JP2013119106A - レーザ加工装置、レーザ加工方法及びインクジェットヘッド基板 - Google Patents

レーザ加工装置、レーザ加工方法及びインクジェットヘッド基板 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ発振器の繰り返し周波数を一定のまま、被加工物の表面に所定の間隔でパルスレーザ光を照射することを可能とし、かつレーザ加工の高精度化を図る。
【解決手段】レーザ加工装置100は、一定の繰り返し周波数でパルスレーザ光を出射するレーザ発振器4と、レーザ発振器4により出射されたパルスレーザ光をパルス単位で遮断又は透過させるレーザ照射制御機構7と、を備えている。また、レーザ加工装置100は、レーザ照射制御機構7におけるパルスレーザ光の遮断/透過の切り替えを制御する制御装置8を備えている。制御装置8は、被加工物の表面におけるパルスレーザ光2の走査速度から、被加工物の表面に所定の間隔でパルスレーザ光2を照射するのに必要なパルスレーザ光の照射周期を求める。そして、制御装置8は、求めた照射周期でパルスレーザ光が被加工物表面に照射されるようにレーザ照射制御機構7を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、パルスレーザ光を走査して照射位置を移動させながら被加工物の表面にレーザ加工を施すレーザ加工装置、レーザ加工方法及びレーザ加工方法によりレーザ加工されたインクジェットヘッド基板に関するものである。
従来、レーザ発振器から出力されたパルスレーザ光をステージやガルバノスキャナなどを用いて被加工物に相対的に移動させ加工を行うレーザ加工装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載されているレーザ加工装置は、レーザ発振器と加工ヘッドとXYステージと制御機構とによって構成されている。このレーザ加工装置は、被加工物がXYステージの上に積載され、被加工物をXYステージによって移動させることで加工位置を走査するものである。
また、レーザ発振器の繰り返し周波数を被加工物の走行速度の信号に応じて変更することにより、走行速度が変化しても均一なピッチでレーザ照射する方法が提案されている(特許文献2参照)。
ところで、近年、被加工物のレーザ加工において、高い加工精度が要求されるようになってきている。例えば、インクジェットヘッド基板を製造する過程において、被加工物としての基板にパルスレーザ光により溝等を形成する場合があるが、このようなレーザ加工においては高い加工精度が要求されている。
特開平5−8072号公報 特開昭61−20686号公報
しかし、被加工物にレーザ加工を施す際に、パルスレーザ光の走査速度が常に一定であるとは限らず、パルスレーザ光の走査速度を所定の速度よりも低い速度に減速することがある。例えば、被加工物における加工中央部では一定の走査速度でレーザ光を走査させるが、被加工物の加工端部では、レーザ光の走査速度を減速させる。
このように走査速度を減速した場合、上記特許文献1に記載のレーザ加工装置では、一定の照射周波数のパルスレーザ光が被加工物の表面に照射されるので、その部分のパルスレーザ光の照射密度が、減速せずにレーザ加工した部分に比べて高くなる。その結果、照射密度の高い部分の加工量が他の部分の加工量よりも多くなり、加工精度が低下するという問題があった。
そこで、上記特許文献2のように、走査速度に応じてレーザ発振器の繰り返し周波数を変更することも考えられる。しかし、この特許文献2のレーザ加工装置では、パルスレーザ光を被加工物の表面において一定のピッチで照射することは可能であるが、レーザ発振器の繰り返し周波数を変化させた場合、パルスによって励起時間が異なるため、パルスエネルギーが変動してしまう。したがって、加工精度がパルスエネルギーに敏感に影響されるような場合、所望の加工精度を得ることは困難であった。
