JP2013107445A - 車両用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】シート構成を極力シンプル化しつつ、シートの使い勝手をより向上させることにある。
【解決手段】シートバック6を車両前方にスライド移動して連動部位10を前傾させることにより、シートバック6が第一状態から第二状態に次第に変位するとともに、シートバック6を車両後方にスライド移動して連動部位10を後傾させることにより、シートバック6が第二状態から第一状態に次第に変位する構成とし、スライド機構SMとリクライニング機構RMのいずれか一方に設けたロック部20にて、一方の機構をロックして、連動部位10の起倒動作を規制することにより、一方とは異なる他方の機構が移動不能に保持される構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、スライド機構と、リクライニング機構を備えた車両用シートに関する。
従来、車両用シートの構成をシンプル化する試みがなされているが、乗員体格差に応じたシート位置の変更を考慮して、スライド機構(シート構成部材をスライド移動させる機構)が必須である。
例えば特許文献1の車両用シートでは、スライド機構として、アッパレールと、ロアレールを有する。アッパレールは、シート構成部材を固定する部材であり、ロアレールは、アッパレールと摺動可能に連結して車室床面に配置する部材である。公知技術では、ロアレールに対してアッパレールを相対移動させたのち、両レールの相対移動をロックすることで、シート構成部材を所望の位置にスライド移動できる。
そして公知技術のシートバックは、起立状態のままシートクッションに固定されており、シートクッションに対して相対移動不能(例えば前傾不能)である。
ところで車両用シートでは、シートの使い勝手などを考慮して、リクライニング機構(シートクッションに対するシートバックの起倒状態を変位させる機構)を有することが望ましい。
リクライニング機構にて、シートバックの起倒状態(前傾、起立、後傾等)を変位させたのち、同機構をロックする(又は移動不能に保持する)ことでシートバックを所望の起倒状態にできる。
このときスライド機構により、シート構成部材を車両前方に移動しつつ、リクライニング機構にて、シートクッションに向けてシートバックを倒す(大倒しする)。このようにシートバックを大倒し状態として、乗員の通過可能なスペースを確保する(ウォークイン状態とする)ことにより、乗員の昇降動作をスムーズに行うことができる。
特開平10−35338号公報
しかし上述のシート構成では、リクライニング機構とスライド機構の双方にロック部を設ける必要があり、シート構成のシンプル化には不向きであった。
またリクライニング機構とスライド機構を個別に操作する必要があることから、ややシートの使い勝手に劣る構成になりがちであった。例えば大倒し状態のシートバックを元の状態に復帰させる。このときシート構成部材を車両後方にスライド移動させるとともに、リクライニング機構を操作してシートバックを徐々に元に戻す必要があった(シートバック状態を再調節する必要があった)。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シート構成を極力シンプル化しつつ、シートの使い勝手をより向上させることにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の車両用シートは、シートクッションやシートバック等のシート構成部材と、シートクッションに対するシートバックの起倒状態を変位させるリクライニング機構と、シート構成部材を車室構造に対して相対移動させるスライド機構とを有する。
本発明では、リクライニング機構により、シートバックが、第一状態と、第一状態よりもシートクッション側に前傾する第二状態との間で変位可能である(使い勝手の良いシート構成である)。この種のシート構成では、シート構成をシンプル化しつつ、シートの使い勝手をより向上できることが望ましい。
そこで本発明では、シートバックと車室構造を連結する連動部位を設けて、連動部位一側を、車室構造に対して相対的に起倒可能に連結するとともに、連動部位他側をシートバックに固定する。
そしてシートバックを車両前方にスライド移動して連動部位を前傾させることにより、シートバックが第一状態から第二状態に次第に変位する。またシートバックを車両後方にスライド移動して連動部位を後傾させることにより、シートバックが第二状態から第一状態に次第に変位する。このようにスライド機構とリクライニング機構を連動させることで、使い勝手の良いシート構成となる(両機構を個別に操作する必要がない)。
