JP6128809B2 - レーザ加工装置、レーザ加工方法、基板の製造方法及びインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

レーザ加工装置、レーザ加工方法、基板の製造方法及びインクジェットヘッドの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6128809B2
JP6128809B2 JP2012250368A JP2012250368A JP6128809B2 JP 6128809 B2 JP6128809 B2 JP 6128809B2 JP 2012250368 A JP2012250368 A JP 2012250368A JP 2012250368 A JP2012250368 A JP 2012250368A JP 6128809 B2 JP6128809 B2 JP 6128809B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarization direction
light
laser
branched
branching
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012250368A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013126688A (ja
Inventor
森本 弘之
弘之 森本
孝介 倉知
孝介 倉知
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2012250368A priority Critical patent/JP6128809B2/ja
Publication of JP2013126688A publication Critical patent/JP2013126688A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6128809B2 publication Critical patent/JP6128809B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Description

本発明は、レーザ光を用いて被加工物を加工するレーザ加工装置、レーザ加工方法、レーザ加工工程を有する基板の製造方法及びインクジェットヘッドの製造方法に関する。
穴あけ、切断、溶接などのレーザ光を利用した加工が機械、電子、半導体など多方面の分野で利用されている。これらの加工を行うレーザ加工装置として、レーザ発振器から出力されたレーザ光を電気光学素子と偏光ビームスプリッタを用いて制御し、加工と加工停止を行う技術が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載された技術の場合、まず電気光学素子でレーザ光の直線偏光の向きを可変し、P波とS波を選択的に出す。その後、偏光ビームスプリッタにより、主にP波が出射される光路と、主にS波が出射される光路の2つの光路に分岐する。これにより、電気光学素子でP波、もしくはS波を選択することで、偏光ビームスプリッタ後の光路を決定し、加工と加工停止の切り替えを行う。一方、選択していない光路に漏れたレーザ光による不要な加工を防ぐために、偏光ビームスプリッタを複数設けている。
特開2003−126982号公報
上述の特許文献1に記載された技術の場合、偏光ビームスプリッタを複数設けて漏れたレーザ光の強度を下げている。これにより、加工停止時に照射される漏れたレーザ光による不要な加工を防ぐことが出来るが、加工時のレーザ光の強度も下がり、エネルギー損失が大きくなる。
本発明は、このような事情に鑑み、エネルギー損失を大きくすることなく、漏れたレーザ光による不要な加工を防ぎ、精度の良い加工が可能な構造を実現すべく発明したものである。
本発明のレーザ加工装置は、レーザ発振器と、前記レーザ発振器により照射されたレーザ光の偏光方向を第1の偏光方向と第2の偏光方向とに切り替える偏光方向切替部材と、前記偏光方向切替部材により切り替えられた偏光方向が前記第1の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として第1の分岐方向に、一部を第2の分岐方向へ分岐し、前記偏光方向が前記第2の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として前記第2の分岐方向に、一部を前記第1の分岐方向に分岐する分岐部材と、前記分岐部材により前記第1の分岐方向に分岐されたレーザ光の集光性を、電界の強度に応じて通過する光の屈折率を変化させることにより変更する屈折率変調素子と、前記偏光方向切替部材によって前記偏光方向が前記第2の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記一部のレーザ光の集光性が悪くなるように前記屈折率変調素子に与える電界を変更し、前記偏光方向切替部材によって前記偏光方向が前記第1の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記主のレーザ光の集光性が良くなるように前記屈折率変調素子に与える電界を変更する制御装置と、を備えた、ことを特徴とする。
本発明のレーザ加工方法は、レーザ発振器により照射されたレーザ光の偏光方向を第1の偏光方向と第2の偏光方向とに切り替える偏光方向切替工程と、前記偏光方向切替工程で切り替えられた偏光方向が前記第1の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として第1の分岐方向に、一部を第2の分岐方向へ分岐し、前記偏光方向が前記第2の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として前記第2の分岐方向に、一部を前記第1の分岐方向に分岐する分岐工程と、前記分岐工程で前記第1の分岐方向に分岐されたレーザ光の集光性を変更する集光性変更工程と、を有し、前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第2の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記一部のレーザ光の集光性が悪くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更し、前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第1の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記主のレーザ光の集光性が良くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更する、ことを特徴とする。