そこで、本発明は、レーザ発振器の繰り返し周波数を一定のまま、所定の間隔でパルスレーザ光を照射することができ、所望の加工を高精度に行うことができるレーザ加工装置、レーザ加工方法を提供することを目的とするものである。また、該レーザ加工方法によりレーザ加工されたインクジェットヘッド基板を提供することを目的とするものである。
本発明のレーザ加工装置は、一定の繰り返し周波数でパルスレーザ光を出射するレーザ発振器と、前記レーザ発振器により出射されたパルスレーザ光をパルス単位で遮断又は透過させるレーザ光遮断/透過機構と、前記レーザ光遮断/透過機構を透過したパルスレーザ光の照射点を走査する走査部と、パルスレーザ光の照射点の走査速度から、被加工物の表面に所定の間隔でパルスレーザ光を照射するのに必要なパルスレーザ光の照射周期を求め、この求めた前記照射周期でパルスレーザ光が前記被加工物の表面に照射されるように前記レーザ光遮断/透過機構におけるパルスレーザ光の遮断/透過の切り替えを制御する制御部と、を備えた、ことを特徴とする。
また、本発明のレーザ加工方法は、一定の繰り返し周波数でパルスレーザ光を出射するレーザ発振器と、前記レーザ発振器により出射されたパルスレーザ光をパルス単位で遮断又は透過させるレーザ光遮断/透過機構と、前記レーザ光遮断/透過機構を透過したパルスレーザ光の照射点を走査する走査部とを用い、被加工物の表面にレーザ加工を施すレーザ加工方法において、パルスレーザ光の走査速度から、前記被加工物の表面に所定の間隔でパルスレーザ光を照射するのに必要なパルスレーザ光の照射周期を求めるステップと、この求めた前記照射周期でパルスレーザ光が前記被加工物の表面に照射されるように前記レーザ光遮断/透過機構におけるパルスレーザ光の遮断/透過を切り替えるステップと、を備えた、ことを特徴とする。
本発明によれば、レーザ発振器の繰り返し周波数を一定のまま、被加工物の表面に照射するパルスレーザ光の照射周期を、パルスレーザ光の走査速度の変化に応じてレーザ光遮断/透過機構におけるパルスレーザ光の遮断/透過を切り替えることで変更している。このように、レーザ発振器の繰り返し周波数を一定としているので、1パルス当たりのパルスレーザ光のエネルギーが安定する。そして、エネルギーが安定したパルスレーザ光の照射点を被加工物の表面に所定の間隔で照射することができるので、被加工物の表面の加工部分に照射されるパルスレーザ光の照射密度のばらつきを低減することができ、所望のレーザ加工を高精度に行うことができる。
本発明の実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す説明図である。 レーザ照射制御機構の概略構成を示す説明図であり、(a)はレーザ照射制御機構が音響光学素子を有する場合の図、(b)はレーザ照射制御機構が電気光学素子を有する場合の図である。 レーザ加工装置の制御装置の制御動作を示すフローチャートである。 レーザ照射制御機構を透過したパルスレーザ光を示す説明図である。(a)はレーザ発振器の繰り返し周波数のままパルスレーザ光を透過させた場合の図、(b)はレーザ発振器の繰り返し周波数の1/2の照射周波数でパルスレーザ光を透過させた場合の図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す説明図である。図1に示すレーザ加工装置100は、被加工物である基板1にパルスレーザ光を集光して、穴や溝の形成、切断加工、スポット溶接などの加工を行うものである。レーザ加工装置100は、レーザ発振器4と、レーザ光遮断/透過機構であるレーザ照射制御機構7と、ガルバノスキャナ6と、集光レンズ3と、X−Yステージ5と、制御部としての制御装置8とを備えている。基板1は、X−Yステージ5上に載置される。
なお、図1中X方向は、基板1の集光レンズ3側の面または集光レンズ3側と対抗する面に対して平行方向である。Z方向は、基板1の集光レンズ3側の面または集光レンズ3側と対抗する面の法線方向である。あるいはZ方向は、基板1と集光レンズ3とが対向する方向ともいうことができる。Y方向は、X方向及びY方向に直交する方向である。
