JP2013121885A - マイクロ波プラズマ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板のエッジ部分でのプラズマ濃度は他の部分よりも濃く、基板温度がエッジ部分で一段と高いものとなって、基板表面の温度分布に大きな不均一が生じ、かつプラズマによる結晶成長の速度に関しても基板表面での分布に大きな不均一が発生する結果、成長した結晶が凹入湾曲面状を呈し、滑らかさに欠けて不規則な階段状に乱れ、クラックなどの欠陥が生じる。
【解決手段】原料ガスとマイクロ波の相互作用でプラズマ7を生成するプラズマチャンバ3と、結晶が形成されるべき基板6をセットした基板ホルダ5を載置するためのステージ4を備える。基板ホルダ5には基板6を没入状態でセットするための凹所5aが形成されている。この凹所5aは、その底部側に、基板6から基板ホルダ5への熱の逃げを抑制するための基板保温支持体27を嵌め入れるものとなっている。基板6の上面位置は凹所5aの上部開放端5bの位置かそれより低くする状態となっている。
【選択図】図7

Description

本発明は、プラズマチャンバ内のステージ上に基板ホルダをセットした上でプラズマチャンバ内にガスとマイクロ波とを導入して基板ホルダ上の基板に原料ガス成分の結晶成長を行うマイクロ波プラズマ処理装置にかかわり、詳しくは、化学気相成長(CVD)の種としての基板における温度分布の不均一が結晶成長の品質劣化をもたらすという不都合を解消するための技術に関する。
近年のマイクロ波プラズマ処理装置は、宝飾や半導体の材料用に大きい単結晶ダイヤモンドの成長を行う場合に好適なものである。特に窒素ガスを導入するタイプではバルクダイヤモンドを高速に成長させることに成功している。これは、マイクロ波CVDプロセスとして知られている。
マイクロ波プラズマ処理装置では大よそ次のような作業が行われる。まず、結晶を成長させるべき基板を基板ホルダにセットし、その基板ホルダをプラズマチャンバ内のステージ上に載置する。プラズマチャンバを閉鎖した上でプラズマチャンバ内を高度の減圧状態とし、プラズマ生成ガスをプラズマチャンバ内に導入するとともにマイクロ波をプラズマチャンバ内に導入する。マイクロ波がもつ電磁波エネルギーによりガスが解離してプラズマ化し、さらに、ダイヤモンド結晶形成用の原料ガスを導入することで、化学気相成長により基板上にダイヤモンド結晶が形成される。
ステージは金属製で、ステージの下面に導入されたマイクロ波は、さらに、誘電体窓を通過し、ステージの端部からステージの上面に回り込み、その上面と上空間に伝播する。マイクロ波は、ステージの端部から中心に至る。ステージの中心になると、マイクロ波は、強くなる。ステージの中心に置く基板ホルダの上方近傍のマイクロ波エネルギは大きく、そこへガスを導入してプラズマ化する。
この場合、プラズマによる結晶成長対象の基板(化学気相成長の種)をセットする基板ホルダは、基板とともにプラズマによって高温にさらされる。良好な結晶成長のためには基板および基板ホルダが所定の高い温度に保たれている必要がある。もし、基板が温度低下や上昇などを引き起こせば、結晶成長の劣化につながる。
特表平9−503611号公報(米国特許公報5501740号明細書) 特開2006−219370号公報
従来の技術にあっては、図17(a),(b)に示すように、化学気相成長の種である基板83上に形成される結晶84の厚みがかなり不均一なものとなりがちであった。特に、ダイヤモンドの結晶を作るダイヤモンド結晶形成装置ではその傾向が強いものとなっていた。結晶84の中央部は厚みが薄く、周辺部にかけて次第に厚みを増し、端縁部で最大の厚みをもつような凹入湾曲面状を呈することが多い。しかも、その表面には滑らかさはなく、不規則な階段状に乱れている。さらに、クラックなどの欠陥も生じやすい。なお、図17では結晶84の様子を誇張して描いている。
このような不具合現象の原因を調べてみると、次のような理由によるものと考えられる。すなわち、従来の技術にあっては、基板ホルダとこれにセットされる基板(種)との関係が単純なものであり、そのことが原因となって、プラズマガスによる基板上へ結晶成長に品質劣化をもたらしている可能性がある。この点を、図18を用いて、以下に説明する。図18の円弧内は一部の拡大図である。
図18において、81はステージ、82は基板ホルダ、83は単結晶ダイヤモンド成長の種(成長核)となる基板である。基板ホルダ82の主要上面は平坦な載置面82aに形成されており、その平坦な載置面82aに対して単純な形で基板83が載置されている。
このような基板83の載置状態で、マイクロ波は、ステージ81の端部から回り込んで、基板ホルダ82の上方の中心領域に伝播してくる。そして、マイクロ波は、基板ホルダ82の中心領域になればなるほど、強くなる。その強いマイクロ波で、基板ホルダ82の上方にプラズマ85が発生する領域がある。そのとき、基板83の上方近傍にプラズマ85を吸収したマイクロ波パワーが分布し、基板83の端部83aのところにマイクロ波の中の電界が集中する。
その結果、基板83の端部83aでの電界強度は他の部分に比べてかなり高いものとなる。したがって、基板83の端部83aにはマイクロ波がより高い密度状態で導波される。その結果、端部83aでのプラズマ濃度は他の部分よりも濃いものとなるとともに、基板温度も端部83aで一段と高いものとなる。
つまり、基板83ではその表面の温度分布に大きな不均一が生じ、かつプラズマによる結晶成長の速度に関しても基板表面での分布に大きな不均一が発生する。その結果として、前述のとおり成長した結晶84が凹入湾曲面状を呈し、滑らかさに欠けて不規則な階段状に乱れ、クラックなどの欠陥が生じることとなっている。
このような不都合は、結晶塊が大きくなるほど顕著になる。つまり、従来の技術においては、十分に大きなバルク単結晶の成長が期待できないのである。この点に鑑みると、さらなる改善が求められる。
