JP2013084720A - 光電変換素子および光電変換素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い変換効率を有する光電変換素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】透明導電層と微結晶p型半導体層との間に非晶質半導体層が隣接して配置され、非晶質半導体層の光電変換層側の導電率が透明導電層側よりも高い光電変換素子とその製造方法である。
【選択図】図1
【解決手段】透明導電層と微結晶p型半導体層との間に非晶質半導体層が隣接して配置され、非晶質半導体層の光電変換層側の導電率が透明導電層側よりも高い光電変換素子とその製造方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、光電変換素子および光電変換素子の製造方法に関する。
光を受光して電力に変換する光電変換素子の一例として、発電層(光電変換層)に薄膜シリコン系の層を積層させた薄膜系太陽電池が知られている。薄膜系太陽電池は、一般に、絶縁性基板上に、透明電極層、シリコン系半導体層(光電変換層)、および裏面電極層が順次積層された構成を有している。
透明電極層は、通常、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)または酸化インジウム錫(ITO)等の金属酸化物を主成分とする透明導電層からなる。光電変換層は、非晶質シリコンや微結晶シリコンからなり、p型シリコン系半導体(p層)、i型シリコン系半導体(i層)およびn型シリコン系半導体(n層)によって形成されるpin接合を有している。光電変換層がエネルギー変換部となって、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する。光電変換層は、一般的に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって透明導電層上に形成される。
一般に、微結晶シリコンを用いた薄膜系太陽電池では、透明電極層上に光電変換層の一部として微結晶シリコンp層が積層される。そのため、透明電極層に含まれる酸素が微結晶シリコンp層中に拡散して、微結晶シリコンp層中に混入する。微結晶シリコンp層中に酸素が混入した場合には、酸素に関連したドナー準位が形成されると言われており、このドナー準位は、たとえば、真性の微結晶シリコンの場合にはn型化の原因となる。
このドナー準位の形成は、微結晶シリコンp層に対してはp型を弱める働きをするために、従来は必要以上にドーピング濃度を高くすることでp型を維持させていた。
しかしながら、この方法では、微結晶シリコンp層のバンドギャップが狭くなり、光の吸収損失が発生するため、薄膜系太陽電池の短絡電流量が低下する。一方、薄膜系太陽電池の短絡電流量を低下させないために微結晶シリコンp層へのドーパント添加量を減少させた場合には、微結晶シリコンp層のドーピング不足によって、薄膜系太陽電池の開放電圧およびF.F(Fill Factor)が低下するため、変換効率が低下する。
上記の課題を解決する手段として、たとえば特許文献1には、透明電極層と微結晶シリコンp層との間に非晶質シリコン層が隣接して配置された光電変換装置が開示されている。
特許文献1に記載の光電変換装置においては、透明電極層と微結晶シリコンp層との間に非晶質シリコン層を隣接して配置することにより、透明電極層に含まれる酸素が微結晶シリコンp層に拡散するのを防止することができる。これにより、微結晶シリコンp層のn型化を抑制することができ、光電変換装置の変換効率の低下を抑制できるとされている。
特許文献1において、非晶質シリコン層は、シラン等を含む混合ガスをグロー放電分解することにより形成される。また、グロー放電分解において、グロー放電用電極に印加される高周波電力が大きいほどシリコンの微結晶化が進むとされていることから、グロー放電用電極に印加される高周波電力を非晶質シリコンの形成時の数倍以上にして微結晶シリコンp層が形成される。
そのため、特許文献1の光電変換装置においては、微結晶シリコンp層の形成時に、下層の非晶質シリコン層、および非晶質シリコン層と微結晶シリコンp層との界面がグロー放電により生じるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加するため、光電変換装置の変換効率が低下するという問題があった。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、高い変換効率を有する光電変換素子およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、透明導電層と、透明導電層上に設けられた光電変換層と、を備え、光電変換層は、微結晶p型半導体層と、i型半導体層と、n型半導体層とを含み、透明導電層と微結晶p型半導体層との間に非晶質半導体層が隣接して配置され、非晶質半導体層の光電変換層側の導電率が透明導電層側よりも高い光電変換素子である。
ここで、本発明の光電変換素子において、非晶質半導体層は、非晶質p型半導体層であり、非晶質p型半導体層の光電変換層側の炭素濃度が透明導電層側よりも低いことが好ましい。
また、本発明の光電変換素子において、非晶質半導体層は、非晶質p型半導体層であり、非晶質p型半導体層の光電変換層側のp型不純物のドーピング濃度が透明導電層側よりも高いことが好ましい。
また、本発明の光電変換素子において、非晶質半導体層は、非晶質p型半導体層であり、非晶質p型半導体層の光電変換層側の水素濃度が、透明導電層側よりも低いことが好ましい。
また、本発明の光電変換素子においては、透明導電層から離れるにしたがって非晶質半導体層の導電率が段階的に高くなることが好ましい。
また、本発明の光電変換素子においては、透明導電層から離れるにしたがって非晶質半導体層の導電率が連続的に高くなることが好ましい。
また、本発明の光電変換素子においては、透明導電層が透明電極層であることが好ましい。
また、本発明の光電変換素子においては、透明導電層が中間コンタクト層であることが好ましい。
さらに、本発明は、透明導電層上に非晶質半導体層を形成する工程と、非晶質半導体層上に微結晶p型半導体層を形成する工程と、微結晶p型半導体層上にi型半導体層を形成する工程と、i型半導体層上にn型半導体層を形成する工程と、を含み、非晶質半導体層を形成する工程においては、非晶質半導体層の導電率が透明導電層側よりも微結晶p型半導体層側が高くなるように非晶質半導体層を形成する光電変換素子の製造方法である。
ここで、本発明の光電変換素子の製造方法において、非晶質半導体層は、透明導電層側に位置する第1非晶質半導体層と、微結晶p型半導体層側に位置する第2非晶質半導体層とを含み、非晶質半導体層を形成する工程においては第2非晶質半導体層の導電率が第1非晶質半導体層の導電率よりも高くなるように非晶質半導体層を形成することが好ましい。
本発明によれば、高い変換効率を有する光電変換素子およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
本発明は非晶質シリコン、及び微結晶シリコン層を有する光電変換素子に関するものである。また、本明細書において、「多結晶」と「微結晶」と「結晶質」の用語は、シリコン系薄膜光電変換素子の技術分野において通常用いられているように、結晶質とともに部分的に非晶質(アモルファス)を含んでいる場合をも含んでいてもよいことを意味するものとする。
<実施の形態1>
(基本構成)
図1に、実施の形態1の光電変換素子の模式的な断面図を示す。図1に示すように、実施の形態1の光電変換素子は、絶縁性基板1と、絶縁性基板1上に設けられた透明導電層としての透明電極層2と、透明電極層2上に設けられた第1の非晶質p型半導体層41と、第1の非晶質p型半導体層41上に設けられた第2の非晶質p型半導体層42と、第2の非晶質p型半導体層42上に設けられた微結晶p型半導体層31と、微結晶p型半導体層31上に設けられたi型半導体層32と、i型半導体層32上に設けられたn型半導体層33と、n型半導体層33上に設けられた透明導電層5と、透明導電層5上に設けられた裏面電極層6とを備えている。
(基本構成)
図1に、実施の形態1の光電変換素子の模式的な断面図を示す。図1に示すように、実施の形態1の光電変換素子は、絶縁性基板1と、絶縁性基板1上に設けられた透明導電層としての透明電極層2と、透明電極層2上に設けられた第1の非晶質p型半導体層41と、第1の非晶質p型半導体層41上に設けられた第2の非晶質p型半導体層42と、第2の非晶質p型半導体層42上に設けられた微結晶p型半導体層31と、微結晶p型半導体層31上に設けられたi型半導体層32と、i型半導体層32上に設けられたn型半導体層33と、n型半導体層33上に設けられた透明導電層5と、透明導電層5上に設けられた裏面電極層6とを備えている。
ここで、非晶質半導体層4は、第1の非晶質p型半導体層41と第2の非晶質p型半導体層42との積層体から構成されている。また、光電変換層3は、微結晶p型半導体層31とi型半導体層32とn型半導体層33との積層体から構成されている。また、非晶質半導体層4は、透明電極層2および微結晶p型半導体層31のそれぞれと隣接して設けられている。
(絶縁性基板)
絶縁性基板1としては、光を透過させることができるとともに絶縁性を有する基板を用いることができ、たとえば、ガラス基板、ポリイミド樹脂などの透明樹脂を含む樹脂基板、またはこれらの基板の複数を積層した基板などの透光性基板を用いることができる。
絶縁性基板1としては、光を透過させることができるとともに絶縁性を有する基板を用いることができ、たとえば、ガラス基板、ポリイミド樹脂などの透明樹脂を含む樹脂基板、またはこれらの基板の複数を積層した基板などの透光性基板を用いることができる。
(透明電極層)
透明電極層2としては、光を透過させることができるとともに導電性を有する層が用いられ、たとえば、酸化錫膜、ITO(Indium Tin Oxide)膜、酸化亜鉛膜、若しくはこれらの膜に微量の不純物を添加した膜の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層などを用いることができる。透明電極層2が複数層から構成される場合には、すべての層が同一の材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる材料から形成されていてもよい。
透明電極層2としては、光を透過させることができるとともに導電性を有する層が用いられ、たとえば、酸化錫膜、ITO(Indium Tin Oxide)膜、酸化亜鉛膜、若しくはこれらの膜に微量の不純物を添加した膜の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層などを用いることができる。透明電極層2が複数層から構成される場合には、すべての層が同一の材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる材料から形成されていてもよい。
