JP2013116942A - 光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物およびこれらからなる光学部品 - Google Patents

光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物およびこれらからなる光学部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学的透明性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性、耐候性に優れ、適度な柔軟性と表面の非粘着性を併せ持ち、環境変化による光学特性の変化が小さい光学部材の形成に好適な樹脂形成性組成物並びにこの組成物を用いて形成された導光板、発光素子封止材などの光学部材を提供することを目的とする。特に、高温高湿環境下から取り出した際に樹脂の白化が起こらない光学部材用樹脂形成性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 ポリイソシアネート(A)とポリオール(B)からなりShoreA硬度が70以上の硬化物を形成する光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物であって、ポリイソシアネート(A)が脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートであり、ポリイソシアネート(A)またはポリオール(B)のいずれか、または両方にエチレンオキシドユニットを含み、エチレンオキシドユニット源として、末端活性水素官能基と1分子中に平均6個以上のエキレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(b)を用いることを特徴とし、エチレンオキシドユニットの含有量がポリイソシアネート(A)とポリオール(B)の合計量に対して、3〜15質量%であることを特徴とする光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を用いることにより、解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学的透明性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性、耐候性に優れ、適度な柔軟性と表面の非粘着性を併せ持ち、環境変化による光学特性の変化が小さい光学部材の形成に好適な樹脂形成性組成物、並びにこの組成物を用いて形成された導光板、発光素子封止材、樹脂レンズなどの光学部材に関する。特に、高温高湿環境下から取り出した際に樹脂の白化が起こらない光学部材用樹脂形成性組成物に関する。
従来、光学部材用樹脂としてアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが使用されている。
光学部品の一つである導光板は、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯端末、小型ゲーム機、電子看板(デジタルサイネージ)などの液晶表示デバイスを持つ電子機器などに使用されているが、近年これらの電子機器の軽量化、薄型化に伴い、部品にも薄型化が求められている。従来、光学特性の点から主にPMMAなどのアクリル樹脂が使用されているが、柔軟性が低く樹脂が脆いために薄型化が困難であった。
これに対して、耐衝撃性に優れるポリカーボネート樹脂が使用されているが、光学特性が十分とは言えず、特に耐衝撃性が求められるモバイル機器用ディスプレイへの使用に限定されている。
また、LED照明を用いた看板などに導光板が使用されており、導光板には曲面に追従可能な柔軟が必要とされている。また、フレキシブルディスプレイの提案もなされており、良好な光学特性と適度な柔軟性を併せ持った樹脂が求められているが、ポリカーボネートは硬度が高く十分な柔軟性を持っているとは言えない。
一方、柔軟性があり透明性に優れる樹脂としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂があり、LEDなどの発光素子封止材料や樹脂レンズとして使用されている。
エポキシ樹脂は熱や光の影響により経時で着色が見られるなどの問題があり、シリコーン樹脂は光学特性や耐熱性は優れるものの、表面のベタツキ感が高く、液晶バックライト用導光板に使用する場合、積層される他の部材と密着し輝度にムラが発生する。また、微細なホコリなどの異物が付着しやすいという問題や、機械強度が低く、取り扱いに注意が必要な点、材料コストが高いことから使用用途が限られている。
このような問題に対して、特許文献1から3では、アクリルウレタン樹脂やウレタン樹脂を使用する提案がなされている。しかし、ウレタン樹脂は光学特性や柔軟特性に優れるものの環境変化により樹脂が白化するなどの問題が起こる場合がある。特に高温高湿環境(60℃、95%RH)から常温常湿環境(25℃、50%RH)に取り出した際に、水分の影響による白化が見られ、透過率の低下を引き起こす場合があり、解決法は知られていなかった。
WO2010/109983 特開2010−100793 特開2010−180382
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものである。
本発明の第1の目的は、光学的透明性、耐候性に優れ、環境変化による光学特性の変化が小さい光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。特に高温高湿環境下から取り出した際に樹脂の白化が起こらない光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、前記第1の目的に加え、耐熱性、耐湿熱性、耐衝撃性に優れ、適度な柔軟性と表面の非粘着性を併せ持った光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、前記第1および第2の目的を達成した光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を用いた、導光板や発光素子封止材などの光学部材を提供することにある。
本発明者らは、これらの目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を持つポリイソシアネートとポリオールを組み合わせることで、前述の一連の課題を解決できることを見出し、本発明を解決するに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(6)に示されるものである。
