JP2013096311A - ポンプ制御システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のポンプの運転を制御するポンプ制御システムであって、配水流量と吐出圧とに応じた運転すべきポンプの台数を定めた運転台数判定テーブルと、ポンプの台数と配水流量と吐出圧とに応じた各ポンプへの配水流量の配分を定めた流量配分テーブルと、を記憶する記憶部と、運転台数判定テーブルを参照し、配水流量と吐出圧とに基づいて、運転すべきポンプの台数を決定する運転台数判定部と、運転すべきポンプの台数と、流量配分テーブルにより定められた配水流量と吐出圧とに基づいて、各ポンプへの配水流量の配分を計算する配水流量計算部と、運転台数判定テーブルに記憶された運転すべきポンプの台数と、配水流量計算部が求めた各ポンプへの配水流量の配分とに基づいて、各ポンプの目標回転数を設定する目標回転数計算部と、を備える。
【選択図】 図1
Description
Q2=Q・(1−D1)
ポンプ3台運転の場合は、配水流量計測値と吐出圧計測値をベースにテーブル32、33を参照し、ポンプ4、5への流量配分D1、D2を求める。配水流量計測値をQとしたとき、ポンプ4、ポンプ5、ポンプ6の受け持つ流量Q1、Q2、Q3は次式で与えられる。
Q2=Q・D2
Q3=Q・(1−D1−D2)
これらのテーブル31、32、33は、ポンプのトータル消費エネルギーが最小となる流量配分を与えるものであるが、テーブル作成方法については後述する。
ポンプ4、5、6の性能曲線が以下のように近似できるとする。
H=a1・N2 − b1・ Q2 (1)
H=a2・N2 − b2・ Q2 (2)
H=a3・N2 − b3・ Q2 (3)
ここで、Hはポンプ揚程(吐出圧)、Nはポンプ回転数、Qはポンプ配水流量、ai,bi (i=1,2,3)は正の定数である。
H0=a1・N12 − b1・ Q12
H0=a2・N22 − b2・ Q22
H0=a3・N32 − b3・ Q32
これらの式を回転数N1、N2、N3について解いて次式を得る。
N2=((H0+ b1・ Q22 )/a2)1/2 (5)
N3=((H0+ b1・ Q32 )/a3)1/2 (6)
もし近似した性能曲線にモデル化誤差がなければ、この計算値を各ポンプの目標回転数として与えれば、目標の吐出圧を達成できる。すなわち、計測吐出圧が目標圧に等しくなる。しかしながら、モデル化誤差は少なからず存在するので、目標の吐出圧は達成されず、計測吐出圧と目標吐出圧の間にわずかな差が生じる。モデル化誤差に起因する目標値と計測値のずれを補償するためフィードバック制御を併用する。これは、目標吐出圧と計測吐出圧の差に基づき、例えばPID制御則により回転数補正量ΔNを計算するものである。
N20=N2+ΔN (8)
N30=N3+ΔN (9)
この回転数計算値を、ポンプの速度制御を行うPID制御装置に送り、ポンプの回転数制御を行う。なお、2台運転の場合は式(7)(8)を、1台運転の場合は式(7)を活用して目標回転数を計算すれば良い。
[1]1台運転の場合
次式に基づいて、ポンプ1台運転時(ポンプ4運転時)の消費電力Pを決定する。
ηp=−c1・(Q/N)2+d1・(Q/N) (11)
H=a1・N2 − b1・ Q2 (12)
ここに、Pはポンプ4の消費電力(kW)、Qは配水流量(m3/min)、Hはポンプ吐出圧(m)、ηpはポンプ効率、ηmはモータ効率で定数、ηiはインバータ効率で定数、Nはポンプ回転数(rpm)、k,a1,b1,c1,d1は正の定数である。(11)式はポンプ4の効率曲線を近似したもの、(12)式はポンプ4の性能曲線を近似したものである。Q,Hが与えられると、(12)式から回転数Nが求められる。それを(11)(10)式に代入することで、ポンプの消費電力Pが求められる。
[2]2台同時運転の場合
次式に基づいて、ポンプ2台運転時(ポンプ4,5運転時)の消費電力Pが計算できる。
P=P1+P2 (13)
P1=k・Q1・H/(ηp1・ηm・ηi) (14)
ηp1=−c1・(Q1/N1)2+d1・(Q1/N1) (15)
H=a1・N12 − b1・ Q12 (16)
