JP2013107302A - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 一方向に対する引張り強度、曲げ強度、耐衝撃強度が優れた樹脂成形品の製造方法を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性樹脂と繊維とを混合した樹脂材料を成形する樹脂成形品の製造方法において、熱可塑性樹脂と繊維とを混合した樹脂材料を、断面積が10mm2以下の開口部11から押出して、ストランド状21又はリボン状22の中間成形体23を成形した後、この中間成形体23を一方向に並べてプレス成形することを特徴とすることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】 熱可塑性樹脂と繊維とを混合した樹脂材料を成形する樹脂成形品の製造方法において、熱可塑性樹脂と繊維とを混合した樹脂材料を、断面積が10mm2以下の開口部11から押出して、ストランド状21又はリボン状22の中間成形体23を成形した後、この中間成形体23を一方向に並べてプレス成形することを特徴とすることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、繊維を含有する樹脂成形品の製造方法に関するものである。
熱可塑性樹脂にフィラーとして繊維を含有させた樹脂材料を用いる樹脂成形品の製造方法において、通常、繊維は熱可塑性樹脂と加熱溶融した状態で混練され、押出、射出成形等の各種製造方法により樹脂成形品に成形される。
一方、あらかじめガラスロービングに熱可塑性樹脂を被覆させた後に、このガラスロービングを切断し、10mm程度の長いガラス繊維のペレットを製造して、このペレットを用いて樹脂成形品とすることにより、高強度の樹脂成形品を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
従来の樹脂成形品の製造方法において、繊維を熱可塑性樹脂と加熱溶融した状態で混練する場合、例えば繊維が10mm以上と長い場合には、混練時に繊維が絡み合い、樹脂と均一に混練することが困難になることがあった。
また、熱可塑性樹脂を被覆させたガラスロービングを所定の長さに切断してガラス繊維のペレットとし、このペレットを樹脂材料として用いた場合には、ガラス繊維は熱可塑性樹脂中で均一に分散した状態となり、ガラス繊維の配向がランダムな状態の樹脂成形品となる。
熱可塑性樹脂に繊維を配合する目的としては、成形した樹脂成形品中の、繊維の長さ方向での引張り強さを大きくすることであり、その強度を最大限に活かすためには繊維フィラーを一方向に配向させることが望ましい。
しかしながら、一般的な樹脂成形品は、繊維を熱可塑性樹脂中に均一かつランダムに分散させて配合して成形したものであり、繊維を積極的に配向させた樹脂成形品がないのが現状である。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、特定の方向に対する引張り強度、曲げ強度、耐衝撃強度が優れた樹脂成形品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
即ち、本発明の樹脂成形品の製造方法は、熱可塑性樹脂と繊維とを混合して成形する樹脂成形品の製造方法において、熱可塑性樹脂と繊維とを混合した樹脂材料を、断面積が10mm2以下の開口部から押出して、ストランド状又はリボン状の中間成形体を成形した後、この中間成形体を一方向に並べてプレス成形することを特徴とする。
この樹脂成形品の製造方法において、ストランド状又はリボン状の中間成形体を成形した後、この中間成形体を一方向に並べ、その上に前記一方向と交差する方向に中間成形体を重ねて並べてプレス成形することが好ましい。
また、前記樹脂成形品の製造方法において、繊維の長さが10mm以上であることが好ましい。
本発明の樹脂成形品の製造方法によれば、特定の方向に対する引張り強度、曲げ強度、耐衝撃強度が優れた樹脂成形品を製造することができる。
