JP2014173197A - 模様付き繊維シートとその製造方法 - Google Patents

模様付き繊維シートとその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014173197A
JP2014173197A JP2013044464A JP2013044464A JP2014173197A JP 2014173197 A JP2014173197 A JP 2014173197A JP 2013044464 A JP2013044464 A JP 2013044464A JP 2013044464 A JP2013044464 A JP 2013044464A JP 2014173197 A JP2014173197 A JP 2014173197A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber sheet
resin
convex pattern
pattern
screen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013044464A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Yokoi
哲也 横井
Fumiya Umagami
文也 馬上
Shigeru Matsumoto
成 松本
Chiemi Oki
千恵美 沖
Megumi Gosha
めぐみ 五社
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Owari Seisen Co Ltd
Original Assignee
Owari Seisen Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Owari Seisen Co Ltd filed Critical Owari Seisen Co Ltd
Priority to JP2013044464A priority Critical patent/JP2014173197A/ja
Publication of JP2014173197A publication Critical patent/JP2014173197A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coloring (AREA)

Abstract

【課題】 スクリーン捺染法を用いて、乾固した樹脂皮膜の表面には突沸痕や亀裂が入らずに良好な状態となり、意匠性や装飾性を高めたダイナミックな質感のある模様が捺染された繊維シートを提供する。
【解決手段】 本発明の模様付き繊維シート1は、スクリーン捺染によって繊維シート2に樹脂3の凸模様が形成されており、前記樹脂がアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニール樹脂、エステル樹脂のいずれか1種から選択される水分散性の樹脂を主成分とすることを特徴とする。そして、樹脂3の皮膜におけるガラス転移点(Tg)が−40℃〜+30℃の範囲内である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、模様付き繊維シートとその製造方法に関する。
繊維シートに絵柄を付与する加工技術の中で最も広く実用に供されている方法としては、フラットスクリーン捺染、ロータリースクリーン捺染(ロータリープリント捺染)、ローラ捺染、インクジェット捺染、転写捺染等の捺染技術が挙げられる。
従来より、これら捺染技術には、染料や顔料が用いられてきたが、近年、デザインの多様化により、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂等のバインダーに着色剤や光輝剤等を含有させたプリント用樹脂組成物を捺染して図や絵柄模様を付すことで、色彩的に高級感を出すことも行われている。
デザインの多様化に伴い、市場の新たな要求として、樹脂の凸模様を繊維シートに付与して立体感が得られるようにすることがある。
樹脂の凸模様を繊維シートに付与する方法としては、溶融状態の樹脂を繊維シートに捺染し乾固させて接着する方法、シート状やブロック状の樹脂を繊維シートに配して加熱硬化するなどして接着する方法、液状の樹脂をディスペンサー等の吐出手段にて吐出し硬化させて接着する方法が挙げられる。このうち、捺染技術を用いる方法は、他の方法と比較して、繊細な模様が描けるうえ、樹脂と繊維シートとの接着力が高く、かつ、生産性が高いという利点があるが、凸模様の立体感に乏しいことから実用化が進んでいない。
特許文献1には、壁紙に関し、不織布の上に、発泡剤とその他添加剤とからなる水性エマルジョン樹脂層と、絵柄層とを設け、加熱発泡させエンボスを施したことを特徴とする凹凸模様を有する壁紙、が記載されている(その請求項1を参照)。
特許文献2には、クリーナークロス(眼鏡拭き布)に関し、ポリエステル糸とナイロン糸の混紡繊維の布地に絵柄が印刷され、この絵柄の表面を含む布地の表面に透明なシリコーン樹脂からなる滑り止め用の円筒状突起が所定間隔で多数スクリーン印刷されている、との記述がある(その段落0007〜段落0008を参照)。
特開平9−165892号公報 実用新案登録第3132574号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の従来の方法では、樹脂硬化の際に、外観上の不具合が生じてしまう。つまり、特許文献1の方法では皮膜凹凸の耐久性が乏しく、特許文献2の方法では皮膜表面が粗悪になる。すなわち、樹脂組成物を繊維シートに印刷すると、印刷された樹脂組成物の表面には皮膜が形成されるが、表面に皮膜が形成された状態で樹脂組成物を加熱すると内部の水分が加熱膨張して突沸するため、乾固した樹脂はその皮膜の表面がクレータ状となって突沸痕が出来るうえ亀裂も入ってしまう。他方、印刷された樹脂組成物を常温硬化させようとすると乾固に長時間を要し生産性が低下するうえ樹脂の輪郭が崩れてしまうという不具合が生じる。
立体感に富む厚みのある樹脂凸模様を、繊維シート上に形成させるには、プリント用樹脂組成物を厚くプリントすることが基本であるが、プリントされた樹脂組成物の層が厚くなるほど、乾燥過程で当該樹脂組成物が表面皮張りし、その後に当該樹脂組成物の深部から揮散成分が前記皮張りした表面を突き破って突沸して生じる突沸痕、いわゆる表面クレータと呼ばれる欠点を解消することが極めて難題であった。特にアニオン性やカチオン性の(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、ポリウレタンエマルジョンに用いられるようなカルボキシル基やアミノ基をペンダントとし、其々を例えばアンモニア、トリエチルアミン等の揮散性アルカリ物質や酢酸等の酸物質で中和し、水性化を図った熱可塑性樹脂の水分散体からなるプリント用樹脂組成物層では、乾燥過程で真っ先に表面層の該アルカリ物質や酸物質が揮散し、水溶解性を失った樹脂が表面皮張りする。その結果、水との親和性が乏しくなった表面皮張りの下層に残っている樹脂の媒体としての水分が表面皮張りを突き破って突沸し、クレータ状の突沸痕が出来る。従来技術では、この突沸痕の改善が極めて難題であった。
