以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図12を参照して、本発明の第1実施形態によるX線検査装置100の構造について説明する。
本発明の第1実施形態によるX線検査装置100は、図1〜図3に示すように、回路基板としての基板1(図3参照)上に実装された電子部品(図示せず)の半田接合状態検査を含む各種検査を行うための検査装置である。なお、基板1は、本発明の「検査対象物」の一例である。
X線検査装置100は、図3に示すように、基台10と、基板搬送部20と、X線源30と、撮像部40と、遮蔽壁50と、左右で一対のシャッター機構部60と、外装カバー70と、基台10の内部に設置された制御ユニット80aおよび電源ユニット80bと、シャッター機構部60を駆動するための圧縮空気源80cとを備えている。なお、遮蔽壁50は、本発明の「筐体」の一例であり、圧縮空気源80cは、本発明の「駆動源」の一例である。
基台10は、重量物であり、X線検査装置100を床面(図1におけるX−Y平面)上に安定的に設置する役割を有している。また、基台10には、上面10a(Z1側)上に設けられ、基板搬送方向(X方向)の両端部に配置された一対の支持台11が取り付けられている。各々の支持台11は、図4に示すように、互いに略平行に配置された状態で、上面10a(図3参照)上をX方向と略直交するY方向に延びている。ここで、本明細書においては、X方向(基板搬送方向)は、X線検査装置100における左右方向であり、Y方向は、X線検査装置100における前後方向である。X線検査装置100は、電子部品が実装される回路基板を製造する回路基板製造ライン500(図12参照)を構成する処理装置群の一部として使用されるように構成されている。この場合、X線検査装置100は、X1側(側面部100d)およびX2側(側面部100c)が他の処理装置または搬送ラインに接続される。また、オペレータは、通常、X線検査装置100のY2側(前面(正面)部100a)またはY1側(後面(背面)部100b)から装置本体にアクセスするように構成されている。したがって、X線検査装置100の前面部100a側には、入力装置や非常停止ボタンなどの操作機器類90と、装置本体内部へのアクセス用の開閉扉15とが設けられている。また、後面部100b側にも開閉扉15と略同様の構造を有するスライド式の開閉扉16が設けられている。なお、本明細書における装置本体とは、図5に示されるように、X線検査装置100から最も外側を形成する外装カバー70(図1参照)を取り除いた残りの構造物のことを示している。
また、図3に示すように、一対の支持台11上には、X線源30を支持する支持梁31と、遮蔽壁50および外装カバー70をそれぞれ取り付けるためのフレーム構造体12(図4参照)とが設置されている。
基板搬送部20は、図4に示すように、基板搬送部20上で基板1をX方向に搬送可能な一対のコンベア部21を含んでいる。一対のコンベア部21は、基板1のY方向の両端部(外縁部)において基板1を搬送可能に支持するとともに、図示しないクランプ機構によって基板1をX方向の所定位置(たとえばコンベア部21の略中央部)に保持(固定)することが可能に構成されている。また、一対のコンベア部21は、図示しない駆動機構を用いて、基板1の大きさ(Y方向の幅)に合わせてY方向の間隔が調整されるように構成されている。また、図3および図4に示すように、コンベア部21は、X方向に延びる一対のガイドレール22と、Y方向に延びる一対のガイドレール23とを介して基台10上に配置されている。また、コンベア部21は、図示しないX軸モータおよびX軸ボールねじによってガイドレール22に沿ってX方向に往復移動されるとともに、図示しないY軸モータおよびY軸ボールねじによってガイドレール23に沿ってY方向に往復移動されるように構成されている。これにより、基板搬送部20は、基台10の上面10a上をX−Y面内で移動可能に構成されている。
また、基板搬送部20は、図3に示すように、基板1の装置本体内への搬入時には、コンベア部21の端部21aをX1側のコンベア遮蔽部52の内側面52c近傍まで移動させて、上流側の搬送ライン501a(図12参照)からX線検査前の基板1を受け継ぐ。また、基板搬送部20は、基板1の搬出時には、コンベア部21の端部21bをX2側のコンベア遮蔽部53の内側面53c近傍まで移動させて、下流側の搬送ライン501b(図12参照)へ受け渡す動作を行う。なお、コンベア遮蔽部52および53は、それぞれ、X線源30から照射されるX線が装置本体から外部に洩れ出ないように遮蔽する遮蔽壁50の一部を構成している。また、コンベア遮蔽部52および53は、コンベア部21の移動範囲(X方向およびY方向)に対応するように、他の遮蔽壁50の部分よりも外装カバー70側に突出して形成されている。また、コンベア遮蔽部52には、基板1の搬送経路と交差する位置に基板1を装置本体内に搬入するための開口部52aが形成されるとともに、コンベア遮蔽部53には、基板1を装置本体外に搬出するための開口部53aが形成されている。なお、コンベア遮蔽部52および53は、本発明の「筐体」の一例である。
ここで、第1実施形態では、図3に示すように、フレーム構造体12に取り付けられた遮蔽壁50と外装カバー70との間の空間に、シャッター機構部60が備えられている。具体的には、遮蔽壁50のうちのコンベア遮蔽部52(X1側)とその外側の外装カバー70(カバー部材71)との間にシャッターユニット60aが配置されるとともに、反対側(X2側)のコンベア遮蔽部53とその外側の外装カバー70(カバー部材71)との間にシャッターユニット60bが配置されている。X線検査装置100では、上流側の搬送ライン501a(図12参照)から基板1をコンベア部21に受け継ぐ際、シャッターユニット60a(図1参照)が駆動されて、コンベア遮蔽部52の開口部52aが一時的に開かれる。同様に、コンベア部21から検査済みの基板1を下流側の搬送ライン501b(図12参照)に受け渡す際には、シャッターユニット60b(図2参照)が駆動されて、コンベア遮蔽部53の開口部53aが一時的に開かれる。また、X線検査中は、シャッターユニット60aおよび60bは、開口部52aおよび53aを共に閉じて照射中のX線を遮蔽する機能を有している。なお、図1〜図3に示すように、シャッターユニット60aおよび60bは、装置本体に対する取付方向が互いに逆の点で、構造上、X1側に配置される右勝手仕様とX2側に配置される左勝手仕様とが存在するが、シャッター機構部60を構成する各部品の機能およびシャッター機構部60に備わる特徴点については左右で同一である。したがって、以降では、図6に示される搬入口側(開口部52a)を開閉するシャッター機構部60としてのシャッターユニット60aの構造について説明する。
