JP2013116456A - 生物活性炭塔の逆洗方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生物活性炭塔の逆洗後の通水再開初期における処理水の水質(TOC濃度、SID値)の悪化を防止する。
【解決手段】逆洗水として還元処理を施した水を用いる。生物活性炭塔の逆洗に用いる水を予め還元処理することにより、逆洗時の生物活性炭塔内の微生物の死滅ないし生育阻害、バイオフィルムの剥離を防止し、逆洗後の通水再開初期における処理水の水質の悪化を防止することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、生物活性炭塔の逆洗方法に係り、特に、逆洗後の通水再開初期における生物活性炭塔の処理水の水質悪化を防止する生物活性炭塔の逆洗方法に関する。
塔内に充填されている活性炭に微生物を担持させた生物活性炭塔は、
(1) 活性炭による有機物吸着効果
(2) 生物膜による有機物分解効果
(3) 活性炭内の微生物が活性炭に吸着した有機物を分解して細孔容積を回復させる
生物再生効果
の3つの機構で、有機物含有水中の有機物を高度に除去することができ、また、微生物を担持させていない活性炭塔に比べて活性炭自体の吸着能が飽和に達するまでの時間が著しく長いといった優れた効果を有することから、各種の有機物含有排水の処理に適用されている。
生物活性炭塔では、処理を継続すると、有機物の吸着及び微生物の増殖で塔内の差圧が上昇するため、1日〜数日に1回の頻度で逆洗が行われる。この逆洗水として、生物活性炭塔の原水又は処理水を用いるのが一般的であり、特許文献1には、生物活性炭塔の処理水で逆洗を行うことが記載されている。
特開平7−232188号公報
生物活性炭塔の原水には、通常、次亜塩素酸ナトリウム等の殺菌剤(酸化剤)が添加されており、このような原水を用いて生物活性炭塔を逆洗すると、逆洗水中に含まれる殺菌剤により、生物活性炭塔内の活性炭に担持されている微生物が死滅ないし生育が阻害され、逆洗後の通水再開初期において生物活性炭塔の有機物分解性能が損なわれ、処理水の水質(TOC濃度)が悪化するという問題があった。また、逆洗後の通水再開初期において、死滅した菌体の集合体であるバイオフィルムが処理水中にリークし、処理水の濁度およびSDI値(Silt Density Index)も悪化するという問題があった。
即ち、原水の通水運転時において、殺菌剤を含む原水を生物活性炭塔に通水しても、原水中の殺菌剤は生物活性炭塔の入口側で活性炭により分解除去されてしまうため、この入口側以外の活性炭層に担持された微生物により、原水中の有機物は除去されるが、逆洗時においては、塔内全体で活性炭が逆洗水により大きく流動、攪拌され、活性炭に付着している微生物が逆洗水中の殺菌剤に晒される結果、処理水ないし活性炭から剥離し、その結果、その活性が損なわれると共に、バイオフィルムが剥離することとなる。
逆洗後、原水の通水を継続することにより、生物活性炭塔内に次第に微生物が増殖し、有機物の分解性能も高められて、処理水の水質は向上するが、そのためには、長時間の立ち上げ運転が必要となる。
同様に、処理水を用いて逆洗を行う場合においても、生物活性炭塔の処理水は、通常、貯留中の細菌の発生、増殖を防止するために、スライムコントロール剤が添加されて貯留されるため、処理水により逆洗する場合においても、殺菌剤を含む原水による逆洗のときと同様に、逆洗後の通水再開初期における処理水のTOC濃度、SDI値の悪化の問題が発生する。
本発明は上記従来の問題点を解決し、生物活性炭塔の逆洗後の通水再開初期における処理水の水質(TOC濃度、SDI値)の悪化を防止することができる生物活性炭塔の逆洗方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、生物活性炭塔の逆洗に用いる水を予め還元処理することにより、逆洗時の生物活性炭塔内の微生物の死滅ないしは生育阻害、活性炭からの剥離を抑制し、逆洗後の通水再開初期における処理水の水質の悪化を防止することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 原水の処理に供した生物活性炭塔を逆洗する方法において、逆洗水として還元処理を施した水を用いることを特徴とする生物活性炭塔の逆洗方法。
[2] [1]において、前記原水は殺菌剤を含み、前記逆洗水が、還元剤を添加した原水であることを特徴とする生物活性炭塔の逆洗方法。