P2=k・Q2・H/(ηp2・ηm・ηi) (17)
ηp2=−c2・(Q2/N2)2+d2・(Q2/N2) (18)
H=a2・N22 − b2・ Q22 (19)
Q=Q1+Q2 (20)
ここに、Pはポンプのトータル消費電力(kW)、P1はポンプ4の消費電力(kW)、P2はポンプ5の消費電力(kW)、Qは配水流量(m3/min)、Q1はポンプ4の配水流量(m3/min)、Q2はポンプ5の配水流量(m3/min)、Hはポンプ吐出圧(m)、ηp1はポンプ4のポンプ効率、ηp2はポンプ5のポンプ効率、ηmはモータ効率で定数、ηiはインバータ効率で定数、N1はポンプ4の回転数(rpm)、N2はポンプ5の回転数(rpm)、k,ai,bi,ci,di(i=1,2)は正の定数である。配水流量Qを満足するQ1,Q2の組み合わせは無数に存在し、それに対応してトータル消費電力Pが決まる。ここでは、Pを最小にするQ1,Q2を最適化計算で求めて、これに対応する消費電力P(2台運転時の最小の消費電力)を2台運転時のポンプの消費電力とする。
[3]3台同時運転の場合
次式に基づいて、ポンプ3台運転時(ポンプ4,5、6運転時)の消費電力Pが計算できる。
P=P1+P2+P3 (21)
P1=k・Q1・H/(ηp1・ηm・ηi) (22)
ηp1=−c1・(Q1/N1)2+d1・(Q1/N1) (23)
H=a1・N12 − b1・ Q12 (24)
P2=k・Q2・H/(ηp2・ηm・ηi) (25)
ηp2=−c2・(Q2/N2)2+d2・(Q2/N2) (26)
H=a2・N22 − b2・ Q22 (27)
P3=k・Q3・H/(ηp3・ηm・ηi) (28)
ηp3=−c3・(Q3/N3)2+d2・(Q3/N3) (29)
H=a3・N32 − b3・ Q32 (30)
Q=Q1+Q2+Q3 (31)
ここに、Pはポンプのトータル消費電力(kW)、P1はポンプ4の消費電力(kW)、P2はポンプ5の消費電力(kW)、P3はポンプ6の消費電力(kW)、Qは配水流量(m3/min)、Q1はポンプ4の配水流量(m3/min)、Q2はポンプ5の配水流量(m3/min)、Q3はポンプ6の配水流量(m3/min)、Hはポンプ吐出圧(m)、ηp1はポンプ4のポンプ効率、ηp2はポンプ5のポンプ効率、ηp3はポンプ6のポンプ効率、ηmはモータ効率で定数、ηiはインバータ効率で定数、N1はポンプ4の回転数(rpm)、N2はポンプ5の回転数(rpm)、N3はポンプ6の回転数(rpm)、k,ai,bi,ci,di(i=1,2,3)は正の定数である。配水流量Qを満足するQ1,Q2,Q3の組み合わせは無数に存在し、それに対応してトータル消費電力Pが決まる。ここでは、Pを最小にするQ1,Q2,Q3を最適化計算で求めて、これに対応する消費電力P(3台運転時の最小の消費電力)を3台運転時のポンプの消費電力とする。
[1]ポンプ4→ポンプ4,5→ポンプ4、5、6
[2]ポンプ4→ポンプ4,6→ポンプ4、5、6
[3]ポンプ5→ポンプ4,5→ポンプ4、5、6
[4]ポンプ5→ポンプ5、6→ポンプ4、5、6
[5]ポンプ6→ポンプ4,6→ポンプ4、5、6
[6]ポンプ6→ポンプ5、6→ポンプ4、5、6
図6は、あるポンプの運転順序に対して1日の消費エネルギーを算出するための方法の説明図である。まず、[1]の運転順序に対して、運転台数判定テーブル、流量配分計算テーブルを作成し、運転台数、流量配分計算手段61に記憶しておく。一日の配水流量と吐出圧の実績時系列Q(t)、H(t)(tは時刻)に対して、時刻tにおける最適の運転台数X(t)、流量配分D(t)を計算し、それを利用して消費エネルギー計算手段は、ポンプのトータル消費電力P(t)を計算し、さらに、すべての時刻でP(t)を加算することで1日の消費エネルギーを算出する。これを[2]から[6]の運転順序に対して行い、最小の消費エネルギーを与える運転順序を最適な運転順序として採用する。本来の順序[1]と異なる順序が得られたなら、その順序で図1に示すポンプ運転制御を行うようにする。なお、ポンプ消費エネルギー計算は、式(10)から(31)を活用して行うことができる。
ηp=−c1・(Q/N)2+d1・(Q/N) (33)
