JP2013117687A - 広告媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
簡易な工程で製造でき、人体や環境に影響があるとされるハロゲン元素を含まない防炎性を有する広告媒体を提供する。
【解決手段】
ハロゲン元素を含まない防炎剤とバインダーとを含有する第1のインクを用いて形成された柄部を有し、第1のインクとは光学的特性が異なり、ハロゲン元素を含まない防炎剤とバインダーとを含有する第2のインクを用いて形成されたベース部を有しており、前記バインダーはアクリル樹脂固形分に対するウレタン樹脂固形分の重量比が0.25〜1であることを特徴とする、広告媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は防炎性を有する広告媒体に関する。より詳しくは、ハロゲン系防炎剤を使用せず、鮮明で耐久性の高い柄・模様が形成された防炎性を有する布帛から成る、幕・旗・幟などの広告媒体に関する。
店頭や催事場などでは広告媒体として幕・旗・幟がよく利用されている。繊維からなる布帛に各種印刷手法を用いて文字や画像といった柄・模様が形成されたものである。繊維からなる布帛は基本的には可燃物であるが、防災上の理由からこれら広告媒体においても防炎性を有することが求められるようになってきている。
布帛に防炎性を与える方法として、アラミド等の不燃性の繊維を用いたり、防炎剤を練りこんだ合成繊維を用いたりする方法があげられる。しかし、これらの特殊な繊維を用いる方法は、入れ替わりのサイクルが短い広告媒体においては、コスト高となり好ましくない。
合成樹脂エマルジョンに防炎薬剤を混合してなる顔料捺染色糊にて絵柄等を印刷した後に乾燥させ、次に生地の少なくとも片面表面全体に防炎薬剤を付着せしめる防炎加工方法が特許文献1に開示される。この方法では色再現性が良く、風合いも柔らかく且つ十分な防炎性能を容易に付与できる、としているが、絵柄等を印刷する工程と生地の片面表面全体に防炎薬剤を付着する工程の2工程が必要となる。
特許文献2では、ポリエステル生地に防炎剤を浸透固着させ、得られた生地に対して防炎顔料インクを使用してシルク印刷したり、昇華型分散染料をインクジェクト式プリントにて印刷する方法が開示されている。この方法でも2工程を必要とし、前者の防炎顔料インクによるシルク印刷では、浸透固着した防炎剤の上に防炎顔料インクが重ねられることで、柄の耐久性に問題が生じる可能性がある。これら広告媒体は屋外で使用されるケースがほとんどであり、風によってはためく等して、常に強い揉みが加えられる。部分的に積層された柄部(防炎顔料インク部)は、揉みに対して弱く、耐久性に劣る。後者の昇華型分散染料にて印刷する方法では、生地に浸透固着させた防炎剤の層を介して染着させることとなり、柄の鮮明さに欠ける。
また、防炎効果の高いハロゲン元素を含む防炎剤が従来用いられているが、これらハロゲン元素を含むものは人体や環境への影響が懸念されるため、その使用を控えることが求められるようになってきている。
特開平11−1870号公報 特開2007−193002号公報
本発明は、上記従来の技術が有する問題点を解消した防炎性を有する広告媒体を提供するものである。すなわち簡易な工程で製造でき、ハロゲン元素を含まない防炎性を有する広告媒体を提供する。
本発明は第1に、繊維布帛からなる基材上に、ハロゲン元素を含まない防炎剤とバインダーとを含有する第1のインクを用いて形成された柄部を有し、第1のインクとは光学的特性が異なり、ハロゲン元素を含まない防炎剤とバインダーとを含有する第2のインクを用いて形成されたベース部を有しており、前記バインダーはいずれもアクリル樹脂およびウレタン樹脂を含有し、アクリル樹脂固形分に対するウレタン樹脂固形分の重量比が0.25〜1であることを特徴とする、広告媒体である。
前記第1のインクと第2のインクのいずれか一方、或いは両方に顔料を含有することが好ましい。前記繊維布帛はポリエステル繊維からなることが好ましい。
更に本発明は第2に、ハロゲン元素を含まない防炎剤とバインダーとを含有する第1のインクを用いて柄部を印刷する工程と、第1のインクとは光学的特性が異なり、ハロゲン元素を含まない防炎剤とバインダーとを含有する第2のインクを用いてベース部を印刷する工程とを含み、前記バインダーはいずれもアクリル樹脂およびウレタン樹脂を含有し、アクリル樹脂固形分に対するウレタン樹脂固形分の重量比が0.25〜1であることを特徴とする、広告媒体の製造方法である。
本発明によれば、防炎性を有する広告媒体を簡易な工程で提供することができ、この広告媒体はハロゲン元素を含まない。
本発明の広告媒体は、繊維からなる布帛を基材とする。繊維としては特に限定されないが、強度などの観点から合成繊維が好ましく、更に耐候性の観点からポリエステル繊維が好ましい。これら繊維材料からなる布帛としては、織物、編物または不織布などが挙げられる。基材となる布帛は、予め精練、セット、染色など、通常の繊維加工が施されていてもよい。
本発明に用いられるインクは、バインダーとしてアクリル樹脂およびウレタン樹脂を含有している。アクリル樹脂固形分に対するウレタン樹脂固形分の重量比は0.25〜1である。