また本発明では、スライド機構とリクライニング機構のいずれか一方に設けたロック部にて、一方の機構をロックして連動部位の起倒動作を規制することにより、一方とは異なる他方の機構が移動不能(実質的に移動不能の意)に保持される(比較的シンプルな構成)とした。
第2発明の車両用シートは、第1発明の車両用シートであって、上述のスライド機構のロック部にて、車室構造に対するシート構成部材の相対移動を規制して連動部位の起倒動作を規制することにより、リクライニング機構が移動不能(実質的に移動不能の意)に保持される構成とした。
本発明では、リクライニング機構からロック部を省略して、よりシンプルなシート構成とすることができる。
第3発明の車両用シートは、第1発明又は第2発明の車両用シートにおいて、シートバックが、第二状態からシートクッション側に倒れた大倒し状態に変位可能である。
そして本発明では、第一状態と第二状態の間におけるシートバックの起倒動作がロック部にてロック可能である一方、第二状態と大倒し状態の間におけるシートバックの起倒動作がロック部にてロック不能である。
本発明では、第一状態と第二状態の間(シートバック状態を調節する領域)では、シートバックの状態をロック部により維持する。そして第二状態と大倒し状態の間(シートバック状態を調節不要の領域)では、シートバックの状態をロック不能とすることにより、より使い勝手の良いシート構成となる。
本発明に係る第1発明によれば、シート構成を極力シンプル化しつつ、シートの使い勝手をより向上させることができる。また第2発明によれば、シート構成をさらにシンプル化することができる。そして第3発明によれば、シートバックの起倒状態を使い勝手良く変位させることができる。
シートバック状態の異なる車両用シートの概略側面図であり、(a)は、第一状態の図であり、(b)は、第二状態の図であり、(c)は、第三状態の図であり、(d)は、大倒し状態の図である。 スライド機構の断面図であり、(a)は、ロック解除時の図であり、(b)は、ロック時の図である。 実施例2に係るシートバック状態の異なる車両用シートの概略側面図であり、(a)は、第一状態の図であり、(b)は、第二状態の図である。 リクライニング機構の分解斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図4を参照して説明する。各図には、適宜、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを付す。
図1の車両用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8と、リクライニング機構RMと、スライド機構SMを有する(各部材等の詳細は適宜後述する)。
シート構成部材4,6,8は、スライド機構SMにより車両前方又は後方にスライド移動可能である。これにより乗員体格差に応じて、車両用シート2の位置を適宜変更することができる。
<実施例1>
そしてシートバック6は、リクライニング機構RMにて複数の状態(第一状態、第二状態、第三状態,大倒し状態)に変位可能である(図1を参照)。
第一状態のシートバック6は、シートクッション4に対して起立した姿勢となる(図1(a)を参照)。また第二状態のシートバック6は、第一状態よりも前傾した姿勢となり、第三状態のシートバック6は、第一状態よりも後傾した姿勢となる(図1(b)及び(c)を参照)。
ここで第一状態のシートバック6では、乗員の傾き角度を任意に設定できる。なお乗員の傾き角度は、例えば三次元マネキンを使用したトルソ角の測定にて設定可能であり、本実施例ではトルソ角20°〜25°に設定される(特開2011−098589号公報を参照)。
また本実施例では、シート構成部材4,6,8を車両前側にスライド移動しつつ、シートクッション4に向けてシートバック6を倒す(大倒し状態とする)ことができる(図1(d)を参照)。
このようにシートバック6を大倒しして車室空間を確保する(ウォークイン状態とする)ことにより、乗員の乗降などを比較的スムーズに行うことができる。そしてこの種の構成では、シート構成を極力シンプル化しつつ、シートの使い勝手をより向上させる(シートバック6を使い勝手よく変位できる)ことが望ましい。
そこで本実施例では、後述の構成(連動部位10)により、シート構成を極力シンプル化しつつ、シートの使い勝手をより向上させることとした。以下、各構成について詳述する。
[シートクッション]
