JP2010024424A - セルロースエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セルロースエステル樹脂と重量平均分子量が500〜100000であるポリマーXを含有し、ポリマーXがオルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位を少なくとも一種含み、かつ、ポリマーXが下記式(1)および式(2)を満たすことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
30%≦A≦100%・・・式(1)
(式中、Aは、単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーのポリマーX中における重合比を表す。)
10%≦B≦100%・・・式(2)
(式中、Bは、前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーのポリマーX中における重合比を表す。)
【選択図】なし
Description
30%≦A≦100%・・・式(1)
(式中、Aは、単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーのポリマーX中における重合比を表す。)
10%≦B≦100%・・・式(2)
(式中、Bは、前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーのポリマーX中における重合比を表す。)
[2] 前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位が下記一般式(1)で表される構造であることを特徴とする[1]に記載のセルロースエステルフィルム。
[3] 前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位が下記一般式(2)または一般式(3)で表される構造であることを特徴とする[1]または[2]に記載のセルロースエステルフィルム。
[4] 前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位が下記一般式(4)または一般式(5)で表される構造であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
[5] 下記式(3)を満たすことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
0 ≦ |ΔRth(10−80)| ≦ 20nm・・・式(3)
(式中、ΔRth(10−80)は、25℃相対湿度10%におけるRthの値と、25℃相対湿度80%におけるRthの値との差を表す。)
[6] 60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるRthの変化量の絶対値ΔRth(60℃90%RH)が、15nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
[7] 60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるセルロースエステルフィルム寸法変化量の絶対値が、0.2%以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
[8] 前記セルロースエステル樹脂の全置換度(DS)が、2.30≦DS<2.98であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
[9] レターデーション発現剤を少なくとも一種含有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムを用いることを特徴とする偏光板。
[11] [1]〜[9]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムまたは[10]に記載の偏光板を用いることを特徴とする液晶表示装置。
本発明のセルロースエステルフィルムに用いられるセルロースエステルは、該セルロースエステルを構成するグルコース単位の水酸基をアシル基で置換して得られたものである。
まず、本発明が好ましく用いられるセルロースエステルについて詳細に記載する。セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースエステルは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
本発明のセルロースエステルのアシル基の全置換度DSは好ましくは2.3≦DS≦2.98であり、より好ましくは2.3≦DS≦2.95であり、特に好ましくは2.3≦DS≦2.8であり、最も好ましくは2.4≦DS≦2.7である。また、このような範囲の全置換度であればセルロースエステル樹脂との相溶性も向上し、前記相溶性が良好であると本発明のポリマーXの添加量を増加させてもフィルムの白化が生じにくく、クリアフィルムが得られやすくなる傾向にある。特に、2.3≦DS≦2.98とすることにより、Rthの湿熱耐久性を大きく改善することができ、液晶表示装置に用いた場合の表示性能の安定性をより向上させることができる。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.08以上が好ましく、より好ましくは0.15以上、特に好ましくは0.2〜0.45である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度である(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は全アシル置換度に対する6位のアシル置換度の割合であり、以下「6位のアシル置換率」とも言う。
本発明のセルロースエステルに用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。本発明のセルロースエステルフィルムは、炭素数2〜4のアシル基を置換基として有することが好ましい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましく、炭素数2〜4のアシル基としては、アセチル基の他、プロピオニル基またはブチリル基が好ましい。2位、3位および6位の水酸基のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位および6位の水酸基のプロピオニル基またはブチリル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は2.3≦DSA+DSB≦2.6であることが好ましく、2.35≦DSA+DSB≦2.55であることがより好ましく、2.4≦DSA+DSB≦2.5であることがさらに好ましい。DSAとDSBの値を上記の範囲にすることで環境湿度によるRe値、Rth値の変化の小さいフィルムが得ることができ好ましい。