バインダーとしてのアクリル樹脂およびウレタン樹脂は、防炎剤および顔料を布帛表面に固着する働きを有する。アクリル樹脂は一般的に燃えやすく、併用する防炎剤の効果を低減させる傾向にあるが、防炎剤や顔料をインク中に安定的に分散させる効果に優れ、造膜速度が遅いため連続加工に適する。一方、ウレタン樹脂はインクの安定性が悪く、造膜速度が速すぎて連続加工に適さないが、それ自体が燃えにくい性質を有する。
この2種類の樹脂をバインダーとして、アクリル樹脂固形分に対するウレタン樹脂固形分の重量比が0.25〜1となる範囲で含有することにより、高い防炎性を与え、インクの安定性、連続加工適正を有したインクを得ることができる。重量比が0.25未満であると、十分な防炎性が得られない。重量比が1を超えるとインクの安定性が悪くなり連続加工性が低くなる。
防炎剤としてはハロゲン元素を含まないことが求められる。そのような防炎剤としてはリン系防炎剤が挙げられ、特にポリリン酸アンモニウムとリン酸エステルの併用が好ましい。
顔料は、無機顔料や有機顔料などを特に制限なく使用することが出来る。顔料は第1のインクと第2のインクのいずれか一方にのみ含有されていてもよいし、両方のインクに含有されていてもよい。
一般的な印刷においては、柄部に着色したインクを付与し、ベース部との色差で柄や模様を表現する。ベース部には特にインクを付与せず、布帛そのものが露出しているのが通常である。この場合、ベース部にはインクが付与されていないので、当然に防炎剤も付与されていない。したがって、柄部の面積が小さい場合などでは広告媒体全体として十分な防炎性を得られない。そこで本発明においては、ベース部にも防炎剤とバインダーを含有した第2のインクを付与し、結果として布帛の少なくとも一方の表面全てにインクを付与する。
柄や模様を形成するために、柄部とベース部とでは光学的特性の差が必要である。第1のインクと第2のインクのいずれか一方に顔料を含有してもよいし、各インクに含まれる顔料を別の色としてもよい。同じ色で濃度差を持たせてもよいし、任意の添加物を加えて光沢差を有するように設計してもよい。また、柄部を形成する第1のインクは一種(一色)のみでもよいし、互いに色の異なる複数種であってもよい。印刷する際に、複数のインクは互いに重なり合って付与されてもよい。その場合であっても、乾燥やキュアリング工程の前に重ねられるため、インク同士は容易に混ざり合い、層構造は形成されない。層構造が形成されないため、揉みに対して十分な耐久性を有する柄が得られる。
本発明の広告媒体は、上記インクを用いて布帛表面に柄・模様を印刷して形成される。印刷方法としてはスクリーン捺染、ロータリー捺染、インクジェットプリント法などが挙げられる。
上記インクを用いて柄・模様が印刷された後、インク中の溶媒を揮発させる目的で布帛に対し乾燥処理を行ってもよい。また、用いたバインダーが熱処理によって架橋される場合には、架橋反応を起こさせる条件にてキュアリングを行ってもよい。これらはインク中の溶媒の特性、樹脂の特性によって適宜実施される。
(インクの作成)
表1に記載の配合量にて各インクを作成した。各実施例、比較例において柄部用の第1のインク(顔料としてDEXEL RED−HBを含有)とベース部用の第2のインク(顔料としてスーパーホワイトMC−108を含有)を作成した。ポリエステル100%ポンジ織物(目付62g/m)に対して各インクと刷版を用いて自動捺染機にて、所定の柄をベース部(第2のインク)、柄部(第1のインク)の順に印刷し、150℃の熱風で1分間乾燥して、広告媒体を得た。このときのインクの塗布量は60g/mであった。
得られた広告媒体について、消防法令に基づく防炎性能試験を行った。薄手布のシート類や幕類の評価基準は、初期および温水浸漬後において、45°ミクロバーナー法では1分加熱と着炎後3秒加熱を行って、残炎時間が3秒以下、残じん時間が5秒以下、炭化面積が30cm以下となっており、更に45°コイル法では接炎回数が3回以上となっている。各試験の合否結果を表1に示す。
また連続加工性に関しては、1000m印刷加工した際の広告媒体の印刷品位(カスレ、色抜けなど)や刷版の目詰まりを観察して合否判定を行い、結果を表1に示す。
Figure 2013117687

Claims (4)

  1. 繊維布帛からなる基材上に、ハロゲン元素を含まない防炎剤とバインダーとを含有する第1のインクを用いて形成された柄部を有し、第1のインクとは光学的特性が異なり、ハロゲン元素を含まない防炎剤とバインダーとを含有する第2のインクを用いて形成されたベース部を有しており、前記バインダーはいずれもアクリル樹脂およびウレタン樹脂を含有し、アクリル樹脂固形分に対するウレタン樹脂固形分の重量比が0.25〜1であることを特徴とする、広告媒体。
  2. 前記第1のインクと第2のインクのいずれか一方、または両方に顔料を含有することを特徴とする請求項1に記載の広告媒体。
  3. 前記繊維布帛はポリエステル繊維からなることを特徴とする請求項1または2に記載の広告媒体。
  4. ハロゲン元素を含まない防炎剤とバインダーとを含有する第1のインクを用いて柄部を印刷する工程と、第1のインクとは光学的特性が異なり、ハロゲン元素を含まない防炎剤とバインダーとを含有する第2のインクを用いてベース部を印刷する工程とを含み、前記バインダーはいずれもアクリル樹脂およびウレタン樹脂を含有し、アクリル樹脂固形分に対するウレタン樹脂固形分の重量比が0.25〜1であることを特徴とする、広告媒体の製造方法。
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