JP2013083314A - 駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 逆入力遮断クラッチのロック状態を解除するための駆動トルクを低減する駆動装置を提供する。
【解決手段】 駆動装置10の逆入力遮断クラッチ30は、中間軸12の停止時、ロック状態となり、負荷側からの逆入力トルクを遮断する。モータ17が停止状態から始動するとき(図8(a))、カップリング20の遊び角度θの範囲では、入力ロータ21が中間ロータ22に対して空転する。そのため、駆動トルクTmは、入力軸11からバイパス経路Rbを経由し、減速し且つ増力されて中間軸12に伝達される。これにより、駆動トルクTmが直接中間軸12に伝達される場合に対し、逆入力遮断クラッチ30のロック状態を解除するための駆動トルクTmを低減することができる。カップリング20が遊び角度θまで回転すると、駆動トルクTmは、入力軸11から直接中間軸12に伝達される(図8(b))。このとき、ダイオード式クラッチ50は空転状態となる。
【選択図】図8

Description

本発明は、駆動手段が発生する駆動トルクにより負荷を回転させる駆動装置に関する。
従来、負荷を回転させる駆動装置において、負荷側からの逆入力トルクを遮断し、入力側へ伝達されるのを防止する「逆入力遮断クラッチ」を用いた装置が知られている。
例えば、特許文献1に記載の内燃機関の可変圧縮比装置は、駆動部により回転駆動される制御軸の回転位置によりリンク列を作動させることで、ピストンのストローク量を可変とする装置である。ここで、リンク列は、シリンダ内を往復移動するピストンとクランクシャフトのクランクピンとを連結するものであり、リンク列には、燃焼圧に起因する荷重が一方向に作用する。
この装置では、燃焼圧に起因する荷重が駆動部側へ逆入力されるのを遮断するため、駆動部と制御軸との間に逆入力遮断クラッチが設けられている。これにより、駆動部が発生するトルクは制御軸を通じてリンク列に伝達されるが、燃焼圧に起因する荷重は、リンク列から駆動部側への伝達が遮断される。この場合、逆入力遮断クラッチの出力軸には一方向のトルクがかかることとなる。
また、特許文献2に記載の操舵装置(電動パワーステアリング装置)は、モータと転舵機構との間に逆入力遮断クラッチを設けている。これにより、モータが発生するトルクは転舵機構に伝達されるが、転舵機構の負荷側すなわち車輪のラック軸からのトルクはモータに伝達されない。この場合、車輪からの反力は、左右に振る両方向に変動しうるため、逆入力遮断クラッチの出力軸には正逆両方向の荷重がかかることとなる。
このような逆入力遮断クラッチとして、具体的には、特許文献3に開示されたものがある(図4、図5参照)。この逆入力遮断クラッチは、出力側部材(2)と静止側部材(3)とが同軸に配置され、出力側部材の外壁を構成するカム面(2c)と静止側部材の円周面(3f)との間にクサビ状の空間(クサビ部)が形成される。クサビ部には、一対のローラ(6)が収容される。一対のローラは、その間に設けられたばね(9)によって周方向の互いに離反する方向へ付勢され、カム面と静止側部材との間に押し当てられている。
入力側部材(1)が停止した状態で、負荷側から出力側部材に逆入力トルクが加わった場合、一対のローラが出力側部材のカム面と静止側部材との間のクサビ部に入り込むことによって、出力側部材の回転がロックされる。その結果、負荷からの逆入力トルクは遮断され、出力側部材から入力側部材へ伝達されない。一方、入力側部材が回転した場合、入力側部材の柱部(1b)がクサビ部からローラを押し出すことにより、出力側部材が回転可能となる。その結果、入力側部材からのトルクが出力側部材に伝達する。
特許第4677357号公報 特開2009−132306号公報 特許第4141812号公報