[3] [1]において、前記原水の処理で得られた処理水にスライムコントロール剤を添加して貯留し、該貯留水に還元剤を添加して逆洗水とすることを特徴とする生物活性炭塔の逆洗方法。
[4] [2]又は[3]において、前記還元剤を、該還元剤が添加される水の還元当量の50〜90%となる量添加することを特徴とする生物活性炭塔の逆洗方法。
本発明によれば、生物活性炭塔の逆洗に用いる水を予め還元処理することにより、逆洗時の生物活性炭塔内の微生物の死滅ないし生育阻害、活性炭からの剥離を抑制し、逆洗後の通水再開初期におけるバイオフィルムのリークを防止すると共に、通水再開初期において、生物活性炭層の微生物による有機物分解効果を早期に発揮させることができる。
このため、逆洗後の通水再開初期においても良好な水質の処理水を得ることができ、また、逆洗後、長時間の立ち上げ運転を必要とすることなく、逆洗後は早期に処理水を採水することが可能となる。
本発明の生物活性炭塔の逆洗方法の実施の形態を示す系統図であって、(a)図は原水の通水処理時を示し、(b)図は原水による逆洗時、(c)図は処理水による逆洗時を示す。 実施例1及び比較例1における通水再開初期の処理水の水質の経時変化を示すグラフであり、(a)図は処理水TOC濃度を、(b)図は処理水SDI値をそれぞれ示す。
以下に図面を参照して、本発明の生物活性炭塔の逆洗方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の生物活性炭塔の逆洗方法の実施の形態を示す系統図であって、(a)図は原水の通水処理時を示し、(b)図は原水による逆洗時、(c)図は処理水による逆洗時を示す。図1中、1は原水貯槽、2は生物活性炭塔、3は処理水貯槽を示す。V〜Vは開閉バルブであり、黒塗りのバルブは開の状態(水が流れている)を示し、白抜きのバルブは閉の状態(水が流れていない)を示す。
原水の通水処理時においては、図1(a)に示す如く、バルブV,Vを開、その他のバルブを閉として、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の塩素系殺菌剤などの殺菌剤が添加された原水を、原水貯槽1を経て生物活性炭塔2に通水する。生物活性炭塔2の流出水は、上記の塩素系殺菌剤や、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ベンゾイソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾリン系スライムコントロール剤などが添加されて処理水貯槽3に貯留される。
このような生物活性炭処理において、定期的に、或いは生物活性炭塔2の差圧の上昇が検出されたときに、生物活性炭塔1への原水の通水を停止して、逆洗を行う。
図1(b)は原水により逆洗を行う場合を示し、バルブV,V,Vを閉、バルブV,V,Vを開として、原水貯槽1からの原水に還元剤を添加した後、生物活性炭塔2に、原水の通水処理時とは逆方向に通水して逆洗排水を系外に排出する。
図1(c)は処理水により逆洗を行う場合を示し、バルブV,V,Vを閉、バルブV,V,Vを開として、処理水貯槽3からの処理水に還元剤を添加した後、生物活性炭塔2に、原水の通水処理時とは逆方向に通水して逆洗排水を系外に排出する。
本発明においては、このように、生物活性炭塔2の逆洗に供する水に還元剤を添加して還元処理することにより、逆洗時の生物活性炭塔内の微生物の活性阻害やバイオフィルムの剥離を抑制し、逆洗後の通水再開初期におけるバイオフィルムのリークを防止すると共に、通水再開初期において早期に微生物による有機物分解効果を発揮させることが可能となる。
逆洗水に添加する還元剤としては、原水中の殺菌剤や処理水中のスライムコントロール剤等の酸化剤の還元分解能を有するものであればよく、特に制限はないが、SBS(重亜硫酸ナトリウム)、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等が用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
還元剤の添加量は、これを添加する水(原水又は処理水)中の殺菌剤やスライムコントロール剤などの酸化剤の含有量に応じて適宜決定されるが、本発明においては、これらの水に含まれる酸化剤の全量を還元するために必要な還元剤量(還元当量)の50〜90%、特に70〜80%程度の量の還元剤を添加して、逆洗水中に若干量の酸化剤を残留させて逆洗を行うことが好ましい。