また、消費電力に関して次式が成立する。
ここに、Pはポンプ消費電力(kW)、Qは配水流量(m3/min)、Hはポンプ吐出圧(m)、ηpはポンプ効率、ηmはモータ効率で定数、ηiはインバータ効率で定数、Nはポンプ回転数(rpm)、k,a1,b1,c1,d1は正の定数である。
ポンプ特性を推定することは、式(32)(33)内のパラメータa1,b1,c1,d1を推定することである。パラメータa1,b1,c1,d1は、n個の計測データ(Qi、Hi、Ni、Pi)(i=1,2…n)活用し、これらのデータが式(32)(35)に最もフィッティングするよう最小二乗法を活用して行うことができる。得られたパラメータと式(32)(33)をもって、ポンプ4の最新の特性とする。
ηp2=−c2・(Q2/N2)2+d2・(Q2/N2) (37)
また、消費電力に関して次の式が成立する。
ここに、P2はポンプ5の消費電力(kW)、Q2はポンプ5の配水流量(m3/min)、Hはポンプ吐出圧(m)、ηp2はポンプ5の効率、ηmはモータ効率で定数、ηiはインバータ効率で定数、N2はポンプ5の回転数(rpm)、k,a2,b2,c2,d2は正の定数である。
計測データである吐出圧Hi、ポンプ4の回転数N1iを式(32)に代入して次式を得る。
この式からa1,b1は推定済みであるので、ポンプ4の流量Qが次式で求められる。
このQと計測されたトータル配水流量Qiから、ポンプ5の配水流量Q2iを次式で計算できる。
このQ2iと計測データである吐出圧Hi、ポンプ4の回転数N1i、ポンプ5の回転数N2i、ポンプ5の消費電力P2i(i=1,2…m)のmセットのデータが、式(36)(39)に最もフィットするよう最小二乗法を活用してパラメータa2,b2,c2,d2を推定する。得られたパラメータと式(36)(37)をもって、ポンプ5の最新の特性とする。
N20=N2×補正駅数 (43)
N30=N3×補正係数 (44)
補正係数は、1より大きな定数で、例えば、1.1から1.3程度の値に設定する。本来より大きな回転数でポンプを運転するものである。Nが大きくなるので、図9の(b)でQ/Nのより小さい領域での運転や、図9の(a)でHのより大きな領域での運転が可能になり、計測できる運転領域を広げることができる。例えば、1日だけこのような補正処理を行い、データ計測を行う。このデータに従来の計測データを加えた、より広い領域のデータを利用してポンプ特性推定を行えばポンプ特性の推定精度を向上できる。なお、本補正で目標より少し高い吐出圧が実現されるのでエネルギー消費は一時的に増大することになる。
101 運転台数判定手段
102 運転台数判定テーブル
1021 修正運転台数判定テーブル
103 流量配分計算手段
1031 流量配分補正計算手段
104 流量配分テーブル
105 目標回転数計算手段
1051 目標回転数計算手段(回転数補正あり)
106 データベース
107 ポンプ特性推定手段
108 テーブル作成手段。
Claims (10)
- 複数のポンプの運転を制御するポンプ制御システムであって、
配水流量と吐出圧とに応じた運転すべきポンプの台数を定めた運転台数判定テーブルと、前記ポンプの台数と前記配水流量と前記吐出圧とに応じた各ポンプへの前記配水流量の配分を定めた流量配分テーブルと、を記憶する記憶部と、
前記運転台数判定テーブルを参照し、前記配水流量と前記吐出圧とに基づいて、運転すべきポンプの台数を決定する運転台数判定部と、
前記運転すべきポンプの台数と、前記流量配分テーブルにより定められた前記配水流量と前記吐出圧とに基づいて、前記各ポンプへの配水流量の配分を計算する配水流量計算部と、
前記運転台数判定テーブルに記憶された前記運転すべきポンプの台数と、前記配水流量計算部が求めた前記各ポンプへの配水流量の配分とに基づいて、前記各ポンプの目標回転数を設定する目標回転数計算部と、
を備えたことを特徴とするポンプ制御システム。 - 請求項1に記載のポンプ制御システムであって、
