JP2010024424A - セルロースエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

セルロースエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010024424A
JP2010024424A JP2008210277A JP2008210277A JP2010024424A JP 2010024424 A JP2010024424 A JP 2010024424A JP 2008210277 A JP2008210277 A JP 2008210277A JP 2008210277 A JP2008210277 A JP 2008210277A JP 2010024424 A JP2010024424 A JP 2010024424A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
cellulose ester
carbon atoms
film
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008210277A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5373336B2 (ja
Inventor
Atsushi Takeda
淳 武田
亮介 ▲たか▼田
Ryosuke Takada
Masaya Suzuki
正弥 鈴木
Hiromichi Tachikawa
博道 立川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2008210277A priority Critical patent/JP5373336B2/ja
Publication of JP2010024424A publication Critical patent/JP2010024424A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5373336B2 publication Critical patent/JP5373336B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】膜厚方向のレターデーションの湿度安定性が高く、膜厚方向のレターデーションおよび寸法変化の湿熱耐久性に優れる、液晶表示装置に有用なセルロースエステルフィルムを提供する。
【解決手段】セルロースエステル樹脂と重量平均分子量が500〜100000であるポリマーXを含有し、ポリマーXがオルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位を少なくとも一種含み、かつ、ポリマーXが下記式(1)および式(2)を満たすことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
30%≦A≦100%・・・式(1)
(式中、Aは、単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーのポリマーX中における重合比を表す。)
10%≦B≦100%・・・式(2)
(式中、Bは、前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーのポリマーX中における重合比を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、湿度安定性および湿熱耐久性を改良したセルロースエステルフィルムおよび偏光板に関する。詳しくは、膜厚方向のレターデーションの湿度安定性が高く、膜厚方向のレターデーションおよび寸法変化の湿熱耐久性に優れる液晶表示装置に有用なセルロースエステルフィルム、該セルロースエステルフィルムを用いて作製した偏光板およびそれらを有する液晶表示装置に関する。
一般に液晶表示装置は、液晶セル、光学補償シート、偏光子により構成される。光学補償シートは、画像着色の解消や、視野角を拡大する目的で使用されるものであり、延伸した複屈折フィルムや透明フィルムに液晶を塗布したフィルムが挙げられる。例えば、特許文献1ではディスコティック液晶をトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し配向させて固定化した光学補償シートをTNモードの液晶セルに適用し、視野角を広げる技術が開示されている。
しかしながら、大画面で様々な角度から見ることが想定されるテレビ用途の液晶表示装置は視野角依存性に対する要求が厳しく、前述のような手法をもってしても要求を満足することはできていない。そのため、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、VA(Vertically Aligned)モードなど、TNモードとは異なる液晶表示装置が研究されている。特にVAモードはコントラストが高く、製造の歩留まりが比較的高いことから、TV用途の液晶表示装置として現在主流になりつつある。
液晶表示装置に不可欠な偏光子の素材としては、一般に、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」とも記す。)が主に用いられる。PVAフィルムは、一軸延伸してからヨウ素あるいは二色性染料で染色するか、あるいは染色してから延伸し、その後ホウ素化合物で架橋することにより偏光性能が付与され、偏光子として用いられる。
ここで、偏光板の保護フィルムのような光学的等方性が要求される用途には、セルロースエステルフィルムが通常用いられている。これは、セルロースエステルフィルムが、他のポリマーフィルムと比較して、光学的等方性が高い(レターデーション値が低い)という特徴を有することに基づく。
一方、液晶表示装置の光学補償シート(位相差フィルム)には、逆に光学的異方性(高いレターデーション値)が要求される。従って、光学補償シートとしては、ポリカーボネートフィルムやポリスルホンフィルムのようなレターデーション値が高い合成ポリマーフィルムを用いることが普通であった。
すなわち、液晶表示装置に使用する光学部材には、ポリマーフィルムに光学的異方性(高いレターデーション値)が要求される場合には合成ポリマーフィルムを使用し、光学的等方性(低いレターデーション値)が要求される場合にはセルロースエステルフィルムを使用することが一般的な原則であった。
特許文献2には、従来の一般的な原則を覆して、光学的異方性が要求される用途にも使用できる高いレターデーション値を有するセルロースアセテートフィルムが提案されている。この提案ではセルローストリアセテートで高いレターデーション値を実現するために、少なくとも2つの芳香環を有する芳香族化合物、中でも1,3,5−トリアジン環を有する化合物を添加し、延伸処理を行っている。一般にセルローストリアセテートは延伸しにくい高分子素材であり、複屈折率を大きくすることは困難であることが知られているが、添加剤を延伸処理で同時に配向させることにより複屈折率を大きくすることを可能にし、高いレターデーション値を実現している。このフィルムは偏光板の保護フィルムを兼ねることができるため、液晶表示装置に必要な部材フィルムを削減することで、安価で薄膜な液晶表示装置を提供することができる利点がある。
近年、液晶表示装置の用途は拡大の一方であり、屋外での使用や乗用車内に設置されるような使い方も多くなっていることから、湿熱環境下での使用に好適に用いられる液晶表示装置が要求されるようになっている。そのため、膜厚方向のレターデーションの湿度安定性が高く、膜厚方向のレターデーションおよび寸法変化の湿熱耐久性に優れる部材フィルムが求められている。
これに対し、膜厚方向のレターデーションの湿度安定性の改善方法として、特定の構造の添加剤や糖エステルを添加する方法(特許文献3参照)や、スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体などの添加剤を添加する方法(特許文献4参照)が提案されている。また、湿熱環境下での長期間の使用における寸法変化の耐久性を改善する方法として、負の複屈折性を有するスチレン/無水マレイン酸共重合体の材料を添加する方法が提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、環境湿度の変化に対して光学特性の変化を改善する点についてはこれらの文献では未検討であった。
したがって、環境湿度の変化に対して光学特性の変化が十分に小さく、かつ、表示性能を左右する光学特性および寸法変化の湿熱耐久性に優れるフィルムおよびそれを用いた偏光板を得るための技術開発が、現在もなお強く望まれているのが現状である。
特許第2587398号公報 欧州特許出願公開第911656号明細書 国際公開第2007/125764号パンフレット 国際公開第2007/119646号パンフレット 特開2007−304376号公報
しかし、本発明者らが前記文献に記載されているこれらの添加剤を添加する方法を実施してみたところ、環境湿度の変化に対して光学特性の変化や、湿熱環境下での長期間の使用における光学特性の耐久性について、満足がいくものではないことがわかった。
そこで本発明者らは鋭意検討を行い、オルト基またはメタ位に置換基を有する添加剤を添加することで、パラ位に置換基を有する添加剤を加えた際と比較して、特に環境湿度の変化に対して光学特性の変化を改善することができることを見出した。すなわち、湿熱環境下での寸法変化の耐久性のみならず、さらに膜厚方向のレターデーションの湿度安定性および膜厚方向のレターデーションの湿熱耐久性をも改善したフィルムを発明した。
本発明の目的は、膜厚方向のレターデーションの湿度安定性に優れ、膜厚方向のレターデーションおよび寸法変化の湿熱耐久性に優れる液晶表示装置に有用なセルロースエステルフィルム、該セルロースエステルフィルムを用いて作製した偏光板およびそれらを有する液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下の本発明を提供するに至った。
[1] セルロースエステル樹脂と重量平均分子量が500〜100000であるポリマーXを含有し、ポリマーXがオルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位を少なくとも一種含み、かつ、ポリマーXが下記式(1)および式(2)を満たすことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
30%≦A≦100%・・・式(1)
(式中、Aは、単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーのポリマーX中における重合比を表す。)
10%≦B≦100%・・・式(2)
(式中、Bは、前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーのポリマーX中における重合比を表す。)
[2] 前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位が下記一般式(1)で表される構造であることを特徴とする[1]に記載のセルロースエステルフィルム。
Figure 2010024424
(一般式(1)式中、R1〜R7は、各々独立に、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;カルボキシル基;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または無置換の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
[3] 前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位が下記一般式(2)または一般式(3)で表される構造であることを特徴とする[1]または[2]に記載のセルロースエステルフィルム。
Figure 2010024424
(一般式(2)および一般式(3)中、R11およびR13は各々独立に水素原子またはメチル基を表し、R12およびR14は各々独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、または−C(=O)R15を表す。前記R15は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
[4] 前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位が下記一般式(4)または一般式(5)で表される構造であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
Figure 2010024424
(一般式(4)および一般式(5)中、R21およびR22は各々独立に水素原子または−C(=O)−CH3基を表す。)
[5] 下記式(3)を満たすことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
0 ≦ |ΔRth(10−80)| ≦ 20nm・・・式(3)
(式中、ΔRth(10−80)は、25℃相対湿度10%におけるRthの値と、25℃相対湿度80%におけるRthの値との差を表す。)
[6] 60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるRthの変化量の絶対値ΔRth(60℃90%RH)が、15nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
[7] 60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるセルロースエステルフィルム寸法変化量の絶対値が、0.2%以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
[8] 前記セルロースエステル樹脂の全置換度(DS)が、2.30≦DS<2.98であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
[9] レターデーション発現剤を少なくとも一種含有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムを用いることを特徴とする偏光板。
[11] [1]〜[9]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムまたは[10]に記載の偏光板を用いることを特徴とする液晶表示装置。
本発明のセルロースエステルフィルムは、膜厚方向のレターデーションの湿度安定性に優れ、膜厚方向のレターデーションおよび寸法変化の湿熱耐久性に優れる液晶表示装置に有用なセルロースエステルフィルム、該セルロースエステルフィルムを用いて作製した偏光板およびそれらを有する液晶表示装置を製造することができる。また、このような性質を有する本発明のセルロースエステルフィルム、該セルロースエステルフィルムを用いて作製した偏光板およびそれらを有する液晶表示装置は、高温高湿下や、冷房等により急激に湿度変化の起こる環境下において好適に用いられる液晶表示装置を提供することができる。
以下において、本発明のセルロースエステルフィルム、偏光板等について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、「*」はモノマー単位の繰り返し単位の末端部を表す。
[セルロースエステル]
本発明のセルロースエステルフィルムに用いられるセルロースエステルは、該セルロースエステルを構成するグルコース単位の水酸基をアシル基で置換して得られたものである。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースエステルフィルムに対しては特に限定されるものではない。
(セルロースエステル)
まず、本発明が好ましく用いられるセルロースエステルについて詳細に記載する。セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースエステルは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
(置換度)
本発明のセルロースエステルのアシル基の全置換度DSは好ましくは2.3≦DS≦2.98であり、より好ましくは2.3≦DS≦2.95であり、特に好ましくは2.3≦DS≦2.8であり、最も好ましくは2.4≦DS≦2.7である。また、このような範囲の全置換度であればセルロースエステル樹脂との相溶性も向上し、前記相溶性が良好であると本発明のポリマーXの添加量を増加させてもフィルムの白化が生じにくく、クリアフィルムが得られやすくなる傾向にある。特に、2.3≦DS≦2.98とすることにより、Rthの湿熱耐久性を大きく改善することができ、液晶表示装置に用いた場合の表示性能の安定性をより向上させることができる。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.08以上が好ましく、より好ましくは0.15以上、特に好ましくは0.2〜0.45である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度である(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は全アシル置換度に対する6位のアシル置換度の割合であり、以下「6位のアシル置換率」とも言う。
(アシル基)
本発明のセルロースエステルに用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。本発明のセルロースエステルフィルムは、炭素数2〜4のアシル基を置換基として有することが好ましい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましく、炭素数2〜4のアシル基としては、アセチル基の他、プロピオニル基またはブチリル基が好ましい。2位、3位および6位の水酸基のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位および6位の水酸基のプロピオニル基またはブチリル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は2.3≦DSA+DSB≦2.6であることが好ましく、2.35≦DSA+DSB≦2.55であることがより好ましく、2.4≦DSA+DSB≦2.5であることがさらに好ましい。DSAとDSBの値を上記の範囲にすることで環境湿度によるRe値、Rth値の変化の小さいフィルムが得ることができ好ましい。