即ち、生物活性炭塔2内の生物活性炭層は、通常、生物活性炭塔2の下部に設けられたストレーナや砂利層上に形成されており、例えば、図1(b)、(c)に示すように、原水や処理水を生物活性炭塔2の底部から上向流で逆洗水を導入して逆洗を行う場合、逆洗水中に残留する若干量の酸化剤により、ストレーナや砂利層を殺菌処理することができ、生物活性炭塔2の清浄効果を高めることができる。このように、酸化剤を含む逆洗水で逆洗を行っても、酸化剤中の残留酸化剤は、ストレーナや砂利層の殺菌に使用されるため、その上に形成された生物活性炭層の逆洗においては、従来法のような逆洗水中の酸化剤による問題が起こることはない。
本発明が適用される生物活性炭塔への活性炭の充填方式は、流動床、膨張層、固定床などのいずれでもよいが、菌体のリークが少ないところから固定床が好ましい。生物活性炭塔の原水の通水方式は上向流通水であっても下向流通水であっても良い。
また、生物活性炭塔の処理条件には特に制限はないが、通水速度は、SV5〜20hr−1程度とすることが好ましい。
逆洗時の生物活性炭塔への逆洗水の通水条件としては、例えば、下向流で原水を通水して処理し、逆洗水を上向流で通水して逆洗する場合において、生物活性炭層が、静置時の高さの120〜130%程度に展開されるような逆洗水の通水条件とすることが好ましい。
なお、図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示のものに限定されるものではない。
例えば、逆洗水の還元処理としては、還元剤の添加の他、酸化剤を吸着剤で除去する方法なども採用可能であるが、還元剤の添加による方法が最も簡便で、工業的に有利である。
また、逆洗水としては、原水や処理水以外のものを用いることもできるが、本発明は、殺菌剤やスライムコントロール剤といった酸化剤を含む水を逆洗水とする場合に有効である。
なお、原水と処理水とを混合して逆洗水としてもよいことは言うまでもない。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
TOC濃度0.5mg/Lの半導体工場排水に次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を遊離塩素濃度0.5mg/Lとなるように添加した後、固定床式生物活性炭塔にSV10hr−1で下向流通水して処理し、通水1日後に逆洗を行った。
逆洗水としては、原水に、原水中の遊離塩素の80%を還元し得る量の重亜硫酸ナトリウム(NaHSO)を添加したものを用い、生物活性炭層が静置時の120%の高さとなる条件で上向流通水して10分間逆洗を行った。
このような逆洗を行った後、原水の通水処理を再開し、通水再開初期の処理水(生物活性炭塔流出水)のTOC濃度とSDI値の経時変化を調べ、結果を図2(a),(b)に示した。
[比較例1]
実施例1において、原水に重亜硫酸ナトリウムを添加せずに逆洗を行ったこと以外は同様にして逆洗を行い、逆洗後の通水再開初期の処理水(生物活性炭塔流出水)のTOC濃度とSDI値の経時変化を調べ、結果を図2(a),(b)に示した。
図2(a),(b)より、本発明によれば、逆洗水に還元剤を添加して逆洗水中の殺菌剤を除去して逆洗に用いることにより、逆洗後の通水再開初期においても、TOC濃度及びSDI値の低い良好な水質の処理水を得ることができることが分かる。
1 原水貯槽
2 生物活性炭塔
3 処理水貯槽

Claims (4)

  1. 原水の処理に供した生物活性炭塔を逆洗する方法において、逆洗水として還元処理を施した水を用いることを特徴とする生物活性炭塔の逆洗方法。
  2. 請求項1において、前記原水は殺菌剤を含み、前記逆洗水が、還元剤を添加した原水であることを特徴とする生物活性炭塔の逆洗方法。
  3. 請求項1において、前記原水の処理で得られた処理水にスライムコントロール剤を添加して貯留し、該貯留水に還元剤を添加して逆洗水とすることを特徴とする生物活性炭塔の逆洗方法。
  4. 請求項2又は3において、前記還元剤を、該還元剤が添加される水の還元当量の50〜90%となる量添加することを特徴とする生物活性炭塔の逆洗方法。
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