以下、本発明の樹脂成形品の製造方法について詳細に説明する。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、熱可塑性樹脂と繊維とを混合して成形する樹脂成形品の製造方法において、熱可塑性樹脂と繊維とを混合した樹脂材料を断面積が10mm2以下の開口部から押出して、ストランド状又はリボン状の中間成形体を成形した後、この中間成形体を一方向(ほぼ一方向を含む)に並べてプレス成形する樹脂成形品の製造方法である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、一般に公知の熱可塑性樹脂を制限なく用いることができ、これらのものとしては、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂等の汎用性樹脂を挙げることがでる。これらの中でも流動性の高いMFR(Melt flow rate)10以上のポリプロピレン樹脂を好適に用いることができる。
本発明で用いられる繊維としては、通常、熱可塑性樹脂にフィラーとして配合することが可能な繊維であれば特に制限なく用いることができ、これらのものとしては、例えばガラス繊維、ロックウール繊維、木質繊維、竹、麻類等の植物繊維等を挙げることができる。
これらの繊維は、熱可塑性樹脂と混合する段階で繊維長の長いものが好ましく、具体的には1〜30mm、好ましくは10〜30mmの範囲のものが好適に用いられる。繊維長をこの範囲の長さとすることにより、優れた引張り強度、曲げ強度、耐衝撃強度を有する樹脂成形品とすることができる。
また、繊維の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し5〜30質量部の範囲である。配合量をこの範囲とすることにより、樹脂成形品の優れた成形性と、繊維による補強効果を両立させることができる。
本発明では、熱可塑性樹脂及び繊維以外の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することが可能である。
これらの成分としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ワラストナイト、木粉等のフィラー、相溶化剤、滑材、撥水材等の添加材を挙げることができる。
本発明では、熱可塑性樹脂と繊維を混練機で一旦混練した後に押出機により押出し、又は、二軸押出機で混練、押出することにより中間成形体を成形する。
本発明で用いられる混練機としては、投入した樹脂材料を十分に混練できるものであれば特に制限はないが、加熱と同時にせん断力を作用させ、一定時間以上連続して混練できる装置、例えばニーダーや二軸混練機、ロール混練機等を好適に用いることができる。
さらに、投入した材料に高せん断力を作用させることのできるブレードやスクリュー形状を備えた混練機で混練することがより好ましい。
混練温度は、熱可塑性樹脂の種類により適宜設定することができるが、通常、用いる熱可塑性樹脂の溶融温度の+10〜30℃とするのが好ましい。
以下に本発明の樹脂成形品の製造方法について図を用いて説明する。
本発明の樹脂成形品の製造方法では、熱硬化性樹脂と繊維を溶融、混練して混合した樹脂材料を、図1に示す開口部11を有する金型1から押出して、図1(A)に示すストランド状21又は、図1(B)に示すリボン状22の中間成形体23を成形する。
金型1の開口部11は、ストランド状21又はリボン状22の形状であって、断面積が10mm2以下、好ましくは1〜10mm2の開口部11である。
断面積が10mm2以下の開口部11としては、断面がφ3mm以下の円形の開口部11や、断面が2×5mmの四角形の開口部11を例示することができる。
押出速度は、押出機の回転速度によって制御されるが、0.5m/分以上であることが好ましい。
断面積を10mm2以下と狭くして押出量を多くすることにより、樹脂材料と金型1内の壁面との間に大きなせん断力が生じるため、中間成形体23中に分散した繊維を押出方向に大きく配向させることができる。
即ち、開口部11から押出したストランド状21又はリボン状22の中間成形体23中の繊維は、長さ方向にほぼ配向した状態となる。
このようにしてストランド状21又はリボン状22に押出した中間成形体23を一定の長さで切断し一旦冷却する。
次に、これらの中間成形体23を、図2(A)に示すように一方向に並べた状態で下金型31内へ配置する。この際、一方向に並べた中間成形体23の層は単層であってもよく、また2層以上であってもよい。なお、図2はストランド状21の中間成形体23を用いた実施形態である。
中間成形体23を下金型31に一方向に並べた後、図2(B)に示すように、上金型32を閉じて一定時間、加熱圧締し、熱可塑性樹脂が溶融した後に、下金型31及び上金型32よりなる金型3を冷却して取り出すことにより樹脂成形品を製造することができる。