また、透明電極層2の表面にはたとえばテクスチャ構造等の凹凸が形成されていることが好ましい。透明電極層2の表面に凹凸が形成されていることによって、絶縁性基板1側から入射した入射光を散乱および/または屈折させて光路長を伸ばすことができ、光電変換層3における光閉じ込め効果を高めることができるため短絡電流量を増大させることができる。透明電極層2の表面に凹凸を形成する方法としては、たとえば、エッチング法やサンドブラストのような機械加工による方法、または透明電極層2の結晶成長を利用する方法などを用いることができる。
(非晶質半導体層)
非晶質半導体層4は、第1の非晶質p型半導体層41と第2の非晶質p型半導体層42との積層体から構成されている。ここで、たとえば図2に示すように、非晶質半導体層4においては、第1の非晶質p型半導体層41の導電率よりも第2の非晶質p型半導体層42の導電率の方が高くなっている。そのため、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の導電率が段階的に高くなっている。なお、図2において、縦軸は導電率を示し、横軸は非晶質半導体層4の厚さ方向における透明電極層2からの距離を示している。
非晶質半導体層4は、第1の非晶質p型半導体層41と第2の非晶質p型半導体層42との積層体から構成されている。ここで、たとえば図2に示すように、非晶質半導体層4においては、第1の非晶質p型半導体層41の導電率よりも第2の非晶質p型半導体層42の導電率の方が高くなっている。そのため、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の導電率が段階的に高くなっている。なお、図2において、縦軸は導電率を示し、横軸は非晶質半導体層4の厚さ方向における透明電極層2からの距離を示している。
非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の導電率が段階的に高くなっている場合には、たとえば図3に示すように、第1の非晶質p型半導体層41の炭素濃度よりも第2の非晶質p型半導体層42の炭素濃度の方を低くすることによって、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の炭素濃度を段階的に低くすることが好ましい。非晶質半導体層4の炭素濃度が低いほど、非晶質半導体層4の導電率が高くなるため、第1の非晶質p型半導体層41の導電率よりも、第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることができる。また、第2の非晶質p型半導体層42は、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第1の非晶質p型半導体層41は、第2の非晶質p型半導体層42よりも、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第2の非晶質p型半導体層42の導電率の低下を相殺することができる。一方、炭素濃度が低いほど、光透明度が低くなるため、非晶質半導体層4全体に渡って炭素濃度を低くすると、非晶質半導体層4における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第1の非晶質p型半導体層41の炭素濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42の炭素濃度よりも高くすることによって、非晶質半導体層4全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図3において、縦軸は炭素濃度を示し、横軸は非晶質半導体層4の厚さ方向における透明電極層2からの距離を示している。
非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の導電率が段階的に高くなっている場合には、たとえば図4に示すように、第1の非晶質p型半導体層41のp型不純物のドーピング濃度よりも第2の非晶質p型半導体層42のp型不純物のドーピング濃度の方を高くすることによって、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4のp型不純物のドーピング濃度を段階的に高くすることが好ましい。非晶質半導体層4のp型不純物のドーピング濃度が高いほど、非晶質半導体層4の導電率が高くなるため、第1の非晶質p型半導体層41の導電率よりも、第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることができる。また、第2の非晶質p型半導体層42は、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第1の非晶質p型半導体層41は、第2の非晶質p型半導体層42よりも、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第2の非晶質p型半導体層42の導電率の低下を相殺することができる。一方、p型不純物のドーピング濃度が高いほど、光透明度が低くなるため、非晶質半導体層4全体に渡ってp型不純物のドーピング濃度が高くすると、非晶質半導体層4における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第1の非晶質p型半導体層41のp型不純物のドーピング濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42のp型不純物のドーピング濃度よりも低くすることによって、非晶質半導体層4全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図4において、縦軸はp型不純物のドーピング濃度を示し、横軸は非晶質半導体層4の厚さ方向における透明電極層2からの距離を示している。また、p型不純物としては、たとえば、ボロンなどを挙げることができる。
非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の導電率が段階的に高くなっている場合には、たとえば図5に示すように、第1の非晶質p型半導体層41の水素濃度よりも第2の非晶質p型半導体層42の水素濃度の方を低くすることによって、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の水素濃度を段階的に低くすることが好ましい。非晶質半導体層4の水素濃度が低いほど、非晶質半導体層4の導電率が高くなるため、第1の非晶質p型半導体層41の導電率よりも、第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることができる。また、第2の非晶質p型半導体層42は、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第1の非晶質p型半導体層41は、第2の非晶質p型半導体層42よりも、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第2の非晶質p型半導体層42の導電率の低下を相殺することができる。一方、水素濃度が低いほど、光透明度が低くなるため、非晶質半導体層4全体に渡って水素濃度を低くすると、非晶質半導体層4における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第1の非晶質p型半導体層41の水素濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42の水素濃度よりも高くすることによって、非晶質半導体層4全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図5において、縦軸は水素濃度を示し、横軸は非晶質半導体層4の厚さ方向における透明電極層2からの距離を示している。
また、たとえば図6に示すように、第1の非晶質p型半導体層41の導電率および第2の非晶質p型半導体層42の導電率をそれぞれ、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって連続的に高くすることによって、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の導電率を連続的に高くすることもできる。なお、図6において、縦軸は導電率を示し、横軸は非晶質半導体層4の厚さ方向における透明電極層2からの距離を示している。
非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の導電率が連続的に高くなっている場合には、たとえば図7に示すように、第1の非晶質p型半導体層41の炭素濃度および第2の非晶質p型半導体層42の炭素濃度をそれぞれ非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって連続的に低くすることによって、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の炭素濃度を連続的に低くすることが好ましい。非晶質半導体層4の炭素濃度が低いほど、非晶質半導体層4の導電率が高くなるため、第1の非晶質p型半導体層41の導電率よりも、第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることができる。また、第2の非晶質p型半導体層42は、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第1の非晶質p型半導体層41は、第2の非晶質p型半導体層42よりも、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第2の非晶質p型半導体層42の導電率の低下を相殺することができる。一方、炭素濃度が低いほど、光透明度が低くなるため、非晶質半導体層4全体に渡って炭素濃度を低くすると、非晶質半導体層4における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第1の非晶質p型半導体層41の炭素濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42の炭素濃度よりも高くすることによって、非晶質半導体層4全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図7において、縦軸は炭素濃度を示し、横軸は非晶質半導体層4の厚さ方向における透明電極層2からの距離を示している。