上記の課題を解決するため、本発明によるマイクロ波プラズマ処理装置は、プラズマチャンバと、前記プラズマチャンバ内に配置されたステージと、前記ステージ上に載置される基板ホルダと、を備え、前記基板ホルダは、単結晶ダイヤモンド成長用の核となる基板をセットする凹所を備え、前記凹所は、少なくとも、その内部に前記基板をセットした状態で当該基板の上面が、前記凹所の上部開放端位置以下となる深さを有する。
本発明によれば、基板を基板ホルダに形成した凹所に、基板の上面位置が凹所の上部開放端位置以下となるようにセットすることができる。
これにより、基板のエッジ部分が電界強度の最強の領域に直接的にさらされ過剰に昇温されることを避け、基板表面の温度分布を均一化する。結果、基板温度を結晶成長上適正な温度に保ちながら基板表面の温度分布を均一化することが可能となり、基板に対するプラズマによる結晶成長を高品質のものにすることが可能となる。
本発明の好ましい態様は、前記凹所の底部に、前記基板の上面位置を前記凹所の上部開放端位置以下にする状態で前記基板を載置支持し、かつ前記基板から前記基板ホルダへの熱の逃げを抑制する基板保温支持体を1枚ないし複数枚入れてあり、前記複数枚入れるときは、それら基板保温支持体は積層されていることである。
基板保温支持体の作用により、基板の温度は、基板ホルダ表面、凹所などより高くなる。これで、基板の上に単結晶成膜が出来るようになり、また、基板ホルダ表面などに多結晶成膜の生成も少なくなる。これにより、基板上に、高品質の膜を長時間にわたり成膜することが可能となる。
この態様では、凹所内で基板と凹所底面との間に基板保温支持体を介在させているので、基板を凹所底面に直接セットする場合に却って基板温度が結晶成長上適正な温度以下になってしまうのを回避する。
そのため、基板温度を結晶成長上適正な温度に保ちながら基板表面の温度分布を均一化することが可能となり、基板に対するプラズマによる結晶成長を高品質のものにすることが可能となる。
この場合、基板保温支持体は、例えばモリブデンから構成されるのが好ましい。
なお、モリブデンからなる基板保温支持体を複数用いる場合は、それらの間に隙間が発生して基板から基板ホルダへの熱伝導が低くなり、前記熱の逃げが一層抑制されるという効果がある。
モリブデン製の多数の基板保温支持体を用いると、凹所にある基板から凹所底部および凹所内周部への熱の逃げの抑制が効果的に行われ、基板を結晶成長上適正な高温状態に保ちつつ、基板温度分布の均一化を達成しやすい。しかも、モリブデン製であって気化しにくいので、プラズマによる結晶成長ゆえに相当な高温にさらされる環境下でも長期にわたって所期の機能を発揮させることが可能となる。
また、前記の基板保温支持体の形態について、これを複数の支持板が積層されて構成されていると、積層された複数枚の支持板は、それらが密着されていても、顕微鏡レベルでは相互間に隙間が生じている。この隙間は熱の逃げを抑制する効果を増強する。したがって、基板を結晶成長上適正な高温状態に保つ上で効果がある。
また、前記の基板保温支持体について、基板ホルダにおける凹所に対し、その凹所の内周面に接する状態で基板保温支持体が内装されているのが好ましい。この構成は、基板保温支持体自体の位置の安定性をもたらす。
また、前記の基板ホルダにおける凹所について、その凹所の内周面の寸法が基板の外周面の寸法より大きくされているのが好ましい。これは、基板の外周部が凹所内周面に接触するのを避け、基板上で成長する結晶が凹所内周面に架橋してしまう不都合を回避する。
また、前記の基板ホルダについて、凹所および基板保温支持体の組が複数設けられている態様もある。凹所および基板保温支持体の組が複数ある構成は、基板上への結晶成長の生産性を向上することにつながる。
本発明の好ましい態様は、前記基板を前記基板保温支持体と共に前記凹所内で上下方向に変位可能に構成し、さらに、前記基板上への結晶成長に伴って前記基板の上面位置が前記凹所の上部開放端位置以下になるよう前記基板を下降させることである。
この態様において、結晶成長に伴って結晶成長面の高さ位置を調整する。この調整は、結晶成長の品質に影響する。特に単結晶ダイヤモンドの成長の場合には顕著な影響が生じる。この対策として、前記の基板保温支持体を基板ホルダの凹所内で上下方向に変位可能に構成する。
好ましくは、前記基板の下降は自動制御することである。
なお、前記自動下降のための機構は、当該プラズマ処理装置の運転状況を監視するコントローラと、前記コントローラによって制御されるステッピングモータと、前記ステッピングモータの回転運動を直線運動に変換する運動変換機構と、前記運動変換機構によって下降変位させられ前記基板保温支持体に対して下方から作用するロッド状体とを有し、前記コントローラは前記基板上への結晶成長の進行に応じて前記ステッピングモータを駆動するように構成することができる。
また、前記基板保温支持体の複数組に対して共通に作用するアダプタが前記複数の基板保温支持体と前記ロッド状体との間に介在してもよい。
上記構成による作用は次のとおりである。
基板上への結晶成長に伴って結晶成長面がわずかずつではあるが上方に変位する。その変位の速度については経験的にあらかじめ予測がつく。コントローラは当該プラズマ処理装置の運転状況の監視によって装置運転の経過時間を把握し、その時間経過に応じてステッピングモータを駆動する。
この駆動の制御については、一定時間経過のたびに一定回転角度の回転指令を行う断続的な制御でもよいし、あるいは無段階連続的な制御でもよい。ステッピングモータの回転運動は運動変換機構によって上下運動つまり下降運動に切り替えられ、ロッド状体を下降させる。これに伴って、基板保温支持体も一定の速度状態で下降する。
つまりは、基板保温支持体上の基板は結晶成長に伴って一定の速度状態で下方に変位する。
基板の上面では結晶成長に伴って結晶成長面が上方に変位するが、ロッド状体の下降による基板保温支持体の下方変位は結晶成長面の上方変位を相殺する。これにより、結晶成長面の高さは、結晶成長の時間的経過にかかわらず一定に保たれる。
したがって、基板上における結晶成長の膜厚の精度・品質をきわめて高いものにすることが可能となる。これは、とりわけ、成膜の膜厚において、ミクロン単位、サブミクロン単位、ナノ単位の精度を要求される単結晶ダイヤモンドの成長においては、有利に作用する。
