JP2013112774A - 電気電子部品封止用樹脂組成物、電気電子部品封止体およびその製造方法 - Google Patents
電気電子部品封止用樹脂組成物、電気電子部品封止体およびその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】共重合ポリエステルエラストマー(A)から主としてなる電気電子部品封止用樹脂組成物であって、フォスファイト系化合物(B1)、ベンゼン環1個のヒンダードフェノール系化合物(B2)、ベンゼン環3個乃至4個のヒンダードフェノール系化合物(B3)成分、ベンゾフラノン系化合物(B4)成分およびチオエーテル系化合物(B5)成分を含有し、(B1)〜(B5)成分の合計が樹脂組成物全体に対して0.1〜5重量%であることを特徴とする電気電子部品封止用樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
<2> 前記共重合ポリエステルエラストマー(A)が、ポリカーボネート成分、ポリアリキレングリコール成分および/またはポリラクトン成分が合計25〜75重量%共重合されているものであることを特徴とする<1>に記載の電気電子材料封止材用樹脂組成物。
<3> 前記共重合ポリエステルエラストマー(A)が、テレフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸が全酸成分に対して50モル%以上共重合されているものであることを特徴とする<1>または<2>に記載の電気電子材料封止材用樹脂組成物。
<4> <1>〜<3>いずれかに記載の樹脂組成物により封止されている電気電子部品封止体。
<5> <1>〜<3>いずれかに記載の樹脂組成物を用いてインサート成型法により電気電子部品を封止する工程を有する電気電子部品封止体の製造方法。
本発明に用いる共重合ポリエステルエラストマー(A)は、主としてポリエステルセグメントからなるハードセグメントと、主としてポリカーボネートセグメント、ポリアリキレングリコールセグメントおよび/またはポリラクトンセグメントからなるソフトセグメントとがエステル結合により結合された化学構造からなる。前記ポリエステルセグメントは芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールおよび/または脂環族グリコールとの重縮合により形成しうる構造のポリエステルから主としてなることが好ましい。前記ソフトセグメントは、共重合ポリエステルエラストマー全体に対して20重量%以上80重量%以下含有されることが好ましく、30重量%以上70重量%以下含有されることがより好ましく、40重量%以上60重量%以下含有されることが更に好ましい。
本発明の共重合ポリエステルエラストマーのハードセグメントは、主としてポリエステルセグメントからなるハードセグメントからなることが好ましい。
本発明の共重合ポリエステルエラストマーのソフトセグメントは、主としてポリカーボネートセグメント、ポリアリキレングリコールセグメントおよび/またはポリラクトンセグメントからなるソフトセグメントからなることが好ましい。ソフトセグメントの共重合比率は前記共重合ポリエステルエラストマー(A)を構成するグリコール成分全体を100モル%としたとき1モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがより好ましく、10モル%以上であることが更に好ましく、20モル%以上であることが特に好ましい。また、90モル%以下であることが好ましく、55モル%以下であることがより好ましく、50モル%以下であることが更に好ましく、45モル%以下であることが特に好ましい。ソフトセグメントの共重合比率が低すぎると、本発明の樹脂組成物の溶融粘度が高くなり低圧で成形できない、または、結晶化速度が速くショートショットが発生する等の問題を生じる傾向にある。また、ソフトセグメントの共重合比率が高すぎると本発明の封止体の耐熱性が不足する等の問題を生じる傾向にある。
本発明の樹脂組成物に用いる(B1)成分は一般式(1)に示されるリン系化合物であり、(B2)成分は一般式(2)に示されるヒンダードフェノール系化合物であり、(B3)は一般式(3)に示されるヒンダードフェノール系化合物であり、(B4)は一般式(4)に示されるベンゾフラノン系化合物であり、(B5)は一般式(5)に示されるチオエーテル系化合物である。(B1)〜(B5)成分の合計は樹脂組成物全体に対して0.1〜5重量%であり、より好ましくは0.2〜3重量%である。(B1)〜(B5)成分の合計添加量が少なすぎる場合には耐加水分解性に対する効果を発揮せず、合計添加量が多すぎる場合には樹脂特性に悪影響を与えることがある。また、(B1)〜(B5)成分の全てを含有していることが重要であり、いずれかの成分が欠けると、130℃、500時間の高温環境負荷および85℃、85%RH、500時間高温高湿環境負荷に対する耐久性を発揮することが困難となる。
(B1)成分は一般式(1)に示されるリン系化合物である。
一般式(1);
(B2)成分は一般式(2)に示されるヒンダードフェノール系化合物である。
一般式(2);
一般式(3);
一般式(4);
一般式(5);