レーザ発振器4は、YAGレーザ、COレーザ、エキシマレーザなどが用いられる。このレーザ発振器4は、パルスレーザ発振器であり、制御装置8により繰り返し周波数が設定される。レーザ発振器4は、設定された繰り返し周波数でパルス発振し、その繰り返し周波数のパルスレーザ光2を出射する。この繰り返し周波数はパルスの周波数である。本実施形態では、繰り返し周波数は、一定の周波数(例えば100kHz)に設定されている。
レーザ照射制御機構7には、レーザ発振器4から出射されたパルスレーザ光2が入射される。レーザ照射制御機構7は、制御装置8からの制御指令の入力を受け、入力した制御指令に基づいて、入射したパルスレーザ光2を1パルス単位で遮断又は透過させる。
詳述すると、レーザ照射制御機構7は、図2(a)に示すように、音響光学素子7a、ビームダンパー7bを有している。更に、レーザ照射制御機構7は、反射ミラー7cを有している。音響光学素子7aの音響光学効果によりレーザ光路を変化させて反射ミラー7cを介してパルスレーザ光2をガルバノスキャナ6に透過させるか、もしくはビームダンパー7bに照射させ遮断するかを切り替える。ここで音響光学素子7aは、レーザ発振器4により発振されるパルスレーザ光2の繰り返し周波数よりも早い応答速度を持つものを選択する。これにより、パルスレーザ光2をガルバノスキャナ6に透過させるか、もしくはビームダンパー7bに照射させ遮断するか、1パルス単位で決めることができる。
また、レーザ照射制御機構7は、図2(b)に示すように、電気光学素子7d、偏光ビームスプリッタ7e及びビームダンパー7bで構成することもできる。ここで電気光学素子7dは、レーザ発振器4により発振されるパルスレーザ光2の繰り返し周波数よりも早い応答速度を持つものを選択する。この構成の場合、パルスレーザ光2は電気光学素子7dで偏光の向きを変えることができ、P偏光もしくはS偏光の電気光学素子7d透過後のパルスレーザ光2を選択的に出す。その後、P偏光をほぼ全透過、S偏光をほぼ全反射の光学特性を持つ偏光ビームスプリッタ7eでパルスレーザ光2を偏光の向きに応じて透過、もしくは反射させる。
集光レンズ3は、レーザ照射制御機構7及びガルバノスキャナ6を透過したパルスレーザ光2を、基板1の表面に集光させる。
ガルバノスキャナ6には、レーザ照射制御機構7を透過したパルスレーザ光2が入射される。そして、ガルバノスキャナ6は、後段に配置されている集光レンズ3を介して基板1の表面にパルスレーザ光2を照射する。このガルバノスキャナ6は、集光レンズ3を通過したパルスレーザ光2の照射点(スポット)を基板1の表面に沿って走査する不図示の一対のガルバノミラーで構成されている。また、ガルバノスキャナ6は、集光レンズ3を通過したパルスレーザ光2の照射点の基板1の表面での走査速度に対応する信号を発生する不図示の信号発生手段を有する。
基板1は、その表面が集光レンズ3の軸に対して垂直になるようにX−Yステージ5に搭載されている。X−Yステージ5は、基板1をX―Y方向に自在に移動させる。また、X−Yステージ5は、基板1の移動速度に応じた信号を発生する不図示の信号発生手段を有する。
本実施形態では、ガルバノスキャナ6に加え、X−Yステージ5を移動させることで、レーザ光の照射点を基板1の表面に沿って走査することができる。つまり、ガルバノスキャナ6が、パルスレーザ光2の照射点をX−Y方向に走査するとともに、X−Yステージ5が、被加工物である基板1をX−Y方向に移動させる。これにより、パルスレーザ光2と基板1とが相対的にX−Y方向に移動され、レーザ照射制御機構7を透過したパルスレーザ光2が基板1の表面を走査することになる。