そこで、本発明者等は、鋭意検討の結果、樹脂組成物を最適化するなどによって、予想を超えて、ダイナミックな模様や質感のある模様が捺染された繊維シートとなることを見出した。
すなわち、本発明は、生産性が高く、汎用性に富んでいるスクリーン捺染法を用いて、意匠性や装飾性を高めたダイナミックな質感のある模様が捺染された繊維シートを提供することを目的とする。
本発明の模様付き繊維シートは、スクリーン捺染によって繊維シートに樹脂の凸模様が形成されており、前記樹脂がアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニール樹脂、エステル樹脂のいずれか1種から選択される水分散性の樹脂を主成分とすることを特徴とする。
本発明によれば、乾固した樹脂皮膜の表面には突沸痕や亀裂が入らずに良好な状態となり、ダイナミックな模様や質感のある模様が捺染された模様付き繊維シートとなる。
ここで、スクリーン捺染とは、スクリーンを使って捺染することを指している。スクリーン捺染は、フラットスクリーン捺染、ロータリースクリーン捺染を含む概念であり、手加工であるか機械加工であるかは問わない。
本発明の模様付き繊維シートの製造方法は、繊維シートに樹脂の凸模様を形成するに際し、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニール樹脂、エステル樹脂のいずれか1種から選択される水分散性の樹脂を主成分として常圧での沸点が160℃〜250℃の範囲内のアルコール化合物を添加した樹脂組成物を繊維シートにスクリーン捺染することを特徴とする。
本発明者等は鋭意研究し、プリント用樹脂組成物の表面皮張りを抑制するには、水分散性の樹脂を主成分とすることに加えて、沸点が160℃〜250℃の範囲内のアルコール化合物の添加が著効を示すことを見出した。即ち、前記アルコール化合物は、適度な水溶性と水より揮散し難く且つ樹脂類との適度な親和性を有することによりプリント用樹脂組成物の表面皮張りを防止する結果、水分が前記アルコール化合物より先に揮散し、そして最後に前記アルコール化合物が揮散する結果、樹脂の凸模様にクレータ状の突沸痕が発現しなくなることを見出した。すなわち、本発明によれば、乾固した樹脂皮膜の表面には突沸痕や亀裂が入らずに良好な状態となり、ダイナミックな模様や質感のある模様が捺染された繊維シートとなる。
ここで、常圧とは、標準状態のことであり、厳密には気圧が1013hPAの状態を指している。前記アルコール化合物は、適度な水溶性を有しており、より具体的には、温度が20℃における水溶解度が5%超である。
本発明は、前記樹脂の皮膜におけるガラス転移点(Tg)が−40℃〜+30℃の範囲内であることを特徴とする。
本発明によれば、凸模様形成後の前記樹脂の皮膜におけるガラス転移点(Tg)が−40℃〜+30℃の範囲内であることで、形成された樹脂凸模様が非粘着性、非クラック性を維持することが容易となる。
本発明は、前記凸模様の算術平均高さと前記凸模様周囲の非凸模様箇所の算術平均高さとの高低差が20μm以上であり、かつ、前記繊維シートの最大厚みと平均厚みとの差が200μm未満であることを特徴とする。
本発明によれば、前記凸模様の際立った模様付き繊維シートとなり、尚且つ、立体感に富んだ模様付き繊維シートとなる。本発明は、例えば、前記凸模様のエッジ高さと前記凸模様周囲の非凸模様箇所の算術平均高さとの高低差が20μm以上であることで、輪郭の際立った模様付き繊維シートとなる。
ここで、前記凸模様のエッジ高さや前記凸模様周囲の非凸模様箇所の算術平均高さは、JIS
B0601に準じた方法で表面性状を測定したものである。また、前記繊維シートの最大厚みや平均厚みについても、JIS B0601に準じた方法で表面性状を測定して求めることができる。前記繊維シートに、樹脂凸模様の高さを上回るような凸状紋様部、立毛、起毛あるいは毛羽立ちがないようにすることが重要である。
本発明では、付加価値を高めるために、例えば、前記繊維シートには、難燃加工、遮熱加工、消臭加工、撥水加工、防汚加工、抗菌加工のいずれか1種ないしはいずれか2種以上が施されている場合がある。
本発明では、更に装飾性を高めるために、例えば、前記樹脂には、顔料、染料、金属粉、ガラスビーズ、合成樹脂粉粒、光輝剤、蓄光剤、金属酸化物、金属水酸化物、難燃剤、撥水剤、消泡剤、芳香剤、遮熱剤、抗菌剤のいずれか1種ないしはいずれか2種以上が含有されている場合がある。
本発明の模様付き繊維シートの製造手順を、より具体的に例示すると、スクリーン用原版の作製、プリント用スクリーンの作製、繊維シートの選定、プリント用樹脂組成物の作製、捺染の順になる。
スクリーン用原版の作製は、原画をスキャナーで読み取ってコンピユーターグラフイックス手法で編集し、版下プリンターを用いてスクリーン用原版を作製する。プリント用スクリーンの作製は、例えば、感光膜技法によって、前記原版の情報をスクリーン上にトレースするのが基本となるが、本発明においては、スクリーン上に形成させる感光膜の厚み(μm)が、少なくとも[目標とする樹脂膜の厚み(μm)×100×1/プリント用樹脂組成物の非揮散成分含有量(wt%)]を超えた厚みとすることである。本発明におけるスクリーン作製は、前記感光膜技法に限定されるものではなく、レーザー技法を用いて原画情報をアルミ薄板に孔開けトレースする方式のロータリースクリーン等、特に制限されない。
本発明は、前記繊維シートが織物、編物または不織布であってJISL1096に規定されるフラジール形法で測定した通気度が20cm/cm/秒
未満であるか、または、前記繊維シートが織物、編物または不織布であって前記凸模様形成面に樹脂塗工されているかあるいは樹脂皮膜が貼付されていることを特徴とする。
本発明によれば、視覚的にも触感的にも立体感に富む樹脂凸模様とすることが容易となる。
本発明は、前記アルコール化合物は、脂肪族アルコールのアルキレングリコールエーテルまたはアセチレンアルコールのいずれかないしは両方であることを特徴とする。
本発明は、前記アルコール化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールのいずれか1種ないしはいずれか2種以上であることを特徴とする。
ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、沸点が194℃であり、水溶解度が無限大である。ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルは、沸点が207℃であり、水溶解度が無限大である。ジエチレングリコールモノブチルエーテルは、沸点が231℃であり、水溶解度が無限大である。3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオールは、沸点が222℃であり、水溶解度が10%である。2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールは、沸点が205℃であり、水溶解度が27%である。2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールは、沸点が214℃であり、水溶解度が14%である。
これら前記アルコール化合物は、水溶性が高いうえ前記樹脂水分散体との相溶性も高く、且つ樹脂との親和性もあるので、優れた造膜効果を有している。よって、本発明によれば、加熱乾燥の際に前記樹脂組成物の表面皮張りを防止するとともに、適度な熱セットを経て、立体感に富んだ樹脂凸模様を形成することが容易となる。
本発明では、更に装飾性を高めるために、例えば、前記凸模様によって、絵柄、文字、図形、画像のいずれか1種ないしはいずれか2種以上が描かれている。
本発明は、前記スクリーン捺染が複数回施されており、前記凸模様によって、絵柄、文字、図形、画像のいずれか1種ないしはいずれか2種以上が描かれていることを特徴とする。
本発明によれば、前記スクリーン捺染を複数回行って、前記凸模様によって、絵柄、文字、図形、画像のいずれか1種ないしはいずれか2種以上を描くことで、色彩豊かで多種多様な凸模様が形成された模様付き繊維シートとなる。
本発明の模様付き繊維シートは、例えば、障子、襖、窓、間仕切り、衝立、照明器具の外装、網戸、ソファー表装、カーシート表装、カバン、ハンドバック、帽子、衣料、カーテン、緞帳、テント、ブラインド、家屋の壁、家屋の天井、家屋の床、寝具、調度品、車両内装材のいずれか1種ないしはいずれか2種以上に適用される。
より具体的には、前記模様付き繊維シートを障子の骨組みに貼設(若しくは張設)することで新規な障子となる。襖、窓、襖、窓、間仕切り、衝立、照明器具の外装、網戸についても同様である。ここで、窓は、採光用の窓でもよいし、換気用の窓でもよい。また、前記模様付き繊維シートをソファーの裏地に張設(若しくは貼設)することで新規なソファーとなる。カーテン、ブラインド、緞帳、テント、寝具、調度品、車両内装材についても同様である。そして、前記模様付き繊維シートを家屋の壁の地肌に貼設(若しくは張設)することで新規な家屋の壁となる。家屋の天井や家屋の床についても同様である。その他、前記模様付き繊維シートを生地としてカーテンやテント等を構成してもよい。そして、前記模様付き繊維シートの生地の厚みを厚くすることで丈夫で遮光性の高いシートとなり、前記模様付き繊維シートの生地の厚みを薄くすることで軽くてしなやかなシートとなる。
本発明によれば、乾固した樹脂皮膜の表面には突沸痕や亀裂が入らずに良好な状態となり、ダイナミックな模様や質感のある模様が捺染された模様付き繊維シートとなる。そして、形成された樹脂凸模様が非粘着性、非クラック性を維持することが容易となる。本発明によれば、輪郭の際立った凸模様が得られ、立体感に富んだ模様付き繊維シートとなる。そして、視覚的にも触感的にも立体感に富む樹脂凸模様となる。
本発明によれば、繊維シート捺染品のニーズの多様化、高度化志向において、繊維シートに比較的簡便な樹脂凸模様形成方法を確立して、上述のように各種用途の高意匠性製品の創出が期待出来る。
本発明に係る実施例1の模様付き繊維シートを例示する図である。 本発明に係る実施例5の模様付き繊維シートを例示する図である。 本発明に係る実施例1の模様付き繊維シートの断面高さ曲線を模式的に例示する図である。 本発明に係る実施例5の模様付き繊維シートの断面高さ曲線を模式的に例示する図である。 本発明に係る模様付き繊維シートの製造手順を示すフローチャート図である。 本発明に係る実施例1の模様付き繊維シートの断面高さ曲線を示すチャート図である。 比較例1の模様付き繊維シートの断面高さ曲線を示すチャート図である。
本発明を実施するための形態を以下に説明する。
図1は、本発明に係る実施例1の模様付き繊維シートを例示する図である。詳細は後述するが、実施例1の模様付き繊維シート1は、ポリエステルツイルからなる繊維シート2に、アクリル系の樹脂3によって正六角形で構成されるハニカム柄がスクリーン捺染されて樹脂凸模様が描かれている。図1に示す例では、繊維シート2が黒色系であるのに対して樹脂3を白色系としてコントラストをつけて前記樹脂凸模様を際立たせている。なお、本発明は、図1に示す例に限定されず、樹脂凸模様は任意であり、繊維シート2と樹脂3の色彩は任意である。
図2は、本発明に係る実施例5の模様付き繊維シートを例示する図である。詳細は後述するが、実施例5の模様付き繊維シート1は、ポリエステル繊維シート21にウレタン皮膜22を貼り付けたタフタからなる繊維シート2に、ウレタン系の樹脂31(3)によって変則的な四角形状で構成される柄がスクリーン捺染されて樹脂凸模様が描かれており、さらにその上にウレタン系の樹脂32(3)によって変則的な四角形状で構成される柄がスクリーン捺染されて樹脂凸模様が描かれている。図2に示す例では、繊維シート2が黒色系であり、樹脂31が黒色系であるのに対して樹脂32を白色系としている。なお、本発明は、図2に示す例に限定されず、樹脂凸模様は任意であり、繊維シート2と樹脂31と樹脂32の色彩は任意である。
本発明を構成する繊維シート2は、天然繊維もしくは合成繊維から得られる不織布または織編物から選択される少なくとも一種以上であり、更に前記繊維シート1が、合成樹脂皮膜を貼付した繊維シート、合成樹脂を塗工した繊維シート、合成樹脂を付着させた繊維シート、難燃加工を施した繊維シート、消臭加工を施した繊維シート、遮熱加工を施した繊維シート、撥水加工を施した繊維シート、防汚加工を施した繊維シート、抗菌加工を施した繊維シートであっても制限されることはない。
前記繊維シート1を構成する合繊素材としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維等の公知の合成繊維が例示される。特にポリエステル繊維が用途面で自由度が大きく、スクリーン捺染との適性面で好ましい。
前記繊維シート1は、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、熱安定剤、艶消し剤、制電剤、吸湿剤、抗アレルゲン剤、マイナスイオン剤、風合い調整剤、毛羽伏せ剤等、各種の薬剤加工もしくは樹脂加工を施してもよい。
前記繊維シート1は、繊維シート自体の厚みが0.05〜5mmが好ましく、より好ましくは0.1〜3mmである。尚且つ、前記繊維シート1は、フラジール形試験機を用いた通気度が20cm/cm/秒 未満が好ましく、より好ましくは10cm/cm/秒 未満である。