非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の導電率が連続的に高くなっている場合には、たとえば図8に示すように、第1の非晶質p型半導体層41のp型不純物のドーピング濃度および第2の非晶質p型半導体層42のp型不純物のドーピング濃度をそれぞれ非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって連続的に高くすることによって、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4のp型不純物のドーピング濃度を連続的に高くすることが好ましい。非晶質半導体層4のp型不純物のドーピング濃度が高いほど、非晶質半導体層4の導電率が高くなるため、第1の非晶質p型半導体層41の導電率よりも、第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることができる。また、第2の非晶質p型半導体層42は、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第1の非晶質p型半導体層41は、第2の非晶質p型半導体層42よりも、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第2の非晶質p型半導体層42の導電率の低下を相殺することができる。一方、p型不純物のドーピング濃度が高いほど、光透明度が低くなるため、非晶質半導体層4全体に渡ってp型不純物のドーピング濃度が高くすると、非晶質半導体層4における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第1の非晶質p型半導体層41のp型不純物のドーピング濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42のp型不純物のドーピング濃度よりも低くすることによって、非晶質半導体層4全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図8において、縦軸はp型不純物のドーピング濃度を示し、横軸は非晶質半導体層4の厚さ方向における透明電極層2からの距離を示している。
非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の導電率が連続的に高くなっている場合には、たとえば図9に示すように、第1の非晶質p型半導体層41の水素濃度および第2の非晶質p型半導体層42の水素濃度をそれぞれ非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって連続的に低くすることによって、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがって非晶質半導体層4の水素濃度を連続的に低くすることが好ましい。非晶質半導体層4の水素濃度が低いほど、非晶質半導体層4の導電率が高くなるため、第1の非晶質p型半導体層41の導電率よりも、第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることができる。また、第2の非晶質p型半導体層42は、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第1の非晶質p型半導体層41は、第2の非晶質p型半導体層42よりも、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第2の非晶質p型半導体層42の導電率の低下を相殺することができる。一方、水素濃度が低いほど、光透明度が低くなるため、非晶質半導体層4全体に渡って水素濃度を低くすると、非晶質半導体層4における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第1の非晶質p型半導体層41の水素濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第2の非晶質p型半導体層42の水素濃度よりも高くすることによって、非晶質半導体層4全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図9において、縦軸は水素濃度を示し、横軸は非晶質半導体層4の厚さ方向における透明電極層2からの距離を示している。
ここで、第1の非晶質p型半導体層41の導電率は、1×10-9[S/cm]以上1×10-5[S/cm]以下であることが好ましく、1×10-7[S/cm]以上1×10-6[S/cm]以下であることがより好ましい。第1の非晶質p型半導体層41の導電率が、1×10-9[S/cm]以上1×10-5[S/cm]である場合、特に、1×10-7[S/cm]以上1×10-6[S/cm]以下である場合には、非晶質半導体層4のバンドギャップが十分に大きくなって、絶縁性基板1側からの入射光の非晶質半導体層4での吸収量を十分に抑制することができることから、光電変換素子の変換効率を向上することができる。
また、第2の非晶質p型半導体層42の導電率は、1×10-7[S/cm]以上1×10-3[S/cm]以下であることが好ましく、1×10-6[S/cm]以上1×10-4[S/cm]以下であることがより好ましい。第2の非晶質p型半導体層42の導電率が、1×10-7[S/cm]以上1×10-3[S/cm]以下である場合、特に、1×10-6[S/cm]以上1×10-4[S/cm]以下である場合には、後述する微結晶p型半導体層31の形成時における第2の非晶質p型半導体層42へのプラズマダメージによる非晶質半導体層4の高抵抗化を相殺することによって、非晶質半導体層4と微結晶p型半導体層31との接触抵抗を低減することができるため、光電変換素子の変換効率を向上することができる。
なお、本実施の形態においては、非晶質半導体層4が第1の非晶質p型半導体層41と第2の非晶質p型半導体層42との2層からなる場合について説明したが、本発明においては、非晶質半導体層4は単層であってもよく、3層以上の複数層であってもよい。非晶質半導体層4が単層または3層以上の複数層である場合であっても、非晶質半導体層4の厚さ方向において透明電極層2から離れるにしたがって導電率がたとえば段階的または連続的に高くなっていればよい。
また、非晶質半導体層4が単層または3層以上の複数層である場合には、透明電極層2との界面における非晶質半導体層4の導電率、炭素濃度、p型不純物のドーピング濃度および水素濃度の好ましい範囲が、それぞれ、上記の第1の非晶質p型半導体層41の導電率、炭素濃度、p型不純物のドーピング濃度および水素濃度の好ましい範囲と一致し、微結晶p型半導体層31との界面における非晶質半導体層4の導電率、炭素濃度、p型不純物のドーピング濃度および水素濃度の好ましい範囲が、それぞれ、上記の第1の非晶質p型半導体層41の導電率、炭素濃度、p型不純物のドーピング濃度および水素濃度の好ましい範囲と一致していればよい。
(光電変換層)
光電変換層3は、微結晶p型半導体層31とi型半導体層32とn型半導体層33との積層体から構成されたpin接合を有している。なお、光電変換層3は、pin接合を1つのみ有する場合に限られず、複数のpin接合を有していてもよい。
光電変換層3は、微結晶p型半導体層31とi型半導体層32とn型半導体層33との積層体から構成されたpin接合を有している。なお、光電変換層3は、pin接合を1つのみ有する場合に限られず、複数のpin接合を有していてもよい。
(微結晶p型半導体層)
微結晶p型半導体層31としては、p型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、p型微結晶シリコン層、p型微結晶炭化シリコン層、またはp型微結晶窒化シリコン層などのp型層の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層を用いることができる。微結晶p型半導体層31が複数層から構成される場合には、すべての層が同一の半導体材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる半導体材料から形成されていてもよい。微結晶p型半導体層31にドープされるp型不純物元素としては、たとえばボロンなどを用いることができる。
微結晶p型半導体層31としては、p型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、p型微結晶シリコン層、p型微結晶炭化シリコン層、またはp型微結晶窒化シリコン層などのp型層の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層を用いることができる。微結晶p型半導体層31が複数層から構成される場合には、すべての層が同一の半導体材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる半導体材料から形成されていてもよい。微結晶p型半導体層31にドープされるp型不純物元素としては、たとえばボロンなどを用いることができる。
(i型半導体層)
i型半導体層32としては、i型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、非晶質シリコン層の単層若しくは複数層、または微結晶シリコン層の単層または複数層などを用いることができる。i型半導体層32は、p型不純物元素およびn型不純物元素のいずれもドープされない真性半導体であるが、微結晶p型半導体層31との界面近傍およびn型半導体層33との界面近傍ではそれぞれp型不純物元素およびn型不純物元素がi型半導体層32中に微量に含まれる場合がある。また、i型半導体層32のバンドギャップを制御するために、炭素、ゲルマニウム等の元素を積極的に添加した非晶質炭化シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム等を用いることもできる。
i型半導体層32としては、i型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、非晶質シリコン層の単層若しくは複数層、または微結晶シリコン層の単層または複数層などを用いることができる。i型半導体層32は、p型不純物元素およびn型不純物元素のいずれもドープされない真性半導体であるが、微結晶p型半導体層31との界面近傍およびn型半導体層33との界面近傍ではそれぞれp型不純物元素およびn型不純物元素がi型半導体層32中に微量に含まれる場合がある。また、i型半導体層32のバンドギャップを制御するために、炭素、ゲルマニウム等の元素を積極的に添加した非晶質炭化シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム等を用いることもできる。
(n型半導体層)
n型半導体層33としては、n型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、n型非晶質シリコン層、またはn型微結晶シリコン層などのn型層の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層などを用いることができる。n型半導体層33が複数層から構成される場合には、すべての層が同一の半導体材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる半導体材料から形成されていてもよい。n型半導体層33にドープされるn型不純物元素としては、たとえばリンなどを用いることができる。
n型半導体層33としては、n型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、n型非晶質シリコン層、またはn型微結晶シリコン層などのn型層の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層などを用いることができる。n型半導体層33が複数層から構成される場合には、すべての層が同一の半導体材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる半導体材料から形成されていてもよい。n型半導体層33にドープされるn型不純物元素としては、たとえばリンなどを用いることができる。