上記の展開例で基板ホルダに凹所および基板保温支持体の組が複数設けられている構成に言及したが、その場合に、基板保温支持体の複数組に対して共通に作用するアダプタを複数の基板保温支持体とロッド状体との間に介在する構成がある。先に、凹所および基板保温支持体の組が複数ある構成は、基板上への結晶成長の生産性を向上することにつながると述べたが、本構成においては、複数の基板保温支持体に対してロッド状体は単一共用であるため、構造の簡素化とともに複数の基板保温支持体上の基板群について、それらの結晶成長の品質を安定化する効果がある。
以上のように本発明によれば、基板ホルダに形成した凹所に、基板の上面位置が凹所の上部開放端位置以下となるようにセットすることで、基板のエッジ部分が電界強度の最強の領域に直接的にさらされ過剰に昇温されることを避け、基板表面の温度分布を均一化する。結果、基板温度を結晶成長上適正な温度に保ちながら基板表面の温度分布を均一化することが可能となり、基板に対するプラズマによる結晶成長を高品質のものにすることが可能となる。
なお、前記凹所内に基板保温支持体を嵌め入れ、その基板保温支持体上に基板を支持し、その状態で基板の上面位置が凹所の上部開放端位置以下となるように構成したことにより、基板温度を結晶成長上適正な温度に保ちながら基板温度分布を均一化し、プラズマによる基板への結晶成長の性状をより高品位なものにすることができる。
本発明の実施例1のマイクロ波プラズマ処理装置の概要を示す断面模式図 本発明の実施例1のマイクロ波プラズマ処理装置のより詳しい構造を示す断面図 本発明の実施例1のプラズマチャンバ部分の詳細な構造を示す断面図 本発明の実施例1の原料ガスの供給・排出系の構造を示す斜視図 本発明の実施例1のステージにおける冷却部および熱の逃げ抑制の詳細な構造を示す断面図 本発明の実施例1のステージにおける冷却部の詳細な構造を示す水平断面図 本発明の実施例1の基板ホルダと基板との関係性を詳しく示す断面図 本発明の実施例1の基板ホルダと基板との関係性をさらに詳しく示す拡大断面図 本発明の実施例2の基板ホルダと基板との関係性を詳しく示す断面図 試行例の説明図 本発明の実施例3の基板ホルダの断面図 本発明の実施例3の基板ホルダの平面図 本発明の実施例3の基板ホルダ、ステージおよびロッド状体の部分の断面図 本発明の実施例3の自動下降機構を含む装置の全体の断面図 本発明の実施例3の自動下降機構の駆動要部の断面図 本発明の実施例3のロッド状体の回転規制部の水平断面図 従来の技術の問題点を指摘するための斜視図と断面図 従来の技術の問題点を指摘するための断面図
以下、図面を参照して本発明にかかわるマイクロ波プラズマ処理装置を詳細に説明する。
図1〜図8を用いて本発明の実施例1のマイクロ波プラズマ処理装置について説明する。
まず、図1を参照して実施例1におけるマイクロ波プラズマ処理装置の概要を説明すると、符号1は、プラズマ処理のために真空に近い高度減圧レベルに減圧する減圧室、2は、減圧室1の底板部を構成する減圧室底板、3は、減圧室底板2に対して開閉自在でその閉止姿勢で減圧室底板2とともに減圧室1を形成するプラズマチャンバである。
また、4は、減圧室1内に配置される状態で減圧室底板2の上方に設けられた金属製のステージ、5は、基板6をセットした状態でステージ4に載置される金属製の基板ホルダ、7は減圧室1内で生成されるプラズマである。
8は、減圧室1に対するガス導入部、9は、減圧室1からのガス排出部、10は、減圧室1に対してマイクロ波を導入するマイクロ波導波部、11は、気体の通過は遮断するがマイクロ波は通す石英などの環状の誘電体窓、12は、真空引き経路や冷却液循環路を伴う中心軸管部、13は、ステージ4および中心軸管部12に対する下方付勢機構である。
プラズマチャンバ3は、例えばアルミニウム製で、その下端縁が減圧室底板2に密着して、圧室底板2と共に減圧室1を形成する閉止状態と、減圧室底板2から離間して、減圧室1を開放する状態とに切り替え自在となっている。
ステージ4と中心軸管部12とは固定連結されていて、両者は一体となって上下動可能に構成されている。ステージ4の下面と減圧室底板2の上面との間に環状の誘電体窓11が介在されている。下方付勢機構13によって中心軸管部12を介してステージ4を下方に付勢することにより、誘電体窓11はステージ4と減圧室底板2とに密着させられる。この密着により、減圧室1内の原料ガスは、マイクロ波導波部10側に漏出しないようになっている。
なお、中心軸管部12が上下動するのに対して、減圧室底板2やこれに固定連結のマイクロ波導波部10は原則的に位置固定となっている。
中心軸管部12は、減圧室底板2に形成されたマイクロ波導入口2aに挿通されている。マイクロ波導波部10は、水平導波管部10aと垂直導波管部10bを有し、垂直導波管部10bは、中心軸管部12を挿通する状態で減圧室底板2の下面に固定されている。垂直導波管部10bの内周面と中心軸管部12の外周面との間には、同軸状のマイクロ波誘導通路10cが形成されている。
このマイクロ波誘導通路10cは、減圧室底板2に形成されたマイクロ波同軸導波入口2aに連通し、結果的に、マイクロ波をステージ4の下面に導くようになっている。マイクロ波は、さらに、誘電体窓11を通過し、ステージ4の端部からステージ4の上方に回り込み、その上面とその上空間に伝播する。マイクロ波は、そのステージ4の端部から中心に至る。マイクロ波がステージ4の中心に至ると、マイクロ波は強くなる。
マイクロ波誘導通路10cからステージ4の下面、さらに誘電体窓11を通してステージ4の端部からステージ4の上面に回り込むマイクロ波の伝播形態は、中心軸O周りで周方向に均等分布の状態である。
ここで、概略以上のように構成されたマイクロ波プラズマ処理装置の動作の概要を説明する。
(1)プラズマチャンバ3の開放姿勢で、基板6をセットした基板ホルダ5をステージ4上に載置し、ステージ4の中心で基板ホルダ5を固定する。このとき、センタリングの治具を用いて基板ホルダ5をステージ4の中心に置く。真空引きによって基板ホルダ5をステージ4に固定した後に治具は取り除かれる。