さらにDSBはその5%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは10%以上が6位水酸基の置換基であり、20%以上が6位水酸基の置換基であることがさらに好ましく、特には30%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。
本発明のセルロースのアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基であり、最も好ましくはアセチル基である。
セルロ−スのアシル化において、アシル化剤としては、酸無水物や酸クロライドを用いた場合、反応溶媒である有機溶媒としては、有機酸、例えば、酢酸、メチレンクロライド等が使用される。
触媒としては、アシル化剤が酸無水物である場合には、硫酸のようなプロトン性触媒が好ましく用いられ、アシル化剤が酸クロライド(例えば、CH3CH2COCl)である場合には、塩基性化合物が用いられる。
最も一般的なセルロ−スの混合脂肪酸エステルの工業的合成方法は、セルロ−スをアセチル基および他のアシル基に対応する脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、吉草酸等)またはそれらの酸無水物を含む混合有機酸成分でアシル化する方法である。
本発明に用いるセルロ−スエステルは、例えば、特開平10−45804号公報に記載されている方法により合成できる。
[高分子量添加剤]
本発明のフィルムは、後述するポリマーXを含め、高分子量添加剤を含有する。
本発明のフィルムに用いられる高分子量添加剤は、その化合物中に繰り返し単位を有するものであり、数平均分子量が500〜100000のものが好ましい。高分子量添加剤は、溶液流延法において、溶媒の揮発速度を速めたり、残留溶媒量を低減するために用いられる。また、溶融製膜法によるフィルムにおいても、高分子量添加剤は着色や膜強度劣化を防止するために有用な素材である。さらに、本発明のフィルムに該高分子量添加剤を添加することは、機械的性質向上、柔軟性付与、耐吸水性付与、水分透過率低減等のフィルム改質の観点で、有用な効果を示す。
ここで、本発明における高分子量添加剤の数平均分子量は、より好ましくは数平均分子量700以上10000未満であり、さらに好ましくは数平均分子量800〜8000であり、よりさらに好ましくは数平均分子量800〜5000であり、特に好ましくは数平均分子量1000〜5000である。このような範囲とすることにより、より相溶性に優れる。
以下、本発明に用いられる高分子量添加剤について、その具体例を挙げながら詳細に説明するが、本発明で用いられる高分子量添加剤がこれらのものに限定されるわけでないことは言うまでもない。
高分子系添加剤としては、当然前記ポリマーXは含まれ、ポリエステル系ポリマー、スチレン系ポリマーおよびアクリル系ポリマーおよびこれら等の共重合体から選択されることが好ましく、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、アクリル系ポリマーおよびスチレン系ポリマーがより好ましい。また、スチレン系ポリマー、アクリル系ポリマーといった、負の固有複屈折を有するポリマーを少なくとも一種含まれることが好ましい。
ポリエステル系ポリマー
本発明で用いられるポリエステル系ポリマーは、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸と炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸の混合物と、炭素数2〜12の脂肪族ジオール、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールおよび炭素数6〜20の芳香族ジオールから選ばれる少なくとも1種類以上のジオールとの反応によって得られるものであり、かつ反応物の両末端は反応物のままでもよいが、さらにモノカルボン酸類やモノアルコール類またはフェノール類を反応させて、所謂末端の封止を実施してもよい。この末端封止は、特にフリーなカルボン酸類を含有させないために実施されることが、保存性などの点で有効である。本発明のポリエステル系ポリマーに使用されるジカルボン酸は、炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸残基または炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸残基であることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
また炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等がある。
これらの中でも好ましい脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であり、芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸である。特に好ましくは、脂肪族ジカルボン酸成分としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸であり、芳香族ジカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、である。
本発明では、前述の脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸のそれぞれの少なくとも一種類を組み合わせて用いられるが、その組み合せは特に限定されるものではなく、それぞれの成分を数種類組み合わせても問題ない。
高分子量添加剤に利用されるジオールまたは芳香族環含有ジオールは、例えば、炭素数2〜20の脂肪族ジオール、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールおよび炭素数6〜20の芳香族環含有ジオールから選ばれるものである。
炭素原子2〜20の脂肪族ジオールとしては、アルキルジオールおよび脂環式ジオール類を挙げることができ、例えば、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
好ましい脂肪族ジオールとしては、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールであり、特に好ましくはエタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールである。
炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールとしては、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコールおよびポリプロピレンエーテルグリコールならびにこれらの組み合わせが挙げられる。その平均重合度は、特に限定されないが好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、さらには2〜5であり、特に好ましくは2〜4である。これらの例としては、典型的に有用な市販のポリエーテルグリコール類としては、カーボワックス(Carbowax)レジン、プルロニックス(Pluronics) レジンおよびニアックス(Niax)レジンが挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族ジオールとしては、特に限定されないがビスフェノールA、1,2−ヒドロキシベンゼン、1,3−ヒドロキシベンゼン、1,4−ヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノールが挙げられ、好ましくはビスフェノールA、1,4−ヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノールである。
本発明においては、特に末端がアルキル基あるいは芳香族基で封止された高分子量添加剤であることが好ましい。これは、末端を疎水性官能基で保護することにより、高温高湿での経時劣化に対して有効であり、エステル基の加水分解を遅延させる役割を示すことが要因となっている。
本発明のポリエステル添加剤の両末端がカルボン酸やOH基とならないように、モノアルコール残基やモノカルボン酸残基で保護することが好ましい。
この場合、モノアルコールとしては炭素数1〜30の置換、無置換のモノアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどの置換アルコールなどが挙げられる。
好ましく使用され得る末端封止用アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコールであり、特にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、シクロヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、ベンジルアルコールである。
また、モノカルボン酸残基で封止する場合は、モノカルボン酸残基として使用されるモノカルボン酸は、炭素数1〜30の置換、無置換のモノカルボン酸が好ましい。これらは、脂肪族モノカルボン酸でも芳香族環含有カルボン酸でもよい。好ましい脂肪族モノカルボン酸について記述すると、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸が挙げられ、芳香族環含有モノカルボン酸としては、例えば安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−tert−アミル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上を使用することができる。
かかる本発明の高分子量添加剤の合成は、常法により上記ジカルボン酸とジオールおよび/または末端封止用のモノカルボン酸またはモノアルコール、とのポリエステル化反応またはエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。これらのポリエステル系添加剤については、村井孝一編者「添加剤 その理論と応用」(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号各公報などに記載されている素材を利用することもできる。
以下に、本発明で用いることができるポリエステル系ポリマーの具体例を記すが、本発明で用いることができるポリエステル系ポリマーはこれらに限定されるものではない。
Figure 2010024424
Figure 2010024424
表1および表2中、PAはフタル酸を、TPAはテレフタル酸を、IPAはイソフタル酸を、AAはアジピン酸を、SAはコハク酸を、2,6−NPAは2,6−ナフタレンジカルボン酸を、2,8−NPAは2,8−ナフタレンジカルボン酸を、1,5−NPAは1,5−ナフタレンジカルボン酸を、1,4−NPAは1,4−ナフタレンジカルボン酸を、1,8−NPAは1,8−ナフタレンジカルボン酸をそれぞれ示している。
[ポリマーX]
本発明のセルロースエステルフィルムが含有するポリマーXについて、以下説明する。
前記ポリマーXは、重量平均分子量が500〜100000であり、少なくとも一種のオルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有する芳香環を含むモノマー単位を含み、前記式(1)および式(2)を満たす。
(単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマー)
前記単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーのポリマーX中における重合比Aは、30%≦A≦100%であり、40%≦A≦100%であることが好ましい。前記重合比(A)が30%≦A≦100%であれば、十分な負の複屈折をポリマーXが発現し、セルロースエステルフィルムに添加させると湿度安定性、湿熱耐久性が向上することとなる。
前記単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーについてより詳しく説明する。本発明において用いることができる単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーとしては、特に制限はない。また、本発明のポリマーXにおいて、前記単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーは、1種用いても複数用いてもよい。
前記単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーとしては、例えば、アクリル系モノマー、セルロースベンゾエートモノマー、スチレン系モノマー、エチレン系不飽和モノマーなどが挙げられる。この中でも、アクリル系モノマー、スチレン系誘導モノマーおよびビニルピロリドン系モノマーが好ましく、相溶性の観点から、スチレン系誘導モノマーおよびビニルピロリドンがより好ましい。
前記スチレン系モノマー(およびスチレン系誘導モノマー)は、好ましくは、一般式(6)で表される、芳香族ビニル系単量体である。
Figure 2010024424
式中、R101〜R104は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表し、R104は全て同一の原子または基であっても、個々異なる原子または基であっても、互いに結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環、複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。
芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル−4−ビニルベンゾエート、エチル−4−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、p−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類、インデン類などが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、二種以上を共重合成分として用いてもよい。
前記アクリル系モノマーは、好ましくは、一般式(7)で表される、アクリル酸エステル系単量体である。
Figure 2010024424
式中、R105〜R108は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表す。
当該アクリル酸エステル系単量体の例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸(2または4−クロロフェニル)、メタクリル酸(2または4−クロロフェニル)、アクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、メタクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、アクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、メタクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル、アクリル酸(2−ナフチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、2種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものが好ましい。
また、共重合体としては、一般式(6)で表される芳香族ビニル系単量体および一般式(7)で表されるアクリル酸エステル系単量体から得られるものも好ましい。
Figure 2010024424
式中、R101〜R104は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表し、R104は全て同一の原子または基であっても、個々異なる原子または基であっても、互いに結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環、複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。
Figure 2010024424
式中R105〜R108は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表す。また、共重合組成を構成する上記以外の構造として、前記単量体と共重合性に優れたものであることが好ましく、例として、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、3−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、4−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸等の酸無水物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ラジカル重合性単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、トリフルオロメタンスルホニルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミド結合含有ラジカル重合性単量体;酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有ラジカル重合性単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン類をあげることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。この中で特に、スチレン-無水マレイン酸共重合体が特に好ましい。