(1) ポリイソシアネート(A)とポリオール(B)から構成される、ShoreA硬度が70以上の硬化物を形成する光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物であって、ポリイソシアネート(A)が脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートからなり、ポリイソシアネート(A)またはポリオール(B)のいずれか、または両方にエチレンオキシドユニットを含有し、エチレンオキシドユニット源として、末端活性水素官能基と1分子あたり平均6個以上のエキレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(b)を用いることを特徴とし、エチレンオキシドユニットの含有量がポリイソシアネート(A)とポリオール(B)の合計量に対して、3〜15質量%であることを特徴とする光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
(2) ポリイソシアネート(A)が、少なくとも脂肪族および/または脂環族のジイソシアネートモノマーから誘導されるイソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体のいずれか1種以上を含有し、かつ平均NCO官能基数が2.5〜5.0であることを特徴とする、(1)に記載の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
(3) ポリイソシアネート(A)が、少なくともヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート体を含有することを特徴とする、(1)または(2)のいずれかに記載の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
(4) ポリオール(B)の水酸基価が300KOHmg/g〜700KOHmg/gであり、かつ平均OH官能基数が2.1〜3.0であることを特徴とする、(1)に記載の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
(5) ポリオール(B)が少なくともポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールのいずれか1種以上を含有することを特徴とする、(1)または(4)のいずれかに記載の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
(6) 前記(1)から(5)のいずれかに記載の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物からなる、導光部材または発光素子封止材。
本発明により、光学的透明性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性、耐候性に優れ、適度な柔軟性と表面の非粘着性を併せ持ち、環境変化による光学特性の変化が小さい光学部材の形成に好適な樹脂形成性組成物、並びにこの組成物を用いて形成された導光板、発光素子封止材、樹脂レンズなどの光学部材を提供することが可能となった。特に、高温高湿環境下(60℃、95%RH)から25℃、50%RHの環境へ取り出した際に樹脂の白化が起こらない光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物、並びにこの組成物を用いた光学部材を提供することが可能となった。
本発明の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物は、ポリイソシアネート(A)とポリオール(B)から構成され、ポリイソシアネート(A)またはポリオール(B)のいずれかまたは両方にエチレンオキシドユニット含み、エチレンオキシドユニットの含有量が(A)と(B)の合計量に対して3〜15質量%であることが必須で、3〜10質量%であることがより好ましい。エチレンオキシドユニットの含有量が3質量%より低い場合には、得られたポリウレタン樹脂を高温高湿環境下(60℃、95%RH)から25℃、50%RHの環境へ取り出した際に樹脂が白化し光学特性が悪化する(以下、耐白化性が悪化する、と表現)。逆に、15質量%より高い場合には、耐候性が悪化する。また、吸水率が高くなり、寸法変化や物性変化を招く。そのため、エチレンオキシドユニットの含有量は樹脂が白化しない範囲で必要最低限の含有量とすることが好ましい。
エチレンオキシドユニットの導入方法としては、末端活性水素官能基と1分子中に平均6個以上のエチレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(b)を用い、予めポリイソシアネート(A)の一部にウレタン化反応をさせることにより導入したり、ポリオール(B)にブレンドして、硬化時にウレタン化反応をさせ、導入することができる。
<ポリエーテル化合物(b)>
本発明に使用されるポリエーテル化合物(b)は水酸基、アミノ基などの末端活性水素官能基と、1分子あたり平均で6個以上のエチレンオキシドユニットを有する化合物である。エチレンオキシドユニット数が6個より少ない場合には、耐白化性が悪化する。
本発明に使用されるポリエーテル化合物(b)としては、例えば、アルコ−ル類、フェノ−ル類、アミン類のアルキレンオキシド付加物が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド(以下EOと略す)、プロピレンオキシド(以下POと略す)、テトラヒドロフラン(以下THFと略す)のうち、EOを必須成分とし、任意に組み合わせて使用できる。ただし、EO以外のアルキレンオキシドを併用した場合、得られるポリウレタン樹脂の耐白化性を向上させるために、ポリエーテル化合物(b)の導入量を増やす必要があり、耐候性の悪化につながるため、EOを単独で用いることが好ましい。
上記アルコ−ル類としては、例えば水、1価アルコ−ル類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール等)、2価アルコール類(エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,3−ブチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等)、3価アルコ−ル類(グリセリン、トリメチロ−ルプロパン等)、4〜8価アルコール類(ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、グルコース、フラクトース、ショ糖等)およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