金型3の加熱温度は、用いる熱可塑性樹脂によって適宜設定することができるが、熱可塑性樹脂の溶融温度の+10〜30℃が好ましい。また、成形圧力は1〜20MPaの範囲とすることが好ましい。
このように、予め繊維方向が一方向である中間成形体23を用いて、繊維方向を一方向とした層構成とすることにより、一方向に対する引張り強度、曲げ強度、耐衝撃強度に優れた樹脂成形品とすることができる。
また、本発明の樹脂成形体の製造方法では、図3(A)に示すようにストランド状21又はリボン状22に押出された中間成形体23を、一方向に並べ、次いでそれと重ねて交差する方向に並べて下金型31内へ積層配置し、図3(B)に示すように上金型32を載せてプレス成形し、樹脂成形品を製造することもできる。なお、積層数は2層以上とすることができる。
各層の厚みは特に制限されることはないが、1層の厚みが薄く積層数が多いほど、1方向と直行方向に均一化された樹脂成形品とすることができる。
このように、中間成形体23を用いて、繊維方向を所望の方向とした層構成とすることにより、縦方向と横方向の二方向に対する引張り強度、曲げ強度、耐衝撃強度が優れた樹脂成形品とすることができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
<実施例1>
MFR(Melt flow rate)10のポリプロピレン樹脂ペレット(日本ポリプロ製、ノバテックSA04C)68質量部、ガラス繊維(日東紡製、CS−PE SMC(Sheet Molding Compound)用、1/2インチ長)30質量部、相溶化剤(三洋化成製ユーメックス1010)2質量部を均一に撹拌して樹脂材料とした後、プラストミル押出機(東洋精機製作所製)のシューターから樹脂材料を投入し、バレル温度190℃、スクリュー回転速度60rpmで、先端部にストランド状用ダイ(φ3mm)を設置して押出成形をした。
MFR(Melt flow rate)10のポリプロピレン樹脂ペレット(日本ポリプロ製、ノバテックSA04C)68質量部、ガラス繊維(日東紡製、CS−PE SMC(Sheet Molding Compound)用、1/2インチ長)30質量部、相溶化剤(三洋化成製ユーメックス1010)2質量部を均一に撹拌して樹脂材料とした後、プラストミル押出機(東洋精機製作所製)のシューターから樹脂材料を投入し、バレル温度190℃、スクリュー回転速度60rpmで、先端部にストランド状用ダイ(φ3mm)を設置して押出成形をした。
成形したストランド状の中間成形体を一旦冷却後、30cmの長さに切断した。次にこの中間成形体約300gを190℃に加熱した下金型に一方向に配置すると共に3mmのスペーサーを配置した後、上金型を載せ、プレス成形をした。10MPaで10分間保持後、そのまま金型を80℃まで冷却し3mm厚みの樹脂成形品を得た。
<実施例2>
実施例1と同様にして、ストランド状の中間成形体を押出成形した。このストランド状の中間成形体を一旦冷却後、30cmの長さに切断した。次にこの中間成形体を190℃に加熱した下金型に約100gずつ3層で配置し、最下部層、最上部層は同一の一方向に配置し、中間層の1層は最下部層、最上部層に対して直行方向に配置した後、上金型を載せ、プレス成形した。10MPaで10分間保持後、そのまま金型を80℃まで冷却し3mm厚みの樹脂成形品を得た。
実施例1と同様にして、ストランド状の中間成形体を押出成形した。このストランド状の中間成形体を一旦冷却後、30cmの長さに切断した。次にこの中間成形体を190℃に加熱した下金型に約100gずつ3層で配置し、最下部層、最上部層は同一の一方向に配置し、中間層の1層は最下部層、最上部層に対して直行方向に配置した後、上金型を載せ、プレス成形した。10MPaで10分間保持後、そのまま金型を80℃まで冷却し3mm厚みの樹脂成形品を得た。
<実施例3>
ガラス繊維の繊維長を1/8インチ長のものとした以外は、実施例1と同様にして、3mm厚みの樹脂成形品を得た。
ガラス繊維の繊維長を1/8インチ長のものとした以外は、実施例1と同様にして、3mm厚みの樹脂成形品を得た。
<比較例>