前記単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーがスチレン系誘導モノマーである場合、単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマー中の芳香環に置換基を有していることが好ましい。前記置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アセトキシ基などのカルボキシ基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボニル基などが挙げられ、ヒドロキシル基、カルボニル基またはアセトキシ基が好ましく、ヒドロキシル基またはアセトキシ基がより好ましい。なお、前記置換基は単独であっても、2以上であってもよい。さらに前記置換基はさらに置換基を有していても有していなくてもよい。
前記芳香環が置換基を有している場合は置換基の位置に特に制限はないが、本発明においては、Rthの湿度安定性を向上させる観点から、前記芳香環のオルト位またはメタ位に置換基を有することが好ましい。
前記スチレン系誘導モノマーはさらに芳香環に対し、2以上の芳香環が縮合したものでもよく、また、置換基が芳香環以外の環を形成するようなインデン類、インダン類であってもよく、架橋環を有する構造であってもよい。
また、前記芳香環は1つであっても複数であってもよいが、1つであることが好ましい。さらに、1つの芳香環のオルト位またはメタ位に1〜4個前記置換基を有していることが好ましく、オルト位またはメタ位に1〜2個有していることがより好ましく、オルト位またはメタ位に1個有していることが特に好ましい。
前記単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーがスチレン系誘導モノマーではない場合、置換基を有していても有していなくてもよいが、特に酸素原子を含む置換基を有する場合は環状構造中にポリマーXの主鎖と略平行となるように固定されていることが、負の複屈折性を高める観点から好ましい。
前記単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーの具体例としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;2−クロロスチレン、2−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−o−ヒドロキシスチレン、2−メチル−3−ヒドロキシスチレン、2,3−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;o−メトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレン、o−tert−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;2−ビニル安息香酸、3−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル−2−ビニルベンゾエート、エチル−2−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;2−ビニルベンジルアセテート;o−アセトキシスチレン、m−アセトキシスチレン、p−アセトキシスチレンなどのアセトキシスチレン類;2−ブチルアミドスチレン、3−メチルアミドスチレン、o−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;2−アミノスチレン、3−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;2−ニトロスチレン、3−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;2−シアノスチレン、3−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類、インデン類およびビニルピロリドンなどが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。この中でもスチレン、ヒドロキシスチレン類、アセトキシスチレン類およびビニルピロリドンが好ましく、スチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−アセトキシスチレン、o−アセトキシスチレンおよびビニルピロリドンがより好ましい。
(オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位)
本明細書中において、「オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基」とは、フェニル基のオルト位とメタ位に結合している4つの水素原子のうちの1〜4個が置換基で置換されており、パラ位に結合している水素原子については置換されていないものを意味する。
前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位としては、特に制限はない。また、本発明のポリマーXにおいて、前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーは、1種用いても複数用いてもよい。
前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位におけるフェニル基の位置は特に制限はなく、モノマー単位の主鎖に直接フェニル基が連結していても、連結基を介してフェニル基が主鎖に連結していてもよい。また、このような連結基としては特に制限はなく、例えば、アルキレン基などを用いることができる。
また、前記フェニル基は、モノマー単位中に複数含まれていても、1個のみであってもよいが、1個であることが好ましい。
前記芳香環が有する置換基の数は、1〜4個であり、好ましくは1〜3個であり、より好ましくは1または2個であり、特に好ましくは、1個である。
このような置換基としては特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アセトキシ基などのカルボキシ基、アミド基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、スルホ基などを挙げることができるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位の具体例としては、o−メチルスチレン、m−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;2−クロロスチレン、2−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、α−メチル−o−ヒドロキシスチレン、2−メチル−3−ヒドロキシスチレン、2,3−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;o−メトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレン、o−tert−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;2−ビニル安息香酸、3−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル−2−ビニルベンゾエート、エチル−2−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;2−ビニルベンジルアセテート;2−アセトキシスチレン、3−アセトキシスチレンなどのアセトキシスチレン類;2−ブチルアミドスチレン、3−メチルアミドスチレン、o−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;2−アミノスチレン、3−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;2−ニトロスチレン、3−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;2−シアノスチレン、3−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類などが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、二種以上を共重合成分として用いてもよい。
前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有する芳香環を含むモノマー単位としては、下記一般式(1)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2010024424
(一般式(1)式中、R1〜R7は、各々独立に、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;カルボキシル基;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または無置換の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
一般式(1)中、前記R1〜R3は各々独立に、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;カルボキシル基;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または無置換の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。前記R1〜R3は、好ましくは、水素原子、もしくは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または無置換の炭素数1〜30の炭化水素基である。前記R1〜R3は、より好ましくは、水素原子、もしくは、炭素数1〜8の置換または無置換の炭化水素基である。
前記R4〜R7は各々独立に、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;カルボキシル基;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または無置換の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。前記R4〜R7は、好ましくは、水素原子;ヒドロキシル基;カルボキシル基;酸素原子を含む連結基を有する置換または無置換の炭素数1〜8の炭化水素基である。前記R4〜R7は、より好ましくは、水素原子;ヒドロキシル基;カルボキシル基;連結基が−OC(=O)−または−C(=O)である炭素数1〜8の置換または無置換の炭化水素基である。
前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有する芳香環を含むモノマー単位としては、下記一般式(2)または(3)で表される構造であることがより好ましい。
Figure 2010024424
(一般式(2)および一般式(3)中、R11およびR13は各々独立に水素原子またはメチル基を表し、R12およびR14は各々独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、または−C(=O)R15を表す。前記R15は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
一般式(2)および一般式(3)中、前記R11およびR13は各々独立に水素原子またはメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
前記R12およびR14は各々独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、または−C(=O)R15を表し、水素原子または−C(=O)R15であることがより好ましい。
前記R15は炭素数1〜8のアルキル基を表し、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることがより好ましい。
前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有する芳香環を含むモノマー単位としては、下記一般式(4)または(5)で表される構造であることがより好ましい。
Figure 2010024424
(一般式(4)および一般式(5)中、R21およびR22は各々独立に水素原子または−C(=O)−CH3基を表す。)
ポリマーX中に前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位を少なくとも一種含むことで、膜厚方向のレターデーション(Rth)の湿度安定性が大きく向上する。一方、前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位のかわりに、パラ位のみに置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位を用いた場合はRthの湿度安定性はほとんど改良されない。
前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーは、前記単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーであることが特に好ましい。
前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーのポリマーX中の重合比(B)は、10%≦B≦100%を満たす範囲であり、20%≦B≦100%であることが好ましく、30%≦B≦100%であることがより好ましい。
前期重合比Bが10%≦B≦100%であれば、Rthの湿度安定性が顕著に改良され、また、セルロースアセテートとの相溶性も良好となる。
(ポリマーXの組成)
本明細書中において、前記単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーの重合比(A)と、前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーの重合比(B)は、重複して計算することができる。例えば、ポリマーXは、単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示し、かつ、オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーの単重合体であってもよい。この場合、前記重合比Aは100%となり、前記重合比Bも100%となる。すなわち、前記重合比Aおよび前記重合比Bは、ポリマーX全体における特定の効果を有するモノマー成分の割合を、2種の異なる観点から規定したものである。
前記重合比Aと前記重合比Bの組み合わせとしては、前記ポリマーXが下記式(1)および下記式(2)を満たすことがより好ましい。
30%≦A≦100%・・・式(1)
10%≦B≦100%・・・式(2)
さらに、前記ポリマーXは下記式(4)および(5)を満たすことが特に好ましく、下記式(6)および(7)を満たすことが最も好ましい。
30%≦A≦100%・・・式(4)
20%≦B≦100%・・・式(5)
50%≦A≦100%・・・式(6)
20%≦B≦100%・・・式(7)
本発明のポリマーX中において、前記重合比Aが30%≦A≦100%を満たし、かつ、前記重合比Bが10%≦B≦100%を満たす限り、ポリマーXは単重合体であっても、前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーとの共重合体であってもよい。さらに、本発明のポリマーXは、本発明の趣旨に反しない限り、ポリマーXは単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーおよびオルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー以外のその他のモノマーを含む共重合体であってもよい。また、ポリマーXが共重合体である場合はブロック共重合体であっても、ランダム重合体であってもよい。
前記その他のモノマーとしては特に制限はないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のアルキルエステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート等)、メタクリル酸のアルキルエステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等)、アクリル酸のアミノアルキルエステル(ジエチルアミノエチルアクリレート等)、メタクリル酸のアミノアルキルエステル、アクリル酸とグリコールとのモノエステル、メタクリル酸とグリコールとのモノエステル(ヒドロキシエチルメタクリレート等)、アクリル酸のアルカリ金属塩、メタクリル酸のアルカリ金属塩、アクリル酸のアンモニウム塩、メタクリル酸のアンモニウム塩、アクリル酸のアミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、メタクリル酸のアミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、ジエチルアミノエチルアクリレートとメチルサルフェートとの第4級アンモニウム化合物、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルスルホン酸のアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸のアンモニウム塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩、酢酸ビニル、ビニルステアレート、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、グリコールジアクリレート、グリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリコールジアリルエーテル等などをあげることができる。ただし、本発明においては、フェニル基のオルト位またはメタ位に置換基を有するモノマーをその他のモノマーとして用いることが好ましい。