さらにDSBはその5%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは10%以上が6位水酸基の置換基であり、20%以上が6位水酸基の置換基であることがさらに好ましく、特には30%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。
本発明のフィルムは、後述するポリマーXを含め、高分子量添加剤を含有する。
本発明のフィルムに用いられる高分子量添加剤は、その化合物中に繰り返し単位を有するものであり、数平均分子量が500〜100000のものが好ましい。高分子量添加剤は、溶液流延法において、溶媒の揮発速度を速めたり、残留溶媒量を低減するために用いられる。また、溶融製膜法によるフィルムにおいても、高分子量添加剤は着色や膜強度劣化を防止するために有用な素材である。さらに、本発明のフィルムに該高分子量添加剤を添加することは、機械的性質向上、柔軟性付与、耐吸水性付与、水分透過率低減等のフィルム改質の観点で、有用な効果を示す。
以下、本発明に用いられる高分子量添加剤について、その具体例を挙げながら詳細に説明するが、本発明で用いられる高分子量添加剤がこれらのものに限定されるわけでないことは言うまでもない。
本発明で用いられるポリエステル系ポリマーは、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸と炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸の混合物と、炭素数2〜12の脂肪族ジオール、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールおよび炭素数6〜20の芳香族ジオールから選ばれる少なくとも1種類以上のジオールとの反応によって得られるものであり、かつ反応物の両末端は反応物のままでもよいが、さらにモノカルボン酸類やモノアルコール類またはフェノール類を反応させて、所謂末端の封止を実施してもよい。この末端封止は、特にフリーなカルボン酸類を含有させないために実施されることが、保存性などの点で有効である。本発明のポリエステル系ポリマーに使用されるジカルボン酸は、炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸残基または炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸残基であることが好ましい。
また炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等がある。
本発明のポリエステル添加剤の両末端がカルボン酸やOH基とならないように、モノアルコール残基やモノカルボン酸残基で保護することが好ましい。
この場合、モノアルコールとしては炭素数1〜30の置換、無置換のモノアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどの置換アルコールなどが挙げられる。
以下に、本発明で用いることができるポリエステル系ポリマーの具体例を記すが、本発明で用いることができるポリエステル系ポリマーはこれらに限定されるものではない。
本発明のセルロースエステルフィルムが含有するポリマーXについて、以下説明する。
前記ポリマーXは、重量平均分子量が500〜100000であり、少なくとも一種のオルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有する芳香環を含むモノマー単位を含み、前記式(1)および式(2)を満たす。
前記単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーのポリマーX中における重合比Aは、30%≦A≦100%であり、40%≦A≦100%であることが好ましい。前記重合比(A)が30%≦A≦100%であれば、十分な負の複屈折をポリマーXが発現し、セルロースエステルフィルムに添加させると湿度安定性、湿熱耐久性が向上することとなる。
芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル−4−ビニルベンゾエート、エチル−4−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、p−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類、インデン類などが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、二種以上を共重合成分として用いてもよい。
当該アクリル酸エステル系単量体の例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸(2または4−クロロフェニル)、メタクリル酸(2または4−クロロフェニル)、アクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、メタクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、アクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、メタクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル、アクリル酸(2−ナフチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、2種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものが好ましい。
前記芳香環が置換基を有している場合は置換基の位置に特に制限はないが、本発明においては、Rthの湿度安定性を向上させる観点から、前記芳香環のオルト位またはメタ位に置換基を有することが好ましい。
また、前記芳香環は1つであっても複数であってもよいが、1つであることが好ましい。さらに、1つの芳香環のオルト位またはメタ位に1〜4個前記置換基を有していることが好ましく、オルト位またはメタ位に1〜2個有していることがより好ましく、オルト位またはメタ位に1個有していることが特に好ましい。
本明細書中において、「オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基」とは、フェニル基のオルト位とメタ位に結合している4つの水素原子のうちの1〜4個が置換基で置換されており、パラ位に結合している水素原子については置換されていないものを意味する。