本発明の基板の製造方法は、被加工物を加工して基板を製造する基板の製造方法であって、被加工物にレーザ加工を行うレーザ加工工程を有し、前記レーザ加工工程は、レーザ発振器により照射されたレーザ光の偏光方向を第1の偏光方向と第2の偏光方向とに切り替える偏光方向切替工程と、前記偏光方向切替工程で切り替えられた偏光方向が前記第1の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として第1の分岐方向に、一部を第2の分岐方向へ分岐し、前記偏光方向が前記第2の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として前記第2の分岐方向に、一部を前記第1の分岐方向に分岐する分岐工程と、前記分岐工程で前記第1の分岐方向に分岐されたレーザ光の集光性を変更する集光性変更工程と、を有し、前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第2の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記一部のレーザ光の集光性が悪くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更し、前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第1の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記主のレーザ光の集光性が良くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更する、ことを特徴とする。
本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、基板に、レーザ光による加工によって複数の孔による孔群を複数の領域に形成することでインクの流路を製造するインクジェットヘッドの製造方法において、前記レーザ光による加工は、レーザ発振器により照射されたレーザ光の偏光方向を第1の偏光方向と第2の偏光方向とに切り替える偏光方向切替工程と、前記偏光方向切替工程で切り替えられた偏光方向が前記第1の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として第1の分岐方向に、一部を第2の分岐方向へ分岐し、前記偏光方向が前記第2の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として前記第2の分岐方向に、一部を前記第1の分岐方向に分岐する分岐工程と、前記分岐工程で前記第1の分岐方向に分岐されたレーザ光の集光性を変更する集光性変更工程と、を有し、前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第2の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記一部のレーザ光の集光性が悪くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更し、前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第1の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記主のレーザ光の集光性が良くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更する、ことを特徴とする。
本発明によれば、被加工物に導くレーザ光の集光性を変更することにより、被加工物の加工点でのレーザ光のエネルギー密度を可変にでき、エネルギー損失を大きくすることなく、漏れたレーザ光による不要な加工を防ぐことができる。そして、精度の良い加工を実現する事ができる。
本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成図。 第1の実施形態に係るレーザ加工工程のフローチャート。 本発明の第2の実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成図。 第2の実施形態に係るレーザ加工工程のフローチャート。 本発明の第3の実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成図。 第3の実施形態に係るレーザ加工工程のフローチャート。 第3の実施形態に係るレーザ加工工程のフローチャート。 インクジェットヘッドの一部を示す断面図。 インクジェットヘッドの製造方法で、孔群を複数の領域に形成した状態の基板の概略構成を示す平面図及び一部断面図。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。本実施形態では、基板の素材となる被加工物1にレーザ光を集光し、被加工物1の一部に加工を行うレーザ加工装置について説明する。なお、本実施形態で製造する基板は、例えば半導体材料基板、ガラス基板、圧電材料基板などである。
本実施形態のレーザ加工装置は、レーザ発振器4、光変調素子7、ポラライザ6、光学素子9、集光レンズ3、ビームダンパ10、ステージ5、制御装置8を有する。このうちのレーザ発振器4は、YAGレーザ、COレーザ、エキシマレーザなどを用いる。レーザ発振器4からは、次述する光変調素子7に向けて直線偏光のレーザ光21が発振される。
光変調素子7は、レーザ発振器4により照射されたレーザ光21の偏光方向を切り替える偏光方向切替部材としての、例えば電気光学素子(EOM)である。この光変調素子7は、後述する制御装置8からの制御信号に応じて、レーザ光21の偏光方向を第2の偏光方向であるP波、若しくは、第1の偏光方向であるS波のレーザ光22に変換する。また光変調素子7はレーザ発振器4のパルス繰返し周波数より早い応答が可能であり、1パルス毎に、制御装置8からの制御信号に応じてレーザ光21の偏光の向きを変えることが出来る。
ポラライザ6は、光変調素子7により切り替えられた偏光方向に応じてレーザ光を分岐する分岐部材としての、例えばキューブ型の偏光ビームスプリッタやプレート型の偏光ビームスプリッタなどである。このポラライザ6は、レーザ光22の偏光方向に応じて、主としてP波のレーザ光23と、主としてS波のレーザ光24に分岐する。この主として分岐されるレーザ光をここでは主レーザ光と称するものとする。
即ち、ポラライザ6は、全てのレーザ光を分岐することができず、一部が漏れることが避けられない。本実施形態では、光変調素子7により切り替えられた偏光方向が第1の偏光方向であるS波の場合に、主として第1の分岐方向である次述する光学素子9側にレーザ光を分岐し、一部の光は後述するビームダンパ10側に漏れる。一方、偏光方向が第2の偏光方向であるP波の場合には、主として第2の分岐方向であるビームダンパ10側にレーザ光を分岐し、一部の光は光学素子9側に漏れる。この一部漏れるレーザ光をここでは副レーザ光と称するものとする。
光学素子9は、ポラライザ6により分岐されて被加工物1に導かれるレーザ光24の集光性を変更する集光性変更部材としての、例えば、透過する光の光路を変える機能を有する素子である。このような素子としては、例えば電極と電気光学材料(誘電体材料)により構成され、加えられる電界の強度に応じて通過する光の屈折率を変化させる電気光学素子(屈折率変調素子)などを用いる。この光学素子9は、レーザ発振器4のパルス繰返し周波数より早い応答が可能であり、1パルス毎に、制御装置8からの制御信号に応じて透過する光の集光性を変えることが出来る。
このような光学素子9は、ポラライザ6により第1の分岐方向に分岐されたレーザ光の光路を、第一の光路と第二の光路に可変である。例えば、第一の光路は、被加工物1の加工点に対する集光性の良い光路とし、第二の光路は、被加工物1の加工点に対する集光性の良くない(悪い)光路とすることができる。ここで、第一の光路である加工点に対して集光性が良い光路とは、光学素子9により加工点に対してレーザ光が集光される光路である。第二の光路である加工点に対して集光性の良くない光路とは、光学素子9により加工点に対してレーザ光が集光しない光路である。また、図1に鎖線で示すレーザ光25の光路は、第一の光路である被加工物1の加工点に対する集光性の良い光路で、図1に破線で示すレーザ光26の光路は、第二の光路である被加工物1の加工点に対する集光性の良くない光路である。