ポリマーXの組成としては、本発明のセルロースエステルフィルムのRthの湿度安定性、Rthの湿熱耐久性および寸法の湿熱耐久性を高める観点からは、オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーのみからなる態様か、単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーおよびオルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーのみからなる態様が好ましい。
一方、セルロースエステル樹脂との相溶性を高める観点からは、ポリマーXは前記その他のモノマーを含む共重合体であってもよい。セルロースエステル樹脂の置換度が高い場合はセルロースエステル樹脂は疎水性が高まるため、疎水性が高まるようにその他のモノマーと共重合させて制御し、相溶性を向上させることが好ましい。逆に、セルロースエステル樹脂の置換度が低い場合はセルロースエステル樹脂は疎水性が低下するため、疎水性が低下するようにその他のモノマーと共重合させて制御し、相溶性を向上させることが好ましい。
ポリマーXがオルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーの単重合体である場合は、該オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーはヒドロキシル基またはカルボキシル基を有することが、Rthの湿度安定性を高める観点から好ましい。ポリマーXがオルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーの単重合体である場合は、o−ヒドロキシスチレン、m−アセトキシスチレン、o−アセトキシスチレンおよびビニルピロリドンの単重合体であることが好ましい。
前記ポリマーXが共重合体である場合は、好ましいモノマー組み合わせとしては、一方のモノマーがスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−アセトキシスチレン、m−アセトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、およびビニルピロリドンからなる群の少なくとも一種であり、もう一方のモノマーがo−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−アセトキシスチレン、m−アセトキシスチレンからなる群の少なくとも一種の場合ある。より好ましい組み合わせとしては、一方のモノマーがスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−アセトキシスチレン、m−アセトキシスチレンおよびビニルピロリドンからなる群の少なくとも一種であり、もう一方のモノマーがo−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−アセトキシスチレン、m−アセトキシスチレンからなる群の少なくとも一種の場合である。
(重量平均分子量)
前記ポリマーXの重量平均分子量は500〜100,000である。前記ポリマーXの重量平均分子量は700〜50,000であることが好ましく、1,000〜25,000であることがより好ましい。
分子量が500以上であれば揮散性が良好であり、分子量が100,000以下であればセルロースエステル樹脂との相溶性が良好であり、いずれも好ましい。
(添加量)
前記ポリマーXの添加量は、セルロースエステル樹脂100質量部に対して、0.5〜30質量部とすることが好ましく、1〜20質量部とすることがより好ましく、2〜15質量部とすることがさらに好ましい。ポリマーXの添加量が30質量部以下であればレターデーションの発現性を保つことができるという利点があり、添加量が1質量部以上であれば湿熱耐久性改良効果が大きいという利点がある。
[低分子量添加剤]
低分子量添加剤としては、レターデーション発現剤、レターデーション発現剤、劣化防止剤、紫外線防止剤、剥離促進剤、他の可塑剤、赤外線吸収剤等を挙げることができる。これらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に劣化防止剤の混合などである。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はセルロースアシレート溶液(ドープ)作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。さらにまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。
(レターデーション発現剤)
本発明ではレターデーション値を発現するため、レターデーション発現剤を用いるのが好ましい。本発明において用いることができるレターデーション発現剤としては、棒状または円盤状化合物からなるものを挙げることができる。上記棒状または円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として好ましく用いることができる。
棒状化合物からなるレターデーション発現剤の添加量は、セルロースエステルを含むポリマー成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがさらに好ましい。
円盤状のレターデーション発現剤は、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して、0.05〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、1.0〜15質量部の範囲で使用することがより好ましく、3.0〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
円盤状化合物はRthレターデーション発現性において棒状化合物よりも優れているため、特に大きなRthレターデーションを必要とする場合には好ましく使用される。2種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
レターデーション発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
円盤状化合物について説明する。円盤状化合物としては少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、ビフェニール類が好ましい。特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。
レターデーション発現剤が有する芳香族環の炭素数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、4−カルボキシブチル基、2−メトキシエチル基および2−ジエチルアミノエチル基の各基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基および1−ヘキセニル基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基および1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロパノイル基およびブタノイル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例えば、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基およびメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基およびエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ基、エチルチオ基およびオクチルチオ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基およびエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基およびn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基および2−カルボキシエチルアミノ基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル基およびジエチルスルファモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基およびモルホリノ基が含まれる。
レターデーション発現剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
円盤状化合物として下記一般式(I)で表されるトリアジン化合物を用いることが好ましい。
Figure 2010024424
上記一般式(I)中:
51は、各々独立に、オルト位、メタ位およびパラ位の少なくともいずれかに置換基を有する芳香族環または複素環を表す。
11は、各々独立に、単結合または−NR52−を表す。ここで、R52は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
51が表す芳香族環は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。R51が表す芳香族環はいずれかの置換位置に少なくとも一つの置換基を有してもよい。前記置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が含まれる。
51が表す複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
11が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O、S)を有していてもよい。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。
Figure 2010024424
52が表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)およびアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が含まれる。
52が表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基を表すのが好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基を表すのがより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらにまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
52が表す芳香族環基および複素環基は、R12が表す芳香族環および複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはR51の芳香族環および複素環の置換基と同様である。
円盤状化合物としては下記一般式(II)で表されるトリフェニレン化合物を好ましく用いることもできる。
Figure 2010024424
上記一般式(II)中、R53、R54、R55、R56、R57およびR58は各々独立して、水素原子または置換基を表す。
53、R54、R55、R56、R57およびR58が各々表す置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは、炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは炭素数6〜30、特に好ましくは炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜40、より好ましくは炭素数7〜30、特に好ましくは炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜40、より好ましくは炭素数7〜30、特に好ましくは炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは、炭素数6〜40、より好ましくは炭素数6〜30、特に好ましくは炭素数1〜20、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、1,3,5−トリアジル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
53、R54、R55、R56、R57およびR58が各々表す置換基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはハロゲン原子である。
以下に一般式(II)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
一般式(I)で表される化合物は、例えば特開2003−344655号公報に記載の方法、一般式(II)で表される化合物は、例えば特開2005−134884号公報に記載の方法等、公知の方法により合成することができる。
本発明では前述の円盤状化合物の他に直線的な分子構造を有する棒状化合物も好ましく用いることができる。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例えば、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造で主鎖の構成する角度が140度以上であることを意味する。
少なくとも二つの芳香族環を有する棒状化合物としては、下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
一般式(III):Ar1−L11−Ar2
上記一般式(III)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基の各基)、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基の各基)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(例えば、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基の各基)、ウレイド基、アルキルウレイド基(例えば、N−メチルウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N,N,N'−トリメチルウレイド基の各基)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、s−ブチル基、tert−アミル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基の各基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基の各基)、アルキニル基(例えば、エチニル基、ブチニル基)、アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ヘキサノイル基、ラウリル基の各基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ラウリルオキシ基の各基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基の各基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基の各基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、ブトキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基の各基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基の各基)、アミド基(例えば、アセトアミド基、ブチルアミド基、ヘキシルアミド基、ラウリルアミド基の各基)および非芳香族性複素環基(例えば、モルホリル基、ピラジニル基)が含まれる。
なかでも、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびアルキル基が挙げられる。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、ウレイド基、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
一般式(III)において、L11は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる基から選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜8であり、最も好ましくは1〜6である。
アルケニレン基およびアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜4であり、最も好ましくは2(ビニレン基またはエチニレン基)である。
アリーレン基は、炭素原子数は6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜16であり、さらに好ましくは6〜12である。
一般式(III)の分子構造において、L11を挟んで、Ar1とAr2とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。