前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位におけるフェニル基の位置は特に制限はなく、モノマー単位の主鎖に直接フェニル基が連結していても、連結基を介してフェニル基が主鎖に連結していてもよい。また、このような連結基としては特に制限はなく、例えば、アルキレン基などを用いることができる。
また、前記フェニル基は、モノマー単位中に複数含まれていても、1個のみであってもよいが、1個であることが好ましい。
前記芳香環が有する置換基の数は、1〜4個であり、好ましくは1〜3個であり、より好ましくは1または2個であり、特に好ましくは、1個である。
このような置換基としては特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アセトキシ基などのカルボキシ基、アミド基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、スルホ基などを挙げることができるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
前記R12およびR14は各々独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、または−C(=O)R15を表し、水素原子または−C(=O)R15であることがより好ましい。
前記R15は炭素数1〜8のアルキル基を表し、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることがより好ましい。
前期重合比Bが10%≦B≦100%であれば、Rthの湿度安定性が顕著に改良され、また、セルロースアセテートとの相溶性も良好となる。
本明細書中において、前記単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーの重合比(A)と、前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーの重合比(B)は、重複して計算することができる。例えば、ポリマーXは、単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示し、かつ、オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーの単重合体であってもよい。この場合、前記重合比Aは100%となり、前記重合比Bも100%となる。すなわち、前記重合比Aおよび前記重合比Bは、ポリマーX全体における特定の効果を有するモノマー成分の割合を、2種の異なる観点から規定したものである。
30%≦A≦100%・・・式(1)
10%≦B≦100%・・・式(2)
さらに、前記ポリマーXは下記式(4)および(5)を満たすことが特に好ましく、下記式(6)および(7)を満たすことが最も好ましい。
30%≦A≦100%・・・式(4)
20%≦B≦100%・・・式(5)
50%≦A≦100%・・・式(6)
20%≦B≦100%・・・式(7)
一方、セルロースエステル樹脂との相溶性を高める観点からは、ポリマーXは前記その他のモノマーを含む共重合体であってもよい。セルロースエステル樹脂の置換度が高い場合はセルロースエステル樹脂は疎水性が高まるため、疎水性が高まるようにその他のモノマーと共重合させて制御し、相溶性を向上させることが好ましい。逆に、セルロースエステル樹脂の置換度が低い場合はセルロースエステル樹脂は疎水性が低下するため、疎水性が低下するようにその他のモノマーと共重合させて制御し、相溶性を向上させることが好ましい。
前記ポリマーXの重量平均分子量は500〜100,000である。前記ポリマーXの重量平均分子量は700〜50,000であることが好ましく、1,000〜25,000であることがより好ましい。
分子量が500以上であれば揮散性が良好であり、分子量が100,000以下であればセルロースエステル樹脂との相溶性が良好であり、いずれも好ましい。
前記ポリマーXの添加量は、セルロースエステル樹脂100質量部に対して、0.5〜30質量部とすることが好ましく、1〜20質量部とすることがより好ましく、2〜15質量部とすることがさらに好ましい。ポリマーXの添加量が30質量部以下であればレターデーションの発現性を保つことができるという利点があり、添加量が1質量部以上であれば湿熱耐久性改良効果が大きいという利点がある。
低分子量添加剤としては、レターデーション発現剤、レターデーション発現剤、劣化防止剤、紫外線防止剤、剥離促進剤、他の可塑剤、赤外線吸収剤等を挙げることができる。これらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に劣化防止剤の混合などである。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はセルロースアシレート溶液(ドープ)作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。さらにまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。
本発明ではレターデーション値を発現するため、レターデーション発現剤を用いるのが好ましい。本発明において用いることができるレターデーション発現剤としては、棒状または円盤状化合物からなるものを挙げることができる。上記棒状または円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として好ましく用いることができる。
棒状化合物からなるレターデーション発現剤の添加量は、セルロースエステルを含むポリマー成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがさらに好ましい。
円盤状のレターデーション発現剤は、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して、0.05〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、1.0〜15質量部の範囲で使用することがより好ましく、3.0〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
円盤状化合物はRthレターデーション発現性において棒状化合物よりも優れているため、特に大きなRthレターデーションを必要とする場合には好ましく使用される。2種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
