JP2013104697A - バッテリ・パックの入出力可能電力推定装置およびその方法 - Google Patents

バッテリ・パックの入出力可能電力推定装置およびその方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 より安く、かつ精度良く入出力可能電力を算出できるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置を提供する。
【解決手段】
バッテリ・パック2の入出力可能電力推定装置は、複数のセル2aを直列接続したバッテリ・パック2の全セルの端子電圧を検出する電圧センサ5と、セルを流れる電流を検出する電流センサ3と、全セルにつきセルごとに端子電圧および電流から各セルの内部状態を推測する内部状態推測手段22と、全セルのうちの最大端子電圧および最小端子電圧の少なくとも一方を有する特定セルの端子電圧と電流とから逐次推定法で特定セルの内部状態を推測する内部状態逐次推定手段7、12と、内部状態逐次推定手段で得られた特定セルの内部状態と残りのセルの内部状態とを比較し、特定セルの内部状態を用いて残りのセルの推定内部状態を補正する内部状態補正手段10,13、27と、を備えた。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数のセルを直列接続したバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置およびその方法に関する。
たとえば、電気自動車やハイブリッド電気自動車などでは、これらの車両を駆動するのに用いられる電気モータへ電力を供給(放電)したり、制動時のエネルギをジェネレータとして機能させ回生する電気モータから、あるいは地上に設置した電源から充電して電気エネルギを蓄積したりするため、リチャージャブル・バッテリ(二次電池)が用いられる。
このバッテリは大きな電力を供給可能とするため、多数(たとえば50〜100個)のセルを直列接続したバッテリ・パックが用いられている。この場合、バッテリ・パックは、安全上、この放電電力および充電電力がそれぞれ最大放電電力および最大充電電力以下となるように制御する必要がある。この場合、バッテリの充電率(SOC: State of Charge)等を知る必要があるが、これらの値は、バッテリの状態を直接測定して得ることができないため、直接測定可能な他の物性値を測定してこれらを基に種々の方法で推定している。
このため、下記特許文献1に記載されたバッテリの最大充放電電力演算法では、バッテリの放電電力積算量および予め算出されたバッテリの放電電力量と最大放電電力との相関関係に基づいて、最大放電電力および最大充電電力の少なくともいずれかを算出するようにしている。なお、上記相関関係は、バッテリの温度に基づいて算出した温度補正係数およびバッテリの劣化に基づいて算出した劣化補正数により補正してその推定精度を向上させている。
一方、下記非特許文献1に記載されたバッテリの出力特性評価法では、加速性能を支配する、バッテリの出力特性である最大電流値を求めるため、外挿法を用いて直線補間した、バッテリの端子電圧−充放電電流の特性から60sec間、出力可能な最大電流を求めるようにしている。その際、外挿法は、出力保持時間が短い(10sec程度)条件では比較的実測値に近い値となるが、出力保持時間が長時間を要する(60sec程度)場合には各電圧測定時におけるバッテリの放電深度(DOD: Depth of Charge)の差異が大きくなるので、この長保持時間の放電容量に相当するDODにて各電流値を測定し、外挿法により上記差異を抑制するようにしている。
特開平10−104325号公報
「EV用電池の出力特性評価に関する考察」(三菱自動車工業)冨永由騎 宮下拓也 第49回電池討論会要旨集 第140頁
しかしながら、上記従来のバッテリの最大充放電電力演算法にあっては、いずれも以下に説明するような問題がある。
すなわち、上記従来の両方法のように、バッテリ・パックの両端の端子電圧を測定し、この測定値に基づきバッテリの特性値を算出しても、バッテリ・パックが複数のセルから構成されているため、バッテリ・パックとしての電圧では安全な電圧範囲内にあっても、セルごとの端子電圧はそれぞれ充電率(SOC)や健全度(SOH: State of Health)にばらつきがあるため、セル単位によっては危険範囲内の電圧に達してしまう虞がある。
そこで、セルごとに検出している端子電圧やセルを流れる電流を基に充電率や健全度をセルごとに適合フィルタ等を用いて逐次推定することが考えられるが、これら充電率や健全度の逐次推定には多くの処理工数を速やかに実行できる非常に高い処理能力が必要なので、装置自体が非常に高価なものになってしまう。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、複数のセルが直列接続されて構成されたバッテリ・パックにおいて、各セルの特性のばらつきにもかかわらず、すべてセルが安全な電圧範囲内にあるようにして、しかもより安価な装置で、バッテリ・パックの最大入出力可能電力を算出することができるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置およびその方法を提供することにある。
この目的のため、請求項1に記載の本発明によるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置は、
複数のセルを直列接続したバッテリ・パックの全セルの端子電圧を検出する電圧センサと、
セルを流れる電流を検出する電流センサと、
全セルにつき全セルごとに端子電圧および電流から各セルの内部状態を推測する内部状態推測手段と、
全セルのうちの最大端子電圧および最小端子電圧の少なくとも一方を有する特定セルの端子電圧と電流とから逐次推定法で特定セルの内部状態を推測する内部状態逐次推定手段と、
内部状態逐次推定手段で得られた特定セルの内部状態とこの特定セル以外の残りのセルの内部状態とを比較し、特定セルの内部状態を用いて残りのセルの推定内部状態を補正する内部状態補正手段と、
を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置は、
請求項1に記載されたバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置において、
内部状態が、セルの健全度、内部抵抗のうちの少なくとも一つである、
ことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明によるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置は、
請求項1または請求項2に記載されたバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置において、
入力可能電力算出手段を備え、
特定セルが、全セルのうちの最大端子電圧を有するセルであり、
内部状態逐次推定手段が、特定セルの端子電圧および電流から開放電圧推定法最大充電率を算出し、
入力可能電力算出手段が、開放電圧推定法最大充電率を用いて前記バッテリ・パックへの入力可能電力の算出を行う、
ことを特徴とする。
請求項4に記載の本発明によるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置は、
請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置において、
出力可能電力算出手段を備え、
特定セルが、全セルのうちの最小端子電圧を有するセルであり、
内部状態逐次推定手段が、特定セルの端子電圧および電流から開放電圧推定法最小充電率を算出し、
入力可能電力算出手段が、開放電圧推定法最小充電率を用いてバッテリ・パックへの出力可能電力の算出を行う、
ことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明によるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置は、