棒状化合物としては、下記式一般式(IV)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(IV):Ar1−L12−X−L13−Ar2
上記一般式(IV)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、一般式(III)のAr1およびAr2と同様である。
一般式(IV)において、L12およびL13は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる基より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6であり、さらに好ましくは1〜4であり、1または2(メチレン基またはエチレン基)であることが最も好ましい。
12およびL13は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
一般式(IV)において、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基またはエチニレン基である。
一般式(III)または(IV)で表される化合物の具体例としては、特開2004−109657号公報の〔化1〕〜〔化11〕に記載の化合物が挙げられる。
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより長波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc.,113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
また、特開2004−50516号公報の11〜14頁に記載の棒状芳香族化合物を、前記Re発現剤として用いてもよい。
また、Re発現剤として、一種の化合物を単独で、又は二種類以上の化合物を混合して用いることができる。Re発現剤として互いに異なる二種類以上の化合物を用いると、レターデーションの調整範囲が広がり、容易に所望の範囲に調整できるので好ましい。
前記Re発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法で作製する場合は、前記Re発現剤を、ドープ中に添加してもよい。添加はいずれのタイミングで行ってもよく、例えば、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRe発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
特に、前記円盤状化合物の割合が、円盤状化合物と棒状化合物の総質量に対して10%〜90%であることが好ましく、20%〜80%であることがさらに好ましい。
その他、前記各公報に記載されている以外の棒状化合物の好ましい化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
前記具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
Figure 2010024424
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)および(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
(レターデーション低減剤)
本発明の光学フィルムは、レターデーション低減剤を含んでいても良い。
レターデーション低減剤としては、特に限定されないが、以下に述べる一般式(8)〜(12−4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010024424
(式中、R61はアルキル基またはアリール基を表し、R62およびR63は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R61、R62およびR63の炭素原子数の総和は10以上である。)
Figure 2010024424
(式中、R64およびR65は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。R64およびR65の炭素原子数の総和は10以上である。)
一般式(8)において、R61はアルキル基またはアリール基を表し、R62およびR63は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、R61、R62およびR63の炭素数の総和が10以上であることが特に好ましい。また、一般式(5)中、R64よびR65は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。また、R4およびR5の炭素数の総和は10以上であり、各々、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ビシクロオクチル基、ノニル基、アダマンチル基、デシル基、tert−オクチル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、ジデシル基)が特に好ましい。アリール基としては炭素数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、ビナフチル基、トリフェニルフェニル基)が特に好ましい。一般式(8)または一般式(9)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
一般式(8)または一般式(9)で表される化合物は、以下の方法にて作成することができる。
一般式(8)の化合物は、スルホニルクロリド誘導体とアミン誘導体との縮合反応により得ることができる。また、一般式(9)の化合物は、スルフィドの酸化反応もしくは芳香族化合物とスルホン酸クロリドのFriedel−Crafts反応により得ることができる。
次に、一般式(10)で表される化合物に関して詳細に説明する。
Figure 2010024424
上記一般式(10)において、R71はアリール基を表す。R72およびR73は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表し、少なくとも一方はアリール基である。R72がアリール基であるとき、R73はアルキル基でもアリール基でもよいが、アルキル基であることがより好ましい。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。アリール基は炭素数が6〜36のものが好ましく、6〜24のものがより好ましい。
次に、一般式(11)で表される化合物に関して詳細に説明する。
Figure 2010024424
上記一般式(11)において、R81、R82およびR83は、それぞれ独立にアルキル基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。R81は環状のアルキル基であることが好ましく、R82およびR83の少なくとも一方が環状のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基は炭素数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。
上記一般式(10)および(11)におけるアルキル基およびアリール基は、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
次に、一般式(10)および(11)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
次に、前記一般式(12)で表される化合物について説明する。
Figure 2010024424
上記一般式(12)において、R31、R32、R33およびR34は、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基および芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。
31、X32、X33およびX34は、それぞれ、単結合、−CO−およびNR35−(R35は置換もしくは無置換の脂肪族基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表し、無置換のものおよび/または脂肪族基がより好ましい)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。X31、X32、X33およびX34の組み合わせは、特に限定されないが、−CO−、−NR35−から選ばれるのがより好ましい。a、b、cおよびdは0以上の整数であり、0または1であることが好ましく、a+b+c+dは2以上であり、2〜8であることが好ましく、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4である。Z31は(a+b+c+d)価の有機基(環状のものを除く)を表す。Z31の価数は2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、2または3が最も好ましい。有機基とは、有機化合物からなる基をいう。
また、上記一般式(12)としては、好ましくは下記一般式(12−1)で表される化合物である。
一般式(12−1)
311−X311−Z311−X312−R312
上記一般式(12−1)において、R311およびR312は、それぞれ、置換もしくは無置換の脂肪族基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基および芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。X311およびX312は、それぞれ独立に、−CONR313−またはNR314CO−を表し、R313およびR314は、置換もしくは無置換の脂肪族基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表し、無置換のものおよび/または脂肪族基がより好ましい。Z311は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR315−(R315は置換もしくは無置換の脂肪族基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表し、無置換のものおよび/または脂肪族基がより好ましい)、アルキレン基およびアリーレン基から選ばれる、1種以上の基から形成される2価の有機基(環状のものを除く)を表す。Z311の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR315−、およびアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
上記一般式(12−1)としては、好ましくは下記一般式(12−2)〜(12−4)で表される化合物である。
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
上記一般式(12−2)〜(12−4)において、R321、R322、R323およびR324は、それぞれ置換もしくは無置換の脂肪族基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基および芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。Z321は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR325−(R325は置換もしくは無置換の脂肪族基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表し、無置換のものおよび/または脂肪族基がより好ましい)、アルキレン基、アリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。Z321の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR325−、およびアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−およびアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
以下に、上記の置換もしくは無置換の脂肪族基について説明する。脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、tert−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
以下に、上記の芳香族基について説明する。
芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
また、以下に前記の置換基Tに関して詳細に説明する。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基など)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基など)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基など)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基など)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基など)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基など)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基など)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基など)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基など)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基など)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基など)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基など)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基など)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基など)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなど)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には、例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基など)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基など)などが挙げられる。これらの置換基はさらに置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(12)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
一般式(10)および一般式(11)、一般式(12)の化合物は、縮合剤(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など)を用いた、カルボン酸類とアミン類との脱水縮合反応、またはカルボン酸クロリド誘導体とアミン誘導体との置換反応などにより得ることができる。
レターデーション低減剤は、セルロース系樹脂に対し、0.01〜30質量%の割合で添加することが好ましく、0.1〜20質量%の割合で添加することがより好ましく、0.1〜10質量%の割合で添加することが特に好ましい。
上記添加量を30質量%以下とすることにより、セルロース系樹脂との相溶性を向上させることができ、白化を抑制させることができる。2種類以上のレターデーション低減剤を用いる場合、その合計量が、上記範囲内であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のセルロースエステルフィルムには、前記高分子量添加剤、前記ポリマーX、レターデーション発現剤およびレターデーション低減剤のほかに、その他の添加剤を有していても良い。その他の添加剤としては、劣化防止剤、紫外線吸収剤、剥離促進剤、可塑剤などをあげることができる。
(酸化防止剤)
本発明においてはセルロースエステル溶液に公知の酸化防止剤、例えば、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4、4'−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1、1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2、2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2、5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3、5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤をすることが好ましい。酸化防止剤の添加量は、セルロース系樹脂100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加する。
(紫外線吸収剤)