シートクッション4は、平坦な略長方形状(側面視)の部材であり、一対の脚部材4aと、ブラケット部4bを有する(図1を参照)。
一対の脚部材4aは、略長方形状(側面視)の平板部材であり、シートクッション4の前端及び後端に取付けることができる。またブラケット部4bは、シートクッション4後部の突出部位(略半円状)である。ブラケット部4bの中央には孔部(貫通孔)が設けられており、リクライニング軸R(後述)を相対回転不能に挿設できる。
[シートバック]
シートバック6は、平坦な略長方形状(側面視)の部材であり、フレーム部材6Fと、連動部位10(後述)を有する(図1を参照)。
フレーム部材6Fは、シート骨格をなす枠部材(正面視でアーチ状)であり、一対の側部フレーム6aを有する。一対の側部フレーム6aは、それぞれ側部骨格をなす平板部材であり、シート側方に配置して互いに対面配置する。
[スライド機構]
スライド機構SMは、アッパレール9aと、ロアレール9bと、被取付け部9cと、ロック部20(後述)を有する(図1及び図2を参照)。
アッパレール9aは、シート前後に長尺な平板部材(縦断面視で略逆U字状)である。アッパレール9aの側壁は略U字状(断面視)をなしており、ロアレール9bを摺動可能に嵌装できる。
またロアレール9bは、シート前後に長尺な平板部材(縦断面視で略U字状)である。本実施例のロアレール9bは、アッパレール9aより大寸(長尺且つ幅広)であり、ロアレール9bの側壁端部(断面視)が下方に屈曲する。
そして被取付け部9cは、ロアレール9b後部の突出部位(略半円状)である。被取付け部9cの中央には貫通孔が設けられて、連動部位10(後述)を起倒可能に取付けることができる。
本実施例では、ロアレール9bを車室床面(車室構造)に配設して、車両前後方向に延設する。つぎにアッパレール9aを、ロアレール9bに摺動可能に連結するとともに、一対の脚部材4aを介してシートクッション4に固定する。こうしてシート構成部材4,6,8が、ロアレール9b(車室構造)に対して車両前後にスライド移動可能となる。
[リクライニング機構]
リクライニング機構RMは、シートクッション4に対するシートバック6の起倒状態を変位させる機構であり、リクライニング軸Rを有する(図1を参照)。リクライニング軸Rは、シート幅方向に延びる筒状部材である。
本実施例では、リクライニング軸Rを、ブラケット部4b中央(孔部)に回転不能に挿設して、シートバック6側に突出させる。そしてリクライニング軸Rを、連動部位10(後述)を介して、シートバック6に連結することにより、シートクッション4に対してシートバック6を起倒可能に連結できる。
[連動部位]
連動部位10は、ロアレール9b(車室構造)とシートバック6を連結する部位であり、第一連結部位11と、第二連結部位12を有する(図1を参照)。
本実施例の連動部位10は、側部フレーム6a下部の屈曲部位(平板状)である。ここで連動部位10を起立状態として、側部フレーム6a(上部側)を適度に後方に傾斜させることにより、シートバック6を第一状態(所望のトルソ角を有する起立姿勢)とすることができる。
そして第一連結部位11は、連動部位10一側の部位(孔部)であり、円筒状の軸材(図示省略)を介して、ロアレール9b(被取付け部9c)に対して回転可能に取付けることができる。
また第二連結部位12は、連動部位10他側の貫通孔であり、リクライニング軸Rを挿入できる。本実施例の第二連結部位12は、シート上下に延びる長孔であり、シートバック6の起倒動作に応じてリクライニング軸Rを相対移動可能に挿入できる。
本実施例では、連動部位10にて、ロアレール9b(車室構造)とシートバック6を連結する。
このとき連動部位10を起立させつつ、第一連結部位11を、軸材(図示省略)を介してロアレール9b(被取付け部9c)に相対回転可能に取付けるとともに、リクライニング軸Rを第二連結部位12に摺動可能に挿設する。こうすることで連動部位10(側部フレーム6a)が、第一連結部位11を回転中心として、ロアレール9bに対して起倒可能に連結される。
そしてロアレール9bに対してアッパレール9a(リクライニング軸R)が車両前方にスライド移動するに従って、連動部位10が、第一連結部位11(ロアレール側に固定)を回転中心として次第に前傾する。これによりシートバック6(側部フレーム6a)を前傾させることができる。
またロアレール9bに対してアッパレール9aが車両後方にスライド移動するに従って、連動部位10が、第一連結部位11を回転中心として次第に後傾する。これによりシートバック6(側部フレーム6a)を後傾させることができる。
[ロック部]