上記フェノ−ル類としては、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノ−ル類(ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルF等)、フェノ−ル化合物のホルマリン低縮合物(数平均分子量1000以下)(ノボラック樹脂、レゾ−ルの中間体)およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
上記アミン類としては、例えば、アンモニア、アルカノ−ルアミン類(モノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、イソプロパノ−ルアミン、アミノエチルエタノ−ルアミン等)、炭素数1〜20のアルキルアミン類(メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、オクチルアミン等)、炭素数2〜6のアルキレンジアミン類(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、アルキレン基の炭素数が2〜6のポリアルキレンポリアミン類(重合度2〜8)(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等)、炭素数6〜20の芳香族アミン類(アニリン、フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、キシリレンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエ−テルジアミン等)、炭素数4〜15の脂環式アミン類(イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン等)、炭素数4〜15の複素環式アミン類(アミノエチルピペラジン)、およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
ポリエーテル化合物(b)1分子あたりの平均EOユニット数は、ポリエーテル化合物(b)の数平均分子量およびアルキレンオキシド中のEO含有量(質量%)から算出される。
例えばEO/PO−1000(エチレングリコール開始EO/PO付加体、EO/PO質量比=5/5、数平均分子量=1000)の場合、
1分子あたりの平均EOユニット数=(1000−18)/44×(50/100)=11.2
1000:EO/PO−1000の数平均分子量
18:EOユニット以外(末端水酸基および水素)の分子量
44:EOユニットの分子量
50:アルキレンオキシド中のEO含有量(質量%)
また、ポリエーテル化合物(b)中のEOユニット含有量(質量%)は、ポリエーテル化合物(b)の数平均分子量および、前記で求めた平均EOユニット数から算出される。
例えば前記EO/PO−1000の場合、
EOユニット含有量(質量%)=(11.2×44/1000)×100=49.3
11.2:EO/PO−1000の平均EOユニット数
44:EOユニットの分子量
1000:EO/PO−1000の数平均分子量
本発明のポリウレタン樹脂組成物における、EOユニット含有量(質量%)は、前記で求めたポリエーテル化合物(b)中のEOユニット含有量と、ポリウレタン樹脂組成物中におけるポリエーテル化合物(b)の含有量から算出される。
例えば、ポリウレタン樹脂組成物中にポリエーテル化合物(b)として前記EO/PO−1000を20質量%含有する場合、
ポリウレタン樹脂組成物中のEOユニット含有量(質量%)=49.3×20/100=9.9
49.3:EO/PO−1000中のEOユニット含有量(質量%)
20:ポリウレタン樹脂組成物中のEO/PO−1000の含有量(質量%)
<ポリイソシアネート(A)>
本発明に使用されるポリイソシアネート(A)は脂肪族および/または脂環族のジイソシアネートモノマー(a1)およびそれらから誘導されるイソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体、プレポリマー体などが挙げられ、これらのうち、単独または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族および/または脂環族のジイソシアネートモノマー(a1)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ナフタレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等が挙げられる。これら脂肪族および/または脂環族ジイソシアネートは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。本実施の形態例では、物性や耐久性、実用性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが最も好ましい。芳香族ポリイソシアネートを用いた場合、得られたポリウレタン樹脂の耐候性が著しく低下し、黄変するため好ましくない。
ポリイソシアネート(A)として、イソシアネートモノマーを使用することは臭気および毒性の観点から好ましくない。また、イソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体を用いる場合には、未反応のイソシアネートモノマーを蒸留などの工程により、1.0質量%以下の残留含有率まで除去することが好ましい。
また、上記ポリイソシアネートとポリエーテル化合物(b)を事前にウレタン化反応させることにより、ポリイソシアネート(A)にEOユニットを組み込むことができる。
ポリイソシアネート(A)の平均NCO官能基数は、2.5〜5.0の範囲であることが好ましく、3.0〜4.5の範囲であることがより好ましい。平均NCO官能基数が2.5よりも小さい場合、得られるポリウレタン樹脂の非密着性が低下し、導光板として併せて用いられる他の部材と密着を起こし、輝度ムラなどが生じ、光学部品としての性能が低下する。また、ホコリなど微細な異物が付着しやすくなり輝度低下を招く。逆に5.0よりも高い場合、耐衝撃性が低下し、部材の組み込み時や、使用時に落下などの衝撃を受けた際に、破損する可能性がある。
<ポリオール(B)>
本発明に使用されるポリオール(B)としては、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールが挙げられる。
