JP2013107228A - 卓上切断機 - Google Patents

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秀晃 寺島
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Abstract

【課題】ストッパピンを用いて僅かな傾動角度を規定可能な、操作性の優れた卓上切断機の提供。
【解決手段】切断部を担持すると共にベース部に対して傾動可能な傾動部31と、ベース部に設けられ傾動部31を支持する傾動支持部27Bとの間に、ストッパピン29を介在させ、ストッパピン29には、傾動部31がベース部に対して垂直な状態で傾動部31に設けられたボルト31Bと当接する第一係合部29Aと、傾動部31がベース部に対して垂直状態から右側に5°傾いて当接する第二係合部29Bを設け、ストッパピン29を第一係合部29Aがボルト31Bに当接する第一の位置から第二係合部29Bがボルト31Bに当接する第二の位置へと移動させることにより、傾動部31及び切断部を僅かに傾動刺せることができる。
【選択図】図5

Description

本発明は卓上切断機に関し、特に切断刃が揺動可能な卓上切断機に関する。
例えば、特許文献1に記載されている卓上切断機では、ベース上に載置されたターンテーブルに、切断刃を保持した傾動部が左右傾動可能に支持されると共に、軸方向に移動可能なストッパピンが設けられている。このストッパピンの外周部が傾動部に設けられた被当接部であるボルトと当接することにより、切断刃がベース部上面に対し直角(90°)及び45°、135°の角度を成すように規定される。
この卓上切断機において、切断刃がベース部上面と直角や45°、135°の角度で切断作業を行うほかに、所定の角度である直角(90°)から、僅かに傾いた角度(85°や95°)で切断作業を行う場合がある。
この作業としては、図18に示されるように、壁板136に床板135を突き合わせる造作において、見栄えをよくすべく床板135の端面135Aに逃がしを設ける際に、床板135を85°または95°の角度で切断することが例示される。
特開平11−254401号公報
上述のように所定の角度に対応した被当接部を設け、この被当接部にストッパピンを当接させることにより、切断刃を所定の角度に規定しているが、所定の角度から僅かに傾いた角度においてもストッパピンで切断刃の角度を規定しようとすると、所定の角度に対応した被当接部が邪魔になることがあった。これにより、ストッパピンでは、切断刃を所定の角度から僅かに傾いた角度に規定することが出来ないという問題があった。
よって本発明は、切断刃が所定の角度から僅かに傾いた角度でもストッパピンを用いて傾動角度を規定可能な、操作性の優れた卓上切断機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、上面に被加工材が載置されるベース部と、一側面及び他側面を有する平板状を成し該被加工材を切断する切断刃を回転可能に支持する切断部と、該切断部を支持すると共に該ベース部に支持され、該上面に対して該切断刃が少なくとも該一側面側に傾くように該ベース部に対して該切断部と共に傾動可能な傾動部と、該上面と該一側面とが所定の角度で保持されるように、該傾動部と係合して該ベース部に対する該傾動部の傾動角度を規定可能なストッパ部材と、を備え、該ストッパ部材若しくは該ベース部と該傾動部とのいずれか一方には、該ストッパ部材が該ベース部及び該傾動部に相対して第一の位置に配置された状態で、該上面と該一側面とが該所定の角度を成すように該ベース部と該傾動部とのいずれか一方若しくは該ストッパ部材と係合する第一係合部を有すると共に、該ストッパ部材が該ベース部及び該傾動部に相対して第二の位置に配置された状態で、該上面と該一側面とが該所定の角度から該一側面側に僅かに傾いた第一近傍角度を成すように該該ベース部と該傾動部とのいずれか一方若しくは該ストッパ部材と係合する第二係合部を有する卓上切断機を提供する。
このような構成によると、ストッパ部材(ストッパピン)をベース部及び傾動部に対して相対的に第一の位置と第二の位置とに移動させることにより、ストッパ部材とベース部及び傾動部との係合箇所を第一係合部と第二係合部とで切り替えることができる。よって、第一係合部が係合する状態(切断刃が所定の角度に保持される状態)と第二係合部が係合する状態(切断刃が所定の角度から僅かに一側面側に傾いた状態)とをストッパ部材の相対移動で選択的に得ることができる。