特許文献3に記載の逆入力遮断クラッチは、負荷からの逆入力トルクを遮断している停止状態から再始動(回転)するとき、ローラをクサビ部から押し出すための解除トルクが必要となる。すると、駆動部の駆動トルクが直接、逆入力遮断クラッチの入力軸に入力される場合には、駆動部は解除トルクと等倍以上の駆動トルクを出力しなければならない。したがって、比較的大きな駆動トルクが要求されるという問題がある。
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、逆入力遮断クラッチのロック状態を解除するための駆動トルクを低減する駆動装置を提供することである。
請求項1に記載の駆動装置は、駆動トルクを発生する駆動手段と、駆動手段によって回転駆動される入力軸と、負荷に接続される出力軸と、入力軸と出力軸との間に設けられる中間軸とを備える。また、逆入力遮断クラッチと、カップリングとを備える。
逆入力遮断クラッチは、中間軸と出力軸との間に設けられ、負荷から出力軸に逆入力される逆入力トルクに対して出力軸を回転不能にロックし、中間軸が所定の角度だけ回転したときロック状態を解除して中間軸のトルクを出力軸に伝達する。
カップリングは、入力軸に連結される入力ロータ、及び、中間軸に連結される中間ロータから構成され、入力ロータの中間ロータに対する初期位置から所定の遊び角度θの範囲で入力ロータを空転させた後、入力ロータのトルクを中間ロータに伝達する。
この駆動装置は、さらに、入力軸とは別の軸上に設けられる入力副軸と、入力軸の回転を変速して又は等速で入力副軸に伝達する第1伝動部と、中間軸とは別の軸上に設けられる中間副軸と、中間軸の回転を変速して又は等速で中間副軸に伝達する第2伝動部と、トルク伝達部材とを備える。
トルク伝達部材は、入力副軸と中間副軸との間に設けられ、入力副軸の回転数が中間副軸の回転数より大きいとき、入力副軸のトルクを中間副軸に伝達し、中間副軸の回転数が入力副軸の回転数より大きいとき、入力副軸を中間副軸に対して空転させる。
ここで、第1伝動部における入力副軸の回転数に対する入力軸の回転数比を「第1変速比Z1」とし、第2伝動部における中間軸の回転数に対する中間副軸の回転数比を「第2変速比Z2」とする。また、「第1伝動部、トルク伝達部材および第2伝動部を経由するバイパス経路」における中間軸の回転数に対する入力軸の回転数比を「バイパス減速比Z」とする。すると、「Z=Z1×Z2>1」である。
この駆動装置の作用は、駆動手段の始動時、カップリングの入力ロータが中間ロータに対して初期位置から遊び角度θ回転している間に、駆動トルクが入力軸からバイパス経路を経由して中間軸に伝達されることで逆入力遮断クラッチのロック状態を解除する。そして、入力ロータが中間ロータに対して遊び角度θ回転した後、駆動トルクが入力軸からカップリング、中間軸および逆入力遮断クラッチを経由して出力軸に伝達される。
この駆動装置は、中間軸と出力軸との間に逆入力遮断クラッチが設けられているため、逆入力遮断クラッチがロック状態となることにより、負荷側からの逆入力トルクを遮断し、入力側へ伝達されるのを防止することができる。
また、駆動手段の始動時、カップリングの遊び角度θの範囲では、駆動トルクは、バイパス経路を経由し、減速し且つ増力されて中間軸に伝達される。これにより、駆動トルクが直接中間軸に伝達される場合に対し、逆入力遮断クラッチのロック状態を解除するための駆動トルクを低減することができる。
さらに、バイパス経路にトルク伝達部材が設けられることにより、逆入力遮断クラッチのロック状態が解除された後は、トルク伝達部材が空転状態となり、バイパス経路は非伝達状態となる。これにより、直接経路とバイパス経路とが同時に伝達状態となる二重係合(デッドロック)の発生を回避することができる。
請求項2に記載の発明は、カップリングの遊び角度θの望ましい設定値を特定する。