レターデーション発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、ビフェニール類が好ましい。特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基および1−ヘキセニル基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基および1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例えば、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基およびメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基およびエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基およびエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基およびn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基および2−カルボキシエチルアミノ基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル基およびジエチルスルファモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基およびモルホリノ基が含まれる。
レターデーション発現剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
R51は、各々独立に、オルト位、メタ位およびパラ位の少なくともいずれかに置換基を有する芳香族環または複素環を表す。
X11は、各々独立に、単結合または−NR52−を表す。ここで、R52は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
X11が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O、S)を有していてもよい。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。
R52が表す芳香族環基および複素環基は、R12が表す芳香族環および複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはR51の芳香族環および複素環の置換基と同様である。
R53、R54、R55、R56、R57およびR58が各々表す置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは、炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、ウレイド基、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜8であり、最も好ましくは1〜6である。
アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜4であり、最も好ましくは2(ビニレン基またはエチニレン基)である。
アリーレン基は、炭素原子数は6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜16であり、さらに好ましくは6〜12である。
一般式(IV):Ar1−L12−X−L13−Ar2
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6であり、さらに好ましくは1〜4であり、1または2(メチレン基またはエチレン基)であることが最も好ましい。
L12およびL13は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc.,113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
また、Re発現剤として、一種の化合物を単独で、又は二種類以上の化合物を混合して用いることができる。Re発現剤として互いに異なる二種類以上の化合物を用いると、レターデーションの調整範囲が広がり、容易に所望の範囲に調整できるので好ましい。
前記Re発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法で作製する場合は、前記Re発現剤を、ドープ中に添加してもよい。添加はいずれのタイミングで行ってもよく、例えば、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRe発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
具体例(2)および(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
本発明の光学フィルムは、レターデーション低減剤を含んでいても良い。
レターデーション低減剤としては、特に限定されないが、以下に述べる一般式(8)〜(12−4)で表される化合物が挙げられる。
一般式(8)の化合物は、スルホニルクロリド誘導体とアミン誘導体との縮合反応により得ることができる。また、一般式(9)の化合物は、スルフィドの酸化反応もしくは芳香族化合物とスルホン酸クロリドのFriedel−Crafts反応により得ることができる。
一般式(12−1)
R311−X311−Z311−X312−R312
芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基など)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基など)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基など)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基など)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基など)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基など)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基など)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基など)、
上記添加量を30質量%以下とすることにより、セルロース系樹脂との相溶性を向上させることができ、白化を抑制させることができる。2種類以上のレターデーション低減剤を用いる場合、その合計量が、上記範囲内であることが好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムには、前記高分子量添加剤、前記ポリマーX、レターデーション発現剤およびレターデーション低減剤のほかに、その他の添加剤を有していても良い。その他の添加剤としては、劣化防止剤、紫外線吸収剤、剥離促進剤、可塑剤などをあげることができる。
