JP2013097170A - 偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

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道郎 新井
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Abstract

【課題】湿熱耐久性に優れる偏光板の提供。
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向された偏光子と、該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムとを含み、80℃、相対湿度90%、336時間経時後における、ラマン散乱法による、偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1の前記偏光子中のポリヨウ素イオン由来のピーク強度が17.0以上である偏光板。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板および液晶表示装置に関する。詳しくは、高温高湿下での耐久性に優れる偏光板および該偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
近年、TV用途を中心に液晶表示装置の大型化が進み、これに伴い高画質化と低価格化が益々求められている。また、今後は電子看板用途等を中心に室外での使用頻度が増加することが予想され、従来よりもさらに過酷な環境下での使用にも耐えうる液晶表示装置が求められている。
液晶表示装置における偏光板は、ポリビニルアルコール(PVA)とヨウ素を用いた偏光子をセルロースアシレートフィルム等の偏光板保護フィルムで挟みこんだ構成のものが広く使用されている。しかし、PVAとヨウ素を用いた偏光子は高温高湿環境下で偏光子性能が劣化しやすいという弱点があり、室外用途の要求性能にこたえるには改良が必要である。
これに対し、特許文献1には、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色した偏光子の両面に保護フィルムを備える偏光板であって、該偏光子断面の厚み方向中心部のラマン分光法による105±5cm-1の範囲の最大ピーク強度T1と、該偏光子の厚み方向端部のラマン分光法による105cm-1の範囲の最大ピーク強度T2との比が0.920〜0.985である偏光板が記載されており、このような構成のポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光板は耐久性に優れると記載がある。
特開2010−26498号公報
しかしながら、特許文献1には湿熱経時後の偏光板の偏光子について、直交透過率変化(以下、クロス透過率変化とも言う)を抑制することは検討されておらず、湿熱耐久性に不満が残るものであった。
本発明が解決しようとする課題は、湿熱耐久性に優れる偏光板を提供することにある。
本発明者らが上記課題を解決するために鋭意検討した結果、湿熱経時後の偏光子中のポリヨウ素イオンの量(ラマン散乱強度)を高く保つことで、偏光板のクロス透過率の上昇を抑制することができることを見出すに至った。
すなわち、上記課題を解決するための具体的な手段である本発明は以下のとおりである。
[1] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向された偏光子と、該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムとを含み、80℃、相対湿度90%、336時間経時後における、ラマン散乱法による、偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1の前記偏光子中のポリヨウ素イオン由来のピーク強度が17.0以上であることを特徴とする偏光板。
[2] [1]に記載の偏光板は、80℃、相対湿度90%、336時間経時後における、下記式(1)によって求められる前記偏光子中のポリヨウ素イオンの配向度P2が、0.75≦P2<1であることが好ましい。
式(1)
P2={(偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1のラマン強度)/(偏光板吸収軸に対して垂直方向の155cm-1のラマン強度)−1}/{(偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1のラマン強度)/(偏光板吸収軸に対して垂直方向の155cm-1のラマン強度)+2}
[3] [1]または[2]に記載の偏光板は、前記偏光子がホウ酸由来のホウ素を含有する偏光子であり、80℃、相対湿度90%、336時間経時前後における、下記式(2)によって求められる、前記偏光子中のホウ酸由来のホウ素の減少率が55%未満であることが好ましい。
式(2)
ホウ素の減少率[%]={1−(経時後のホウ素含量)/(経時前のホウ素含量)}×100
[4] [1]〜[3]のいずれか1項に記載の偏光板は、前記2枚の偏光板保護フィルムを主として構成する樹脂がいずれもセルロースアシレートであることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の偏光板は、前記2枚の偏光板保護フィルムのうち少なくとも一方が、下記一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体を含有することが好ましい。
一般式(I)
Figure 2013097170
(一般式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。R3は置換基を表し、R3が表す置換基は水素原子を含む。環Aは5または6員環を表す。nは1〜4の整数を表し、nが2以上のとき、複数のR3は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
[6] [5]に記載の偏光板は、前記一般式(I)で表されるモノマーが下記一般式(II)で表されることが好ましい。
一般式(II)
Figure 2013097170
(一般式(II)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。R3は置換基を表し、R3が表す置換基は水素原子を含む。A1はCR45(R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す)または酸素原子を表す。nは1〜4の整数を表す。)
[7] [5]または[6]に記載の偏光板は、前記一般式(I)および(II)において、R3が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基のいずれかであることが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか1項に記載の偏光板は、前記2枚の偏光板保護フィルムのうち少なくとも一方が、下記一般式(III)で表される化合物を含有することが好ましい。
一般式(III)
Figure 2013097170
(一般式(III)中、R11は置換基を表し、R12は下記一般式(III−1)または(III−2)で表される置換基を表し;n1は0〜4の整数を表し、n1が2以上のとき、複数のR11は互いに同一であっても異なっていてもよく;n2は1〜5の整数を表し、n2が2以上のとき、複数のR12は互いに同一であっても異なっていてもよい。但し、n1とn2の合計は1〜5である;
一般式(III−1)
Figure 2013097170
(一般式(III−1)中、A11は置換又は無置換の2価の芳香族環を表し;R13及びR14はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表し;R15は、単結合または炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し;X1は置換または無置換の1価の芳香族環を表し;n3は0〜10の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のR15およびX1はそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい)
一般式(III−2)
Figure 2013097170
(一般式(III−2)中、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表し;X2は、置換または無置換の1価の芳香族環を表し;n5は1〜11の整数を表し、n5が2以上のとき、複数のR16、R17、R18、R19およびX2は互いに同一であっても異なっていてもよい。))
[9] [8]に記載の偏光板は、前記一般式(III)中、R12が前記一般式(III−1)で表される置換基を表し、且つ、前記一般式(III−1)中、n3が0であることが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、湿熱耐久性に優れる偏光板を提供することができる。本発明の偏光板によれば、液晶表示装置に組み込むことで、湿熱耐久性に優れ、表示性能が良好な液晶表示装置を提供することができる。
本発明の液晶表示装置の一例の概略断面図である。 共流延用ダイを用いて同時共流延により3層構造の偏光板保護フィルムを流涎するときの一例を示す概略図である。 本発明の偏光板の一例の概略断面図である。
以下、本発明の偏光板および液晶表示装置について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[偏光板]
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向された偏光子と、該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムとを含み、80℃、相対湿度90%、336時間経時後における、ラマン散乱法による、偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1の前記偏光子中のポリヨウ素イオン由来のピーク強度が17.0以上であることを特徴とする。
このような構成により、本発明の偏光板は、湿熱耐久性を高くすることができ、偏光板の直交透過率CTの変化量を抑制することができる。具体的には80℃、相対湿度90%に336時間静置させた前後の410nmで測定した直交単板透過率の変化量(%)が1.00%より小さい。ここで、変化量とは湿熱経時試験後測定値から湿熱経時試験前測定値を差し引いた値である。
上記直交透過率の変化量の範囲を満たせば、偏光板の高温高湿下で長時間使用中あるいは保管中の安定性が確保できる。
80℃、相対湿度90%に336時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)は0.80%以下であることがより好ましく、0.50%以下であることが特に好ましい。
<偏光板の特性>
(湿熱経時後の偏光子中のポリヨウ素イオン由来のピーク強度)
本発明の偏光板は、80℃、相対湿度90%、336時間経時後における、ラマン散乱法による、偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1の前記偏光子中のポリヨウ素イオン由来のピーク強度が17.0以上である。
ここで、一般にヨウ素染色処理された偏光子中では、ヨウ素は三ヨウ素イオン(I3 -)及び五ヨウ素イオン(I5 -)とポリビニルアルコール(PVA)との錯体として存在している。本発明において、ラマン散乱法で測定するポリヨウ素イオンは、三ヨウ素イオン(I3 -)とポリビニルアルコール(PVA)との錯体および五ヨウ素イオン(I5 -とポリビニルアルコール(PVA)との錯体の合計を意味する。