シャッターユニット60aは、図7および図8に示すように、開口部61aを有して枠状に形成されたシャッターベース61と、シャッターベース61の長手方向(Y方向)の両端部に設けられるとともに短手方向(Z方向)に延びる一対の板状のシャッターガイド62と、上端部がシャッターベース61のY方向の略中央部に固定されて下方(Z2方向)に延びる板状のシリンダベース63と、シリンダベース63の下端領域に固定され、圧縮空気源80c(図3参照)が作り出す圧縮空気により上下駆動されるロッド64aを含むエアシリンダ64と、シャッターベース61の外表面61bとシャッターガイド62の裏面62aとの隙間に挟まれた状態で上下方向(Z方向)にスライド可能に構成されたシャッター65とを含んでいる。ここで、シャッター65は、図6に示すように、ステンレス製のシャッター本体部65bのうち内向き(X2方向)に折り曲げられた下端部65aがロッド64aの先端部64bに固定されている。そして、エアシリンダ64によるロッド64aの上下駆動とともにシャッター本体部65bも上下方向にスライドされる。また、シャッター65の外表面(X1側)のうちのシャッターガイド62の裏面62aと接触する領域(図7の破線枠内)には、摺動性が良好な材料からなるテープ材8a(図7参照)が上下方向に延びて貼付されている。なお、エアシリンダ64は、本発明の「シャッター駆動部」の一例である。なお、図7および図8では、説明の都合上、装置本体側のコンベア遮蔽部52(図3参照)に固定されている後述するレール部材95を、シャッターユニット60aの単体構造とともに図示している。
また、図6および図8に示すように、シャッター本体部65bの内側(X2側)には、鉛製のシート状の遮蔽材5bが両面接着テープなどを用いて貼付されている。すなわち、シャッター65は、シャッター本体部65bと遮蔽材5bとを含んでいる。さらに、遮蔽材5bのうちのシャッターベース61の外表面61bと接触する領域(図8の破線枠内)には、摺動性が良好な材料からなるテープ材8b(図8参照)が上下方向に延びて貼付されている。また、遮蔽材5bは、コンベア遮蔽部52の開口部52a(図6参照)よりも若干広い平面積を有しており、シャッター65が開口部52aを閉じる位置に配置された状態で、開口部52aはX1側から完全に覆われるように構成されている。したがって、シャッターユニット60aは、コンベア遮蔽部52の開口部52aを閉じてX線を遮蔽することが可能に構成されている。また、図8に示すように、シャッターベース61の内表面61eのうちの長手方向(Y方向)の両端部近傍の領域には、摺動性が良好な材料からなるテープ材8cが貼付されている。
また、図7に示すように、シャッターユニット60aは、上記構成に加えて、長手方向(Y方向)の一端がシャッターベース61の下端部61cのY2側の隅部近傍にネジ部材を用いて固定されるとともにこの位置からY2方向に略直線状に延びるハーネス支持部66と、エアシリンダ64に圧縮空気を供給するためのエアホース67(2本)と、エアシリンダ64に内蔵されロッド64aの位置を検出するセンサ68aおよび68bを装置本体側(制御ユニット80a(図3参照))に電気的に接続するための電気配線68とを含んでいる。なお、上側(Z1側)に配置されたセンサ68aによりロッド64aがエアシリンダ64からZ1方向に最も突出した状態が検出されるとともに、センサ68aよりも下側(Z2側)に配置されたセンサ68bによりロッド64aがエアシリンダ64内に最も引っ込んだ状態が検出される。センサ68aおよび68bの検出結果に基づいて、エアシリンダ64へ圧縮空気を供給する際の電磁弁(図示せず)の開閉が制御されている。
また、エアシリンダ64の駆動に関連して、図6に示すように、コンベア遮蔽部52の内側面52c上の所定位置(Z方向)にシャッター65の開閉状態を検出する開閉検知センサ85aが取り付けられている。また、図7に示すように、シャッター本体部65bの下端部65aのY2側の端部近傍の下方に、ブラケット部材86を介して磁石85bが取り付けられている。シャッターユニット60aでは、磁石85bは、図6に示すように、金属板5cを挟んで開閉検知センサ85aとX方向に対向する位置(シャッター65が開口部52aを完全に閉じる位置)と、この位置よりも下の位置(シャッター65が下がって開口部52aを開く位置)との間を往復移動するように構成されている。X線検査装置100では、磁石85bが下方に下がり開閉検知センサ85aが磁石85bの存在を検出しない状態(開口部52aが開かれた状態)においては、X線の照射が停止(禁止)されるように構成されている。
ここで、図11に示すように、シャッターユニット60aが装置本体に装着された状態では、エアホース67および電気配線68(図7参照)は、コンベア遮蔽部52の外側面52dに沿って延びるハーネス支持部66を介して、エアシリンダ64から前面部100a側に離間した位置まで引き出されている。したがって、エアホース67のジョイント部材67aおよび電気配線68のコネクタ68cは、前面部100a側の開口部105近傍で装置本体側の制御系(圧縮空気源80cおよび制御ユニット80a(図3参照))にそれぞれ接続されるように構成されている。なお、ジョイント部材67aは、本発明の「接続部」の一例である。
このように、シャッターユニット60aは、上述の各部品が一体化(ユニット化)された構造を有している。したがって、ユニット化されたシャッターユニット60aは、装置本体に装着される場合(図11参照)のみならず、ユニット単体の状態でエアホース67(ジョイント部材67a)および電気配線68(コネクタ68c)を制御系に接続した場合においても、エアシリンダ64が駆動されてシャッター65の開閉動作が確認されるように構成されている。