本発明においてはセルロースエステル溶液に公知の酸化防止剤、例えば、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4、4'−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1、1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2、2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2、5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3、5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤をすることが好ましい。酸化防止剤の添加量は、セルロース系樹脂100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加する。
本発明においてはセルロースエステル溶液に、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N'−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N'−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2'−ヒドロキシ−3'、5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2'−ヒドロキシ−3'、5'−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、セルロースエステルフィルム全体中に質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
本発明のフィルムには、剥離促進剤を含んでいてもよい。剥離促進剤は、例えば、0.001〜1質量%の割合で含めることができる。剥離促進剤としては、公知のものが採用でき、例えば、クエン酸のエチルエステル類が例として挙げられる。
本発明のフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。TPPおよびBDPを1:1で混合したものが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロース系樹脂の質量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、可塑剤としてはこれらの低分子量添加剤である可塑剤のほか、前記高分子量添加剤として例示したポリエステル系ポリマー等も可塑剤として用いることも好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは、アシル置換度2.3以上のセルロースエステル樹脂と、少なくとも1種の前記ポリマーXを含むことを特徴とする。
本発明のセルロースエステルフィルムは、25℃、相対湿度60%における平衡含水率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。平均含水率を10%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。
本明細書におけるRe(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび膜厚方向のレターデーションを表す。本願明細書においては、特に記載がないときは、波長λは、590nmとする。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(11)及び式(12)よりRthを算出することもできる。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースエステル(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d ・・・式(12)
なおこの際、パラメータとして平均屈折率nが必要になるが、これはアッベ屈折計((株)アタゴ社製の「アッベ屈折計2−T」)により測定した値を用いた。
また、前記Reは、0nm<Re<100nmであることが好ましく、20nm<Re<80nmであることがより好ましく、30nm<Re<70nmであることが特に好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは、湿度変化時の光学特性変化が小さい。このように光学特性の湿度依存性を低くすることで、高湿下においても常温と同じ程度の高いレテーデーションを発揮することができ、高湿下での使用にも好適なセルロースエステルフィルムを得ることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムは、下記式(3)を満たすことが好ましい。
0 ≦ |ΔRth(10−80)| ≦ 20nm・・・式(3)
(式中、ΔRth(10−80)は、25℃相対湿度10%におけるRthの値と、25℃相対湿度80%におけるRthの値との差を表す。)
さらに、本発明のセルロースエステルフィルムは、下記式(8)を満たすことがより好ましい。
0 ≦ |ΔRth(10−80)| ≦ 15nm・・・式(8)
(式中、ΔRth(10−80)は、25℃相対湿度10%におけるRthの値と、25℃相対湿度80%におけるRthの値との差を表す。)
本発明のセルロースエステルフィルムは、高温高湿下で長期間保存した際の光学特性変化が小さい。このように光学特性の湿熱耐久性を向上させることで、高温高湿下においても長期間高いレテーデーションを発揮することができ、高温高湿下での使用にも好適なセルロースエステルフィルムを得ることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムの60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるRthの変化量の絶対値ΔRth(60℃90%RH)が、20nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは、高温高湿下で長期間保存した際の寸法変化が小さい。このように寸法変化の湿熱耐久性を向上させることで、高温高湿下での使用にも好適なセルロースエステルフィルムを得ることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムの60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるセルロースエステルフィルム寸法変化量の絶対値が、0.4%以下であることが好ましく、0.2%以下であることが好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムの膜厚は20〜80μmであることが好ましく、30〜70μmであることがより好ましく,さらに好ましくは35〜55μmが好ましい。20μm以上とすることにより、ウェブ状のフィルムを作製する際のハンドリング性が向上し好ましい。また、80μm以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性を維持しやすい。