本発明に使用されるポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2-メチル−1,3-プロパンジオール、3-メチルー1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチロールヘプタン、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの短鎖ポリオールとエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどの低分子カーボネートとの重縮合によって得られるものが挙げられる。上記の2種以上の短鎖ポリオールと低分子カーボネートを重縮合させることにより得られるコポリカーボネートポリオールを用いても良い。また、上記ポリカーボネート系ポリオールの混合物も使用できる。
本発明に使用されるポリエステル系ポリオールとしては、前記の短鎖ポリオールとアジピン酸、コハク酸、マロン酸、ピメリン酸、セバシン酸、トリメリット酸などのポリカルボン酸との重縮合によって得られるものが挙げられる。上記の2種以上の短鎖ポリオールとポリカルボン酸を重縮合させることにより得られるコポリエステルポリオールを用いても良い。また、上記ポリエステル系ポリオールの混合物も使用できる。
本発明に使用されるポリカプロラクトン系ポリオールとしては、前記の短鎖ポリオールを開始剤としてε−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなどの環状エステル類を開環付加させることにより得られるものが挙げられる。また、上記ポリカプロラクトン系ポリオールの混合物も使用できる。
本発明に使用されるポリエーテル系ポリオールとしては、前記短鎖ポリオールとEO、PO、THFなどの環式エーテルとの開環重合によって得られる、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。上記、環式エーテルを2種以上用いた共重合ポリエーテル系ポリオールも使用できる。また、これらのポリエーテル系ポリオールの混合物も使用できる。
ポリオール(B)としては、上記で挙げたポリカーボネート系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールのうち単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、得られるポリウレタン樹脂組成物の耐候性の観点から、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオールを使用することが好ましい。ポリエーテル系ポリオールを使用した場合、耐候性が悪化するため、必要最小限の量で用いることが好ましい。また、前述のポリエーテル化合物(b)を併用し、EOユニット源とすることができる。
また、ポリオール(B)として平均OH官能基数が3以上のポリオールを架橋剤として併用することができる。本発明に架橋剤として使用される平均OH官能基数が3以上のポリオールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオールや、ジトリメチロールプロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトールなどのテトラオールが挙げられ、これらのうち単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、ポリオール(B)としてグリコールを鎖延長剤として併用することができる。本発明に鎖延長剤として使用されるグリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキシルジメタノール、ヒドロキノン−ビス−(2−ヒドロキシエチル)エーテル(各種異性体を含む)などが挙げられ、これらのうち、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリオール(B)の水酸基価は300KOHmg/g〜700KOHmg/gであることが好ましく、400KOHmg/g〜600KOHmg/gであることがより好ましい。水酸基価が300KOHmg/gよりも小さい場合、得られるポリウレタン樹脂の非密着性が低下し、導光板として併せて用いられる他の部材と密着を起こし、輝度ムラなどが生じ、光学部品としての性能が低下する。また、ホコリなど微細な異物が付着しやすくなり輝度低下を招く。逆に、700KOHmg/gよりも大きい場合、耐衝撃性が低下し、部材の組み込み時や使用時に落下などの衝撃を受けた際に、破損する可能性がある。
さらにポリオール(B)の平均OH官能基数は2.1〜3.0であることが好ましい。平均OH官能基数が2.1よりも小さい場合、得られるポリウレタン樹脂の非密着性が低下し、導光板として併せて用いられる他の部材と密着を起こし、輝度ムラなどが生じ、光学部品としての性能が低下する。また、ホコリなど微細な異物が付着しやすくなり輝度低下を招く。逆に、3.0よりも大きい場合、耐衝撃性が低下し、部材の組み込み時や使用時に落下などの衝撃を受けた際に、破損する可能性がある。
<触媒>
本発明においてポリイソシアネート(A)とポリオール(B)を反応させ、ポリウレタン樹脂組成物を得る工程において、ウレタン化触媒を使用することができる。ウレタン化触媒としては、既知のアミン化合物(例えばトリエチレンジアミン)や、有機金属化合物(例えば、ジブチルチンジラウレート)や4級アンモニウム塩などが挙げられるが、得られるポリウレタン樹脂の着色の観点から、有機金属化合物を用いることが好ましい。作業性の観点から、触媒はポリオール(B)に予め混合しておくことが好ましい。
<任意成分>
本発明によって得られたポリウレタン樹脂形成性組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、可塑剤、充填材、帯電防止剤、分散剤、貯蔵安定剤等の添加剤を適宜配合することができる。
<ポリウレタン樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物を用いて得られるポリウレタン樹脂組成物は、例えば下記の方法により製造される。
前記のポリイソシアネート(A)とポリオール(B)を2液混合ウレタン注型機の別々のタンクへ投入し脱泡および保温を行った後、ミキサー部で2液を所定の比率で混合する。注型機から吐出される混合液を50〜150℃に温調した金型へ注入し、脱型可能なグリーン強度が得られたら硬化物を金型から取り出す。一般的には、5〜60分程度で脱型する場合が多い。必要に応じて2次硬化を行った後、光学部品として更に加工され、機器へ組み込まれる場合が多い。