更に前記繊維シート1を構成する糸の太さによって、表面粗さや織編目の空間の大きさが影響されるので、300dtex未満が好ましい。また繊維シート1の表面にカレンダー加工を行い、当該個所の繊維を圧縮し繊維密度を高め平滑化して断面の高低差の縮小を図ることも有効である。要はスクリーン捺染された樹脂3の凸模様が高くなるように樹脂3の凸模様が形成していない部分を低くなだらかにすることである。
図3は、本発明に係る実施例1の模様付き繊維シートの断面高さ曲線を模式的に例示する図である。実施例1の繊維シート1は、繊維シート2(21)に、樹脂3によって凸模様が描かれている。図4は、本発明に係る実施例5の模様付き繊維シートの断面高さ曲線を模式的に例示する図である。実施例5の繊維シート1は、繊維シート21に高分子皮膜22を貼り付けた繊維シート2に樹脂3によって凸模様が描かれている。符号Axaは、樹脂3の凸模様が形成されていない箇所の繊維シート2の断面高さの最大高さの算術平均高さである。符号Aaは、樹脂3の凸模様が形成されていない箇所の繊維シート2の断面高さの算術平均高さである。符号Caは、樹脂3の凸模様が形成されている箇所の断面高さの算術平均高さである。
本発明に係る繊維シート2は、断面高さの最大高さの算術平均高さ(Axa)と断面高さの算術平均高さ(Aa)との差[(Axa)−(Aa)]が200μm未満であることを特徴とする。これら繊維シート1の性状が、スクリーン捺染されたプリント用樹脂組成物3の浸透を抑制すると共に形成している樹脂凸模様に厚み感、立体感に富ませるため不可欠である。
図5は、本発明に係る模様付き繊維シート1の製造手順を示すフローチャート図である。本発明に係る模様付き繊維シート1の製造手順は、原画の選定(符号S11)、原版作製(符号S12)、スクリーン作製(符号S13)、スクリーン捺染(符号S14)、乾燥(符号S15)、熱セット(符号S16)からなる。
まず、絵柄、文字、図形、画像等から目的に合致した原画を選定し(符号S11)、スキャナーで読み取り、コンピュータグラフイックス手法で編集し、版下プリンターを用いてフイルムに描写しスクリーン原版を作製する(符号S12)。スクリーン原版は、ポリエステルフイルムが好ましく、描写サイズは実際仕様する寸法(原寸大)で作製する。
原版作製(符号S12)した後、スクリーン作製を行う(符号S13)。プリント用スクリーンの作製は、前記スクリーン原版を、紫外線(UV)感光膜技法を用いて、メッシュネット上にトレースする方法が好ましい。メッシュネットのメッシュ数は20〜200メッシュが好ましく、より好ましくは40〜150メッシュである。
前記感光膜技法を詳細に説明すると、UVにより硬化する感光性樹脂液をメッシュネットに塗工し、感光性樹脂液が塗工されているメッシュネットを前記スクリーン原版の上に重ね置きし、スクリーン原版の下方からUVを照射してメッシュネット上に感光性樹脂の硬化膜を形成させる。感光性樹脂が充分に硬化した後、前記メッシュネットを水洗する。前記感光性樹脂は、使用温度において、メッシュネットから垂れ落ちない程度の粘度1000〜3000mPa・Sが好ましい。本発明には、こうした感光膜技法によるプリント用スクリーンが手軽で好ましいが、レーザー技法を用いて原画情報をアルミ薄板に孔開けトレースする方式のロータリースクリーンとすれば量産性が飛躍的に高まり好ましい。つまり、原版の情報を描写出来る方法であれば特に制限されない。
繊維シート2の捺染面に、立体感に富む厚い樹脂3の凸模様を形成するためには、樹脂凸模様3が厚くなるようプリントスクリーン上の感光膜の厚みを目的とする樹脂凸模様3の厚みの3倍程度にすることが好ましい。
更に言えば、捺染面にプリントされたプリント用樹脂組成物の非揮散分が樹脂凸模様3となるので、感光膜層の厚みは、[樹脂凸模様3の厚み(μm)×100×1/プリント用樹脂組成物の非揮散分量(wt%)]で算出することが出来る。厚みの大きな感光膜層を作製するには、前記感光性樹脂液の塗工と感光硬化膜形成の操作を繰り返し行って重層状の厚い感光膜層のスクリーンを使うことが好ましい。
本発明の立体感に富む厚い樹脂凸模様3を形成させるための繊維シート2の選定であるが、樹脂凸模様3が繊維シート2の捺染面より突出させなければ実現しないわけであるから、繊維シート2としては、突出した紋様、立毛、起毛、毛羽立ち等がなくて出来るだけ平坦な表面が好ましい。よって、繊維シート2に、カレンダー加工を行い、当該個所の繊維を圧縮し繊維密度を高め、平滑化して断面の高低差の縮小を図り、あるいは樹脂塗工や樹脂膜貼付することが好適である。
更には、本発明に係る繊維シート2は、JIS B 0601に準じて評価した断面高さの最大高さの算術平均高さ(Axa)と断面高さの算術平均高さ(Aa)との差[(Axa)−(Aa)]が200μm未満であり、且つ塗工されたプリント用樹脂組成物が繊維シート2の裏面(捺染面の反対側の面)に抜け出ないように、JIS L 1096.6.27.A法に準拠した通気度が20cm/cm/秒 未満であることが不可欠であり、前記通気度が10cm/cm/秒 未満であることがより好ましい。
次に本発明のプリント用樹脂組成物について説明する。本発明の立体感に富む厚みのある樹脂凸模様3を繊維シート2の捺染面に形成させるには、非揮散成分含有量の高いプリント用樹脂組成物を厚くプリントすることが基本であるが、スクリーン捺染されたプリント用樹脂組成物の層が厚くなるほど、乾燥過程で突沸による表面クレータや表面粗さ等の欠点が出易くなる。前記突沸による表面クレータは、乾燥過程でプリントされたプリント用樹脂組成物の内層部の水を主体とする揮散成分が揮散しないうちに表面皮張りが生じ、その後から下層部の揮散成分が表面皮張りを突き破って揮散するために起こる現象である。
本発明者等は、前記のクレータ発生因である表面皮張り並びに突沸を防ぐため鋭意研究した結果、プリント用樹脂組成物中に所定のアルコール化合物を添加しておくことが極めて有効であった。所定のアルコール化合物としては、1013hPaにおける沸点が160~250℃で、20℃における水溶解度が5%超であることが不可欠である。前記の特定アルコール化合物は、水溶性でありながら親油基を有することで、使用する樹脂成分との親和性が高く、尚且つ、高沸点であるため水が揮散した後に揮散するのでプリント用樹脂組成物の表面皮張りが防ぐことができる。
本発明に係る特定アルコール化合物としては、メチルジグリコール、メチルトリグリコール、プロピルジグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール等の脂肪族アルコールのアルキレングリコールエーテル類が好ましく、特に炭素数が3以上のアルキル基を有するアルキレングリコールエーテル類はビニール系樹脂やウレタン型樹脂との親和性が高く且つ適度な水溶性および好適な沸点を有しているのでより好ましい。またアセチレンジオール類も好ましいアルコール化合物であり、特に2.5−ジメチル−3−ヘキシン−2.5−ジオール、3.6−ジメチル−4−オクチン−3.6−ジオール、4.7−ジメチル−5−デシン−4.7−ジオールが好適な特性を有している。