なお、本実施形態では、ガルバノスキャナ6及びX−Yステージ5によりパルスレーザ光2を基板1の表面に沿って走査する場合について説明したが、ガルバノスキャナ6のみでパルスレーザ光2を走査する場合であってもよい。また、X−Yステージ5のみでパルスレーザ光2を走査する場合であってもよい。つまり、本実施形態では、ガルバノスキャナ6及びX−Yステージ5の両方が走査部として機能するが、ガルバノスキャナ6及びX−Yステージ5のうちいずれか一方が走査部として機能するようにしてもよい。この場合、ガルバノスキャナ6及びX−Yステージ5のうち他方は省略することが可能である。
制御装置8は、ガルバノスキャナ6の走査速度に応じた信号、及び基板1の移動速度に応じた信号のうち、いずれか一方の信号又は両方の信号を取得して、基板1の表面に対するパルスレーザ光2の照射点の走査速度を求める。そして、制御装置8は、走査速度に応じて、レーザ照射制御機構7におけるパルスレーザ光2の遮断/透過の切り替えを制御する。つまり、制御装置8は、パルスレーザ光2の遮断/透過の指令である制御指令をレーザ照射制御機構7に出力する。
次に、再び図1を用いて、レーザ加工装置100によるインクジェットヘッド基板に先導溝を形成するレーザ加工工程の一例を説明する。
インクジェットヘッド基板の先導溝とは、レーザ加工工程の後工程の異方性エッチングの際にエッチング液を進入させ、異方性エッチングの時間を短縮し、インク供給口の幅をより小さくするためのものである。
この先導溝をレーザ光で形成するためにまずレーザ発振器4から一定の繰り返し周波数のパルスレーザ光2を出射させる。ここでは、レーザ発振器4はナノ秒YAGレーザで、波長355nm、繰り返し周波数100kHz、出力10Wの直線偏光のパルスレーザ光2を発振する。
レーザ発振器4は、一定の繰り返し周波数でパルス発振させるため、励起時間のバラツキが生じず、繰り返し周波数を可変した場合よりもレーザ光出力安定性で優れる。レーザ発振器4から出射されたパルスレーザ光2はレーザ照射制御機構7に導かれる。
レーザ照射制御機構7は、音響光学素子7a及びビームダンパー7bを有する場合、音響光学素子7aはレーザ光2の繰り返し周波数より早い応答速度、例えば1MHzの応答速度を持つものを選択する。またレーザ照射制御機構7は、電気光学素子7d、偏光ビームスプリッタ7e及びビームダンパー7bを有する場合、電気光学素子7dはレーザ光2の繰り返し周波数より早い応答速度、例えば1MHzの応答速度を持つものを選択する。これによりレーザ光2をガルバノスキャナ6に透過させるか、もしくはビームダンパー7bに照射させ遮断するか1パルス単位で決めることができる。レーザ照射制御機構7を透過したパルスレーザ光2は、ガルバノスキャナ6に導かれ、集光レンズ3を経て基板1の表面に照射される。
レーザ照射制御機構7は、1パルス単位でパルスレーザ光2の遮断/透過の切り替えを行うことができるため、レーザ発振器4の繰り返し周波数以下の照射周波数で、基板1にパルスレーザ光2を照射することができる。例えば繰り返し周波数が100kHzのパルスレーザ光2を、レーザ照射制御機構7で1パルス毎に交互に遮断と透過との切り替えを行えば、レーザ照射制御機構7を透過したパルスレーザ光2の照射周波数は50kHzとなる。さらにレーザ照射制御機構7では、制御装置8による遮断/透過の切り替え制御により、基板1への加工の実行と停止を行うことができる。
基板1は、結晶面(100)シリコンのインクジェットヘッド基板である。基板1には、ヒータや電気配線、耐エッチング性を有するエッチングストップ層、エッチング保護膜など、インクを吐出するための機構や本実施形態のレーザ加工工程後のエッチング工程のための機構などが形成されている。また、基板1の厚みとしては725μm程度に形成されている。
この基板1に対して、所望の先導溝の形状になるまで照射する。先導溝の形状は後工程の異方性エッチングの際にエッチング液を進入させ、異方性エッチングの時間を短縮し、インク供給口の幅をより小さくするために、幅5〜100μmが好ましい。また深さは基板1として725μmの厚さのものを用いた場合、600〜710μmが好ましい。また溝の長さはインジェットヘッドの大きさにより異なるがおおよそ5〜50mmである。