MFR(Melt flow rate)10のポリプロピレン樹脂ペレット(日本ポリプロ製、ノバテックSA04C)68質量部、ガラス繊維(日東紡製、CS−PE SMC(Sheet Molding Compound)用、1/2インチ長)30質量部、相溶化剤(三洋化成製ユーメックス1010)2質量部を均一に撹拌して樹脂材料とした後、プラストミル押出機(東洋精機製作所製)のシューターから樹脂材料を投入し、バレル温度190℃、スクリュー回転速度60rpmで、先端部にシート成形用Tダイ(3×60mm)を設置して、3mm厚のシートを押出成形して樹脂成形品を得た。
MFR(Melt flow rate)10のポリプロピレン樹脂ペレット(日本ポリプロ製、ノバテックSA04C)68質量部、ガラス繊維(日東紡製、CS−PE SMC(Sheet Molding Compound)用、1/2インチ長)30質量部、相溶化剤(三洋化成製ユーメックス1010)2質量部を均一に撹拌して樹脂材料とした後、プラストミル押出機(東洋精機製作所製)のシューターから樹脂材料を投入し、バレル温度190℃、スクリュー回転速度60rpmで、先端部にシート成形用Tダイ(3×60mm)を設置して、3mm厚のシートを押出成形して樹脂成形品を得た。
上記の実施例1〜3及び比較例の各樹脂成形品について、引張り強度試験、曲げ強度試験及びアイゾット衝撃強度試験(耐衝撃強度試験)、表面の平滑性の評価を行った。
引張り強度試験はJISK7161に基づいて行った。その試験結果を表1に示す。なお、試験結果においてL方向とは長さ方向、W方向とは幅方向を表す。
曲げ強度試験はJIS7171に基づいて行った。その試験結果を表1に示す。なお、試験結果においてL方向とは長さ方向、W方向とは幅方向を表す。
アイゾット衝撃試験はJIS7111(ノッチ無し)に基づいて行った。その試験結果を表1に示す。なお、試験結果においてL方向とは長さ方向、W方向とは幅方向を表す。
表面の平滑性は目視により行い、表面の平滑性が良好なものを○、不良なものを×として評価した。その評価結果を表1に示す。
実施例1〜3の樹脂成形品では比較例の樹脂成形品よりも優れた引張り強度、曲げ強度、耐衝撃強度を示した。実施例1の樹脂成形品ではL方向に高強度となり、実施例2の樹脂成形品ではW方向でも高い強度となり両方向で高強度を示した。繊維長さの効果としては実施例3の樹脂成形品に比べて実施例1の樹脂成形品が高い強度を示した。
また、実施例1〜3の樹脂成形品は、表面の平滑性が全て良好であった。これに対し、ストランド状の中間成形体を形成せずに成形した比較例の樹脂成形品は、表面にガラス繊維が浮き出た状態であり、平滑性が悪く、また内部にはすが多く均一な樹脂成形品とはならなかった。
11 開口部
21 ストランド状
22 リボン状
23 中間成形体
21 ストランド状
22 リボン状
23 中間成形体
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂と繊維とを混合した樹脂材料を成形する樹脂成形品の製造方法において、熱可塑性樹脂と繊維とを混合した樹脂材料を、断面積が10mm2以下の開口部から押出して、ストランド状又はリボン状の中間成形体を成形した後、この中間成形体を一方向に並べてプレス成形することを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
- ストランド状又はリボン状の中間成形体を成形した後、この中間成形体を一方向に並べ、その上に前記一方向と交差する方向に中間成形体を重ねて並べてプレス成形することを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 繊維の長さが10mm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011254692A JP2013107302A (ja) | 2011-11-22 | 2011-11-22 | 樹脂成形品の製造方法 |
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Publications (1)
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JP2011254692A Pending JP2013107302A (ja) | 2011-11-22 | 2011-11-22 | 樹脂成形品の製造方法 |
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