JP2013122067A - マイクロ波プラズマ処理装置 - Google Patents

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Naotsugu Nomura
直嗣 野村
Susumu Suzuki
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Abstract

【課題】ステージの冷却効果を高め、基板上に良好な品質で成膜できるマイクロ波プラズマ処理装置を提供すること。
【解決手段】プラズマ7を生成するプラズマチャンバ3を有し、このプラズマチャンバ3内には基板ホルダ5を載置するためのステージ4が配置される。基板ホルダ5には薄膜が形成されるべき基板6がセットされる。ステージ4と基板ホルダ5との接触部には真空引き用スペース22が確保される。ステージ4には、真空引き用スペース22に連通する真空引き通路12cと、ステージ4を冷却するための冷却液通路23bが設けられる。冷却液通路23bの下流側端部には、オーバーフローによって冷却液流出を行わせる堰止め用連絡通路26が設けられる。
【選択図】図5

Description

本発明は、マイクロ波プラズマ処理装置に関するものである。
マイクロ波プラズマ処理装置には、プラズマチャンバ内のステージ上に基板ホルダをセットすると共にその基板ホルダに基板を載置し、プラズマチャンバ内にマイクロ波とプラズマ生成ガスとを導入して基板上にプラズマを発生させ、次いで、成膜形成用のガスを導入して当該基板上に成膜を行うものがある。
かかるマイクロ波プラズマ処理装置では、前記成膜作業のため、まず、薄膜を形成すべき基板を基板ホルダにセットし、その基板ホルダをプラズマチャンバ内のステージ上に載置する。
次いで、プラズマチャンバを閉鎖した上で、プラズマチャンバ内を高度の減圧状態とし、プラズマ生成ガスとマイクロ波とをプラズマチャンバ内に導入してプラズマチャンバ内にプラズマを生成する。
そして、プラズマが生成したプラズマチャンバ内に成膜用のガスを導入して、基板上に化学気相成長(CVD)による薄膜を形成する。
この基板を載置する基板ホルダにおいては、基板とともにプラズマによって高温になる。良好な成膜のためには基板と基板ホルダとが所要の高温に保たれる必要がある。
一方、基板ホルダあるいは基板の温度を維持するためには、基板ホルダを載置するステージの方は、温度上昇しないよう冷却することが好ましい。何故なら、ステージの冷却が不十分であると、ステージの温度が上昇し、基板ホルダや基板の温度が変化し、それにより、成膜の品質が悪くなるからである。そこで、ステージに冷却液通路を形成し冷却液を流すことでステージを冷却することが行われる。
しかし、基板ホルダとステージとの間には放熱に伴う温度変動の問題がある。
すなわち、ステージが冷却されすぎて、基板ホルダからステージへの伝達熱量が過剰になると、基板ホルダひいては基板が温度低下を引き起こし成膜の品質の低下につながる。
一方、ステージに対する冷却が不足すると、基板ホルダや基板の温度が良好な成膜に適した所定温度を超えて上昇するので、この点も配慮しなければならない。
特許文献1に開示の技術にあっては、電極とも称されるステージを冷却して一定の温度に保つ次のような手段を備えている。これを、図12を用いて、説明する。図12は特許文献1の技術において本発明と関係する主要部の構造を示す断面図である。
基板200を載置するステージ114には、中心軸周りに複数の扇形の冷却室166が形成され、さらにその下方にプレート167で仕切られた還流室168が形成されている。扇形の冷却室166は、ステージ114の外周側で還流室168に連通している。ステージ114に連結された中心導管120には、内管136の挿入によって中心間隙172と外側間隙170が形成されている。中心間隙172は冷却室166に連通し、外側間隙170は還流室168に連通している。ステージ114の上面には基板200を保持するための基板ホルダに相当する基板テーブル162が設けられ、その真下に熱伝導率制御用のスペース164が形成されている。内管136のさらに内部に熱伝導率制御用の気体を供給するための気体供給管174が挿通され、その気体供給管174が熱伝導率制御用のスペース164に連通されている。気体供給管174に圧送される熱伝導率制御用の気体の圧力は、気体供給源、絞り弁、排気ポンプなどによって制御されるようになっている。基板テーブル162には基板温度を測定するための熱電対などの温度測定手段が埋め込まれている。
中心導管120の中心間隙172を介して圧送された冷却液は冷却室166に供給され、さらに還流室168から外側間隙170を通して外部に排出される。この冷却室166への冷却液の導入によりステージ114を冷却する。
また、気体供給管174を通して供給した熱伝導率制御用の気体をスペース164に満たすことによって、基板テーブル162上の基板200からステージ114に対する熱伝導率、特に冷却室166内の冷却液に対する熱伝導率を制御する。このとき、熱伝導率制御用の気体の圧力が制御され、基板200の温度が調整される。
特表平9−503611号公報(米国特許公報5501740号明細書)
特許文献1の技術にあっては、冷却室166内で冷却液が充満状態で流動することを予定している。しかし、冷却液を圧送するポンプ圧送力が不足すると流量が減少し、図13に示すように、冷却液300がステージ114の高温部つまり冷却室166の天板部相当部166tに接触しなくなって天板部相当部166tが空気に露出する状態となってしまう。400は冷却液300の不足によって冷却室166内に生じた空気層を示している。