本実施例のロック部20は、ロアレール9bに対するアッパレール9aのスライド移動を規制する機構であり、係止部22と、被係止部24を有する(図1及び図2を参照)。
係止部22は、略横U字状の部材(平板状又は棒状)であり、アッパレール9aに取付けることができる。
また被係止部24は、係止部22を挿入可能な複数の貫通孔(第一孔24a,第二孔24b,第三孔24c、第四孔24d)であり、係止部22の回転軌跡(後述)の途中に形成できる。第一孔24aと第二孔24bと第三孔24cは、アッパレール9a(同レール上壁、U字状の側壁両側)の途中に形成される。また第四孔24dは、ロアレール9b(側壁端部)に形成される。
本実施例では、アッパレール9aの長尺方向途中に係止部22を取付ける。またロアレール9bの途中(被取付け部9cよりも前方)に、複数の第四孔24dを並列して形成する(図1では、便宜上、一つの第四孔部にのみ符号を付す)。
そしてアッパレール9a上壁(第一孔24a)から係止部22を挿入したのち、係止部22(中央)を、アッパレール9a上壁に対して軸材(図示省略)を介して回転可能に取付ける。このとき係止部22(先端側)の回転軌跡途中に、第二孔24b及び第三孔24c(アッパレール側の孔部)と、第四孔24d(ロアレール側の孔部)を配置する。
そして本実施例では、係止部22を回転させつつ、係止部22の先端を、各孔24b〜24dに挿入することにより、アッパレール9aとロアレール9bの相対移動を規制できる。
(ロック可能領域・ロック不能領域)
本実施例では、スライド機構SMをロック可能な領域(ロック可能領域A1)と、ロック不能な領域(ロック不能領域A2)を形成できる(図1(b)〜(d)を参照)。
このとき本実施例では、上述のとおり、シートバック6の状態変位に応じて、ロアレール9bに対してアッパレール9aがシート前後にスライド移動する。
例えばシートバック6を第一状態〜第三状態の範囲で変位させることで、アッパレール9a(係止部22)が所定の範囲でスライド移動する。そこでこのスライド移動範囲において、被係止部24(第四孔24d)を、係止部22に対面可能にロアレール9bに複数形成する。こうすることでシートバック6が第一状態〜第三状態の間で変位する範囲において、スライド機構SMをロック部20にてロック可能な領域(ロック可能領域A1)を形成できる。
またシートバック6を第二状態から大倒し状態に変位させることで、アッパレール9a(係止部22)が所定の範囲でスライド移動する。このスライド移動範囲において、ロアレール9bに被係止部24(第四孔24d)の非配置部位を形成する。こうすることでシートバック6が第二状態から大倒し状態に変位する範囲において、スライド機構SMをロック部20にてロック不能な領域(ロック不能領域A2)を形成できる。
[シートバックの状態変位]
図1(a)〜(c)を参照して、シートバック6を複数の状態(第一状態、第二状態、第三状態)の間で変位させる。
このとき本実施例では、ロアレール9bに対してアッパレール9aが車両前方にスライド移動するに従って、連動部位10が、第一連結部位11を回転中心として次第に前傾する。これによりシートバック6(側部フレーム6a上部)を前傾させて、第一状態から第二状態(または第三状態から第一状態)に次第に変位させることができる(スライド機構SMとリクライニング機構RMを連動して作動させることができる)。
またロアレール9bに対してアッパレール9aが車両後方にスライド移動するに従って、連動部位10が、第一連結部位11を回転中心として次第に後傾する。これによりシートバック6(側部フレーム6a上部)を後傾させて、第二状態から第一状態(または第一状態から第三状態)に次第に変位させることができる。
そして図2を参照して、シートバック6を特定の状態としたのち、スライド機構SMのロック部20を操作する(被係止部24に係止部22を係止する)。このようにスライド機構SMをロックして連動部位10の起倒動作を規制することにより、リクライニング機構RMが実質的に移動不能に保持されることとなる(シートバック6を特定の状態で維持できる)。なお車両用シート2に応力がかかるなどして、リクライニング機構RMがガタつくことなどは許容される。
つぎに図1(d)を参照して、シートバック6を、第二状態(前傾状態)から大倒し状態として、乗員の通過可能なスペースを確保する(ウォークイン可能とする)。
このとき本実施例では、アッパレール9aが車両前方に更にスライド移動するに従って、連動部位10が、第一連結部位11を回転中心として次第に前倒する。これによりシートバック6(側部フレーム6a上部)をシートクッション4に向けて次第に倒す(大倒し状態とする)ことができる。