本発明に係るプリント用樹脂組成物における樹脂3としては、アニオン性、カチオン性、あるいはノニオン性の(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョンやウレタン樹脂エマルジョンが、繊維シート2との密着性に優れ、硬さの調整が容易であり好ましいが、酢酸ビニール樹脂等のビニール樹脂、エステル樹脂等とすることも可能である。本発明においては、樹脂凸模様3の非粘着性と非クラック性等が重要であるので、前記プリント用樹脂組成物における樹脂3のガラス転移点(Tg)が、−40〜20℃の範囲が好ましく、−30〜10℃がより好ましい。
スクリーン捺染されたプリント用樹脂組成物が、繊維シート2の捺染面で流れ出したり、あるいはスクリーンネットの糸の凹跡が消えなかったりしないようにするためには、プリント用樹脂組成物の粘度としては、1000〜50000mPa・Sが好ましく、より好ましくは3000〜10000mPa・Sである。粘度調整には、アルカリ増粘型(メタ)アクリル酸エステル系共重合体エマルジョン、カルボキシメチルセルローズ(CMC)、ヒドロキシエチルセルローズ、アルギン酸塩、ポリオキシエチレン化合物やそのウレタン鎖伸長物等の常用増粘剤が好ましく使用される。
本発明に係る樹脂凸模様3の装飾感や機能性を更に高めるため、プリント用樹脂組成物に顔料、染料、金属粉、ガラスビーズ、合成樹脂粉粒、光輝剤、蓄光剤、金属酸化物、金属水酸化物、難燃剤、消泡剤、撥水剤、消臭剤、芳香剤、遮熱剤、抗菌剤を組成してもよい。更には必要により前記プリント用樹脂組成物にイソシアネート化合物、トリアジン化合物、グリシジル化合物、オキサゾリン化合物等の架橋剤を混入せることもある。
本発明に係る繊維シート2に、樹脂凸模様3を形成させるには、繊維シート2上にプリント用スクリーンネットを置き、その上にプリント用樹脂組成物を載せて、バーコーターで塗工し、捺染する(符号S14)。樹脂プリントされた繊維シート2は100〜130℃で2〜10分間熱風乾燥機で乾燥し(符号S15)、その後、150〜180℃で1〜5分間熱セットする(符号S16)。なお、熱セットは省くことがあり、また次工程でさらに熱セットを行なう場合もある。
本発明の立体感に富む厚い樹脂凸模様3が形成している樹脂捺染模様付き繊維シート1は、例えば障子、襖、窓、間仕切り、衝立、照明器具の外装、網戸、ソファー表装、カーシート表装、カバン、ハンドバック、帽子、衣料、カーテン、緞帳、テント、ブラインド、家屋の壁、家屋の天井、家屋の床、寝具、調度品、車両内装材のいずれか1種ないしはいずれか2種以上に適用される。
(実施例と比較例)
本発明の実施例と、比較例を以下に記述する。
本発明の実施例と比較例に用いた測定条件並びに評価方法について記述する。
プリント用樹脂組成物の粘度は、(株)東京衡機製作所製 BM型粘度計、ローターNO.4、12rpmを用いて、温度20℃における粘度を測定した。
繊維シートの厚みは、(株)ピーコック社製 マイクロメーター H型で測定した。
繊維シートおよび樹脂凸模様が形成している樹脂捺染模様付き繊維シートの断面高さ並びに断面高さの最大高さは、JIS B 0601に準拠し、もしくは準じて測定することとし、(株)KEYENCE社製 デジタルマイクロスコープ VHX−2000を用いて測定した。
繊維シートの通気度は、JIS L 1096 8.26.1A法(フラジール形法)に準拠し測定した。
樹脂捺染模様付き繊維シートのテーパ摩耗試験は、JIS L 1096.6.17.3C法(テーパ形法)に準拠したテーパ型摩耗試験機で測定した。摩耗輪はCS−10、荷重は4.9Nである。判定1は樹脂膜損傷なし、判定2は、樹脂膜がやや損傷している、判定3は樹脂膜がそのたて、又は、よこが切断している、とした。
樹脂凸模様の立体感は、人が触覚で5段階評価したものであり、1が優れており、5が劣っている、とした。
樹脂凸模様表面のクレータ状突沸痕跡は、(株)KEYENCE社製 デジタルマイクロスコープ VHS−2000を用いて樹脂凸模様表面を20倍拡大観察し、樹脂凸模様表面延べ面積25cm当たりのクレータ状突沸痕跡数が、0〜2個が1、3〜5個が2、6〜10が3、11〜20個が4、21個超が5として、5段階評価した。
樹脂凸模様の表面クラックは、樹脂凸模様部分を270度に折り曲げて、クラックの有無を視覚で評価したもので、1がクラックなし、2が微小クラックあり、3がクラックあり、4が大きなクラック有り、5が大きなクラックが複数あり、とした。
粘着性は、タテ10cm、ヨコ5cmの樹脂捺染模様付き繊維シートにおける樹脂凸模様面同志を厚み2mmのステンレス板間に重ね、その上から1kgの荷重を掛け、40℃で48時間放置後、取り外して前記樹脂凸模様面の粘着状態を観察した。1は粘着がなく良好であり、2は僅かに弱い粘着性があり、3は弱い粘着性があり、4は粘着性があるが剥がせる、5は粘着性が強く剥がせない、とした。
本発明の実施例と、比較例を以下に記述する。実施例と比較例に用いた樹脂組成物a〜fを表1に示す。本発明の実施例1〜5を表2に示す。比較例1〜5を表3に示す。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
表1のプリント用樹脂組成物における原剤料は次のとおりである。
ボンコート AC−501は、DIC(株)製、(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、非揮散成分が60%、ガラス転移点(Tg)が0℃である。
ビニブラン 278は、日信化学(株)製、塩ビ/(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、非揮散成分が43%、ガラス転移点(Tg)が33℃である。
エバファノール HA−107Cは、日華化学(製)、ポリカーボネートポリウレタンエマルジョン、非揮散成分が40%、ガラス転移点(Tg)が−30℃である。
エバファノール AP−12は、日信化学(製)、ポリエーテルポリウレタンエマルジョン、非揮散成分が40%、ガラス転移点(Tg)が−60℃である。
ボンコート HV−Eは、DIC(株)製、(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、非揮散成分が40%、ガラス転移点(Tg)が40℃超である。
ブチルグリコールは、非揮散成分が0%、1013hPaにおける沸点が231℃である。
2.5−ジメチル−3−ヘキシン−2.5ジオールは、非揮散成分が0%、1013hPaにおける沸点が205℃である。
エチルグリコールは、非揮散成分が0%、1013hPaにおける沸点が135℃である。