なお、光学素子9は、光路の可変により、集光性が変更できれば、上述の屈折率変調素子以外に、例えば、レンズを移動させる構成としても良い。即ち、レンズを移動させて光が透過する位置を変えれば、光路を変更することができ、集光性を変更することが可能である。
集光レンズ3は、レーザ光25を微小スポットに集光する光学系や、スキャン機構をもった光学系、例えばガルバノスキャナとfθレンズを組合せた光学系などを用いる。ビームダンパ10はポラライザ6によって第2の分岐方向に分岐されたレーザ光を吸収する。ステージ5は、被加工物1を載置固定し、この被加工物1をX―Y―Z方向に自在に移動させる。
制御装置8は、レーザ発振器4、ステージ5、光変調素子7、光学素子9を制御する。また、制御装置8は集光レンズ3がスキャン機構をもった光学系の場合、集光レンズ3のスキャン機構の制御も行う。
このような制御装置8は、被加工物1に対する加工状態に応じて、光変調素子7と光学素子9とを制御し、被加工物1に導くレーザ光の偏光方向を切り替えると共に集光性を変更する。具体的には、次の第1モードと第2モードとを実行可能である。第1モードでは、偏光方向を光変調素子7によって第1の偏光方向に切り替え、光学素子9を第一の光路である加工点に対する集光性の良い光路にする。第2モードでは、偏光方向を光変調素子7によって第2の偏光方向に切り替え、光学素子9を第二の光路である加工点に対する集光性の良くない光路にする。
即ち、被加工物1に加工を行う場合、制御装置8は、光変調素子7を制御してレーザ光の偏光方向をS波に切り替える。S波はポラライザ6により主レーザ光として光学素子9側に分岐される。ここで、制御装置8により光学素子9を制御して第一の光路、すなわち加工点に対する集光性の良い光路にする。これにより、被加工物1の加工を行う。
一方、被加工物1に加工を行わない場合、制御装置8は、光変調素子7を制御してレーザ光の偏光方向をP波に切り替える。P波はポラライザ6により主レーザ光としてビームダンパ10側に分岐される。一方、ポラライザ6により漏れた副レーザ光が光学素子9に照射される。ここで、制御装置8により光学素子9を制御して第二の光路、すなわち加工点に対する集光性の良くない光路にする。これにより、漏れた光により被加工物1が加工されることを抑制できる。
次に、本実施形態のレーザ加工工程について、図2を参照しつつ説明する。レーザ発振器4からレーザ光21がある一定のパルス繰返し周波数でパルス発振する。レーザ光21は一定のパルス繰返し周波数でパルス発振されるため励起時間のバラツキを生じず、パルス繰返し周波数を可変した場合よりもレーザ光出力安定性で優れる。レーザ光21は1パルス毎に、制御装置8からの制御信号に応じて光変調素子7により偏光の向きを変えることができ、P波若しくはS波のレーザ光22に変換する(偏光方向切替工程、S11)。この制御によりポラライザ6を通過後のレーザ光を被加工物1に照射するか、ビームダンパ10に照射するか1パルス単位で決めることが出来る(分岐工程、S12)。
ここで、被加工物1を加工する場合(第1モード)は、主レーザ光を被加工物1に照射し、被加工物1への加工を停止する(加工しない)場合は主レーザ光をビームダンパ10に照射する。但し、ポラライザ6の性能や、光変調素子7とポラライザ6間の光学的影響により、完全に被加工物1のみ、若しくはビームダンパ10のみに照射することが出来ず、選択していない方に漏れた副レーザ光が照射される。この漏れた副レーザ光が、被加工物1の加工閾値以上のエネルギー密度で照射されると加工が行われてしまう。
そこで、被加工物1への加工を行う場合は主レーザ光を被加工物1に照射するように光変調素子7を制御すると共に、光学素子9を制御し、レーザ光が被加工物1に対して集光性の良い光路(第一の光路)を通るようにする。本実施形態の場合、光変調素子7でS波に変更していれば(S13のY)、ポラライザ6によりレーザ光が主レーザ光として光学素子9側に分岐される。ここで、光学素子9を制御し、レーザ光が被加工物1に対して集光性の良い光路(第一の光路)を通るようにする(集光性変更工程、S14)。これにより、レーザ光を被加工物1の加工点に集光し、被加工物1を加工することが出来る(S15)。
また、被加工物1への加工を停止する場合(非加工の場合、第2モード)は、主レーザ光をビームダンパ10に照射するように光変調素子7を制御する。これと共に、光学素子9を制御し、副レーザ光が被加工物1に対して集光性の良くない光路(第二の光路)を通るようにする。本実施形態の場合、光変調素子7でP波に変更していれば(S13のN)、ポラライザ6によりレーザ光が主レーザ光としてビームダンパ10側に分岐され、一部副レーザ光が光学素子9側に漏れる。ここで、光学素子9を制御し、副レーザ光が被加工物1に対して集光性の良くない光路(第二の光路)を通るようにする(集光性変更工程、S16)。これにより、漏れた副レーザ光の被加工物1への照射面積を大きくし、被加工物1の加工閾値以下のエネルギー密度とすることが出来る(S17)。この加工及び加工停止と、ステージ5による被加工物1の移動とを、被加工物1に所望の加工が完了するまで行い、加工終了となる。
本実施形態の場合、このように、被加工物1に導くレーザ光の集光性を変更することにより、被加工物の加工点でのレーザ光のエネルギー密度を可変にできる。このため、エネルギー損失を大きくすることなく、漏れた副レーザ光による不要な加工を防ぐことができる。
即ち、非加工時にポラライザ6から漏れた副レーザ光は、光学素子9により加工点に対する集光性の良くない光路(第二の光路)に変更される(エネルギー密度が小さくなる)。これにより、この漏れた副レーザ光により被加工物1が加工されることを抑制できる。また、このように漏れた副レーザ光による不要な加工を防ぐためにポラライザを複数設ける必要がない。そして、加工時にポラライザ6により分岐された主レーザ光が光学素子9により加工点に対する集光性の良い光路(第一の光路)に変更される(エネルギー密度が大きくなる)。このため、被加工物1に照射する主レーザ光のエネルギー損失が大きくなることはない。
特に、被加工物上に配線パターンなどが形成され、レーザにより加工され易い部分が存在し、加工点がこの部分を跨ぐように位置する場合に、本実施形態を適用すれば、加工され易い部分が加工されることなく、効率良くレーザ加工を行える。
また、本実施形態のように、光学素子9として屈折率変調素子を用いることにより、光学素子9の状態の加工時と非加工時の切り替えを迅速に行える。このため、集光レンズ3としてガルバノスキャナなどを用いて場合には、このスキャナの制御に応答性良く対応させられる。なお、上述のP波とS波との関係が逆であっても良い。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図3及び図4を用いて説明する。上述の第1の実施形態の場合、ポラライザ6により分岐されたP波や、S波に切り替えられたレーザ光のうちのポラライザ6から漏れた光は、ビームダンパ10で吸収するようにした。これに対して本実施形態の場合、このような光をミラー20により反射して別の被加工物1aに照射するようにしている。このため、第1の実施形態と重複する部分については説明を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態の場合、上述のように、ポラライザ6により第2の分岐方向に分岐されたレーザ光を反射するミラー20を有する。ミラー20は、例えば誘電多層膜ミラーや金属蒸着ミラーを用いてレーザ光を反射させ向きを変える。また、制御装置8により制御され、ミラー20により反射されたレーザ光を、被加工物1aの加工点に対する集光性の良い光路(第一の光路)と良くない光路(第二の光路)とに可変である別の集光性変更部材である光学素子9aを有する。