逆入力遮断クラッチにおいて、ロック状態を解除するための中間軸の回転角度を解除角度αとする。また、トルク伝達部材において、中間副軸に対する入力副軸の空転状態から入力副軸のトルクが中間副軸に伝達される伝達状態へ切り替えるための入力副軸の回転角度をλとする。
すると、カップリングの遊び角度θ、逆入力遮断クラッチの解除角度α、及びトルク伝達部材の切替角度λについて、
θ>(Z1×λ)+(Z×α)
となるように設定される。
駆動装置の停止状態からの始動時には、カップリングが初期位置から遊び角度θ回転する間に、<1>トルク伝達部材が空転状態から伝達状態に切り替わり、駆動トルクが入力軸からバイパス経路を経由して中間軸に伝達可能となること、<2>逆入力遮断クラッチのロック状態が解除されること、の2つの動作が完了することが望ましい。
1つ目のトルク伝達部材の切替について、入力副軸の切替角度λは、入力軸の回転角度に換算すると、「Z1×λ」となる。また、2つ目の逆入力遮断クラッチ30のロック解除について、バイパス経路を経由した中間軸の解除角度αは、入力軸の回転角度に換算すると、「Z×α」となる。
したがって、カップリング20の遊び角度θは、上記の式を満たすように設定される。
請求項3に記載の発明によると、カップリングは、入力軸の回転が停止したとき、入力ロータの中間ロータに対する回転位置を初期位置に復元させる復元部材を備える。
これにより、入力軸が再回転するとき、カップリングの遊び角度を常に確保することができる。
請求項4に記載の発明によると、入力ロータの中間ロータに対する初期位置は、駆動手段による回転方向が正転方向および逆転方向の両方で遊び角度θを確保可能な中立位置に設定される。
これにより、駆動手段が負荷を正逆両方向に回転させる装置に適用することができる。
請求項5に記載の発明によると、第1変速比Z1および第2変速比Z2について、
Z1>1 かつ Z2>1
である。すなわち、「第1変速比Z1」および「第2変速比Z2」は、いずれも、「第1減速比Z1」および「第2減速比Z2」と言い換えることができる。
これにより、Z1とZ2との積であるバイパス減速比Zを可及的に大きくすることが有利となる。バイパス減速比Zが大きいほど、逆入力遮断クラッチのロック状態を解除するための駆動手段の駆動トルクを低減することができる。
本発明の一実施形態による動力伝達装置の模式図である。 本発明の動力伝達装置が適用される可変圧縮比エンジンの低圧縮比状態の模式図である。 本発明の動力伝達装置が適用される可変圧縮比エンジンの高圧縮比状態の模式図である。 逆入力遮断クラッチを説明する軸方向断面図である。 図4のV−V断面図である。 ダイオード式クラッチを説明する説明図である。 本発明の一実施形態のカップリングの模式図である。 本発明の一実施形態による動力伝達装置の(a)始動(解除)時、(b)定常回転時の動作を示す模式図である。 本発明のその他の実施形態のカップリングの模式図である。 本発明のその他の実施形態のカップリングの模式図である。
本発明の駆動装置を自動車等の可変圧縮比エンジンに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
本発明の一実施形態の駆動装置について、図1〜図8を参照して説明する。図2、図3に示すように、駆動装置10は、可変圧縮比エンジン80に適用される。
図2、図3の各(a)は、可変圧縮比エンジン80の模式的な外観図であり、各(b)は、(a)のb−b断面の模式図である。以下の説明では、図2、図3(b)の視方向を正面とし、図2、図3(a)の視方向を側面とする。また、図2、図3の上側を「上」、下側を「下」として説明する。
