JP2013116691A - 異種金属接合体およびその製造方法 - Google Patents

異種金属接合体およびその製造方法 Download PDF

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勝也 西口
Tatsuya Ezaki
達哉 江▲崎▼
Tsutomu Shigenaga
勉 重永
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Abstract

【課題】異種金属接合体において、より効果的に電食を抑制する。
【解決手段】車両用ドア(異種金属接合体)は、亜鉛メッキが施された鋼製のインナパネル3(第1パネル)と、このインナパネル3よりも自然電位の低いアルミニウム合金からなるアウタパネル4(第2パネル)とを備え、インナパネル3の端部を内包するようにアウタパネル4の端部にヘミング加工が施されることで両パネル3、4の端部同士が接合されたものである。インナパネル3は、その表面のうち少なくともアウタパネル4が接合される接合面を含む領域に10Ωcm以上の抵抗値を有する樹脂層3aが形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に用いられる異種金属接合体およびその製造方法に関するものである。
従来から、車体の軽量化を図るために、従来の鋼材に代えて軽金属材を用いることが考えられている。例えばサイドドアやバックドアでは、インナパネルを鋼板で構成する一方で、アウタパネルをアルミニウム合金で構成することにより、ドアの剛性を確保しながらその軽量化を図ることが考えられている。この場合、検討すべき事項として電気化学的作用による腐食(以下、電食と略す)の問題がある。すなわち、車両用のドアの多くは、インナパネルの端部を内包するようにアウタパネルの端部が車内側にヘミング加工されることでパネル同士が接合一体化されるため、この接合部分(以下、ヘム部と略す)に水が侵入して長期的に存在すると、異種金属の自然電位の違いによって当該電位の低いアルミニウム合金(アウタパネル)に電食が生じる恐れがあり、これを抑制することが求められる。
そこで一般には、アウタパネル(又はインナパネル)の端部に接着剤を塗布した状態でヘミング加工を行い、アウタパネルとインナパネルとの対向面の間に接着剤を介在させることで両パネルを電気的に絶縁することが行われるが、この場合、ヘミング加工に伴い接着剤がヘム部から押し出されてパネル同士が接触すると、接着剤による絶縁性能が阻害されるため、例えば特許文献1には、接着剤として非導電性の粒子を分散させたものを用い、ヘム部の両パネル間に一定隙間を確保することで、接着剤の押し出しを抑制する技術が提案されている。
特開2011−213413号公報
しかし、ヘミング加工後のアウタパネルには多少の弾性復帰(スプリングバック)が生じるため、単にパネル間に接着剤を介在させる従来の手法では、アウタパネルの弾性復帰によりパネル同士の間隔が広がることでパネル間に部分的に接着剤が不足する部分が生じる場合があり、この場合には、ヘム部に水が浸入することで電食が発生するおそれがある。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、車両のドア等の異種金属接合体として、より効果的に電食を抑制することができるものを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段として、本発明は、車両に用いられる異種金属接合体であって、金属製の第1パネルと、この第1パネルよりも自然電位の低い金属材料からなる第2パネルとを備え、前記第1パネルの端部を内包するように前記第2パネルの端部にヘミング加工が施されることで両パネルがそれらの端部で接合されたものであり、前記第1パネルは、その表面のうち少なくとも前記第2パネルが接合される接合面を含む領域に10Ωcm以上の抵抗値を有する樹脂層が形成されたものであることを特徴とするものである。