上記構成において、該傾動部は、該切断部を該ベース部に対して該他側面側にも傾動可能に構成され、該ストッパ部材ピン若しくは該ベース部と該傾動部とのいずれか一方には、該ストッパ部材ピンが該ベース部及び該傾動部に相対して第三の位置に配置された状態で、該上面と該一側面とが該所定の角度から該他側面側に僅かに傾いた第二近傍角度を成すように該ベース部と該傾動部とのいずれか一方若しくは該ストッパ部材と係合する第三係合部を更に備えることが好ましい。
このような構成によると、第三係合部が係合する状態(切断刃が所定の角度から僅かに他側面側に傾いた状態)を更に得ることができる。
また該ストッパ部材は、該ベース部及び該傾動部に対して移動可能に構成され、軸方向一端側が該ベース部と該傾動部とのいずれか一方に係合すると共に該軸方向他端側が該ベース部と該傾動部とのいずれか他方に係合し、該ストッパ部材若しくは該ベース部と該傾動部とのいずれか一方には、該第一の位置及び該第二の位置において該第一係合部及び該第二係合部が選択的に係合する被係合部が設けられ、該第一係合部と該第二係合部とは、少なくとも該第一係合部若しくは該第二係合部のいずれかと該被係合部とが係合した状態で、該軸心から該第一係合部までの距離と該軸心から該第二係合部までの距離とが異なるように構成されていることが好ましい。
このような構成によると、軸心から第一係合部までの距離と軸心から第二係合部までの距離とが異なるため、第一係合部による係合と第二係合部による係合とで傾動部の傾動角度を変化させることができる。
また該ストッパ部材は、該ベース部及び該傾動部に対して該軸方向に移動可能に構成され、該被係合部は該ベース部と該傾動部とのいずれか一方に設けられ、該第一係合部と該第二係合部とは、該ストッパ部材に軸方向に並んで設けられていることが好ましい。
また該ストッパ部材は、該ベース部及び該傾動部に対して該軸心回りに回転可能に構成され、該被係合部は該ベース部と該傾動部とのいずれか一方に設けられ、該第一係合部と該第二係合部とは、該ストッパ部材において軸方向で同一位置、かつ軸心回りの周方向で異なる位置に設けられていてもよい。
これらの構成によると、ストッパ部材を、軸方向若しくは軸周り周方向のいずれかに移動させることにより、容易に第一係合部による係合状態と第二係合部による係合状態とを得ることができ、容易に傾動角度を変化させることができる。
また該ストッパ部材は、該ベース部及び該傾動部に対して該軸方向に移動可能に構成され、該被係合部は該ベース部と該傾動部とのいずれか一方に設けられ、該第一係合部と該第二係合部とは、該ストッパ部材の軸方向に並んで該被係合部に設けられていてもよい。
また上記課題を解決するために、上面に被加工材が載置されるベース部と、一側面及び他側面を有する平板状を成し該被加工材を切断する切断刃を回転可能に支持する切断部と、該切断部を支持すると共に該ベース部に支持され、該上面に対して該切断刃が少なくとも該一側面側に傾くように該ベース部に対して該切断部と共に傾動可能な傾動部と、該上面と該一側面とが所定の角度で保持されるように、該傾動部と係合して該ベース部に対する該傾動部の傾動角度を規定可能なストッパ部材と、を備え、該ストッパ部材は該傾動部に対して移動可能に構成されると共に移動方向において径寸法が異なる卓上切断機を提供する。
上記構成の卓上切断機において、該ストッパ部材は移動方向に長く且つ断面円形状で構成され、軸方向中心から外周部までの距離が軸方向の位置で異なることが好ましい。
また該ストッパ部材は軸方向の位置において軸方向中心から外周部までの距離が異なる複数の段部を有することが好ましい。
本発明の卓上切断機によれば、切断刃が所定の角度から僅かに傾いた角度でもストッパ部材を用いて傾動角度を規定可能な、操作性の優れた卓上切断機を提供できる。
本発明の実施の形態に係る卓上切断機の側面図。 本発明の実施の形態に係る卓上切断機の正面図。 本発明の実施の形態に係る卓上切断機の平面図。 本発明の実施の形態に係る卓上切断機の部分背面図。 図4のV-V線に沿った断面図であってストッパピンが第一の位置に配置された状態の図。 図1のVI-VI線に沿った断面図。 図1のVII-VII線に沿った断面図。 図4のV-V線に沿った断面図であってストッパピンが傾動部から退出した状態の図。 本発明の実施の形態に係る卓上切断機の正面図であって左45°に傾いた状態の図。 本発明の実施の形態に係る卓上切断機の正面図であって右45°に傾いた状態の図。 本発明の実施の形態に係る卓上切断機の正面図であって右5°に傾いた状態の図。 図4のV-V線に沿った断面図であってストッパピンが第二の位置に配置された状態の図。 本発明の実施の形態に係る卓上切断機の正面図であって左5°に傾いた状態の図。 図4のV-V線に沿った断面図であってストッパピンが第三の位置に配置された状態の図。 本発明の実施の形態に係る卓上切断機の側面図であって切断部が前側に移動した状態の図。 本発明の実施の形態の第一の変形例に係るストッパピンとボルトとの関係を示す図。 本発明の実施の形態の第二の変形例に係るストッパピンと傾動部との関係を示す断面図。 本発明の実施の形態に係る卓上切断機を用いて切断した木材の使用例を示す図。