また、第1実施形態では、シャッターユニット60aは、次のようにして装置本体に固定されている。具体的には、まず、図6および図9に示すように、Y方向(長手方向)に沿って中空箱状に延びたコンベア遮蔽部52の上面52bに、レール溝95aを有する1本のレール部材95がネジ部材2(6本)を用いて取り付けられている。ここで、レール部材95は、上面52bに沿ってY方向に延びており、レール部材95は、シャッターユニット60aを後述する固定位置(位置P:図11参照)まで導くために設けられている。また、図6および図8に示すように、シャッターベース61の上側(Z1側)の上端部61dは、板金の折り曲げ加工によりコンベア遮蔽部52(図6参照)側に向かって略逆さU字形状を有して形成されている。また、上端部61dには、複数(3個)のコロ部材69が回転自在に取り付けられている。そして、シャッターユニット60aは、3つのコロ部材69の踏面がレール部材95のレール溝95aに嵌り込んだ状態でシャッターユニット60aの自重によりコンベア遮蔽部52に吊り下げられている。また、この状態で、シャッターユニット60aは、図9に示すように、シャッターベース61が、コンベア遮蔽部52の内側(内側面52c側)からネジ部材3(合計4本)を用いて固定されている。これにより、シャッターユニット60aは、シャッターベース61が外装カバー70側(X1側)からコンベア遮蔽部52の外側面52dを覆うようにしてコンベア遮蔽部52に取り付けられている。また、この際、シャッターユニット60aは、シャッター65の可動領域(上下方向)が開口部52aを完全に覆うようにしてコンベア遮蔽部52に取り付けられている。なお、図9および図11において、シャッターユニット60aがコンベア遮蔽部52の外側面52dに装着される位置Pは、本発明の「固定位置」の一例である。また、レール部材95は、本発明の「ガイド部」の一例であり、ネジ部材3は、本発明の「締結部材」の一例である。
また、第1実施形態では、図1に示すように、前面部100a側の外装カバー70(カバー部材72)の一部に、メンテナンス用アクセス部79が設けられている。具体的には、メンテナンス用アクセス部79は、シャッターユニット60aが装置本体に取り付けられた高さ領域(Z方向)におけるカバー部材72の右端部(X1側)が切り欠かれた部分に嵌め込まれるようにして配置されている。ここで、メンテナンス用アクセス部79は、カバー部材72に対して蝶番部材などを介して開閉可能に取り付けられたドア部材であってもよいし、前面部100aから完全に取り外すことが可能な蓋部材であってもよい。なお、メンテナンス用アクセス部79を開くことによって前面部100aにアクセス用の開口部105が形成される。また、メンテナンス用アクセス部79は、通常運転時(X線検査時)には開閉できないように構成されるのが好ましい。たとえば、ドア部材である場合には、メンテナンス用アクセス部79の開閉動作に基づいて検査装置の運転の可否が判断されるように構成されればよい。また、蓋部材の場合には、たとえば、図5に示されるように前面部100a側のカバー部材72を装置本体から取り除いた状態で、メンテナンス用アクセス部79(図1参照)を前面部100aからさらに取り外すことが可能なように構成されていればよい。これにより、図1のようにカバー部材72が装着された状態でしか通常の運転は行われないので、通常運転時は、メンテナンス用アクセス部79も装着されて開口部105が閉じられた状態が維持される。
したがって、メンテナンス用アクセス部79が前面部100aから取り除かれた場合、コンベア遮蔽部52とその外側の外装カバー70(カバー部材71)との間の空間が前面部100a側から開口部105を介して目視可能であるように構成されている。この状態で、シャッターユニット60aは、図10に示すように、前面部100a側から開口部105を介してY1方向に挿入される。たとえば、作業者がシャッターユニット60aを抱えた状態でシャッターユニット60aの長手方向(Y1側)の先端部から開口部105に挿入し、3つのコロ部材69(図8参照)を順次レール部材95(図8参照)のレール溝95aに嵌め込みながらY1方向にスライド移動させることによって、シャッターユニット60aをコンベア遮蔽部52の外側面52d上の固定位置(位置P)に向かって送り込むことが可能とされている。なお、シャッターベース61の内表面61eにはテープ材8cが貼付されているので、シャッターベース61は、コロ部材69の転がり移動とともにテープ材8c(図8参照)が外側面52dに対して滑らかに滑りながら位置Pに向かって移動される。
なお、図8に示すように、レール部材95のレール溝95aのY1側の端部近傍には、レール溝95aに対して上方(Z1方向)に突出する突出片を有するストッパ部材96が取り付けられている。ここで、ストッパ部材96は、図9に示すように、レール部材95がコンベア遮蔽部52の上面52bに取り付けられる前に予めレール部材95にネジ部材2を用いて取り付けられている。したがって、シャッターユニット60aがレール部材95に沿ってY1方向に送り込まれた後、スライド移動された最もY1側の先頭のコロ部材69がストッパ部材96の突出片に当接することにより、コロ部材69の転がり移動が規制されてシャッターユニット60aが所定の固定位置(位置P)に位置決めされるように構成されている。なお、レール部材95とストッパ部材96とによって、本発明の「ガイド部」が構成されている。そして、図10の状態からシャッターユニット60aが図11に示される位置Pまで空間内に挿入された状態で、作業者は、開閉扉15(図1参照)を開いて装置本体内に身を乗り出し、ドライバ工具(図示せず)などでコンベア遮蔽部52(図9参照)の内側面52c側からネジ部材3(図9参照)を用いてシャッターユニット60aをコンベア遮蔽部52(図9参照)に固定するように構成されている。なお、図11に示すように、シャッターユニット60aが位置Pに固定された状態(シャッター65が閉じた状態)では、装置本体側の開閉検知センサ85aに対して磁石85bがX方向に見て重なった位置に配置される。
また、第1実施形態では、シャッターユニット60aがコンベア遮蔽部52の外側面52dに固定(装着)された状態において、作業者は、ハーネス支持部66に沿って前面部100a側に引き出されたエアホース67のジョイント部材67aおよび電気配線68のコネクタ68cを、それぞれ、装置本体側の制御系に接続する。最後に、メンテナンス用アクセス部79を開口部105の位置に戻すことにより開口部105が閉じられて、シャッターユニット60aの取付作業は完了される。