そして、本実施形態の場合、制御装置8は、第1モードでは、光学素子9aを加工点に対する集光性の良くない光路(第二の光路)にし、第2モードでは、光学素子9aを加工点に対する集光性の良い光路(第一の光路)にする。
即ち、被加工物1のレーザ加工を行う場合、光変調素子7でレーザ光がS波に切り替えられ、ポラライザ6により主として被加工物1側の光学素子9に主レーザ光が導かれる。また、ポラライザ6から漏れる副レーザ光がミラー20で反射されて光学素子9aに導かれる。そこで、光学素子9aを加工点に対する集光性の良くない光路(第二の光路)にすることで、別の被加工物1aが加工されることを抑制する。
一方、被加工物1のレーザ加工を行わずに、別の被加工物1aのレーザ加工を行う場合、光変調素子7でレーザ光がP波に切り替えられ、ポラライザ6により主としてミラー20に主レーザ光が導かれる。この主レーザ光は、ミラー20で反射されて光学素子9aに導かれる。そこで、光学素子9aを加工点に対する集光性の良い光路(第一の光路)にすることで、別の被加工物1aが加工される。
ここで、別の被加工物1aは、被加工物1と同様に、基板の素材となるものである。なお、被加工物1と被加工物1aとが同一の部材であっても良い。即ち、同一の被加工物の異なる個所をそれぞれ加工するようにしても良い。
また、光学素子9aは光学素子9と、集光レンズ3aは集光レンズ3と、それぞれ同じである。また、ステージ5aはステージ5と同じであるが、被加工物1と被加工物1aとが同一の部材である場合には、ステージ5aとステージ5も同一にする。制御装置8は、光学素子9a及びステージ5aも制御する。更に、図3に鎖線で示すレーザ光27は、レーザ光25と同様に被加工物1の加工点に対する集光性の良い光路(第一の光路)で、図3に破線で示すレーザ光28は、レーザ光26と同様に被加工物1の加工点に対する集光性の良くない光路(第二の光路)である。
次に、本実施形態のレーザ加工工程について、図4を参照しつつ説明する。レーザ発振器4からレーザ光21がある一定のパルス繰返し周波数でパルス発振する。レーザ光21は1パルス毎に、制御装置8からの制御信号に応じて光変調素子7により偏光の向きを変えることができ、P波若しくはS波のレーザ光22に変換する(偏光方向切替工程、S21)。この制御によりポラライザ6を通過後のレーザ光を被加工物1に照射するか、別の被加工物1aに照射するか1パルス単位で決めることが出来る(分岐工程、S22)。
ここで、被加工物1を加工する場合(第1モード)は、主レーザ光を被加工物1に照射し、別の被加工物1aを加工する場合は主レーザ光を被加工物1aに照射する。但し、ポラライザ6の性能や、光変調素子7とポラライザ6間の光学的影響により、完全に被加工物1のみ、若しくは被加工物1aのみに照射することが出来ず、選択していない方に漏れた副レーザ光が照射される。この漏れた副レーザ光が、被加工物1、1aの加工閾値以上のエネルギー密度で照射されると加工が行われてしまう。
そこで、被加工物1への加工を行う場合は主レーザ光を被加工物1に照射するように光変調素子7を制御すると共に、光学素子9を制御し、被加工物1に照射される主レーザ光が基板に対して集光性の良い光路(第一の光路)を通るようにする。同時に光学素子9aを制御し、別の被加工物1aに照射される漏れた副レーザ光が加工点に対して集光性の良くない光路(第二の光路)を通るようにする。
本実施形態の場合、光変調素子7でS波に変更していれば(S23のY)、ポラライザ6によりレーザ光が主レーザ光として被加工物1側に分岐される。ここで、光学素子9を制御し、主レーザ光が被加工物1に対して集光性の良い光路(第一の光路)を通るようにする(集光性変更工程、S24)。一方、ポラライザ6から漏れた副レーザ光がミラー20で反射して別の被加工物1aに照射される。ここで、光学素子9aを制御し、副レーザ光が別の被加工物1aに対して集光性の良くない光路(第二の光路)を通るようにする(別の集光性変更工程)。これにより、主レーザ光を被加工物1に集光し、被加工物1を加工することが出来ると同時に、別の被加工物1aに漏れた副レーザ光による不要な加工を防ぐことができる(S25)。
また、被加工物1aへの加工を行う場合(第2モード)は、主レーザ光を被加工物1aに照射するように光変調素子7を制御する。これと共に、光学素子9aを制御し、被加工物1aに照射される主レーザ光が加工点に対して集光性の良い光路(第一の光路)を通るようにする。同時に光学素子9を制御し、被加工物1に照射される漏れた副レーザ光が加工点に対して集光性の良くない光路(第二の光路)を通るようにする。
本実施形態の場合、光変調素子7でP波に変更していれば(S23のN)、ポラライザ6によりレーザ光が主レーザ光としてミラー20側に分岐され、ミラー20で反射して別の被加工物1aに照射される。ここで、光学素子9aを制御し、主レーザ光が別の被加工物1aに対して集光性の良い光路(第一の光路)を通るようにする(別の集光性変更工程、S26)。一方、ポラライザ6から漏れた副レーザ光が被加工物1aに照射される。ここで、光学素子9を制御し、副レーザ光が被加工物1に対して集光性の良くない光路(第二の光路)を通るようにする(集光性変更工程)。これにより、主レーザ光を別の被加工物1aに集光し、別の被加工物1aを加工することが出来ると同時に、被加工物1に漏れた副レーザ光による不要な加工を防ぐことができる(S27)。このような加工対象の切り替えと、ステージ5、5aによる被加工物1、1aの移動とを、被加工物1、1aに所望の加工が完了するまで行い、加工終了となる。
本実施形態の場合、このような切り替えを行うことより、第1の実施形態と同様に、エネルギー損失を大きくすることなく、漏れた副レーザ光による不要な加工を防ぐことができる。
なお、上述の説明では、ステージ毎に被加工物を搭載していたが、1つのステージに複数の被加工物を搭載することも可能である。また切り替えて加工する場合、照射する被加工物を切り替えるのではなく、同一の被加工物上の加工点を切り替える加工も可能である。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図5、図6、図7を用いて説明する。本実施形態のレーザ加工装置は、図5に示すように、レーザ発振器4、光変調素子7、ポラライザ6、光学素子9,9a、集光レンズ3、3a、光シャッタ11、折り返しミラー20、ステージ5、5a、制御装置8を有する。また、21は発振器から出射したレーザ光、22は光変調素子を透過したレーザ光、23、24はポラライザ6で分岐されたレーザ光である。
また、本実施形態の場合、上述の第2の実施形態で述べた集光性の良い光路(第一の光路)と良くない光路(第二の光路)に加えて、中間的な集光性の光路(第三の光路)を設け被加工物に照射するようにしている。このため、第2の実施形態と重複する部分については説明を省略又は簡略にし、以下、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態の場合、光学素子9及び9aは、集光性の良い光路(第一の光路)251及び271、集光性の良くない光路(第二の光路)261及び281に加えて、中間的な集光性の光路(第三の光路)291及び301に可変する事ができる。
ここで中間的な集光性とは、光学素子9aをレーザ光が被加工物の加工閾値に対して70パーセント以上、90パーセント以下のエネルギー密度になる様な集光状態に調節する事を言う。加工閾値とは、レーザ光が被加工物に集光する際、所定のエネルギー密度以上で加工が開始される境界エネルギー密度を指す。加工閾値は、被加工物の物性や温度、及び照射されるレーザ光条件により決定される。例えば被加工物がシリコン材料であり、レーザ光の波長が532nm、パルス幅が約12psecである時、加工閾値のエネルギー密度は約1J/cmである。