なお、微結晶p型半導体層31およびn型半導体層33としては、i型半導体層32と同一の半導体材料を用いてもよく、異なる半導体材料を用いてもよい。たとえば、微結晶p型半導体層31、i型半導体層32およびn型半導体層33にそれぞれ、p型微結晶シリコン層、i型非晶質シリコン層およびn型非晶質シリコン層を用いてもよい。
また、本明細書において、「非晶質シリコン」は「水素化非晶質シリコン」を含む概念であり、「微結晶シリコン」は「水素化微結晶シリコン」を含む概念である。
(透明導電層)
透明導電層5としては、光を透過させることができるとともに導電性を有する層を用いることができ、たとえば、酸化錫膜、ITO膜、酸化亜鉛膜、若しくはこれらの膜に微量の不純物を添加した膜の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層などを用いることができる。透明導電層5が複数層から構成される場合には、すべての層が同一の材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる材料から形成されていてもよい。
透明導電層5としては、光を透過させることができるとともに導電性を有する層を用いることができ、たとえば、酸化錫膜、ITO膜、酸化亜鉛膜、若しくはこれらの膜に微量の不純物を添加した膜の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層などを用いることができる。透明導電層5が複数層から構成される場合には、すべての層が同一の材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる材料から形成されていてもよい。
なお、透明導電層5を形成しなくてもよいが、入射光に対する光閉じ込め向上効果および光反射率向上効果が得られることに加えて、透明導電層5の存在によって、裏面電極層6を構成する原子がn型半導体層33に拡散をするのを抑制することができる点からは透明導電層5を形成することが好ましい。
(裏面電極層)
裏面電極層6としては、たとえば、導電性を有するとともに光の反射率の高い材料からなる層を用いることができる。光の反射率の高い材料からなる層としては、たとえばAg(銀)層、Al(アルミニウム)層またはこれらの層の積層体などが挙げられる。
裏面電極層6としては、たとえば、導電性を有するとともに光の反射率の高い材料からなる層を用いることができる。光の反射率の高い材料からなる層としては、たとえばAg(銀)層、Al(アルミニウム)層またはこれらの層の積層体などが挙げられる。
なお、裏面電極層6として導電性を有するとともに光の反射率の高い材料からなる層を用いた場合には、光電変換層3で吸収されなかった光を反射して光電変換層3に戻すことができるため、光電変換素子の変換効率の向上に寄与する。
(製造方法)
以下、図10〜図13の模式的断面図を参照して、実施の形態1の光電変換素子の製造方法の一例について説明する。まず、図10に示すように、絶縁性基板1の表面上に透明電極層2を形成する。ここで、透明電極層2は、たとえば、スパッタリング法、CVD法、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル法、スプレー法および電析法などの方法によって形成される。なお、絶縁性基板1の表面上に透明電極層2を形成する場合に限られず、予め透明電極層2が設けられた絶縁性基板1を入手してもよい。
以下、図10〜図13の模式的断面図を参照して、実施の形態1の光電変換素子の製造方法の一例について説明する。まず、図10に示すように、絶縁性基板1の表面上に透明電極層2を形成する。ここで、透明電極層2は、たとえば、スパッタリング法、CVD法、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル法、スプレー法および電析法などの方法によって形成される。なお、絶縁性基板1の表面上に透明電極層2を形成する場合に限られず、予め透明電極層2が設けられた絶縁性基板1を入手してもよい。
次に、図11に示すように、透明電極層2の表面に接するようにして第1の非晶質p型半導体層41を形成し、その後、第1の非晶質p型半導体層41の表面に接するようにして第2の非晶質p型半導体層42を形成することによって、非晶質半導体層4を形成する。ここで、第1の非晶質p型半導体層41および第2の非晶質p型半導体層42は、それぞれ、たとえばプラズマCVD法により形成することができ、第2の非晶質p型半導体層42の導電率が第1の非晶質p型半導体層41の導電率よりも高くなるように形成される。たとえば、プラズマCVD法により第1の非晶質p型半導体層41および第2の非晶質p型半導体層42を形成する場合には、第1の非晶質p型半導体層41の形成時と第2の非晶質p型半導体層42の形成時とで、プラズマCVD装置の成膜室内に導入される所定のガスの流量を変更すること等によって、第2の非晶質p型半導体層42の導電率を第1の非晶質p型半導体層41の導電率よりも高くすることができる。
なお、上述したように、非晶質半導体層4の導電率は、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるしたがってたとえば段階的または連続的に高くすることができる。また、上述したように、第2の非晶質p型半導体層42の炭素濃度を第1の非晶質p型半導体層41の炭素濃度よりも低くすることが好ましく、第2の非晶質p型半導体層42のp型不純物のドーピング濃度を第1の非晶質p型半導体層41のp型不純物のドーピング濃度よりも高くすることが好ましく、第2の非晶質p型半導体層42の水素濃度を第1の非晶質p型半導体層41の水素濃度よりも低くすることが好ましい。
次に、図12に示すように、非晶質半導体層4の表面に接するようにして微結晶p型半導体層31を形成し、その後、微結晶p型半導体層31上にi型半導体層32を形成し、さらにi型半導体層32上にn型半導体層33を形成する。ここで、微結晶p型半導体層31、i型半導体層32およびn型半導体層33は、それぞれ、プラズマCVD法により形成することができる。
次に、図13に示すように、n型半導体層33の表面上に透明導電層5を形成する。ここで、透明導電層5は、たとえば、スパッタリング法、CVD法、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル法、スプレー法および電析法などの方法によって形成することができる。
次に、図1に示すように、透明導電層5の表面上に裏面電極層6を形成して、実施の形態1の光電変換素子が製造される。ここで、裏面電極層6は、たとえば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スプレー法、スクリーン印刷法および電析法などの方法によって形成することができる。
なお、上記においては、1枚の絶縁性基板1上に1つの光電変換層3を形成する場合について説明したが、透明電極層2、光電変換層3、透明導電層5および裏面電極層6に分離溝を設ける等によって、1枚の絶縁性基板1上に複数の光電変換層3が直列に接続された構成としてもよい。
(作用・効果)
実施の形態1の光電変換素子は、上記の構成を有するため、以下の作用・効果を有する。すなわち、プラズマCVD法により微結晶p型半導体層31を形成する場合には、下地層となる非晶質半導体層4の表面にプラズマダメージによる欠陥が形成されるため、非晶質半導体層4と微結晶p型半導体層31との接触抵抗が高抵抗化する。そこで、微結晶p型半導体層31に隣接する非晶質半導体層4の表面を予め低抵抗化(高導電率化)しておくことによって、プラズマダメージによる高抵抗化を相殺することができる。
実施の形態1の光電変換素子は、上記の構成を有するため、以下の作用・効果を有する。すなわち、プラズマCVD法により微結晶p型半導体層31を形成する場合には、下地層となる非晶質半導体層4の表面にプラズマダメージによる欠陥が形成されるため、非晶質半導体層4と微結晶p型半導体層31との接触抵抗が高抵抗化する。そこで、微結晶p型半導体層31に隣接する非晶質半導体層4の表面を予め低抵抗化(高導電率化)しておくことによって、プラズマダメージによる高抵抗化を相殺することができる。
一方、半導体層の低抵抗化(高導電率化)と光透過性とは相反する特性であるため、非晶質半導体層4の全体を低抵抗化(高導電率化)した場合には、絶縁性基板1側からの入射光の非晶質半導体層4での吸収量が増大するため、光電変換素子の短絡電流量が低下するという問題が生じる。
そこで、実施の形態1の光電変換素子においては、非晶質半導体層4の光電変換層3側の導電率を非晶質半導体層4の透明導電層2側よりも高くし、好ましくは非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるにしたがって非晶質半導体層4の導電率を高くすることによって、微結晶p型半導体層31に隣接する側の非晶質半導体層4の領域のみを予め低抵抗化(高導電率化)しておき、透明電極層2に隣接する側の非晶質半導体層4の領域は低抵抗化(高導電率化)せずに光透過性を高くして非晶質半導体層4での入射光の吸収量の増大を抑えた構成としている。これにより、実施の形態1の光電変換素子においては、微結晶p型半導体層31の形成時におけるプラズマダメージによる非晶質半導体層4の高抵抗化を相殺して非晶質半導体層4と微結晶p型半導体層31との接触抵抗を低く抑えつつ、非晶質半導体層4における入射光の吸収量の増大を抑えることができるため、光電変換素子の変換効率を向上させることができる。
なお、実施の形態1の光電変換素子の非晶質半導体層4の導電率を、非晶質半導体層4の厚さ方向に透明電極層2から離れるにしたがって高くする場合には、上述のように、連続的に高くしても、段階的に高くしても同様の効果が得られる。
<実施の形態2>
(基本構成)
図14に、実施の形態2の光電変換素子の模式的な断面図を示す。図14に示すように、実施の形態2の光電変換素子は、光電変換層3上に設けられた中間コンタクト層7と、中間コンタクト層7上に設けられた透明導電層としての第2の非晶質半導体層8と、第2の非晶質半導体層8上に設けられた第2の光電変換層3aとを備えており、第2の光電変換層3aは、第2の微結晶p型半導体層31aと、第2のi型半導体層32aと、第2のn型半導体層33aとの積層体から構成されており、中間コンタクト層7と第2の微結晶p型半導体層31aとの間に隣接して配置された第2の非晶質半導体層8の第2の微結晶p型半導体層31a側の導電率が中間コンタクト層7側よりも高く、好ましくは第2の非晶質半導体層8の導電率が第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるにしたがって高くなっている点に特徴がある。
(基本構成)