本発明の電気電子部品封止用樹脂組成物には、密着性、柔軟性、耐久性等を改良する目的で(A)成分および(B1)〜(B5)成分以外の成分として、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、エポキシ、ポリカーボネート、アクリル、エチレンビニルアセテート、フェノール等の(A)以外の樹脂、イソシアネート化合物、メラミン等の硬化剤、タルクや雲母等の充填材、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料、三酸化アンチモン、臭素化ポリスチレン等を配合しても全く差し支えない。その際の(A)成分は、組成物全体に対して50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは60重量%以上である。ポリエステル樹脂(A)の含有量が50重量%未満であると電気電子部品に対する密着性、密着耐久性、伸度保持性、耐加水分解性、耐水性が低下するおそれがある。
本発明の電気電子部品封止用樹脂組成物は、200℃での溶融粘度が5〜2000dPa・sであることが望ましい。ここで200℃での溶融粘度とは、水分率0.1%以下に乾燥したサンプルを用いて、島津製作所株式会社製フローテスター(型番CFT−500C)にて、200℃に加温安定したポリエステル樹脂を、1.0mmの孔径を有する厚み10mmのダイを98N/cm2の圧力で通過させたときの溶融粘度である。電気電子部品封止用樹脂組成物の溶融粘度が高すぎると、成形圧力を高くすることが必要となるため、部品の破壊を生じることがある。2000dPa・s以下、好ましくは100dPa・s以下の溶融粘度を有する電気電子部品封止用樹脂組成物を使用することで、数百N/cm2程度の比較的低い射出圧力で電気電子部品封止体が得られると共に、電気電子部品の特性も損ねない。また、電気電子部品封止用樹脂組成物の溶融粘度は、射出成形時に溶融樹脂が与える電気電子基板への応力負荷の面から低いほうが好ましいが、樹脂の接着性や凝集力を考慮すると下限としては5dPa・s以上が望ましく、さらに好ましくは10dPa・s以上、より好ましくは50dPa・s以上、最も好ましくは100dPa・s以上である。
本発明の電気電子部品封止用樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、典型的には(A)成分および(B1)〜(B5)成分を溶融混練することによって製造することができる。各成分は一度に混合してもよいし、一部の成分を分割して混合してもよい。溶融混練操作は例えばPCM−30(株式会社池貝製)、TEX−α(株式会社日本製鋼所)等の二軸押出機、またはラボプラストミルなどの一軸押出機、または射出成型前のドライブレンドによって行うことができ、(B1)〜(B5)成分の分散の面から特に二軸押出機による溶融混練操作が特に好ましい。
本発明の電気電子部品封止体は、本発明の電気電子部品封止用樹脂組成物を用いてインサート成型法により電気電子部品を封止することにより製造することができる。ここで、本発明の電気電子部品封止用樹脂組成物は、樹脂組成物を構成する全成分が別途あらかじめ加熱混練されたものであっても、構成成分の一部または全部が金型注入直前に混合され加熱混練されたものであってもよい。
ポリエステルの組成及び組成比は、共鳴周波数400MHzの1H−NMR測定(プロトン型核磁気共鳴分光測定)にて行った。測定装置はVARIAN社製NMR装置400−MRを用い、溶媒には重クロロホルムを用いた。
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量分析計「DSC220型」にて、測定試料5mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し、一度250℃で5分ホールドした後、液体窒素で急冷して、その後−150℃から250℃まで、20℃/minの昇温速度で測定した。得られた曲線の変曲点をガラス転移温度、吸熱ピークを融点とした。
試料を水分率0.1%以下に乾燥し、島津製作所株式会社製フローテスター(型番CFT−500C)にて、200℃に加温安定し、1.0mmの孔径を有する厚み10mmのダイを98N/cm2の圧力で通過させたときの溶融粘度を測定した。
試験片を23℃、50%RHで2時間以上保管した後、オートグラフ(株式会社島津製作所社製AG−IS)を用いて引張伸度を測定した。測定条件は、23℃、50%RH、チャック間距離20mm、引張速度500mm/minとした。
竪型射出成形機(日精樹脂株式会社製TH40E)を用いて射出成形法により平板を作成した。射出成形条件は、成形樹脂温度220℃、成型圧力25MPa、冷却時間25秒、射出速度20mm/秒とした。得られた平板をダンベル打ちぬき機(株式会社ダンベル社製)で打ち抜いて3号ダンベルを作成し、試験片とした。左記試験片を室温下で保管したものの引張伸度を初期引張伸度とした。
前記試験片を、130℃に設定したギヤオーブン(東洋精機株式会社製)に静置した後、500時間経過後に取り出し、引張伸度を測定し、引張伸度(1)とした。下記式に従い、500時間経過後の引張伸度保持率(%)を算出した。
◎:添加剤を含まないポリエステル樹脂(A)の引張伸度保持率に対して10ポイント以上向上
○:添加剤を含まないポリエステル樹脂(A)の引張伸度保持率に対して10ポイント未満向上