以下、本発明の実施の形態に係る卓上切断機について、図1乃至図15に基づき説明する。図1に示される切断工具である卓上切断機1は、ベース部2と、支持部3と、切断部4と、から主に構成され、切断部4に切断刃7が装着され、ベース部2に対して切断部4を切断刃7の側面に直交する方向に傾動可能、ベース部2に対して切断刃7を切断刃7の回転軸と直交する方向に揺動可能、更に後述のベース21に対して切断刃7(切断部4)を後述の上下方向に伸びる軸周りに回動可能に構成されている。切断刃7は互いに平行な一側面及び他側面を有する円板状に構成されると共に、中央にボルト7Aが貫通する貫通孔を有する基部と、基部の外周に被加工材である木材Wを切削する刃部を備えている。
ベース部2は、被切断部材である木材Wを担持するベース21と、ベース21上に後述の上下方向に伸びる図示せぬ回動軸で回動可能に担持されたターンテーブル22と、ベース21に設けられたフェンス23とから主に構成されている。ベース21は、図2に示されるように、一対の左ベース21Aと右ベース21Bとから構成されている。これら左ベース21Aと右ベース21Bとが並んでいる方向を左右方向と定義し、ベース21の木材W(図1)を載置する面の上方を上方、反対を下方と定義する。
図2及び図3に示されるように、ターンテーブル22は、右ベース21Bと左ベース21Aとの間に配置されている。図3に示されるように、ターンテーブル22は、略円台状のターンテーブル本体部22Aと、ターンテーブル本体部22Aから図示せぬ回動軸の軸方向と直交する一方に突出する突出部24と、ターンテーブル本体部22Aの他方に設けられて後述の支持部3を支持する切断部支持部27とから構成されている。この突出部24がターンテーブル本体部22Aより突出している方向であって左右方向と直交する方向を前方、反対を後方と定義する。
また、ターンテーブル22の上面には、切断部支持部27近傍位置から突出部24にかけて一連の図示せぬ溝部が形成されている。この図示せぬ溝部は、切断刃7(図1)が下方に揺動してターンテーブル22と交わった際の交線位置と同一位置にあり切断刃7の刃先が収容されて通過する箇所である。
図1及び図2に示されるように、突出部24には、ターンテーブル22のベース21に対する回動を規制する際の操作部となる規制操作部28が設けられている。規制操作部28は、突出部24から前方へと延出され、後端部分が突出部24に螺合すると共に、その先端(後側端部)がベース21の図示せぬ一部に当接可能に構成されている。よって規制操作部28が回転操作され、後方に向けて螺進し先端がベース21と当接することにより、ターンテーブル22がベース21に対して固定され、ターンテーブル22のベース21に対する回動が抑制される。
図1に示されるように切断部支持部27は、ターンテーブル22の図示せぬ回動軸に対して突出部24の反対位置(図示せぬ回動軸回りに180°回転した位置)に配置されている。即ち、ターンテーブル22の後端側に配置されている。切断部支持部27には、図示せぬ溝部の延長線上に位置する傾動軸部27Aと、最後端部から上方へ向けて直立する傾動支持部27Bとを有しており、図2に示されるように、傾動軸部27Aの左右両隣に、それぞれボルト27C、27Cがターンテーブル22の上面に螺合して設けられている。
傾動支持部27Bには図2及び図4に示されるように、前後方向に貫通し左右方向に延びる円弧状の長孔27bが形成されている。この長孔27b内に後述のクランプ31Aが挿入されている。また図4に示されるように、傾動支持部27Bに形成された孔には、直角時の位置決め部材となるストッパピン29が装着されている。ストッパピン29は、丸棒状を成し、その軸方向が前後方向と一致するように、かつ前後方向に移動可能に傾動支持部27Bに摺動可能に支持され、図5に示されるように、前端が傾動支持部27Bから前側(傾動部31側)へと突出可能に構成されている。
ストッパピン29の前端は、ストッパピン29の軸方向と直交する断面が円形かつ最も小径の第二係合部29Bと、断面が円形かつ第二係合部29Bより大径の第一係合部29Aと、断面が円形かつ第一係合部29Aより大径の第三係合部29Cとが前端から後方へと向けて並んで設けられている。これら第一係合部29A、第二係合部29B、第三係合部29Cは、第二係合部29Bと第一係合部29Aとの径の差と、第一係合部29Aと第三係合部29Cとの径の差とが等しくなるように構成されている。このような構成により、ストッパピン29の軸心から、第一係合部29Aの外周面、第二係合部29Bの外周面、第三係合部29Cの外周面までの距離がそれぞれ異なることになる。また第三係合部29Cの外径は、ストッパピン29において傾動支持部27Bに摺動可能に支持される部分と同一径を成している。