(2)減圧室底板2に対してプラズマチャンバ3を閉止姿勢にし、減圧室底板2とプラズマチャンバ3とによって減圧室1を形成する。
(3)ガス吸引経路15を通しガス排出部9を介して減圧室1を真空引きして圧力を制御する。
(4)減圧室1が所定の真空度に達したらプラズマ生成用のガスとして水素ガスをガス導入経路14を通しガス導入部8を介して減圧室1内に導入する。
(5)水素ガスの導入に伴い減圧室1が所定の圧力レベルまで達すると、マイクロ波導波部10によってマイクロ波を導入する。マイクロ波は水平導波管部10aから垂直導波管部10b(マイクロ波誘導通路10c)および減圧室底板2のマイクロ波同軸導波入口2aを通ってステージ4の下面に至る。さらに、マイクロ波は、環状の誘電体窓11を通ってステージ4の端部からステージ4の上面に回り込み、その上面とその上空間に伝播する。
上記のとおり、マイクロ波はプラズマチャンバ3内で周方向に均等分布の状態で伝播する。そして、導入された水素ガスとマイクロ波の相互作用でプラズマ7の立ち上がりがなされる。水素ガスはプラズマの立ち上げに必要である。
(6)減圧室1内が所定の圧力状態、所定の温度状態になり、プラズマ7のエネルギーレベルが所定レベルに達したら、さらに原料ガスとしてメタンガスをガス導入部8を介して減圧室1内に導入する。
メタンガスはダイヤモンドのバルク単結晶の成長を行うときの原料ガスである。このとき、併せて酸素ガスや窒素ガスを導入することもある。水素ガスは引き続いて導入される。プラズマ7の生成中においては、ガス吸引経路15を通しガス排出部9を介して減圧室1を真空引きすると、圧力を制御する動作は継続される。
これにより、減圧室1内では常に新鮮なメタンガスや水素ガスが導入される。
次に、実施例1のマイクロ波プラズマ処理装置のより詳しい構造を図2を用いて説明する。
まず、下方付勢機構13について説明しておく。基本的構造は特許文献1に記載のものと同様である。マイクロ波導波部10の垂直導波管部10bの下部にスプリングブロック16が取り付けられている。
一方、中心軸管部12の下端部に付勢力受け板17が外嵌され、中心軸管部12の下端に固定ボルト18でストッパブロック19が固定され、このストッパブロック19は付勢力受け板17の下面に当接している。付勢力受け板17に螺着された付勢力調整ボルト20がスプリングブロック16の凹部に挿入され、その周囲に嵌合させたスプリング21がスプリングブロック16と付勢力調整ボルト20との間で伸長付勢力を張っている。
スプリング21の伸長付勢力が付勢力調整ボルト20を介して付勢力受け板17に伝わり、さらにストッパブロック19を介して中心軸管部12に伝わり、最終的にステージ4を介して誘電体窓11を下方に向けて減圧室底板2に押圧するように作用する。スプリング21と付勢力調整ボルト20の組は複数ある。
次に、ガスの供給・排出系の構造について図2〜図4を用いて説明する。
プラズマチャンバ3の中央天井部においてガス導入部8は次のように構成されている。プラズマチャンバ3の中央天井部が上側壁8aと下側壁8bとの二重壁状に構成され、その上側壁8aと下側壁8bとの間に流速緩和室8cが形成されている。
上側壁8aの中心部にはガス導入経路(パイプ)14が接続されるようになっている。下側壁8bにおいては複数のガス導入口8dが中心軸O周りで周方向に均等分布の状態に形成されている。このガス導入部8の構造は、たとえて言えば風呂のシャワーヘッドの構造に似ている。
より具体的には、図4に示すようにガス導入口8dは下側壁8bにおいて、同心円状の複数の円弧上においてそれぞれ周方向等間隔に形成されている。ただし、ガス導入口8dは1つの円弧上において周方向等間隔に形成されているのでもよい。図示は省略しているが、このガス導入経路14の上流側では混合栓が取り付けられ、その混合栓の部分で水素ガスやメタンガスその他のガスが単独であるいは混合されて供給されるようになっている。
一方、ガス排出部9は次のように構成されている。
円環状の絶縁物(誘電物)からなる排出パイプ24が、ステージ4の外周縁の外側下方(環状の誘電体窓11の外側)において、減圧室底板2の上面に固定されている。この場合、排出パイプ24が金属であれば、底板2に溝を作り、その溝の中に4を収納すると共に、底板2の上面と排出パイプ2の上面との高さが同一にするとよい。円環状の排出パイプ24は中心軸Oを中心とする半径一定の円弧の上に配置されている。
円環状の排出パイプ24の頂線の部分には複数のガス排出口24aが中心軸O周りで周方向に均等分布の状態に形成されている。複数のガス排出口24aは1つの円周上に配置されている。
円環状の排出パイプ24の下面で周方向の等間隔4箇所に、下方に向けて連通状態で連設された4つの縦パイプ24bが、減圧室底板2を上下に貫通している。
一方の2つの縦パイプ24bは、1つの横パイプ24cに共通に接続され、他方の2つの縦パイプ24bは、別の1つの横パイプ24cに共通に接続される。
前記2つの横パイプ24cそれぞれの中心には、縦横にL形に曲がった各別のパイプ24dに接続され、これら各別の2つのL形パイプ24dがさらに、もう1つの横パイプ24eで共通に接続され、この横パイプ24eの中心が、図示略の真空ポンプを含むガス吸引パイプ15に接続される。
尚、これらパイプ24b、24c,24d,24eを、排出パイプ24とガス吸引パイプ15とを接続する連絡パイプ系24Aとして示す。また、図1ないし図3で、連絡パイプ系24Aは、図解の都合で、断面で示す。
複数のガス導入口8dの分布の中心と複数のガス排出口24aの分布の中心とを結ぶ中心線に関してステージ4および基板ホルダ5の中心は一致している。
ガス導入経路(パイプ)14の終端から流速緩和室8cに流入した原料ガスは水平方向へ広がる流速緩和室8cにおいてその勢いが緩和される。すなわち、真下へ向かう急激な勢いが流速緩和室8cでの流速緩和によって抑えられ、水平方向へ広がりながら、複数のガス導入口8dから減圧室1内に流入する。