この異種金属接合体によれば、第1パネルの表面のうち少なくとも第2パネルが接合される接合面を含む領域に10Ωcm以上の抵抗値を有する樹脂層が形成されていることで、仮にヘム部(ヘミング加工により第1パネルと第2パネルとが接合された部分)に水が侵入した場合でも、両パネルの金属材料の間に直接水が介在することが防止されるとともに、両パネルの金属材料の間で電荷が移動することが抑制される。これにより第2パネル(自然電位の低い金属材料からなるパネル)の電食が抑制される。特に、自然電位が高い金属材料からなる第1パネル側に上記樹脂層が形成されていることで、上記樹脂層に傷等の欠陥が生じていた場合でも、第2パネルの電食が効果的に抑制される。すなわち、電食の進行は、自然電位の低い金属材料に対する自然電位の高い金属材料の面積比に比例して速くなる傾向があるため、上記のように、自然電位が高い金属材料からなる第1パネル側に上記樹脂層が形成されることで、仮に傷等の欠陥が樹脂層に生じていた場合でも上記面積比は小さい値となり、電食の進行が効果的に抑制されることとなる。
なお、上記の異種金属接合体について、より具体的には、前記第1パネルは、亜鉛系メッキが施された鋼製パネルであり、前記第2パネルは、鋼材よりも自然電位の低い軽金属製パネルであることを特徴とするものである。
この異種金属接合体によれば、電食を抑制しながら、車両部品としての剛性の確保と軽量化の両立を図ることが可能となる。例えば、前記第1パネルが、車両のドアのインナパネルであり、前記第2パネルが、前記ドアのアウタパネルである場合には、電食を抑制しながら、ドアの剛性の確保と軽量化の両立を図ることが可能となる。
なお、前記樹脂層は、10Ωcm以上の単位面積当たりの抵抗値(以下、抵抗値と略す)を有するフィルム材が前記第1パネルの表面に貼着されることにより形成されているのが好適である。
この構成によれば、簡単に、しかも安価に第1パネルに樹脂層を形成することが可能なため、製造コストを抑制しながら電食を効果的に抑制することが可能となる。
一方、本発明の異種金属接合体の製造方法は、異種金属からなる第1パネル及び第2パネルが互いに接合された異種金属接合体の製造方法であって、前記第1パネルを準備し、この第1パネルの端部の表面であって少なくとも前記第2パネルが接合される接合面を含む領域に10Ωcm以上の抵抗値を有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、前記第1パネルよりも自然電位の低い金属材料からなる前記第2パネルを準備し、前記第1パネルと前記第2パネルとを重ね合わせ、前記第1パネルの端部を内包するように前記第2パネルの端部にヘミング加工を施すことにより両パネルの端部同士を接合するパネル接合工程と、を含むことを特徴とするものである。
この製造方法によれば、ヘム部の電食を抑制可能な上記のような異種金属接合体を製造することが可能となる。
特に、前記樹脂層形成工程で、10Ωcm以上の抵抗値を有するフィルム材を前記第1パネルに貼着することにより前記樹脂層を形成するようにすれば、比較的簡単に、しかも安価に上記のような異種金属接合体を製造することが可能となる。
なお、ヘム部への水の侵入を防止する上では、第1パネルと第2パネルの対向面の全体に亘って接着剤を介在させるのが好ましいが、上記方法により製造される異種金属接合体によれば、上記の通り、ヘム部に水が侵入した場合でも、電食を効果的に抑制することができる。従って、例えば前記パネル接合工程では、前記第1パネルのうち前記ヘミング加工により前記第2パネルの折り返し部が対向する側の面とは反対側の面と前記第2パネルとの間にのみ予め接着剤を介在させた状態で前記第2パネルにヘミング加工を施すとともに、前記第2パネルの折り返し部を前記樹脂層に密着させるようにしてもよい。
このようにすれば、第2パネルにヘミング加工を施す際に接着剤が折り返し部の末端から押し出されることがなく、例えば押し出された接着剤を拭き取るといった後処理が不要になるため、両パネルの接合作業の作業性が向上する。
但し、前記ヘミング加工により折り返された前記第2パネルの折り返し部の末端を覆うように、前記第2パネルと前記第1パネルとの間をシール剤によりシールするシール工程をさらに含むようにしてもよい。
このようにすれば、ヘム部への水の侵入をより確実に防止することが可能になることに加え、第2パネルの折り返し部の末端部分で電食が発生することを抑制することが可能となる。
以上説明したように、本発明の異種金属接合体等によれば、ヘム部に水が侵入した場合でも電食を抑制することが可能であり、従って、車両に用いられる異種金属接合体の電食をより効果的に抑制することができる。