×:添加剤を含まないポリエステル樹脂(A)の引張伸度保持率以下
前記試験片を、85℃、85%RHに設定した高温恒湿器(ヤマト科学株式会社製IG400)内に静置し、500時間経過後に取り出し、引張伸度を測定し、引張伸度(2)とした。下記式に従い、500時間経過後の引張伸度保持率(%)を算出した。
◎:添加剤を含まないポリエステル樹脂(A)の引張伸度保持率に対して5ポイント以上向上
○:添加剤を含まないポリエステル樹脂(A)の引張伸度保持率に対して5ポイント未満向上
×:添加剤を含まないポリエステル樹脂(A)の引張伸度保持率以下
撹拌機、温度計、溜出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸166重量部、1,4−ブタンジオール180重量部、テトラブチルチタネート0.25重量部を加え、170〜220℃で2時間エステル化反応を行った。エステル化反応終了後、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール「PTMG1000」(三菱化学社製)を300重量部とヒンダードフェノール系酸化防止剤「イルガノックス1330」(チバガイギー社製)を0.5重量部投入し、255℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧にしてゆき、60分かけて255℃で665Paとした。そしてさらに133Pa以下で30分間重縮合反応を行い、ポリエステルAを得た。このポリエステルAの溶融粘度、融点およびガラス転移温度を表1に示した。また、ポリエステルB,CをポリエステルAと同様な方法により合成した。それぞれの組成及び物性値を表1に示した。
TPA:テレフタル酸、NDC:ナフタレンジカルボン酸、BD:1,4−ブタンジオール、PTMG1000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1000)、PTMG2000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量2000)
実施例1〜10、比較例1〜5
ポリエステルA、一般式(1)で表される化合物1、一般式(2)で表される化合物2、一般式(3)で表される化合物3、一般式(4)で表される化合物4および一般式(5)で表される化合物5を表1に記載の比率で均一に混合した後、二軸押し出し機を用いてダイ温度180℃において溶融混練し、組成物1を得た。樹脂組成物2〜15は、組成物1と同様な方法で、但し表2〜4に記載のとおり配合を変更して製造した。
組成物1を用いて平板を作製し、<高温環境負荷試験>、<高温高湿環境負荷試験>を実施した。<高温環境負荷試験>において、添加剤を含まないポリエステルAのみからなる試験片の引張伸度保持率との差が+31%であった。また、<高温高湿環境負荷試験>において、添加剤を含まないポリエステルAのみからなる試験片の引張伸度保持率との差が+5%であった。耐熱老化性を向上させつつ、耐加水分解性を向上させる良好な結果が得られた。評価結果は表2に示した。
組成物2〜10を用いて、実施例1と同様の試験を実施した。評価結果を表2〜3に示した。
組成物11を用い、実施例1と同様の試験を実施した。評価結果を表4に示した。<高温環境負荷試験>において、添加剤を含まないポリエステルAのみからなる試験片の引張伸度保持率との差は+30%となり良好であった。しかしながら、<高温高湿環境負荷試験>においては添加剤を含まないポリエステルAのみからなる試験片の引張伸度保持率との差が−22%となり不良であった。
組成物11〜15を用い、実施例1と同様の試験を実施した。評価結果は表4に示した。
Claims (5)
- 共重合ポリエステルエラストマー(A)から主としてなる電気電子部品封止用樹脂組成物であって、一般式(1)で表される(B1)成分、一般式(2)で表される(B2)成分、一般式(3)で表される(B3)成分、一般式(4)で表される(B4)成分および一般式(5)で表される(B5)成分を含有し、(B1)〜(B5)成分の合計が樹脂組成物全体に対して0.1〜5重量%であることを特徴とする電気電子部品封止用樹脂組成物。
一般式(1);
一般式(2);
一般式(3);
一般式(4);
一般式(5);
- 前記共重合ポリエステルエラストマー(A)が、ポリカーボネート成分、ポリアリキレングリコール成分および/またはポリラクトン成分が合計25〜75重量%共重合されているものであることを特徴とする請求項1に記載の電気電子材料封止材用樹脂組成物。
- 前記共重合ポリエステルエラストマー(A)が、テレフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸が全酸成分に対して50モル%以上共重合されているものであることを特徴とする請求項1または2に記載の電気電子材料封止材用樹脂組成物。
- 請求項1〜3いずれかに記載の樹脂組成物により封止されている電気電子部品封止体。
- 請求項1〜3いずれかに記載の樹脂組成物を用いてインサート成型法により電気電子部品を封止する工程を有する電気電子部品封止体の製造方法。
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