本発明においてはセルロースエステル溶液に、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N'−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N'−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2'−ヒドロキシ−3'、5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2'−ヒドロキシ−3'、5'−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、セルロースエステルフィルム全体中に質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
(剥離促進剤)
本発明のフィルムには、剥離促進剤を含んでいてもよい。剥離促進剤は、例えば、0.001〜1質量%の割合で含めることができる。剥離促進剤としては、公知のものが採用でき、例えば、クエン酸のエチルエステル類が例として挙げられる。
(可塑剤)
本発明のフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。TPPおよびBDPを1:1で混合したものが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロース系樹脂の質量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、可塑剤としてはこれらの低分子量添加剤である可塑剤のほか、前記高分子量添加剤として例示したポリエステル系ポリマー等も可塑剤として用いることも好ましい。
[セルロースエステルフィルム]
本発明のセルロースエステルフィルムは、アシル置換度2.3以上のセルロースエステル樹脂と、少なくとも1種の前記ポリマーXを含むことを特徴とする。
また、本発明のセルロースエステルフィルムは、単層であっても複数の層からなるものであってもよい。例えば、本発明のセルロースエステルフィルムが共流延によって製造される場合は、コア層およびスキン層の2層以上からなるものであってもよい。このとき、前記ポリマーXは、コア層、スキン層のどちらに有していても良いが、コア層に有していることが好ましい。
(平均含水率)
本発明のセルロースエステルフィルムは、25℃、相対湿度60%における平衡含水率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。平均含水率を10%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。
(レターデーション)
本明細書におけるRe(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび膜厚方向のレターデーションを表す。本願明細書においては、特に記載がないときは、波長λは、590nmとする。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(11)及び式(12)よりRthを算出することもできる。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースエステル(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
Figure 2010024424
ここで、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。dはフィルム厚を表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d ・・・式(12)
なおこの際、パラメータとして平均屈折率nが必要になるが、これはアッベ屈折計((株)アタゴ社製の「アッベ屈折計2−T」)により測定した値を用いた。
前記セルロースエステルフィルムのレターデーション値は、その用途に応じて好ましい範囲は異なる。本発明のセルロースエステルフィルムのRthは、40nm≦Rth<300nmであることが好ましく、50nm<Rth<280nmであることがより好ましく、80nm<Rth<250nmであることが特に好ましい。
また、前記Reは、0nm<Re<100nmであることが好ましく、20nm<Re<80nmであることがより好ましく、30nm<Re<70nmであることが特に好ましい。
(Rthの湿度安定性)
本発明のセルロースエステルフィルムは、湿度変化時の光学特性変化が小さい。このように光学特性の湿度依存性を低くすることで、高湿下においても常温と同じ程度の高いレテーデーションを発揮することができ、高湿下での使用にも好適なセルロースエステルフィルムを得ることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムは、下記式(3)を満たすことが好ましい。
0 ≦ |ΔRth(10−80)| ≦ 20nm・・・式(3)
(式中、ΔRth(10−80)は、25℃相対湿度10%におけるRthの値と、25℃相対湿度80%におけるRthの値との差を表す。)
さらに、本発明のセルロースエステルフィルムは、下記式(8)を満たすことがより好ましい。
0 ≦ |ΔRth(10−80)| ≦ 15nm・・・式(8)
(式中、ΔRth(10−80)は、25℃相対湿度10%におけるRthの値と、25℃相対湿度80%におけるRthの値との差を表す。)
(Rthの湿熱耐久性)
本発明のセルロースエステルフィルムは、高温高湿下で長期間保存した際の光学特性変化が小さい。このように光学特性の湿熱耐久性を向上させることで、高温高湿下においても長期間高いレテーデーションを発揮することができ、高温高湿下での使用にも好適なセルロースエステルフィルムを得ることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムの60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるRthの変化量の絶対値ΔRth(60℃90%RH)が、20nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
(寸法変化の湿熱耐久性)
本発明のセルロースエステルフィルムは、高温高湿下で長期間保存した際の寸法変化が小さい。このように寸法変化の湿熱耐久性を向上させることで、高温高湿下での使用にも好適なセルロースエステルフィルムを得ることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムの60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるセルロースエステルフィルム寸法変化量の絶対値が、0.4%以下であることが好ましく、0.2%以下であることが好ましい。
(膜厚)
本発明のセルロースエステルフィルムの膜厚は20〜80μmであることが好ましく、30〜70μmであることがより好ましく,さらに好ましくは35〜55μmが好ましい。20μm以上とすることにより、ウェブ状のフィルムを作製する際のハンドリング性が向上し好ましい。また、80μm以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性を維持しやすい。
[セルロースエステルフィルムの製造方法]
本発明のフィルムは、公知のセルロースエステルフィルムを作製する方法等を広く採用でき、ソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースエステルを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造することができる。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
一般的な方法でセルロースエステル溶液を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特に、メチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースエステルの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースエステルの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、ポリマーXや前述の任意の添加剤を添加しておくことができる。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースエステルと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースエステルと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースエステルを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースエステルを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースエステルを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースエステルの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースエステルの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースエステルと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースエステルが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースエステル(全アセチル置換度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースエステルの全アセチル置換度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースエステル溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレテートフィルムを製造することができる。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
(共流延)
本発明では得られたセルロースエステル溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のセルロースエステル液を流延してもよい。複数のセルロースエステル溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースエステルを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースエステル溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースエステル溶液の流れを低粘度のセルロースエステル溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースエステル溶液を同時に押出すセルロースエステルフィルム流延方法でもよい。更に又、特開昭61−94724号、特開昭61−94725号の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。
あるいは、また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するセルロースエステル溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースエステル溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースエステル層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースエステル溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらの本発明のセルロースエステル溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースエステル溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースエステル溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のセルロースエステル溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に金属支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースエステル溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができた。
共流延の場合、内側と外側の厚さは特に限定されないが、好ましくは外側が全膜厚の1〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜30%の厚さである。ここで、3層以上の共流延の場合は金属支持体に接した層と空気側に接した層のトータル膜厚を外側の厚さと定義する。
共流延の場合、前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるセルロースエステル溶液を共流延して、積層構造のセルロースエステルフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成のセルロースエステルフィルムを作ることが出来る。例えば、マット剤は、スキン層に多く、又はスキン層のみに入れることが出来る。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多くいれることができ、コア層のみにいれてもよい。又、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えばスキン層に低揮発性の可塑剤及び/又は紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。また、剥離剤を金属支持体側のスキン層のみ含有させることも好ましい態様である。また、冷却ドラム法で金属支持体を冷却して溶液をゲル化させるために、スキン層に貧溶媒であるアルコールをコア層より多く添加することも好ましい。スキン層とコア層のTgが異なっていても良く、スキン層のTgよりコア層のTgが低いことが好ましい。又、流延時のセルロースエステルを含む溶液の粘度もスキン層とコア層で異なっていても良く、スキン層の粘度がコア層の粘度よりも小さいことが好ましいが、コア層の粘度がスキン層の粘度より小さくてもよい。
ドラムやベルト上で乾燥され、剥離されたウェブの乾燥方法について述ベる。ドラムやベルトが1周する直前の剥離位置で剥離されたウェブは、千鳥状に配置されたロ−ル群に交互に通して搬送する方法や剥離されたウェブの両端をクリップ等で把持させて非接触的に搬送する方法などにより搬送される。乾燥は、搬送中のウェブ(フィルム)両面に所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエーブなどの加熱手段などを用いる方法によって行われる。急速な乾燥は、形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好ましい。支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは長手方向あるいは幅方向に収縮しようとする。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンター方式)が好ましい。上記乾燥工程における乾燥温度は、100〜145℃であることが好ましい。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量および乾燥時間が異なるが、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。本発明のフィルムの製造では、支持体から剥離したウェブ(フィルム)を、ウェブ中の残留溶媒量が120質量%未満の時に延伸することが好ましい。
なお、残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。ウェブ中の残留溶媒量が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。ウェブ中の残留溶媒量のさらに好ましい範囲は10質量%〜50質量%、特に12質量%〜35質量%が最も好ましい。また、延伸倍率が小さすぎると十分な位相差が得られず、大きすぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
本発明では、溶液流延製膜したものは、特定の範囲の残留溶媒量であれば高温に加熱しなくても延伸可能であるが、乾燥と延伸を兼ねると、工程が短くてすむので好ましい。しかし、ウェブの温度が高すぎると、可塑剤が揮散するので、室温(15℃)〜145℃以下の範囲が好ましい。また、互いに直交する2軸方向に延伸することは、フィルムの屈折率Nx、Ny、Nzを本発明の範囲に入れるために有効な方法である。例えば流延方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大きすぎると、Nzの値が大きくなりすぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制あるいは、幅方向にも延伸することで改善できる。幅方向に延伸する場合、幅手で屈折率に分布が生じる場合がある。これは、例えばテンター法を用いた場合にみられることがあるが、幅方向に延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、いわゆるボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、流延方向に延伸することで、ボーイング現象を抑制でき、幅手の位相差の分布を少なく改善できるのである。さらに、互いに直交する2軸方向に延伸することにより得られるフィルムの膜厚変動が減少できる。セルロースエステルフィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなる。セルロースエステルフィルムの膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。以上の様な目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ1〜2倍、0.7〜1.2倍の範囲とすることが好ましい。ここで、一方の方向に対して1.2〜2.0倍に延伸し、直交するもう一方を0.7〜1.0倍にするとは、フィルムを支持しているクリップやピンの間隔を延伸前の間隔に対して0.7〜1.0倍の範囲にすることを意味している。