ガス排出部9では真空ポンプ25の駆動により連絡パイプ24c、縦パイプ24bおよび円環状の排出パイプ24を介して複数のガス排出口24aから減圧室1に対する真空引きが行われる。したがって、複数のガス導入口8dから減圧室1内に流入したガスは複数のガス排出口24aに向かって吸い込まれてゆく。
複数のガス導入口8dは周方向に均等分布に配置され、複数のガス排出口24aも周方向に均等分布に配置されているから、減圧室1内におけるガスの流れは図4に示すように周方向均等分布の状態となり下方の円環状の排出パイプ24の頂線上の周方向均等分布のガス排出口24aに吸引されていく。
ある1つのガス導入口8dから減圧室1内に流入してきたガスの流線は、そのガス導入口8dと周方向で同一位相にある1つのガス排出口24aに向かうが、それだけでなくその1つのガス排出口24aの周方向両隣にあるそれぞれ1つまたは2,3のガス排出口24aにも向かう。
もっとも、流線の密度には差異があり、中央のガス排出口24aでの流線密度が最も高く、中央から離れるほど流線の密度は小さくなる。
このことがすべてのガス導入口8dとそれぞれに位置対応するガス排出口24aとの間の流線について当てはまるので、平均的にはガスの流線は周方向に均等分布の状態となる。
さらに、この原料ガスの流線についての周方向均等分布の状態は、ガス導入口8dの高さ位置からガス排出口24aの高さ位置までの鉛直方向のどの高さ位置でもほぼ保たれている。
次に、マイクロ波の導入のための構造について説明する。マイクロ波導波部10の垂直導波管部10bから減圧室底板2のマイクロ波導入口2aを通ってステージ4の下面に導入されたマイクロ波は環状の誘電体窓11を透過してステージ4の端部からステージ4の上面に回り込み、その上面とその上空間に伝播する。マイクロ波は、ステージ4の端部から中心に至る。マイクロ波は、ステージ4の中心に至ると、強くなる。この状態のマイクロ波は、周方向に均等分布の状態である。
マイクロ波がプラズマ生成用の水素ガスに作用することにより基板ホルダ5の上方でプラズマ7が生成されるが、マイクロ波の分布が周方向に均等分布であり、ガス流線の分布も周方向に均等分布であるため、生成されるプラズマ7も周方向に均等分布の状態となる。
次に、中心軸管部12について説明する。中心軸管部12は、導体外管12aと中間管12bと真空引き通路用内管12cの三重構造となっている。
真空引き通路用内管12cはその内部通路が真空引きされるもので、その真空引きにより基板ホルダ5をステージ4に密着固定するようになっている。
すなわち、基板ホルダ5の底部には真空引き用スペース22(図5参照)が凹入形成されており、基板ホルダ5をステージ4の上面に載置した状態で、その真空引き用スペース22が確保される。一方、真空引き通路用内管12cは、その上端部がステージ4を貫通し、真空引き用スペース22に臨むようになっている。
したがって、真空引き通路用内管12cの下端側から真空引きを行うと、真空引き用スペース22が高度に減圧され、その内圧が減圧室1の内圧より低くなると、その圧力差により基板ホルダ5がステージ4に密着し固定化される。
なお、真空引きに先立ってセンタリングの治具を用いてステージ4の中心に対する基板ホルダ5の位置決めが行われる。
次に、ステージ4の冷却のための構造について図5、図6を用いて説明する。
ステージ4には冷却液通路23bが渦巻き状に形成されている。その渦巻き状の冷却液通路23bの内周側端部に対して中間管12bと真空引き通路用内管12cとの間の冷却液の送り通路23aが連通されている。
また、渦巻き状の冷却液通路23bの外周側端部がステージ4の下部側に形成された連絡通路23cを経て導体外管12aと中間管12bとの間の冷却液の戻り通路23dに連通されている。したがって、中間管12bの下端側から冷却液の送り通路23aに冷却液を圧送すると、冷却液が中間管12bから渦巻き状の冷却液通路23bに流れ込み、渦巻き状の冷却液通路23bを中心部から外周部にかけて何回も旋回するように流動したのち、さらに連絡通路23cを通って導体外管12aの冷却液の戻り通路23dの上端へと流れ込み、導体外管12aの下端部から外部へと排出される。
冷却液が渦巻き状の冷却液通路23bの内部を流動する過程でステージ4を冷却する。
この冷却について説明すると、基板ホルダあるいは基板の温度を維持するためには、基板ホルダを載置するステージの方は、温度上昇しないよう冷却することが好ましい。
何故なら、ステージの冷却が不十分であると、ステージの温度がプラズマにより上昇し、基板ホルダや基板の温度が変化し、それにより、成膜の品質が悪くなるからである。そこで、ステージに冷却液通路を形成し冷却液を流すことでステージを冷却することが行われる。なお、冷却液通路23bの形態は渦巻き状に限定されない。
中心軸管部12は、上記のような基板ホルダ5の固定のための真空引きをする真空引き通路用内管12cと、ステージ4の冷却のための中間管12bおよび導体外管12aを含んでいる。
ステージ4は渦巻き状の冷却液通路23bを形成し、ステージ4と中心軸管部12が一体化されている。さらに、その一体物が下方付勢機構13によって押し下げられ、環状の誘電体窓11の下端、上端が減圧室底板2とステージ4とに圧接される。これにより、減圧室1内の原料ガスがマイクロ波導波部10側に漏出されることが確実に防止される。
渦巻き状の冷却液通路23bは、その上流側端部がステージ4の半径方向内方にあり、下流側端部が半径方向外方にあるが、渦巻き状の冷却液通路23bの下流側端部23b1 において連絡通路23cとの間に堰止め用連絡通路26が設けられている。
堰止め用連絡通路26は、細径通路26aと中継通路26bを備えている。中継通路26bは短い通路で、渦巻き状の冷却液通路23bの下流側端部23b1 の外側に配されている。中継通路26bの下流側端部には連絡通路23cの上流側端部(傾斜部)が連絡されている。