そして本実施例では、シートバック6が第二状態から大倒し状態に変位する範囲では、スライド機構SMがロック不能である。このため第二状態と大倒し状態の間(シートバック状態を調節不要の領域)において、ロック部20の誤作動などを生じることなく、シートバック6をスムーズに状態変位できる。
以上説明したとおり本実施例によれば、スライド機構SMとリクライニング機構RMを連動させることで、使い勝手の良いシート構成となる(両機構を個別に操作する必要がない)。
また本実施例では、スライド機構SMのロック部20にて、リクライニング機構RMを実質的に移動不能に保持できる(比較的シンプルな構成である)。このようにロック部20の配設数を最小限に抑えることで、シートの重量増加や製造コストの増加を極力抑えることができる。このときリクライニング機構RMからロック部20(比較的大型となりがちな部材)を省略することで、よりシンプルなシート構成とすることができる。
また本実施例では、アッパレール9aのスライド移動に従って、シートバック6が次第に(徐々に)状態変位するため、シートバック6の状態をきめ細かに調節できる。
そして本実施例では、第二状態と大倒し状態の間(シートバック状態を調節不要の領域)にて、シートバック6状態をロック不能とすることにより、より使い勝手の良いシート構成となる。
このため本実施例によれば、シート構成を極力シンプル化しつつ、シートの使い勝手をより向上させることができる。
<実施例2>
実施例2の車両用シート2aは、実施例1の車両用シート2と略同一の基本構成を有するため、同様の構成については同一の符号又は対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例のリクライニング機構RMは、リクライニング軸Rと、ロック部20A(詳細後述)を有する(図3及び図4を参照)。
そしてリクライニング機構RMのロック部20Aにて、連動部位10Aの起倒動作を規制することにより、スライド機構SMが実質的に移動不能に保持される構成とした。
ここでリクライニング軸Rは、シート幅方向に延びる棒状部材であり、一対の側部フレーム6aの間に回転不能とされて橋渡し状に固定される(図3及び図4を参照)。
本実施例では、シートクッション4後部にシートバック6を配置しつつ、リクライニング軸Rをブラケット部4bに回転可能に挿入する(詳細後述)。これによりシートクッション4に対してシートバック6を相対回転(起倒)可能に連結できる。
そして連動部位10Aは、長尺な平板部材であり、第一連結部位11Aと、第二連結部位12Aを有する(図3を参照)。
第一連結部位11Aは、連動部位10A一端の長孔であり、シート上下に延びて被取付け部9c(後述)を摺動可能に挿入できる。また第二連結部位12Aは、連動部位10A途中(略円形状の部分)の貫通孔であり、リクライニング軸Rを回転不能に挿設できる。
本実施例では、起立状態のシートバック6を基準として、連動部位10Aを起立させつつシートバック6側方に配置する。そして第一連結部位11Aを、ロアレール9b(被取付け部9c)に起倒可能に取付けるとともに、リクライニング軸Rを第二連結部位12Aに回転不能に挿設する。
ここで本実施例の被取付け部9cは、ロアレール9b後部の突出部位(略半円状)であり、略中央に、連動部位10Aを取付け可能な突出部(シート幅方向に突出する円筒部位)を有する。
[シートバックの状態変位]
図3(a)(b)を参照して、シートバック6を複数の状態(例えば第一状態と第二状態)の間で変位させる。
このとき本実施例では、ロアレール9bに対してアッパレール9aが車両前方にスライド移動するに従って、連動部位10Aが、第一連結部位11Aを回転中心として次第に前傾する。これによりシートバック6を前傾させて、第一状態から第二状態に次第に変位させることができる。
そしてシートバック6を特定の状態としたのち、リクライニング機構RMのロック部20Aを操作する(詳細後述、図4を参照)。このようにリクライニング機構RMをロックして連動部位10Aの起倒動作を規制することにより、スライド機構SMが実質的に移動不能に保持されることとなる(車両用シート2を特定の位置で保持できる)。
このため本実施例によっても、スライド機構SMとリクライニング機構RMを連動させることで、使い勝手の良いシート構成となる。またリクライニング機構RMのロック部20Aにて、スライド機構SMを実質的に移動不能に保持できる(比較的シンプルな構成である)。
[リクライニング機構]