請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1項に記載のバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置において、
走行可能距離算出手段を備え、
特定セルが、全セルのうちの最小端子電圧を有するセルであり、
内部状態逐次推定手段が、特定セルの端子電圧および電流から開放電圧推定法最小充電率を算出し、
走行可能距離算算出手段が、開放電圧推定法最小充電率を用いてバッテリ・パックへの出力可能電力の算出を行う、
ことを特徴とする。
請求項6に記載の本発明によるバッテリ・パックの入出力可能電力推定方法は、
複数のセルを直列接続したバッテリ・パックの全セルの端子電圧を検出し、
セルを流れる電流を検出し、
全セルにつき該全セルごとに端子電圧および電流から各セルの内部状態を推測し、
全セルのうちの最大端子電圧および最小端子電圧の少なくとも一方を有する特定セルの端子電圧と電流とから逐次推定法で前記特定セルの内部状態を推測し、
逐次推定で得られた特定セルの内部状態とこの特定セル以外の残りのセルの内部状態とを比較して、特定セルの内部状態を用いて残りのセルの推定内部状態を補正する、
ことを特徴とする
請求項1に記載の本発明によるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置にあっては、より安く、かつ精度良く入出力可能電力を算出できるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置を提供することができる。
請求項2に記載の本発明によるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置にあっては、セルの健全度、内部抵抗のうちの少なくとも一つの内部状態が、容易に推測できる。
請求項3に記載の本発明によるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置にあっては、入力可能電力が安全電圧範囲内となるように算出することができる。
請求項4に記載の本発明によるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置にあっては、出力可能電力が安全電圧範囲内となるように算出することができる。
請求項5に記載の本発明によるバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置にあっては、走行可能距離算をより精度よく算出することができる。
請求項6に記載の本発明のバッテリ・パックの入出力可能電力推定法にあっては、より安く、かつ精度良く入出力可能電力を算出できるバッテリ・パックの入出力可能電力推定方法を提供することができる。
本発明の実施例1に係るバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置の全体構成を示す図である。 図1の入出力可能電力推定装置の一部を構成するコントローラのバッテリ・パックを構成するブロックを示す図である。 バッテリの電流−電圧の特性を示す図である。 新品と劣化品とのバッテリの電流−電圧の特性を示す図である。 バッテリの電流―電圧特性を作成するための測定例を示す図である。 直線補完を行った電流―電圧特性を示す図である。 充電率−入出力可能電力の関係を示す図である。 出力可能な電力の比較図である。 劣化したセルの出力可能な電力を比較した図である。 健全度―健全度補正係数の関係を示す図である。 セル端子電圧のばらつきの例を示す図である。 セルごとにばらついている充電率を示す図である。 セルごとの端子電圧の測定例を示す図である。 開放電圧−充電率の関係を示す図である。 健全度の補正方法を説明する図である。 充電率―出力可能電力の関係を示す図である。 健全度―健全度補正係数の関係を示す図である。 内部抵抗−内部抵抗補正係数の関係を示す図である。 充電率―入力可能電力の関係を示す図である。 コントローラで実行される入出力可能電力の算出方法を実行するためのフローチャートである。 本発明の実施例2に係るバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置の一部を構成するコントローラのバッテリ・パックを構成するブロックを示す図である。 劣化と内部抵抗の関係を説明する図である。 内部抵抗―内部抵抗補正係数の関係を示す図である。 内部抵抗−健全度の関係を示す図である。 温度−内部抵抗の関係を示す図である。 温度−温度係数の関係を示す図である。 充電率−内部抵抗の関係を示す図である。 充電率―内部抵抗係数の関係を示す図である。 内部抵抗の補正方法を説明する図である。 充電率―出力可能電力の関係を示す図である。 内部抵抗−内部抵抗補正係数の関係を示す図である。 健全度―健全度補正係数の関係を示す図である。 充電率―入力可能電力の関係を示す図である。 本発明の実施例2に係るバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置の一部を構成するコントローラで実行される入出力可能電力の算出方法を実行するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
以下に、実施例1のバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置およびその方法につき説明する。このバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置の全体構成を図1に示す。本実施例では、この入出力可能電力推定装置は、他の電気部品とともに電気自動車に搭載され、バッテリ・パックから駆動用モータ等へ電力を供給するための出力可能な電力や、バッテリへ充電するための入力可能な電力を推定するのに用いられる。
図1に示すように、この入出力可能電力推定装置は、充電器1と、電流センサ3と、温度センサ4と、電圧センサ5と、バッテリ・コントローラ6と、を有し、バッテリ・パック2と駆動用モータ等の負荷LDとに接続されている。
バッテリ・パック2は、複数のセルを直列接続して高電圧を発生可能としたもので、たとえば1枚当たり3.7Vの実用起電力を発生するリチウムイオン二次電池(セル)をたとえば50〜100個程度スタックしており、自動車の床部分に搭載されている。
充電器1は、バッテリ・パック2の両端子間に接続されており、図示しない外部の充電装置に接続可能である。充電器1が外部の充電装置に接続されてバッテリ・パック2の充電を行う場合、入力電力をバッテリ・パック2へ最適に供給するため、バッテリ・コントローラ6が、バッテリ・パッック2の端子電圧Vが所定値より低いときは定電流充電を行い、その端子電圧Vが所定値以上になると過充電にならないように定電圧充電に切り替える。定電圧充電での充電電流が小さくなると充電完了と判定され、充電が停止される。
電流センサ3は、バッテリ・パック2を流れる電流iを検出し、ここで検出した電流iを電流信号としてバッテリ・コントローラ6へ出力する。
温度センサ4は、バッテリ・パック2の温度Tを検出し、ここで検出した温度Tを温度信号としてバッテリ・コントローラ6へ出力する。
電圧センサ5は、各セル2aの端子電圧V1〜Vn(添え字は各セルの番号に対応)を検出し、ここで検出した端子電圧V1〜Vnをセル2aの電圧信号としてバッテリ・コントローラ6へ出力する。
バッテリ・コントローラ6は、マイクロコンピュータで構成され、電流センサ3、温度センサ4、電圧センサ5に接続されて、これらが検出した得た信号を受け取り、バッテリの充電率、充電時における入力可能電力、始動キーONによる車両走行等に必要な放電時における放電可能電力を決定して、図示しない上位のコントローラにそれらの情報を送信する。上位のコントローラは、それらのバッテリ情報に基づき、バッテリ・パック2への充電電流、バッテリ・パック2からの放電電流の大きさをそれぞれ制御する。
負荷LDは、図示しない電気自動車駆動用のモータやエアコンディショナ等の搭載電気機器である。なお、上記駆動用モータは、ジェネレータとしても機能し、車両制動時には制動エネルギを電気エネルギに変えて発電することで、このとき得た電力を回生エネルギとして回収し、バッテリ・パック2へ充電することが可能である。