図14に、実施の形態2の光電変換素子の模式的な断面図を示す。図14に示すように、実施の形態2の光電変換素子は、光電変換層3上に設けられた中間コンタクト層7と、中間コンタクト層7上に設けられた透明導電層としての第2の非晶質半導体層8と、第2の非晶質半導体層8上に設けられた第2の光電変換層3aとを備えており、第2の光電変換層3aは、第2の微結晶p型半導体層31aと、第2のi型半導体層32aと、第2のn型半導体層33aとの積層体から構成されており、中間コンタクト層7と第2の微結晶p型半導体層31aとの間に隣接して配置された第2の非晶質半導体層8の第2の微結晶p型半導体層31a側の導電率が中間コンタクト層7側よりも高く、好ましくは第2の非晶質半導体層8の導電率が第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるにしたがって高くなっている点に特徴がある。
ここで、第2の非晶質半導体層8は、中間コンタクト層7に接する第3の非晶質p型半導体層81と、第2の微結晶p型半導体層31aに接する第4の非晶質p型半導体層82との積層体から構成されている。
(中間コンタクト層)
中間コンタクト層7としては、半導体層よりも屈折率の低い材料が選択され、光電変換層3と第2の光電変換層3aとの間に挿入され、中間コンタクト層7で入射光のうちの短波長領域の光を光電変換層3側に選択的に反射させて、光電変換層3の光電変換効率を向上させることができる。中間コンタクト層7としては、一般的には、透明導電性金属酸化物層を用いることができ、たとえばITOまたはZnOなどを用いることができる。
中間コンタクト層7としては、半導体層よりも屈折率の低い材料が選択され、光電変換層3と第2の光電変換層3aとの間に挿入され、中間コンタクト層7で入射光のうちの短波長領域の光を光電変換層3側に選択的に反射させて、光電変換層3の光電変換効率を向上させることができる。中間コンタクト層7としては、一般的には、透明導電性金属酸化物層を用いることができ、たとえばITOまたはZnOなどを用いることができる。
(第2の非晶質半導体層)
第2の非晶質半導体層8は、第3の非晶質p型半導体層81と第4の非晶質p型半導体層82との積層体から構成されている。ここで、たとえば図15に示すように、第2の非晶質半導体層8においては、第3の非晶質p型半導体層81の導電率よりも第4の非晶質p型半導体層82の導電率の方が高くなっているため、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の導電率が段階的に高くなっている。なお、図15において、縦軸は導電率を示し、横軸は第2の非晶質半導体層8の厚さ方向における中間コンタクト層7からの距離を示している。
第2の非晶質半導体層8は、第3の非晶質p型半導体層81と第4の非晶質p型半導体層82との積層体から構成されている。ここで、たとえば図15に示すように、第2の非晶質半導体層8においては、第3の非晶質p型半導体層81の導電率よりも第4の非晶質p型半導体層82の導電率の方が高くなっているため、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の導電率が段階的に高くなっている。なお、図15において、縦軸は導電率を示し、横軸は第2の非晶質半導体層8の厚さ方向における中間コンタクト層7からの距離を示している。
第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の導電率が段階的に高くなっている場合には、たとえば図16に示すように、第3の非晶質半導体層81の炭素濃度よりも第4の非晶質半導体層82の炭素濃度の方を低くすることによって、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の炭素濃度を段階的に低くすることが好ましい。第2の非晶質半導体層8の炭素濃度が低いほど、第2の非晶質半導体層8の導電率が高くなるため、第3の非晶質p型半導体層81の導電率よりも、第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることができる。また、第4の非晶質p型半導体層82は、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第3の非晶質p型半導体層81は、第4の非晶質p型半導体層82よりも、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第4の非晶質p型半導体層82の導電率の低下を相殺することができる。一方、炭素濃度が低いほど、光透明度が低くなるため、第2の非晶質半導体層8全体に渡って炭素濃度を低くすると、第2の非晶質半導体層8における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第3の非晶質p型半導体層81の炭素濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82の炭素濃度よりも高くすることによって、第2の非晶質半導体層8全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図16において、縦軸は炭素濃度を示し、横軸は第2の非晶質半導体層8の厚さ方向における中間コンタクト層7からの距離を示している。
第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の導電率が段階的に高くなっている場合には、たとえば図17に示すように、第3の非晶質p型半導体層81のp型不純物のドーピング濃度よりも第4の非晶質p型半導体層82のp型不純物のドーピング濃度の方を高くすることによって、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8のp型不純物のドーピング濃度を段階的に高くすることが好ましい。第2の非晶質半導体層8のp型不純物のドーピング濃度が高いほど、第2の非晶質半導体層8の導電率が高くなるため、第3の非晶質p型半導体層81の導電率よりも、第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることができる。また、第4の非晶質p型半導体層82は、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第3の非晶質p型半導体層81は、第4の非晶質p型半導体層82よりも、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第4の非晶質p型半導体層82の導電率の低下を相殺することができる。一方、炭素濃度が低いほど、光透明度が低くなるため、第2の非晶質半導体層8全体に渡ってp型不純物のドーピング濃度を高くすると、第2の非晶質半導体層8における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第3の非晶質p型半導体層81のp型不純物のドーピング濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82のp型不純物のドーピング濃度よりも低くすることによって、第2の非晶質半導体層8全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図17において、縦軸はp型不純物のドーピング濃度を示し、横軸は第2の非晶質半導体層8の厚さ方向における中間コンタクト層7からの距離を示している。また、p型不純物としては、たとえば、ボロンなどを挙げることができる。
第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の導電率が段階的に高くなっている場合には、たとえば図18に示すように、第3の非晶質p型半導体層81の水素濃度よりも第4の非晶質p型半導体層82の水素濃度の方を低くすることによって、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の水素濃度を段階的に低くすることが好ましい。第2の非晶質半導体層8の水素濃度が低いほど、第2の非晶質半導体層8の導電率が高くなるため、第3の非晶質p型半導体層81の導電率よりも、第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることができる。また、第4の非晶質p型半導体層82は、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第3の非晶質p型半導体層81は、第4の非晶質p型半導体層82よりも、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第4の非晶質p型半導体層82の導電率の低下を相殺することができる。一方、水素濃度が低いほど、光透明度が低くなるため、第2の非晶質半導体層8全体に渡って水素濃度を低くすると、第2の非晶質半導体層8における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第3の非晶質p型半導体層81の炭素濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82の水素濃度よりも高くすることによって、第2の非晶質半導体層8全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図18において、縦軸は水素濃度を示し、横軸は第2の非晶質半導体層8の厚さ方向における中間コンタクト層7からの距離を示している。
また、たとえば図19に示すように、第3の非晶質p型半導体層81の導電率および第4の非晶質p型半導体層82の導電率をそれぞれ、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって連続的に高くすることによって、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の導電率を連続的に高くすることもできる。なお、図19において、縦軸は導電率を示し、横軸は第2の非晶質半導体層8の厚さ方向における中間コンタクト層7からの距離を示している。
第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の導電率が連続的に高くなっている場合には、たとえば図20に示すように、第3の非晶質p型半導体層81の炭素濃度および第4の非晶質p型半導体層82の炭素濃度をそれぞれ第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって連続的に低くすることによって、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の炭素濃度を連続的に低くすることが好ましい。第2の非晶質半導体層8の炭素濃度が低いほど、第2の非晶質半導体層8の導電率が高くなるため、第3の非晶質p型半導体層81の導電率よりも、第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることができる。また、第4の非晶質p型半導体層82は、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第3の非晶質p型半導体層81は、第4の非晶質p型半導体層82よりも、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第4の非晶質p型半導体層82の導電率の低下を相殺することができる。一方、炭素濃度が低いほど、光透明度が低くなるため、第2の非晶質半導体層8全体に渡って炭素濃度を低くすると、第2の非晶質半導体層8における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第3の非晶質p型半導体層81の炭素濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82の炭素濃度よりも高くすることによって、第2の非晶質半導体層8全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図20において、縦軸は炭素濃度を示し、横軸は第2の非晶質半導体層8の厚さ方向における中間コンタクト層7からの距離を示している。