ストッパピン29が傾動支持部27Bから前方へと突出することにより、第一係合部29A、第二係合部29B、第三係合部29Cの何れか一が、後述の傾動部31と係合する。ストッパピン29は、丸棒状を成し、かつ傾動支持部27Bに対して軸方向(前後方向)及び軸周りにのみ移動可能であるため、ストッパピン29が傾動支持部27Bに対して前後動及び軸周りに回転したとしてしても、その軸心の左右方向位置は変化しない。従ってストッパピン29を前後させて、傾動部31と係合する箇所を第一係合部29A、第二係合部29B、第三係合部29Cの何れかとすることにより、ストッパピン29の軸心から傾動部31の係合箇所までの左右方向における距離を変化させることができる。第一係合部29Aが傾動部31と係合する位置をストッパピン29の第一の位置と定義し、第二係合部29Aが傾動部31と係合する位置をストッパピン29の第二の位置と定義し、第三係合部29Cが傾動部31と係合する位置をストッパピン29の第三の位置と定義する。また以下の説明においては、特に言及しない限り、傾動部31がベース部2に対して垂直状態に保持され、かつ切断刃7の回転軸の軸方向が前後方向と直交している状態(ターンテーブル22の上面に対して切断刃7が直交している状態)、即ちストッパピン29が第一の位置に配置されているとして説明する。
図2に示されるボルト27C、27Cはそれぞれ後述の傾動部31と当接可能であり、傾動部31の左右方向への最大傾動位置を規定している。
図1及び図2に示されるように、ベース21上であって、ターンテーブル22の上方位置には、フェンス23が設けられている。フェンス23は、図2に示されるように、左ベース21A及び右ベース21Bに対応して左フェンス23A及び右フェンス23Bから構成されており、左フェンス23A及び右フェンス23Bの前面は、互いに同一平面上に位置するように配置されて、木材W(図1)の位置を規定している。
図1に示されるように、支持部3は、傾動部31と、スライド支持部33と、揺動支持部35とから主に構成されている。傾動部31は傾動軸部27Aにより切断部支持部27に支持されている。傾動部31には、クランプ31Aが螺合しており、クランプ31Aは、傾動支持部27Bの長孔27b(図2)に挿入され、クランプ31Aを締めることにより、傾動部31が傾動支持部27Bに固定され、クランプ31Aを緩めることにより傾動部31が左右方向に傾動可能である。またクランプ31Aが長孔27bに挿入されているため、傾動部31が傾動支持部27Bに対して傾動可能な角度は、クランプ31Aが長孔27b内で移動可能な範囲に限定される。
図5に示されるように、傾動部31において、ストッパピン29の右側であってストッパピン29と当接可能な位置には、被係合部であるボルト31Bが螺合して設けられている。ボルト31Bの先端が、第一の位置、第二の位置、第三の位置のそれぞれで、第一係合部29A、第二係合部29B、第三係合部29Cのそれぞれと選択的に当接することにより、切断部支持部27(ベース部2)に対する傾動部31(切断刃7)の傾動角度を規定することができる。
また図1に示されるように、傾動部31の上部には、上下方向に並んだ一対の孔31a、31bが後方に向けて穿設されている。
図1及び図6に示されるように、スライド支持部33は、主に二本のガイドバー33A、33B、及びサポート部33D(図1)から構成されている。ガイドバー33A、33Bは、いずれも略同形状のパイプ状を成し、図1に示されるように上下方向に並列してベース部2上面と平行かつそれぞれの軸方向が前後方向と一致するように、傾動部31の孔31a、31bに装着されている。これらガイドバー33A、33Bはそれぞれ傾動部31に螺合したボルト33C、33Cにより、傾動部31に脱着不能に固定されている。
サポート部33Dには、後方から前方へ向けて穿設された二つの孔が形成されており、この孔内に二本のガイドバー33A、33Bの前端を挿入して、二本のガイドバー33A、33Bの前端をそれぞれ接続している。またサポート部33Dには、それぞれボルト33E、33Eが螺合しており、ボルト33E、33Eによって二本のガイドバー33A、33Bがサポート部33Dに固定されている。