図2は、センサ入力とバッテリ・コントローラ6の主要構成部分とを、機能ブロックで表したものである。
バッテリ・コントローラ6は、電流i、全体のセル2aのうち最大電圧値を示すセルの最大電圧Vmax、全体のセル2aのうち最小電圧値を示すセルの最小電圧Vmin、バッテリ・パック2の温度T、各セル2aの端子電圧V1〜Vnといった各種センサ入力信号を基に、以下にそれぞれ説明する処理演算により、入力可能電力、出力可能電力、走行可能距離を求めて上位のコントローラへ出力する。
電流センサ3で検出された電流iは、第1の内部抵抗推定部/開放電圧推定部7と、第2の内部抵抗推定部/開放電圧推定部12と、電流積算法充電率算出部16と、電流積算法充電率算出部20と、にそれぞれ入力される。
温度センサ4で検出されたバッテリ・パック2の温度Tは、第1の内部抵抗推定部/開放電圧推定部7と、第2の内部抵抗推定部/開放電圧推定部12と、にそれぞれ入力される。
電圧センサ5によりそれぞれ検出された、第1〜第n(nはn>1となる自然数)番目のセル2aの端子電圧V1〜Vnのうち最大値となるセル電圧Vmaxは、第1の内部抵抗推定部/開放電圧推定部7に入力され、端子電圧V1〜Vnのうち最小値となるセル電圧Vminは、第2の内部抵抗推定部/開放電圧推定部12に入力される。
また、端子電圧V1〜Vnは、開放電圧−充電率変換部19に入力される。
上記のようにそれぞれ入力された信号は、以下のように処理される。
第1の内部抵抗推定部/開放電圧推定部7は、入力された電流i、セル最大電圧Vmax、温度Tに基づき、セル2aのバッテリ・モデルを利用してカルマン・フィルタ等の適応フィルタを用い、状態量であるバッテリ・モデルの内部抵抗raを推定し、これに電流iを乗じて最大セル電圧Vmaxから減算することで最大開放電圧OCVmaxを得る。この最大開放電圧OCVmaxは開放電圧−充電率変換部8に、また内部抵抗raは最大内部抵抗算出部11にそれぞれ入力される。
ここで、セル最大電圧Vmaxとなるセルは、本発明の特定セルに相当する。
開放電圧−充電率変換部8は、予め実験で得たバッテリの開放電圧値と充電率の関係データをデータ・テーブルの形で記憶していて、第1の内部抵抗推定部/開放電圧推定部7から入力された最大開放電圧OCVmaxに相当する充電率を開放電圧推定法最大電圧充電率SOC-v-maxとして充電率―入力可能電力変換部9へ出力する。
充電率―入力可能電力変換部9は、予め実験で得たバッテリの充電率と入力可能電力の関係データをデータ・テーブルの形で記憶していて、開放電圧−充電率変換部8から入力された開放電圧推定法最大電圧充電率SOC-v-maxに対応する入力可能電力を最大入力可能電力SOP-in-maxとして入力可能電力補正部10へ出力する。
なお、常温時における新品のバッテリの充放電能力SOPO-intは、充電率SOCの関数として表すことができ、電池が古くなったときの充放電可能電力SOP(State of Power)は、近似的にSOPintから健全度の割合で減少すると考えられる。すなわちSOP?SOPint×SOHとなる。
入力可能電力補正部10は、充電率―入力可能電力変換部9からの最大入力可能電力SOP-in-maxと、後で説明する最大内部抵抗算出部11からの最大内部抵抗rmaxと、後で説明する最小健全度算出部26からの最小健全度SOHminと、が入力されて、後で説明する方法で最大入力可能電力SOP-in-maxを補正し、この値を入力可能電力SOP-inとして出力する。
一方、第2の内部抵抗推定部/開放電圧推定部12は、入力された電流i、セル最小電圧Vmin、温度Tに基づき、セル2aのバッテリ・モデルを利用してカルマン・フィルタ等の適応フィルタを用い、状態量であるバッテリ・モデルの内部抵抗rbを推定し、これに電流iを乗じて最小セル電圧Vminから減算する最小開放電圧OCVminを得る。この最小開放電圧OCVminは、開放電圧−充電率変換部14に、また内部抵抗rbは最大内部抵抗算出部11にそれぞれ入力される。
ここで、セル最小電圧Vminとなるセルは、本発明の特定セルに相当する。
最大内部抵抗算出部11は、第1の内部抵抗推定部/開放電圧推定部7で得られた内部抵抗raと、第2の内部抵抗推定部/開放電圧推定部12で得られた内部抵抗rbと、が入力されて、これらのうち大きい方の値を最大内部抵抗rmaxとして入力可能電力補正部10および出力可能電力補正部13へ出力する。
出力可能電力補正部13は、最大内部抵抗算出部11で得られた最大内部抵抗rmaxと、後で説明する充電率−出力可能電力変換部19で得られた最小出力可能電力SOP-out-minと、後で説明する最小健全度算出部26で得られた最小健全度SOHminと、が入力されて、最小出力可能電力SOP-out-minを最大内部抵抗rmaxおよび最小健全度SOHminに応じて補正し、出力可能電力SOP-outとして出力する。
開放電圧−充電率変換部14は、予め実験で得たバッテリの開放電圧と充電率との関係データをデータ・テーブルの形で記憶していて、第2の内部抵抗推定部/開放電圧推定部12で得られた最小開放電圧OCVminに相当する充電率を開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minとして、充電率−出力可能電力変換部19、開放電圧推定法充電率変化算出部15、走行可能距離算出部27へそれぞれ出力する。
第1の内部抵抗推定部/開放電圧推定部7と、開放電圧−充電率変換部8と、第2の内部抵抗推定部/開放電圧推定部12と、開放電圧−充電率変換部14とは、本発明の内部状態逐次推定手段に相当する。
充電率−出力可能電力変換部19は、予め実験で得た充電率−出力可能電力の関係データをデータ・テーブルの形で記憶しており、開放電圧−充電率変換部14で得られた開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minに相当する出力可能電力を最小出力可能電力SOP-out-minとして、出力可能電力補正部13へ出力する。
開放電圧推定法充電率変化分算出部15は、開放電圧−充電率変換部14で得た最小充電率SOC-v-minの前回の値と現在の値とからこれらの差分をとって開放電圧推定法充電率変化分ΔSOC-vを得、これを健全度推定部18へ出力する。
健全度推定部18は、開放電圧推定法充電率変化算出部15で得られた開放電圧推定法充電率変化分ΔSOC-vと、後で説明する電流積算法充電率変化分算出部17で得た電流積算法充電率変化分ΔSOC-iと、に基づき、最小セル電圧Vminとなるセル(k番目のセルとする)の健全度を算出し、これを最小電圧Vminのセルの健全度SOH_kfとして健全度補正部25へ出力する。
一方、電流積算法充電率算出部16は、電流センサ3で検出された電流iを積算して充放電電荷量を得、これを新品時の容量である満充電容量で除算することで、電流積算法充電率SOC-iを得、これを電流積算法充電率変化分算出部17へ出力する。
電流積算法充電率変化分算出部17は、電流積算法充電率算出部16で得た電流積算法充電率SOC-iの前回の値と今回の値とからこれらの差分を演算して電流積算法充電率変化分ΔSOC-iを得、これを健全度推定部18へ出力する。
また、図2中CBで表している機能ブロックは、充電中に予め実行するブロックであり、電流積算法充電率算出部20と、電流積算法充電率変化分算出部21と、開放電圧−充電率変換部22と、開放電圧推定法充電率変化分算出部23と、健全度推定部24と、を有する。開放電圧−充電率変換部22と、開放電圧推定法充電率変化分算出部23と、健全度推定部24とは、本発明の内部状態推測手段に相当する。
電流積算法充電率算出部20は、充電時に電流センサ3で検出された電流iが入力されて、この充電電流iを積算して電流積算法充電率変化分算出部21へ出力する。
電流積算法充電率変化分算出部21は、充電電流iの絶対値を時間積分した電荷量を新品時の容量で除算して、電流積算法充電率変化分ΔSOC-iを得、健全度推定部24へ出力する。