金型を用いずにシートを成型する方法としては、注型機から吐出される混合液をPETフィルムなどの剥離フィルム上に連続的に流しながら広げ、樹脂が硬化する前にもう片方の面に剥離フィルムを被せ、ローラやブレードなどにより厚みを均一にした後、50〜150℃に加熱した硬化炉を通過させ、ロールで巻き取る方法が挙げられる。
また、発光素子封止材料として使用する場合には、注型機から吐出される混合液を、直接対象となる発光素子にポッティングすることができる。
本発明について、実施例および比較例により、更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定して解釈されるものではない。なお、実施例および比較例において、「部」は全て「質量部」を意味し「%」はすべて「質量%」を意味する。
<ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート体(以下NCO−TRと略す)の合成>
攪拌機、温度計、冷却管を備えた容量1000ミリリットルの四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイシシアネート(日本ポリウレタン工業社製、NCO含有量:49.9%、以下HDIと略す)を1000部、フェノールを1.0部、1,3−ブタンジオール(ダイセル化学工業社製)を16部仕込み、窒素気流下、80℃でウレタン化反応を2時間行った。その後、反応液を60℃に保ち、オクチル酸カリウム(東京化成工業社製、以下OctKと略す)の20%ジエチレングリコール(アデカ社製)溶液を0.2部添加し、イソシアヌレート化反応を2時間行った。NCO含有量が41.5%に達した後、JP−508(城北化学工業社製、酸性リン酸エステル)を0.3部添加し、停止反応を行った。この反応液を130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したNCO−TRを得た。NCO−TRは透明な粘性液体で、NCO含有量が21.1%で、GPCによる数平均分子量が697、遊離HDI含有量は0.2%であった。NCO含有量および数平均分子量を用いて式1により算出した平均NCO官能基数は3.5であった。
平均NCO官能基数=NCO含有量×数平均分子量/(1000×4.2)・・・・・(式1)
<GPCによる数平均分子量の測定条件>
・測定器:HLC−8220(東ソー社製)
・カラム:TSKguardcolumn HXL−L(東ソー社製)
粒径=6μm、サイズ=6mmID×30cm×4本
・キャリア:テトラヒドロフラン(THF)
・検出器:視差屈折
・サンプル:0.5%THF溶液
・検量線:ポリスチレン
<ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるアロファネート体(以下NCO−ALPと略す)の合成>
攪拌機、温度計、冷却管を備えた容量1000ミリリットルの四つ口フラスコに、HDIを950部、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(クラレ社製)を50部仕込み、窒素気流下、80℃でウレタン化反応を2時間行った。その後、オクチル酸ジルコニール(第一稀元素化学工業社製)を0.1部添加し、110℃でアロファネート化反応を4時間行った。NCO含有量が40.3%に達した後、JP−508(城北化学工業社製、酸性リン酸エステル)を0.11部添加し、停止反応を行った。この反応液を130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したNCO−ALPを得た。NCO−ALPは透明な粘性液体で、NCO含有量が19.2%で、GPCによる数平均分子量が1050、遊離HDI含有量は0.2%であった。NCO含有量および数平均分子量より算出した平均NCO官能基数は4.8であった。
<ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるアダクト体(以下NCO−ADと略す)の合成>
攪拌機、温度計、冷却管を備えた容量1000ミリリットルの四つ口フラスコに、HDIを921部、1,3−ブタンジオールを79部仕込み、窒素気流下、80℃でウレタン化反応を4時間行った。この反応液を130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したNCO−ADを得た。NCO−ADは透明な粘性液体で、NCO含有量が17.5%で、GPCによる数平均分子量が480、遊離HDI含有量は0.2%であった。NCO含有量および数平均分子量より算出した平均NCO官能基数は2.0であった。
<4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとポリカーボネートジオールを反応させて得られるNCO基末端プレポリマー(以下NCO−Pと略す)の合成>攪拌機、温度計、冷却管を備えた容量1000ミリリットルの四つ口フラスコに、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを528部、PCDL−500(1,6−ヘキサンジオール(以下HGと略す)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(以下MPDと略す)、ジエチルカーボネート(以下DECと略す)から得られる数平均分子量500のポリカーボネートジオール。HG/MPD=5/5質量比)を472部仕込み、窒素気流下、80℃でウレタン化反応を4時間行いNCO−Pを得た。NCO−Pは透明な粘性液体で、NCO含有量が9.0%で、GPCによる数平均分子量が933であった。NCO含有量および数平均分子量より算出した平均NCO官能基数は2.0であった。
本発明の第一の目的である、光学的透明性、耐候性、吸水率、湿熱環境から取り出し後の耐白化性について評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例1〜5、実施例7〜10:
表1に示す処方に従って、各種イソシアネートと各種ポリオールを混合し、95℃で10時間反応させて、各種の末端NCO基含有ポリイソシアネート(A)を得た。合成結果を表1に示す。平均NCO官能基数は前記と同様に、NCO含有量およびGPCによる数平均分子量から算出した。
表1に示す処方に従って、各種ポリオールを80℃で1時間混合し、末端OH基含有ポリオール(B)を調製した。平均OH官能基数は、水酸基価およびGPCによる数平均分子量から式2により算出した。
平均OH官能基数=水酸基価×数平均分子量/(1000×56.1)・・・・・(式2)