その結果、ステージ114に対する冷却効果が弱まり、ステージの温度上昇を引き起こし、上記したように基板200上での成膜の品質の悪化へとつながる。
冷却液300の圧送力が弱まると、冷却液の流量が低下し、ステージ内の冷却室の下部では冷却液は流れるが、冷却室の上部には冷却液が流れなくて空気層400が出現し、最も高温となるステージの天板部相当部166tに対する冷却効果が損なわれてしまう。
なお、特許文献1の技術にあっては、ステージ114の上面部に円形の浅い凹所を形成し、その凹所に基板テーブル162を嵌めこむことで、ステージ114の上面部で基板テーブル162との間に熱伝導率制御用のスペース164を形成し、このスペース164に連通する気体供給管174をステージ114に嵌め込んでいる。
そして、気体供給管174を介してスペース164に供給する気体の圧力を変化させることにより熱の流れを制御している。
基板テーブル162およびステージ114が金属であるので、熱の逃げ抑制のためには、これら両者が直接的に接触している場合よりも両者間にスペース164を作っていると考えられる。
しかし、スペース164内に気体が充填すると、熱の逃げ抑制は不充分なものとなりがちである。しかもスペース164内の圧力変動により、熱伝導率が変化し、基板テーブル162の温度制御が不安定なものとなりやすい。
本発明は、上述に鑑みてなされたものであって、ステージの冷却効果を高める一方、熱伝導率変化の低減を解消し、基板上に良好な品質で成膜できるマイクロ波プラズマ処理装置を提供することを目的している。
上記目的を達成するため、本発明によるマイクロ波プラズマ処理装置は、その基本的構成要素としてプラズマチャンバと、ステージと、基板ホルダとを有し、基板ホルダからステージへ熱が逃げることを抑制する形態と、ステージでの冷却液が流動する形態とに特徴を備える。以下、説明する。
プラズマチャンバに、内部の減圧状態でプラズマ生成ガスとマイクロ波が導入され、プラズマが生成される。基板は導入された原料ガスとプラズマとの作用によりその表面に化学気相成長による薄膜が形成される。基板ホルダはこの基板を載置するもので、プラズマチャンバの内部空間に対して出し入れされる。プラズマチャンバ内には基板をセットした基板ホルダを載置するためのステージが配置される。
プラズマによって成膜された基板を載置支持する基板ホルダは、プラズマとの直接的な接触によって高温状態になり、その高温状態を安定化することが良好な成膜の条件につながる。それゆえに、基板ホルダからステージへの熱が放熱することを抑制することが必要である。
本発明では、従来技術の場合の熱伝導率制御用の気体をスペースに充填することに代え、当該スペース内の気体をできる限り多量に排除、つまり、真空引きによって、基板ホルダからステージへの熱の逃げを抑制する。
基板ホルダはステージ上に載置され、そのステージと基板ホルダとの接触部に真空引き用スペースを確保する。
より具体的には、上側に位置する基板ホルダの下面に凹所を形成する。
あるいは下側に位置するステージの上面に凹所を形成する。
あるいは基板ホルダの下面とステージの上面それぞれに凹所を形成する。
そして、ステージには、真空引き用スペースに連通する状態で真空引き通路を形成する。
ステージに設けられた真空引き通路を介して真空引き用スペースに対する真空引きを行い、そのスペース内に存在していた気体分子をできるだけ多く排出する。スペース内に存在する気体分子は基板ホルダからステージへの熱の逃げの媒体となるが、この熱伝導の媒体の数を極力少なくすることで、基板ホルダからステージへの熱の逃げを可及的に抑制し、基板ホルダひいては基板が所定の高温状態に保たれるようにしている。
このように基板ホルダを高温状態に保つ一方、ステージは前記したように冷却する必要がある。ステージの冷却は基板ホルダからステージへの熱の逃げを促進するが、これをできるだけ抑え込まなければならない。ステージに冷却液通路を形成するが、真空引き用スペースの下方相当領域においてステージの内部に冷却液通路を形成する。効果的な冷却を行うには、冷却液通路の形態として、渦巻き状に展開するとかジグザグ状に展開するなど、ステージとの接触領域ができるだけ広く接触時間ができるだけ長くなっていることが好ましい。
冷却液通路に冷却液を送り込む圧力が何らかの事情により低下したとしても冷却作用が行われない空白領域が出現しないようにするため、本発明では次のような構成を備える。
すなわち、冷却液による冷却作用が終わる冷却液通路の下流側端部には冷却作用後の冷却液を排出側へ導く連絡通路部が形成されるが、この連絡通路部に堰止めを施す。
すなわち、その堰止め用連絡通路は、冷却液通路よりも高い位置に形成され、冷却液通路から連絡通路部への冷却液の流出をオーバーフローをもって行わせる。つまり、堰止め用連絡通路の最も低い部分は冷却液通路の最も低い部分よりも高くなる。
冷却液通路の終端部にオーバーフローを行わせる堰止め用連絡通路が設けられているので、冷却液通路の入口から流入した冷却液が冷却液通路から出ていくためには、堰止め用連絡通路を通らなくてはならない。
この堰止め用連絡通路は、冷却液通路よりも高位にあって、流出の態様がオーバーフローに強制されている。そのため、何らかの事情により冷却液を送り込む圧力が低下したとしても、冷却液通路内の冷却液は冷却液通路の断面全域を満たす状態で流動することになり、冷却作用の空白領域は出現しない。