前記運転台数判定テーブルにより定められる前記ポンプの台数、および前記流量配分テーブルにより定められる前記配水流量は、前記各ポンプの特性を示す特性曲線と、あらかじめ定められた運転順序によって運転される各ポンプの全体の消費エネルギーが最小となるような前記ポンプの運転台数、および前記各ポンプに配分される配水流量を前記配水流量および前記吐出圧ごとに求めたものである、
ことを特徴とするポンプ制御システム。 - 請求項1または2に記載のポンプ制御システムであって、
前記ポンプの配水流量と前記吐出圧と前記各ポンプの回転数と前記各ポンプの消費電力とを計測し、計測されたこれらの情報に基づいて、前記各ポンプの特性を推定するポンプ特性推定部を備える、
ことを特徴とするポンプ制御システム。 - 請求項3に記載のポンプ制御システムであって、
前記ポンプ特性推定部は、計測した前記ポンプの配水流量と前記吐出圧と前記各ポンプの回転数と前記各ポンプの消費電力とに基づいて定められる前記各ポンプの特性を示す特性曲線および性能曲線を定めるためのパラメータを本来の設定値とは異なる設定値に変更して前記各ポンプを運転したときの配水流量と吐出圧と各ポンプの回転数と消費電力とを計測し、計測したこれらの情報に基づいて、前記各ポンプの特性を推定する、
ことを特徴とするポンプ制御システム。 - 請求項2のポンプ制御システムにおいて、ポンプの特性曲線として、請求項3記載の推定方法で推定されるポンプの特性を利用することを特徴とするポンプ制御システム
- 請求項2のポンプ制御システムにおいて、ポンプの特性曲線として、請求項4記載の推定方法で推定されるポンプの特性を利用することを特徴とするポンプ制御システム
- 請求項4〜6のいずれか1項に記載のポンプ制御システムであって、
前記ポンプ特性推定部が推定する各ポンプの特性とは、ポンプの劣化特性を示すものである、
ことを特徴とするポンプ制御システム。 - 複数のポンプの運転を制御するポンプ制御システムであって、
前記複数のポンプの配水流量を計測するための流量センサと、
前記複数のポンプの吐出圧を計測するための圧力センサと、
前記配水流量と前記吐出圧との組み合わせに対して、最小消費電力を与えるポンプの運転台数と流量配分とを決定し、前記各ポンプの特性曲線および性能曲線に基づいて、前記流量センサが計測した配水流量と前記圧力センサが計測した吐出圧とに応じた運転すべきポンプの台数を定めた運転台数判定テーブルと、前記ポンプの台数と前記配水流量と前記吐出圧とに応じた各ポンプへの前記配水流量の配分を定めた流量配分テーブルと、を作成する最適化部と、
前記運転台数判定テーブルと前記流量配分テーブルとを記憶する記憶部と、
前記運転台数判定テーブルを参照し、前記配水流量と前記吐出圧とに基づいて、運転すべきポンプの台数を決定する運転台数判定部と、
前記運転すべきポンプの台数と、前記流量配分テーブルにより定められた前記配水流量と前記吐出圧とに基づいて、前記各ポンプへの配水流量の配分を計算する配水流量計算部と、
前記運転すべきポンプの台数と、前記配水流量計算部が求めた前記各ポンプへの配水流量の配分とに基づいて、前記各ポンプの目標回転数を設定する目標回転数計算部と、
を備えたことを特徴とするポンプ制御システム。 - 請求項8のポンプ制御システムにおいて、
前記各ポンプに対して定められた運転順序のパターンのそれぞれについて、前記配水流量と前記吐出圧の1日における実績時系列値に対して、任意の時刻におけるポンプの最適の運転台数と流量配分とを計算してポンプの消費電力を算出し、算出した前記消費電力をすべての時刻について加算することにより前記ポンプ制御システム全体の1日の消費電力を算出し、算出した前記1日の消費電力が最小となる運転順序を、最適なポンプの運転順序として採用する消費エネルギー計算部、
を備えたことを特徴とするポンプ制御システム。 - 請求項9のポンプ制御システムにおいて、
前記各ポンプの回転数を計測する回転数センサと、
前記流量センサが計測した前記配水流量と前記圧力センサが計測した前記吐出圧との組み合わせと前記各ポンプの回転数と前記消費電力とを所定の期間蓄積したデータに基づいて、前記各ポンプの性能曲線および効率曲線を推定するポンプ特性推定部と、
を備えたことを特徴とするポンプ制御システム。
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