次いで、表1に示す処方に従って、40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表1に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、混合することにより、本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物を調製した。この組成物を5mmHgの減圧下で十分に脱泡した後、120℃に予熱された2mm厚の平板形成用の金型に注入し、120℃雰囲気下で30分硬化させた。その後、硬化したポリウレタン樹脂組成物を取り出し、さらに80℃雰囲気下で4時間硬化させることにより、本発明のポリウレタン樹脂組成物を得た。得られたポリウレタン樹脂組成物は、光学的透明性、耐候性が良好で、湿熱環境から取り出し後も樹脂の白化(ヘイズの上昇)は見られなかった。
実施例6
表1に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表1に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。これは、実施例4で用いたNCO−TRの代わりにNCO−ALPを用いた場合の例であり、光学的透明性、耐候性は良好であった。湿熱環境から取り出し後にわずかに樹脂の白化(ヘイズの上昇)が見られたが、実用上問題のない範囲であった。
比較例1
表1に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表1に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。これは、ポリウレタン樹脂組成物中のエチレンオキシドユニットの含有量が3%以下となるの場合の比較例であり、光学的透明性、耐候性は良好であったが、湿熱環境から取り出し後に樹脂の白化(ヘイズの上昇)が見られた。
比較例2
表1に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表1に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。これは、ポリウレタン樹脂組成物中のエチレンオキシドユニットの含有量が15%以上となるの場合の比較例であり、光学的透明性は良好で、湿熱環境から取り出しの耐白化性も良好であったが、吸水率が高く、樹脂の耐候性が悪化した。
比較例3
表1に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表1に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。これは、ポリエーテル化合物(b)の平均エチレンオキシドユニット数が6以下となる場合の比較例であり、光学的透明性、耐候性は良好であったが、湿熱環境から取り出し後に樹脂の白化(ヘイズの上昇)が見られた。
比較例4
表1に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表1に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。これは、ポリエーテル化合物(b)の平均エチレンオキシドユニット数が0となる場合の比較例であり、光学的透明性、耐候性は良好であったが、湿熱環境から取り出し後に樹脂の白化(ヘイズの上昇)が見られた。
本発明の第2の目的である、耐衝撃性、耐候性および表面の非粘着性について評価を行い、その結果を表2に示す。
実施例1、11、12
表2に示す処方に従って、実施例2〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表2に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。得られたポリウレタン樹脂組成物は、良好な耐衝撃性、非密着性、耐候性、耐熱性、耐湿熱性を有していた。なお、実施例12ではポリイソシアネート(A)としてNCO−ALPを用いているため、湿熱環境から取り出し後にやや白化(ヘイズ上昇)が見られたが、実用上問題のない範囲であった。
実施例8、13表2に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表2に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。実施例8は、ポリイソシアネート(A)の平均NCO官能基数が2.5よりも小さい場合の例であり、耐衝撃性および耐候性は良好であった。非密着性がやや悪化したが、実用上問題のない範囲であった。実施例13は、ポリイソシアネート(A)の平均NCO官能基数が5.0よりも大きい場合の例であり、非密着性および耐候性は良好であった。耐衝撃性がやや悪化したが、実用上問題のない範囲であった。なお、実施例13ではポリイソシアネート(A)としてNCO−ALPを用いているため、湿熱環境から取り出し後にやや白化(ヘイズ上昇)が見られたが、実用上問題のない範囲であった。
実施例14,15
表2に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表2に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。得られたポリウレタン樹脂組成物は、良好な耐衝撃性、非密着性、耐候性を有していた。
実施例16,17
表2に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表2に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。実施例16は、ポリオール(B)の水酸基価が300KOHmg/gよりも小さい場合の例であり、耐衝撃性および耐候性は良好であった。非密着性はやや悪化したが、実用上問題のない範囲であった。実施例17は、ポリオール(B)の水酸基価が700KOHmg/gよりも大きい場合の例であり、非密着性および耐候性は良好であった。耐衝撃性はやや悪化したが、実用上は問題のない範囲であった。
実施例18,19
表2に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表2に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。得られたポリウレタン樹脂組成物は、良好な耐衝撃性、非密着性、耐候性、耐熱性、耐湿熱性を有していた。
実施例20,21
表2に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表2に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。実施例20は、ポリオール(B)の平均OH官能基数が2.1よりも小さい場合の例であり、耐衝撃性および耐候性は良好であった。非密着性はやや悪化したが、実用上問題のない範囲であった。実施例21は、ポリオール(B)の平均OH官能基数が3.0よりも大きい場合の例であり、非密着性および耐候性は良好であった。耐衝撃性はやや悪化したが、実用上問題のない範囲であった。