レーザ照射制御機構7によって透過したパルスレーザ光2はガルバノスキャナ6を通過し集光レンズ3を通過して基板1に集光される。基板1に集光されたパルスレーザ光2は、X−Yステージ5又はガルバノスキャナ6、もしくはその両方によって基板1に走査され、集光点(照射点)で加工が行われる。
ここで、パルスレーザ光2の走査速度は必ずしも一定ではなく、例えばX−Yステージ5やガルバノスキャナ6の減速時などで所定の速度よりも遅い部分がある。
仮に、一定の照射周波数のパルスレーザ光2が基板1に照射された場合、速度の速い部分に比べ速度の遅い部分でパルスレーザ光2の照射密度が高くなり、加工量の差、特に加工深さに差を生じることとなる。
そこで、本実施形態では、制御装置8は、基板1の表面におけるパルスレーザ光2の走査速度に応じて、レーザ照射制御機構7におけるパルスレーザ光2の遮断/透過の切り替え制御を行う。以下、この制御装置8の制御動作について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、制御装置8は、X−Yステージ5の移動速度の情報をX−Yステージ5から信号として受信すると共に、ガルバノスキャナ6の走査速度の情報をガルバノスキャナ6から信号として受信する(S1)。
制御装置8は、これら受信結果に基づいて、基板1に対するパルスレーザ光2の走査速度vを求める(S2)。
そして、制御装置8は、ステップS2で求めた、基板1の表面におけるパルスレーザ光2の走査速度vのデータを用いて、基板1の表面に所定の間隔dでパルスレーザ光を照射するのに必要なパルスレーザ光の照射周期Tを求める(S3)。
詳述すると、制御装置8は、T=d/vの関係式に基づき、予め設定されている所定の間隔dのデータ及び求めた走査速度vのデータから、パルスレーザ光の照射周期Tを求める。なお、予め、T=d/vの演算結果をテーブルデータとして不図示のメモリに格納しておき、制御装置8が、求めた走査速度vのデータから、テーブルデータを参照して照射周期Tを求めてもよい。
また、f=v/dの関係から、パルスレーザ光の照射周波数fを求めてもよい。つまり、パルスレーザ光の照射周期Tの逆数はパルスレーザ光の照射周波数fであるので、照射周波数fを求めることは、照射周期Tを求めていることと同じである。その際、関係式に代入して照射周波数fを求めてもよいし、テーブルデータに基づいて照射周波数fを求めてもよい。
以上のように制御装置8は、照射周期Tを決定する。そして、制御装置8は、求めた照射周期Tに基づく制御指令をレーザ照射制御機構7に出力することで、照射周期Tでパルスレーザ光が基板1の表面に照射されるようにレーザ照射制御機構7におけるパルスレーザ光の遮断/透過の切り替えを制御する(S4)。
なお、走査速度が一定の所定速度、つまり最大の速度となる条件のとき、基板1に照射されるパルスレーザ光2の照射周波数fがレーザ発振器4の繰り返し周波数となるように設定されている。例えば、走査速度が所定速度の場合は、図4(a)に示すように、パルスレーザ光2を間引かずにそのまま100kHzの照射周波数、即ち10μsの照射周期でパルスレーザ光2を基板1の表面に照射するように制御する。走査速度が所定速度の1/2の速度になる場合は、図4(b)に示すように2パルス毎に1パルス間引き、レーザ発振器4の繰り返し周波数の1/2である50Hzの照射周波数、即ち20μsの照射周期でパルスレーザ光2を基板1の表面に照射するように制御する。
この制御により速度の遅い部分におけるパルスレーザ光2のパルスを間引くことで、レーザ光2の照射密度のバラツキを低減することができる。これによりレーザ発振器4の繰り返し周波数を一定のまま、走査速度が変化する場合においても、より均一な加工となる。
このパルスレーザ光2を所定速度100mm/secで基板1の表面に沿って走査し、基板1に所望の加工が完了するまで行い、インクジェットヘッド基板1の先導溝の加工終了となる。