また、X線検査装置100に装着されたシャッターユニット60aに関してメンテナンスを行う際は、上記した装着方法(手順)とは反対の手順でシャッターユニット60aを装置本体から取り出すことが可能とされている。すなわち、作業者は、メンテナンス用アクセス部79を前面部100aから取り除いた状態で、まず、エアホース67のジョイント部材67aおよび電気配線68のコネクタ68cを装置本体側の制御系から切り離す。その後、開閉扉15(図1参照)を開いてドライバ工具(図示せず)を差し込み、コンベア遮蔽部52(図9参照)の内側面52c側からシャッターユニット60aを固定しているネジ部材3(図9参照)を取り外す。その後、図10に示すように、開口部105に手を差し入れてシャッターユニット60aを把持し、レール部材95に沿ってシャッターユニット60aを位置Pから前面部100a側の取り出し位置(位置Q)まで引き出す。なお、図10において、シャッターユニット60aが開口部105を介して前面部100aまで取り出される位置Qは、本発明の「取り出し位置」の一例である。
なお、X線検査装置100の側面部100d側(X2側)に装着されるシャッターユニット60b(図2参照)に関する取付構造、取付方法、および、メンテナンス時のシャッターユニット60bの取り外しおよび取り出し方法についても、上記した側面部100c側のシャッターユニット60aの場合と同じである。
また、図1〜図3に示すように、外装カバー70(カバー部材71)にも開口部71aが形成されており、シャッター65が開口部71aの奥側に露出している。したがって、作業者またはオペレータは、操作機器類90(図1参照)を介して所定の操作を行うことにより、シャッター65の開閉動作を確認することが可能とされている。また、運転中に開閉検知センサ85aによりシャッター65の開放動作が検知されると、X線の照射が停止されるように構成されている。
また、X線源30は、図3に示すように、支持梁31に懸架されることにより基板搬送部20の上方(Z1側)に配置された状態で、下方(Z2側)に位置する基板1に対してX線を照射する機能を有している。また、撮像部40は、Z方向に沿って基板搬送部20のX線源30とは反対側(Z2側)の下方に配置されている。また、撮像部40は、X線源30から照射されるとともに基板1を透過したX線を検出してX線像(透過画像)を撮像する機能を有している。ここで、撮像部40は、基台10の上面10aと基板搬送部20との間に設けられた駆動機構41によって、基板搬送部20の下側(Z2側)の空間を水平面内(図4のX−Y面内)で移動可能に構成されている。これにより、X線検査装置100では、基板搬送部20および撮像部40を互いに独立して移動させてX線源30に対する基板1および撮像部40の相対的な位置関係が調整されることにより、基板1に対してZ方向の真上からX線を照射して撮像することのみならず、基板1に対して斜め方向からX線を照射して撮像することも可能に構成されている。
また、フレーム構造体12は、図4に示すように、断面が角型の複数の中空パイプを縦横に組み合わせて構成されている。具体的には、フレーム構造体12は、一対の支持台11上において上方(Z1方向)に延びる一対の側部フレーム体13(X1側およびX2側)と、側部フレーム体13の上端部において側部フレーム体13同士をX方向に接続する上部フレーム体14とを含んでいる。
また、側部フレーム体13は、支持台11の端部(Y方向)から上方に延びる2本の柱部13aと、柱部13aをY方向に繋ぐ梁部13bおよび梁部13cとを有している。また、上部フレーム体14は、一対の梁部13b同士を接続するX方向に延びる複数の梁部14aと、梁部14a同士を接続するY方向に延びる複数の梁部14bとを有している。これにより、フレーム構造体12は、一対の側部フレーム体13と上部フレーム体14とによって形成された門型構造を有することにより、基板搬送部20、X線源30および撮像部40を上方から跨いで装置本体の外形状を形成している。
また、上述のコンベア遮蔽部52を含めた遮蔽壁50は、フレーム構造体12に取り付けられた複数の板状の壁部材51からなる。各々の壁部材51は、断面構造の一部が図6に示されるように、金属板5aと、両面接着テープなどを用いて金属板5aに貼付された鉛製のシート状の遮蔽材5bとを含んでいる。なお、遮蔽材5bは、金属板5aに対して外側(外装カバー70側)に配置されている。
また、コンベア遮蔽部52については、図6に示すように、一部に開口部52aを有して中空箱状に形成された金属板5cと、両面接着テープなどを用いて金属板5cの内側面に隙間なく貼付された鉛製のシート状の遮蔽材5bとを含んでいる。また、基台10の上面10a上にも遮蔽材5bと同様の遮蔽材(図示せず)が設けられている。これにより、遮蔽壁50は、X線源30を中心として装置本体の内部空間(X線照射領域)を3次元的に包囲してX線を遮蔽するように構成されている。
外装カバー70は、図1〜図3に示すように、箱状の遮蔽壁50(図3参照)よりも一回り大きい箱状形状を有している。また、外装カバー70は、装置本体の左右(X1側およびX2側)の側面部100cおよび100dをそれぞれ覆う複数のカバー部材71と、装置本体の前面部100a(Y1側)および後面部100b(Y2側)をそれぞれ覆う複数のカバー部材72と、装置本体の天面部(Z1側)を覆う複数の天面カバー部材73(図1参照)とからなる。なお、図5に示すように、取付部材74および75が、遮蔽壁50と外装カバー70(図3参照)との間に配置されており、カバー部材71、72および天面カバー部材73は、それぞれ、取付部材74または75に対して個別に取り付けられている。
制御ユニット80aは、基板搬送部20、X線源30、撮像部40、シャッター機構部60および圧縮空気源80cを含むX線検査装置100全体の動作を制御する機能を有している。また、電源ユニット80bは、制御ユニット80aおよび圧縮空気源80cを含めたX線検査装置100全体に電力を供給する機能を有している。