実施例19、22、23
表2に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表2に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。得られたポリウレタン樹脂組成物は、良好な耐衝撃性、非密着性、耐候性、耐熱性、耐湿熱性を有していた。
実施例24表2に示す処方に従って、実施例1〜5と同様に40℃に温調したポリイソシアネート(A)と、40℃に温調したポリオール(B)と、触媒としてジオクチルチンジラウレートを表2に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように添加し、それらを混合した後、2mm厚の平板形成用の金型に注入し、ポリウレタン樹脂組成物を得た。得られたポリウレタン樹脂組成物は、耐衝撃性、非密着性、耐熱性、耐湿熱性は良好であった。耐候性はやや悪化したが、実用上問題のない範囲であった。
<評価試験>
(1)硬度
表1ならびに表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物を50mm×50mmのサイズにカットしたものを試験サンプルとし、6枚重ねた後、タイプAならびにタイプDのデュロメーターを用いてShoreA硬度ならびにShoreD硬度を測定した。
(2)全光線透過率
表1ならびに表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物について、JIS−K7361に準じて、全光線透過率(%)を測定した。
測定装置:日本電色工業社製NDH−2000
(3)ヘイズ
表1ならびに表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物について、JIS−K7136に準じて、ヘイズ(%)を測定した。
測定装置:日本電色工業社製NDH−2000
(4)湿熱環境から取り出し後の耐白化性
表1ならびに表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物を25mm×50mmのサイズにカットしたものを試験サンプルとし、試験サンプルを60℃、95%RH環境下に72時間静置した後、25℃、50%RHの環境下に取り出し、30分後のヘイズを測定した。
次式から試験前と試験後のヘイズ差(△ヘイズ)を求め、耐白化性の指標とした。
△ヘイズ(%)=試験後のヘイズ(%)−試験前のヘイズ(%)
測定装置:日本電色工業社製NDH−2000
(5)吸水率
表1ならびに表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物を50mm×50mmのサイズにカットしたものを試験サンプルとし、70℃の雰囲気下で48時間乾燥させた後、試験前の質量を測定した。試験サンプルを60℃、95%RH環境下に72時間静置し、取り出した直後に試験後の質量を測定し、次式から吸水率を求めた。
吸水率(%)=(試験後の質量−試験前の質量)/(試験前の質量)×100
(6)耐候性
表1ならびに表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物を25mm×50mmのサイズにカットしたものを試験サンプルとした。紫外可視分光光度計にて試験前の400nmにおける光線透過率を測定した。試験サンプルを耐候性試験機(QUV Weather Tester)に投入し、下記試験サイクルで500時間試験を行い、サンプル取り出した後、70℃で12時間乾燥し、さらに25℃、50%RH環境下で12時間静置した後、紫外可視分光光度計にて試験後の400nmにおける光線透過率を測定し、次式により400nmにおける光線透過率保持率を算出し、耐候性の指標とした。
光線透過率保持率(%)=(試験後の400nmにおける光線透過率)/(試験前の400nmにおける光線透過率)×100
光線透過率測定装置:日立ハイテクノロジーズ製 紫外可視分光光度計 U−3300
耐候性試験装置:Q−PANEL社製 QUV Weather Tester
試験サイクル:UV照射70℃×8h + 結露50℃×4h
UV照射エネルギー:0.59W/m
(7)耐衝撃性
表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物を50mm×50mmのサイズにカットしたものを試験サンプルとした。デュポン式落下試験機を用いて、下記条件で試験片に衝撃を与え、試験後のサンプルの状態を目視で確認した。
試験条件:半径6.35mmの撃ち型と受け台の間に試験サンプルを挟み、質量1000gの錘を、200mmの高さから落下させる。
<評価基準>
○:変形または亀裂が認められない。
△:変形または部分的な亀裂が認められる。
×:破砕または破断が認められる。
(8)非密着性
表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物を100mm×100mmのサイズにカットしたものを試験サンプルとした。試験サンプルを2mm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)板の上に載せ、50℃、50%RH環境下で24時間静置した後、目視で試験サンプルとPET板の密着性を確認した。
<評価基準>
○:密着なし
△:部分的に密着が認められる
×:全面的に密着が認められる
(9)耐熱性
表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物を25mm×50mmのサイズにカットしたものを試験サンプルとした。紫外可視分光光度計にて試験前の400nmにおける光線透過率を測定した。試験サンプルを85℃にセットしたギアオーブンに投入し、500時間試験を行い、サンプル取り出し後、25℃、50%RH環境下で12時間静置した後、紫外可視分光光度計にて試験後の400nmにおける光線透過率を測定し、次式により400nmにおける光線透過率保持率を算出し、耐熱性の指標とした。
光線透過率保持率(%)=(試験後の400nmにおける光線透過率)/(試験前の400nmにおける光線透過率)×100
(10)耐湿熱性