揺動支持部35は、スライド部35Aと腕部35Bとから構成されている。図6に示されるように、スライド部35Aは、前後方向に平行に伸びる二本の貫通孔35a、35bを有し、この貫通孔35a、35b内に二本のガイドバー33A、33Bが挿入されている。このスライド部35Aが二本のガイドバー33A、33Bに対してスライドすることにより、揺動支持部35が前後移動可能になる。またスライド部35Aには、螺進してスライド部35Aの貫通孔35a内に突出可能なノブ35C(図2)が螺合している。よってノブ35Cを螺進させることにより、ガイドバー33A、33Bに対してスライド部35Aを固定することが可能である。また、ガイドバー33Bと貫通孔35bの間には貫通孔35bの軸方向に長いベアリング36Aが設けられている。一方、ガイドバー33A側にはガイドバー33Aの外周と当接して回転するボールベアリング36Bが軸部36Cにより支持されて設けられている。ガイドバー33Aのボールベアリングと反対側には摺動部材36Dがネジ36Eによってガイドバー33Aと接触するように設けられている。従って、ガイドバー33A、33Bに対する揺動支持部35の前後移動を円滑に行うことができる。
腕部35Bは、図6に示されるように、前後方向矢視において上方に開口する略コの字形を成して一対の腕部を有し、スライド部35Aと一体移動するように構成されており、一対の腕部の間に揺動軸部35Dが渡されて切断部4を揺動可能に軸支するように構成されている。揺動軸部35Dは、その軸方向がベース部2の上面と平行であり、かつスライド部35Aのスライド方向と直交する方向になるように腕部35Bに装着されている。また揺動軸部35Dにはバネ35Eが装着されており、このバネ35Eにより、切断部4が上方へと移動する(ベース部2の上面から離間する)ような付勢力を切断部4(図1)に与えている。
また腕部35Bの下部には、後方へと向けて穿設された凹部35cが形成されており、凹部35c内には、レーザー発振器35Fが設けられている。レーザー発振器35Fは、ノブ35Gを有し、ノブ35Gを操作することにより腕部35Bに対して切断刃7の回転軸方向と平行に移動調整可能であり、図1に示されるように切断刃7の延長線上、即ち木材Wの切断箇所にレーザー光を照射可能になっている。なお、レーザー発振器35Fは上述のようにノブ35G(図6)を操作して移動可能に構成されているため、切断作業に応じて、レーザー光の照射位置を切断刃7の側面に沿って、或いは、切断刃7の刃幅内に照射することができ、例えば木材Wの表面に記された墨線にレーザー光を合わせて正確に所望の箇所を切断することができる。
切断部4は、揺動軸部35Dに軸支されるハウジング41を筐体として構成されている。図1及び図2に示されるようにハウジング41は、本体部41Aと、モータ収容部41Bと、ソーカバー41Cとから構成されている。本体部41Aは、腕部35Bで揺動可能に支持される箇所であり、図7に示されるように、内部にギア機構42を備えている。
ギア機構42は、いずれも左右方向に伸びる回転軸周りにベアリングで回転可能に支持され、プーリ42Aと、プーリ42Aより小径かつプーリ42Aと同軸一体回転する第一ギア42Bと、第一ギア42Bより大径で第一ギア42Bと噛合する第二ギア42Cと、第二ギア42Cと同軸一体回転するスピンドル42Dとから構成されている。スピンドル42Dは、その左側端部が、本体部41Aの左側面から左側に突出しており、この左側端部には切断刃7がボルト7A及びフランジ7Bを介して装着されている。
また図1に示されるように、本体部41Aには、切断部4が最も上方に揺動した状態で最上部となる位置であって、切断刃7の側面を延長した平面と重なる位置にハンドル4Bを有し、ハンドル4Bには、モータ5(図7)の回転オン・オフを制御するトリガ4Cが設けられている。ハンドル4Bを切断刃7側面の延長線上に設けることにより、切断加工時(揺動時)に切断刃7を介して切断部4に加わる反力を切断刃7に傾き等の力を生じさせることなくハンドル4Bで受けることができる。
モータ収容部41Bは、本体部41Aの上部から左側に延出されて切断刃7の上方に配置されるように構成され、内部にモータ5(図7)が収容されている。またモータ収容部41Bにおいて、図15に示されるように、切断部4が最も下方に揺動した状態で最上部となる位置にサブハンドル4Dが設けられている。
図7に示されるようにモータ5は、モータ収容部41B内に、切断刃7側面を延長した仮想の平面と交差する部分を有するように配置されており、右側に向けて突出する出力軸部51を有し、その出力軸部51にファン52及びモータ側プーリ53が同軸一体回転するように装着されている。モータ側プーリ53は、左右方向において、プーリ42Aと同位置に配置されており、プーリ42Aとの間にベルト54が掛けられてプーリ42Aに回転力を伝達している。
切断部4はモータ5の回転力を切断刃7に伝達するためのベルト機構を有する構成であることによって、モータ収容部41Bを切断刃7の側面延長線上に配置することができ、モータ5が収容される分、本体部41Aが左右方向に突出することが無く、故に切断部4のスピンドル42Dの軸方向の寸法を小さくすることができるようになる。これによって、図9、図10に示されるように、切断部4を左右側(切断刃7の両側面側)に傾斜可能な構成とすることができる。
