JP2013107100A - 高清浄度鋼の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】底部の出鋼口3に溶鋼の流量調整手段4を介して注入管5が接続された取鍋1を用い、この取鍋1内の溶鋼を、下部をタンディッシュ2内の溶鋼に浸漬させた注入管5を通じてタンディッシュ2に出鋼するに際し、取鍋の出鋼口3から流量調整手段4までの間に配したポーラスプラグ6を通じて、溶鋼中に不活性ガスを吹き込むとともに、注入管5の上端寄りの位置から、注入管5内を流れる溶鋼中に不活性ガスを吹き込む。吹き込まれたガスの微細化、溶鋼中での気泡の滞留時間の確保、及び注入管内での負圧による気泡の膨張の抑制により、吹き込みガスの気泡により介在物を効率よく捕捉できる。
【選択図】図1
Description
特許文献1,2には、取鍋内からタンディッシュに溶鋼を出鋼する際に、全ての溶鋼が通過する取鍋底部の出鋼口に接続された注入管から不活性ガスを吹き込み、不活性ガスの気泡を溶鋼と効率よく接触させ、気泡に捕捉された介在物をタンディッシュ湯面に浮上分離させる方法が開示されている。
また、特許文献2では、取鍋の出鋼口に接続した注入管のタンディッシュ内溶鋼に浸漬した部位から注入管内に溶鋼トン当り0.5〜50NLの不活性ガスを吹き込むことで、不活性ガスの気泡径を2.0mm以下に微細化し、介在物を効率良く除去できるとしている。
気泡により溶鋼中の介在物を効率良く除去するには、気泡と介在物が衝突する頻度を高めることが重要である。そのためには、気泡の微細化、溶鋼中での気泡の滞留時間の増大が有効であると考えられる。
溶鋼中の気泡の微細化には、ガス吹き込み口の小径化と、溶鋼流により気泡に作用する剪断力が有効であることが知られている。取鍋からタンディッシュに溶鋼を注入するための注入管内は、取鍋やタンディッシュに較べて流路断面積が小さいため、溶鋼流速が非常に速くなり、気泡に作用する大きな剪断力が期待できると考えられる。また、ガスをポーラスプラグから吹き込むことで、気泡をより微細化することができる。
そこで、負圧になっている部分にガスを吹き込み、負圧を解消することで、気泡の膨張を抑制できると考えた。上述の圧力測定用のパイプからアルゴンガスを吹き込みながら、出鋼口内に設置したポーラスプラグからアルゴンガスを吹き込んだところ、タンディッシュ湯面の乱れは小さく抑えられた。すなわち、注入管の上端寄りの位置でガスを吹き込むことにより、気泡の膨張が抑制され、タンディッシュ湯面の乱れが抑えられることが判った。
[1]底部の出鋼口に溶鋼の流量調整手段を介して注入管が接続された取鍋を用い、該取鍋内の溶鋼を、下部をタンディッシュ内の溶鋼に浸漬させた注入管を通じてタンディッシュに出鋼するに際し、取鍋の出鋼口から流量調整手段までの間(但し、出鋼口の内側位置を含む)に配したポーラスプラグを通じて、溶鋼中に不活性ガスを吹き込むとともに、注入管の上端寄りの位置から、注入管内を流れる溶鋼中に不活性ガスを吹き込むことを特徴とする高清浄度鋼の製造方法。
[2]上記[1]の製造方法において、ガス吹込み位置での注入管内圧力が7.0×104Pa以上、大気圧以下となるように、注入管の上端寄りの位置から、注入管内を流れる溶鋼中に不活性ガスを吹き込むことを特徴とする高清浄度鋼の製造方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、下記(1)式を満たす時にポーラスプラグを通じて不活性ガスを吹き込むことを特徴とする高製浄度鋼の製造方法。
Qm≧4×103・D2 …(1)
但し Qm:取鍋からタンディッシュへの溶鋼出鋼流量(kg/s)
D:ポーラスプラグ配置部における溶鋼流路の内径(m)
図において、1は取鍋、2はタンディッシュである。取鍋1の底部には出鋼口3が設けられ、この出鋼口3にスライディングゲート4(溶鋼の流量調整手段)を介して注入管5が接続される。転炉から出鋼された溶鋼10が入れられた取鍋1は、二次精錬等の処理工程を経た後、タンディッシュ2への溶鋼注入位置に搬送される。ここで出鋼口3に注入管5(注入ノズル)が接続され、この注入管5の下部をタンディッシュ2内の溶鋼10に浸漬させた状態で、注入管5を通じて取鍋1内の溶鋼10をタンディッシュ2に注入(出鋼)する。その際の注入量は、出鋼口3と注入管5間に介在したスライディングゲート4によって制御される。なお、図において、11は取鍋1内の溶鋼10上に浮遊するスラグである。
本実施形態では、出鋼口3の内側に環状のポーラスプラグ6が配置され、これに接続されたガス供給管7を通じて不活性ガスの吹き込みを可能としている。このポーラスプラグ6は、取鍋1の出鋼口3(出鋼口3の内側位置を含む)からスライディングゲート4までの溶鋼流路の少なくとも一部において不活性ガスを吹き込むことが可能であれば、任意の位置に任意の形態で設けることができる。したがって、例えば、出鋼口3の羽口そのものをポーラスプラグ6で構成してもよいし、ポーラスプラグ6を出鋼口3の直下に設けてもよい。
ポーラスプラグ6及びガス注入孔8から吹き込む不活性ガスとしては、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの1種以上を用いることができる。
上端寄りの位置にガス吹き込み用と圧力測定用の2本のパイプを挿入した注入管を作成し、この注入管を取鍋に取り付け、圧力測定用のパイプには圧力計を接続し、注入管内へのガス吹き込みと注入管内の圧力測定を同時に行いつつ、本発明法に従い、取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入を行った。その際に、取鍋とタンディッシュで溶鋼のサンプリングを行い、その溶鋼サンプルの断面の介在物個数を測定した。図2に、注入管内圧力と介在物除去率(=(取鍋サンプル中の介在物個数−タンディッシュサンプル中の介在物個数)/取鍋サンプル中の介在物個数)との関係を示す。これによると、ガス吹込み位置での注入管内圧力が7.0×104Pa未満となると介在物除去率が急激に低下している。これは、圧力が低いことで気泡が膨張し、膨張した気泡どうしが合体してさらに大きな気泡となるためであると考えられる。なお、ガス吹込み位置での注入管内圧力が7.2×104Pa以上の場合に、介在物除去率が特に高くなる。また、圧力を大気圧より高くすると、注入管内の溶鋼湯面が下がって注入管下端以下となり、負圧解消用のガスが噴出して湯面が大きく乱れることになるため、圧力は大気圧以下とすることが好ましい。したがって、ガス吹込み位置での注入管内圧力が7.0×104Pa以上、より好ましくは7.2×104Pa以上、大気圧以下となるように、ガス注入孔8から不活性ガスを吹き込むことが好ましい。
本発明法の試験において、注入管5からの出鋼流量を8ton/min、11ton/minの2水準とし、ポーラスプラグ6を通じた不活性ガス(介在物捕捉用ガス)の吹き込み量を変化させ、図2の試験と同様に介在物の個数変化(介在物除去率)を調査した。その結果を図3に示すが、ガス吹き込み量が少なすぎても、多すぎても介在物除去率は小さくなる。この介在物除去率が確保できるガス吹き込み量を出鋼流量で整理すると、溶鋼トン当たり0.2〜5.0NLの範囲となった。すなわち、ポーラスプラグ6を通じた不活性ガス(介在物捕捉用ガス)の吹き込み量を溶鋼トンあたり0.2〜5.0NLとすることで、気泡どうしの衝突が最小限に抑えられ、介在物の捕捉を特に効率的にできる。
Qm≧4×103・D2 …(1)
但し Qm:取鍋からタンディッシュへの溶鋼出鋼流量(kg/s)
D:ポーラスプラグ配置部における溶鋼流路の内径(m)
Qm=4×103・D2 …(1a)
但し Qm:取鍋からタンディッシュへの溶鋼出鋼流量(kg/s)
D:ポーラスプラグ配置部における溶鋼流路の内径(m)
以上述べた方法により、取鍋1からタンディッシュ2への溶鋼注入中に吹き込んだガスの気泡により介在物の捕捉を効率良く行うことができる。
本発明例及び比較例において、鋳造後のスラブの全幅について超音波探傷により介在物個数の測定を行った。比較例1のスラブ中の介在物個数を“1”とした時の各スラブ中の介在物個数の比を、ポーラスプラグからのアルゴンガス吹き込み量、注入管内部の測定圧力(取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入中の圧力の測定値の平均値)とともに表2に示す。
表2によれば、比較例に対して発明例ではスラブ中の介在物個数が大幅に低減している。また、発明例2〜5では、ポーラスプラグからのガス吹き込み量を好ましい範囲としているため、介在物個数がより低減している。
2 タンディッシュ
3 出鋼口
4 スライディングゲート
5 注入管
6 ポーラスプラグ
7 ガス供給管
8 ガス注入孔
9 ガス供給管
10 溶鋼
11 スラグ
Claims (4)
- 底部の出鋼口に溶鋼の流量調整手段を介して注入管が接続された取鍋を用い、該取鍋内の溶鋼を、下部をタンディッシュ内の溶鋼に浸漬させた注入管を通じてタンディッシュに出鋼するに際し、
取鍋の出鋼口から流量調整手段までの間(但し、出鋼口の内側位置を含む)に配したポーラスプラグを通じて、溶鋼中に不活性ガスを吹き込むとともに、注入管の上端寄りの位置から、注入管内を流れる溶鋼中に不活性ガスを吹き込むことを特徴とする高清浄度鋼の製造方法。 - ガス吹込み位置での注入管内圧力が7.0×104Pa以上、大気圧以下となるように、注入管の上端寄りの位置から、注入管内を流れる溶鋼中に不活性ガスを吹き込むことを特徴とする請求項1に記載の高清浄度鋼の製造方法。
- ポーラスプラグを通じて、溶鋼トン当たり0.2〜5.0NLの不活性ガスを吹き込むことを特徴とする請求項1又は2に記載の高製浄度鋼の製造方法。
- 下記(1)式を満たす時にポーラスプラグを通じて不活性ガスを吹き込むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高製浄度鋼の製造方法。
Qm≧4×103・D2 …(1)
但し Qm:取鍋からタンディッシュへの溶鋼出鋼流量(kg/s)
D:ポーラスプラグ配置部における溶鋼流路の内径(m)
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