このようにして冷却液流動領域の全域にわたって過不足なく冷却液がステージを冷却することができるので、冷却液によるステージの冷却効率が充分に高くかつ安定する。結果として、基板ホルダひいては基板の高温状態の温度が安定したものとなり、プラズマによる基板への成膜の性状が高品位なものとなる。
以上のように本発明によるマイクロ波プラズマ処理装置は、マイクロ波プラズマ処理のためのプラズマチャンバと、前記プラズマチャンバ内に配置された、基板ホルダ載置用のステージと、前記ステージに前記基板ホルダが載置された状態で前記ステージと前記基板ホルダとの接触部に確保される真空引き用スペースと、前記真空引き用スペースに連通する状態で前記ステージに設けられた真空引き通路と、前記ステージの内部にこのステージの冷却のために形成された冷却液通路と、を備えたことを特徴とする。
好ましくは、前記冷却液通路の下流側端部に、前記冷却液通路からの冷却液の流出を、オーバーフローをもって行わせる堰止め用連絡通路を設けている。
より好ましくは、前記冷却液通路が渦巻き状に形成されている。
本発明の上記構成による作用は次のとおりである。
真空引き用スペースで真空に近い高度減圧状態とするので、このスペースにおける熱の逃げが効果的に抑制される。一方、堰止め用連絡通路で冷却液をオーバーフローさせるので、何らかの原因で冷却液の供給圧力が変動しても冷却液は最上位まできて流動するため、ステージに対する冷却効果を高く、かつ、安定させることができる。
真空引き通路に連通する状態で基板ホルダ下面とステージ上面との間に確保される真空引き用スペースは、さらに次の作用をもたらす。
すなわち、プラズマチャンバの開放姿勢で基板を載置した基板ホルダをステージ上に載置する際に、良好な成膜のためには、生成されるプラズマと基板ひいては基板ホルダとの位置関係を精密にし、かつ、基板ホルダがステージに強固に安定よく位置保持されていることが必要である。
すなわち、ステージに対する基板ホルダのセンタリングロックの問題である。外部振動などの要因により装置が振動してステージ上で基板ホルダが位置ずれを起こすと、プラズマに対する相対的位置関係が不適正になり成膜の品質劣化をもたらすことになる。
本発明では、基板ホルダをステージに対して、一旦、位置合わせすれば、その位置合わせ状態で真空引き通路を介して真空引き用スペースに対する真空引きを行うと、基板ホルダの上方側の大気圧と基板ホルダの下方側である真空引き用スペース内の真空に近い近真空圧力との間の大きな圧力差でもって、基板ホルダの周縁下端部をステージ上面に押圧し密着固定させることが可能となる。これにより、ステージと基板ホルダひいては基板との位置関係が強固に安定よく保持され、結果、基板とプラズマとの位置関係が精密になり、基板への成膜が高品質となる。
以上のように本発明によれば、ステージと基板ホルダとの接触部に確保したスペースを真空引きする構成により、熱伝導媒体であるスペース内気体分子を極力排除して基板ホルダからステージへの熱の逃げを抑制し、基板ホルダが所定の高温状態に安定的に保たれるようにしている。
さらに、本発明では、冷却液通路の終端部に堰止め用連絡通路を設けて冷却液をオーバーフロー状態で流動させる構成としたので、冷却液が冷却液通路の断面全域を満たす状態で流動し、充分に高くかつ安定した冷却効果をもたらし、基板ホルダの温度状態が安定化する。
併せて、本発明では、前記の真空引きの構成により、基板ホルダの下端部をステージ上面に密着固定し、ステージと基板ホルダと基板との位置関係つまりは基板とプラズマとの位置関係を精密にすることができ、プラズマによる基板への成膜の性状をより高品位なものにすることができる。
本発明の実施例1のマイクロ波プラズマ処理装置の概要を示す断面模式図 本発明の実施例1のマイクロ波プラズマ処理装置のより詳しい構造を示す断面図 本発明の実施例1のプラズマチャンバ部分の詳細な構造を示す断面図 本発明の実施例1の原料ガスの供給・排出系の構造を示す斜視図 本発明の実施例1のステージにおける冷却部および熱の逃げ抑制の詳細な構造を示す断面図 本発明の実施例1のステージにおける冷却部の詳細な構造を示す水平断面図 本発明の実施例1の渦巻き状の冷却水通路の下流側端部の詳細を示す平面図と断面図および比較例の説明図 本発明の実施例1のステージに対する基板ホルダのセンタリングの構造を示す斜視図 本発明の実施例1のステージに対する基板ホルダのセンタリングの構造を示す断面図 本発明の実施例2のステージにおける冷却部および熱の逃げ抑制の詳細な構造を示す断面図 本発明の実施例3のステージにおける冷却部および熱の逃げ抑制の詳細な構造を示す断面図 従来の技術におけるステージにおける冷却部および熱の逃げ抑制の詳細な構造を示す断面図 従来の技術における課題を説明する断面図
上記した構成の本発明のマイクロ波プラズマ処理装置は、次のような好ましい実施の形態において有利に展開される。
前記の冷却液通路の形態について、これを渦巻き状に形成したり、ジグザグ状に形成したりすることは、ステージの広範囲な領域に対する均一な冷却効果をもたらす。
また、前記の冷却液通路の形態について、その上流側端部がステージの中心側に位置し、その下流側端部がステージの外周側に位置しているのを好適例とする。ステージの中心側は最も高い温度となるが、その最も高い温度領域に熱交換前の最も低い温度の冷却液を最初に流動させて熱交換することは、効率良い冷却作用をもたらすからである。