第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の導電率が連続的に高くなっている場合には、たとえば図21に示すように、第3の非晶質p型半導体層81のp型不純物のドーピング濃度および第4の非晶質p型半導体層82のp型不純物のドーピング濃度をそれぞれ第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって連続的に高くすることによって、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8のp型不純物のドーピング濃度を連続的に高くすることが好ましい。第2の非晶質半導体層8の水素濃度が低いほど、第2の非晶質半導体層8の導電率が高くなるため、第3の非晶質p型半導体層81の導電率よりも、第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることができる。また、第4の非晶質p型半導体層82は、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第3の非晶質p型半導体層81は、第4の非晶質p型半導体層82よりも、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第4の非晶質p型半導体層82の導電率の低下を相殺することができる。一方、水素濃度が低いほど、光透明度が低くなるため、第2の非晶質半導体層8全体に渡って水素濃度を低くすると、第2の非晶質半導体層8における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第3の非晶質p型半導体層81の炭素濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82の水素濃度よりも高くすることによって、第2の非晶質半導体層8全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図21において、縦軸はp型不純物のドーピング濃度を示し、横軸は第2の非晶質半導体層8の厚さ方向における中間コンタクト層7からの距離を示している。
第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の導電率が連続的に高くなっている場合には、たとえば図22に示すように、第3の非晶質p型半導体層81の水素濃度および第4の非晶質p型半導体層82の水素濃度をそれぞれ第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって連続的に低くすることによって、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがって第2の非晶質半導体層8の水素濃度を連続的に低くすることが好ましい。第2の非晶質半導体層8の水素濃度が低いほど、第2の非晶質半導体層8の導電率が高くなるため、第3の非晶質p型半導体層81の導電率よりも、第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることができる。また、第4の非晶質p型半導体層82は、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマの高速荷電粒子の衝突によるダメージを受け、欠陥密度が増加する結果、導電率が低下し、光電変換素子の直列抵抗が上昇し、光電変換素子の変換効率が低下する問題がある。一方、第3の非晶質p型半導体層81は、第4の非晶質p型半導体層82よりも、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマダメージを受け難い。したがって、プラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82の導電率を高くすることによって、プラズマダメージによる第4の非晶質p型半導体層82の導電率の低下を相殺することができる。一方、水素濃度が低いほど、光透明度が低くなるため、第2の非晶質半導体層8全体に渡って水素濃度を低くすると、第2の非晶質半導体層8における光吸収損失が増加し、短絡電流量の低下を伴う。そこで、プラズマダメージの影響を受け難い第3の非晶質p型半導体層81の炭素濃度をプラズマダメージの影響を受け易い第4の非晶質p型半導体層82の水素濃度よりも高くすることによって、第2の非晶質半導体層8全体での光吸収の損失を抑制することができ、光電変換素子の変換効率を向上することができる。なお、図22において、縦軸は水素濃度を示し、横軸は第2の非晶質半導体層8の厚さ方向における中間コンタクト層7からの距離を示している。
ここで、第3の非晶質p型半導体層81の導電率は、1×10-9[S/cm]以上1×10-5[S/cm]以下であることが好ましく、1×10-7[S/cm]以上1×10-6[S/cm]以下であることがより好ましい。第3の非晶質p型半導体層81の導電率が、1×10-9[S/cm]以上1×10-5[S/cm]以下である場合、特に、1×10-7[S/cm]以上1×10-6[S/cm]以下である場合には、第2の非晶質半導体層8のバンドギャップが十分に大きくなって、絶縁性基板1側からの入射光の第2の非晶質半導体層8での吸収量を十分に抑制することができることから、光電変換素子の変換効率を向上することができる。
また、第4の非晶質p型半導体層82の導電率は、1×10-7[S/cm]以上1×10-3[S/cm]以下であることが好ましく、1×10-6[S/cm]以上1×10-4[S/cm]以下であることがより好ましい。第4の非晶質p型半導体層82の導電率が、1×10-7[S/cm]以上1×10-3[S/cm]以下である場合、特に、1×10-6[S/cm]以上1×10-4[S/cm]以下である場合には、後述する第2の微結晶p型半導体層31aの形成時における第4の非晶質p型半導体層82へのプラズマダメージによる第2の非晶質半導体層8の高抵抗化を相殺することによって、第2の非晶質半導体層8と第2の微結晶p型半導体層31aとの接触抵抗を低減することができるため、光電変換素子の変換効率を向上することができる。
なお、本実施の形態においては、第2の非晶質半導体層8が第3の非晶質p型半導体層81と第4の非晶質p型半導体層82との2層からなる場合について説明したが、本発明においては、第2の非晶質半導体層8は単層であってもよく、3層以上の複数層であってもよい。第2の非晶質半導体層8が単層または3層以上の複数層である場合であっても、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向において中間コンタクト層7から離れるにしたがって導電率がたとえば段階的または連続的に高くなっていればよい。
また、第2の非晶質半導体層8が単層または3層以上の複数層である場合には、中間コンタクト層7との界面における第2の非晶質半導体層8の導電率、炭素濃度、p型不純物のドーピング濃度および水素濃度の好ましい範囲が、それぞれ、上記の第3の非晶質p型半導体層81の導電率、炭素濃度、p型不純物のドーピング濃度および水素濃度の好ましい範囲と一致し、第2の微結晶p型半導体層31aとの界面における第2の非晶質半導体層8の導電率、炭素濃度、p型不純物のドーピング濃度および水素濃度の好ましい範囲が、それぞれ、上記の第4の非晶質p型半導体層82の導電率、炭素濃度、p型不純物のドーピング濃度および水素濃度の好ましい範囲と一致していればよい。
(第2の光電変換層)
第2の光電変換層3aは、第2の微結晶p型半導体層31aと、第2のi型半導体層32aと、第2のn型半導体層33aとの積層体から構成されたpin接合を有している。なお、第2の光電変換層3aは、pin接合を1つのみ有する場合に限られず、複数のpin接合を有していてもよい。
第2の光電変換層3aは、第2の微結晶p型半導体層31aと、第2のi型半導体層32aと、第2のn型半導体層33aとの積層体から構成されたpin接合を有している。なお、第2の光電変換層3aは、pin接合を1つのみ有する場合に限られず、複数のpin接合を有していてもよい。
(第2の微結晶p型半導体層)
第2の微結晶p型半導体層31aとしては、p型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、p型微結晶シリコン層、p型微結晶炭化シリコン層、またはp型微結晶窒化シリコン層などのp型層の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層を用いることができる。第2の微結晶p型半導体層31aが複数層から構成される場合には、すべての層が同一の半導体材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる半導体材料から形成されていてもよい。第2の微結晶p型半導体層31aにドープされるp型不純物元素としては、たとえばボロンなどを用いることができる。
第2の微結晶p型半導体層31aとしては、p型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、p型微結晶シリコン層、p型微結晶炭化シリコン層、またはp型微結晶窒化シリコン層などのp型層の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層を用いることができる。第2の微結晶p型半導体層31aが複数層から構成される場合には、すべての層が同一の半導体材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる半導体材料から形成されていてもよい。第2の微結晶p型半導体層31aにドープされるp型不純物元素としては、たとえばボロンなどを用いることができる。
(第2のi型半導体層)