表2に示す処方により作製した2mm厚のポリウレタン樹脂組成物を25mm×50mmのサイズにカットしたものを試験サンプルとした。紫外可視分光光度計にて試験前の400nmにおける光線透過率を測定した。試験サンプルを60℃、95%RH環境下に500時間静置した後、サンプル取り出し、70℃で12時間乾燥後、25℃、50%RH環境下で12時間静置した後、紫外可視分光光度計にて試験後の400nmにおける光線透過率を測定し、次式により400nmにおける光線透過率保持率を算出し、耐湿熱性の指標とした。
光線透過率保持率(%)=(試験後の400nmにおける光線透過率)/(試験前の400nmにおける光線透過率)×100
Figure 2013116942
Figure 2013116942
表1ならびに表2における各原料の詳細は、以下の通り。
<IPDI>
イソホロンジイソシアネート
<PEG−200>
ポリエチレングリコール(開始剤:エチレングリコール、EO付加体)、末端OH官能基数=2、数平均分子量=200、1分子あたりの平均EOユニット数=4.1、EOユニット含有量=91%
<PEG−300>
ポリエチレングリコール(開始剤:エチレングリコール、EO付加体)、末端OH官能基数=2、数平均分子量=300、1分子あたりの平均EOユニット数=6.4、EOユニット含有量=94%
<PEG−600>
ポリエチレングリコール(開始剤:エチレングリコール、EO付加体)、末端OH官能基数=2、数平均分子量=600、1分子あたりの平均EOユニット数=13.2、EOユニット含有量=96%
<PEG−1000>
ポリエチレングリコール(開始剤:エチレングリコール、EO付加体)、末端OH官能基数=2、数平均分子量=1000、1分子あたりの平均EOユニット数=22.3、EOユニット含有量=98%
<MPEG−400>
メトキシポリエチレングリコール(開始剤:メタノール、EO付加体)、末端OH官能基数=1、数平均分子量=400、1分子あたりの平均EOユニット数=8.4、EOユニット含有量=92%
<MPEG−700>
メトキシポリエチレングリコール(開始剤:メタノール、EO付加体)、末端OH官能基数=1、数平均分子量=700、1分子あたりの平均EOユニット数=15.2、EOユニット含有量=95%
<PEG/PTMG−1000>
開始剤:エチレングリコール、EOとTHFの付加体(EO/THF=5/5質量比)、末端OH官能基数=2、数平均分子量=1000、1分子あたりの平均EOユニット数=11.2、EOユニット含有量=49%
<PPG−1000>
ポリプロピレングリコール(開始剤:プロピレングリコール、PO付加体)、末端OH官能基数=2、数平均分子量=1000
<GP−400>
ポリプロピレングリコール(開始剤:グリセリン、PO付加体)、末端OH官能基数=3、数平均分子量=400
<TMP>
トリメチロールプロパン
<Di−TMP>
ジトリメチロールプロパン
<1,4−BG>
1,4-ブタンジオール
<PCDL−500>
HGとMPDとDECから得られるポリカーボネートジオール(HG/MPD=5/5質量比)、末端OH官能基数=2、数平均分子量=500
<PCDL−1000>
HGとMPDとDECから得られるポリカーボネートジオール(HG/MPD=5/5質量比)、末端OH官能基数=2、数平均分子量=1000
<PCD−500>
HGとDECから得られるポリカーボネートジオール、末端OH官能基数=2、数平均分子量=500
<PESL−500>
MPDとアジピン酸から得られるポリエステルポリオール、末端OH官能基数=2、数平均分子量=500
<PCL−300>
ポリカプロラクトンポリオール(開始剤:トリメチロールプロパン)、末端OH官能基数=3、数平均分子量=312
<PCL−500>
ポリカプロラクトンポリオール(開始剤:トリメチロールプロパン)、末端OH官能基数=3、数平均分子量=552
<DOTDL>
ジオクチルチンジラウレート
本発明のポリウレタン樹脂形成性組成物により得られるポリウレタン樹脂は、光学的透明性や耐熱性、耐湿熱性、耐候性に優れるだけでなく、環境変化による光学特性の変化が小さく、適度な柔軟性と非密着性を併せ持っており、光学部材に好適である。液晶表示装置、看板、照明などの導光部材や、LEDなどの発光素子封止材料や樹脂レンズに利用できる。

Claims (6)

  1. ポリイソシアネート(A)とポリオール(B)から構成される、ShoreA硬度が70以上の硬化物を形成する光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物であって、ポリイソシアネート(A)が脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートからなり、ポリイソシアネート(A)またはポリオール(B)のいずれか、または両方にエチレンオキシドユニットを含有し、エチレンオキシドユニット源として、末端活性水素官能基と1分子あたり平均6個以上のエキレンオキシドユニットを有するポリエーテル化合物(b)を用い、エチレンオキシドユニットの含有量がポリイソシアネート(A)とポリオール(B)の合計量に対して、3〜15質量%であることを特徴とする光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
  2. ポリイソシアネート(A)が、少なくとも脂肪族および/または脂環族のジイソシアネートモノマーから誘導されるイソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体のいずれか1種以上を含有し、かつ平均NCO官能基数が2.5〜5.0であることを特徴とする、請求項1に記載の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
  3. ポリイソシアネート(A)が、少なくともヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート体を含有することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
  4. ポリオール(B)の水酸基価が300KOHmg/g〜700KOHmg/gであり、かつ平均OH官能基数が2.1〜3.0であることを特徴とする、請求項1に記載の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
  5. ポリオール(B)が少なくともポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールのいずれか1種以上を含有することを特徴とする、請求項1または4のいずれかに記載の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物からなる、導光部材または発光素子封止材。
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