(実施例1)
ハニカム柄原画をスキャナーで読み取りコンピュータグラフイックス手法で編集し、版下プリンターを用いポリエステルフイルム面に、一辺長0.6cm、線の太さ1.2mmの正六角形で構成されるハニカム柄を描写した原版を作製した。次いで、180×90cmのアルミニウム製フレームに張設した、70メッシュのポリエステルネットに重合開始剤を配合した感光性樹脂液(コココ株式会社製、KSP−14)3000mPa・Sを50g/m塗工し、30℃暗所で10分間乾燥した。この塗工・暗所乾燥の操作を20回繰り返した。続いて、前記原版の上に、前記感光性樹脂液を塗工したメッシュネットを重ね置きし、真空下の焼付器下方から3KWのUV管で120秒UV照射し、感光性樹脂の硬化膜を形成させた後、メッシュネットを水洗した。この水洗で、原版の非黒塗部分に対面した感光性樹脂は硬化膜を形成した。次いで、UV硬化膜を形成した前記メッシュネットを40℃、80分間乾燥し、更に100WのUV管24本設置の露光器で30分間露光し感光樹脂を完全に硬化させた。最後にメッシュネットに描かれた情報に欠落、合体がないことを確認し、感光性樹脂硬化膜の厚みが400μmのプリント用フラットスクリーンを作製した。
そして、断面高さの最大高さの算術平均高さ(Axa)と断面高さの算術平均高さ(Aa)との差[(Axa)−(Aa)]が77μm、通気度2.1cm/cm/S、厚み0.38mm、のポリエステルツイルに、前記フラットスクリーンおよびプリント装置を用いてプリント用樹脂組成物aをスクリーン捺染した。スクリーン捺染された前記ポリエステルツイルは100~130℃、熱風循環乾燥機で3~5分間乾燥後、更に160℃、熱風循環乾燥機で1分間熱セットした。
表2に示すように、実施例1の樹脂捺染模様付き繊維シート1は、樹脂凸模様3の高さが212μmとなり、いずれの評価についても良好な結果が得られた。図6は、実施例1の模様付き繊維シートの断面高さ曲線を示すチャート図である。図6に示すように、樹脂凸模様3が繊維シート2から突出して際立っており、特に、樹脂凸模様3のエッジが立っていることが判る。また、図1に示すように、実施例1の樹脂捺染模様付き繊維シート1は、立体感に富む厚み感のある樹脂凸模様3を有している。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、感光性樹脂硬化膜の厚みが250μmのプリント用フラットスクリーンを作製し、通気度2.1cm/cm/S、厚み0.38mm、のポリエステルツイルに、プリント用樹脂組成物bを、実施例1と同様に捺染、乾燥、熱セットした。
表2に示すように、実施例2の樹脂捺染模様付き繊維シート1は、樹脂凸模様3の高さが81μmとなり、いずれの評価についても良好な結果が得られた。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、感光性樹脂硬化膜の厚みが250μmのプリント用フラットスクリーンを作製し、通気度2.1cm/cm/S、厚み0.38mm、のポリエステルツイルに、プリント用樹脂組成物cを、実施例1と同様に捺染、乾燥、熱セットした。
表2に示すように、実施例3の樹脂捺染模様付き繊維シート1は、樹脂凸模様3の高さが89μmとなり、いずれの評価についても良好な結果が得られた。
(実施例4)
実施例1と同様の方法で、感光性樹脂硬化膜の厚みが250μmのプリント用フラットスクリーンを作製し、通気度6.3cm/cm/S、厚み0.17mm、のポリエステルタッサに、プリント用樹脂組成物bを、実施例1と同様に捺染、乾燥、熱セットした。
表2に示すように、実施例4の樹脂捺染模様付き繊維シート1は、樹脂凸模様3の高さが59μmとなり、いずれの評価についても良好な結果が得られた。
(実施例5)
実施例1と同様の方法で、感光性樹脂硬化膜の厚みが250μmで異なる柄模様のプリント用フラットスクリーンを作製し、通気度0.01cm/cm/S以下、厚み0.6mm、のウレタン皮膜貼付ポリエステルタフタに、プリント用樹脂組成物cを、実施例1と同様に捺染、乾燥、熱セットした。
表2に示すように、実施例5の樹脂捺染模様付き繊維シート1は、樹脂凸模様3の高さが83μmとなり、いずれの評価についても良好な結果が得られた。また、図2に示すように、実施例5の樹脂捺染模様付き繊維シート1は、立体感に富む厚み感のある樹脂凸模様3を有している。
(比較例1〜5)
比較例1〜5は、表3に示した繊維シート、感光膜厚みのフラットスクリーンを用いて、表1に示したプリント用樹脂組成物を実施例1〜5と同様の方法でスクリーン捺染し、乾燥、熱セットした。
比較例1と比較例2は、表3に示すように、繊維シートの断面高さの最大高さの算術平均高さ(Axa)と断面高さの平均高さの平均高さ(Aa)との差[(Axa)−(Aa)]、あるいは通気度が過大となった結果、樹脂凸模様が形成している部分の断面高さの算術平均高さ(Ca)との樹脂凸膜が形成していない部分の断面高さの算術平均高さ(Aa)との差[(Ca)−(Aa)]が過小すぎて立体感が得られなかった。
比較例3と比較例4は、表3に示すように、プリント用樹脂組成物のTgが低過ぎたか、あるいはプリント用樹脂組成物のTgが高過ぎた結果、形成樹脂皮膜の粘着性が高くなり、あるいは脆さを帯びて、更にはプリント用樹脂組成物が低粘度であるため流れて樹脂凸模様が立体感に欠けた結果となった。
比較例5は、プリント用樹脂組成物に用いられている造膜助剤が、揮散しやすい低沸点のエチレングリコールであるため、表3に示すように、乾燥過程での表面皮張りによる突沸が生じ、その突沸痕が残ってしまった。
図7は、比較例1の模様付き繊維シートの断面高さ曲線を示すチャート図である。図7に示すように、樹脂凸模様203が繊維シート202に埋没しており、樹脂凸模様203の形も崩れていることが判る。
視覚的にも触感的にも立体感に富み、装飾性、意匠性の高い「樹脂凸膜模様が形成している樹脂捺染模様付き繊維シート」が、カーシートをはじめ各種表皮材用に提供出来、その工業的価値は極めて大きい。
1 模様付き繊維シート、
2 繊維シート、
3 樹脂(樹脂凸模様、樹脂膜)

Claims (17)

  1. スクリーン捺染によって繊維シートに樹脂の凸模様が形成されており、前記樹脂がアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニール樹脂、エステル樹脂のいずれか1種から選択される水分散性の樹脂を主成分とすることを特徴とする模様付き繊維シート。
  2. 前記樹脂の皮膜におけるガラス転移点(Tg)が−40℃〜+30℃の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の模様付き繊維シート。
  3. 前記凸模様の算術平均高さと前記凸模様周囲の非凸模様箇所の算術平均高さとの高低差が20μm以上であり、かつ、前記繊維シートの最大厚みと平均厚みとの差が200μm未満であることを特徴とする請求項1または2記載の模様付き繊維シート。
