JP2013116010A - 回転電機のロータコア - Google Patents
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Abstract
【課題】材料の歩留まりを向上した回転電機のロータコアを提供する。
【解決手段】ピンを嵌挿する固定孔19の周囲に、ピンから作用する応力に基づいて強度的に必要な応力円rを算出し、コアプレート片13の周方向両端部の内径側cを、応力円rにかからないように切除する。コアプレート片13に永久磁石を埋設し、該永久磁石の磁力線を強めるために磁気回路的に必要な半径線Bを算出して、該半径線Bとコアプレート片13の端面fで交差Pする応力円rの接線sにおいて、コアプレート片13の周方向両端部の内径側cを切除する。
【選択図】図2
【解決手段】ピンを嵌挿する固定孔19の周囲に、ピンから作用する応力に基づいて強度的に必要な応力円rを算出し、コアプレート片13の周方向両端部の内径側cを、応力円rにかからないように切除する。コアプレート片13に永久磁石を埋設し、該永久磁石の磁力線を強めるために磁気回路的に必要な半径線Bを算出して、該半径線Bとコアプレート片13の端面fで交差Pする応力円rの接線sにおいて、コアプレート片13の周方向両端部の内径側cを切除する。
【選択図】図2
Description
本発明は、複数のコアプレートが積層されて構成される回転電機のロータコアに係り、詳しくは、それらコアプレートを構成するコアプレート片の構造に関する。
一般に、電磁鋼板等の薄板状の積層材料をプレスによって打ち抜いて、円環状に構成したコアプレートを積層して形成される回転電機のロータコアが知られている。このような円環状のコアプレートを打ち抜くやり方では積層材料の歩留まりが低いため、円環状のコアプレートを周方向に分割し、該分割したコアプレート片を積層材料から複数打ち抜いて、これらコアプレート片を周方向に連結すると共に軸方向に積層し、複数の上記コアプレート片を軸方向に貫通するピン等によって固定してロータコアを形成するものが案出されている(特許文献1参照)。
上記特許文献1記載のものは、各コアプレート片にピンを貫通させるための孔を設ける必要があり、その分径方向にコアプレート片の幅が大きくなってしまう。そのため、積層材料からコアプレート片を打ち抜く際の歩留まりが低くなると共に、ロータコアが大型化、重量化してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、コアプレート片の径方向の幅を短くして、もって上述の課題を解決した回転電機のロータコアを提供することを目的とするものである。
本発明は、同一円周上に複数の固定孔(19)を有し、薄板円弧状からなるコアプレート片(13)を、周方向に円環状に連結してコアプレート(11)を形成し、前記コアプレート片(13)の前記固定孔(19)を軸方向に揃え、これら固定孔(19)を貫通した固定部材により前記コアプレート(11)を複数枚積層して固定してなる回転電機のロータコア(10)において、
前記コアプレート片(13)の周方向両端部の内径側(c)を、該両端部側に位置する前記固定孔(19)に作用する応力に基づいて算出される、強度的に必要な応力円(r)にかからないように、直線的もしくは曲線的に切除してなる。
前記コアプレート片(13)の周方向両端部の内径側(c)を、該両端部側に位置する前記固定孔(19)に作用する応力に基づいて算出される、強度的に必要な応力円(r)にかからないように、直線的もしくは曲線的に切除してなる。
例えば図2を参照して、前記コアプレート片(13)が、前記応力円(r)の接線(s)と、前記コアプレート片(13)の内周面(A)の延長線と、該コアプレート片の端面(f)の延長線と、で囲まれた部分を切除してなる。
好ましくは、前記コアプレート片(13)が、複数の貫通孔(17)を有し、軸方向に揃えられた前記コアプレート片(13)の前記貫通孔(17)に、永久磁石が貫通するように埋設され、
前記接線(s)が、前記永久磁石の磁力線を強めるために磁気回路的に必要な半径線(B)と、前記コアプレート片(13)の端面(f)で交差(P)してなる。
前記接線(s)が、前記永久磁石の磁力線を強めるために磁気回路的に必要な半径線(B)と、前記コアプレート片(13)の端面(f)で交差(P)してなる。