本発明の異種金属接合体である車両のドアを示す平面図である。 ドアのヘム部を示す図1のII−II線断面図である。 (a)〜(d)は、ドアの製造方法、特にアウタパネルとインナパネルとを接合する方法を示す断面図である。 (a)〜(c)は、腐食試験の結果を示す図である。 腐食試験に用いられる試験片を示す斜視図である。 腐食試験の結果を示す表図である。 インナパネルの樹脂層の種類とアウタパネルの電食の状態を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
図1及び図2は、本発明にかかる異種金属接合体である車両用ドアを平面図で概略的に示している。この車両用ドアは、車室の側面部に設置されるサイドドアであって、その略下半部を構成するドア本体部1と、その上方に設置される窓枠部2とを備えている。
前記ドア本体部1は、車内側に位置するインナパネル3(第1パネル)と、車外側に位置するアウタパネル4(第2パネル)とを有する。前記インナパネル3は、亜鉛系メッキが施された鋼板から構成される一方、前記アウタパネル4は、鋼板よりも自然電位の低い軽金属、当例ではアルミニウム合金から構成されている。この車両用ドアは、このようにインナパネル3が鋼板から構成されることにより剛性が確保される一方で、アウタパネル4がアルミニウム合金から構成されることで全体としての軽量化が図られている。
両パネル3、4は、ドア本体部1の下辺部および前後両側辺部においてアウタパネル4にヘミング加工が施されることで互いに接合されている。同図では、符号6で示す部分が、両パネル3、4の接合部分(すなわち、ヘム部)を示している。具体的に説明すると、ドア本体部1の下辺部では、図2に示すように、アウタパネル4の下端部がインナパネル3を内包するように略180°の角度でもって折り返され、インナパネル3の下端部がアウタパネル4により厚み方向に挟み込まれることによりインナパネル3とアウタパネル4とが互いに接合されている。なお、インナパネル3の車外側の側面とアウタパネル4とはエポキシ樹脂やアクリル樹脂等の接着材9を介して接合されており、また、アウタパネル4の折り返し部4aの末端部分には、当該アウタパネル4とインナパネル3との間をシールするシール剤10が塗布されている。図示を省略するが、ドア本体部1の前後両側辺部についても同様に、アウタパネル4の前後端部にヘミング加工が施されることにより、インナパネル3とアウタパネル4とが互いに接合されている。
なお、上記インナパネル3には樹脂層3aが形成されている。この樹脂層3aは、エポキシ系樹脂又はアクリル系樹脂からなり、インピータンス測定による電気抵抗値が10Ωcm以上の層であって、上記インナパネル3の表面のうち少なくともアウタパネル4との接合面を含む領域に形成されている。当例では、図2に示すように、車外側の側面から車内側の側面に回り込むように連続的に、かつアウタパネル4の接合面よりもやや広い領域を覆うように樹脂層3aが形成されている。このドア本体1では、このようにインナパネル3に樹脂層3aが形成されることにより、アウタパネル4の電食が抑制されるようになっている。この点については後述する。
このようなドア本体部1は、次のような製造方法により製造することができる。
<樹脂層形成工程>
所定形状にプレス加工されたインナパネル3を準備し、このインナパネル3に10Ωcm以上の抵抗値を有するエポキシ系樹脂又はアクリル系樹脂等からなるフィルム材を貼着することにより上記樹脂層3aを形成する。この場合、帯状のフィルム材を準備し、このフィルム材の幅方向略半分をインナパネル3の車外側の端部側面に沿って貼着した後、フィルム材の幅方向残り略半分をインナパネル3の末端で車内側に折り返して貼着する。これによりインナパネル3に樹脂層3aを形成する。
なお、樹脂層3aは、このようにエポキシ系樹脂又はアクリル系樹脂のフィルム材をインナパネル3に貼着する以外に、例えばエポキシ系又はアクリル系塗料をインナパネル3に塗装することにより形成することもできる。
<パネル接合工程>
所定形状にプレス加工されたアウタパネル4を準備する。この場合、アウタパネル4の下端部および前後端部は、図3(a)に示すように、例えば予め車内側に折り曲げた断面略L字型に加工しておく。