本発明のフィルムは、公知のセルロースエステルフィルムを作製する方法等を広く採用でき、ソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースエステルを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造することができる。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースエステルの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースエステルの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、ポリマーXや前述の任意の添加剤を添加しておくことができる。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースエステルと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースエステルと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースエステルを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースエステルの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースエステルの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースエステルと有機溶媒の混合物は固化する。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースエステルが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースエステル(全アセチル置換度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースエステルの全アセチル置換度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
本発明では得られたセルロースエステル溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のセルロースエステル液を流延してもよい。複数のセルロースエステル溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースエステルを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースエステル溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースエステル溶液の流れを低粘度のセルロースエステル溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースエステル溶液を同時に押出すセルロースエステルフィルム流延方法でもよい。更に又、特開昭61−94724号、特開昭61−94725号の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。ウェブ中の残留溶媒量が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。ウェブ中の残留溶媒量のさらに好ましい範囲は10質量%〜50質量%、特に12質量%〜35質量%が最も好ましい。また、延伸倍率が小さすぎると十分な位相差が得られず、大きすぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
本発明では、溶液流延製膜したものは、特定の範囲の残留溶媒量であれば高温に加熱しなくても延伸可能であるが、乾燥と延伸を兼ねると、工程が短くてすむので好ましい。しかし、ウェブの温度が高すぎると、可塑剤が揮散するので、室温(15℃)〜145℃以下の範囲が好ましい。また、互いに直交する2軸方向に延伸することは、フィルムの屈折率Nx、Ny、Nzを本発明の範囲に入れるために有効な方法である。例えば流延方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大きすぎると、Nzの値が大きくなりすぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制あるいは、幅方向にも延伸することで改善できる。幅方向に延伸する場合、幅手で屈折率に分布が生じる場合がある。これは、例えばテンター法を用いた場合にみられることがあるが、幅方向に延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、いわゆるボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、流延方向に延伸することで、ボーイング現象を抑制でき、幅手の位相差の分布を少なく改善できるのである。さらに、互いに直交する2軸方向に延伸することにより得られるフィルムの膜厚変動が減少できる。セルロースエステルフィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなる。セルロースエステルフィルムの膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。以上の様な目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ1〜2倍、0.7〜1.2倍の範囲とすることが好ましい。ここで、一方の方向に対して1.2〜2.0倍に延伸し、直交するもう一方を0.7〜1.0倍にするとは、フィルムを支持しているクリップやピンの間隔を延伸前の間隔に対して0.7〜1.0倍の範囲にすることを意味している。
したがって、一方向のみに力を与えて続けて延伸すると直角方向の幅は縮まってしまうが、これを幅規制せずに縮まる量に対して、縮まり量を抑制していることを意味しており、その幅規制するクリップやピンの間隔を延伸前に対して0.7〜1.0倍の範囲に規制していることを意味している。このとき、長手方向には、幅手方向への延伸によってフィルムが縮まろうとする力が働いている。長手方向のクリップあるいはピンの間隔をとることによって、長手方向に必要以上の張力がかからないようにしているのである。ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。また、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