更に好ましくは、前記接線(s)が、前記コアプレート片(13)を周方向に2等分する中心線(l−l)に対して垂直な線に平行な線(m−m)からなる。
例えば図2を参照して、前記応力円(r)が、前記コアプレート片(13)の内周面(A)と接してなる。
なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するものであるが、何ら本発明の構成を限定するものではない。
請求項1に係る本発明によると、機械強度的に必要な部分である応力円にかからないように、前記コアプレート片の両端部の内径側を切除したので、コアプレートの機械強度を保証し得るものでありながら、積層材料から打ち抜き加工する際の材料の歩留まりを向上することができると共に、コアプレート片を切除した分だけ軽量化することができ、ロータコアの性能を向上できる。
請求項2に係る本発明によると、前記応力円の接線で前記コアプレート片を切除したので、更に積層材料から打ち抜き加工する際の材料の歩留まりを向上することができる。
請求項3に係る本発明によると、前記接線が、前記コアプレート片が磁気回路的に必要な半径線と前記コアプレート片の端面で交差し、該接線においてコアプレート片を切除したので、機械強度的、磁気回路的な要請を充たしつつ、効率的に積層材料から打ち抜き加工する際の材料の歩留まりを向上することができる。
請求項4に係る本発明によると、前記接線が、前記前記コアプレート片を周方向に2等分する中心線に対して垂直な線に平行な線からなるので、コアプレート片の前記中心線方向の幅を効率的に削減し、積層材料から打ち抜き加工する際の材料の歩留まりを向上することができる。
請求項5に係る本発明によると、前記応力円に前記コアプレート片の内周面が接するように設定されるので、機械強度を損なうことなくコアプレート片の径方向幅を短くして、積層材料から打ち抜き加工する際の材料の歩留まりを向上することができる。
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。IPM(埋込磁石内蔵型同期)モータ(回転電機)用のロータコア10は、図1、図2に示すように、円環形状のコアプレート11を軸方向に複数枚積層してなり、上記コアプレート11は、周方向に均等に分割した複数(本実施の形態では5枚)のコアプレート片13からなる。
上記コアプレート片13は、薄板円弧状からなり、周方向一端部には、隣接するコアプレート片13と連結するための突起部15が形成されており、他端部には、上記コアプレート片13の突起部15が嵌め込まれる嵌め込み部16が形成されている。上記コアプレート11には、これらコアプレート片同士の継ぎ目C1(C2)、即ち突起部15と嵌め込み部16との接合箇所がコアプレート片13の数と同数形成されている。
上記コアプレート11は、どの一層のコアプレート11も同じ形状のコアプレート片13を複数枚(本実施の形態では5枚)結合して円環状に形成されており、軸方向に重なる(隣接する)コアプレート11に対してコアプレート片の継ぎ目C1(C2)の円周方向の位置を一層毎に交互にずらすレンガ積みによって積層されている。例えば図1において、便宜的にロータコア10の底部から数えて積層されたコアプレートを奇数層と偶数層とに分けると、奇数層(奇数番目のコアプレート11)と偶数層(偶数番目のコアプレート11)では、平面視(軸方向からみて)隣接するコアプレート片13の継目位置が異なる。奇数層目のコアプレートの継目C1と偶数層目のコアプレートの継目C2とでは、上記コアプレート片13の周方向半分だけ(36°)ずれるように積層されて(レンガ積みという)、強度の向上が図られている。
上記コアプレート片13は、図2に示すように、外周近傍の同一円周上に、ネオジウム磁石などの希少土類永久磁石が嵌挿される複数(本実施の形態では4個)の貫通孔17を有し、上記貫通孔17より内周側に、上記コアプレート片13を軸方向に複数枚積層して固定するための固定孔19を同一円周上に複数(本実施の形態では4個)有する。上記各固定孔19にはピン又はボルト等の固定部材が嵌通し、複数のコアプレート片13を軸方向に固定するが、該ピンから上記固定孔19に作用する応力に基づいて、上記固定孔19を中心とする強度的に必要なプレート幅部分である応力円rが算出される。上記コアプレート片13は、上記応力円rを保持するように所定のプレート幅が必要となり、上記応力円rに接するように上記コアプレート片13の内周面Aが円弧状に設定されている。