一般に、2軸延伸テンターを用いて幅手方向に1.2〜2.0倍の間隔となるように延伸する場合、その直角方向である長手方向には縮まる力が働く。
したがって、一方向のみに力を与えて続けて延伸すると直角方向の幅は縮まってしまうが、これを幅規制せずに縮まる量に対して、縮まり量を抑制していることを意味しており、その幅規制するクリップやピンの間隔を延伸前に対して0.7〜1.0倍の範囲に規制していることを意味している。このとき、長手方向には、幅手方向への延伸によってフィルムが縮まろうとする力が働いている。長手方向のクリップあるいはピンの間隔をとることによって、長手方向に必要以上の張力がかからないようにしているのである。ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。また、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
[偏光板]
本発明の偏光板は、上記の本発明のセルロースエステルフィルムを用いた偏光板である。典型的な偏光板では、本発明のセルロースエステルフィルムを偏光子の保護フィルムとして用いる。すなわち、偏光板は、偏光子およびその少なくとも片側、通常は両側に配置された2枚の透明保護フィルムからなるが、本発明では、少なくとも一方の保護フィルムとして、本発明のセルロースエステルフィルムを用いる。他方の保護フィルムは、本発明のセルロースエステルフィルムを用いても、通常のセルロースアセテートフィルム等を用いてもよい。
偏光板は前述のように、偏光子の少なくとも一方の面に偏光板用保護フィルムを貼り合わせ積層することによって形成される。偏光子は従来から公知のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコールフィルムのような親水性ポリマーフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して延伸したものである。セルロースエステルフィルムと偏光子との貼り合わせは、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行うことができる。この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコール水溶液が好ましく用いられる。
また、偏光板の保護フィルムの上に、さらに、位相差膜を有していても良い。位相差膜は、好ましくは、粘着剤によって貼り合わせる。粘着剤としては、例えば、特開2000−109771号公報、特開2003−34781号公報、特開2003−34781号公報に記載のものを採用できる。
本発明の偏光板の構成としては、保護フィルム/偏光子/保護フィルム/液晶セル/本発明のセルロースエステルフィルム/偏光子/偏光板保護フィルムの構成、もしくは偏光板保護フィルム/偏光子/本発明のセルロースエステルフィルム/液晶セル/本発明のセルロースエステルフィルム/偏光子/偏光板保護フィルムの構成で好ましく用いることができる。特に、TN型、VA型、OCB型などの液晶セルに貼り合わせて用いることによって、さらに視野角に優れ、着色が少ない視認性に優れた表示装置を提供することができる。特に本発明のセルロースエステルフィルムを用いた偏光板は湿度変化条件下での湿度安定性と、高温高湿条件下での長期間の湿熱耐久性とに優れ、高温高湿条件下において長期間安定した性能を維持することができる。また、ヘイズ値も低く、優れている。
[液晶表示装置]
本発明のセルロースエステルフィルム、該フィルムを用いた偏光板は、様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(シャープ技報第80号11頁)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(月刊ディスプレイ5月号14頁(1999年))が含まれる。
VAモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。本発明における透過型液晶表示装置の一つの態様では、本発明のフィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
本発明の透過型液晶表示装置の別の態様では、液晶セルと偏光子との間に配置される偏光板の透明保護フィルムとして、本発明のフィルムからなる光学補償シートが用いられる。一方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)保護フィルムのみに上記の光学補償シートを用いてもよいし、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)二枚の保護フィルムに、上記の光学補償シートを用いてもよい。一方の偏光板のみに上記光学補償シートを使用する場合は、液晶セルのバックライト側偏光板の液晶セル側保護フィルムとして使用するのが特に好ましい。液晶セルへの張り合わせは、本発明のフィルムはVAセル側にすることが好ましい。保護フィルムは通常のセルロースエステルフィルムでも良く、本発明のフィルムより薄いことが好ましい。例えば、40〜80μmが好ましく、市販のKC4UX2M(コニカオプト株式会社製40μm)、KC5UX(コニカオプト株式会社製60μm)、TD80(富士フイルム製80μm)等が挙げられるが、これらに限定されない。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
以下に示すセルロースエステルドープaを用い、溶液製膜法によりフィルムを作製した。
(セルロースエステルドープa)
セルロースアセテート樹脂:下記表4に記載の置換度のもの 100質量部
添加剤A 表4に記載の量(単位:質量部)
レターデーション発現剤AA 4質量部
剥離促進剤 0.03質量部
ジクロロメタン 406質量部
メタノール 61質量部
Figure 2010024424
Figure 2010024424
前記添加剤Aの組成を、添加剤B〜Zの組成とあわせて下記表3に示す。これら添加剤が共重合体である場合はモノマー成分をそれぞれ共重合成分1と共重合成分2とよぶこととし、それらの共重合比を下記表4〜7に記載した。また、前記重合比Aおよび前記重合比Bを下記表4〜7に記載した。
Figure 2010024424
なお、上記表3中、添加剤Jは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸を用いて合成した三元系共重合体である。また、2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートの共重合比も特に制限はなく、便宜的に表1の同じ欄に共重合成分1として記載としてあるに過ぎない。
[溶液流延]
上記のセルロースエステルドープaをミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、セルロースエステルドープを調製した。ドープをバンド流延機にて流延した。残留溶剤量が約30質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムをテンターにより140℃の熱風を当てて乾燥した。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に120℃から150℃で乾燥し巻き取った。
[延伸]
テンターを用いて延伸率34%まで拡幅した後、延伸率が30%となるように140℃で60秒間緩和させ、セルロースエステルフィルムを得た。このときフィルムの膜厚は60μmであった。
[実施例2〜78、比較例1〜16]
セルロースエステル樹脂の置換度、可塑剤の種類と量、添加剤の種類と量、レターデーション発現剤の種類と量をそれぞれ下記表4〜表7に記載の通りにした以外は実施例1と同様にしてセルロースエステルドープを作成した。なお、下記表4〜表7中において可塑剤VはTPP、可塑剤WはBDP、可塑剤P−1、P−6、P−20、P−32、P−38、P−47、P−52〜P−55、P−60およびP−64は前記高分子添加剤として上記表1および上記表2に例示したポリマーを表し、各可塑剤の添加量は、単位:質量部で表したものである。また、下記表4〜表7中、セルロースエステル樹脂は実施例2〜75および比較例1〜16ではセルロースアセテート樹脂であり、実施例76〜78ではセルロースアセテートプロピオネート樹脂である。
その後、実施例1と同様の手順で溶液流延および延伸を行い、実施例2〜78および比較例1〜16のセルロースエステルフィルムを得た。
ここで、比較例1と実施例1は、置換度2.81のセルロースアセテート樹脂を用いた際に添加剤の効果を比較したものである。実施例1〜5は、添加剤Bにおける共重合成分1と共重合成分2の共重合比を変化させたものである。実施例5〜7は、ヒドロキシスチレン−アセトキシスチレン共重合体において、アセトキシスチレンの置換基の位置をオルト、メタ、パラに変化させたものである。実施例8〜10は、可塑剤の量を変化させたものである。実施例11〜14は、添加剤Bの添加量を変化させたものである。実施例15〜18は、実施例1、2、4および5からレターデーション発現剤と添加剤の種類を変え、B成分の割合を変化させたものである。実施例19〜22は、可塑剤と添加剤の量を同時に変化させたものである。実施例22、23と比較例2は、スチレン−アセトキシスチレン共重合体において、アセトキシスチレンの置換基の位置をオルト、メタ、パラに変化させて効果を比較したものである。実施例24〜27は、添加剤Dを用いた際に可塑剤の量と添加剤Dの量を同時に変化させたものである。実施例28は添加剤Dを固定して可塑剤の量を変更させたフィルムである。比較例3および4は、それぞれB成分が0%であるポリマーXとして、ビニルピロリドン単重合体とスチレン単重合体を用いたものである。実施例29および30は、本発明の条件を満たすモノマーXの単重合体を用い、前記比較例2および3と比較したものである。比較例5〜7と実施例31〜41は、置換度2.92のセルロースアセテート樹脂を用いた際に添加剤を変化させ、比較したものである。比較例8〜11と実施例42〜52は、置換度2.42のセルロースアセテート樹脂を用いた際に添加剤を変化させ、比較したものである(特に、比較例11は、国際公開2007/119646号パンフレット記載の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリル酸の三元系共重合体を用いて、実施例42〜52と比較したものである)。比較例12〜14および実施例53〜63は、比較例8〜10および実施例42〜52からそれぞれ可塑剤の種類と添加量を変えて、比較したものである。実施例64〜75は、可塑剤とレターデーション発現剤を変えたものである。比較例15は、特開2007−3043号公報記載のスチレン−無水マレイン酸共重合体を用いて、本発明のポリマーXと効果を比較したものである。比較例16は、スチレン−アクリル酸共重合体を用いて、本発明のポリマーXと効果を比較したものである。実施例64〜66は、セルロースアセテートプロピオネート樹脂を用いて全置換度を変化させたものである。
[試験例]
(フィルムの物性評価)
下記の方法にしたがって実施例1〜78および比較例1〜16のセルロースエステルフィルムの諸物性を評価した。
[物性評価]
以下、フィルムの諸特性は以下の方法で測定して実施した。
(レターデーション)
KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で上記の方法によりRthを計測した。その結果を下記表4〜表7に示す。
(Rthの湿度安定性)
25℃、相対湿度10%におけるRthの値を測定し、Rth(10%)とした。また、25℃、相対湿度80%におけるRthの値を測定し、Rth(80%)とした。これらの値からΔRth(10−80)の値を計算し、以下の評価によって分類した。得られた評価を下記表4〜表7に示す。
◎:12.5nm以下であり、非常に好ましい。
○:12.5〜15nmであり、好ましい。
▲:15〜17.5nmであり、実用上問題なく用いることができる。
△:17.5〜20nmであり、実用上問題がある。
×:20nmを超え、実用上非常に問題がある。
(Rthの湿熱耐久性)
60℃、相対湿度90%で24時間経過後にRthを測定した。上記フィルム作成時のRthを基準として変化量を計算し、その絶対値をΔRth(60℃90%RH)とし、以下の評価によって分類した。得られた評価を下記表4〜表7に示す。
○:10〜15nmであり、実用上好ましい。
△:15〜20nmであり、実用上は問題がない。
×:20nmを超え、実用上問題がある。
(寸法変化の湿熱耐久性)
60℃、相対湿度90%で24時間経過前後のフィルム搬送方向(MD方向)のフィルム寸法変化量を計算した。その絶対値を以下の評価によって分類した。得られた評価を下記表4〜表7に示す。
○:0.1〜0.2%であり、実用上好ましい。
△:0.2〜0.4%であり、実用上は問題がない。
×:0.4%以上を超え、実用上問題がある。
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
Figure 2010024424
上記表4〜表7より、本発明のポリマーXを添加した実施例1〜78のセルロースエステルフィルムは、Rthの湿度安定性、Rthの湿熱耐久性に優れ、フィルム搬送方向の寸法変化の湿熱耐久性にも優れていることがわかった。一方、本発明のポリマーXを添加しなかった比較例1〜16のセルロースエステルフィルムは、いずれもRthの湿度安定性、ΔRthの湿熱耐久性、フィルム搬送方向の寸法変化の湿熱耐久性の少なくとも1種の物性が実用上許容できない範囲であった。
特に、比較例2、7、10および14ではp−アセトキシスチレンとスチレンの共重合体である添加剤Wを用いており、比較例6、9および13ではp−ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体である添加剤Sを用いているものであるが、これらフェニル基のパラ位のみに置換基を有するモノマー成分のみをポリマーXが有する場合は、フェニル基のオルト位またはメタ位に置換基を有するモノマー成分を有するその他の実施例の添加剤よりもRthの湿度安定性が低い評価であることがわかった。
一方、実施例7、35、46および57ではp−アセトキシスチレンを共重合成分として含むものの、フェニル基のメタ位に置換基を有するモノマー成分であるm−ヒドロキシスチレンを共重合体成分として含んでいる添加剤Uを用いていることで、驚くべきことに添加剤Sや添加剤Wを用いた場合よりもRthの湿度安定性について良好な結果を得られた。
さらに、本発明の実施例のフィルムは、比較例に比べて寸法の湿度安定性も優れていた。
[実施例101〜178]
(偏光子の作製)
厚み75μm、重合度2400のポリビニルアルコール(PVA)フィルムを30℃の温水で40秒間膨潤させた後、ヨウ素濃度0.06質量%、ヨウ化カリウム6質量%の水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%、ヨウ化カリウム3質量%の水溶液中に40℃で60秒浸漬している間に、縦方向が元の長さの5.0倍になるように延伸した。その後、50℃で4分間乾燥させて、偏光子を得た。
(セルロースエステルフィルムの調整)
実施例1で作製したフィルムを1.5モル/リットルで30℃の水酸化ナトリウム水溶液中に、および富士フイルム(株)製TD80Uを1.5モル/リットルで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.05モル/リットルで35℃の希硫酸水溶液に15秒間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
(貼り合わせ)
前記のように鹸化処理を行ったフィルムと富士フイルム(株)製TD80Uを前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ、さらに70℃で30分間加熱した。この後、幅方向から3cm、カッターにて耳きりをし、有効幅1200mm、長さ50mのロール形態の偏光板を作製した。このとき、偏光子および偏光子両側の保護フィルムはロール形態で作製されているため各ロールフィルムの長手方向が平行となっており連続的に貼り合わされる。また、セル側に配置される保護フィルムにおいては偏光子の透過軸と各セルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になっている。
(粘着剤層の作製)
n−ブチルアクリレート(n−BA)75質量部、メチルアクリレート(MA)20質量部、2−ヒドロキシアクリレート(2−HEA)5質量部、酢酸エチル100質量部およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を反応容器に入れ、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、撹拌下に窒素雰囲気中で、この反応容器を60℃に昇温させ、4時間反応させた。4時間後、トルエン100質量部、α−メチルスチレンダイマー5質量部およびAIBN2質量部を加え、90℃に昇温し、さらに4時間反応させた。反応後、酢酸エチルで希釈し、固形分20質量%のアクリルポリマー溶液を得た。ポリマー溶液の固形分100質量部にイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン(株)製)1.0質量部を添加し、よく撹拌して粘着剤組成物を得た。