本発明の偏光板は、上記の本発明のセルロースエステルフィルムを用いた偏光板である。典型的な偏光板では、本発明のセルロースエステルフィルムを偏光子の保護フィルムとして用いる。すなわち、偏光板は、偏光子およびその少なくとも片側、通常は両側に配置された2枚の透明保護フィルムからなるが、本発明では、少なくとも一方の保護フィルムとして、本発明のセルロースエステルフィルムを用いる。他方の保護フィルムは、本発明のセルロースエステルフィルムを用いても、通常のセルロースアセテートフィルム等を用いてもよい。
また、偏光板の保護フィルムの上に、さらに、位相差膜を有していても良い。位相差膜は、好ましくは、粘着剤によって貼り合わせる。粘着剤としては、例えば、特開2000−109771号公報、特開2003−34781号公報、特開2003−34781号公報に記載のものを採用できる。
本発明のセルロースエステルフィルム、該フィルムを用いた偏光板は、様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(シャープ技報第80号11頁)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(月刊ディスプレイ5月号14頁(1999年))が含まれる。
以下に示すセルロースエステルドープaを用い、溶液製膜法によりフィルムを作製した。
(セルロースエステルドープa)
セルロースアセテート樹脂:下記表4に記載の置換度のもの 100質量部
添加剤A 表4に記載の量(単位:質量部)
レターデーション発現剤AA 4質量部
剥離促進剤 0.03質量部
ジクロロメタン 406質量部
メタノール 61質量部
上記のセルロースエステルドープaをミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、セルロースエステルドープを調製した。ドープをバンド流延機にて流延した。残留溶剤量が約30質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムをテンターにより140℃の熱風を当てて乾燥した。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に120℃から150℃で乾燥し巻き取った。
[延伸]
テンターを用いて延伸率34%まで拡幅した後、延伸率が30%となるように140℃で60秒間緩和させ、セルロースエステルフィルムを得た。このときフィルムの膜厚は60μmであった。
セルロースエステル樹脂の置換度、可塑剤の種類と量、添加剤の種類と量、レターデーション発現剤の種類と量をそれぞれ下記表4〜表7に記載の通りにした以外は実施例1と同様にしてセルロースエステルドープを作成した。なお、下記表4〜表7中において可塑剤VはTPP、可塑剤WはBDP、可塑剤P−1、P−6、P−20、P−32、P−38、P−47、P−52〜P−55、P−60およびP−64は前記高分子添加剤として上記表1および上記表2に例示したポリマーを表し、各可塑剤の添加量は、単位:質量部で表したものである。また、下記表4〜表7中、セルロースエステル樹脂は実施例2〜75および比較例1〜16ではセルロースアセテート樹脂であり、実施例76〜78ではセルロースアセテートプロピオネート樹脂である。
その後、実施例1と同様の手順で溶液流延および延伸を行い、実施例2〜78および比較例1〜16のセルロースエステルフィルムを得た。
(フィルムの物性評価)
下記の方法にしたがって実施例1〜78および比較例1〜16のセルロースエステルフィルムの諸物性を評価した。
以下、フィルムの諸特性は以下の方法で測定して実施した。
(レターデーション)
KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で上記の方法によりRthを計測した。その結果を下記表4〜表7に示す。
25℃、相対湿度10%におけるRthの値を測定し、Rth(10%)とした。また、25℃、相対湿度80%におけるRthの値を測定し、Rth(80%)とした。これらの値からΔRth(10−80)の値を計算し、以下の評価によって分類した。得られた評価を下記表4〜表7に示す。
◎:12.5nm以下であり、非常に好ましい。
○:12.5〜15nmであり、好ましい。
▲:15〜17.5nmであり、実用上問題なく用いることができる。
△:17.5〜20nmであり、実用上問題がある。
×:20nmを超え、実用上非常に問題がある。
60℃、相対湿度90%で24時間経過後にRthを測定した。上記フィルム作成時のRthを基準として変化量を計算し、その絶対値をΔRth(60℃90%RH)とし、以下の評価によって分類した。得られた評価を下記表4〜表7に示す。
○:10〜15nmであり、実用上好ましい。
△:15〜20nmであり、実用上は問題がない。
×:20nmを超え、実用上問題がある。
60℃、相対湿度90%で24時間経過前後のフィルム搬送方向(MD方向)のフィルム寸法変化量を計算した。その絶対値を以下の評価によって分類した。得られた評価を下記表4〜表7に示す。
○:0.1〜0.2%であり、実用上好ましい。
△:0.2〜0.4%であり、実用上は問題がない。
×:0.4%以上を超え、実用上問題がある。
特に、比較例2、7、10および14ではp−アセトキシスチレンとスチレンの共重合体である添加剤Wを用いており、比較例6、9および13ではp−ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体である添加剤Sを用いているものであるが、これらフェニル基のパラ位のみに置換基を有するモノマー成分のみをポリマーXが有する場合は、フェニル基のオルト位またはメタ位に置換基を有するモノマー成分を有するその他の実施例の添加剤よりもRthの湿度安定性が低い評価であることがわかった。
一方、実施例7、35、46および57ではp−アセトキシスチレンを共重合成分として含むものの、フェニル基のメタ位に置換基を有するモノマー成分であるm−ヒドロキシスチレンを共重合体成分として含んでいる添加剤Uを用いていることで、驚くべきことに添加剤Sや添加剤Wを用いた場合よりもRthの湿度安定性について良好な結果を得られた。
さらに、本発明の実施例のフィルムは、比較例に比べて寸法の湿度安定性も優れていた。
(偏光子の作製)
厚み75μm、重合度2400のポリビニルアルコール(PVA)フィルムを30℃の温水で40秒間膨潤させた後、ヨウ素濃度0.06質量%、ヨウ化カリウム6質量%の水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%、ヨウ化カリウム3質量%の水溶液中に40℃で60秒浸漬している間に、縦方向が元の長さの5.0倍になるように延伸した。その後、50℃で4分間乾燥させて、偏光子を得た。