可変圧縮比エンジン80は、ヘッドカバー81、シリンダヘッド82、シリンダブロック83およびロアケース84等から構成される。シリンダブロック83にはシリンダ85が形成され、シリンダ85内に往復移動可能にピストン86が収容される。シリンダヘッド82には、吸気通路を開閉する吸気弁881、排気通路を開閉する排気弁882が設けられる。シリンダ85の内壁、ピストン86の上端、吸気弁881および排気弁882に囲まれた空間は燃焼室89を形成する。ロアケース84内にはクランクシャフト871、コンロッド872等が収容され、ピストン86の往復運動がクランクシャフト871の回転運動に変換される。
可変圧縮比エンジン80は、ロアケース84に対してシリンダブロック83をシリンダ85の軸方向に往復移動することにより、ピストン86の最上昇時の燃焼室89の容積を変更することができるエンジンである。
図2は、シリンダブロック83がロアケース84から最も離間するように上昇した状態を示す。このとき、燃焼室89の容積が最大であり、ピストン86の移動による容積変化率が最小である「低圧縮比」の状態となる。図3は、シリンダブロック83がロアケース84に最も近接するように下降した状態を示す。このとき、燃焼室89の容積が最小であり、ピストン86の移動による容積変化率が最大である「高圧縮比」の状態となる。
続いて、ロアケース84に対してシリンダブロック83を往復移動させるための構成について説明する。
シリンダブロック83には、シリンダ85の軸に対して両側(図2、図3(b)の左側および右側)に2つの収容部93が形成される。収容部93は、シリンダブロック83の側面に開口する「コの字形」の断面形状を呈している。左右の収容部93には、それぞれ偏芯カム66が収容される。図2、図3(a)は、シリンダブロック83の左側の偏芯カム66を示している。
ロアケース84には、正面側および背面側に支持部94が形成される。支持部94に設けられる軸受95は、負荷回転軸62を回転可能に支持する。偏芯カム66は、正面側の支持部94と背面側の支持部94との間に、負荷回転軸62と一体に回転可能に収容される。
偏芯カム66の外壁は、負荷回転軸62の中心軸Oに対し長径r1と短径r2とが互いに反対方向を向くように偏芯して形成される。偏芯カム66の外壁は、少なくとも一部が収容部93の上内壁931および下内壁932に当接する。
偏芯カム66の長径r1側の外壁が収容部93の上内壁931に当接するとシリンダブロック83を押し上げる。また、偏芯カム66の長径r1側の外壁が収容部93の下内壁932に当接するとシリンダブロック83を押し下げる。
スプリング96は、一端がロアケース84に、他端が収容部93の下外壁933に当接し、シリンダブロック83をロアケース84から離間させる方向に付勢する。
駆動装置10は、2本の負荷回転軸62に対応してロアケース84の背面側に2組設けられる。駆動装置10の出力軸13は、負荷回転軸62に直結される。
駆動装置10は、「駆動手段」としてのモータ17、伝達経路切替部100、逆入力遮断クラッチ30等から構成される。駆動装置10は、定常回転時には、モータ17の駆動トルクTmが入力軸11から直接経路Rdおよび逆入力遮断クラッチ30を経由して出力軸13に伝達され、負荷回転軸62を回転させる。
本発明による駆動装置10は、特に停止状態からの始動時における「バイパス経路Rbを経由する作動」に特徴を有する。これについては後述するとし、先に、定常回転時の作動について説明を進める。
ここで、図2、図3(b)の左側に示す負荷回転軸62の反時計回り方向の回転を「逆転(破線矢印で図示)」とし、時計回り方向の回転を「正転(実線矢印で図示)」とする。図2、図3(b)の右側に示す負荷回転軸62については回転方向が上記と逆になる。
低圧縮比状態(図2)から高圧縮比状態(図3)に推移する場合、駆動装置10は、出力軸13を逆転させる。この推移では、燃焼室89の燃焼圧がシリンダブロック83に作用する力、及びスプリング96の付勢力に抗してシリンダブロック83を下降させるため、比較的大きな駆動トルクが要求される。