いかなる理論に拘泥するものでもないが偏光子の吸光能を有するポリヨウ素イオンの量が多いほうが、湿熱経時後の偏光板のクロス透過率を高く保つことができる。
80℃、相対湿度90%、336時間経時後における、ラマン散乱法による、偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1の前記偏光子中のポリヨウ素イオン由来のピーク強度は、18〜25であることがより好ましく、20〜25であることが特に好ましい。
(湿熱経時後の偏光子中のポリヨウ素イオンの配向度P2)
本発明の偏光板は、80℃、相対湿度90%、336時間経時後における、下記式(1)によって求められる前記偏光子中のポリヨウ素イオンの配向度P2が、0.75≦P2<1であることが好ましい。
式(1)
P2={(偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1のラマン強度)/(偏光板吸収軸に対して垂直方向の155cm-1のラマン強度)−1}/{(偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1のラマン強度)/(偏光板吸収軸に対して垂直方向の155cm-1のラマン強度)+2}
いかなる理論に拘泥するものでもないが偏光子の吸光能を有するポリヨウ素イオンの配向度が高いほうが、湿熱経時後の偏光板のクロス透過率を高く保つことができる。
下記式(1)によって求められる前記偏光子中のポリヨウ素イオンの配向度P2は、0.78〜1.00であることがより好ましく、0.80〜1.00であることが特に好ましい。
本発明の偏光板は、前記偏光子がホウ酸由来のホウ素を含有する偏光子であり、80℃、相対湿度90%、336時間経時前後における、下記式(2)によって求められる、前記偏光子中のホウ酸由来のホウ素の減少率が55%未満であることが好ましい。
式(2)
ホウ素の減少率[%]={1−(経時後のホウ素含量)/(経時前のホウ素含量)}×100
いかなる理論に拘泥するものでもないが、PVA同士を架橋する役割を有する、偏光子中のホウ素の減少量が少ないほうが、ポリヨウ素イオン−PVA錯体(の量および配向度)を維持できると考えられる。
80℃、相対湿度90%、336時間経時前後における前記式(2)によって求められる、前記偏光子中のホウ酸由来のホウ素の減少率は、53%以下であることがより好ましく、50%以下であることが特に好ましい。
このような湿熱経時前後の偏光子中のホウ酸由来のホウ素の減少は、後述する添加剤を、該偏光子の両面に配置された2枚の偏光板保護フィルムのうち少なくとも1枚に添加することにより、抑制することができる。
<偏光板の構成>
本発明の偏光板の態様は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、上記した通り、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
本発明の偏光板の具体的な構成については、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はなく公知の構成を採用できるが、例えば、図3に記載の構成を好ましく採用することができる。また、特開2008−262161号公報の図6に記載の構成を採用することができる。
以下、本発明の偏光板に含まれる偏光子と偏光板保護フィルムの好ましい態様について説明する。
<偏光子の構成>
本発明の偏光板を構成する偏光子としては、ヨウ素を含有するポリビニルアルコール系偏光子を用いる。偏光子に適用されるポリビニルアルコール系フィルムの材料には、ポリビニルアルコールまたはその誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等があげられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものがあげられる。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜10000程度が好ましく、1000〜10000であることがより好ましく、1000〜8000であることがさらに好ましく、2000〜6000であることが特に好ましい。ケン化度は80〜100モル%程度のものが好適に用いられる。
また、偏光子は、一般にヨウ素染色および延伸することによって得られるが、本発明の偏光板を構成する偏光子においては、延伸前の原寸フィルムの膜厚が20〜100μmであることが好ましく、40〜75μmであることがより好ましい。
前記ポリビニルアルコール系フィルム中には可塑剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、ポリオールおよびその縮合物等があげられ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等があげられる。可塑剤の使用量は、特に制限されないがポリビニルアルコール系フィルム中20重量%以下とすることが好ましい。
このような偏光子の製造方法は特に限定されないが、少なくとも、前記ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素および/またはヨウ素イオンを含む溶液(染色浴)に浸漬する工程(以下、「ヨウ素染色工程」と称する場合がある)および、ヨウ素染色工程の後に、ホウ酸等の架橋剤を含む溶液(架橋浴)に浸漬する工程(以下、「架橋工程」と称する場合がある)を含み、ヨウ素染色工程における染色浴浸漬時間tBと、架橋工程における架橋浴浸漬時間tCの比tC/tBが1.30〜3.90であることが好ましく、1.40〜3.00であることがより好ましく、1.50〜2.60であることがさらに好ましい。
「ヨウ素染色工程」と「架橋工程」の浸漬時間の比tC/tBが前記範囲内である場合、高温高湿下においてヨウ素の色抜けが抑制される傾向がある。
PVAの架橋が不十分であると、高温高湿環境下において、ヨウ素イオン(PVA−I3 -錯体)が不安定となるため、光学特性の劣化が大きく、色相のニュートラル性に欠けるものと推定される。また、「ヨウ素染色工程」における浸漬時間tBが相対的に長いために、ヨウ素が偏光子の厚み方向に均一に存在することも耐久性に影響を与えていると推定される。
(ヨウ素染色工程)
ヨウ素染色工程は、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素および/またはヨウ素イオンを吸着・配向させることにより行うことができる。染色は、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素溶液を有する染色浴に浸漬することにより行われる。ヨウ素溶液として用いられるヨウ素水溶液は、ヨウ素、およびヨウ化カリウム等の溶解助剤により、ヨウ素イオンを含有させた水溶液などが用いられる。ヨウ素濃度は0.01〜0.5重量%程度であることが好ましく、0.02〜0.4重量%であることがさらに好ましい。また、ヨウ化カリウム濃度は0.01〜10重量%程度であることが好ましく、0.02〜8重量%であることがさらに好ましい。
ヨウ素染色処理にあたり、染色浴中のヨウ素溶液の温度は、通常20〜50℃程度であり、好ましくは25〜40℃である。染色浴への浸漬時間tBは通常10〜300秒間程度であることが好ましく、20〜240秒間の範囲であることがより好ましく、20〜200秒間であることがさらに好ましく、25〜120秒間であることが特に好ましい。
ヨウ素染色工程においては、前記染色溶液中で、一軸延伸処理を行うことが好ましい。延伸を行う場合の延伸倍率は、全く延伸されていない状態のポリビニルアルコール系フィルム長さ(以下、「元長」という場合がある)を基準として、通常は3.5倍以下であり、3.3倍以下であることが好ましく、3倍以下であることがさらに好ましい。なお、染色ムラ防止やシワ防止の点から、ヨウ素染色工程に供する前に、元長を基準として2倍以上、さらには2.5倍以上の延伸倍率で延伸しておくことが好ましい。
(膨潤工程)
前記ヨウ素染色工程に供する前に、必要に応じて、ポリビニルアルコール系フィルムを水等に浸漬して膨潤させることもできる。このような膨潤工程によって、ポリビニルアルコール系フィルムが水洗され、フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができる。そのほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで、染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。
ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤処理する膨潤浴としては、主として水が用いられるが、さらに、可塑剤を含むことが好ましい。膨潤浴が可塑剤を有することによって、膨潤工程で、ポリビニルアルコールフィルムからの可塑剤の溶出量を制御し、フィルム膨潤量を均一化することができる。膨潤浴に可塑剤を含有する場合、その含有量は特に制限されないが、可塑剤を水溶液全量に対して0.5〜15質量%含むことが好ましく、0.5〜5.0質量%含むことがより好ましい。可塑剤含有量が、少なすぎる場合は、フィルムの膨潤作用が不十分となる場合があり、多すぎる場合は偏光板としての光学特性を満足させうるだけの延伸を行うことが困難となる場合がある。
ここで、可塑剤としては、ポリビニルアルコール系フィルムを可塑化しうるものであれば特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、低分子量のポリエチレングリコール(Mw:200〜400)等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリンやトリグリセリン等のグリセリン誘導体等があげられる。中でも、ポリビニルアルコールとの相互作用が強く相溶性が大きい点よりグリセリン誘導体が好ましく、特にグリセリンが好ましい。
膨潤工程における、ポリビニルアルコール系フィルムの膨潤浴への浸漬時間は、20秒以上70秒以下とすることが好ましく、30秒以上60秒以下とすることがより好ましい。浸漬時間が20秒未満の場合は膨潤効果が不十分となる場合があり、浸漬時間が70秒を超えると、膨潤が進みすぎ生産性に不具合が生じる場合がある。膨潤浴中の水溶液の温度は、通常20〜60℃の範囲に設定される。
また、膨潤工程は、上記のように膨潤浴に浸漬する以外にも、水、あるいは、可塑剤含有水溶液を、ポリビニルアルコール系フィルムに塗布、噴霧しながら膨潤処理を施す方法を採用することもできる。
さらには、膨潤工程において、前述のように延伸をおこなうこともできる。膨潤工程で延伸を行う場合、その延伸倍率は、前述のように、元長を基準として2倍以上、さらには2.5倍以上であることが好ましい。
(架橋工程)
染色処理したポリビニルアルコール系フィルムは、架橋処理することが好ましい。架橋処理を行なう架橋溶液としては、通常、ホウ酸、ホウ砂、グリオキザール、グルタルアルデヒド等の架橋剤を単独又は混合した架橋剤の濃度が、1〜15重量%の水溶液を用いることが好ましく、2〜10重量%の水溶液を用いることがより好ましく、2〜7重量%の水溶液を用いることがさらに好ましく、3〜6重量%の水溶液を用いることが特に好ましい。架橋剤の濃度は、光学特性やポリビニルアルコール系フィルムに発生する延伸力により生じる偏光板収縮のバランスを考慮して決定することができる。