溝の幅30μm、溝の長さ20mmの加工を行ったところ、溝深さは600〜700μmの範囲となり、インクジェットヘッド基板1の先導溝として好ましい形状を得ることができた。また比較のため、レーザ照射制御機構7で速度に応じた遮断と透過の制御を行なわず、幅30μm、溝の長さ20mmの加工を実施した。その結果、溝深さは600〜725μm(基板を貫通)となりインクジェットヘッド基板の先導溝として好ましい形状を得ることが出来なかった。
以上、本実施形態によれば、レーザ発振器4の繰り返し周波数を一定としている。そして、制御装置8が、基板1の表面に照射するパルスレーザ光2の照射周期Tを、パルスレーザ光2の走査速度の変化に応じて、レーザ照射制御機構7におけるパルスレーザ光2の遮断/透過の切り替えを制御することで変更している。このように、レーザ発振器4の繰り返し周波数を一定としているので、1パルス当たりのパルスレーザ光2のエネルギーが安定する。そして、エネルギーが安定したパルスレーザ光2を基板1の表面に所定の間隔dで照射することができるので、基板1の表面の加工部分に照射されるパルスレーザ光2の照射密度のばらつきを低減することができ、所望のレーザ加工を高精度に行うことができる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
上記実施形態では、基板1がインクジェットヘッド基板の場合について述べたが、基板1はインクジェットヘッド基板に限らず、他の半導体材料基板や、ガラス基板、回路基板などの加工にも使用することも可能である。また加工は先導溝のような溝加工に限らず、改質、接合などの加工をより均一に行うことも可能である。また具体的な適用先としてはインクジェットヘッドの先導溝加工に限らず、例えば回路基板の加工や太陽電池基板のスクライビング、抵抗素子のトリミング、電池ケースの封止溶接などがある。
1…基板(被加工物)、2…パルスレーザ光、4…レーザ発振器、5…X−Yステージ(走査部)、6…ガルバノスキャナ(走査部)、7…レーザ照射制御機構(レーザ光遮断/透過機構)、8…制御装置(制御部)、100…レーザ加工装置

Claims (3)

  1. 一定の繰り返し周波数でパルスレーザ光を出射するレーザ発振器と、
    前記レーザ発振器により出射されたパルスレーザ光をパルス単位で遮断又は透過させるレーザ光遮断/透過機構と、
    前記レーザ光遮断/透過機構を透過したパルスレーザ光の照射点を走査する走査部と、
    パルスレーザ光の照射点の走査速度から、被加工物の表面に所定の間隔でパルスレーザ光を照射するのに必要なパルスレーザ光の照射周期を求め、この求めた前記照射周期でパルスレーザ光が前記被加工物の表面に照射されるように前記レーザ光遮断/透過機構におけるパルスレーザ光の遮断/透過の切り替えを制御する制御部と、を備えた、
    ことを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 一定の繰り返し周波数でパルスレーザ光を出射するレーザ発振器と、前記レーザ発振器により出射されたパルスレーザ光をパルス単位で遮断又は透過させるレーザ光遮断/透過機構と、前記レーザ光遮断/透過機構を透過したパルスレーザ光の照射点を走査する走査部とを用い、被加工物の表面にレーザ加工を施すレーザ加工方法において、
    パルスレーザ光の走査速度から、前記被加工物の表面に所定の間隔でパルスレーザ光を照射するのに必要なパルスレーザ光の照射周期を求めるステップと、
    この求めた前記照射周期でパルスレーザ光が前記被加工物の表面に照射されるように前記レーザ光遮断/透過機構におけるパルスレーザ光の遮断/透過を切り替えるステップと、を備えた、
    ことを特徴とするレーザ加工方法。
  3. 請求項2に記載のレーザ加工方法によりレーザ加工されたインクジェットヘッド基板。
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