本実施例のリクライニング機構RMは、ラチェット50rと、ガイド10rと、後述のロック部20A(20r,30r,40r)を備える(図4を参照)。
そしてラチェット50rは、シートバック6下部に取付けられ、ガイド10rは、シートクッション後部(ブラケット部4b)に取付けられる。
ラチェット50rは、円盤形状の部材(径小)であり、リクライニング軸Rを挿設する中心孔52rと、円形凹部54rを有する。
円形凹部54rは、ラチェット50rの内側(ガイド10rを臨む側)に形成される。そして円形凹部54rの内周面には、ポール40r(後述)が噛合い可能な内歯部56rと、歯のない平滑部58rとが周方向に所定の間隔にて交互に設けられる。
またガイド10rは、円盤形状の部材(径大)であり、リクライニング軸Rを挿設する中心孔12rと、ポール案内溝14rと、カム案内溝16rを有する。
ポール案内溝14rとカム案内溝16rは、ガイド10rの内側(ラチェット50rを臨む側)に互いに十字状に交差して縦横に延びる。
そしてポール案内溝14rに、ポール40r(後述)が縦方向に進退可能に嵌合する。またカム案内溝16rに、スライドカム30r(後述)が横方向に進退可能に嵌合する。
そしてガイド10rとラチェット50rを互いに対向状に嵌め合わせたのち、両部材(中心孔)に、リクライニング軸Rを挿設する。
つぎにガイド10rとラチェット50rの外周部をリング部材60rにてカシメ付けることで、ガイド10rとラチェット50rを、リクライニング軸R回りに相対回転自在とする。これによりシートクッション4(ブラケット部4b)に対してシートバック6が相対回転(起倒)可能に連結される。
(ロック部)
本実施例では、ロック部20A(ヒンジカム20r,スライドカム30r,一対のポール40r)を、ガイド10rとラチェット50rの間に配置する。
ヒンジカム20rは、リクライニング軸Rを挿入可能な軸部22r(筒状)と、その外周から外方へ突出したアーム部24rを備える。
またポール40rは、外歯部42r(平板状)と、一対の脚部44rを有する。外歯部42rは、ラチェット50rの内歯部56rに噛合い可能な部位であり、一対の脚部44rは、外歯部42r両端を一端に向けて屈曲してなる部位である。
そしてスライドカム30r(正面視で略長方形状)は、中心の挿入孔32rと、一対のアーム溝34rと、一対の係合突部36rと、一対のカム面38rを有する。
一対のアーム溝34rは、挿入孔32rの内周一部をシート上下に切欠いて形成できる。また一対の係合突部36rは、シート上下に突出する略L字状の部位であり、スライドカム30rの外周に設けられる。そして係合突部36rの両側外周に、一対のカム面38r(部分的に凹状)が形成される。
本実施例では、ロック部20A(20r,30r,40r)を、リクライニング軸Rで支持しつつ、ガイド10rに組付ける。
このときガイド10rの中心孔12rに、ヒンジカム20r(軸部22r)を挿入する。つぎにアーム部24rを、スライドカム30r(アーム溝34r)に挿設するとともに、スライドカム30rを、カム案内溝16r(横方向に延びる溝)に嵌合する。
そして一対のポール40rを、ポール案内溝14r(縦方向に延びる溝)に嵌合しつつ、スライドカム30rの上下に各々配置する。
そして各部材に、リクライニング軸Rを挿入しつつ、ロックスプリング9r(渦巻きバネ)をヒンジカム20rに嵌装する。そしてヒンジカム20rとリクライニング軸Rを、ガイド10rに対して軸周りに逆回転方向に付勢する。
この状態においてポール40rの脚部44rをカム面38r(凹状部分とは異なる部位)に配置する。これにより一対のポール40rが、シート上下に位置するラチェット50rの内歯部56rに噛合い状態となる。
そしてポール40rとラチェット50rの噛合いにより、ガイド10rとラチェット50rとの相対的な回転が阻止されて、リクライニング機構RMがロックされる。
そしてヒンジカム20rを、索状の解除部材(図示省略)の牽引により、リクライニング軸Rとともにロックスプリング9rの付勢力に抗して回転させる。
これによりヒンジカム20r(アーム部24r)が、スライドカム30rを押圧してカム案内溝16r内を左右方向へスライドさせる。そしてスライドカム30rが横方向にずれることで、一対のポール40rの脚部44rがカム面38rの凹状部分に嵌り込む。これにより両ポール40rが、ポール案内溝14r内においてラチェット50rの径方向内方(離間方向)にスライド移動する。
そしてポール40rとラチェット50rが離間して互いの噛合いが解除されることで、ガイド10rとラチェット50rの相対的な回転が可能となる(リクライニング機構RMのロックが解除される)。