また、図1および図2に示すように、開閉扉15(16)には、外表面の外装部材15a(16a)と、内面側に配置されたX線を遮蔽する遮蔽部材(図示せず)とが一体的に設けられている。これにより、開閉扉15および16は、X線を遮蔽する遮蔽壁50の一部として機能するとともに、外装カバー70の一部としても機能する。また、開閉扉15および16は、それぞれ、開放される際に外装カバー70と遮蔽壁50との隙間(隣接するカバー部材72と壁部材51との間)に入り込むように構成されている。また、開閉扉15には、開閉検知スイッチ81および82(図5参照)が設けられている。
開閉検知スイッチ81は、開閉扉15の開放状態が検知された場合にX線源30からのX線の照射を停止(禁止)するためのスイッチである。開閉検知スイッチ82は、開閉扉15の開放状態が検知された場合に基板搬送部20などの可動機構の作動を停止(禁止)するためのスイッチである。これにより、メンテナンス時に開閉扉15が開かれると、X線源30からのX線の照射動作、および、基板搬送部20などの作動が禁止されるように構成されている。なお、開閉扉16にも、開閉扉15に設けられたものと同様の構造および機能を有する開閉検知スイッチ(図示せず)が備えられている。
また、第1実施形態によるX線検査装置100は、搬送ラインによって基板を搬送しながら電子部品の実装回路基板の製造を行う回路基板製造ラインを構成する装置群の一部として使用することが可能である。
たとえば、回路基板製造ライン500では、図12に示すように、電子部品実装前の基板1を保持するローダー502から搬送ライン501に基板1が送り出され、印刷機503による基板1上へのペースト半田印刷工程、表面実装機504による基板1への部品実装工程、および、リフロー炉505により半田を溶融させて部品を基板1上の電極部に接合するリフロー工程が順次行われた後、X線検査装置100に実装済みの基板1が搬送される。実装済みの基板1がコンベア遮蔽部52の開口部52a(図3参照)を介して搬送ライン501aから基板搬送部20(図3参照)に受け渡されると、X線検査装置100では、X線を使用して実装済みの基板1が撮像され、各部品の半田接合状態などが検査される。その後、コンベア遮蔽部53の開口部53a(図3参照)を介して基板搬送部20から搬送ライン501bに基板1が受け渡され、次の光学検査装置506に搬入される。光学検査装置506では、可視光を用いた部品実装状態の外観検査が行われ、これらの検査工程の終了後、基板1が搬送ライン501からアンローダー507に受け渡されて基板1の製造が完了する。
第1実施形態では、上記のように、シャッター65およびエアシリンダ64が一体化されたシャッターユニット60aを備え、シャッターユニット60aは、コンベア遮蔽部52に着脱可能に固定されている。同様に、シャッター65およびエアシリンダ64が一体化されたシャッターユニット60bもコンベア遮蔽部53に着脱可能に固定されている。これにより、作業者は、予めユニット化された状態のシャッターユニット60a(60b)を、ユニットごとコンベア遮蔽部52(53)に組み付けることができる。また、X線検査装置100の保守点検時においても、ユニット化された状態のシャッターユニット60a(60b)をユニットごとコンベア遮蔽部52(53)から取り外した状態でシャッターユニット60a(60b)に対する保守点検作業を行うことができる。すなわち、作業者がX線検査装置100の本体内に入ってシャッター65やエアシリンダ64などの部品を個別に取り付けたり交換したりする作業を必要とすることなくシャッターユニット60a(60b)に関する作業を行うことができる。その結果、シャッター機構部60に関する作業者の作業性を向上させることができる。
また、第1実施形態では、シャッターユニット60a(60b)をコンベア遮蔽部52(53)への位置P(図11参照)まで導くとともに、位置Pから位置Q(図10参照)まで導くためのレール部材95をさらに備える。これにより、作業者は、ユニット化されたシャッターユニット60a(60b)を各々のレール部材95を利用して容易に位置Pに配置することができる。また、シャッターユニット60a(60b)を装置本体から取り出す際も、各々のレール部材95を利用して容易に取り出すことができる。
また、第1実施形態では、レール部材95は、コンベア遮蔽部52(53)の外側面52d(53d)に沿ってコンベア遮蔽部52(53)に取り付けられており、シャッターユニット60a(60b)は、レール部材95に沿って移動されることにより位置P(図11参照)まで導かれるとともに、位置Pから取り出し位置Q(図10参照)まで導かれるように構成されている。これにより、作業者は、シャッターユニット60a(60b)をレール部材95に沿わせて移動させて位置Pに配置する作業、および、位置Pから取り出し位置Qまでレール部材95に沿わせて取り出す作業を確実に行うことができる。
また、第1実施形態では、レール部材95に、シャッターユニット60a(60b)の移動を規制して位置Pに位置決めするストッパ部材96が取り付けられている。これにより、シャッターユニット60a(60b)を精度よく位置Pに配置することができる。また、ストッパ部材96によってシャッターユニット60a(60b)がレール部材95上をY方向に移動し過ぎてレール部材95から脱落することを容易に抑制することができる。
また、第1実施形態では、エアシリンダ64を駆動する圧縮空気源80c(図3参照)を備えており、シャッターユニット60a(60b)は、エアシリンダ64と圧縮空気源80cとを接続するためのジョイント部材67aを含んでいる。これにより、シャッターユニット60a(60b)は、シャッター65およびエアシリンダ64のみならず装置本体側の圧縮空気源80cと接続されるジョイント部材67aまでもが一体化されているので、シャッターユニット60a(60b)のコンベア遮蔽部52(53)への組み付け後に、ジョイント部材67aおよびエアホース67をびエアシリンダ64に対して取り付ける必要がない。これによっても、シャッター機構部60に関する作業者の作業性を向上させることができる。
また、第1実施形態では、ジョイント部材67aは、シャッターユニット60a(60b)が固定されるコンベア遮蔽部52(53)の外側面52d(53d)に沿ってエアシリンダ64からY2方向に離間した位置まで引き出されている。これにより、ジョイント部材67aを装置本体外で作業を行う作業者から手の届きやすい場所に配置することができるので、ジョイント部材67aをより短時間で装置本体側の圧縮空気源80cと接続することができる。また、シャッターユニット60a(60b)を装置本体から取り出す際も、シャッターユニット60a(60b)と圧縮空気源80cとの接続を事前に容易に解除することができるので、作業者は、より短時間でシャッターユニット60a(60b)を装置本体から取り出すことができる。