開放電圧−充電率変換部22は、予め実験で得た開放電圧−充電率の関係データをテーブルの形で記憶しており、各セル2a(セルは全体でn個)から入力されたセル電圧V1〜Vnに相当する開放電圧推定法充電率SOC-v−1〜SOC-v−nを開放電圧推定法充電率変化分算出部23へ出力する。
なお、開放電圧−充電率変換部22は、第1の開放電圧−充電率変換部7や第2の開放電圧−充電率変換部12のようにカルマン・フィルタ等の適応フィルタを用いて開放電圧を逐次推定を行うものではない。開放電圧−充電率変換部22は、充電時に処理演算を行うものであり、長い駐車の後での充電開始にあっては、端子電圧を開放電圧にほぼ等しいとみなすことができることから、充電開始時の端子電圧から開放電圧推定法充電率SOC-v−1〜SOC-v-nを推定する。
開放電圧推定法充電率変化分算出部23は、開放電圧−充電率変換部22で得られた開放電圧推定法充電率SOC-v-1〜SOC-v-nごとに、前回の値と今回の値とからこれらの差分を演算して電流積算法充電率変化分ΔSOC-v-1〜ΔSOC-v-nを得、これらを健全度推定部24へ出力する。
健全度推定部24は、電流積算法充電率変化分算出部21で得られた電流積算法充電率変化分ΔSOC-iと、開放電圧推定法充電率変化分算出部23で得られたセル2aごとの開放電圧推定法充電率変化分ΔSOC-v-1〜ΔSOC-v-nと、を用いて前者を後者で除算することで各セル2aの健全度度SOH-1〜SOH-nを算出し、健全度補正部25へ出力する。
健全度補正部25は、健全度推定部18で得られた最小セル電圧を示すセルの健全度SOH_kfと、健全度推定部25で得られた各セル2aの健全度度SOH-1〜SOH-nとに基づき、後者を前者で補正して補正健全度SOH-1-com〜SOH-n-comを得、最小健全度算出部26へ出力する。
健全度補正部25は、本発明の内部状態補正手段に相当する。
最小健全度算出部26は、健全度補正部25から入力された補正健全度SOH-1-com〜SOH-n-comのうち最小値の健全度を選択して最小健全度SOHminとして、入力可能電力補正部10、出力可能電力補正部13、走行可能距離算出部27へそれぞれ出力する。
走行可能距離算出部27は、開放電圧−充電率変換部14で得られた開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minと、最小健全度算出部26で得られた最小健全度SOHminと、電費計算部28で得られた車両の平均電力消費量(アンペア・アワー/Km)とに基づき、車両が走行可能な距離Leを算出して出力する。
このようにして得られた入力可能電力は駐車時での充電や走行中での制動回生で得られた回収電力等の最大充電電量を制限のために、また出力可能電力は車両走行中に駆動モータ等へ供給する最大放電電力を制限するために、走行可能距離Leは車両がさらにどこまで走行可能か距離で表示するために、それぞれ利用される。
ここで、上記機能ブロックで実行されるいくつかの演算処理の内容につき、より詳細に説明する。
バッテリにより異なるが、充電率(SOC)の大きさによってバッテリの電流−端子電圧の関係は、図3のようになる。
すなわち、同図に示すように、いずれもバッテリ温度Tが25℃であり、充電率SOCが60%の場合における電流−端子電圧の関係を破線で、充電率SOCが50%の場合における電流−端子電圧の関係を実線で、充電率SOCが40%の場合における電流−端子電圧の関係を一点鎖線で、それぞれ示す。なお、同図には、システムによって決まる、充電時での最大電流値、およびそのときの上限値(本実施例では例えば4.2ボルト)、また放電時での最大電流値、およびそのときの下限値(本実施例では例えば2.5ボルト)が示してある。
上記最大電流値を精度良く算出できれば、入力可能な電力は、充電時の最大電流値と上限電圧との積から算出した値を用いることで、また出力可能な電力は、放電時の最大電流値と下限電圧値との積から算出した値を用いることで、良好なバッテリ・マネージメントが行えることになる。
しかしながら、バッテリ・パック2は、複数のセル2aを直列配置しているため、実際はこれらセル2a間にばらつきがあることから、セル2aごとに充電率SOCが異なっている。
この場合、入力可能な電力は複数のセル2aの中で最も高い充電率を用いて算出し、出力可能な電力は複数のセル2aの中で最も低い充電率を用いて算出する必要がある。
また、最大電流は、図4に示すようにバッテリの劣化状態に応じて変化することから、入出力可能な電力はセル2aごとにこれらの内部抵抗に応じて補正する必要がある。
すなわち、図4に示すように、新品のバッテリ(健全度が1で、内部抵抗はたとえば0.25オーム)は、温度が25℃、充電率Sが50%時のものでは実線で示すようになるのに対し、劣化品のバッテリ(たとえば健全度が0.8で、内部抵抗が0.3オーム)は、温度25℃、充電率が50%時のものでは破線で示すようになって新品時の場合とは異なるので、バッテリの状態に合った補正が必要となる。
次に、バッテリの電流−電圧特性の作成例を図5に示す。
図5に示すように、ある充電率において電流i1アンペアで放電し(同図上段を参照)、t(s)秒後の端子電圧V1ボルトを測定する(同図下段を参照)。同様にして、電流i2アンペア、i3アンペアでの端子電圧v2ボルト、v3ボルトを測定する。
続いて、図6に示すように、測定した電流i1、i2、i3と端子電圧V1、v2、v3からこれらを通る傾きRの直線を引いて電流−端子電圧特性図を作成する。直線と下限電圧2.5ボルトの線との交点における電流値を最大電流と推定して、この最大電流と電圧2.5ボルトとの積を、この充電率での出力(放電)可能な電力とする。
同様に、図示しないが、直線と上限電圧4.2ボルトとの交点における電流を最大電流値と推定して、この最大電流と電圧4.2ボルトとの積を、この充電率での入力(充電)可能な電力とする。
図7に、充電率を変化させて作成した、入力可能な電力(同図中、実線で表す)および出力可能な電力(同図中、破線で表す)と充電率SOCとの関係を示す。なお、図7は、図5において、t秒でのグラフとなっている。
従来技術にあっては、複数のセルが直列接続されたバッテリ・パックの端子電圧と電流とから充電率を算出し、この充電率を用いて入出力可能な電力を算出しているため、この充電率は複数のセルの特性がばらついているにも関わらず、平均の充電率相当値となる。この結果、図3から分かるように、低い充電率から算出した最大電流が最も小さくなることから出力可能電力も最小となるため、平均の充電率相当値では最大電流をより大きな値で見積もることとなる。
この結果、バッテリ・パックの中で最も低い充電率のセルが他のセルより先に下限電圧に達してしまい、最悪の場合、機器が停止してしまうことになる。これは、複数のセルが直列接続されているため、すべてのセルに同じ大きさの電流が流れることによる。
したがって、出力可能な電力は、図8に示すように、セル中、最も低い充電率を用いて算出する必要がある。この処理は、充電率−出力可能電力変換部19およびこの上流側のブロックにて行う。
また、従来技術の場合、図4に示すように、バッテリが劣化した場合、最大電流が減少することになる。また、従来技術では、複数のセルが直列接続された末弟・パックの端子電圧と電流とから健全度を推定し、この健全度を用いて出力可能電力と入力可能電力を補正するようにしている。
しかしながら、この従来技術で算出された健全度は、複数のセルの健全度が実際にはばらついていても平均の健全度相当値となる。このため、図4に示すように、低い健全度から算出した最大電流が最も小さくなり、出力可能な電力も最小となるため、平均の健全度相当値では最大電流をより大きな値で見積もることになる。このようにして見積もった最大電流を流した場合、バッテリ・パックの中でも最も低い健全度のセルが他のセルより先に下限電圧に達し、最悪の場合、機器が停止してしまうことになる。
したがって、入出力可能な電力は、図4の新品と劣化品との間での入力可能電力を比較して示した図9に示す関係のようになる。このため、図10に示す健全度と健全度補正係数との関係を用いて得た健全度補正係数を用いて入力可能電力を補正することになる。
以上の処理は、最小健全度算出部26およびこの上流側のブロックで行う。