ただし、冷却液通路の別の形態では、その上流側端部がステージの外周側に位置し、その下流側端部がステージの中心側に位置しているのでもかまわない。
さらに、前記のオーバーフローのための堰止め用連絡通路の構成については、冷却液通路の下流側端部のさらに排出側の連絡通路につながる中継通路と、冷却液通路の下流側端部につながる細径通路とを備えたものとして構成し、前記の細径通路は、上下方向での位置が冷却液通路および中継通路の最上位位置を含む高位位置に設定されているように構成することが好ましい。この場合、冷却液の圧送ポンプの圧送力が何らかの事情により所定圧力より低下したとしても、流路断面積中に空気層は出現せず、ステージの上面近傍部に対して高い冷却効果、安定した冷却効果を発揮させることができる。
また、前記の真空引き用スペースの形態としては、基板ホルダの下面に上向きに形成した凹所をもって構成されているのでもよいし、ステージの上面に下向きに形成した凹所をもって構成されているのでもよいし、あるいは、基板ホルダの下面に上向きに形成した凹所とステージの上面に下向きに形成した凹所とをもって構成されているのでもよい。
以下、図面を参照して、本発明の実施例にかかるマイクロ波プラズマ処理装置を説明する。
図1に、実施例1のマイクロ波プラズマ処理装置の概要を示す。
図1において、1はプラズマ処理のために真空に近い高度減圧レベルに減圧する減圧室、2は減圧室1の底板部を構成する減圧室底板、3は減圧室底板2に対して開閉自在でその閉止姿勢で減圧室底板2とともに減圧室1を形成するプラズマチャンバである。
また、4は減圧室1内に配置される状態で減圧室底板2の上方に設けられた金属製のステージ、5は基板6をセットした状態でステージ4に載置される金属製の基板ホルダ、7は減圧室1内で生成されるプラズマ、8は減圧室1に対するガス導入部、9は減圧室1からのガス排出部、10は減圧室1に対してマイクロ波を導入するマイクロ波導波部である。
さらに、11は気体の通過は遮断するがマイクロ波は通す石英などの環状の誘電体窓、12は真空引き経路や冷却液循環路を伴う中心軸管部、13はステージ4および中心軸管部12に対する下方付勢機構である。
プラズマチャンバ3は、例えばアルミニウム製で、その下端縁が減圧室底板2に密着して減圧室底板2とともに減圧室1を形成する閉止状態と、減圧室底板2から離間して減圧室1を開放する状態とに切り替え自在となっている。ステージ4と中心軸管部12とは固定連結されていて、両者は一体となって上下動可能に構成されている。
ステージ4の下面と減圧室底板2の上面との間に環状の誘電体窓11が介在されており、下方付勢機構13によって中心軸管部12を介してステージ4を下方に付勢することにより誘電体窓11をステージ4と減圧室底板2とに密着させるようになっている。この密着により減圧室1内のガスがマイクロ波導波部10側に漏出しないようにされている。
なお、中心軸管部12が上下動するのに対して、減圧室底板2やこれに固定連結のマイクロ波導波部10は原則的に位置固定となっている。
中心軸管部12は減圧室底板2に形成された同軸状のマイクロ波同軸導管2aに挿通されている。マイクロ波導波部10は、水平導波管部10aと、垂直導波管部10bを有する。垂直導波管部10bは、中心軸管部12を挿通する状態で減圧室底板2の下面に固定されている。
垂直導波管部10bの内周面と中心軸管部12の外周面との間には、同軸状のマイクロ波誘導通路10cが形成されている。
マイクロ波誘導通路10cは、減圧室底板2に形成されたマイクロ波同軸導管2aに連通し、結果的にマイクロ波をステージ4の下面に導入される。ステージ4の下面に導入されたマイクロ波は、さらに、誘電体窓11を通過し、ステージ4の端部からステージ4の上面に回り込み、その上面とその上空間に伝播する。
この場合、マイクロ波は、ステージ4の上面に対して、その端部から中心エリアに向けて伝播し、ステージ4の上方でプラズマを生成するためのマイクロ波のエネルギーでガス放電を起こす。
こうしたマイクロ波の伝播の形態は、中心軸O周りで周方向均等分布の状態になっている。そして、ステージ4の中心エリアの上方空間には、前記のように伝播されたマイクロ波と、導入された水素ガスとの相互作用でプラズマ7が生成する。
マイクロ波誘導通路10cからステージ4の下方空間さらに誘電体窓11を通してのプラズマチャンバ3内でのマイクロ波の伝播の形態については、中心軸O周りで周方向に均等分布の状態となっている。
ここで、概略以上のように構成されたマイクロ波プラズマ処理装置の動作の概要を説明する。
(1)プラズマチャンバ3の開放姿勢で、基板6をセットした基板ホルダ5をステージ4上に載置し、ステージ4の中心で基板ホルダ5を固定する。このとき、センタリングの治具を用いて基板ホルダ5をステージ4の中心に置く(図8、図9参照)。真空引きによって基板ホルダ5をステージ4に固定した後に治具は取り除かれる(センタリングの治具および真空引きについては後述する)。
(2)減圧室底板2に対してプラズマチャンバ3を閉止姿勢にし、減圧室底板2とプラズマチャンバ3とによって減圧室1を形成する。
(3)減圧室1を真空引きして、減圧室1内の圧力を制御する。
(4)減圧室1の圧力が所定の圧力に達すると、プラズマ生成ガスとして水素ガスを、ガス導入経路14を通し、ガス導入部8を介して、減圧室1内に導入する。