  4. 前記繊維シートが織物、編物または不織布であってJISL1096に規定されるフラジール形法で測定した通気度が20cm/cm/秒
    未満であるか、または、前記繊維シートが織物、編物または不織布であって前記凸模様形成面に樹脂塗工されているかあるいは樹脂皮膜が貼付されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の模様付き繊維シート。
  5. 前記繊維シートには、難燃加工、遮熱加工、消臭加工、撥水加工、防汚加工、抗菌加工のいずれか1種ないしはいずれか2種以上が施されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の模様付き繊維シート。
  6. 前記樹脂には、顔料、染料、金属粉、ガラスビーズ、合成樹脂粉粒、光輝剤、蓄光剤、金属酸化物、金属水酸化物、難燃剤、撥水剤、消泡剤、芳香剤、遮熱剤、抗菌剤のいずれか1種ないしはいずれか2種以上が含有されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の模様付き繊維シート。
  7. 前記スクリーン捺染が複数回施されており、前記凸模様によって、絵柄、文字、図形、画像のいずれか1種ないしはいずれか2種以上が描かれていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の模様付き繊維シート。
  8. 障子、襖、窓、間仕切り、衝立、照明器具の外装、網戸、ソファー表装、カーシート表装、カバン、ハンドバック、帽子、衣料、カーテン、緞帳、テント、ブラインド、家屋の壁、家屋の天井、家屋の床、寝具、調度品、車両内装材のいずれか1種ないしはいずれか2種以上に適用したことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の模様付き繊維シート。
  9. 繊維シートに樹脂の凸模様を形成するに際し、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニール樹脂、エステル樹脂のいずれか1種から選択される水分散性の樹脂を主成分として常圧での沸点が160℃〜250℃の範囲内のアルコール化合物を添加した樹脂組成物を繊維シートにスクリーン捺染することを特徴とする模様付き繊維シートの製造方法。
  10. 前記樹脂は、凸模様形成後の皮膜におけるガラス転移点(Tg)が−40℃〜+30℃の範囲内であることを特徴とする請求項9記載の模様付き繊維シートの製造方法。
  11. 前記アルコール化合物は、脂肪族アルコールのアルキレングリコールエーテルまたはアセチレンアルコールのいずれかないしは両方であることを特徴とする請求項9または10記載の模様付き繊維シートの製造方法。
  12. 前記アルコール化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールのいずれか1種ないしはいずれか2種以上であることを特徴とする請求項9または10記載の模様付き繊維シートの製造方法。
  13. 前記繊維シートが織物、編物または不織布であってJISL1096に規定されるフラジール形法で測定した通気度が20cm/cm/秒
    未満であるか、または、前記繊維シートが織物、編物または不織布であって前記凸模様形成面に樹脂塗工されているかあるいは樹脂皮膜が貼付されていることを特徴とする請求項9から12のいずれか一項記載の模様付き繊維シートの製造方法。
  14. 前記繊維シートには、難燃加工、遮熱加工、消臭加工、撥水加工、防汚加工、抗菌加工のいずれか1種ないしはいずれか2種以上が施されていることを特徴とする請求項9から13のいずれか一項記載の模様付き繊維シートの製造方法。
  15. 前記樹脂には、顔料、染料、金属粉、ガラスビーズ、合成樹脂粉粒、光輝剤、蓄光剤、金属酸化物、金属水酸化物、難燃剤、撥水剤、消泡剤、芳香剤、遮熱剤、抗菌剤のいずれか1種ないしはいずれか2種以上が含有されていることを特徴とする請求項9から14のいずれか一項記載の模様付き繊維シートの製造方法。
  16. 前記スクリーン捺染を複数回行って、前記凸模様によって、絵柄、文字、図形、画像のいずれか1種ないしはいずれか2種以上を描くことを特徴とする請求項9から15のいずれか一項記載の模様付き繊維シートの製造方法。
  17. 請求項9から16のいずれか一項記載の模様付き繊維シートの製造方法によって製造された模様付き繊維シートを、障子、襖、窓、間仕切り、衝立、照明器具の外装、網戸、ソファー表装、カーシート表装、カバン、ハンドバック、帽子、衣料、カーテン、緞帳、テント、ブラインド、家屋の壁、家屋の天井、家屋の床、寝具、調度品、車両内装材のいずれか1種ないしはいずれか2種以上に適用したことを特徴とする模様付きシート。
JP2013044464A 2013-03-06 2013-03-06 模様付き繊維シートとその製造方法 Pending JP2014173197A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013044464A JP2014173197A (ja) 2013-03-06 2013-03-06 模様付き繊維シートとその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013044464A JP2014173197A (ja) 2013-03-06 2013-03-06 模様付き繊維シートとその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014173197A true JP2014173197A (ja) 2014-09-22

Family

ID=51694744

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013044464A Pending JP2014173197A (ja) 2013-03-06 2013-03-06 模様付き繊維シートとその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014173197A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017115265A (ja) * 2015-12-24 2017-06-29 帝人株式会社 難燃抗菌性布帛およびその製造方法および繊維製品
JP2017128819A (ja) * 2016-01-19 2017-07-27 帝人株式会社 布帛およびその製造方法および繊維製品