細径通路26aは、渦巻き状の冷却液通路23bの下流側端部23b1 と中継通路26bの上流側端部との間に架け渡されている。細径通路26aは、上下方向での位置が渦巻き状の冷却液通路23bや中継通路26bの最上位位置を含む高位位置に設定されている。細径通路26aの最も低い部分は渦巻き状の冷却液通路23bの最も低い部分よりも高くなる状態に構成されている。
高位の細径通路26aのこの構成は、渦巻き状の冷却液通路23bから中継通路26bへの冷却液の流動の形態をオーバーフローとする。
中間管12bの内側の冷却液の送り通路23aからステージ4の渦巻き状の冷却液通路23bに流入した冷却液は、何回も旋回したのち堰止め用連絡通路26における中継通路26bを介しさらに連絡通路23cを介して導体外管12aの内側の冷却液の戻り通路23dに排出されていく。
このとき、渦巻き状の冷却液通路23bから中継通路26bに至る前に必ず高位の細径通路26aを通らなければならない。
この高位の細径通路26aが渦巻き状の冷却液通路23bや中継通路26bの最上位レベルにあるため、冷却液の圧送ポンプの圧送力が何らかの事情により所定圧力より低下したとしても、渦巻き状の冷却液通路23bの縦断面の円形空間において冷却液はその下端から上端まで満たされた状態で流動することになる。
もし、堰止め用連絡通路がない冷却液通路の場合には、冷却液の流動の態様は、冷却液通路23bの縦断面の円形空間において上端には達することなく、上側部分に空気層を残す状態での流動となる。
ステージ4において最も高温になるゆえに最優先で冷やすべき部位は、基板ホルダ5の下端部に接触するステージ上面近傍部である。しかるに、冷却液通路23bの上部に空気層が存在すればステージ上面近傍部に対する冷却液による冷却作用が大幅に低下してしまう。冷却液の圧送ポンプの圧送力が所定圧力より低下したとしても空気層は出現せず、ステージ4の上面近傍部に対して高い冷却効果、安定した冷却効果を発揮させることができる。
次に、本発明の実施例の構造部分について説明する。
図5、図7に示すように、基板ホルダ5には、平面視で縦横方向に複数行×複数列の凹所5aが形成されている。それぞれの凹所5aは、ここに基板保温支持体27を落とし込み、さらに基板保温支持体27の上面に基板6を載置するようにしている。なお、図7(a)では冷却液通路の部分は図示を省略している。
基板保温支持体27は、本実施例ではモリブデン製の複数の支持板27aを積層して構成されたものとなっている。図7の(b)から(c)にかけて示すように、1枚目の支持板27aを凹所5aの底面に載置し、以下、他の支持板27aを積層し、最上位の支持板27aに基板6を載置する。この状態で、基板6および基板保温支持体27が基板ホルダ5の凹所5aに没入状態でセットされる。
凹所5aにセットされた基板6は、図7(c)に示すように、その上面6aの位置が凹所5aの上部開放端5bの位置より低くなっている(同じ高さでも構わない)。
基板6は、表裏面が平坦平行な形状を有する。なお、基板6は、実施形態ではHPHT単結晶ダイヤモンド成長用の基材で構成されるが、これに限定されない。ホモエピタキシャルCVD単結晶ダイヤモンドや、ヘテロエピタキシャルCVD単結晶ダイヤモンド基材や、その他の基材を含む。
このような基板ホルダ5への基板6のセットの構造は、次のような効果を発揮する。
基板6を凹所5aに没入状態でセットしてあり、基板6の上面6aが凹所5aの上部開放端5bより低く、図7(d)に示すように基板6のエッジ部分6bよりも凹所5aの上部開放端5bの方が上位に位置するので、図7(d)の矢印で示すように、凹所5aの上部開放端5bに電界の集中域がくるようになる。
つまり、基板6のエッジ部分6bは電界の集中を免れ、プラズマ7の高温で濃度が高い領域から受ける過剰な昇温を避けることができる。その結果として、基板6の表面の温度分布が均一化される。
基板保温支持体27を凹所5a内に設置すると、基板6の温度は、基板ホルダ5の凹所5aの中に置いても、基板ホルダ5よりも高くなる。この場合、実施形態では、この基板保温支持体27を構成する金属として、融点が高く、熱伝導が低い金属が好ましく、実施形態では、その金属としてモリブデンを使用する。その理由は、モリブデンは、その融点が高く、かつ、熱膨張率が低いからである。
このように実施形態では、凹所5a内にモリブデン製の基板保温支持体27を設置し、その上に基板6を配置したので、基板温度が結晶成長上適正な温度以下になってしまうのを回避し、基板6に対するプラズマ7による結晶成長を高品質のものにすることができる。
また、基板保温支持体27を複数枚の支持板27aの積層体としてあることは、次の効果をもたらす。図8は積層された支持板27aの上下面の断面形状を強調表示している。
顕微鏡レベルでは支持板27aの上面27bも下面27cも微細な凹凸状態を呈しており、複数枚の支持板27aを積層すると、接触境界にはかなりの隙間28が生じることになる。
基板6から基板ホルダ5への熱の逃げは、上位の支持板27aから順次に下位の支持板27aにかけて伝わるように行われるが、複数段の隙間28の存在のために、その熱の逃げは大幅に抑制される。
もし、基板保温支持体を複数枚の支持板の積層体とするのではなく、1つの塊で構成した場合には、前記のような隙間はなく、基板から塊の基板保温支持体を介しての基板ホルダへの熱の逃げ量は増大する。
本実施例では、積層体として隙間を利用するようにしたので、基板6を凹所5aに没入状態でセットすることで却って基板温度が結晶成長上適正な温度以下になってしまうのを効果的に防止することができる。
複数枚の支持板27aからなる基板保温支持体27は、その外周面が凹所5aの内周面に接触しており、凹所5a内での基板保温支持体27は位置の安定した状態で内装されることになる。この接触にもかかわらず、上記の熱の逃げ抑制の効果が高いので、基板温度低下の抑制には支障とはならない。
また、凹所5aの内周面の寸法は基板6の外周面の寸法より大きくされていて、基板6の外周部は凹所5aの内周面から離間している。これにより、基板6上で成長する結晶が凹所5aの内周面に架橋してしまうのを回避する。