架橋浴中には、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等のヨウ化物等の助剤を濃度0.05〜15重量%となるように添加することが好ましく、0.5〜8重量%となるように添加することがより好ましく、2〜5重量%となるように添加することがさらに好ましい。これら添加剤を有することによって、偏光子の特性を面内で均一とすることができる。水溶液の温度は通常、20〜70℃程度、好ましくは25〜65℃であり、より好ましくは30〜60℃の範囲である。浸漬時間は、特に限定されないが、通常15秒〜900秒間程度であり、30秒〜600秒間であることが好ましく、30〜250秒間であることがより好ましく、50〜150秒間であることがさらに好ましい。また、偏光板の耐久性を向上する観点からは、前述の如く前記染色浴浸漬時間tBと、架橋工程における架橋浴浸漬時間tCの比tC/tBを所定の範囲とすることが好ましい。架橋浴には、溶媒として、水以外に、水と相溶性のある有機溶媒が少量含有されていてもよい。
架橋工程における、ポリビニルアルコール系フィルムの延伸倍率は、元長の4〜8倍程度とすることが好ましく、5〜7倍程度とすることがさらに好ましい。延伸倍率が過度に高いと、フィルムが破断しやすくなる傾向がある。また、延伸倍率が低すぎると、偏光板の偏光度が不十分となる場合がある。
また、架橋工程においては、溶液中の溶質の種類や濃度が異なる複数の架橋浴を用いることもできる。複数の架橋浴を用いる場合は、前の架橋浴に比して、後の架橋浴のホウ酸等の架橋剤の濃度、および、ヨウ化カリウム等の助剤の濃度が高いことが好ましい。後の架橋浴ほど濃度を高くすることで、均一性および耐久性に優れる偏光板とすることができる。また、架橋工程における延伸は、前の架橋浴、後の架橋浴のいずれか一方または両方でおこなってもよく、両者において異なる倍率で延伸することもできる。特に、前述のごとく、架橋剤や助剤の濃度を相対的に高くした後の架橋浴での延伸倍率を、前の架橋浴での延伸倍率よりも大きくすることが好ましい。このように延伸倍率を調整することによって、偏光度の高い偏光板とすることができる。
また、延伸は、1つの浴中で多段階的に行うこともできる。多段階的延伸は、例えば浴中に複数のピンチロール(ニップロール)対を設け、各ロール対の間で延伸を行う。多段階で延伸を行う場合には、各ピンチロール対の周速を制御することにより、段階ごとの延伸倍率を異なるものとすることもできる。
(色相調整工程)
また、ヨウ素吸着配向処理を施したポリビニルアルコール系フィルムは、さらに、ヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液(ヨウ素含浸浴)に浸漬する、色相調整工程に供することが好ましい。含浸浴に用いるヨウ化物は、ヨウ化カリウムであることが好ましい。また、含浸を十分に行う観点から、ヨウ化カリウム濃度は、1〜5重量%であることが好ましく、2〜4重量%であることがさらに好ましい。ヨウ素含浸浴における液温は、通常10〜60℃であり、好ましくは15〜40℃程度であり、より好ましくは20〜30℃である。また、含浸浴の浸漬時間は、1秒〜60秒間であることが好ましく、1〜30秒間であることがより好ましく、3〜30秒間であることがさらに好ましく、3〜15秒間であることが特に好ましい。含浸浴の浸漬時間や、ヨウ化物濃度を前記範囲とすることは、偏光板を直交配置した場合における色相調整の観点において好ましい。
さらに、前記各工程の他に、金属イオン処理を施すこともができる。金属イオン処理は、金属塩を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行う。金属イオン処理により、種々の金属イオンをポリビニルアルコール系フィルム中に含有させることができる。
金属イオンとしては、特に色調調整や耐久性付与の点からコバルト、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、銅、マンガン、鉄などの遷移金属の金属イオンが好ましく用いられる。これら金属イオンのなかでも、色調調整や耐熱性付与などの点から亜鉛イオンが好ましい。亜鉛塩としては、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などがあげられる。
金属イオン処理には、金属塩溶液が用いられる。以下金属イオン処理のなかでも、亜鉛塩水溶液を用いた場合の代表例として、亜鉛含浸処理について説明する。
亜鉛塩水溶液中の亜鉛イオンの濃度は、0.1〜10重量%程度であることが好ましく、0.3〜7重量%であることがさらに好ましい。また、亜鉛塩溶液はヨウ化カリウム等によりカリウムイオンおよびヨウ素イオンを含有させた水溶液を用いるのが亜鉛イオンを含浸させやすく好ましい。亜鉛塩溶液中のヨウ化カリウム濃度は0.1〜10重量%程度、さらには0.2〜5重量%とするのが好ましい。かかる観点からは、前記架橋工程や、色相調整工程で金属イオン処理を行うことが好ましい。
(乾燥工程)
このように得られた偏光子は、最終的に、乾燥工程を施すことが好ましい。乾燥工程は、得られる偏光子に必要とされる水分率に応じて、適宜に、乾燥時間と乾燥温度が設定される。乾燥温度は、通常、20〜150℃の範囲であるが、40〜100℃の範囲であることが好ましい。乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が長くなり、製造効率が低下する場合がある。乾燥温度が高すぎると得られる偏光子が劣化し、光学特性および色相が不十分となる場合がある。加熱乾燥時間は、通常、1〜5分間程度である。
偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。偏光子の厚みが薄くなると、保護フィルムと貼り合せる際の乾燥工程等において、偏光子中の水分が揮発しやすくなる。
<偏光板保護フィルムの構成>
得られた偏光子は、常法に従って、その両面に偏光板保護フィルムを積層して本発明の偏光板とすることができる。偏光板保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子には、通常、偏光板保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、偏光板保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。
なお、偏光子の両側に偏光板保護フィルムを設けるに際しては、その表裏で同じポリマー材料からなる偏光板保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる偏光板保護フィルムを用いてもよい。
これらの中でも、本発明の偏光板は、前記2枚の偏光板保護フィルムを主として構成する樹脂がいずれもセルロースアシレートであることが好ましい。
(一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルム)
本発明の偏光板は、前記2枚の偏光板保護フィルムのうち少なくとも一方が、前記一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体を含有することが好ましい。
また、本発明の偏光板は、前記2枚の偏光板保護フィルムのうち少なくとも一方が、前記一般式(III)で表される化合物を含有することが好ましい。
前記一般式(I)または(III)で表されるこれらの添加剤を偏光板保護フィルムに含有させることで、偏光子中のホウ素(ホウ酸)の減少を抑制することができる。いかなる理論に拘泥するものでもないが、剛直でコンパクトな化合物を偏光板保護フィルムに含有させることで、ホウ素が拡散するための偏光板保護フィルム中の自由体積を埋めるような効果があるのではないかと推定される。
以下、前記一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体と、前記一般式(III)で表される化合物について説明する。
(1)一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体
前記偏光板保護フィルムに含まれる添加剤として、下記一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体が好ましい。
一般式(I)
Figure 2013097170
一般式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。R3は置換基を表し、R3が表す置換基は水素原子を含む。環Aは5または6員環を表す。nは1〜4の整数を表し、nが2以上のとき、複数のR3は互いに同一であっても異なっていてもよい。
環Aが表す5または6員環は、アリール基、ヘテロアリール基、その他の環状の炭化水素基、その他のヘテロ環基などを挙げることができる。その中でも、前記一般式(I)で表されるモノマーが下記一般式(II)で表されることが好ましい。
一般式(II)
Figure 2013097170
一般式(II)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。R3は置換基を表し、R3が表す置換基は水素原子を含む。A1はCR45(R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す)または酸素原子を表す。nは1〜4の整数を表す。
前記一般式(I)および(II)において、同名の基の定義と好ましい範囲は同じである。
前記一般式(I)および(II)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子またはメチル原子を表すことがより好ましく、水素原子を表すことが特に好ましい。
前記一般式(I)および(II)中、R3は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基のいずれかであることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
前記一般式(II)中、A1はCR45(R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す)または酸素原子を表すことが好ましい。R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子またはメチル原子を表すことがより好ましく、水素原子を表すことが特に好ましい。
前記一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体の共重合割合については特に制限はなく、1種の前記一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位のみからなる重合体であってもよく、2種以上の前記一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を有していてもよく、さらにその他の繰り返し単位を有していてもよい。
前記一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体が有するその他の繰り返し単位としては特に制限はないが、例えばスチレン由来の繰り返し単位を好ましく挙げることができる。
前記一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体の調製方法については特に制限はなく、合成または商業的に入手することができる。商業的に入手する場合、例えば、ニットレジン クマロン G−90、G−100N、H−100、V−120S(いずれも日塗化学株式会社製)などを用いることができる。
本発明の偏光板に用いられる前記偏光板保護フィルム中、前記一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体の添加量は、該偏光板保護フィルムを構成するポリマーに対して0.5〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、1〜10質量部%であることが特に好ましい。
(2)一般式(III)で表される化合物
前記偏光板保護フィルムに含まれる添加剤として、下記一般式(III)で表される化合物を含有することが好ましい。
一般式(III)
Figure 2013097170