また、上記コアプレート片13は、上記貫通孔17に嵌挿される永久磁石を磁気解析することによって、該永久磁石の磁力線を強めるために磁気回路的に必要な半径線Bが算出されている。上記コアプレート片13は、略円弧形状から、該コアプレート片13の周方向両端部の内径側c(図の斜線部分:応力円rの接線と、コアプレート片13の内周面Aの延長線と、該コアプレート片13の端面fの延長線と、で囲まれた部分)が切除されており、該切除断面(s)は、平面視で、上記半径線Bと上記コアプレート片13の端面fで交差(P)する応力円rの接線sである。該接線sは、上記コアプレート片13を周方向に2等分する中心線l−lに対して垂直な線に平行な線m−mであって、磁気回路的にも機械強度的にも性能上問題がない部分を切除している。これにより、上記中心線l−l方向のプレート幅を所定幅d削減している。
なお、上記コアプレート片13の切除断面は、平面視で、上述の応力円rの接線sのように直線的だけでなく、図3(a)(b)に示すように曲線的に切断してもよく、上記直線的もしくは曲線的な切除断面は、上記応力円rに実質的にかからないように設定される。
上記コアプレート片13は、電磁鋼板等の積層材料からプレスにより打ち抜いて形成されるが、図4に示すように、上記コアプレート片13の横幅(周方向幅)より僅かに広い幅広の帯鋼板(電磁鋼コイル材)等の材料20から、上記コアプレート片13を縦方向に順送りして打ち抜く場合(縦抜き加工)には、図6に示す従来のコアプレート片3を縦に並べて打ち抜く場合に必要な材料長さLと比較して、順送り方向の長さ(例えばコアプレート片5枚送りの所定長さe)だけ材料20が短くて済み、材料の歩留まりを向上することができる。上記所定長さeは、上記コアプレート片13の周方向両端部の内径側cを切除したことによって削減した所定幅dに起因し、上記ロータコア10を製造するにあたり上記コアプレート片13は多数必要であるので、その分材料の歩留まりの向上効果は大きい。
また、図5に示すように、上記コアプレート片13の縦幅(径方向幅)より僅かに広い幅狭の材料20から、上記コアプレート片13を横方向に順送りして打ち抜く場合(横抜き加工)には、打ち抜くのに必要な積層材料幅Wであった図7に示す従来のコアプレート片3と比較して、上記所定幅gの分だけ狭い材料を用いることができ、その分材料の歩留まりを向上することができる。上記所定幅gは、上記コアプレート片13の周方向両端部の内径側cを切除したことによって削減した所定幅dと等しい(g=d)が、横抜き加工の場合には、多数のコアプレート片13を打ち抜くために材料の長さが特に長く必要となるので、所定幅gの分、必要な積層材料幅を短くできたことの歩留まりの向上効果は大きい。
本実施の形態は、以上のような構成からなるので、作業者は、ロータコア10を作製するのにあたり、図1に示すように、治具(不図示)にコアプレート片13を環状に並べてコアプレート11を形成すると共に、このコアプレート上に次のコアプレート片13を積層していく。この時、治具はコアプレートの層が変わる度に所定角度(36°)だけ回転させられるため、上記コアプレート11は、積層方向に隣接するコアプレート11とコアプレート片13の継ぎ目C1,C2の位置が一層ずつ交互にずれるように積層(レンガ積み)される。そして、隣接する各コアプレート11は、永久磁石が嵌挿される貫通孔17及びピンが貫通する固定孔19が軸方向に揃えられている。上記コアプレート片13の両端部内径側cを切除したことにより形成された窪部21は、上記レンガ積みによって、積層されたロータコアにおいては投影形状が円環となり、ハブ等との嵌め合いに対しても影響がない。
次に、作業者は、このロータコア10の軸方向に揃えられた各貫通孔17に、例えば接着剤等を表面に塗布した細長の永久磁石を嵌挿・埋設し、更に、上記各固定孔19に軸方向に貫通するピンを嵌挿することで、積層された上記コアプレート11が固定されてロータコア10が形成される。そして、該ロータコア10を組み込んでIPMモータ(回転電機)が形成される。