また、第1実施形態では、コンベア遮蔽部52(53)の開口部52a(53a)は、装置本体の側面部100c(100d)に対応する位置に形成されており、装置本体の前面部100a側からシャッターユニット60a(60b)を側面部100c(100d)の位置Pに向かってY1方向に移動することが可能であるとともに、シャッターユニット60a(60b)を側面部100c(100d)の位置Pから前面部100a側に取り出すことが可能であるように構成されている。これにより、X線検査装置100が回路基板製造ライン500(図12参照)中に配置されている場合など、基板1の搬送ライン501aおよび501bが装置本体の側面部100c(100d)に隣接する場合であっても、作業者は、搬送ライン501aおよび501bが存在しない装置本体の前面部100a側または後面部100b側からシャッターユニット60a(60b)を側面部100c(100d)の位置Pに配置したり側面部100c(100d)の位置Pから取り出したりすることができる。したがって、保守点検作業のためだけに装置本体を回路基板製造ライン500からラインオフさせることなく回路基板製造ライン500中に配置したインライン状態で、シャッター機構部60に関する保守点検を行うことができる。
また、第1実施形態では、前面部100aに設けられたメンテナンス用アクセス部79を備えている。そして、シャッターユニット60a(60b)は、メンテナンス用アクセス部79が開かれた状態で、シャッターユニット60a(60b)を側面部100c(100d)に配置することが可能であるとともに側面部100c(100d)から取り出すことが可能であるように構成されている。これにより、メンテナンス用アクセス部79が開かれた場合に限ってシャッター機構部60に関する作業を行うことができる。また、メンテナンス作業などを必要としない場合にはメンテナンス用アクセス部79を開く必要がないので、X線検査を行うオペレータが誤ってシャッターユニット60a(60b)にアクセスすることを未然に防ぐことができる。
また、第1実施形態では、シャッターユニット60a(60b)は、コンベア遮蔽部52(53)の内側面52c(52d)側から外部に向けて差し込まれたネジ部材3(4本)を用いてコンベア遮蔽部52(53)の外側面52d(53d)に取り付けられている。これにより、ユニット化されたシャッターユニット60a(60b)を内側面52c(52d)側から固定することができるので、装置本体の外部側からの固定作業を行う必要がない。したがって、X線検査装置100が回路基板製造ライン500(図12参照)中に配置されて基板1の搬送ライン501aおよび501bが装置本体の側面部100c(100d)に隣接するインライン状態であっても、作業者は、搬送ライン501aおよび501bの配置状態に影響を受けることなくシャッター機構部60に関する保守点検を行うことができる。
(第2実施形態)
次に、図1、図3、図6および図13〜図16を参照して、第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態によるX線検査装置200では、図15に示すように、装置本体に対して基板1(図6参照)が搬入される側(X1側)に配置されたシャッターユニット260aのコンベア遮蔽部52への取付構造(取付方法)が、第1実施形態のシャッターユニット60aの場合と異なる。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
装置本体の左右で一対となるシャッター機構部260を構成するシャッターユニット260aは、図13に示すように、開口部61aを有するシャッターベース261と、シャッターガイド62と、シリンダベース63と、ロッド64aを上下駆動するエアシリンダ64と、シャッター65とを含んでいる。ここで、シャッターベース261は、Y方向の両端部に形成され、Y方向(前後方向)に対して下方(Z2方向)に略垂直に折り曲げられた取付部261e(Y2側に2箇所)および取付部261f(Y1側に1箇所)を有している。また、取付部261eには後述するネジ部材203が締め込まれるネジ孔が形成されるとともに、取付部261fには、ネジ部材203が挿入される貫通孔が形成されている。また、シャッターベース261の略逆さU字形状を有する上端部261dには、第1実施形態と同様のコロ部材69(図6参照)が回転自在に取り付けられている。
また、シャッターユニット260aは、長手方向の一端(Y1側)がシャッターベース261のシリンダベース63よりもY2側の下端部261cにネジ部材(5本)を用いて固定されてこの位置からY2方向に略直線状に延びるハーネス支持部266と、エアホース67と、電気配線68とをさらに含んでいる。なお、磁石85bは、シャッターベース261のシリンダベース63よりもY1側の下端部261cにブラケット部材286を介して固定されている。なお、第2実施形態では、シャッター65の開閉状態を検出する開閉検知センサ85aは、コンベア遮蔽部52の開口部52aを挟んで第1実施形態とは反対側(Y1側)に寄せられた位置に配置されている。
また、第2実施形態では、図13に示すように、コンベア遮蔽部52の上面52bに、レール溝95aを有する1本のレール部材295がナット部材7(5個)を用いて取り付けられている。この場合、上面52bには上方(Z1方向)に突出するネジ部材6(5本)が予め設けられており、レール部材295の貫通孔にネジ部材6を通した状態で上方からナット部材7を閉め込むことにより、レール部材295が上面52b上に固定されるように構成されている。また、レール部材295は、一方側(Y2側)の端部に形成されるとともにレール溝95aに対して上方(Z1方向)に略垂直に折り曲げられたストッパ部295bを有している。また、レール部材295のレール溝95aの部分を除いたY1側の所定の位置には、上方(Z1方向)に突出する突出片を有するストッパ部材296が取り付けられている。なお、レール部材295とストッパ部295bおよびストッパ部材296とによって、本発明の「ガイド部」が構成されている。また、ストッパ部295bは、本発明の「ストッパ部材」の一例である。