一般式(III)中、R11は置換基を表し、R12は後述の一般式(III−1)または(III−2)で表される置換基を表し;n1は0〜4の整数を表し、n1が2以上のとき、複数のR11は互いに同一であっても異なっていてもよく;n2は1〜5の整数を表し、n2が2以上のとき、複数のR12は互いに同一であっても異なっていてもよい。但し、n1とn2の合計は1〜5である。
なお、一般式(III)で表される化合物中、R12を有するベンゼン環を構成する各炭素原子は、R11またはR12が置換していない場合は水素原子を有する。
前記一般式(III)中、n1は0〜4の整数であることが好ましく、0〜3の整数であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
前記一般式(III)中、R11が表す置換基は1−フェニルエチル基、1−メチル−1−フェニルエチル基のいずれかであることが好ましく、1−フェニルエチル基であることがより好ましい。
前記一般式(III)中、n2は1〜4の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましい
前記一般式(III)中、R12は下記一般式(III−1)または下記一般式(III−2で表される。
一般式(III−1)
Figure 2013097170
一般式(III−1)中、A11は置換又は無置換の2価の芳香族環を表し;R13及びR14はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表し;R15は、単結合または炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し;X1は置換または無置換の1価の芳香族環を表し;n3は0〜10の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のR15およびX1はそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。
11は炭素数6〜12の置換又は無置換のアリーレン基、あるいは、環員数6〜12の置換又は無置換のヘテロアリーレン基であることが好ましく、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリーレン基であることがより好ましく、置換又は無置換のフェニレン基であることが特に好ましい。
13及びR14はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子またはメチル原子を表すことがより好ましい。さらに、R13及びR14は共に水素原子であるか、一方が水素原子を表し、かつもう一方がメチル基を表すことが特に好ましい。
15は、単結合または炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、炭素原子数1〜4のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキレン基であることがより好ましい。
1は置換または無置換の1価の芳香族環を表し、無置換または1〜5のアルキル基で置換された芳香族環であることが好ましく、無置換の芳香族環であることがより好ましい。
n3は0〜10の整数を表し、0〜9の整数であることが好ましく、0〜8の整数であることがより好ましく、0〜7の整数であることが特に好ましい。
一般式(III−2)
Figure 2013097170
一般式(III−2)中、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表し;X2は、置換または無置換の1価の芳香族環を表し;n5は1〜11の整数を表し、n5が2以上のとき、複数のR16、R17、R18、R19およびX2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
2の好ましい範囲は、前記一般式(III−1)におけるX1の好ましい範囲と同様である。
n5は1〜11の整数を表し、1〜9の整数であることが好ましく、1〜8の整数であることがより好ましく、1〜7の整数であることが特に好ましい。
前記一般式(III)中、R12が前記一般式(III−1)で表される置換基を表し、且つ、前記一般式(III−1)中、n3が0であることが好ましい。
前記一般式(III)で表される化合物の調製方法については特に制限はなく、合成または商業的に入手することができる。商業的に入手する場合、例えば、ニットレジン オリゴマー PH−25、PH−30−90T(いずれも日塗化学株式会社製、スチレン化フェノール)、三光株式会社製TSP(トリ−スチレン化フェノール)、精工化学株式会社製、ノンフレックス WS(スチレン化フェノール)、東京化成工業株式会社製、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノールなどを用いることができる。
本発明の偏光板に用いられる前記偏光板保護フィルム中、前記一般式(III)で表される化合物の添加量は、該偏光板保護フィルムを構成するポリマーに対して1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、3〜7質量部%であることが特に好ましい。
(3)セルロースアシレート
本発明の偏光板に用いられる前記偏光板保護フィルムを構成する樹脂は、主としてセルロースアシレート樹脂であることが好ましい。ここで、主として構成する樹脂とは、前記偏光板保護フィルムを構成する樹脂の50質量%を占める樹脂のことを意味する。
アシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
本発明に用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。本発明のフィルムは、炭素数2〜4のアシル基を置換基として有することが好ましい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましく、炭素数2〜4のアシル基としてはプロピオニル基またはブチリル基が好ましい。これらのフィルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。さらに粘度が低くろ過性のよい溶液の作成が可能となる。
まず、本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートについて詳細に記載する。セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりアシル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位に位置するセルロースの水酸基がアシル化している割合(各位における100%のアシル化は置換度1)の合計を意味する。
本発明において、偏光板保護フィルムに用いられるセルロースアシレートフィルムでは、前記セルロースアシレートの総アシル置換度が1〜3であることが好ましく、2〜3であることがより好ましく、2.3〜3であることが特に好ましい。
前記セルロースアシレートの90質量%以上が上記総アシル置換度の範囲を満たすことがより好ましく、95質量%以上が上記総アシル置換度の範囲を満たすことが特に好ましく、96質量%以上が上記総アシル置換度の範囲を満たすことがさらに好ましく、全てのセルロースアシレートが上記層アシル置換度の範囲を満たすことがより特に好ましい。
本発明におけるセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基(アシル基が炭素原子数2〜4である場合)であり、より特に好ましくはアセチル基(セルロースアシレートが、セルロースアセテートである場合)である。
セルロ−スのアシル化において、アシル化剤としては、酸無水物や酸クロライドを用いた場合、反応溶媒である有機溶媒としては、有機酸、例えば、酢酸、メチレンクロライド等が使用される。
触媒としては、アシル化剤が酸無水物である場合には、硫酸のようなプロトン性触媒が好ましく用いられ、アシル化剤が酸クロライド(例えば、CH3CH2COCl)である場合には、塩基性化合物が用いられる。
最も一般的なセルロ−スの混合脂肪酸エステルの工業的合成方法は、セルロ−スをアセチル基および他のアシル基に対応する脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、吉草酸等)またはそれらの酸無水物を含む混合有機酸成分でアシル化する方法である。
本発明に用いるセルロースアシレートは、例えば、特開平10−45804号公報に記載されている方法により合成できる。
(4)その他の添加剤
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルム中には、前記一般式(I)または(III)で表される添加剤以外の添加剤として、糖エステル化合物、重縮合ポリマー、フタル酸エステル、リン酸エステルなどの可塑剤;レターデーション調整剤(レターデーション発現剤およびレターデーション低減剤);紫外線吸収剤;酸化防止剤;マット剤などの添加剤を加えることもできる。
(A)糖エステル化合物
前記糖エステル化合物とは、該化合物を構成する多糖中の置換可能な基(例えば、水酸基、カルボキシル基)の少なくとも1つと、少なくとも1種の置換基とがエステル結合されている化合物のことを言う。すなわち、ここで言う糖エステル化合物には広義の糖誘導体類も含まれ、例えばグルコン酸のような糖残基を構造として含む化合物も含まれる。すなわち、前記糖エステル化合物には、グルコースとカルボン酸のエステル体も、グルコン酸とアルコールのエステル体も含まれる。
前記糖エステル化合物を構成する多糖中の置換可能な基は、ヒドロキシル基であることが好ましい。
前記糖エステル化合物中には、糖エステル化合物を構成する多糖由来の構造(以下、糖残基とも言う)が含まれる。前記糖残基の単糖当たりの構造を、糖エステル化合物の構造単位と言う。前記糖エステル化合物の構造単位は、ピラノース構造単位またはフラノース構造単位を含むことが好ましく、全ての糖残基がピラノース構造単位またはフラノース構造単位であることがより好ましい。また、前記糖エステルが多糖から構成される場合は、ピラノース構造単位またはフラノース構造単位をともに含むことが好ましい。
前記糖エステル化合物の糖残基は、5単糖由来であっても6単糖由来であってもよいが、6単糖由来であることが好ましい。
前記糖エステル化合物中に含まれる構造単位の数は、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。すなわち、前記糖エステル化合物を構成する糖が2糖類〜4糖類であることが好ましく、2糖類〜3糖類であることがより好ましく、2糖類であることが特に好ましい。
本発明では、前記糖エステル化合物はヒドロキシル基の少なくとも1つがエステル化されたピラノース構造単位またはフラノース構造単位を2〜4個含む糖エステル化合物であることがより好ましく、ヒドロキシル基の少なくとも1つがエステル化されたピラノース構造単位またはフラノース構造単位を2個含む糖エステル化合物であることがより好ましい。
前記単糖または2〜4個の単糖単位を含む糖類の例としては、例えば、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、トレハロース、イソトレハロース、ネオトレハロース、トレハロサミン、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、マルチトール、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクトサミン、ラクチトール、ラクツロース、メリビオース、プリメベロース、ルチノース、シラビオース、スクロース、スクラロース、ツラノース、ビシアノース、セロトリオース、カコトリオース、ゲンチアノース、イソマルトトリオース、イソパノース、マルトトリオース、マンニノトリオース、メレジトース、パノース、プランテオース、ラフィノース、ソラトリオース、ウンベリフェロース、リコテトラオース、マルトテトラオース、スタキオース、バルトペンタオース、ベルバルコース、マルトヘキサオース、キシリトール、ソルビトールなどを挙げることができる。