レーザ加工では、加工閾値より僅かに大きなエネルギー密度で加工する事により、加工部周辺の熱影響を最小にする事ができるが、加工開始直後はレーザ光照射部の被加工物温度が急変するため加工精度が不安定となる。加工閾値に対して70パーセント以上、90パーセント以下のエネルギー密度でレーザ光照射部を予熱する事により、被加工物の温度変化を緩和し、加工開始直後の加工精度を向上させる事ができる。
前記シリコン材料への加工条件において、エネルギー密度が約0.90J/cmの条件では被加工物は加工されず、かつ加工開始直後の加工精度を向上させる事ができる。しかしエネルギー密度が約0.70J/cmを下回ると加工精度が低下する。エネルギー密度が約0.90J/cmを超え、加工閾値以下である場合、被加工材料の表面状態により意図せず加工状態になる場合がある。よってエネルギー密度は約0.90J/cm以下である事が望ましい。
次に、本実施形態のレーザ加工工程の一例について、図5を参照しつつ、図6及び図7を用いて説明する。なお、本実施形態では、被加工物1、1aに対する工程を同時に行う場合もあるので、図6及び図7のフローチャートでは、これを併記するようにしている。即ち、図の左側にシフトして記載されている工程は、被加工物1側に対する工程を、右側にシフトして記載されている工程は、被加工物1a側に対する工程をそれぞれ示している。また、図の中央に記載されている工程は、両者に共通する工程である。
図6に示すように、加工開始時点で、レーザ発振器4は駆動されておらず、レーザ光は発射されていない。加えて光シャッタ11が閉じており、被加工物1a側へのレーザ光は遮断される(S31)。次に光変調素子7でS波に偏光していれば、ポラライザ6によりレーザ光が主レーザ光として被加工物1a側に分岐される状態にしておく(S32)。そして、光学素子9を制御し、被加工物1上に照射される副レーザ光が集光性の良くない光路(第二の光路)261になるようにする(S33)。次にレーザ発振器4を駆動してレーザ光を発射する(S34)。レーザ光を光変調素子7でS波に偏光しポラライザ6に入射させることで、被加工物1上に漏れた副レーザ光が入射するが、集光性が良くないため、被加工物1が加工される事はない。次に、被加工物1側のX−Y−Zステージ5を加工位置に移動させる(S35)。次に光学素子9を制御し、中間的な集光性の光路(第三の光路)291とし、被加工物1を予熱する(S36)。以上の間、被加工物1a側は光シャッタ11が閉じているため主レーザ光が入射する事はない。
次にポラライザ6を切替えて被加工物1側に主レーザ光が入射するようにする(S37)と同時に、被加工物1側の光学素子9を制御して集光性の良い光路(第一の光路)251とする(S38)。そして、前記予熱の効果によって、被加工物1に精度の良い加工が開始される(S39)。同時に、被加工物1a側の光学素子9aを制御して集光性の良くない光路(第二の光路)281とする(S40)。次に光シャッタ11を開く(S41)。この時、被加工物1a側にポラライザ6から漏れた副レーザ光が入射するが、集光性が良くないため、被加工物1aが加工される事はない。次に、被加工物1a側のX−Y−Zステージ5aを加工位置に移動させる(S42)。次に光学素子9aを制御し、中間的な集光性の光路(第三の光路)301とし、被加工物1aを予熱する(S43)。以上の被加工物1aでの工程の間、被加工物1上では加工が進行し、一定時間後に終了する(S44)。
次に、図7に示すように、ポラライザ6を切替えて被加工物1a側に主レーザ光が入射するようにする(S45)と同時に、被加工物1a側の光学素子9aを制御して集光性の良い光路(第一の光路)271とする(S46)。そして、前記予熱によって、被加工物1aに精度の良い加工が開始される(S47)。同時に被加工物1側は、光学素子9を制御して集光性の良くない光路(第二の光路)261とする(S48)。被加工物1側に漏れた副レーザ光が入射するが、集光性が良くないため、被加工物1が加工される事はない。次に、被加工物1側のX−Y−Zステージ5を加工位置に移動させる(S49)。次に光学素子9を制御し、中間的な集光性の光路(第三の光路)291とし、被加工物1を予熱する(S50)。以上の被加工物1での工程の間、被加工物1a上では加工が進行し、一定時間後に終了する(S51)。
次に、上述の工程を、被加工物1側の工程と被加工物1a側の工程とを逆にして行う(S45a〜S51a)。そして、以上の工程を繰返し、最終的に加工が終了する。
以上の工程を実施する事により、主レーザ光により被加工物を加工している間に、もう一方の被加工物の位置決めと予熱を完了する事ができる。これにより、第2の実施形態と同様に、エネルギー損失を大きくすることなく、漏れた副レーザ光による不要な加工を防ぐ事ができる。加えて予熱によって精度のよい加工を実現する事ができる。
一般的に被加工物は同一材料で構成されているとは限らず、加工閾値が大きく異なる複数の材料で構成されている事がある。この場合、加工閾値が高い被加工物に対して設定した中間的な集光性のエネルギー密度条件では、加工閾値が低い被加工物に対して不要な加工を及ぼしてしまう。この様な被加工物に対しては、特に本実施形態のように、集光性の良い光路(第一の光路)、集光性の良くない光路(第二の光路)および中間的な集光性の光路(第三の光路)を備える事がより効果的である。
しかし、被加工物が同一材料で構成されている場合は、第2の実施形態で説明した方法を用い、第2の実施形態で説明した集光性の良くない光路(第二の光路)を本実施形態の中間的な集光性の光路(第三の光路)とする。これにより、より簡単な方法で予熱によって精度のよい加工を実現する事ができるためより好ましい。
また、上述の説明で、ポラライザから漏れたレーザ光を副レーザ光と記述したが、中間的な集光性のエネルギー密度を実現するために、意識的にポラライザを調節し所定光量のレーザ光を漏らし、副レーザ光としてもよい。その他の構成及び作用は、上述の第2の実施形態と同様である。
上述の各実施形態で説明したレーザ加工装置及びレーザ加工方法により製造する基板は、インクジェットヘッドの基板や、他の半導体材料基板や、ガラス基板、回路基板などが挙げられる。また、加工は先導孔のような穴あけ加工に限らず、溝形状や切断、改質、接合などの加工を行うことも可能である。また具体的な適用先としてはインクジェットヘッドの先導孔加工に限らず、例えば回路基板の穴あけ加工や太陽電池基板のスクライビング、抵抗素子のトリミング、電池ケースの封止溶接などがある。
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態として、上述の各実施形態で説明したレーザ加工装置及びレーザ加工方法を用いて基板を製造する、基板の製造方法について、図8及び図9を用いて説明する。本実施形態では、製造する基板は、インクジェットヘッドの基板である例を示す。図8は、インクジェットプリンタのヘッド部分の断面を示した図面である。
図8において、30は半導体基板(インクジェットヘッドの基板)、31はインクの流路となる垂直形状の溝である。また、32はヒータ、33は液室、34はオリフィスプレート、35は吐出孔、36はインクタンク、破線で示す37はインク経路、38は微小なインク滴を示す。溝31が形成された半導体基板30の下面にはインクを吐出させるためのヒータ32、液室33、オリフィスプレート34が形成される。また、半導体基板30の上面には、インクを貯蔵するインクタンク36が取り付けられる。インクは、インクタンク36から溝31及び液室33を経て、ヒータ32に到達する。ヒータ32の瞬間的な加熱/冷却により形成された気泡がインクを押上げ、オリフィスプレート34中に形成された吐出孔35より微小なインク滴38となって吐出される。