(粘着剤付偏光板の作製)
上記アクリルポリマー溶液を含有する粘着剤組成物を剥離処理したフィルム上に25μmの粘着剤層を形成し、それを偏光板(セル側保護フィルム上)に転写し、温度23℃、湿度65%の条件で7日間熟成させて粘着剤付偏光板を作製した。さらにその粘着剤層の上にセパレートフィルムを貼り付けた。セルと反対側の保護フィルム上にはプロテクトフィルムを貼り付けた。得られた偏光板を、実施例101〜178の偏光板とした。
[試験例2]
(偏光板の耐久性)
前記実施例101〜178の偏光板をガラス板に貼り付けたものを2組用意し、60℃90%RHで1000時間経時させた前後において、島津UV3100分光光度計で平行透過率および直交透過率を測定し、偏光度を算出した。その結果、実施例101〜178の偏光板は熱および湿度に対する偏光度の変化が小さく、耐久性に優れることがわかった。
また、前記実施例101〜178の偏光板について、60℃・相対湿度90%の条件下に24時間静置した場合の機械方向寸度変化率S(MD)と機械幅方向寸度変化率S(TD)を測定したところ、寸法変化率S(MD)とS(TD)の絶対値はいずれも1.0%以下の良好な結果を示した。
[実施例201〜278]
(VAパネルへの実装)
VAモードの液晶TV(LC−20C5、シャープ(株)製)の表裏の偏光板および位相差板を剥し、表と裏側に、前記実施例101〜178の偏光板および視野角補償板のない市販の偏光板(HLC2−5618、サンリッツ(株)製)を、ラミネーターロールを用いて貼り付けた。
この際、視認側の偏光板の吸収軸をパネル水平方向に、バックライト側の偏光板の吸収軸をパネル鉛直方向となり、粘着剤面が液晶セル側となるように配置した。
[試験例3]
(視野角特性)
測定機(EZ−Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲)を測定した。前記実施例101〜166の偏光板を使用した液晶表示装置は25℃・相対湿度60%で左右共に80度以上の良好な視野角を示した。その後、上記液晶表示装置を60℃・相対湿度90%の条件下で24時間静置し、その後25℃・相対湿度60%で2時間以上調湿し、25℃・相対湿度60%で再度視野角を測定した際、左右共に80度以上の良好な視野角を示した。
これより、本発明にかかるフィルムを用いた偏光板においては、熱および湿度に対する偏光度の変化が小さく、耐久性に優れ、優れた表示性能を示す偏光板であることわかる。
本発明では、使用環境の湿度の変化に対して、膜厚方向のレターデーションの変動が十分に小さく、膜厚方向のレターデーションおよび寸法の湿熱耐久性に優れたセルロースアシレートフィルムを提供することが可能になった。すなわち、本発明のセルロースアシレートフィルムは、偏光板用保護フィルム、光学補償フィルムとして好ましく用いることができる。
また、本発明の偏光板は湿熱耐久性に優れている。従って、本発明は、使用環境の湿度の変化に対して、色ずれ、色味、光漏れの変動が十分に小さい液晶表示装置を提供することが可能になる。

Claims (11)

  1. セルロースエステル樹脂と重量平均分子量が500〜100000であるポリマーXを含有し、ポリマーXがオルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位を少なくとも一種含み、かつ、ポリマーXが下記式(1)および式(2)を満たすことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
    30%≦A≦100%・・・式(1)
    (式中、Aは、単独で重合させたときにポリマーが負の複屈折を示すモノマーのポリマーX中における重合比を表す。)
    10%≦B≦100%・・・式(2)
    (式中、Bは、前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマーのポリマーX中における重合比を表す。)
  2. 前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位が下記一般式(1)で表される構造であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルフィルム。
    Figure 2010024424
    (一般式(1)式中、R1〜R7は、各々独立に、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;カルボキシル基;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または無置換の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
  3. 前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位が下記一般式(2)または一般式(3)で表される構造であることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースエステルフィルム。
    Figure 2010024424
    (一般式(2)および一般式(3)中、R11およびR13は各々独立に水素原子またはメチル基を表し、R12およびR14は各々独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、または−C(=O)R15を表す。前記R15は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
  4. 前記オルト位またはメタ位に1〜4個の置換基を有するフェニル基を含むモノマー単位が下記一般式(4)または一般式(5)で表される構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
    Figure 2010024424
    (一般式(4)および一般式(5)中、R21およびR22は各々独立に水素原子または−C(=O)−CH3基を表す。)
  5. 下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
    0 ≦ |ΔRth(10−80)| ≦ 20nm・・・式(3)
    (式中、ΔRth(10−80)は、25℃相対湿度10%におけるRthの値と、25℃相対湿度80%におけるRthの値との差を表す。)
  6. 60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるRthの変化量の絶対値ΔRth(60℃90%RH)が、15nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
  7. 60℃相対湿度90%で24時間経過前後におけるセルロースエステルフィルム寸法変化量の絶対値が、0.2%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
  8. 前記セルロースエステル樹脂の全置換度(DS)が、2.30≦DS<2.98であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
  9. レターデーション発現剤を少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムを用いることを特徴とする偏光板。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムまたは請求項10に記載の偏光板を用いることを特徴とする液晶表示装置。
JP2008210277A 2008-06-20 2008-08-19 セルロースエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置 Expired - Fee Related JP5373336B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008210277A JP5373336B2 (ja) 2008-06-20 2008-08-19 セルロースエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008161512 2008-06-20
JP2008161512 2008-06-20
JP2008210277A JP5373336B2 (ja) 2008-06-20 2008-08-19 セルロースエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010024424A true JP2010024424A (ja) 2010-02-04
JP5373336B2 JP5373336B2 (ja) 2013-12-18

Family

ID=41730536

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008210277A Expired - Fee Related JP5373336B2 (ja) 2008-06-20 2008-08-19 セルロースエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5373336B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011138887A1 (ja) * 2010-05-06 2011-11-10 コニカミノルタオプト株式会社 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板、及び液晶表示装置
JP2011256323A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 Konica Minolta Opto Inc 光学フィルム、及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置
JP2013254186A (ja) * 2012-05-08 2013-12-19 Fujifilm Corp 光学フィルム、偏光板、画像表示装置、及び光学フィルムの製造方法
WO2020162259A1 (ja) * 2019-02-08 2020-08-13 Dic株式会社 光学材料用樹脂組成物、光学フィルム及び表示装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005109052A1 (ja) * 2004-05-12 2005-11-17 Adeka Corporation 光学フィルム
JP2006301570A (ja) * 2005-03-22 2006-11-02 Fuji Photo Film Co Ltd 透明フィルム、透明フィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
WO2007088736A1 (ja) * 2006-01-31 2007-08-09 Konica Minolta Opto, Inc. セルロースエステルフィルム、光拡散フィルム、偏光板及び液晶表示装置
WO2007119646A1 (ja) * 2006-04-12 2007-10-25 Konica Minolta Opto, Inc. 偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005109052A1 (ja) * 2004-05-12 2005-11-17 Adeka Corporation 光学フィルム
JP2006301570A (ja) * 2005-03-22 2006-11-02 Fuji Photo Film Co Ltd 透明フィルム、透明フィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
WO2007088736A1 (ja) * 2006-01-31 2007-08-09 Konica Minolta Opto, Inc. セルロースエステルフィルム、光拡散フィルム、偏光板及び液晶表示装置
WO2007119646A1 (ja) * 2006-04-12 2007-10-25 Konica Minolta Opto, Inc. 偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011138887A1 (ja) * 2010-05-06 2011-11-10 コニカミノルタオプト株式会社 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板、及び液晶表示装置
JP2011256323A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 Konica Minolta Opto Inc 光学フィルム、及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置
JP2013254186A (ja) * 2012-05-08 2013-12-19 Fujifilm Corp 光学フィルム、偏光板、画像表示装置、及び光学フィルムの製造方法
WO2020162259A1 (ja) * 2019-02-08 2020-08-13 Dic株式会社 光学材料用樹脂組成物、光学フィルム及び表示装置
CN113423777A (zh) * 2019-02-08 2021-09-21 Dic株式会社 光学材料用树脂组合物、光学薄膜和显示装置
JPWO2020162259A1 (ja) * 2019-02-08 2021-11-11 Dic株式会社 光学材料用樹脂組成物、光学フィルム及び表示装置
JP7031761B2 (ja) 2019-02-08 2022-03-08 Dic株式会社 光学材料用樹脂組成物、光学フィルム及び表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5373336B2 (ja) 2013-12-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5507819B2 (ja) セルロースエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP5222064B2 (ja) セルロースアシレート積層フィルム、その製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP4055861B2 (ja) 透明フイルムおよびそれを用いた液晶表示装置
JP5189434B2 (ja) セルロースアシレート積層フィルムおよび偏光板
JP2010066752A (ja) セルロースアシレートフィルムおよび偏光板
JP4074872B2 (ja) 光学補償偏光板、画像表示装置、及び液晶表示装置
JP2011118421A (ja) 光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2010215878A (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2006030937A (ja) セルロースアシレートフィルム、それを用いた光学補償フィルム、偏光板
JP2006293255A (ja) 光学フィルム、光学補償フィルム、偏光板、液晶表示装置、および自発光型表示装置
JP5707811B2 (ja) 長尺状λ/4板、円偏光板、偏光板、OLED表示装置、及び立体画像表示装置
JP5130027B2 (ja) セルロースエステルフィルムの製造方法
JP2009265598A (ja) 偏光板用保護フィルム
JP2009298884A (ja) 光学フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP5324814B2 (ja) セルロースアシレートフィルムおよび偏光板
JP5123815B2 (ja) セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法
JP2009269970A (ja) 光学フィルム
JP2010002749A (ja) 光学フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2009249386A (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板、液晶表示装置
JP5373336B2 (ja) セルロースエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP5785894B2 (ja) セルロースエステルフィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2006290966A (ja) セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP5699519B2 (ja) 位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置
JP5747464B2 (ja) セルロースアシレート積層フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2008112172A (ja) Ipsモード液晶表示装置用光学補償偏光板、画像表示装置、及び液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120918

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121119

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130919

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5373336

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees