja) 積層体および導電パターンフィルム製造方法
JP2016210192A (ja) 光透過性フィルム
JP5755699B2 (ja) タッチパネルセンサの製造方法、及びタッチパネルセンサ
US9076992B2 (en) Method for preventing short circuit between metal wires in organic light emitting diode display device
JP2008241921A (ja) フォトマスク、およびフォトマスクの製造方法
WO2017010521A1 (ja) 透明電極フィルム、調光素子、および透明電極フィルムの製造方法
CN110850656A (zh) 阵列基板及其制作方法、显示面板、显示装置
US9542025B2 (en) Display panel, manufacturing method of the same, and display device
KR20170112310A (ko) 투명 전극 구조체 및 이의 제조방법
JP2013142034A (ja) 巻取装置、積層体製造装置および積層体製造方法
KR102099138B1 (ko) 전자 부품을 제작하기 위하여 사용되는 적층체 및 적층체 제조 방법, 필름 센서 및 필름 센서를 구비하는 터치 패널 장치 및 농도 구배형의 금속층을 성막하는 성막 방법
JP6209832B2 (ja) 積層体の製造方法
JP6594706B2 (ja) 透明電極フィルムおよび表示デバイス
JP2015146253A (ja) 積層体およびタッチパネル用導電性パターン基材
JP2014154702A (ja) 薄膜トランジスタ及び画像表示装置
JP2014154701A (ja) 薄膜トランジスタ及び画像表示装置
KR102120819B1 (ko) 내화학성 및 고투과율을 가지는 대전방지 포토마스크 및 그 제조방법
JP6642863B2 (ja) 積層体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141024

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150721

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150724

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150911

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150924

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5822132

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D02