好ましくは、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、トレハロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、スクラロース、キシリトール、ソルビトールであり、さらに好ましくは、アラビノース、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロースであり、特に好ましくは、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロース、キシリトール、ソルビトールである。
前記糖エステル化合物は、用いられる置換基を含め、下記一般式(1)で表される構造を有することがより好ましい。
一般式(1) (OH)p−G−(L1−R111q(O−R112r
一般式(1)中、Gは糖残基を表し、L1は−O−、−CO−、−NR113−のいずれか一つを表し、R111は水素原子または一価の置換基を表し、R112はエステル結合で結合した一価の置換基を表す。p、qおよびrはそれぞれ独立に0以上の整数を表し、p+q+rは前記Gが環状アセタール構造の無置換の糖類であると仮定した場合のヒドロキシル基の数と等しい。
前記Gの好ましい範囲は、前記糖残基の好ましい範囲と同様である。
前記L1は、−O−または−CO−であることが好ましく、−O−であることがより好ましい。前記L1が−O−である場合は、エーテル結合またはエステル結合由来の連結基であることが特に好ましく、エステル結合由来の連結基であることがより特に好ましい。
また、前記L1が複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
111およびR112の少なくとも一方は芳香環を有することが好ましい。
特に、前記L1が−O−である場合(すなわち前記糖エステル化合物中のヒドロキシル基にR111、R112が置換している場合)、前記R111、R112およびR113は置換または無置換のアシル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアミノ基の中から選択されることが好ましく、置換または無置換のアシル基、置換または無置換のアルキル基、あるいは置換または無置換のアリール基であることがより好ましく、無置換のアシル基、置換または無置換のアルキル基、あるいは、無置換のアリール基であることが特に好ましい。
また、前記R111、R112およびR113がそれぞれ複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
前記pは0以上の整数を表し、好ましい範囲は後述する単糖ユニット当たりのヒドロキシル基の数の好ましい範囲と同様である。
前記rは前記Gに含まれるピラノース構造単位またはフラノース構造単位の数よりも大きい数を表すことが好ましい。
前記qは0であることが好ましい。
また、p+q+rは前記Gが環状アセタール構造の無置換の糖類であると仮定した場合のヒドロキシル基の数と等しいため、前記p、qおよびrの上限値は前記Gの構造に応じて一意に決定される。
前記糖エステル化合物の置換基の好ましい例としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基、ベンジル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアシル基、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、トルイル基、フタリル基など)、アミド基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアミド、例えばホルムアミド基、アセトアミド基など)、イミド基(好ましくは炭素数4〜22、より好ましくは炭素数4〜12、特に好ましくは炭素数4〜8のアミド基、例えば、スクシイミド基、フタルイミド基など)を挙げることができる。その中でも、アルキル基またはアシル基がより好ましく、メチル基、アセチル基、ベンゾイル基がより好ましく、ベンゾイル基およびアセチル基のうち少なくとも一方であることが特に好ましく、ベンゾイル基がより特に好ましい。
前記糖エステル化合物の入手方法としては、市販品として(株)東京化成製、アルドリッチ製等から商業的に入手可能であり、もしくは市販の炭水化物に対して既知のエステル誘導体化法(例えば、特開平8−245678号公報に記載の方法)を行うことにより合成可能である。
前記糖エステル化合物は、数平均分子量が、好ましくは200〜3500、より好ましくは200〜3000、特に好ましくは250〜2000の範囲が好適である。
以下に、本発明で好ましく用いることができる前記糖エステル化合物の具体例を挙げるが、本発明は以下の態様に限定されるものではない。
以下の構造式中、Rはそれぞれ独立に任意の置換基を表し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。ClogP値とは、1−オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算には、Daylight Chemical Information Systems社のシステム:PCModelsに組み込まれたCLOGPプログラムを用いた。
Figure 2013097170
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Figure 2013097170
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前記糖エステル化合物は、セルロースアシレートに対し2〜30質量%含有することが好ましく、5〜20質量%含有することがより好ましく、5〜15質量%含有することが特に好ましい。
また、エステル置換度が異なる糖エステル化合物を複数含み、前記エステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物の平均エステル置換度が62%〜94%であることも好ましい。このような範囲に前記糖エステル化合物の平均エステル置換度を制御することで、偏光板保護フィルムの含水率や透湿度を小さくすることができ、偏光板耐久性やフィルム自体の湿熱耐久性が良好となる傾向がある。さらに、このような範囲に前記糖エステル化合物の平均エステル置換度が制御されたフィルムは、光学発現性(Rth)も大きく、好ましい。
偏光板保護フィルム中に含まれるエステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物中、エステル置換度75%以上の糖エステル化合物の含有率が80%以下であり、かつ、エステル置換度35%〜50%の糖エステル化合物の含有率が10%〜30%であることが好ましい。このような範囲に前記糖エステル化合物の各置換体の含有率を制御することで、偏光板保護フィルムの透明性を保つことができる。
なお、前記糖エステル化合物が2糖類である場合、エステル化された置換基の数の平均値は5〜7.5個であり、エステル化された置換基が6〜8個の高置換体の含有率が80%以下であり、エステル化された置換基が3〜4個の置換体の含有率が10〜30%であることとなる。
前記エステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物の平均エステル置換度は60〜95%であることが好ましく、65〜85%であることがより好ましい。前記エステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物の平均エステル置換度を上記範囲に制御することは、前記エステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物中の構造単位当たりのヒドロキシル基の平均の数を対応する範囲に制御することを意味する。前記糖エステル化合物中の構造単位当たりのヒドロキシル基の平均の数を制御することで、高温高湿経時における糖エステル化合物の偏光子層への移動およびPVA−ヨウ素錯体の破壊を抑制し、高温高湿経時における偏光子性能の劣化を抑制することができ、好ましい。
偏光板保護フィルム中に含まれるエステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物中、エステル置換度75%以上の糖エステル化合物の含有率は40〜80%であることが好ましく、55〜75%であることがより好ましい。特に、偏光板保護フィルム中に含まれるエステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物中、エステル置換度75%以上の糖エステル化合物の含有率は、ある程度高い方が光学性能、含水率や透湿度の観点から好ましい。
偏光板保護フィルム中に含まれるエステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物中、エステル置換度35%〜50%の糖エステル化合物の含有率は5〜40%であることが好ましく、10〜30%であることがより好ましい。
以上の条件を満たすエステル置換度が異なる糖エステル化合物を複数用いて、前記アセチル置換度の範囲を満たすセルロースアシレートと組み合わせることで、偏光板保護フィルムの物性や光学性能を得ることができ、かつ偏光板耐久性もいわゆるTPP/BDPなどの公知のリン酸エステル系可塑剤以上に改善することができる。また、ハードコート層と積層した場合には密着性に優れ、鉛筆硬度も良好なフィルムを得ることもできる。
複数の前記エステル置換度が異なる糖エステル化合物を混合する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。また、複数の前記エステル置換度が異なる糖エステル化合物の混合のタイミングは、例えば溶液製膜法を採用する場合、セルロースアシレートドープに添加する前であってもよく、セルロースアシレートドープに複数の糖エステル化合物を個別に添加した後でもよい。
(B) 微粒子(マット剤)
本発明の偏光板に用いられる偏光板保護フィルムに使用される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
微粒子は珪素を含むものが、ヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、更に好ましいのは7〜20nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されることが好ましい。
偏光板保護フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.05〜1質量%であることが好ましく、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成の偏光板保護フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600,NAX50(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが偏光板保護フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。
(C)紫外線吸収剤