また、コンベア遮蔽部52の下面52eに、Y方向に延びる1本のアングル部材211がネジ部材2(4本)を用いて取り付けられている。また、アングル部材211は、Y2側の端部に形成されるとともに下面52eに対してX1方向に略垂直に折り曲げられた取付部211e(1箇所)を有している。また、取付部211eには、後述するネジ部材203が挿入される貫通孔が形成されている。また、コンベア遮蔽部52のY2側の下端部近傍には、シャッターユニット260aが固定された状態でハーネス支持部266の下方に配置される板金製のチャンネル部材212が取り付けられている。なお、チャンネル部材212は、X方向の断面が溝形状を有しており、圧縮空気源80c(図3参照)から延びるエアホース(図示せず)および制御ユニット80a(図3参照)からの電気配線(図示せず)がコンベア遮蔽部52の外側面52d側に引き出された後にチャンネル部材212を通されるように構成されている。そして、チャンネル部材212のY2側の端部近傍(図15参照)において、ハーネス支持部266側からのジョイント部材67aおよびコネクタ68cが、前述のエアホースおよび電気配線に接続されるように構成されている。
第2実施形態では、コンベア遮蔽部52の周辺部およびシャッターユニット260aが上述のように構成された状態で、ユニット化されたシャッターユニット260aは、コンベア遮蔽部52の外側面52d側に固定されるように構成されている。具体的には、シャッターユニット260aは、図14に示すように、後面部200b側から開口部205を介してY2方向に挿入されることが可能に構成されている。この場合、作業者がシャッターユニット260aを抱えた状態でシャッターユニット260aの長手方向(Y2側)の先端部から開口部205に挿入し、3つのコロ部材69(図6参照)を順次レール部材295(図13参照)のレール溝95aに嵌め込みながらY2方向にスライド移動させることによって、シャッターユニット260aをコンベア遮蔽部52の外側面52d上の固定位置(位置P)に向かって送り込むことが可能とされている。
なお、図13に示すように、レール部材295には、ストッパ部295b(Y2側)およびストッパ部材296(Y1側)が設けられているので、Y2方向に沿って移動するシャッターベース261の上側の取付部261e(Y2側)がストッパ部295b(Y2側)に当接するとともに、取付部261f(Y1側)がストッパ部材296(Y1側)に略同じタイミングで当接するように構成されている。また、Y2方向に沿って移動する下側の取付部261e(Y2側)が取付部211e(Y2側)にも当接する。この場合、Y2方向(シャッターユニット260aの挿入方向)に沿って、上側の取付部261eおよびストッパ部295bの順に両者は重ねられるとともに、取付部261fおよびストッパ部296の順に両者は重ねられる。また、下側の取付部261eおよび取付部211eの順に両者は重ねられる。なお、取付部261eと取付部261fとのY方向の間隔は、ストッパ部295bとストッパ部材296との間隔と略等しい。これにより、コロ部材69の転がり移動が規制されてシャッターユニット260aが所定の固定位置(位置P)に確実に位置決めされるように構成されている。
そして、第2実施形態では、上述のように図14の状態からシャッターユニット260aが図15および図16に示される位置Pまで挿入された状態で、作業者は、前面部200a側の開口部205から細長いドライバ工具(図示せず)をY1方向に差し込み、ストッパ部295b(図13参照)とシャッターベース261の上側の取付部261e(図13参照)とが重なった部分、および、取付部211e(図13参照)とシャッターベース261の下側の取付部261e(図13参照)とが重なった部分に、それぞれ、ネジ部材203(図13参照)を挿入して締め込む。また、作業者は、反対側の後面部200b側の開口部205からドライバ工具(図示せず)をY2方向に差し込み、シャッターベース261の取付部261f(図13参照)とストッパ部材296(図13参照)とが重なった部分にネジ部材203(図13参照)を挿入して締め込む。なお、図15および図16は、ネジ部材203(3本)を締め込んで、シャッターユニット260aがコンベア遮蔽部52の紙面手前側に固定された状態を示している。これにより、シャッターユニット260aは、前面部200a側および後面部200b側の両方からコンベア遮蔽部52の外側面52d側に固定されるように構成されている。なお、ネジ部材203は、本発明の「締結部材」の一例である。
また、第2実施形態においても、シャッターユニット260aがコンベア遮蔽部52の外側面52d側に固定された状態において、作業者は、ハーネス支持部266に沿って前面部200a側に引き出されたエアホース67のジョイント部材67aおよび電気配線68のコネクタ68cを、それぞれ、装置本体側の制御系(圧縮空気源80cおよび制御ユニット80a(図3参照))に接続する。最後に、メンテナンス用アクセス部79(図1参照)を前面部200a側および後面部200b側の各々の開口部205に戻すことにより、シャッターユニット260aの取付作業は完了される。
また、X線検査装置200に装着されたシャッターユニット260aに関してメンテナンスを行う際は、上記した装着方法(手順)とは反対の手順でシャッターユニット260aを装置本体から取り出すことが可能とされている。すなわち、作業者は、メンテナンス用アクセス部79を前面部200aおよび後面部200bから取り除いた状態で、まず、エアホース67のジョイント部材67aおよび電気配線68のコネクタ68cを装置本体側の制御系から切り離す。その後、前後方向の開口部205を介してドライバ工具(図示せず)を差し込み、シャッターベース261とレール部材295およびアングル部材211とを固定しているネジ部材203(3箇所)を取り外す。その後、図14に示すように、後面部200b側の開口部205に手を差し入れてシャッターユニット260aを把持し、レール部材295に沿ってシャッターユニット260aを位置Pから後面部200b側の取り出し位置(位置Q)まで引き出す。
なお、装置本体に対して基板1(図6参照)が搬出される側(X2側)に配置されたシャッターユニットに関する取付構造、取付方法、および、メンテナンス時のシャッターユニットの取り外しおよび取り出し方法についても、上記したX1側(搬入側)のシャッターユニット260aの場合と同じである。