(ロック可能領域・ロック不能領域)
本実施例でも、リクライニング機構RMをロック部20Aにてロック可能な領域(ロック可能領域A1)と、ロック部20Aにてロック不能な領域(ロック不能領域A2)を形成できる(図4を参照)。
例えばポール40r(シートクッション4)に対してラチェット50r(シートバック6)が第一状態〜第三状態の間で変位する範囲において、内歯部56rをシート上下に配置する。これによりポール40r(外歯部42r)がラチェット50rに噛合い可能となり、リクライニング機構RMをロック部20Aにてロックできる(ロック可能領域A1を形成できる)。
またシートクッション4に対してシートバック6が第二状態から大倒し状態となる間、平滑部58rをシート上下に配置する。これによりポール40rがラチェット50rに噛合い不能となり、リクライニング機構RMをロック部20Aにてロック不能となる(ロック不能領域A2を形成できる)。
このため本実施例においても、第二状態と大倒し状態の間(シートバック状態を調節不要の領域)にて、シートバックの状態をロック不能とすることにより、より使い勝手の良いシート構成となる。
本実施形態の車両用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、シートバック6を大倒し状態や第三状態とする例を説明した。シートバック6は、大倒し状態や第三状態に変位不能な構成(第一状態と第二状態の間のみ変位可能な構成)とすることができる。
(2)また本実施形態では、ロック部20(20A)に、ロック可能領域A1とロック不能領域A2を設ける例を説明した。これとは異なりロック部に、ロック可能領域のみを設けることができる。
(3)また本実施形態では、ロアレール6b(車室構造の一例)に対して連動部位10を取付ける例を説明した。車室構造として、車室床面、車室壁体などの構造(アッパレールの移動に追従しない構造)を例示できる。
2 車両用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
9a アッパレール
9b ロアレール
9c 被取付け部
10 連動部位
11 第一連結部位
12 第二連結部位
20 ロック部
22 係止部
24 被係止部
A1 ロック可能領域
A2 ロック不能領域
R リクライニング軸
RM リクライニング機構
SM スライド機構

Claims (3)

  1. シートクッションやシートバック等のシート構成部材と、前記シートクッションに対する前記シートバックの起倒状態を変位させるリクライニング機構と、前記シート構成部材を車室構造に対して相対移動させるスライド機構とを有するとともに、
    前記リクライニング機構により、前記シートバックが、第一状態と、前記第一状態よりも前記シートクッション側に前傾する第二状態との間で変位可能である車両用シートにおいて、
    前記シートバックと前記車室構造を連結する連動部位を設けて、前記連動部位一側を、前記車室構造に対して相対的に起倒可能に連結するとともに、前記連動部位他側を前記シートバックに固定し、
    前記シートバックを車両前方にスライド移動して前記連動部位を前傾させることにより、前記シートバックが前記第一状態から前記第二状態に次第に変位するとともに、前記シートバックを車両後方にスライド移動して前記連動部位を後傾させることにより、前記シートバックが前記第二状態から前記第一状態に次第に変位する構成とし、
    前記スライド機構と前記リクライニング機構のいずれか一方に設けたロック部にて、前記一方の機構をロックして、前記連動部位の起倒動作を規制することにより、前記一方とは異なる他方の機構が移動不能に保持される構成とした車両用シート。
  2. 前記スライド機構の前記ロック部にて、前記車室構造に対する前記シート構成部材の相対移動を規制して前記連動部位の起倒動作を規制することにより、前記リクライニング機構が移動不能に保持される構成とした請求項1に記載の車両用シート。
  3. 前記シートバックが、前記第二状態から前記シートクッション側に倒れた大倒し状態に変位可能であるとともに、
    前記第一状態と前記第二状態の間における前記シートバックの起倒動作を前記ロック部にて規制可能である一方、前記第二状態と大倒し状態の間における前記シートバックの起倒動作を前記ロック部にて規制不能である請求項1又は2に記載の構成とした車両用シート。
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