次に、第1の内部抵抗推定/開放電圧推定部7および開放電圧変換部8で得る開放電圧推定法最大充電率SOC-v-maxと、第2の内部抵抗推定/開放電圧推定部12および開放電圧変換部14で得る開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minと、の推定方法につき、以下に説明する。
図11に示すように、コントローラ6には、電圧センサ5で検出した各セル2a(図示では見やすくするため7個だが実際はもっと多い)の電圧v1〜vnが入力される。また同時に電流センサ3で検出した電流i、温度センサ4で検出した温度Tが入力される。
このように各セル2aの電圧v1〜vnを測定することで、それぞれのセル2aの電圧v1〜vnと電流iからカルマン・フィルタ等の適合フィルタを用いて開放電圧等を各セルにつき逐次推定し、推定した開放電圧からセル2aごとの充電率を推定することが可能となる。
しかしながら、電気自動車用のバッテリ・パック2などにあっては、たとえば50〜100個のセル2aから構成されているため、これらを個々に逐次推定していくと、計算処理負荷が非常に大きなものとなり、高性能のマイクロコンピュータが必要となり、高コストとなる。
そこで、本実施例では、計算処理負荷を減少させるため、複数のセル2aの電圧の中で最大の電圧vmaxと最小の電圧vminを用い、第1の内部抵抗推定/開放電圧推定部7にて、最大の電圧vmaxと電流iとから最大開放電圧OCVmaxの逐次推定を行い、これから開放電圧変換部8で開放電圧推定法最大充電率SOC-v-maxを推定する一方、第2の内部抵抗推定/開放電圧推定部12にて最小の電圧vminと電流iとから最小開放電圧OCVminの逐次推定を行い、これから開放電圧変換部14で開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minを推定する。
なお、図12から分かるように、充電率(濃い部分で示す)はセル2aごとにばらついている。
ここで推定した開放電圧推定法最大充電率SOC-v-maxは入力可能電力の算出に用い、開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minは出力可能電力および航続可能距離の算出に用いる。
次に、健全度補正部25およびこの上流側のブロックで行う、充電時におけるセル2aごとの健全度の算出方法につき、以下に説明する。
充電開始前のセル2a(図示では見やすくするため7個だが実際はもっと多い)の端子電圧を測定する。この結果例を図13に示す。
開放電圧―充電率変換部22は、図14に示す開放電圧OCVと充電率SOCとの関係と、上記充電開始前に測定した各セル2aの端子電圧と、からセル2aごとの充電率SOCを算出する。
一方、電流積算充電率算出部16(20と同一)は、充電中の電流iを積算し、電流積算法充電率変化分算出部21が下記式から電流積算法充電率の変化分ΔSOC-iを算出する。
ΔSOC-i=(∫|i|dt)/DC
ここで、DCは新品時の容量(アンペアアワー)である。なお、セル2aは直列接続されているので、すべてのセル2aで電流積算法充電率の変化分ΔSOC-iは同じとなる。
一方、開放電圧―充電率変換部22は、充電終了時にも測定した各セル2aの端子電圧と充電率との関係(図14に示す)と、上記充電開始前に測定した各セル2aの端子電圧と、からセル2aごとの充電率を算出する。
続いて、開放電圧推定法充電率変化分算出部23が、充電開始時の充電率SOCと充電終了時の充電率SOCの差からセル2aごとの開放電圧推定法充電率変化分ΔSOC-vを算出する。
電流積算法充電率の変化分ΔSOC-iと開放電圧推定法充電率変化分ΔSOC-vとから、下記式によりセル2aごとの健全度SOH1〜SOHnを算出する。
K番目のセルの健全度SOH=電流積算法充電率の変化分ΔSOC-i/開放電圧推定法充電率変化分ΔSOC-v-k (k=1〜n)
なお、充電時に算出したセル2aごとの健全度(図15の上段に示す)は、走行時に補正(図15の下段に示す)するため、メモリ等に保存しておく。
そして、車両走行時に別途、逐次推定等で精度が高い一つのセルの健全度を推定しておき、健全度補正部25にて、その精度が高い健全度を用いて充電時に求めたセル2aごとの健全度SOH1〜SOHnを下記式により補正し、補正健全度SOH1-com〜SOHn-comを得る。
第2の内部抵抗推定/開放電圧推定部12がセル2aのうちの最小電圧vminと電流iとを用いて開放電圧OCVminをカルマン・フィルタ等で逐次推定し、開放電圧−充電率変換部16にて開放電圧OCVminに相当する開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minを決定する。
そして、出力可能電力補正部13が、の開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minを用いて下記式により現在の最小セル残量を算出する。
現在の最小セル残量(アンペアアワー)=開放電圧推定法最小充電率SOC-v-min(%)×セルごとに算出した健全度のうちの最小値SOHmin×新品時容量(アンペアアワー)
続いて、走行可能距離算出部27が、最小セル残量を用いて下記式により走行可能距離を算出する。
走行可能距離(km)=現在の最小セル残量(アンペアアワー)÷平均電費(アンペアアワー/Km)
次に、出力可能電力の算出方法につき説明する。
車両走行時に、充電率−出力可能電力変換部19が、第2の内部抵抗推定/開放電圧推定部12と開放電圧−充電率変換部16とで逐次算出している開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minを用いて、予め実験で得られた充電率−出力可能電力の関係(図16に示す)から、出力可能電力を算出する。
すなわち、出力可能電力補正部13は、予め実験で得られた健全度−健全度補正係数の関係(図17に示す)を用いて、最小健全度算出部26で求めた最小健全度SOHminに相当する健全度補正係数を求め、これを出力可能電力に乗じて補正する。
また、出力可能電力補正部13は、予め実験で得られた内部抵抗−内部抵抗補正係数の関係(図18に示す)を用いて、最大内部抵抗算出部11で得た最大内部抵抗rmaxに相当する内部抵抗補正係数を求め、これを出力可能電力に乗じてさらに補正する。
したがって、健全度補正係数と内部抵抗補正係数といった、いずれも1以下の値をとる補正係数を、出力可能電力に乗じるので、その補正出力可能電力は上記で求めた出力可能電力より小さくなり、バッテリを安全な電圧領域で運用することが可能となる。
次に、入力可能電力補正部10およびこの上流側のブロックで実行される入力可能な電力の算出方法につき、以下に説明する。
充電率−入力可能電力変換部9は、予め実験で得られた充電率―入力可能電力(図19に示す)を用いて、第1の内部抵抗推定/開放電圧推定部7で得られた最大開放電圧OCV-v-maxを開放電圧−充電率変換部8で開放電圧推定法最大充電率SOC-v-maxに相当する最大入力可能電力SOP-in-maxを算出する。
入力可能補正電圧部10は、最大入力可能電力SOP-in-maxに、図10に示された健全度―健全度補正係数の関係から、最小健全度算出部26で得られた最小健全度SOHminに相当する健全度補正係数を求めた値を乗じて補正し、続いて、入力可能電力補正部10が、予め実験で得られた内部抵抗−内部抵抗補正係数の関係(図18に示す)を用いて、最大内部抵抗算出部11で得た最大内部抵抗rmaxに相当する内部抵抗補正係数を求め、これを入力可能電力に乗じて、入力可能電力SOP-inとして出力する。
次に、バッテリ・コントローラ6で実行されるバッテリ・マネージメントの制御につき図20のフローチャートに基づき説明する。
まず、ステップS1では、車両停止状態にある。この状態で、始動キーで電源ONにすると、車載機器へ電力供給可能となる。
この電源ONで車両が停止している間に、ステップS2で、電流センサ3、温度センサ4、電圧センサ5が、バッテリ・パック2を流れる電流i、バッテリ・パック2の温度T、各セル2aの電圧v1〜vnを検出し、それぞれ電流信号、温度信号、セル電圧信号としてバッテリ・コントローラ6へ出力し、ステップS3へと進む。