本発明の偏光板に用いられる偏光板保護フィルムには、その他の添加剤として、紫外線吸収剤を添加することも好ましい。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、セルロースアシレートフィルムの各層中にセルロースアシレートに対する質量割合で1ppm〜5質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、1〜3質量%が特に好ましい。
(D)その他の添加剤
本発明の偏光板に用いられる偏光板保護フィルムには、その他の添加剤を添加することも好ましい。
前記その他の添加剤については、国際公開WO2008−126535号公報に記載されている化合物を好ましく用いることができる。
(5) 一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムの層構造
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムは、単層であっても、表層とコア層の2層以上からなっていてもよい。一方、前記偏光板保護フィルムが3層以上の積層構造を有していることも、寸法安定性や環境湿熱変化に伴うカール量低減の観点から好ましい。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムが3層構造であるとき、両面の表層に含まれるセルロースアシレートは同じアシル置換度のセルロースアシレートを用いることが、製造コスト、寸法安定性および環境湿熱変化に伴うカール量低減の観点から好ましい。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムは、セルロースアシレート、前記一般式(I)または(III)で表される添加剤、前記糖エステル化合物および前記紫外線吸収剤を含むコア層と、セルロースアシレート、前記一般式(I)または(III)で表される添加剤およびマット剤を含み、かつ、フィルムの少なくとも一方の表面を構成する表層とが積層していることが好ましい。
(6)膜厚
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムは、全体の膜厚が30〜100μmであることが好ましく、30〜80μmであることがより好ましく、45〜70μmであることが特に好ましい。45μm以上とすることにより、本発明の偏光板耐久性を改善できる傾向にあり、好ましい。また、70μm以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、本発明の偏光板耐久性を改善できる傾向にあり、好ましい。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムは、前記コア層の平均膜厚が25〜95μmであることが好ましく、25〜75μmであることがより好ましく、40〜65μmであることがさらに好ましい。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムは、前記表層の膜厚が0.5〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましく、3〜7μmであることが特に好ましい。
(7)前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムの製造方法
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムの製造方法は特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムは、ソルベントキャスト法により製造されるのが好ましい。ソルベントキャスト法を利用したセルロースアシレートフィルムの製造例については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号及び同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号等の公報を参考にすることができる。また、前記セルロースアシレートフィルムは、延伸処理を施されていてもよい。延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号等の各公報を参考にすることができる。
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるが、いずれも好ましく用いることができる。またここで挙げた方法以外にも、従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施することができ、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することにより、それぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムの形成においては共流延法、逐次流延法、塗布法などの積層流延法を用いることが好ましく、特に同時共流延法を用いることが、安定製造および生産コスト低減の観点から特に好ましい。
共流延法および逐次流延法により製造する場合には、先ず、各層用のセルロースアセテート溶液(ドープ)を調製する。共流延法(重層同時流延)は、流延用支持体(バンドまたはドラム)の上に、各層(3層あるいはそれ以上でも良い)各々の流延用ドープを別のスリットなどから同時に押出す流延用ギーサからドープを押出して、各層同時に流延し、適当な時期に支持体から剥ぎ取って、乾燥しフィルムを成形する流延法である。このような共流延は、例えば特開2010−030225号公報の図1に記載の共流延ギーサを用いて行うことができる。
逐次流延法は、流延用支持体の上に先ず第1層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して、流延し、乾燥あるいは乾燥することなく、その上に第2層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して流延する要領で、必要なら第3層以上まで逐次ドープを流延・積層して、適当な時期に支持体から剥ぎ取って、乾燥しフィルムを成形する流延法である。塗布法は、一般的には、コア層のフィルムを溶液製膜法によりフィルムに成形し、表層に塗布する塗布液を調製し、適当な塗布機を用いて、片面ずつまたは両面同時にフィルムに塗布液を塗布・乾燥して積層構造のフィルムを成形する方法である。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムを製造するのに使用される、エンドレスに走行する金属支持体としては、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)が用いられる。
使用される加圧ダイは、金属支持体の上方に1基又は2基以上の設置でもよい。好ましくは1基又は2基である。2基以上設置する場合には、流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量ギアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられるセルロースアシレート溶液の温度は−10〜55℃が好ましく、より好ましくは25〜50℃である。その場合、工程のすべての溶液温度が同一でもよく、又は工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であればよい。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムでは、製膜されたセルロースアシレートフィルムを延伸してもよく、延伸氏無くてもよい。延伸の方法については特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムでは、セルロースアシレートフィルムを乾燥する工程を含むことが好ましい。また、乾燥後のセルロースアシレートフィルムをTg−10℃以上の温度で延伸する工程を含むことが、レターデーション発現性の観点から好ましいが、本発明の製造方法は延伸工程を含まなくてもよい。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムの製造に係わる、金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には、金属支持体(ドラム又はベルト)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム又はベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をベルトやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム又はベルトを加熱し表面温度をコントロールする裏面液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度は、ドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温度に設定することが好ましい。なお流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
フィルム厚さの調整は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。
得られた前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含む偏光板保護フィルムは、ケン化処理されることが好ましい。
ケン化処理では、アルカリ溶液をケン化液として用いてケン化処理する。ケン化液はアルカリ剤と水からなり、場合により界面活性剤および相溶化剤が含有されていてもよい。アルカリ溶液の濃度(アルカリ溶液中のアルカリ剤の含有量)は、セルロースアシレートのアシル置換度に応じて決定することができる。
その他、ケン化工程の詳細については、特開2010−215733号公報などに記載の方法を採用することができる。
(一般式(I)または(III)で表される添加剤を含まない偏光板保護フィルム)
一方、本発明の偏光板に用いられる偏光板保護フィルムのうち一方は、前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含まないフィルムを用いてもよく、例えばセルロースアシレートフィルムが好ましい。このようなセルロースアシレートフィルムは、全アシル基置換度2.7〜3.0であるセルロースアシレートを含むことが好ましい。前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含まないセルロースアシレートフィルムに用いることができる添加剤としては特に制限はなく、公知の偏光板保護フィルムとして用いられているセルロースアシレートフィルムの添加剤を用いることができる。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含まないセルロースアシレートフィルムの構成としては特に制限はないが、単層フィルムであることが好ましい。
前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含まないセルロースアシレートフィルムの製造方法としては特に制限はなく、前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含むセルロースアシレートフィルムを溶液流延製膜する方法と同様の方法を好ましく用いることができる。前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含まないセルロースアシレートフィルムのケン化処理方法についても制限はなく、従来公知の全アシル基置換度2.7〜3.0であるセルロースアシレートを含むフィルムのケン化処理方法を用いることができる。