なお、例えばピンとピンとの間近傍に、補強的にダボでかしめつつ、永久磁石及びピンによって積層されたコアプレートを固定しても良い。
また、本実施の形態においては、コアプレート片13の継目C1,C2が一層ずつ交互に位置するようにレンガ状に積層したものを説明したが、これに限らず、複数層ずつで継目C1,C2が交互となるように積層しても構わず、つまり継目が所定層数(一層又は複数層)ごとに交互に異なるようにコアプレートを積層したものであれば本発明を適用し得る。
また、コアプレート片は、コアプレートを5分割したものでなくてもよく、複数枚に分割したものであれば、何分割したものでもよい。
また、IPMモータに限らず、例えば永久磁石を具備しないリラクタンスモータ等にも本発明を適用しても良く、どのような回転電機のロータコアに適用しても良い。
10 ロータコア
11 コアプレート
13 コアプレート片
17 貫通孔
19 固定孔
c 周方向両端部の内径側
f 端面
r 応力円
s 接線
A 内周面
B 半径線
l−l 中心線
m−m 平行な線
11 コアプレート
13 コアプレート片
17 貫通孔
19 固定孔
c 周方向両端部の内径側
f 端面
r 応力円
s 接線
A 内周面
B 半径線
l−l 中心線
m−m 平行な線
Claims (5)
- 同一円周上に複数の固定孔を有し、薄板円弧状からなるコアプレート片を、周方向に円環状に連結してコアプレートを形成し、前記コアプレート片の前記固定孔を軸方向に揃え、これら固定孔を貫通した固定部材により前記コアプレートを複数枚積層して固定してなる回転電機のロータコアにおいて、
前記コアプレート片の周方向両端部の内径側を、該両端部側に位置する前記固定孔に作用する応力に基づいて算出される、強度的に必要な応力円にかからないように、直線的もしくは曲線的に切除してなる、
ことを特徴とする回転電機のロータコア。 - 前記コアプレート片が、前記応力円の接線と、前記コアプレート片の内周面の延長線と、該コアプレート片の端面の延長線と、で囲まれた部分を切除してなる、
請求項1記載の回転電機のロータコア。 - 前記コアプレート片が、複数の貫通孔を有し、軸方向に揃えられた前記コアプレート片の前記貫通孔に、永久磁石が貫通するように埋設され、
前記接線が、前記永久磁石の磁力線を強めるために磁気回路的に必要な半径線と、前記コアプレート片の端面で交差してなる、
請求項2記載の回転電機のロータコア。 - 前記接線が、前記コアプレート片を周方向に2等分する中心線に対して垂直な線に平行な線からなる、
請求項2又は3記載の回転電機のロータコア。 - 前記応力円が、前記コアプレート片の内周面と接してなる、
請求項1ないし4のいずれか記載の回転電機のロータコア。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011262770A JP2013116010A (ja) | 2011-11-30 | 2011-11-30 | 回転電機のロータコア |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011262770A JP2013116010A (ja) | 2011-11-30 | 2011-11-30 | 回転電機のロータコア |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2013116010A true JP2013116010A (ja) | 2013-06-10 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015056984A (ja) * | 2013-09-12 | 2015-03-23 | 三菱電機株式会社 | 回転電機及びそれを備えた空調機器 |
JPWO2015198382A1 (ja) * | 2014-06-23 | 2017-04-20 | 日産自動車株式会社 | 回転電機用同期ロータ |
-
2011
- 2011-11-30 JP JP2011262770A patent/JP2013116010A/ja active Pending
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