またモータ収容部41Bには、切断部4を最下方に揺動させた状態で揺動支持部35に対する切断部4の揺動を規制(固定)可能な図示せぬ固定機構が設けられている。
ソーカバー41Cは、本体部41Aの左側面に装着されており、切断刃7の上半分を覆うように構成されている。また、ソーカバー41C内にはソーカバー41Cから露出する切断刃7の下側の外周を覆う形状をした鋸カバー41Dが切断刃7の回転軸を中心に回動可能に設けられている。鋸カバー41Dは、図1に示すように、切断部4が上方に揺動している状態では、ソーカバー41Cから露出する切断刃7の部分の外周を覆う位置に回動しており、図15に示すように、切断部4が下方に揺動している状態では図示しないリンク機構によって回動してソーカバー41C内に収納され、切断刃7の下半分をソーカバー41Cから露出させる。
上記構成の卓上切断機1において、木材Wを直角に切断すべく、切断刃7の両側面をベース部2上面に対して所定の角度である90°にする、即ち図2に示されるように支持部3及び切断部4をベース部2に対して垂直にするには、図5に示されるようにストッパピン29を第一の位置に配置し、第一係合部29Aをボルト31Bに当接させた状態で、クランプ31Aを締結し、傾動支持部27Bに対して傾動部31を固定する。
木材Wを斜めに切断すべく、切断刃7の両側面をベース部2上面に対して傾斜させる、即ち図9及び図10に示されるように左右方向の何れかに切断部4を傾かせる場合には、図8に示されるように、ストッパピン29を傾動部31内から完全に退避させると共にクランプ31Aを緩めることにより、ベース部2に対して支持部3及びこれに担持される切断部4が左右いずれにも傾動可能になる。図9及び図10に示されるように左右何れかに傾いた切断部4は、傾動部31が左右の何れかのボルト27Cに当接することにより、その最大傾斜角が定められている。よって、例えば最大傾斜角を45°とするには、傾動部31が45°に傾いた状態で傾動部31に当接するように、ボルト27Cの傾動支持部27Bからの突出量を定めればよい。
また図18に示される床板135の端面135Aを形成すべく、切断部4を、図2の垂直状態から図11に示されるように右側に僅かに傾かせる、本実施の形態において右側に5°傾かせるには、図12に示されるように、ストッパピン29を第二の位置に配置し、第二係合部29Bをボルト31Bに当接させた状態で、クランプ31Aを締結し、傾動支持部27Bに対して傾動部31を固定する。この第二の位置においては、ストッパピン29の軸心からボルト31Bまでの距離が第一の位置に比べて短く(近く)なるため、ボルト31Bは第一の位置に比べてより右側に移動することができ、故にボルト31Bと一体に傾動する切断部4も第一の位置(90°の状態)から右側に5°移動することができる。
同様に切断部4を、図2の垂直状態から図13に示されるように左側に僅かに傾かせる、本実施の形態において左側に5°傾かせるには、図14に示されるように、ストッパピン29を第三の位置に配置し、第三係合部29Cをボルト31Bに当接させた状態で、クランプ31Aを締結し、傾動支持部27Bに対して傾動部31を固定する。この第三の位置においては、ストッパピン29の軸心からボルト31Bまでの距離が第一の位置に比べて長く(遠く)なるため、ボルト31Bは第一の位置に比べて左側の位置までしか移動することができず、故にボルト31Bと一体に傾動する切断部4も第一の位置(90°の状態)から左側に5°の位置に止まる。
このようにストッパピン29を第一の位置から、第二の位置及び第三の位置に移動させることにより、ストッパピン29と傾動部31との係合箇所を第一係合部29Aと第二係合部29Bと第三係合部29Cとで切り替えることができる。即ち、第一係合部29Aが係合する状態(切断刃7がベース部2に対して90°に保持される状態)と第二係合部29B、第三係合部29Cが係合する状態(切断刃7が90°から右側及び左側にそれぞれ5°傾いた状態)とをストッパピン29の軸方向への移動で選択的に得ることができる。即ち、ストッパピン29を前後に移動するだけの簡単な操作で微小な傾斜角度にすることができる。
切断部4を、これらの何れかの傾動状態に保った後に、図15に示されるように、スライド部35A(揺動支持部35)をスライド支持部33(ガイドバー33a、33b)に対してスライドさせて切断部4を前方へと移動させ、その後に切断部4を下方へと移動させると共に後方へと移動させ、木材Wの切断を開始する。