次に、基板ホルダにおける凹所の数に関しての変形例を実施例2とし、この実施例2について図9を用いて説明する。図9において、実施例1の図7におけるのと同じ符号は同一構成要素を指しているので、詳しい説明は省略する。
基板ホルダ5の中心部において1つのみの凹所5aが形成されている。
この凹所5aに、複数枚のモリブデン製の支持板27aの積層体からなる基板保温支持体27が嵌め入れられ、その上面に基板6が載置されている。
実施例1の場合と同様に、基板6の上面6aは凹所5aの上部開放端5bの位置より低くなっている(同じ高さでも構わない)。
基板6のエッジ部分6bよりも凹所5aの上部開放端5bの方が上位に位置するので、凹所5aの上部開放端5bに電界の集中域がくるようになり、基板6のエッジ部分6bは電界の集中を免れ、プラズマ7の高温で濃度が高い領域から受ける過剰な昇温を避けることができる。
その結果として、基板6の表面の温度分布が均一化される。
ここで試行例を説明する。条件はおおむね次のとおりである。
基板(種)として高圧高温(HPHT)Ib型ダイヤモンド(窒素を含有し黄色を帯びる)の基板を用いた。
水素ガスの供給量は500sccm、
メタンガスの供給量は5〜80sccm(水素ガス基準で0.1〜18%)、
窒素ガスの供給量は0〜2sccm(メタンガス基準で0〜3%)、
結晶成長中のプラズマチャンバ内圧力は50〜400Torr(好ましくは100〜200Torr)、
成膜中の基板温度は、800〜1300℃(好ましくは、1000〜1250℃)、
マイクロ波のパワーは2〜5kW、周波数は2.45GHzである。
なお、sccm(standard cc/min)は大気圧下、一定温度(0℃あるいは25℃など)で規格化された流速である。成膜時間については、膜厚に応じて変化し、10分〜100時間である。
得られた結果を図10に示す。厚さが十分にあり、しかも結晶30はその表面が全面にわたってきわめて平坦で滑らかなものが得られた。
次に、自動高さ調整機構を追加した構成の変形例を実施例3とし、この実施例3について図11〜図16を用いて説明する。これらの図において、実施例1,2の各図におけるのと同じ符号は同一構成要素を指しているので、詳しい説明は省略する。
図11、図12に示すように、基板ホルダ5において、基板保温支持体27の下側部ですべての基板保温支持体27の領域にわたる上向きの凹所5cが形成され、上側部の凹所5a群と下側部の凹所5cの間の境界壁部5dに上下の貫通孔5eが形成されている。
下側部の凹所5cには、すべての基板保温支持体27に共通に作用してそのすべての基板保温支持体27を同時的に昇降させるアダプタ29がセットされている。
このアダプタ29の上面には基板保温支持体27と同数の複数行複数列のロッド29aが一体的に突出されており、各ロッド29aが境界壁部5dの各貫通孔5eに挿通された上で各基板保温支持体27の底部に固定連結されている。
アダプタ29の底部にはその中央に中心軸部29bが下方に向けて一体的に突出されている。
複数の基板保温支持体27とアダプタ29とは一体となって上下動するが、下動により基板保温支持体27の底面が凹所5aの底面に当接した状態では、ロッド29aの部分を除くアダプタ29の上面と基板ホルダ5における上下間の境界壁部5dの下面との間に隙間が生じるような寸法関係に設計されている。
なお、上動によりロッド29aの部分を除くアダプタ29の上面が境界壁部5dの下面に当接した状態では、基板保温支持体27の底面と凹所5aの底面との間に隙間が生じることになる。これらの隙間は、凹所5a内において基板保温支持体27の昇降を許容し、同じことだが、凹所5c内においてアダプタ29の昇降を許容するために必要である。
次に、このような基板保温支持体27およびアダプタ29を備えた基板ホルダ5について、アダプタ29を介して基板保温支持体27を自動的に昇降させるための高さ調整機構40の構造について説明する。
図14、図15において、31はコントローラ、32はステッピングモータ、33はカップリング、34は運動変換機構、35はロッド状体、36はフレーム、37はシーラントである。運動変換機構34は、ステッピングモータ32側の回転入力部34aとロッド状体35側の上下動出力部34bとからなる。
上下動出力部34bはロッド状体35の下端部に固定連結されている。
回転入力部34aは、下側の入力軸部と上側の内周面に雌ねじが形成された筒状部とからなり、入力軸部がカップリング33によってステッピングモータ32の回転軸に連結され、筒状部の雌ねじに対して上下動出力部34bの外周面の雄ねじがかみ合わされている。
ロッド状体35および上下動出力部34bの上下動は許容するが回転は規制するための構成として、ロッド状体35の側面部には複数のヒレ状体35aが設けられている。
このヒレ状体35aは、図16に示すようにロッド状体35の側面において外方へ突出した上下方向に細長い板状に構成されている。一方、装置のフレーム部36には、ロッド状体35を上下に貫通状態で挿通するロッド挿通孔36aが形成され、さらにそのロッド挿通孔36aに臨む状態で前記のヒレ状体35aを回転規制状態かつ上下動許容状態でガイドするガイド溝36bが形成されている。ロッド状体35は中心軸管部12の内管12cの中心部を上下に貫通し、さらにその上端部がステージ4における中心孔4aの内部に位置している。
ロッド状体35の上端面は基板ホルダ5におけるアダプタ29の下方に突出する中心軸部29bの下端面に当接している(図11参照)。ロッド状体35は内管12cだけでなく導体外管12aと中間管12bも貫通するが、その貫通部の液漏れを防止するためにシーラント37が介在されている。
また、ロッド状体35の上端部を挿入するステージ4の中心孔4aは、中心軸管部12の真空引きを行う内管12cの内部に連通している。
ロッド状体35が下動すれば、それに伴ってアダプタ29および複数組の基板保温支持体27ならびに基板6が自重により同時的に同量だけ下動する。この自重による下動が許容されるように、アダプタ29の外周面と基板ホルダ5における下側の凹所5cの内周面との摺動摩擦係数ならびに各基板保温支持体27の外周面と上側の凹所5aの内周面との摺動摩擦係数が十分に小さくされている。