このような前記一般式(I)または(III)で表される添加剤を含まないセルロースアシレートフィルムの入手方法としては特に制限はなく、公知の偏光板保護フィルムとして用いられているセルロースアシレートフィルムを適宜製造または商業的に入手して用いることができる。商業的に入手する場合、例えば、フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製などを前記第一のセルロースアシレートフィルムとして好ましく用いることができる。
<偏光板の製造方法>
(偏光子と偏光板保護フィルムの積層)
前記偏光子と偏光板保護フィルムとの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。上記の他、偏光子と偏光板保護フィルムとの接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等があげられる。電子線硬化型偏光板用接着剤は、上記各種の偏光板保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。特に、接着性を満足することが困難であったアクリル樹脂に対しても良好な接着性を示す。
本発明の偏光板は、前記偏光板保護フィルムと偏光子を、前記接着剤を用いて貼り合わせることにより製造することが好ましい。接着剤の塗布は、偏光板保護フィルム、偏光子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。貼り合わせ後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着層を形成する。偏光子と偏光板保護フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。接着層の厚さは、特に制限されないが、通常30〜1000nm程度である。
<偏光板の応用>
本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
(反射型偏光板)
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護フィルム等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
(半透過型偏光板)
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。
(楕円偏光板・円偏光板)
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組み合わせで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組み合わせとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
(視角補償フィルム)
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
(輝度向上フィルム)
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や偏光板保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
[液晶表示装置]
本発明は、本発明の偏光板を有する液晶表示装置にも関する。
本発明の液晶表示装置は液晶セルと該液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板の少なくとも一方が本発明の偏光板であることを特徴とするIPS、OCBまたはVAモードの液晶表示装置であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の具体的な構成としては特に制限はなく公知の構成を採用でき、図1に記載の構成を採用することができる。また、特開2008−262161号公報の図2に記載の構成も好ましく採用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例101]
〔偏光板保護フィルムの作製〕
<セルロースアシレートの調製>
アセチル置換度2.87のセルロースアシレートを調製した。これは、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し、40℃でアシル化反応を行った。またアシル化後に40℃で熟成を行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
<エア側表層用ドープ101液の調製>
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液1を調製した。
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セルロースアシレート溶液1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.87、重合度370のセルロースアセテート
100.0質量部
第一工業化学社製モノペット(登録商標)SB(平均エステル置換率94%のスクロースベンゾエート、可塑剤)
9.0質量部
イーストマン・ケミカル社製SAIB100(スクロースアセテートイソブチレート、可塑剤)
3.0質量部
化合物A(日塗化学株式会社製クマロン樹脂、ニットレジン クマロン G−90)
4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 353.9質量部
メタノール(第2溶媒) 89.6質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 4.5質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液2の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液2を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液2の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 69.3質量部
メタノール(第2溶媒) 17.5質量部
n−ブタノール(第3溶媒)
前記セルロースアシレート溶液1 0.9質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液2の1.3質量部と、セルロースアシレート溶液1を98.7質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合し、エア側表層用溶液101を調製した。
<基層用ドープ101の調製>
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、基層用ドープを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液2の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.87、重合度370のセルロースアセテート
100.0質量部
第一工業化学社製モノペット(登録商標)SB(可塑剤)
9.0質量部
イーストマン・ケミカル社製SAIB100(可塑剤) 3.0質量部
化合物A(日塗化学株式会社製クマロン樹脂、ニットレジン クマロン G−90)
4.0質量部
下記紫外線吸収剤C 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 297.7質量部
メタノール(第2溶媒) 75.4質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 3.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2013097170
<支持体側表層用ドープ101液の調製>
エア層側表層用ドープ101液において作製した、マット剤溶液2の1.3質量部と、セルロースアシレート溶液1を99.3質量部、インラインミキサーを用いて混合し、支持体側表層用溶液101を調製した。
<流延>
ドラム流延装置を用い、前記調製したドープ(基層用ドープ)と、その両側に表層用ドープとを3層同時にステンレス製の流延支持体(支持体温度−9℃)に流延口から均一に流延した。各層のドープ中の残留溶媒量が略70質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、残留溶媒量が3〜5質量%の状態で、横方向に1.28倍延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、偏光板保護フィルムを得た。得られた偏光板保護フィルムの厚みは60μm、幅は1480mmであった。
〔偏光板の作製〕
<偏光板保護フィルムの鹸化処理>
作製した偏光板保護フィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、偏光板保護フィルムについて表面の鹸化処理を行った。
<偏光子の作製>
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上のポリビニルアルコールからなる厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
<偏光子と偏光板保護フィルムの貼り合わせ>
鹸化処理した偏光板保護フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記にて製造した偏光子の片側に貼り付けた。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に同様の鹸化処理を行った。ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した偏光板保護フィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に、鹸化処理後の市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けた。なお、市販のセルローストリアセテートフィルムは膜厚80μm、透湿度400g/m2・dayである。
この際、偏光子の透過軸と作成した偏光板保護フィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。また、偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。
このようにして実施例101の偏光板を作製した。
[実施例102〜113、比較例201〜202]
〔偏光板保護フィルムの作製〕
実施例101において、添加化合物(化合物Aであるクマロン樹脂 G−90の代わりに添加する化合物)の種類および添加量、フィルム厚みを下記表4に記載したとおりに変更した以外は同様にして、実施例102〜113および比較例201〜202の偏光板に用いる偏光板保護フィルムをそれぞれ製造した。
・化合物B:日塗化学株式会社製クマロン樹脂、ニットレジン クマロン G−100N
・化合物C:日塗化学株式会社製クマロン樹脂 H−100
・化合物D:日塗化学株式会社製、クマロン樹脂、ニットレジン クマロン V−120S
・化合物E:日塗化学株式会社製、スチレン化フェノール、ニットレジン オリゴマー PH−25
・化合物F:日塗化学株式会社製、スチレン化フェノール、ニットレジン オリゴマー PH−30−90T
・化合物G:三光株式会社製、トリ−スチレン化フェノール、TSP
・化合物H:精工化学株式会社製、スチレン化フェノール、ノンフレックス WS
・化合物I:東京化成工業株式会社製、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール
・化合物J:精工化学株式会社製、スチレン化フェノール樹脂、ノンフレックス DCD(4,4’−Bis(α,α−dimethylbenzyl)diphenylamine)