(5)水素ガスの導入に伴い、減圧室1が所定の圧力レベルに達すると、マイクロ波導波部10によってマイクロ波を導入する。
マイクロ波は水平導波管部10aから垂直導波管部10b(マイクロ波誘導通路10c)および減圧室底板2のマイクロ波同軸導管2aを通ってステージ4の下面に導かれる。
そして、ステージ4の下面のマイクロ波は、環状の誘電体11を通って、ステージ4の端部に伝播する。ステージ4の中心になればなるほど、マイクロ波は強くなる。そのとき、ステージ4の中心エリアの上方空間には、導入された水素ガスと、マイクロ波による強度が強い電磁場の電場との相互作用でプラズマ7が生成する。
(6)減圧室1内が所定の圧力状態、所定の温度状態になり、プラズマ7のエネルギーレベルが所定レベルに達したら、さらに成膜用のガスとしてメタンガスをガス導入部8を介して減圧室1内に導入する。メタンガスはダイヤモンドの成膜を行うときの原料である。
このとき、併せて酸素ガスや窒素ガスを導入することもある。
水素ガスは引き続いて導入される。プラズマ7の生成中においては、ガス吸引経路15を通しガス排出部9を介して減圧室1を真空引きして圧力維持する動作は継続され、プラズマ7の発生が維持される。
次に、実施例1のマイクロ波プラズマ処理装置のより詳しい構造を図2を用いて説明する。まず、下方付勢機構13について説明しておく。
基本的構造は特許文献1に記載のものと同様である。
マイクロ波導波部10の垂直導波管部10bの下部にスプリングブロック16が取り付けられている。一方、中心軸管部12の下端部に付勢力受け板17が外嵌され、中心軸管部12の下端に固定ボルト18でストッパブロック19が固定され、このストッパブロック19は付勢力受け板17の下面に当接している。
付勢力受け板17に螺着された付勢力調整ボルト20がスプリングブロック16の凹部に挿入され、その周囲に嵌合させたスプリング21がスプリングブロック16と付勢力調整ボルト20との間で伸長付勢力を張っている。
スプリング21の伸長付勢力が付勢力調整ボルト20を介して付勢力受け板17に伝わり、さらにストッパブロック19を介して中心軸管部12に伝わり、最終的にステージ4を介して誘電体窓11を下方に向けて減圧室底板2に押圧するように作用する。スプリング21と付勢力調整ボルト20の組は複数ある。
図2ないし図4を参照して、ガスの供給・排出系について説明する。
プラズマチャンバ3の中央天井部においてガス導入部8は次のように構成されている。プラズマチャンバ3の中央天井部が上側壁8aと下側壁8bとの二重壁状に構成され、その上側壁8aと下側壁8bとの間に流速緩和室8cが形成されている。
上側壁8aの中心部にはガス導入経路(パイプ)14が接続されるようになっている。下側壁8bにおいては複数のガス導入口8dが中心軸O周りで周方向に均等分布の状態に形成されている。
このガス導入部8の構造は、たとえて言えば風呂のシャワーヘッドの構造に似ている。
より具体的には、図4に示すようにガス導入口8dは下側壁8bにおいて、同心円状の複数の円弧上においてそれぞれ周方向等間隔に形成されている。
ただし、ガス導入口8dは1つの円弧上において周方向等間隔に形成されているのでもよい。
図示は省略しているが、このガス導入経路14の上流側では混合栓が取り付けられ、その混合栓の部分で水素ガスやメタンガスその他のガスが単独であるいは混合されて供給されるようになっている。
一方、ガス排出部9は次のように構成されている。円環状の絶縁物(誘電物)からなる排出パイプ24がステージ4の外周縁の外側下方(環状の誘電体窓11の外側)において、減圧室底板2の上面に固定されている。
この場合、排出パイプ24が金属であれば、底板2に溝を作り、その溝内に排出パイプ24を収納すると共に、底板2の上面と排出パイプ24の上面との高さを同一にするとよい。
円環状の排出パイプ24は中心軸Oを中心とする半径一定の円弧の上に配置されている。円環状の排出パイプ24の頂線の部分には複数のガス排出口24aが中心軸O周りで周方向に均等分布の状態に形成されている。
複数のガス排出口24aは1つの円周上に配置されている。
円環状の排出パイプ24の下面で周方向の等間隔4箇所に下方に向けて連通状態で設けた4つの縦パイプ24bが減圧室底板2を上下に貫通している。
一方の2つの縦パイプ24bは、1つの横パイプ24cに共通に接続され、他方の2つの縦パイプ24bは、別の1つの横パイプ24cに共通に接続される。
前記2つの横パイプ24cそれぞれの中心には、縦横にL形に曲がった各別のパイプ24dに接続され、これら各別の2つのL形パイプ24dがさらに、もう1つの横パイプ24eで共通に接続され、この横パイプ24eの中心が、図示略の真空ポンプを含むガス吸引パイプ15に接続される。
尚、図1および図2で、これらパイプ24b、24c,24d,24eを、排出パイプ24とガス吸引パイプ15とを接続する連絡パイプ系24Aとして示す。また、図1ないし図3で、連絡パイプ系24Aは、図解の都合で、断面で示す。
複数のガス導入口8dの分布の中心と複数のガス排出口24aの分布の中心とを結ぶ中心線に関してステージ4および基板ホルダ5の中心は一致している。ガス導入経路(パイプ)14の終端から流速緩和室8cに流入した原料ガスは水平方向へ広がる流速緩和室8cにおいてその勢いが緩和される。
すなわち、真下へ向かうガスの勢いは、流速緩和室8cでの流速緩和作用によって抑えられ、水平方向へ広がりながら、複数のガス導入口8dから減圧室1内に流入する。
ガス排出部9では図示略の真空ポンプの駆動により、排出パイプ24を介して複数のガス排出口24aから減圧室1に対する真空引きが行われ、減圧室1に対する圧力制御が継続維持される。
したがって、複数のガス導入口8dから減圧室1内に流入したガスは複数のガス排出口24aに向かって吸い込まれてゆく。複数のガス導入口8dは周方向に均等分布に配置され、複数のガス排出口24aも周方向に均等分布に配置されているから、減圧室1内におけるガスの流れは図4に示すように周方向均等分布の状態となり下方の円環状の排出パイプ24の頂線上の周方向均等分布のガス排出口24aに吸引されていく。
ある1つのガス導入口8dから減圧室1内に流入してきたガスの流線は、そのガス導入口8dと周方向で同一位相にある1つのガス排出口24aに向かうが、それだけでなくその1つのガス排出口24aの周方向両隣にあるそれぞれ1つまたは2,3のガス排出口24aにも向かう。
もっとも、流線の密度には差異があり、中央のガス排出口24aでの流線密度が最も高く、中央から離れるほど流線の密度は小さくなる。
このことがすべてのガス導入口8dとそれぞれに位置対応するガス排出口24aとの間の流線について当てはまるので、平均的にはガスの流線は周方向に均等分布の状態となる。
さらに、このガスの流線についての周方向均等分布の状態は、ガス導入口8dの高さ位置からガス排出口24aの高さ位置までの鉛直方向のどの高さ位置でもほぼ保たれている。
真空引き経路や冷却液循環路を伴う中心軸管部12は、導体外管12aと中間管12bと真空引き通路用内管12cとの三重管構造となっている。
真空引き通路用内管12cは、その内部通路が真空引きされるもので、その真空引きにより、基板ホルダ5をステージ4に密着固定するようになっている。
すなわち、基板ホルダ5の底部には凹所5a(図5参照)が形成されており、基板ホルダ5をステージ4の上面に載置した状態で、その凹所5aとステージ4とが真空引き用スペース22を形成する。
一方、真空引き通路用内管12cは、その上端部がステージ4を貫通し、真空引き用スペース22に臨むようになっている。
したがって、真空引き通路用内管12cの下端側から真空引きを行うと、真空引き用スペース22が高度に減圧され、その内圧が減圧室1の内圧より低くなると、その圧力差により基板ホルダ5がステージ4に密着し固定化される。
なお、真空引きに先立ってセンタリングの治具を用いてステージ4の中心に対する基板ホルダ5の位置決めが行われる(図8、図9参照)。
次に、ステージ4の冷却のための構造について図5、図6を用いて説明する。
ステージ4には冷却液通路23bが渦巻き状に形成されている。その渦巻き状の冷却液通路23bの内周側端部に対して中間管12bと真空引き通路用内管12cとの間の冷却液の送り通路23aが連通されている。
また、渦巻き状の冷却液通路23bの外周側端部がステージ4の下部側に形成された連絡通路23cを経て導体外管12aと中間管12bとの間の冷却液の戻り通路23dに連通されている。
したがって、中間管12bの下端側から冷却液の送り通路23aに冷却液を圧送すると、冷却液が中間管12bから渦巻き状の冷却液通路23bに流れ込み、渦巻き状の冷却液通路23bを中心部から外周部にかけて何回も旋回するように流動したのち、さらに連絡通路23cを通って導体外管12aの冷却液の戻り通路23dの上端へと流れ込み、導体外管12aの下端部から外部へと排出される。
冷却液が渦巻き状の冷却液通路23bの内部を流動する過程でステージ4を冷却する。その結果として、基板ホルダあるいは基板の温度が維持され、成膜の品質を良好に維持することができるようになる。
本発明にあっては、ステージ冷却の構造にはさらに後述の工夫が施されている(堰止め用連絡通路26参照)。なお、冷却液通路23bの形態は渦巻き状に限定されない。
中心軸管部12は、上記のような基板ホルダ5の固定のための真空引きをする真空引き通路用内管12cと、ステージ4の冷却のための中間管12bおよび導体外管12aを含んでいる。
ステージ4は、渦巻き状の冷却液通路23bを形成し、ステージ4と中心軸管部12とが一体化されている。さらに、ステージ4と中心軸管部12との一体物が、下方付勢機構13によって押し下げられ、環状の誘電体窓11の下端、上端が減圧室底板2とステージ4とに圧接される。
これにより、減圧室1内のガスがマイクロ波導波部10側に漏出されることが確実に防止される。
本実施例では、渦巻き状の冷却液通路23bは、その上流側端部がステージ4の半径方向内方にあり、下流側端部が半径方向外方にあり、渦巻き状の冷却液通路23bの下流側端部23b1 において連絡通路23cとの間には、堰止め用連絡通路26が設けられている。
図7の(a),(b)を用いて詳しく説明する。
堰止め用連絡通路26は、細径通路26aと中継通路26bを備えている。中継通路26bは、短い通路であり、渦巻き状の冷却液通路23bの下流側端部23b1 の外側に配されている。中継通路26bの下流側端部には、連絡通路23cの上流側端部(傾斜部)が連絡されている。
細径通路26aは、渦巻き状の冷却液通路23bの下流側端部23b1 と中継通路26bの上流側端部との間に架け渡されている。細径通路26aは、上下方向での位置が渦巻き状の冷却液通路23bや中継通路26bの最上位位置を含む高位位置に設定されている。細径通路26aの底部分は、渦巻き状の冷却液通路23bの底部分よりも高くなる状態に構成されている。