まず、同図に示すように、アウタパネル4に接着剤9を塗布した後、図3(b)に示すように、インナパネル3の下端部を、接着剤9を介してインナパネル3に重ね合わせる。この際、接着剤9は、アウタパネル4の車内側の側面のうちインナパネル3の車外側の側面が接合される位置にのみ塗布する。そして、図3(c)に示すように、アウタパネル4の下端部がインナパネル3の樹脂層3aに密着するようにアウタパネル4をプレス加工、ロール成形などによりヘミング加工する。これによりアウタパネル4の折り返し部4aでインナパネル3の下端部をその厚み方向に挟み込み、インナパネル3とアウタパネル4とをそれらの端部で接合する。
<シール工程>
図3(d)に示すように、アウタパネル4の折り返し部4aの末端(先端)に合成ゴムを主成分とするシール剤10を塗布する。シール剤10は、アウタパネル4の折り返し部4aの全域に亘って、かつ、同図に示すように樹脂層3aの末端部分を覆うようにアウタパネル4側からインナパネル3側に塗布する。これにより、図2に示すようなドア本体部1が完成する。
以上のような車両用ドアのドア本体部1によれば、上記の通り、インナパネル3が強度を有する鋼板により構成される一方で、アウタパネル4がアルミニウム合金により構成されているため、ドア本体部1の剛性を確保しつつその軽量化を図ることができる。
しかも、インナパネル3のうちヘミング加工によりアウタパネル4が接合される接合面には、上述の通り樹脂層3aが形成されるため、異種金属からなるパネル3、4同士を接合しながらも、電食を抑制することができるという利点がある。すなわち、電食は、異種金属の間に水等の導通性の液体が介在することにより局部電池を構成し、+側の金属(自然電位が低い金属)がイオン化することにより発生する。例えばドア本体部1において、仮にインナパネル3に樹脂層3aが形成されていない場合には、ヘム部6に水が侵入すると、まず、アウタパネル4(アルミニウム合金)よりも自然電位が低い、インナパネル表面の亜鉛メッキがイオン化することによりインナパネル3の表面が腐食し、亜鉛の消失後は、インナパネル3(鋼板)よりも自然電位が低いアウタパネル4(アルミニウム合金)がイオン化することにより、当該アウタパネル4が腐食することとなる。しかしながら、インナパネル3に樹脂層3aが形成されている上記ドア本体部1の構成によれば、ヘム部6に水が侵入した場合でも、インナパネル3の金属材料と水とが直接接触することがなく、しかも、この樹脂層3aが10Ωcm以上の抵抗値を有することで、インナパネル3と侵入した水との間の電荷の移動が阻止される。そのため、インナパネル3の材料である亜鉛及び鋼やアウタパネル4の材料であるアルミニウムがイオン化することが効果的に防止され、これによりヘム部6の電食が抑制される。
図4(a)〜(c)は、図5に示すような、上記ドア本体部1を模した試験片20を用いて腐食試験を行った結果である。
試験片20は、前記インナパネル3に相当する第1板材21と前記アウタパネル4に相当する第2板材22とを、当該第2板材22の下端部にヘミング加工を施すことにより互いに下端部で接合したものであり、図4(a)〜(c)はそれぞれ、第1板材21の構造のみが互いに異なる試験片20を用いて、各試験片20のヘム部24に対して一定期間(60日間)、潜水噴霧、乾燥及び湿潤(湿度90%以上)を組み合わせた複合腐食試験を行ったときの当該ヘム部24の腐食状態を、図5中の矢印A方向から観察した結果である。具体的には、図4(a)は、第1板材21として、亜鉛メッキのみが施された鋼板(樹脂層無し)を用いた試験片20の試験結果を、図4(b)は、第1板材21として、亜鉛メッキが施された鋼板の表面に10〜10Ωcm程度の抵抗値を有するエポキシ系樹脂層が形成された鋼板を用いた試験片20の試験結果を、図4(c)は、第1板材21として、亜鉛メッキが施された鋼板の表面に10Ωcm以上の抵抗値を有するエポキシ系樹脂層が形成された鋼板を用いた試験片20の試験結果をそれぞれ示している。つまり、図4(c)が本発明の実施例であり、図(a)、(b)が比較例である。なお、何れの試験片20も、第2板材22は同一のアルミニウム合金から構成されている。
これらの試験結果からも、第1板材21として、10Ωcm以上の抵抗値を有する樹脂層が形成された鋼板を用いた試験片20のヘム部24(図4(c))には、第1板材21に樹脂層が形成されていない試験片20(図4(a))や、樹脂層の抵抗値が10Ωcmに満たない試験片20(図4(b))のような腐食による膨れは見られず、従って、第1板材21に10Ωcm以上の抵抗値を有する樹脂層が形成されていることによってヘム部24の電気腐食が効果的に抑制されていることが考察できる。