〔偏光板保護フィルムの鹸化処理と偏光板の作製〕
実施例102〜113および比較例201〜202の偏光板に用いる偏光板保護フィルムについて、それぞれ実施例101と同様にしてけん化処理および偏光板作製を行った以外は実施例101と同様にして、各実施例および比較例の偏光板を作製した。
[比較例203]
〔偏光板の作製〕
鹸化処理した市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例101と同様にして製造した偏光子の片側に貼り付けた。さらに、市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に、市販のPETフィルム(帝人製、テイジンRテトロンRフィルム−K)を、総研化学(株)製SK粘着シートを用いて貼り付け、比較例203の偏光板を作製した。
[評価]
<ラマンスペクトルの測定>
(経時後のポリヨウ素イオンのピーク強度)
各実施例および比較例の偏光板について、80℃、相対湿度90%、336時間経時させた。経時後の偏光板から偏光板保護フィルムを剥離し、偏光子のみを取り出した。Thermo Fischer製のラマン分光測定装置FT‐raman(NRX9650)を用いて、励起波長1064nmのNd:YAGレーザーによりラマンスペクトルの測定を行った。各測定は、レーザー出力:0.6W、測定径:1mmφ、積算回数:偏光子吸収軸方向の測定の場合64回、透過軸方向の測定の場合は256回で行った。
上記の方法で偏光子のラマンスペクトルを測定したときの、偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1のピーク強度を、経時後のポリヨウ素イオン由来のピーク強度とした。得られた結果を下記表4に記載した。
(経時後の偏光子のポリヨウ素イオンの配向度)
各実施例および比較例の偏光板について、80℃、相対湿度90%、336時間経時させた。経時後の偏光板から偏光板保護フィルムを剥離し、偏光子のみを取り出した。その後、上記方法で偏光子のラマンスペクトルを測定し、以下の式(1)により、経時後の偏光子のポリヨウ素イオンの配向度P2を算出した。
式(1)
P2={(偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1のラマン強度)/(偏光板吸収軸に対して垂直方向の155cm-1のラマン強度)−1}/{(偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1のラマン強度)/(偏光板吸収軸に対して垂直方向の155cm-1のラマン強度)+2}
得られた結果を下記表4に記載した。
<偏光子中のホウ酸含量減少率の測定>
(経時前の偏光子中のホウ酸含量定量)
各実施例および比較例の偏光板を1cm×1cmに打ち抜き、硝酸3ccを添加後、マイクロウェーブにて最高温度230℃で灰化処理を行った。水を加えて全量を50gとした後、PerkimElmer社製ICP−OES(Optima7300DV)を用いて偏光子中のホウ素量を測定した。
(経時後のホウ酸含量定量)
各実施例および比較例の偏光板について、80℃、相対湿度90%、336時間経時させた。経時後の偏光板から偏光板保護フィルムを剥離し、偏光子のみを取り出した。これに経時前の偏光子中のホウ酸含量定量のときと同様の処理を行うことにより、経時後の偏光子中のホウ素量を定量した。
以下の式(2)により80℃、相対湿度90%、336時間経時前後におけるホウ酸含量減少率(%)を算出した。
式(2)
ホウ素の減少率[%]={1−(経時後のホウ素含量)/(経時前のホウ素含量)}×100
得られた結果を下記表4に記載した。
<偏光板耐久性の評価>
上記で作製した各実施例および比較例の偏光板について、波長410nmにおける偏光子の直交透過率CTを、UV3100PC(島津製作所社製)を用いて測定し、10回測定の平均値を用いた。
偏光板耐久性試験は偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた形態で次のように行った。ガラスの上に偏光板を貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成した。単板直交透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を偏光板の直交透過率とした。
その後、80℃、相対湿度90%の環境下で336時間保存した後について同様の手法で直交透過率を測定した。経時前後の直交透過率の変化を求め、これを偏光子耐久性として下記表4にその結果を記載した。
Figure 2013097170
上記表4より、湿熱経時後の偏光板に含まれる偏光子中のポリヨウ素イオンのピーク強度および配向度を本発明の範囲に制御した各実施例の偏光板は、偏光板耐久性が良好であることがわかった。
一方、比較例201〜203より、湿熱経時後の偏光板に含まれる偏光子中のポリヨウ素イオンのピーク強度が本発明で規定する範囲未満である偏光板は、偏光板耐久性が悪いことがわかった。
[実施例301〜313、比較例401〜403]
<液晶表示装置の作製>
実施例101〜113および比較例201〜203の偏光板をフロント側表面の偏光板として用いてIPS液晶パネルに実装し評価したところ、性能上問題なく、高温高湿下における耐久性に優れることが分かった。
1 表層用ドープ
2 基層用ドープ
3 共流延ギーサ
4 流延用支持体
11 偏光子
12 偏光子
13 液晶セル
14 偏光板保護フィルム
15 偏光板保護フィルム
21 市販のセルロースアシレートフィルム
22 市販のセルロースアシレートフィルム
31 本発明の偏光板
32 本発明の偏光板

Claims (10)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向された偏光子と、
    該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムとを含み、
    80℃、相対湿度90%、336時間経時後における、ラマン散乱法による、偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1の前記偏光子中のポリヨウ素イオン由来のピーク強度が17.0以上であることを特徴とする偏光板。
  2. 80℃、相対湿度90%、336時間経時後における、下記式(1)によって求められる前記偏光子中のポリヨウ素イオンの配向度P2が、0.75≦P2<1であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
    式(1)
    P2={(偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1のラマン強度)/(偏光板吸収軸に対して垂直方向の155cm-1のラマン強度)−1}/{(偏光板吸収軸に対して平行方向の155cm-1のラマン強度)/(偏光板吸収軸に対して垂直方向の155cm-1のラマン強度)+2}
  3. 前記偏光子がホウ酸由来のホウ素を含有する偏光子であり、
    80℃、相対湿度90%、336時間経時前後における、下記式(2)によって求められる、前記偏光子中のホウ酸由来のホウ素の減少率が55%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板。
    式(2)
    ホウ素の減少率[%]={1−(経時後のホウ素含量)/(経時前のホウ素含量)}×100
  4. 前記2枚の偏光板保護フィルムを主として構成する樹脂がいずれもセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
  5. 前記2枚の偏光板保護フィルムのうち少なくとも一方が、下記一般式(I)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板。
    一般式(I)
    Figure 2013097170
    (一般式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。R3は置換基を表し、R3が表す置換基は水素原子を含む。環Aは5または6員環を表す。nは1〜4の整数を表し、nが2以上のとき、複数のR3は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  6. 前記一般式(I)で表されるモノマーが下記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項5に記載の偏光板。
    一般式(II)
    Figure 2013097170
    (一般式(II)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。R3は置換基を表し、R3が表す置換基は水素原子を含む。A1はCR45(R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す)または酸素原子を表す。nは1〜4の整数を表す。)
  7. 前記一般式(I)および(II)において、R3が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基のいずれかであることを特徴とする請求項5または6に記載の偏光板。
  8. 前記2枚の偏光板保護フィルムのうち少なくとも一方が、下記一般式(III)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏光板。
    一般式(III)
    Figure 2013097170
    (一般式(III)中、R11は置換基を表し、R12は下記一般式(III−1)または(III−2)で表される置換基を表し;n1は0〜4の整数を表し、n1が2以上のとき、複数のR11は互いに同一であっても異なっていてもよく;n2は1〜5の整数を表し、n2が2以上のとき、複数のR12は互いに同一であっても異なっていてもよい。但し、n1とn2の合計は1〜5である;
    一般式(III−1)
    Figure 2013097170
    (一般式(III−1)中、A11は置換又は無置換の2価の芳香族環を表し;R13及びR14はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表し;R15は、単結合または炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し;X1は置換または無置換の1価の芳香族環を表し;n3は0〜10の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のR15およびX1はそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい)
    一般式(III−2)
    Figure 2013097170
    (一般式(III−2)中、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表し;X2は、置換または無置換の1価の芳香族環を表し;n5は1〜11の整数を表し、n5が2以上のとき、複数のR16、R17、R18、R19およびX2は互いに同一であっても異なっていてもよい。))
  9. 前記一般式(III)中、R12が前記一般式(III−1)で表される置換基を表し、且つ、
    前記一般式(III−1)中、n3が0であることを特徴とする請求項8に記載の偏光板。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする液晶表示装置。
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