本実施形態では、このようにインク滴38を吐出する吐出孔35にインクを供給する流路となる溝31を、上述の各実施形態で説明したようなレーザ加工によって形成する。即ち、被加工物として溝31を形成する前の半導体基板をステージに載置し、上述したようなレーザ加工を施す。なお、レーザ加工後にそのまま用いてもよいが、アルカリ性エッチング液中で例えば15分程度異方性エッチングする事により、最終的な溝形状を形成しても良い。
異方性エッチングにより溝31を形成する場合、レーザ光を照射し、図9に示すように、複数の孔41による孔群42を複数の領域43に形成する。この孔群42に、エッチング液を進入させ、異方性エッチングにより、図8に示す、インクを供給する流路となる溝31を形成する。孔群42を形成することにより、異方性エッチングの時間を短縮し、インク供給口の幅をより小さくすることができる。
インクジェットヘッドの基板は、例えば、結晶面(100)シリコン製の素材(被非加工物)に加工を施して製造したものである。この被加工物にはヒータや電気配線、耐エッチング性を有するエッチングストップ層、エッチング保護膜など、インクを吐出するための機構やレーザ加工後のエッチング工程のための機構などが形成されている。また、被加工物の厚みは、例えば725μm程度である。孔は、直径φ5〜100μmとすることが好ましい。また深さは被加工物として725μmの厚さのものを用いた場合、600〜710μmが好ましい。
例えば、第1の実施形態を用いた加工を行なう方法を図1を用いて説明する。ポラライザ6により主レーザ光を光学素子9側(第一の方向)に分岐させる。制御装置8により光学素子9を第一の光路、すなわち加工点に対する集光性の良い光路にしておくことで、分岐させた主レーザ光を被加工物1(基板)上の領域のひとつ(第一の領域)(図9に示す領域参照)に集光して照射する。そして、ステージやガルバノミラー等により主レーザ光の照射位置と被加工物1(基板)を相対的に移動させ、被加工物(基板)上の領域のひとつである第一の領域に複数の孔をあけ、孔群を形成する。
次いで、第一の領域孔群の形成が終了すると同時に、光変調素子7を制御することで偏光方向を変更する。そして、ポラライザ6により副レーザ光を光学素子9側に分岐させるともに、制御装置8により光学素子9を第二の光路、すなわち加工点に対する集光性の良くない光路に変更しておく。そして、副レーザ光によって被加工物(基板)を加工しないようにした状態で、第一の領域とは異なる領域(第二の領域)にステージやガルバノミラー等により副レーザ光の照射位置と被加工物(基板)を相対的に移動させる。その後、光変調素子7を制御することで偏光方向を変更する。
そして、ポラライザ6により主レーザ光を光学素子9側に分岐させるともに、制御装置8により光学素子9を第一の光路、すなわち加工点に対する集光性の良い光路に変更する。そして、主レーザ光を被加工物(基板)上に集光し照射して、第二の領域にステージやガルバノミラー等により副レーザ光の照射位置と被加工物(基板)を相対的に移動させる。そして、ステージやガルバノミラー等により主レーザ光の照射位置と被加工物(基板)を相対的に移動させ、第二の領域に複数の孔をあけ、孔群を形成する。これを繰り返し、図9に示すように、各領域に、複数の孔による孔群を形成する。その後、この孔群に、エッチング液を進入させ、異方性エッチングにより、図8に示す、インクを供給する流路となる溝31を形成する。
また、第2の実施形態を用いた加工を行なう方法を図3を用いて説明する。ポラライザ6により主レーザ光を光学素子9側(第一の方向)に分岐させ、副レーザ光を光学素子9a側(第二の方向)に分岐させる。制御装置8により光学素子9を第一の光路、すなわち加工点に対する集光性の良い光路にしておくことで、分岐させた主レーザ光を被加工物1(基板)上の領域のひとつ(第一の領域)(図9に示す領域参照)に集光して照射する。そして、ステージやガルバノミラー等により主レーザ光の照射位置と被加工物を相対的に移動させ、被加工物1(基板)上の領域のひとつである第一の領域に複数の孔をあけ、孔群を形成する。
一方、制御装置8により光学素子9aを第二の光路、すなわち加工点に対する集光性の良くない光路に変更しておき、副レーザ光によって被加工物1a(基板)を加工しないようにする。この状態で、被加工物1a(基板)上の領域(第三の領域)にステージやガルバノミラー等により副レーザ光の照射位置と被加工物1a(基板)を相対的に移動させる。
第一の領域における孔群の形成が終了した後、光変調素子7を制御することで偏光方向を変更する。そして、ポラライザ6により副レーザ光を光学素子9側に分岐させ、主レーザ光を光学素子9a側に分岐させる。制御装置8により光学素子9を第二の光路、すなわち加工点に対する集光性の良くない光路に変更しておき、副レーザ光によって被加工物を加工しないようにする。この状態で、第一の領域とは異なる領域(第二の領域)にステージやガルバノミラー等により副レーザ光の照射位置と被加工物(基板)を相対的に移動させる。一方、光学素子9a側に分岐させた主レーザ光は、第一の光路に変更された光学素子9aをへて、被加工物1a(基板)上に集光され、第三の領域に孔群を形成する。
その後、また、光変調素子7を制御することで偏光方向を変更する。そして、ポラライザ6により主レーザ光を光学素子9側に分岐させ、副レーザ光を光学素子9a側に分岐させる。そして、制御装置8により光学素子9を第一の光路、すなわち加工点に対する集光性の良い光路に変更し、主レーザ光を被加工物(基板)上に集光し照射する。そして、ステージやガルバノミラー等により主レーザ光の照射位置と被加工物(基板)を相対的に移動させ、第二の領域に複数の孔をあけ、孔群を形成する。
一方、制御装置8により光学素子9aを第二の光路、すなわち加工点に対する集光性の良くない光路に変更しておき、副レーザ光によって被加工物1aを加工しないようにする。この状態で、被加工物1a(基板)上の領域(第四の領域)にステージやガルバノミラー等により副レーザ光の照射位置と被加工物1a(基板)を相対的に移動させる。これを繰り返し、各領域に複数の孔による孔群を、2つの被加工物(基板)に同時に形成することができる。
更に、第3の実施形態で説明したように、中間的な集光性の光路を用いた加工も同様に行なうことができる。
1・・・被加工物、1a・・・別の被加工物、4・・・レーザ発振器、6・・・ポラライザ(分岐部材)、7・・・光変調素子(偏光方向切替部材)、8・・・制御装置、9・・・光学素子(集光性変更部材)、9a・・・光学素子(別の集光性変更部材)、10・・・ビームダンパ、20・・・ミラー

Claims (8)

  1. レーザ発振器と、
    前記レーザ発振器により照射されたレーザ光の偏光方向を第1の偏光方向と第2の偏光方向とに切り替える偏光方向切替部材と、
    前記偏光方向切替部材により切り替えられた偏光方向が前記第1の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として第1の分岐方向に、一部を第2の分岐方向へ分岐し、前記偏光方向が前記第2の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として前記第2の分岐方向に、一部を前記第1の分岐方向に分岐する分岐部材と、
    前記分岐部材により前記第1の分岐方向に分岐されたレーザ光の集光性を、電界の強度に応じて通過する光の屈折率を変化させることにより変更する屈折率変調素子と、