また、図6は、別の腐食試験の結果である。この結果は、実際のドア本体部1について、抵抗値が10Ωcmの互いに厚さが異なるフィルム材A〜Cによりインナパネル3に樹脂層3aを形成した場合、抵抗値が10ΩcmのフィルムDによりインナパネル3に樹脂層3aを形成した場合、抵抗値が10Ωcmの樹脂層3aを電着塗装によりインナパネル3に形成した場合、およびインナパネル3に樹脂層3aを形成しない場合についてそれぞれ、各ヘム部6の上記複合腐食試験を行ったときの耐食性について評価した結果を示している。つまり、フィルム材A〜C及び電着塗装により樹脂層3aを形成したものが本発明の実施例であり、それ以外が比較例である。なお、評価は、一定期間(60日間)後のアウタパネル4の腐食深さを測定し(図7参照)、その測定値が0.1mm以下であるか否かを基準として耐食性の良否を評価した結果を示している。
この図6の結果から、インナパネル3に樹脂層3aが形成され、かつ、この樹脂層3aの抵抗値が10Ωcm以上である場合には、アウタパネル4の電食が効果的に抑制されることが考察できる。
従って、抵抗値が10Ωcm以上の樹脂層3aがインナパネル3に形成された上記ドア本体部1によれば、上記の通り、ヘム部6の電食を効果的に抑制しながら、ドア本体部1の剛性の確保と軽量化を両立させることができる。
特に、このドア本体部1では、アウタパネル4側ではなくインナパネル3側に樹脂層3aが形成されていることで、例えば樹脂層3aに傷等の欠陥が生じて電食が発生した場合でも、その進行が抑制されるという利点である。すなわち、電気腐食の進行は、自然電位の低い金属に対する自然電位の高い金属の面積比に比例して速くなる傾向がある。そのため、樹脂層3aに傷があってインナパネル3の一部が露出している場合には、インナパネル3の露出部分に対してアウタパネル4(アルミニウム合金)の面積が大きいために、当該インナパネル3の露出部分の亜鉛が比較的早期に消失することになるが、亜鉛の消失後は、アウタパネル4(アルミニウム合金)の面積に対してインナパネル3の露出部分(鋼板)の面積が小さくなるため、アウタパネル4(アルミニウム合金)のイオン化は緩慢になる。従って、アウタパネル4の電食の進行による薄厚化等が効果的に抑制される。
なお、このドア本体部1では、上記のように、当該ヘム部6は、インナパネル3の車外側の側面とアウタパネル4との間にのみ接着剤9が介在しており、インナパネル3の車内側の側面は、アウタパネル4の折り返し部4aが樹脂層3aに密着された上で当該折り返し部4aの末端にシール剤10が塗布されただけの構造となっている。これは、上記の通り、ヘム部6に水が侵入した場合でも電食を効果的に抑制されることで、インナパネル3とアウタパネル4との対向面の全体に亘って接着剤を介在させて水の侵入を防止する必要がないためである。このようにインナパネル3の車外側の側面とアウタパネル4との間にのみ接着剤9を介在させる構成によれば、アウタパネル4のヘミング加工の際に接着剤が折り返し部の末端部分に押し出されることを防止できるため、押し出された接着剤を拭き取るといった後処理が不要になる。従って、上記ドア本体部1によれば、インナパネル3とアウタパネル4の接合作業の作業性が向上するという利点もある。
なお、以上説明した車両用ドア(ドア本体部1)およびその製造方法は、本発明にかかる異種金属接合体およびその製造方法の好ましい実施形態の例示であって、車両用ドア(ドア本体部1)の具体的な構成や製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更である。
例えば、インナパネル3の樹脂層3aは、上記のようにエポキシ系樹脂等からなるフィルム材をインナパネル3に貼着し、あるいはエポキシ系塗料をインナパネル3に電着塗装する以外に、例えば、インナパネル3の端部を嵌入可能な溝部を有する断面U字型の樹脂製(エポキシ系樹脂又はアクリル系樹脂)の被覆体を予め成型しておき、この被覆体をインナパネル3の端部に嵌合させることにより樹脂層3aを形成するようにしてもよい。
また、樹脂層3aは、10Ωcm以上の抵抗値を有していれば、エポキシ系樹脂又はアクリル系樹脂以外の材料から形成されるものであってもよい。
また、図2に示したドア本体部1では、インナパネル3のうち車外側の側面とアウタパネル4との間にのみ接着剤9が介在しているが、勿論、インナパネル3とアウタパネル4との対向面の全体に亘って接着剤が介在するようにしてもよい。なお、樹脂層3aによりアウタパネル4との接着機能が十分にある際は、接着剤9を不要にすることも可能である。