第2のi型半導体層32aとしては、i型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、非晶質シリコン層の単層若しくは複数層、または微結晶シリコン層の単層または複数層などを用いることができる。第2のi型半導体層32aは、p型不純物元素およびn型不純物元素のいずれもドープされない真性半導体であるが、第2の微結晶p型半導体層31aとの界面近傍および第2のn型半導体層33aとの界面近傍ではそれぞれp型不純物元素およびn型不純物元素が第2のi型半導体層32a中に微量に含まれる場合がある。また、第2のi型半導体層32aのバンドギャップを制御するために、炭素、ゲルマニウム等の元素を積極的に添加した非晶質炭化シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム等を用いることもできる。
第2のi型半導体層32aとしては、i型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、非晶質シリコン層の単層若しくは複数層、または微結晶シリコン層の単層または複数層などを用いることができる。第2のi型半導体層32aは、p型不純物元素およびn型不純物元素のいずれもドープされない真性半導体であるが、第2の微結晶p型半導体層31aとの界面近傍および第2のn型半導体層33aとの界面近傍ではそれぞれp型不純物元素およびn型不純物元素が第2のi型半導体層32a中に微量に含まれる場合がある。また、第2のi型半導体層32aのバンドギャップを制御するために、炭素、ゲルマニウム等の元素を積極的に添加した非晶質炭化シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム等を用いることもできる。
(第2のn型半導体層)
第2のn型半導体層33aとしては、n型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、n型非晶質シリコン層、またはn型微結晶シリコン層などのn型層の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層などを用いることができる。第2のn型半導体層33aが複数層から構成される場合には、すべての層が同一の半導体材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる半導体材料から形成されていてもよい。第2のn型半導体層33aにドープされるn型不純物元素としては、たとえばリンなどを用いることができる。
第2のn型半導体層33aとしては、n型の半導体からなる層を用いることができ、たとえば、n型非晶質シリコン層、またはn型微結晶シリコン層などのn型層の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層などを用いることができる。第2のn型半導体層33aが複数層から構成される場合には、すべての層が同一の半導体材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる半導体材料から形成されていてもよい。第2のn型半導体層33aにドープされるn型不純物元素としては、たとえばリンなどを用いることができる。
なお、第2の微結晶p型半導体層31aおよび第2のn型半導体層33aとしては、第2のi型半導体層32aと同一の半導体材料を用いてもよく、異なる半導体材料を用いてもよい。たとえば、第2の微結晶p型半導体層31a、第2のi型半導体層32aおよび第2のn型半導体層33aにそれぞれ、p型微結晶シリコン層、i型非晶質シリコン層およびn型非晶質シリコン層を用いてもよい。
(製造方法)
以下、図23〜図25の模式的断面図を参照して、実施の形態2の光電変換素子の製造方法の一例について説明する。まず、実施の形態1と同様にして、絶縁性基板1の表面上に、透明電極層2、非晶質半導体層4および光電変換層3をこの順に形成する。
以下、図23〜図25の模式的断面図を参照して、実施の形態2の光電変換素子の製造方法の一例について説明する。まず、実施の形態1と同様にして、絶縁性基板1の表面上に、透明電極層2、非晶質半導体層4および光電変換層3をこの順に形成する。
次に、図23に示すように、光電変換層3のn型半導体層33と接するようにして中間コンタクト層7を形成する。中間コンタクト層7は、たとえば、スパッタ法により形成することができる。
次に、図24に示すように、中間コンタクト層7の表面に接するようにして第3の非晶質p型半導体層81を形成し、その後、第3の非晶質p型半導体層81の表面に接するようにして第2の非晶質p型半導体層82を形成することによって、第2の非晶質半導体層8を形成する。ここで、第3の非晶質p型半導体層81および第4の非晶質p型半導体層82は、それぞれ、たとえばプラズマCVD法により形成することができ、第4の非晶質p型半導体層82の導電率が第3の非晶質p型半導体層81の導電率よりも高くなるように形成される。たとえば、プラズマCVD法により第3の非晶質p型半導体層81および第4の非晶質p型半導体層82を形成する場合には、第3の非晶質p型半導体層81の形成時と第4の非晶質p型半導体層82の形成時とで、プラズマCVD装置の成膜室内に導入される所定のガスの流量を変更すること等によって、第4の非晶質p型半導体層82の導電率を第3の非晶質p型半導体層81の導電率よりも高くすることができる。
なお、上述したように、第2の非晶質半導体層8の導電率は、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるしたがってたとえば段階的または連続的に高くすることができる。また、上述したように、第4の非晶質p型半導体層82の炭素濃度を第3の非晶質p型半導体層81の炭素濃度よりも低くすることが好ましく、第4の非晶質p型半導体層82のp型不純物のドーピング濃度を第3の非晶質p型半導体層81のp型不純物のドーピング濃度よりも高くすることが好ましく、第4の非晶質p型半導体層82の水素濃度を第3の非晶質p型半導体層81の水素濃度よりも低くすることが好ましい。
次に、図25に示すように、第2の非晶質半導体層8の表面に接するようにして第2の微結晶p型半導体層31aを形成し、その後、第2の微結晶p型半導体層31a上に第2のi型半導体層32aを形成し、さらに第2のi型半導体層32a上に第2のn型半導体層33aを形成する。ここで、第2の微結晶p型半導体層31a、第2のi型半導体層32aおよび第2のn型半導体層33aは、それぞれ、プラズマCVD法により形成することができる。
次に、図14に示すように、第2のn型半導体層33a上に、透明導電層5および裏面電極層6をこの順に形成して、実施の形態2の光電変換素子が製造される。
(作用・効果)
実施の形態2の光電変換素子は、上記の構成を有するため、実施の形態1の光電変換素子によって得られる作用・効果に加えて、以下の作用・効果を有する。すなわち、プラズマCVD法により第2の微結晶p型半導体層31aを形成する場合には、下地層となる第2の非晶質半導体層8の表面にプラズマダメージによる欠陥が形成されるため、第2の非晶質半導体層8と第2の微結晶p型半導体層31aとの接触抵抗が高抵抗化する。そこで、第2の微結晶p型半導体層31aに隣接する第2の非晶質半導体層8の表面を予め低抵抗化(高導電率化)しておくことによって、プラズマダメージによる高抵抗化を相殺することができる。
実施の形態2の光電変換素子は、上記の構成を有するため、実施の形態1の光電変換素子によって得られる作用・効果に加えて、以下の作用・効果を有する。すなわち、プラズマCVD法により第2の微結晶p型半導体層31aを形成する場合には、下地層となる第2の非晶質半導体層8の表面にプラズマダメージによる欠陥が形成されるため、第2の非晶質半導体層8と第2の微結晶p型半導体層31aとの接触抵抗が高抵抗化する。そこで、第2の微結晶p型半導体層31aに隣接する第2の非晶質半導体層8の表面を予め低抵抗化(高導電率化)しておくことによって、プラズマダメージによる高抵抗化を相殺することができる。
一方、半導体層の低抵抗化(高導電率化)と光透過性とは相反する特性であるため、第2の非晶質半導体層8の全体を低抵抗化(高導電率化)した場合には、絶縁性基板1側からの入射光の第2の非晶質半導体層8での吸収量が増大するため、光電変換素子の短絡電流量が低下するという問題が生じる。
そこで、実施の形態2の光電変換素子においては、第2の非晶質半導体層8の厚さ方向に中間コンタクト層7から離れるにしたがって第2の非晶質半導体層8の導電率を高くすることによって、第2の微結晶p型半導体層31aに隣接する側の第2の非晶質半導体層8の領域のみを予め低抵抗化(高導電率化)しておき、中間コンタクト層7に隣接する側の第2の非晶質半導体層8の領域は低抵抗化(高導電率化)せずに光透過性を高くして第2の非晶質半導体層8での入射光の吸収量の増大を抑えた構成としている。これにより、実施の形態2の光電変換素子においては、第2の微結晶p型半導体層31aの形成時におけるプラズマダメージによる第2の非晶質半導体層8の高抵抗化を相殺して第2の非晶質半導体層8と第2の微結晶p型半導体層31aとの接触抵抗を低く抑えつつ、第2の非晶質半導体層8における入射光の吸収量の増大を抑えることができるため、光電変換素子の変換効率を向上させることができる。
なお、実施の形態2の光電変換素子の第2の非晶質半導体層8の導電率を、中間コンタクト層7から離れるにしたがって高くする場合には、上述のように、連続的に高くしても、段階的に高くしても同様の効果が得られる。
本実施の形態における上記以外の説明は、実施の形態1と同様であるため、その説明については省略する。
<実施例1>
まず、長辺長さ1400mm×短辺長さ1000mm×厚さ3.9mmの表面を有する無アルカリガラスのガラス基板の当該表面上に予めCVD法により酸化錫層が形成された基板を用意した。なお、酸化錫層の表面は、光閉じ込め効果に有効なテクスチャ構造を有していた。
まず、長辺長さ1400mm×短辺長さ1000mm×厚さ3.9mmの表面を有する無アルカリガラスのガラス基板の当該表面上に予めCVD法により酸化錫層が形成された基板を用意した。なお、酸化錫層の表面は、光閉じ込め効果に有効なテクスチャ構造を有していた。
次に、上記の酸化錫層を備えた基板をプラズマCVD装置の成膜室内に設置し、プラズマCVD装置の成膜室の内部の圧力が0.1Paとなるまで成膜室内のガスを排気した後に、成膜室内にSiH4ガス(流量:2sccm)、H2ガス(流量:50sccm)、B2H6ガス(流量:12sccm)およびCH4ガス(流量:5sccm)を導入して、プラズマCVD法により、酸化錫層の表面上に厚さ1.4nmの第1の非晶質p型シリコン層(バンドギャップ:1.98[eV]、活性化エネルギー:0.47[eV])を形成した。
次に、CH4ガスの流量を1sccmに変更して、プラズマCVD法により、第1の非晶質p型シリコン層の表面上に厚さ3.6nmの第2の非晶質p型シリコン層(バンドギャップ:1.78[eV]、活性化エネルギー:0.42[eV])を形成した。
次に、SiH4ガスの流量を2.5sccmに変更し、H2ガスの流量を560sccmに変更し、B2H6ガスの流量を6sccmに変更し、CH4ガスの流量を2sccmに変更して、プラズマCVD法により、第2の非晶質p型シリコン層の表面上に厚さ10nmの微結晶p型シリコン層(バンドギャップ:2.03[eV]、活性化エネルギー:0.05[eV])を形成した。