本発明の卓上切断機は、上述の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の改良や変形が可能である。例えば実施の形態では、軸方向で径が異なるストッパピン29を用いたが、これに限らず、第一の変形例として、図16に示されるようなストッパピン129を用いてもよい。
このストッパピン129は、軸方向前端部分であってボルト31Bと当接する位置に回転軸がストッパピン129の軸心と一致するカムが形成され、このカムは、軸心から距離L1の位置に形成された第一係合面129Aと、軸心から距離L2の位置に形成された第二係合面129Bと、軸心から距離L3(半径L3)の位置に形成された円弧部分である第三係合面129Aとを有しており、L2<L1<L3であり、かつL1とL2との差、L3とL1との差が等しくなるように構成されている。
ストッパピン129では、第一係合面129A、第二係合面129B、第三係合面129Cがそれぞれボルト31Bと当接した状態を第一の位置、第二の位置、第三の位置とそれぞれ定義する。この第一の変形例では、ストッパピン129が第一の位置において、切断部4をベース部2上面に対して垂直にし、ストッパピン129を第一の位置から軸周りに回転させることにより、第二、第三の位置に変化させ、切断部4をベース部2上面に対してそれぞれ右側、左側に僅かに傾かせることができる。即ち、第二の位置では右側に傾斜、第三の位置では左側に傾斜させることができる。
また実施の形態及び変形例では、ストッパピン側に段差等を設けて切断部を僅かに傾動させたが、これに限らず、図17に示されるように、第二の変形例として傾動部31側に段差を設けてもよい。具体的には、ボルトの代わりに、ストッパピン229の先端と当接する段部231を設け、段部231には、いずれも左右方向と直交する平面である、第一係合面231Aと、第一係合面231Aより右側かつ後側に位置する第二係合面231Bと、第一係合面231Aより左側かつ前側に位置する第三係合面231Cとが設けられている。ストッパピン229では、第一係合面231A、第二係合面231B、第三係合面231Cとのそれぞれと当接した状態を第一の位置、第二の位置、第三の位置とそれぞれ定義する。
この第二の変形例では、ストッパピン229が第一の位置において、切断部4をベース部2上面に対して垂直にし、ストッパピン229が後側、前側にそれぞれ移動することにより、第二、第三の位置に変化し、切断部4をベース部2上面に対してそれぞれ右側、左側に僅かに傾かせることができる。即ち、第二の位置では右側に傾斜、第三の位置では左側に傾斜させることができる。
これら実施の形態及び変形例では、ストッパピンを、軸方向若しくは軸周り周方向のいずれかに移動させることにより、容易に第一係合部〜第三係合部による係合状態を得ることができ、容易に傾動角度を変化させることができる。
また本実施の形態では、所定の角度を90°として説明したが、これに限らず、ストッパピンで規定する角度、例えば60°等を所定の角度として、そこから僅かに傾かせたいときにも本発明を適用可能である。また僅かに傾かせる角度を±5°として説明したが、これに限らず、もっと微細な角度でもよい。また本実施の形態では、スライド式の卓上切断機について言及したが、これに限らず、スライド機構を備えない卓上切断機にも適用可能である。
1:卓上切断機 2:ベース部 3:支持部 4:切断部 4B:ハンドル
4C:トリガ 4D:サブハンドル 5:モータ 7:切断刃 7A:ボルト
7B:フランジ 21:ベース 21A:左ベース 21B:右ベース
22:ターンテーブル 22A:ターンテーブル本体部 23:フェンス
23A:左フェンス 23B:右フェンス 24:突出部 27:切断部支持部
27A:傾動軸部 27B:傾動支持部 27C:ボルト 27b:長孔
28:規制操作部 29:ストッパピン 29A:第一係合部 29B:第二係合部
29C:第三係合部 31:傾動部 31A:クランプ 31B:ボルト 31a:孔
33:スライド支持部 33A、33B:スライドパイプ 33C:ボルト
33D:サポート部 33E:ボルト 35:揺動支持部
35A:スライド部 35B:腕部 35C:ノブ 35D:揺動軸部 35E:バネ
35F:レーザー発振器 35G:ノブ 35a:貫通孔 35c:凹部
36A:ベアリング 36B:ボールベアリング 36C:軸部 36D:摺動部材
36E:ネジ 41:ハウジング 41A:本体部 41B:モータ収容部
41C:ソーカバー 41D:鋸カバー 42:ギア機構 42A:プーリ
42B:第一ギア 42C:第二ギア 42D:スピンドル 51:出力軸部
52:ファン 53:モータ側プーリ 54:ベルト 135:床板 135A:端面
136:壁板 W:木材

Claims (9)

  1. 上面に被加工材が載置されるベース部と、