実施例1で作製したフィルムを1.5モル/リットルで30℃の水酸化ナトリウム水溶液中に、および富士フイルム(株)製TD80Uを1.5モル/リットルで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.05モル/リットルで35℃の希硫酸水溶液に15秒間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
前記のように鹸化処理を行ったフィルムと富士フイルム(株)製TD80Uを前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ、さらに70℃で30分間加熱した。この後、幅方向から3cm、カッターにて耳きりをし、有効幅1200mm、長さ50mのロール形態の偏光板を作製した。このとき、偏光子および偏光子両側の保護フィルムはロール形態で作製されているため各ロールフィルムの長手方向が平行となっており連続的に貼り合わされる。また、セル側に配置される保護フィルムにおいては偏光子の透過軸と各セルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になっている。
n−ブチルアクリレート(n−BA)75質量部、メチルアクリレート(MA)20質量部、2−ヒドロキシアクリレート(2−HEA)5質量部、酢酸エチル100質量部およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を反応容器に入れ、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、撹拌下に窒素雰囲気中で、この反応容器を60℃に昇温させ、4時間反応させた。4時間後、トルエン100質量部、α−メチルスチレンダイマー5質量部およびAIBN2質量部を加え、90℃に昇温し、さらに4時間反応させた。反応後、酢酸エチルで希釈し、固形分20質量%のアクリルポリマー溶液を得た。ポリマー溶液の固形分100質量部にイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン(株)製)1.0質量部を添加し、よく撹拌して粘着剤組成物を得た。
上記アクリルポリマー溶液を含有する粘着剤組成物を剥離処理したフィルム上に25μmの粘着剤層を形成し、それを偏光板(セル側保護フィルム上)に転写し、温度23℃、湿度65%の条件で7日間熟成させて粘着剤付偏光板を作製した。さらにその粘着剤層の上にセパレートフィルムを貼り付けた。セルと反対側の保護フィルム上にはプロテクトフィルムを貼り付けた。得られた偏光板を、実施例101〜178の偏光板とした。
(偏光板の耐久性)
前記実施例101〜178の偏光板をガラス板に貼り付けたものを2組用意し、60℃90%RHで1000時間経時させた前後において、島津UV3100分光光度計で平行透過率および直交透過率を測定し、偏光度を算出した。その結果、実施例101〜178の偏光板は熱および湿度に対する偏光度の変化が小さく、耐久性に優れることがわかった。
(VAパネルへの実装)
VAモードの液晶TV(LC−20C5、シャープ(株)製)の表裏の偏光板および位相差板を剥し、表と裏側に、前記実施例101〜178の偏光板および視野角補償板のない市販の偏光板(HLC2−5618、サンリッツ(株)製)を、ラミネーターロールを用いて貼り付けた。
この際、視認側の偏光板の吸収軸をパネル水平方向に、バックライト側の偏光板の吸収軸をパネル鉛直方向となり、粘着剤面が液晶セル側となるように配置した。
(視野角特性)
測定機(EZ−Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲)を測定した。前記実施例101〜166の偏光板を使用した液晶表示装置は25℃・相対湿度60%で左右共に80度以上の良好な視野角を示した。その後、上記液晶表示装置を60℃・相対湿度90%の条件下で24時間静置し、その後25℃・相対湿度60%で2時間以上調湿し、25℃・相対湿度60%で再度視野角を測定した際、左右共に80度以上の良好な視野角を示した。
また、本発明の偏光板は湿熱耐久性に優れている。従って、本発明は、使用環境の湿度の変化に対して、色ずれ、色味、光漏れの変動が十分に小さい液晶表示装置を提供することが可能になる。
Claims (11)
- セルロースエステル樹脂と重量平均分子量が500〜100000であるポリマーXを含有し、ポリマーXがオルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位を少なくとも一種含み、かつ、ポリマーXが下記式(1)および式(2)を満たすことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
30%≦A≦100%・・・式(1)
(式中、Aは、単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーのポリマーX中における重合比を表す。)
10%≦B≦100%・・・式(2)
(式中、Bは、前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーのポリマーX中における重合比を表す。) - 下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
0 ≦ |ΔRth(10−80)| ≦ 20nm・・・式(3)
(式中、ΔRth(10−80)は、25℃相対湿度10%におけるRthの値と、25℃相対湿度80%におけるRthの値との差を表す。) - 60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるRthの変化量の絶対値ΔRth(60℃90%RH)が、15nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
- 60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるセルロースエステルフィルム寸法変化量の絶対値が、0.2%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
- 前記セルロースエステル樹脂の全置換度(DS)が、2.30≦DS<2.98であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
- レターデーション発現剤を少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムを用いることを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムまたは請求項10に記載の偏光板を用いることを特徴とする液晶表示装置。
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