また、上述した実施形態では、本発明の異種金属接合体として車両用のサイドドアについて説明したが、本発明は、サイドドアに限らず、バックドア、ボンネット、トランクグリット等、インナパネル(第1パネル)とアウタパネル(第2パネル)とを当該アウタパネルのヘミング加工により接合する部品であれば適用可能である。また、インナパネルとアウタパネルとが異種金属材料で構成されており、かつ、アウタパネル側の金属材料の自然電位が低いものであれば、上記の作用効果を奏することが可能である。従って、インナパネルとアウタパネルの各金属材料の組合せは、鋼板とアルミニウム合金以外に、鋼板とマグネシウム合金等であってもよい。
1 ドア本体部
2 窓枠部
3 インナパネル
4 アウタパネル
4a 折り返し部
6 ヘム部
8 樹脂層
9 接着剤
10 シール剤

Claims (8)

  1. 車両に用いられる異種金属接合体であって、
    金属製の第1パネルと、この第1パネルよりも自然電位の低い金属材料からなる第2パネルとを備え、前記第1パネルの端部を内包するように前記第2パネルの端部にヘミング加工が施されることで両パネルがそれらの端部で接合されたものであり、
    前記第1パネルは、その表面のうち少なくとも前記第2パネルが接合される接合面を含む領域に10Ωcm以上の抵抗値を有する樹脂層が形成されたものであることを特徴とする車両の異種金属接合体。
  2. 請求項1に記載の車両の異種金属接合体において、
    前記第1パネルは、亜鉛系メッキが施された鋼製パネルであり、前記第2パネルは、鋼材よりも自然電位の低い軽金属製パネルであることを特徴とする車両の異種金属接合体。
  3. 請求項2に記載の車両の異種金属接合体において、
    前記第1パネルは、前記車両のドアのインナパネルであり、前記第2パネルは、前記ドアのアウタパネルであることを特徴とする車両の異種金属接合体。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の車両の異種金属接合体において、
    前記樹脂層は、10Ωcm以上の抵抗値を有するフィルム材が前記第1パネルの表面に貼着されることにより形成されていることを特徴とする車両の異種金属接合体。
  5. 異種金属からなる第1パネル及び第2パネルが互いに接合された異種金属接合体の製造方法であって、
    前記第1パネルを準備し、この第1パネルの端部の表面であって少なくとも前記第2パネルが接合される接合面を含む領域に10Ωcm以上の抵抗値を有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
    前記第1パネルよりも自然電位の低い金属材料からなる前記第2パネルを準備し、前記第1パネルと前記第2パネルとを重ね合わせ、前記第1パネルの端部を内包するように前記第2パネルの端部にヘミング加工を施すことにより両パネルの端部同士を接合するパネル接合工程とを、含むことを特徴とする異種金属接合体の製造方法。
  6. 請求項5に記載の異種金属接合体の製造方法において、
    前記樹脂層形成工程では、10Ωcm以上の抵抗値を有するフィルム材を前記第1パネルに貼着することにより前記樹脂層を形成することを特徴とする異種金属接合体の製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載の異種金属接合体の製造方法において、
    前記パネル接合工程では、前記第1パネルのうち前記ヘミング加工により前記第2パネルの折り返し部が対向する側の面とは反対側の面と前記第2パネルとの間にのみ予め接着剤を介在させた状態で前記第2パネルにヘミング加工を施すとともに、前記第2パネルの折り返し部を前記樹脂層に密着させることを特徴とする異種金属接合体の製造方法。
  8. 請求項5乃至7の何れか一項に記載の異種金属接合体の製造方法において、
    前記ヘミング加工により折り返された前記第2パネルの折り返し部の末端を覆うように、前記第2パネルと前記第1パネルとの間をシール剤によりシールするシール工程をさらに含むことを特徴とする異種金属接合体の製造方法。
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