    一側面及び他側面を有する平板状を成し該被加工材を切断する切断刃を回転可能に支持する切断部と、
    該切断部を支持すると共に該ベース部に支持され、該上面に対して該切断刃が少なくとも該一側面側に傾くように該ベース部に対して該切断部と共に傾動可能な傾動部と、
    該上面と該一側面とが所定の角度で保持されるように、該傾動部と係合して該ベース部に対する該傾動部の傾動角度を規定可能なストッパ部材と、を備え、
    該ストッパ部材若しくは該ベース部と該傾動部とのいずれか一方には、該ストッパ部材が該ベース部及び該傾動部に相対して第一の位置に配置された状態で、該上面と該一側面とが該所定の角度を成すように該ベース部と該傾動部とのいずれか一方若しくは該ストッパ部材と係合する第一係合部を有すると共に、該ストッパ部材が該ベース部及び該傾動部に相対して第二の位置に配置された状態で、該上面と該一側面とが該所定の角度から該一側面側に僅かに傾いた第一近傍角度を成すように該該ベース部と該傾動部とのいずれか一方若しくは該ストッパ部材と係合する第二係合部を有することを特徴とする卓上切断機。
  2. 該傾動部は、該切断部を該ベース部に対して該他側面側にも傾動可能に構成され、
    該ストッパ部材若しくは該ベース部と該傾動部とのいずれか一方には、該ストッパ部材が該ベース部及び該傾動部に相対して第三の位置に配置された状態で、該上面と該一側面とが該所定の角度から該他側面側に僅かに傾いた第二近傍角度を成すように該ベース部と該傾動部とのいずれか一方若しくは該ストッパ部材と係合する第三係合部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の卓上切断機。
  3. 該ストッパ部材は、該ベース部及び該傾動部に対して移動可能に構成され、軸方向一端側が該ベース部と該傾動部とのいずれか一方に係合し、
    該ストッパ部材若しくは該ベース部と該傾動部とのいずれか一方には、該第一の位置及び該第二の位置において該第一係合部及び該第二係合部が選択的に係合する被係合部が設けられ、
    該第一係合部と該第二係合部とは、少なくとも該第一係合部若しくは該第二係合部のいずれかと該被係合部とが係合した状態で、該軸心から該第一係合部までの距離と該軸心から該第二係合部までの距離とが異なるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の卓上切断機。
  4. 該ストッパ部材は、該ベース部及び該傾動部に対して該軸方向に移動可能に構成され、
    該被係合部は該ベース部と該傾動部とのいずれか一方に設けられ、
    該第一係合部と該第二係合部とは、該ストッパ部材に軸方向に並んで設けられていることを特徴とする請求項3に記載の卓上切断機。
  5. 該ストッパ部材は、該ベース部及び該傾動部に対して該軸心回りに回転可能に構成され、
    該被係合部は該ベース部と該傾動部とのいずれか一方に設けられ、
    該第一係合部と該第二係合部とは、該ストッパ部材において軸方向で同一位置、かつ軸心回りの周方向で異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の卓上切断機。
  6. 該ストッパ部材は、該ベース部及び該傾動部に対して該軸方向に移動可能に構成され、
    該被係合部は該ベース部と該傾動部とのいずれか一方に設けられ、
    該第一係合部と該第二係合部とは、該ストッパ部材の軸方向に並んで該被係合部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の卓上切断機。
  7. 上面に被加工材が載置されるベース部と、
    一側面及び他側面を有する平板状を成し該被加工材を切断する切断刃を回転可能に支持する切断部と、
    該切断部を支持すると共に該ベース部に支持され、該上面に対して該切断刃が少なくとも該一側面側に傾くように該ベース部に対して該切断部と共に傾動可能な傾動部と、
    該上面と該一側面とが所定の角度で保持されるように、該傾動部と係合して該ベース部に対する該傾動部の傾動角度を規定可能なストッパ部材と、を備え、
    該ストッパ部材は該傾動部に対して移動可能に構成されると共に移動方向において径寸法が異なることを特徴とする卓上切断機。
  8. 該ストッパ部材は移動方向に長く且つ断面円形状で構成され、軸方向中心から外周部までの距離が軸方向の位置で異なることを特徴とする請求項7に記載の卓上切断機。
  9. 該ストッパ部材は軸方向の位置において軸方向中心から外周部までの距離が異なる複数の段部を有することを特徴とする請求項8に記載の卓上切断機。
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