図7(b)の上向き矢印Hは、その落差を表している。高位の細径通路26aのこの構成は、渦巻き状の冷却液通路23bから中継通路26bへの冷却液の流動の形態をオーバーフローとする(矢印OF参照)。
中間管12bの内側の冷却液の送り通路23aからステージ4の渦巻き状の冷却液通路23bに流入した冷却液は、何回も旋回したのち堰止め用連絡通路26における中継通路26bを介しさらに連絡通路23cを介して導体外管12aの内側の冷却液の戻り通路23dに排出されていく。
このとき、渦巻き状の冷却液通路23bから中継通路26bに至る前に必ず高位の細径通路26aを通らなければならない。この高位の細径通路26aが渦巻き状の冷却液通路23bや中継通路26bの最上位レベルにあるため、冷却液の圧送ポンプの圧送力が何らかの事情により所定圧力より低下したとしても、図7(b)に示すように渦巻き状の冷却液通路23bの縦断面の円形空間において冷却液はその下端から上端まで満たされた状態で流動することになる。
もし、堰止め用連絡通路がない冷却液通路の場合には、図7(c)に示すように、冷却液の流動の態様は、冷却液通路23bの縦断面の円形空間において上端には達することなく、上側部分に空気層27を残す状態での流動となる。
このことは、〔発明が解決しようとする課題〕の項において特許文献1の技術について述べたのと同様である。ステージ4において最も高温になるゆえに最優先で冷やすべき部位は、基板ホルダ5の下端部に接触するステージ上面近傍部である。しかるに、冷却液通路23bの上部に空気層27が存在すればステージ上面近傍部に対する冷却液による冷却作用が大幅に低下してしまう。
本実施例の場合は、冷却液の圧送ポンプの圧送力が所定圧力より低下したとしても、図7(b)に示すように空気層は出現せず、ステージ4の上面近傍部に対して高い冷却効果、安定した冷却効果を発揮させることができる。
次に、センタリング治具28について図8、図9を用いて説明する。
センタリング治具28は、円環状の治具本体28aとこれの下面に一体的に突出された4つの位置決め脚28bとを有している。4つの位置決め脚28bは、円環状の治具本体28aの中心軸まわりの1つの円周上において等間隔に配置されている。
円環状の治具本体28aには同心状にホルダ嵌合孔28cが貫通状態で形成されている。位置決め脚28bは中心軸に平行となっている。ステージ4にはセンタリング治具28の4つの位置決め脚28bを挿入するための脚挿入孔4aが4つ形成されている。
4つの脚挿入孔4aは、ステージ4の中心軸まわりの1つの円周上において等間隔に配置されている。センタリング治具28のホルダ嵌合孔28cの外殻形状は基板ホルダ5の外殻形状と相似形(円形)で、その直径は基板ホルダ5の直径よりやや大きい寸法にされている。
ステージ4に対する基板ホルダ5のセンタリング(中心合わせ)は次のように行われる。まず、ステージ4の4つの脚挿入孔4aに対してセンタリング治具28の4つの位置決め脚28bを位置合わせして挿入する。これにより、センタリング治具28がステージ4に対して正確な中心合わせ状態となる。
次いで、基板6を載置した基板ホルダ5をセンタリング治具28のホルダ嵌合孔28cに嵌合する。これにより、基板ホルダ5はセンタリング治具28を介してステージ4に正確な中心合わせの状態となる。
図9に示すように、基板ホルダ5の下面の凹所5aとステージ4の上面とで真空引き用スペース22が形成される。次いで、中心軸管部12における真空引き通路用内管12cによる真空引きによって真空引き用スペース22内を高度な減圧状態にする。基板ホルダ5の外部上方の空間の圧力は大気圧であるので、大気圧と高度減圧状態との差圧によって基板ホルダ5がステージ4に密着状態に圧接される。
次いで、センタリング治具28をステージ4から取り外す。この取り外しによっても、基板ホルダ5はステージ4に対し密着圧接されているので、ステージ4に対する基板ホルダ5ひいては基板6のセンタリングは高精度かつ強力なものとなる。
次に、ステージへの熱の逃げ抑制に関しての変形例を実施例2とし、この実施例2について図10を用いて説明する。図10において、実施例1の図5におけるのと同じ符号は同一構成要素を指しているので、詳しい説明は省略する。
真空引き用スペース22を構成するのに、実施例1の場合には図5で示すように基板ホルダ5の底部に凹所5aを形成しているが、本実施例の場合には図10に示すように、ステージ4の上面部に凹所4bを形成し、一方、基板ホルダ5の下面は平坦なままとし、基板ホルダ5の平坦な下面とステージ4の凹所4bとをもって真空引き用スペース22を構成している。
本実施例の場合の熱の逃げ抑制の効果は実施例1と同様である。
次に、ステージへの熱の逃げ抑制に関しての別の変形例を実施例3とし、この実施例3について図11を用いて説明する。図11において、実施例1の図5におけるのと同じ符号は同一構成要素を指しているので、詳しい説明は省略する。
真空引き用スペース22を構成するのに、本実施例の場合には図11に示すように、基板ホルダ5の下面部に凹所5aを形成するとともに、ステージ4の上面部に凹所4bを形成し、基板ホルダ5の凹所5aとステージ4の凹所4bとをもって真空引き用スペース22を構成している。
本実施例の場合の熱の逃げ抑制の効果は、実施例1,2よりやや高いものとなる。
ここで試行例を説明する。条件はおおむね次のとおりである。
基板(種)として高圧高温(HPHT)Ib型ダイヤモンド(窒素を含有し黄色を帯びる)の基板を用いた。
水素ガスの供給量は500sccm、
メタンガスの供給量は5〜80sccm(水素ガス基準で0.1〜18%)、