次に、プラズマCVD装置の成膜室内へのガスの導入を停止し、成膜室の内部の圧力が0.1Paとなるまで成膜室中のガスを排気した後、成膜室内にSiH4ガス(流量:10sccm)およびH2ガス(流量:130sccm)を導入して、プラズマCVD法により、微結晶p型シリコン層の表面上に厚さ460nmのノンドープ非晶質i型シリコン層(バンドギャップ:1.74[eV]、活性化エネルギー:0.73[eV])を形成した。
次に、プラズマCVD装置の成膜室内へのガスの導入を停止し、成膜室の内部の圧力が0.1Paとなるまで成膜室内のガスを排気した後、成膜室内にSiH4ガス(流量:18sccm)、H2ガス(流量:170sccm)およびPH3ガス(流量:50sccm)を導入して、プラズマCVD法により、ノンドープ非晶質i型シリコン層の表面上に厚さ20nmの非晶質n型シリコン層(バンドギャップ:1.80[eV]、活性化エネルギー:0.20[eV])を形成した。
なお、上記の第1の非晶質p型シリコン層、第2の非晶質p型シリコン層、微結晶p型シリコン層、ノンドープ非晶質i型シリコン層および非晶質n型シリコン層の形成時における基板温度は200℃であり、RFパワーは10〜50Wであって、成膜室内の圧力は0.1〜5Torrであった。また、表1に、上記の第1の非晶質p型シリコン層、第2の非晶質p型シリコン層、微結晶p型シリコン層、ノンドープ非晶質i型シリコン層および非晶質n型シリコン層のそれぞれの形成時に成膜室内に供給されるガスの流量をまとめる。
次に、非晶質n型シリコン層の形成後のガラス基板をプラズマCVD装置から取り出してマグネトロンスパッタリング装置内に設置し、マグネトロンスパッタリング法によって非晶質n型シリコン層の表面上に酸化亜鉛層を形成し、その後銀層を形成した。以上のようにして、実施例1の光電変換素子を作製した。
表2に、実施例1の光電変換素子の第1の非晶質p型シリコン層、第2の非晶質p型シリコン層、微結晶p型シリコン層、ノンドープ非晶質i型シリコン層および非晶質n型シリコン層のバンドギャップ、活性化エネルギーおよび厚さをまとめる。
また、第1の非晶質p型シリコン層の導電率は2×10-7[S/cm]であり、第2の非晶質p型シリコン層の導電率は1×10-5[S/cm]であった。なお、第1の非晶質p型シリコン層および第2の非晶質p型シリコン層の導電率はそれぞれ、電流電圧評価によって測定された。
<実施例2>
第1の非晶質p型シリコン層の厚さを3.6nmとし、第2の非晶質p型シリコン層の厚さを1.4nmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の光電変換素子を作製した。
第1の非晶質p型シリコン層の厚さを3.6nmとし、第2の非晶質p型シリコン層の厚さを1.4nmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の光電変換素子を作製した。
表3に、実施例2の光電変換素子の第1の非晶質p型シリコン層、第2の非晶質p型シリコン層、微結晶p型シリコン層、ノンドープ非晶質i型シリコン層および非晶質n型シリコン層のバンドギャップ、活性化エネルギーおよび厚さをまとめる。
<比較例1>
第1の非晶質p型シリコン層の厚さを5nmとし、第2の非晶質p型シリコン層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の光電変換素子を作製した。
第1の非晶質p型シリコン層の厚さを5nmとし、第2の非晶質p型シリコン層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の光電変換素子を作製した。
表4に、比較例1の光電変換素子の第1の非晶質p型シリコン層、微結晶p型シリコン層、ノンドープ非晶質i型シリコン層および非晶質n型シリコン層のバンドギャップ、活性化エネルギーおよび厚さをまとめる。
<比較例2>
第1の非晶質p型シリコン層を形成せず、第2の非晶質p型シリコン層の厚さを5nmとしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の光電変換素子を作製した。
第1の非晶質p型シリコン層を形成せず、第2の非晶質p型シリコン層の厚さを5nmとしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の光電変換素子を作製した。
表5に、比較例2の光電変換素子の第2の非晶質p型シリコン層、微結晶p型シリコン層、ノンドープ非晶質i型シリコン層および非晶質n型シリコン層のバンドギャップ、活性化エネルギーおよび厚さをまとめる。
<評価>
実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の光電変換素子のそれぞれについて、25℃の温度でAM1.5、エネルギ密度100[mW/cm2]の擬似太陽光をガラス基板側から照射することによって、電流−電圧曲線(I−V曲線)を求め、I−V曲線から、短絡電流密度(Jsc)[mA/cm2]、開放電圧(Voc)[V]、曲線因子(FF)および変換効率(Eff)[%]を求めた。その結果を表6に示す。
実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の光電変換素子のそれぞれについて、25℃の温度でAM1.5、エネルギ密度100[mW/cm2]の擬似太陽光をガラス基板側から照射することによって、電流−電圧曲線(I−V曲線)を求め、I−V曲線から、短絡電流密度(Jsc)[mA/cm2]、開放電圧(Voc)[V]、曲線因子(FF)および変換効率(Eff)[%]を求めた。その結果を表6に示す。
表6に示すように、実施例1〜2の光電変換素子は、比較例1〜2の光電変換素子よりも優れた変換効率を有することが確認された。
また、表6に示すように、実施例1〜2および比較例1〜2の光電変換素子の第1の非晶質p型シリコン層と第2の非晶質p型シリコン層との総厚はすべて5nmであるが、低導電率の第1の非晶質p型シリコン層の厚さが薄い順に短絡電流密度が大きくなることが確認された。これは、高導電率の第2の非晶質p型シリコン層の方が、低導電率の第1の非晶質p型シリコン層と比べて、ガラス基板側からの入射光の吸収量が多いことを意味している。
また、表6に示すように、高導電率の第2の非晶質p型シリコン層の厚さが厚い順にFFが大きくなることが確認された。これは、低導電率の第1の非晶質p型シリコン層の厚さが増加すると直列抵抗が増加してFFが小さくなることを意味している。
また、表6に示すように、開放電圧も高導電率の第2の非晶質p型シリコン層の厚さが厚くなると増加する傾向にあった。しかしながら、開放電圧は、FFと異なり、短絡電流密度の低下に引きづられて低下する傾向があるため、必ずしも第2の非晶質p型シリコン層の厚さが厚い順に開放電圧が大きくなるわけではなかった。
なお、光電変換素子の変換効率は、短絡電流密度、開放電圧およびFFの積であるため第1の非晶質p型シリコン層および第2の非晶質p型シリコン層の厚さはそれぞれ所定の値で極大値を有する。上記の検討によれば、第1の非晶質p型シリコン層の厚さは1.4nm程度が良く、第2の非晶質p型シリコン層の厚さは3.6nm程度が良いと考えられる。
図26に、実施例1〜2および比較例1〜2の光電変換素子の第2の非晶質p型シリコン層の厚さ[nm]と短絡電流密度[mA/cm2]との関係を示す。また、図27に、実施例1〜2および比較例1〜2の光電変換素子の第2の非晶質p型シリコン層の厚さ[nm]と開放電圧[V]との関係を示す。また、図28に、実施例1〜2および比較例1〜2の光電変換素子の第2の非晶質p型シリコン層の厚さ[nm]とFFとの関係を示す。さらに、図29に、実施例1〜2および比較例1〜2の光電変換素子の第2の非晶質p型シリコン層の厚さ[nm]と変換効率[%]との関係を示す。
また、上記においては、pin接合を1つのみ有する光電変換素子について検討したが、pin接合を2つ有するタンデム型、pin接合を2つ有するトリプル型といった積層型光電変換素子についても同様の効果が得られる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、光電変換素子および光電変換素子の製造方法に利用することができ、特に薄膜太陽電池および薄膜太陽電池の製造方法に好適に利用することができる。
1 絶縁性基板、2 透明電極層、3 光電変換層、3a 第2の光電変換層、4 非晶質半導体層、5 透明導電層、6 裏面電極層、7 中間コンタクト層、8 第2の非晶質半導体層、31 微結晶p型半導体層、32 i型半導体層、33 n型半導体層、41 第1の非晶質p型半導体層、42 第2の非晶質p型半導体層、81 第3の非晶質p型半導体層、82 第4の非晶質p型半導体層。
Claims (10)
- 透明導電層と、
前記透明導電層上に設けられた光電変換層と、を備え、
前記光電変換層は、微結晶p型半導体層と、i型半導体層と、n型半導体層とを含み、
前記透明導電層と前記微結晶p型半導体層との間に非晶質半導体層が隣接して配置され、
前記非晶質半導体層の前記光電変換層側の導電率が、前記透明導電層側よりも高い、光電変換素子。 - 前記非晶質半導体層は、非晶質p型半導体層であり、
前記非晶質p型半導体層の前記光電変換層側の炭素濃度が、前記透明導電層側よりも低い、請求項1に記載の光電変換素子。 - 前記非晶質半導体層は、非晶質p型半導体層であり、
前記非晶質p型半導体層の前記光電変換層側のp型不純物のドーピング濃度が、前記透明導電層側よりも高い、請求項1に記載の光電変換素子。 - 前記非晶質半導体層は、非晶質p型半導体層であり、
前記非晶質p型半導体層の前記光電変換層側の水素濃度が、前記透明導電層側よりも低い、請求項1に記載の光電変換素子。 - 前記透明導電層から離れるにしたがって前記非晶質半導体層の導電率が段階的に高くなる、請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記透明導電層から離れるにしたがって前記非晶質半導体層の導電率が連続的に高くなる、請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記透明導電層が透明電極層である、請求項1から6のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記透明導電層が中間コンタクト層である、請求項1から6のいずれかに記載の光電変換素子。
- 透明導電層上に非晶質半導体層を形成する工程と、
前記非晶質半導体層上に微結晶p型半導体層を形成する工程と、
前記微結晶p型半導体層上にi型半導体層を形成する工程と、
前記i型半導体層上にn型半導体層を形成する工程と、を含み、
前記非晶質半導体層を形成する工程においては、前記非晶質半導体層の導電率が前記透明導電層側よりも前記微結晶p型半導体層側が高くなるように前記非晶質半導体層を形成する、光電変換素子の製造方法。 - 前記非晶質半導体層は、前記透明導電層側に位置する第1の非晶質半導体層と、前記微結晶p型半導体層側に位置する第2の非晶質半導体層とを含み、
前記非晶質半導体層を形成する工程においては、前記第2の非晶質半導体層の導電率が前記第1の非晶質半導体層の導電率よりも高くなるように前記非晶質半導体層を形成する、請求項9に記載の光電変換素子の製造方法。
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