ステップS3では、バッテリ・コントローラ6が、電流信号に基づき充電中であるか否かを判定する。充電であれば(YESの場合)、ステップS4へ進み、充電でなければ(NOの場合)、ステップS10に進む。
ステップS4では、開放電圧−充電率変換部22が、開放電圧−充電率の関係のデータ・テーブルを用いて、セル2aごとの端子電圧v1〜vnに相当する充電率SOC1〜SOCnを算出する。続いて、ステップS5へと進む。
ステップS5では、電流積算法充電率算出部20が電流センサ3で検出した電流iを積算する。続いて、ステップS6へ進む。
ステップS6では、充電が終了したか否かを判定する。充電が終了していないと判定した場合にはステップS5に戻り、充電が終了したと判定した場合にはステップS7に進む。
なお、この充電にあっては、急速充電の直前にバッテリ・パック2の端子電圧をチェックし、充電率が低いと判定されると、最初に定電流で予備充電を行う。端子電圧が所定値を超えると、内部抵抗が低くなったと判定して定電流充電を開始し、その後、端子電圧が所定値を超えると定電圧充電に切り替えて過充電にならないようにする。この定電圧充電での充電電流が小さくなると、充電完了と判定し、充電を停止する。
ステップS7では、開放電圧−充電率変換部22が、開放電圧−充電率の関係データ・テーブルを用いて、セル2aごとの端子電圧V1〜Vnに相当する充電率SOC1〜SOCnを算出
する。続いて、ステップS8へと進む。
ステップS8では、電流積算充電率算出部16、20での充放電電流の積算を終了し、ステップS9へ進む。
ステップS9では、電流積算法充電率変化分算出部17が、電流積算法充電率算出部16算出された電流積算法充電率SOC-iを基に電流積算法充電率変化分ΔSOC-iを算出するとともに、ステップS4とS7で算出した充電前後のSOC1〜SOCnを用いて、セル2aごとの開放電圧推定法充電率変化分ΔSOC-vを算出する。
また、健全度推定部24では、電流積算法充電率変化分ΔSOC-iとセル2aごとに算出した開放電圧推定法充電率変化分ΔSOC-vとに基づきセルごとの健全度SOH1〜SOHnを算出する。続いて、ステップS10で車両が走行すると、ステップS11へ進む。
ステップS11では、開放電圧−充電率変換部8、14が、それぞれ第1の内部抵抗推定/開放電圧推定部7および第2の内部抵抗推定/開放電圧推定部12で逐次推定した最大開放電圧OCVmax、最小開放電圧OCVminをもとに開放電圧推定法最大充電率SOC-v-max、開放電圧推定法最小充電率SOC-v-min、をそれぞれ算出する。また、第1の内部抵抗推定/開放電圧推定部7および第2の内部抵抗推定/開放電圧推定部12は、内部抵抗ra、rbをそれぞれ逐次推定する。続いて、ステップS12に進む。
ステップS12では、健全度補正部25が、入力された健全度SOH-1〜SOH-nと、健全度推定部18で得た精度が高い健全度SOH_kfと、を用いて、セル2aごとに健全度を補正して補正健全度SOH-1-com〜SOH-n-comを得る。続いて、ステップS13に進む。
ステップS13では、入力可能電力補正部10が、開放電圧推定法最大充電率SOC-v-maxを基に充電率−入力可能変換部9で得られた最大入力可能電力を、最大内部抵抗rmaxで決まる内部抵抗補正係数と最小健全度SOHminで決まる健全度補正係数を用いて補正することで、入力可能電力SOP-inを算出する。
また、出力可能電力補正部13が、開放電圧−充電率変換部14で開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minを充電率−出力可能電力変換部19で変換して得た最小出力可能電力SOP-out-minを、最大内部抵抗算出部11で得られた最大内部抵抗rmaxで決まる内部抵抗補正係数と、最小健全度算出部26で得られた最小健全度SOH-minで決まる健全度補正係数と、で補正して出力可能電力SOP-outを算出する。続いて、ステップS14に進む。
ステップS14では、走行距離算出部27が、最小健全度算出部26で得た最小健全度SOHminと、開放電圧−充電率変換部14で得た開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minと、別のコントローラの電費計算部29からのその車両の平均電費と、に基づき、走行可能距離を算出する。続いて、ステップS15に進む。
ステップS15では、バッテリ・コントローラ6が、車両が停止したか否かを判定する。停止したと判定した場合(YESの場合)にはこれらの制御フローの実行を終了し、停止していないと判定した場合(NOの場合)には、ステップS13に戻る。
実施例1のバッテリ・パック2の入出力可能電力推定装置およびその方法にあっては、以下の効果を得ることができる。
実施例1では、各セル2aの内部状態を全セルについて、それらの端子電圧と電流とから算出し、さらにそのうちの1つのセルにつき逐次推定法でそのセルの内部状態を算出する。この逐次推定法で求めた値と上記電圧および電流で算出した値との関係を用いて全セルの電圧および電流で算出した値を補正するようにした。
この結果、セルごとにその内部状態を把握でき、精度よくバッテリ・パック2の入出力可能電力や走行可能距離等を推定することが可能となる。また、全セルについて逐次推定を実行する必要がなくなることから、演算処理能力が高いマイクロコンピュータを用いる必要がなくなり、より安価な装置とすることができる。
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、実施例1と同様の構成部分については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
実施例2のバッテリ・パックの入出力可能電力推定法を適用したバッテリ・システムは、図1に示す実施例1と同様に構成する。
図21に示すように、実施例2のバッテリ・コントローラ6は、実施例1と同様に、第1の内部抵抗推定/開放電圧推定部7、開放電圧−充電率変換部8、充電率―入力可能電力変換部9、入力可能電力補正部10を有する。これらの構成において、入力可能電力補正部10は、実施例1の最大内部抵抗算出部11で得られる最大内部抵抗の代わりに健全度推定部30から健全度SOH、および現在の温度・充電率相当値換算部40から補正最大内部抵抗rmax-comが入力される点以外は実施例1と同様である。
健全度推定部30は、電流センサ3で検出された電流iに基づき健全度SOHを算出し、入力可能電力補正部10に出力する。現在の温度・充電率相当値換算部40の詳細については、後で説明する。
また、コントローラ6は、実施例1と同様に、第2の内部抵抗推定/開放電圧推定部12と、最大内部抵抗算出部11と、開放電圧−充電率変換部14と、充電率−出力可能電力変換部19と、出力可能電力補正部13と、を有する。
これらの構成において、最大内部抵抗算出部11で得られた最大内部抵抗rmaxが実施例1とは異なり、所定温度・充電率相当値変換部31に出力される点、また出力可能電力補正部13が、実施例1の最小健全度算出部26で得られた最小健全度SOHminの代わりに健全度算出部30で得られた健全度SOHと、実施例1の最大内部抵抗算出部11で得られた最大内部抵抗rmaxの代わりに現在の温度・充電率相当値換算部40で得られた最大内部抵抗rmax-comを用いる点以外は、実施例1の構成と同様である。
所定温度・充電率相当値変換部31は、開放電圧−充電率変換部14で得られた開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minを、温度20℃充電率50%に相当する相当充電率SOC-v-min−conに換算し、これを内部抵抗補正部38に出力する。
また、コントローラ6は、CCで示す電流変化時に実行するブロックを備えている。
ブロックCCは、電流前回値算出部32と、電流変化分算出部33と、電圧前回値算出部34と、電圧変化分算出部35と、内部抵抗算出部36と、所定温度・充電率相当値換算部37と、から構成されている。電圧前回値算出部34と、電圧変化分算出部35と、内部抵抗算出部36とは、本発明の内部状態推測手段に相当する。