窒素ガスの供給量は0〜2sccm(メタンガス基準で0〜3%)、
結晶成長中のプラズマチャンバ内圧力は50〜400Torr(好ましくは100〜200Torr)、
成膜中の基板温度は、800〜1300℃(好ましくは、1000〜1250℃)、
マイクロ波のパワーは2〜5kW、周波数は2.45GHzである。
なお、sccm(standard cc/min)は大気圧下、一定温度(0℃あるいは25℃など)で規格化された流速である。成膜時間については、膜厚に応じて変化し、10分〜100時間である。
以上、3つの実施例について説明したが、次のような形態も本発明は含み得るものとする。
例えば、ステージ4における冷却液通路23bの形態については、上記の各実施例にあっては渦巻き状としているが、これのみに限定する必要はなく、任意の形態をとり得、とりわけジグザグ状、縦横格子状、クモの巣状など、広い領域にわたって万遍なく流動する領域をもつものが好ましい。
また、上記の各実施例にあっては、渦巻き状の冷却液通路23bでの冷却液の流動方向が中心部から外周部に向かう旋回流としたが、それとは逆に、外周部から中心部に向かう旋回流としてもよい。その場合、符号23dで示される通路が冷却液の送り通路となり、符号23aで示される通路が冷却液の戻り通路となる。そして、堰止め用連絡通路26は外周部から中心部に向かう旋回流の終端部である渦巻き状の冷却液通路23bの中心側端部に設けられる。
また、ガス導入部8やガス排出部9の形態については、上記の実施例にあってはガスの流線分布を周方向で均等にするための特別な工夫が施されているが、そのことは本発明にあっては必ずしも必須としなくてよきものとする。
また、上記の実施例にあってはステージ4に対する基板ホルダ5の中心合わせにセンタリング治具28を用いているが、これも本発明にあっては必ずしも必須としなくてよきものとする。
冷却液については、通常は冷却水としてよいが、水以外の液体を用いることもある。
また、ガスの種類は任意である。もっとも、本発明はダイヤモンドの薄膜を形成するダイヤモンド薄膜形成装置に適用した場合に大きな成果をもたらすと期待され、その場合のガスはメタンガスである場合が多い。マイクロ波の周波数については任意とする。プラズマチャンバ3における高度の減圧状態の圧力値についても任意とする。
本発明は、プラズマを用いて基板に成膜するマイクロ波プラズマ処理装置において、とりわけダイヤモンドの薄膜を形成するダイヤモンド薄膜形成装置において、基板ホルダを載置するステージに対する高精度で安定した冷却作用と基板ホルダからステージへの熱の逃げの効果的で安定した抑制とを通じて、基板に対する成膜性状の高品質化を達成する技術として有用である。
1 減圧室
2 減圧室底板
3 プラズマチャンバ
4 ステージ
5 基板ホルダ
6 基板
7 プラズマ
8 ガス導入部
9 ガス排出部
10 マイクロ波導波部
11 誘電体窓
12 中心軸管部
12a 導体外管
12b 中間管
12c 真空引き通路用内管
13 下方付勢機構
22 真空引き用スペース
23a 冷却液送り通路
23b 渦巻き状の冷却液通路
23c 連絡通路
23d 冷却液戻り通路
26 堰止め用連絡通路
26a 細径通路
26b 中継通路

Claims (6)

  1. マイクロ波プラズマ処理のためのプラズマチャンバと、
    前記プラズマチャンバ内に配置された、基板ホルダ載置用のステージと、
    前記ステージに前記基板ホルダが載置された状態で前記ステージと前記基板ホルダとの接触部に確保される真空引き用スペースと、
    前記真空引き用スペースに連通する状態で前記ステージに設けられた真空引き通路と、
    前記ステージの内部にこのステージの冷却のために形成された冷却液通路と、
    を備えたマイクロ波プラズマ処理装置。
  2. 前記冷却液通路の下流側端部に、前記冷却液通路からの冷却液の流出を、オーバーフローをもって行わせる堰止め用連絡通路を設けた、請求項1に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
  3. 前記冷却液通路が渦巻き状に形成されている請求項1または請求項2に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
  4. 前記冷却液通路がジグザグ状に形成されている請求項1または請求項2に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
  5. 前記冷却液通路は、その上流側端部が前記ステージの中心側(または外周側)に位置し、その下流側端部が前記ステージの外周側(または中心側)に位置している請求項3に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
  6. 前記堰止め用連絡通路は、
    前記冷却液通路の下流側端部のさらに排出側の連絡通路につながる中継通路と、
    前記冷却液通路の下流側端部につながる細径通路と、
    を備え、
    前記細径通路は、上下方向での位置が前記冷却液通路および前記中継通路の最上位位置を含む高位位置に設定されている請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
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