US20220145851A1 (en) * 2017-11-21 2022-05-12 General Electric Company Multiple material combinations for printed reinforcement structures of rotor blades

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01241443A (ja) * 1988-03-23 1989-09-26 Hiromasa Hagiwara 凹凸プリント製品の製造方法
JP2001503107A (ja) * 1996-08-15 2001-03-06 ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ(ユーケー)リミティド 水蒸気透過性の複合材料
JP2002173880A (ja) * 2000-12-04 2002-06-21 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd 布用泡プリント剤
JP2007332523A (ja) * 2006-08-17 2007-12-27 Matsui Shikiso Chem Co Ltd 水性捺染組成物及び水性捺染組成物の連続捺染方法
JP2011256502A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 Honda Motor Co Ltd 耐熱性の樹脂プリント処理布帛
JP2013249564A (ja) * 2012-06-01 2013-12-12 Owari Seisen Kk 模様付き布帛とその製造方法、模様付きシート原反、並びに模様付きシート

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01241443A (ja) * 1988-03-23 1989-09-26 Hiromasa Hagiwara 凹凸プリント製品の製造方法
JP2001503107A (ja) * 1996-08-15 2001-03-06 ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ(ユーケー)リミティド 水蒸気透過性の複合材料
JP2002173880A (ja) * 2000-12-04 2002-06-21 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd 布用泡プリント剤
JP2007332523A (ja) * 2006-08-17 2007-12-27 Matsui Shikiso Chem Co Ltd 水性捺染組成物及び水性捺染組成物の連続捺染方法
JP2011256502A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 Honda Motor Co Ltd 耐熱性の樹脂プリント処理布帛
JP2013249564A (ja) * 2012-06-01 2013-12-12 Owari Seisen Kk 模様付き布帛とその製造方法、模様付きシート原反、並びに模様付きシート

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017115265A (ja) * 2015-12-24 2017-06-29 帝人株式会社 難燃抗菌性布帛およびその製造方法および繊維製品
JP2017128819A (ja) * 2016-01-19 2017-07-27 帝人株式会社 布帛およびその製造方法および繊維製品
US20220145851A1 (en) * 2017-11-21 2022-05-12 General Electric Company Multiple material combinations for printed reinforcement structures of rotor blades

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2697479C (en) Photoactive tio2 in coating materials
US20090068412A1 (en) Polyurethane upholstery
JP6061659B2 (ja) 化粧シート
JP2007016357A (ja) 難燃性に優れたスエード調人工皮革およびその製造方法
DE102014110813A1 (de) Verfahren zur Herstellung eines atmungsaktiven Films
JP2014173197A (ja) 模様付き繊維シートとその製造方法
CN213092772U (zh) 遮光型广告喷绘布的涂层结构
US10145061B1 (en) Method for preparing thermally imaged opacifying elements
KR101061478B1 (ko) 입체적 무늬가 형성된 자동차 시트 원단 및 그 제조 방법
JP4726636B2 (ja) 防汚性合成皮革
JP2009248862A (ja) 遮光生地及び遮光用内装材
CN103402759A (zh) 通过借助于双织物网屏的丝网印刷制备印刷层合玻璃板的方法
JP2013249564A (ja) 模様付き布帛とその製造方法、模様付きシート原反、並びに模様付きシート
JP5227630B2 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
JP6163422B2 (ja) 皮革様シート及びその製造方法
JP2011042912A (ja) 着色繊維の製造方法
DE202012101590U1 (de) Erweiterung des Anwendungsspektrums von Flüssigtapeten
CN211730892U (zh) 一种刺绣墙画
JP2001079974A (ja) エンボス加工内装材用インクジェットプリント媒体
CN111114186A (zh) 一种刺绣墙画及其制备方法
JP2014156668A (ja) スエード調シート
JP2007284830A (ja) ポリエステル布帛用難燃性付与剤及びそれを用いて加工された難燃性ポリエステル布帛
JP2012183794A (ja) 布帛印刷方法及びカラー図柄付き布帛
JP3145646U (ja) 点状の輝きを持ち且つ防炎加工を施された幟、幕または旗
EP3808560A1 (de) Atmungsaktives mehrschichtiges verbundmaterial

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160615

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170111