電流前回値算出部32は、電流センサ3で検出された電流iのデータを離散化してその前回値ik-1を得、これを電流前回値算出部32に出力する。
電流変化分算出部33は、電流前回値算出部32で得られた電流iの前回値it-1から電流センサ3で検出された電流iのデータを離散化して得られた電流iの現在値itを減算してその絶対値を取って電流変化分Δiを得、これを内部抵抗算出部36に出力する。
一方、電圧値前回値算出部34は、各セル2aの電圧V1〜Vnが入力されて、これらのデータを離散化して電圧の前回値V1-t-1〜Vn-t-1を得、これらを電圧変化分算出部35に出力する。
電圧変化分算出部35は、電圧値前回値算出部34で得た電圧の前回値V1-t-1〜Vn-t-1から各セル2aの電圧V1〜Vnを離散化して得た現在の電圧V1-t〜Vn-tを減算して、電圧変化分ΔV1〜ΔVnを得、これらを内部抵抗算出部36に出力する。
内部抵抗算出部36では、電圧変化分算出部35で得られた電圧変化分ΔV1〜ΔVnと、電流変化分算出部33で得られた電流変化分Δiと、から前者を後者で除算してそのときの各セル2aの内部抵抗r1〜rnを得、これらを所定温度・充電率相当値換算部37に出力する。
所定温度・充電率相当値換算部37は、内部抵抗算出部36で得られた内部抵抗r1〜rnを温度20℃、充電率50%に相当する抵抗値r1-con〜rn-conに補正換算し、これらを補正ブロック38へ出力する。
以上が電流変化時に実行されるブロックCCである。
コントローラ6は、さらに内部抵抗補正部38と、最大内部抵抗算出部39と、現在の温度・充電率相当値換算部40と、を備えている。
内部抵抗補正部38は、所定温度・充電率相当値換算部37で得られた抵抗値r1-con〜rn-conと、所定温度・充電率相当値換算部31で得られた相当充電率SOC-v-min−conと、に基づいて、各セル2aの補正抵抗値抵抗値r1-com〜rn-comを得、これらを最大内部抵抗算出部39に出力する。
内部抵抗補正部38は、本発明の内部状態補正手段に相当する。
最大内部抵抗算出部39は、内部抵抗補正部38で得られた補正抵抗値抵抗値r1-com〜rn-comのうち最大値となる最大内部抵抗r-v-maxを選択し、これを現在の温度・充電率相当値換算部40に出力する。
現在の温度・充電率相当値換算部40は、最大内部抵抗算出部39で得られた最大内部抵抗r-v-maxを、現在の温度・充電率に相当する値の補正最大内部抵抗rmax-comを得、これを入力可能電力補正部10と出力可能電力補正部13へ出力する。
入力可能電力補正部10と出力可能電力補正部13とは、実施例1の場合と同様に、入力可能電力と出力可能電力の情報を図示しない上位のコントローラへ供給する。
コントローラ6の上記ブロックで実行される処理につき、以下に説明する。
実施例1の図3〜図9に関する説明は、実施例2においても同様である。
バッテリが新品から劣化して健全度SOHが半分となったセル2aは、図22に示すように、同図上段に示す、セル2aの内部抵抗の並列回路が、同図下段に示すように半分になったのと等価に考えることができる。この結果、容量は半分、かつ内部抵抗は2倍となる。
バッテリが劣化して内部抵抗が増加した場合、最大電流が減少することになる。したがって、図23に示すような内部抵抗−内部抵抗補正係数の関係を用いて入力可能電力を補正する必要がある。
急激な電流変化時における内部抵抗を算出するには、以下の手順で行う。
すなわち、電流変化分算出部33は、1サンプリング前の電流と現在の電流との差分Δiを算出する。この差分Δiは、内部抵抗算出部36は、電流が所定の閾値以上であれば、下記式を用いてセルごとの内部抵抗を算出する。
Δi=│現在の電流−1サンプリング前の電流│
ΔVk=│現在のセルkの電圧―1サンプリング前のセルkの電圧│
セルの内部抵抗=ΔVk/Δi
内部抵抗は、温度と充電率によって異なるため、図25に示すような温度−内部抵抗の関係および図26に示すような温度―温度係数の関係、図27に示すような充電率−内部抵抗の関係および図28に示すような充電率―内部抵抗係数の関係で、温度20℃および充電率50%相当の値になるように下記式を用いて補正する。
補正した内部抵抗値=内部抵抗値÷温度係数÷充電率係数
このようにして、セル2aごとの補正した内部抵抗r1-com〜rn-comを算出する。なお、補正された内部抵抗r1-com〜rn-comはゆっくり変化するため、急激な電流変化時に予め算出しておくことは問題ない。
次に走行時の内部抵抗補正方法につき、説明する。
走行時には、上記とは別異精度の高い方法で一つのセルの内部抵抗を、カルマン・フィルタ等を用いて、逐次推定する。
この場合にも、内部抵抗は、温度と充電率によって異なるため、図25に示すような温度−内部抵抗の関係および図26に示すような温度―温度係数の関係、図27に示すような充電率−内部抵抗の関係および図28に示すような充電率―内部抵抗係数の関係で、温度20℃および充電率50%相当の値になるように下記式を用いて補正する。
補正した内部抵抗係数=内部抵抗値÷温度係数÷充電率係数
セル2aごとの内部抵抗を精度の高い値に補正するため、下記式で補正係数を算出する。
補正係数=精度の高いセルの内部抵抗値÷補正した内部抵抗値
なお、この式は同じセルで計算する。このようにして、充電時に算出したセル2aごとの内部抵抗に、補正係数を乗じ、セルごとの内部抵抗を精度の高い値に補正する。
図29(同図上段は補正前、下段は補正後)に補正した内部抵抗の例を示す。
次に、出力可能電力の算出方法につき、説明する。
走行時に第2の内部抵抗推定部/開放電圧推定部12および開放電圧−充電率変換部14で逐次推定している開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minを用いて、充電率―出力電圧変換部19にて、図33に示す充電率―出力電可能電力の関係から出力可能電力を算出する。
そして、内部抵抗算出部36でセル2aごとに求めた内部抵抗を、図25〜図28の関係を用いて現在の充電率と温度に相当する値となるように補正する。この内部抵抗と図31に示す内部抵抗―内部抵抗補正係数の関係で決まる内部抵抗補正係数を、出力可能電力補正部13にて、乗じることで出力可能電力を補正する。
また、出力可能電力補正部13では、出力可能電力を、健全度算出部30で得られた健全度と図32に示す健全度―健全度補正係数の関係から決まる健全度補正係数を乗じることで出力可能電力をさらに補正する。
このように内部抵抗および健全度を用いて出力可能電力を補正し、より小さな値を出力可能電力とする。
この結果、バッテリを安全な電圧領域で運用することが可能となる。
次に、入力可能な電力の算出方法につき、説明する。
走行時に、充電率−入力可能電力変換部9が、第1の内部抵抗推定部/開放電圧推定部7および開放電圧−充電率変換部8で逐次推定している開放電圧推定法最大充電率SOC-v-maxを用いて、図33に示す充電率−入力可能電力の関係から入力可能電力を算出する。
この入力可能電力は、内部抵抗と図31の関係から決まる内部抵抗補正係数、および別途算出した健全度と図32の関係から決まる健全度補正係数を乗じることで、より小さな値に補正した入力可能電力とする。この結果、バッテリを安全な電圧領域で運用することが可能となる。
次に、バッテリ・コントローラ6で実行するバッテリ・パックの入出力可能電力推定プログラムにつき、図34に示すフローチャートに基づき説明する。
まず、始動キーがONにされ電源ONになると、バッテリ・コントローラ6が作動し始める。
ステップS21では、実施例1でのステップS1と同様に、電圧信号、電流信号、温度信号を読み込む。続いて、ステップS22に進む。
ステップS22では、内部抵抗算出部36が、電流変化分算出部33で得られた電流変化分Δiが閾値以上であるか否かを判定する。電流変化分Δiが閾値以上であると判定された場合(YESの場合)にはステップS23に進み、電流変化分Δiが閾値より小さいと判定された場合(NOの場合)にはステップS26に進む。
ステップS23では、内部抵抗算出部36が、それぞれ入力された電流変化分算出部33で得られた電流変化分Δiと、電圧変化分算出部35で得られた電圧変化分ΔV1〜ΔVnと、に基づき、セル2aごとにその電圧変化分Δvを電流変化分Δiで除算して内部抵抗r1〜rnを算出する。続いて、ステップS24に進む。
ステップS24では、内部抵抗は温度と充電率によって異なるため、所定温度・充電率相当値換算部37が、内部抵抗算出部36で得られた内部抵抗r1〜rnを、それぞれ温度20℃、充電率50%相当の内部抵抗r1-com〜rn-comに補正する。続いて、ステップS25へ進む。
ステップS25では、内部抵抗r1-com〜rn-comをメモリに保存する。続いて、ステップS27に進む。
一方、ステップS22で電流変化Δiが閾値より小さい場合に進むステップS26では、前回走行時や充電時のセルごとの内部抵抗をメモリから読み出し、ステップS7に進む。
ステップS27では、前回計算した内部抵抗値と今回の内部抵抗値との平均か処理を行い、ステップS8に進む。
ステップS28では、第1の内部抵抗推定部/開放電圧推定部7および開放電圧−充電率変換部8で開放電圧推定法最大充電率SOC-v-maxおよび内部抵抗raを逐次推定するとともに、第2の内部抵抗推定部/開放電圧推定部12および開放電圧−充電率変換部14で開放電圧推定法最大充電率SOC-v-maxおよび内部抵抗rbを逐次推定する。続いて、ステップS29に進む。
ステップS29では、最大内部抵抗算出部11にて、逐次推定した内部抵抗ra、rbのうち大きい方を選択して最大内部抵抗rmaxを算出し、所定温度・充電率相当値変換部31にて、開放電圧−充電率変換部14で得られた開放電圧推定法最小充電率SOC-v-minを、温度20℃充電率50%に相当する相当充電率SOC-v-min−conに換算し、これを用いて、内部抵抗補正部38が、セルごとに算出した内部抵抗r1-con〜rn-conを補正する。続いて、ステップS30に進む。
ステップS30では、現在の温度・充電率相当値換算部40が、最大内部抵抗rmaxを、現在の温度・充電率に相当する値の補正最大内部抵抗rmax-comに補正し、ステップS31に進む。
ステップS31では、入力可能電力補正部10および出力可能電力補正部13にて、入力可能電力および出力可能電力を補正最大内部抵抗rmax-comで補正して補正した入力可能電力および補正した出力可能電力を算出し、ステップS32に進む。
ステップS32では、バッテリ・コントローラ6が、車両が停止したか否かを判定する。停止したと判定した場合(YESの場合)にはこれらの制御フローの実行を終了し、停止していないと判定した場合(NOの場合)には、ステップS21に戻る。
実施例2のバッテリ・パック2の入出力可能電力推定装置およびその方法にあっても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明を上記各実施例に基づき説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更等があった場合でも、本発明に含まれる。
たとえば、本発明は、電気自動車に限られず、複数のセルを直列接続したバッテリ・パックを利用するものであればよい。
また、逐次推測法は、カルマン・フィルタに限られず他の方法を利用するようにしてもよい。
LD 負荷
1 充電器
2 バッテリ・パック
2a セル
3 電流センサ
4 温度センサ
5 電圧センサ
6 コントローラ
7 第1の内部抵抗推定部/開放電圧推定部
8、14、22 開放電圧―充電率換算部
9 受電率―入力可能電力変換部
10 入力可能電力補正部
11 最大内部抵抗算出部
12 第2の内部抵抗推定部/開放電圧推定部
13 出力可能電力補正部
15、23 開放電圧推定法充電率変化分算出部
16、20 電流積算法充電率算出部
17、21 電流積算法充電率変化分算出部
18、24 健全度推定部
25 健全度補正部
26 最小健全度算出部
27 走行可能距離算出部
28 電費計算部
30 健全度算出部
31 所定温度・充電率相当値変換部
32 電流前回値算出部
33 電流変化分算出部
34 電圧前回値算出部
35 電圧変化分算出部
36 内部抵抗算出部
37 所定温度・充電率相当値換算部
38 内部抵抗補正部
39 最大内部抵抗算出部
40 現在の温度・充電率相当値換算部

Claims (6)

  1. 複数のセルを直列接続したバッテリ・パックの全セルの端子電圧を検出する電圧センサと、
    前記セルを流れる電流を検出する電流センサと、
    前記全セルにつき該全セルごとに端子電圧および前記電流から前記各セルの内部状態を推測する内部状態推測手段と、
    前記全セルのうちの最大端子電圧および最小端子電圧の少なくとも一方を有する特定セルの端子電圧と前記電流とから逐次推定法で前記特定セルの内部状態を推測する内部状態逐次推定手段と、
    該内部状態逐次推定手段で得られた前記特定セルの内部状態と該特定セル以外の残りのセルの内部状態とを比較し、前記特定セルの内部状態を用いて前記残りのセルの推定内部状態を補正する内部状態補正手段と、
    を備えた、
    ことを特徴とするバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置。
  2. 請求項1に記載のバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置において、
    前記内部状態は、健全度、内部抵抗のうちの少なくとも一つである、
    ことを特徴とするバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置において、
    入力可能電力算出手段を備え、
    前記特定セルは、前記全セルのうちの最大端子電圧を有するセルであり、
    前記内部状態逐次推定手段は、前記特定セルの端子電圧および電流から開放電圧推定法最大充電率を算出し、
    前記入力可能電力算出手段は、前記開放電圧推定法最大充電率を用いて前記バッテリ・パックへの入力可能電力の算出を行う、
    ことを特徴とするバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置。
  4. 請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置において、
    出力可能電力算出手段を備え、
    前記特定セルは、前記全セルのうちの最小端子電圧を有するセルであり、
    前記内部状態逐次推定手段は、前記特定セルの端子電圧および電流から開放電圧推定法最小充電率を算出し、
    前記入力可能電力算出手段は、前記開放電圧推定法最小充電率を用いて前記バッテリ・パックへの出力可能電力の算出を行う、
    ことを特徴とするバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1項に記載のバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置において、
    走行可能距離算出手段を備え、
    前記特定セルは、前記全セルのうちの最小端子電圧を有するセルであり、
    前記内部状態逐次推定手段は、前記特定セルの端子電圧および電流から開放電圧推定法最小充電率を算出し、
    前記走行可能距離算算出手段は、前記開放電圧推定法最小充電率を用いて前記バッテリ・パックへの出力可能電力の算出を行う、
    ことを特徴とするバッテリ・パックの入出力可能電力推定装置。
  6. 複数のセルを直列接続したバッテリ・パックの全セルの端子電圧を検出し、
    前記セルを流れる電流を検出し、
    前記全セルにつき該全セルごとに端子電圧および前記電流から前記各セルの内部状態を推測し、
    前記全セルのうちの最大端子電圧および最小端子電圧の少なくとも一方を有する特定セルの端子電圧と前記電流とから逐次推定法で前記特定セルの内部状態を推測し、
    前記逐次推定で得られた前記特定セルの内部状態と該特定セル以外の残りのセルの内部状態とを比較して、前記特定セルの内部状態を用いて前記残りのセルの推定内部状態を補正する、
    ことを特徴とするバッテリ・パックの入出力可能電力推定方法。
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