    前記偏光方向切替部材によって前記偏光方向が前記第2の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記一部のレーザ光の集光性が悪くなるように前記屈折率変調素子に与える電界を変更し、前記偏光方向切替部材によって前記偏光方向が前記第1の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記主のレーザ光の集光性が良くなるように前記屈折率変調素子に与える電界を変更する制御装置と、を備えた、
    ことを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 前記分岐部材により前記第2の分岐方向に分岐されたレーザ光を吸収するビームダンパを備えた、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 前記分岐部材により前記第2の分岐方向に分岐されたレーザ光を反射するミラーと、
    前記ミラーにより反射されたレーザ光の集光性を、電界の強度に応じて通過する光の屈折率を変化させることにより変更する第二の屈折率変調素子と、をさらに備え、
    前記制御装置は、前記偏光方向切替部材によって前記偏光方向が前記第1の偏光方向に切り替えられた時、前記第2の分岐方向に分岐された前記一部のレーザ光の集光性が悪くなるように前記屈折率変調素子に与える電界を変更し、前記偏光方向切替部材によって前記偏光方向が前記第2の偏光方向に切り替えられた時、前記第2の分岐方向に分岐された前記主のレーザ光の集光性が良くなるように前記屈折率変調素子に与える電界を変更する、
    ことを特徴とする、請求項に記載のレーザ加工装置。
  4. レーザ発振器により照射されたレーザ光の偏光方向を第1の偏光方向と第2の偏光方向とに切り替える偏光方向切替工程と、
    前記偏光方向切替工程で切り替えられた偏光方向が前記第1の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として第1の分岐方向に、一部を第2の分岐方向へ分岐し、前記偏光方向が前記第2の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として前記第2の分岐方向に、一部を前記第1の分岐方向に分岐する分岐工程と、
    前記分岐工程で前記第1の分岐方向に分岐されたレーザ光の集光性を変更する集光性変更工程と、を有し、
    前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第2の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記一部のレーザ光の集光性が悪くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更し、前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第1の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記主のレーザ光の集光性が良くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更する、
    ことを特徴とするレーザ加工方法。
  5. 前記分岐工程で前記第2の分岐方向に分岐されたレーザ光を反射する反射工程と、
    前記反射工程で反射されたレーザ光の集光性を変更する第二の集光性変更工程と、を有し、
    前記第二の集光性変更工程は、前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第1の偏光方向に切り替えられた時、前記第2の分岐方向に分岐された前記一部のレーザ光の集光性が悪くなるように集光性を変更し、前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第2の偏光方向に切り替えられた時、前記第2の分岐方向に分岐された前記主のレーザ光の集光性が良くなるように集光性を変更する、
    ことを特徴とする、請求項4に記載のレーザ加工方法
  6. 被加工物を加工して基板を製造する基板の製造方法であって、
    被加工物にレーザ加工を行うレーザ加工工程を有し、
    前記レーザ加工工程は、
    レーザ発振器により照射されたレーザ光の偏光方向を第1の偏光方向と第2の偏光方向とに切り替える偏光方向切替工程と、
    前記偏光方向切替工程で切り替えられた偏光方向が前記第1の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として第1の分岐方向に、一部を第2の分岐方向へ分岐し、前記偏光方向が前記第2の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として前記第2の分岐方向に、一部を前記第1の分岐方向に分岐する分岐工程と、
    前記分岐工程で前記第1の分岐方向に分岐されたレーザ光の集光性を変更する集光性変更工程と、を有し、
    前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第2の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記一部のレーザ光の集光性が悪くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更し、前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第1の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記主のレーザ光の集光性が良くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更する、
    ことを特徴とする基板の製造方法。
  7. 基板に、レーザ光による加工によって複数の孔による孔群を複数の領域に形成することでインクの流路を製造するインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記レーザ光による加工は、
    レーザ発振器により照射されたレーザ光の偏光方向を第1の偏光方向と第2の偏光方向とに切り替える偏光方向切替工程と、
    前記偏光方向切替工程で切り替えられた偏光方向が前記第1の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として第1の分岐方向に、一部を第2の分岐方向へ分岐し、前記偏光方向が前記第2の偏光方向である場合に、前記レーザ光を、主として前記第2の分岐方向に、一部を前記第1の分岐方向に分岐する分岐工程と、
    前記分岐工程で前記第1の分岐方向に分岐されたレーザ光の集光性を変更する集光性変更工程と、を有し、
    前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第2の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記一部のレーザ光の集光性が悪くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更し、前記偏光方向切替工程で前記偏光方向が前記第1の偏光方向に切り替えられた時、前記第1の分岐方向に分岐された前記主のレーザ光の集光性が良くなるように、前記集光性変更工程で集光性を変更する、
    ことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 前記レーザ光の集光性は、電界の強度に応じて通過する光の屈折率を変化させる屈折率変調素子により変更される、
    ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
JP2012250368A 2011-11-14 2012-11-14 レーザ加工装置、レーザ加工方法、基板の製造方法及びインクジェットヘッドの製造方法 Active JP6128809B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012250368A JP6128809B2 (ja) 2011-11-14 2012-11-14 レーザ加工装置、レーザ加工方法、基板の製造方法及びインクジェットヘッドの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011248382 2011-11-14
JP2011248382 2011-11-14
JP2012250368A JP6128809B2 (ja) 2011-11-14 2012-11-14 レーザ加工装置、レーザ加工方法、基板の製造方法及びインクジェットヘッドの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013126688A JP2013126688A (ja) 2013-06-27
JP6128809B2 true JP6128809B2 (ja) 2017-05-17

Family

ID=48777520

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012250368A Active JP6128809B2 (ja) 2011-11-14 2012-11-14 レーザ加工装置、レーザ加工方法、基板の製造方法及びインクジェットヘッドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6128809B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6238675B2 (ja) * 2013-10-10 2017-11-29 キヤノン株式会社 レーザ加工方法及びインクジェットヘッドの製造方法
JP6546823B2 (ja) * 2015-09-29 2019-07-17 株式会社ディスコ レーザー加工装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03210580A (ja) * 1990-01-16 1991-09-13 Ricoh Co Ltd レーザ走査型画像形成装置
JP2003126982A (ja) * 2001-10-24 2003-05-08 Sumitomo Heavy Ind Ltd レーザ加工方法及び装置
JP3667705B2 (ja) * 2002-03-26 2005-07-06 住友重機械工業株式会社 レーザ加工装置及び加工方法
JP2009061775A (ja) * 2007-08-09 2009-03-26 Ricoh Co Ltd 液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び画像形成装置
JP4911104B2 (ja) * 2008-04-21 2012-04-04 パルステック工業株式会社 レーザ加工装置及びレーザ加工方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013126688A (ja) 2013-06-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101212936B1 (ko) 레이저 가공 방법, 레이저 가공 장치 및 그 제조 방법
CN106994557B (zh) 一种激光焦点位置动态可控的激光加工系统及方法
KR102380747B1 (ko) 레이저 가공 장치 및 레이저 가공 방법
US7538048B2 (en) Laser beam processing machine
US20060039419A1 (en) Method and apparatus for laser trimming of resistors using ultrafast laser pulse from ultrafast laser oscillator operating in picosecond and femtosecond pulse widths
US7528342B2 (en) Method and apparatus for via drilling and selective material removal using an ultrafast pulse laser
US20060086704A1 (en) Laser beam processing method and laser beam processing machine
JP5930811B2 (ja) レーザ加工方法及びレーザ加工装置
US7482553B2 (en) Laser beam processing machine
WO2011018989A1 (ja) レーザ加工装置及びレーザ加工方法
US20070235418A1 (en) Method for cutting substrate and substrate cutting apparatus using the same
KR20150136062A (ko) 레이저 가공 장치 및 레이저 가공 방법
KR20150135262A (ko) 레이저 가공 장치 및 레이저 가공 방법
JP6715632B2 (ja) レーザ加工方法及びレーザ加工装置
WO2013073133A1 (en) Laser processing apparatus, method of laser processing, method of fabricating substrate, and method of fabricating inkjet head
JP5863891B2 (ja) レーザ加工装置、レーザ加工装置の制御方法、レーザ装置の制御方法、及び、レーザ装置の調整方法
JP2017177194A (ja) レーザ加工装置及びレーザ加工方法
JP6128809B2 (ja) レーザ加工装置、レーザ加工方法、基板の製造方法及びインクジェットヘッドの製造方法
JP5967913B2 (ja) レーザ加工装置、レーザ加工方法及びインクジェットヘッド基板
Zheng et al. Ultrashort pulse laser micromachined microchannels and their application in an optical switch
KR20230066080A (ko) 공작물 분리 방법
JP6128810B2 (ja) レーザ加工装置、レーザ加工方法及び基板の製造方法
JP2018030139A (ja) レーザ加工装置及びレーザ加工方法
JP6238675B2 (ja) レーザ加工方法及びインクジェットヘッドの製造方法
JP7153851B2 (ja) レーザ加工装置及びレーザ加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170314

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170411

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6128809

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151