第2実施形態では、上記のように、シャッターユニット260aは、メンテナンス用アクセス部79を取り除いた開口部205からコンベア遮蔽部52の外側面52dの位置P(固定位置)への移動方向(Y2方向およびY1方向)に沿って差し込まれたネジ部材203を用いてコンベア遮蔽部52の外側面52d側に固定されている。これにより、作業者は、シャッター機構部260に関する作業を装置本体の外側のみで行うことができるので、装置本体内からの作業内容がなくなる分、作業内容をより簡素化させることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、装置本体に左右で一対のシャッター機構部60(260)を備えた例について示したが、本発明はこれに限られない。筐体の側面部の一方側にのみ本発明の「開口部」および「シャッターユニット」を備えていてもよい。すなわち、筐体に設けられた1つの開口部を介して、基板1(検査対象物)の装置本体に対する搬入および搬出が行われるとともに、この開口部を閉じてX線を遮蔽するための1台の「シャッターユニット」が備えられたX線検査装置に、本発明を適用してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、シャッターユニット60a(260a)をコンベア遮蔽部52の外側面52d側に固定した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明の「シャッターユニット」を、装置本体内部に露出する筐体(コンベア遮蔽部52)の内側面側に着脱可能に固定してもよい。このように構成しても、シャッターによって筐体の内側面側から開口部を閉じてX線を遮蔽することが可能である。
また、上記第1および第2実施形態では、シャッターユニット60a(260a)をネジ部材3(203)を用いてコンベア遮蔽部52の外側面52d側に固定した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、レール部材95に沿って固定位置Pまで移動されたシャッターベース61が、コンベア遮蔽部52などの筐体側に設けられた係合部に着脱可能に係合されて筐体に固定されるように構成されていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、シャッターベース61(261)に回転自在なコロ部材69を取り付けてレール部材95(295)上を移動させた例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、樹脂製の摺動部材をシャッターベース61の上端部61dに取り付けてもよい。樹脂製の摺動部材をレール部材95のレール溝95a内で滑らせながらシャッターユニット60aをレール部材95に沿って固定位置まで移動させることが可能である。
また、上記第1実施形態では、シャッターユニット60aを前面部100a側から固定位置Pまで挿入してコンベア遮蔽部52に固定するとともに、固定位置Pから前面部100a側に引き抜いて取り出す方法を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、前面部100a側から固定位置Pまで挿入してコンベア遮蔽部52に固定するとともに、固定位置Pから後面部100b側に引き抜いて取り出してもよい。また、後面部100b側から固定位置Pまで挿入してコンベア遮蔽部52に固定するとともに、固定位置Pから後面部100b側に引き抜いて取り出してもよい。また、上記第2実施形態においても、前面部200a側から固定位置Pまで挿入してコンベア遮蔽部52側に固定するとともに、固定位置Pから前面部200a側または後面側200bのいずれか一方に引き抜いて取り出してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、圧縮空気により上下駆動されるエアシリンダ64を用いてシャッター65を駆動するようにシャッターユニット60a(260a)を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明の「シャッター駆動部」には、エアシリンダ64以外の、たとえば電動モータ(ステッピングモータ)と、電動モータの回転力を上下方向の往復移動に変換するギア機構とを含むシャッター駆動部を適用して、シャッター65を上下に昇降させるように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、装置本体の前面部側から見て右側(X1側)から基板1が装置本体内に搬入されるとともに、左側(X2側)から基板1が外部に搬出されるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、装置本体の左側(X2側)から基板1が装置本体内に搬入されるとともに、右側(X1側)から基板1が外部に搬出されるようにX線検査装置が構成されていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、回路基板製造ライン500を構成するX線検査装置100および200に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、回路基板製造ライン500の外部に単独で設けられ、単体(オフライン)で使用されるX線検査装置(基板検査装置)に本発明を適用してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、基板1を検査するためのX線検査装置100および200に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、回路基板以外の物品を検査対象物とするX線検査装置に本発明を適用してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、X線源30のみを備えたX線検査装置100(200)を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、可視光線源および可視光線撮像部をさらに備え、基板1のX線検査と可視光による外観検査との両方が行えるような基板検査装置(X線検査装置)として構成してもよい。