次に、上記のような自動高さ調整機構40を具備するマイクロ波プラズマ処理装置の動作について説明する。
コントローラ31は、1パルス入力で最小回転角を進んだり戻ったりするようにモータ駆動パルスを発生する。ステッピングモータ32は、このコントローラ31からのモータ駆動パルスにより、目的の回転角へ回転駆動するよう制御される。ステッピングモータ32の回転はカップリング33を介して運動変換機構34の下側の回転入力部34aに伝わり、この回転入力部34aを所定角度回転させる。
ヒレ状体35aがフレーム36のガイド溝36bによって回転規制されたロッド状体35の下端に連結の、運動変換機構34の上下動出力部34bは、回転入力部34aの回転の結果、所定の距離だけ上動し停止する。これで、ロッド状体35の上端部に当接しているアダプタ29が所定量だけ持ち上げられ、これに伴って複数の基板保温支持体27が所定の初期高さ位置まで上昇され、停止する。
次いで、実施例1で説明した手順に従って基板ホルダ5上の複数の基板6に対するプラズマによる結晶成長が開始される。そして、結晶成長に伴って以下の制御が行われる。
自動高さ調整機構40におけるコントローラ31は結晶成長の進捗状況を監視する。結晶成長に使われた時間が所定の単位時間を経過するか否かをチェックし、経過するに至ったタイミングで、コントローラ31は、ステッピングモータ32に対してモータ駆動パルスを発生する。その結果、ステッピングモータ32が所定の回転角度単位で回転し、運動変換機構34を介してロッド状体35が所定の寸法単位で下動を実行する。
ロッド状体35が下動すると、アダプタ29および複数の基板保温支持体27およびその上の基板6も自重により所定の寸法単位で下動する。すなわち、基板6上への結晶成長に伴って結晶成長面がわずかずつではあるが上方に変位することになるが、自動高さ調整機構40の上記の制御は、この結晶成長面の上方変位を打ち消すものとして作用する。その打ち消しの精度は、高精度に行うことが好ましい。
結果、結晶成長の継続にかかわらず結晶成長面の高さ位置は一定不変であり、結晶成長面は所定の高さ位置に保持されることになる。つまり、基板ホルダ5の上方位置で発生しているプラズマ7の最下面領域に対して結晶成長面の離間寸法が結晶成長の時間的経過にかかわらず常に一定に保たれることになる。したがって、各基板6上における結晶成長の精度・品質をきわめて高いものにすることができる。
以上、3つの実施例について説明したが、次のような形態も本発明は含み得るものとする。
ガス導入部8やガス排出部9の形態については、上記の実施例にあっては原料ガスの流線分布を周方向で均等にするための特別な工夫が施されているが、そのことは本発明にあっては必ずしも必須としなくてよきものとする。冷却液通路の構造や基板ホルダの真空引きの構造についても同様である。冷却液については、通常は冷却水としてよいが、水以外の液体を用いることもある。
また、原料ガスの種類は任意である。もっとも、本発明はダイヤモンドの結晶を成長させるダイヤモンド結晶形成装置に適用した場合に大きな成果をもたらすと期待され、その場合の原料ガスはメタンガスである場合が多い。マイクロ波の周波数については任意とする。プラズマチャンバ3における高度の減圧状態の圧力値についても任意とする。
本発明は、プラズマを用いて基板に結晶成長するマイクロ波プラズマ処理装置において、とりわけダイヤモンドの結晶を成長させるダイヤモンド結晶形成装置において、基板エッジ部分への過剰昇温を避け、基板温度を結晶成長上適正な温度に保ちながら基板温度分布を均一化し、プラズマによる基板への結晶成長の性状を高品位なものとする技術として有用である。
1 減圧室
2 減圧室底板
3 プラズマチャンバ
4 ステージ
5 基板ホルダ
5a 凹所
5b 凹所の上部開放端
6 基板
6a 基板の上面
6b 基板のエッジ部分
7 プラズマ
8 ガス導入部
9 ガス排出部
10 マイクロ波導波部
11 誘電体窓
12 中心軸管部
13 下方付勢機構
27 基板保温支持体
27a 支持板
29 アダプタ
31 コントローラ
32 ステッピングモータ
34 運動変換機構
35 ロッド状体
40 高さ調整機構

Claims (5)

  1. プラズマチャンバと、前記プラズマチャンバ内に配置されたステージと、前記ステージ上に載置される基板ホルダと、を備え、前記基板ホルダは、単結晶ダイヤモンド成長用の核となる基板をセットする凹所を備え、前記凹所は、少なくとも、その内部に前記基板をセットした状態で当該基板の上面が、前記凹所の上部開放端位置以下となる深さを有する、マイクロ波プラズマ処理装置。
  2. 前記凹所の底部に、前記基板の上面位置を前記凹所の上部開放端位置以下にする状態で前記基板を載置支持し、かつ前記基板から前記基板ホルダへの熱の逃げを抑制する材料からなる保温支持体を1枚ないし複数枚入れてあり、前記複数枚入れるときは、それら保温支持体は前記凹所内で積層される請求項1に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
  3. 前記基板ホルダには、前記凹所が複数設けられている請求項1または2に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
  4. 前記基板を、前記基板保温支持体と共に前記凹所内で上下方向に変位可能に構成し、さらに、前記基板上への単ダイヤモンド結晶の成長に伴って前記基板の上面位置が前記凹所の上部開放端位置以下になるよう前記基板を下降させる請求項2に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
  5. 前記基板の前記凹所内における前記上下方向の高さを調整することができる高さ調整機構を備えた、請求項4に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
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