逆に、高圧縮比状態(図3)から低圧縮比状態(図2)に推移する場合、駆動装置10は、出力軸13を正転させる。この推移では、燃焼室89の燃焼圧がシリンダブロック83に作用する力、及びスプリング96の付勢力と同方向にシリンダブロック83を上昇させるため、駆動トルクは比較的小さくてよい。それどころか、エンジン運転条件によっては、駆動装置10が停止し駆動トルクが発生しないにもかかわらず、燃焼室89の燃焼圧とスプリング96の付勢力によって、シリンダブロック83がひとりでに上昇する可能性がある。
これは、高圧縮比状態を維持しておきたいときには、不都合な現象である。また、シリンダブロック83の上昇によって、偏芯カム66から負荷回転軸62を通して出力軸13に正転方向の「逆入力トルク」が作用することとなる。
この現象に対応するための方法の一つは、モータ17により逆入力トルクを相殺するための逆転方向の「保持トルク」を発生させることである。しかし、この方法では、高圧縮比状態を維持する間、モータ17は常に「保持トルク」を発生する必要があり、消費電力のムダや発熱といった問題が生じる。
そこで、逆入力に対応するためのもう一つの方法として、本実施形態では、駆動装置10の入力軸11と出力軸13との間に逆入力遮断クラッチ30を設けている。逆入力遮断クラッチ30は、負荷(可変圧縮比エンジン80)から出力軸13に逆入力される逆入力トルクに対して出力軸13を回転不能にロックし、入力軸11が回転したときロック状態を解除して、入力軸11のトルクを出力軸13に伝達する。
これにより、高圧縮比状態を維持する間は、モータ17を停止しておくことができる。また、高圧縮比状態から低圧縮比状態へ推移するときは、モータ17が入力軸11を正転させると、逆入力遮断クラッチ30のロック状態を解除した後、負荷回転軸62を正転させて、シリンダブロック83を上昇させることができる。
ここで、逆入力遮断クラッチ30の具体的構成について、図4、図5を参照して簡単に説明する。この構成は、特許文献3(特許第4141812号公報)に開示されたものであり、図4、図5は、特許文献3の図1、図2に対応する。
図4、図5に示すように、逆入力遮断クラッチ30は、入力側部材1、出力側部材2、静止側部材3、ローラ6およびばね9等から構成される。
入力側部材1は、基板部1a、該基板部1aの円周方向に配列され軸方向の出力側部材2側に延びる複数の柱部1b、及び筒状部1cを含む。円周方向に隣接する柱部1b同士の間にはポケット7が形成される。各ポケット7には一対のローラ6が収容されている。
入力側部材1の筒状部1cの内側には入力軸5が挿入される。このとき、入力軸5の二平面5aが筒状部1c内側の平面部に係合し、入力側部材1と入力軸5とが一体に回転可能に連結される。本実施形態の駆動装置10では、入力軸5は、中間軸12に連結されるか、又は、中間軸12と一体に形成されている(図1参照)。
出力側部材2は、出力軸部2aとフランジ部2bとから構成される。本実施形態の駆動装置10では、出力軸部2aは、出力軸13に連結されるか、又は、出力軸13と一体に形成されている(図1参照)。
出力側部材2のフランジ部2bは、多角形状(図5の例では正6角形状)をなし、その各辺の外壁がカム面2cを構成する。カム面2cは、円周方向等間隔に配列されている。また、出力側部材2の孔部2xは、その内周が平行な二平面2eと二つの円周面2hとから形成されている。
孔部2xには入力軸5の軸部5xが嵌合する。入力軸5の軸部5xの二平面5aおよび円周面5cは、それぞれ出力側部材2の孔部2xの二平面2eおよび円周面2hに対応する。ここで、孔部2xの二平面2eと軸部5xの二平面5aとの間には、入力軸5が図5に示す中立位置から正逆両方向に第2所定角度βだけ回転可能な隙間が設けられている。一方、軸部5xの円周面5cは孔部2xの円周面2hに摺動可能に嵌合されている。
また、入力軸5先端の円柱軸部5bは、出力側部材2の円孔2gに嵌合する。
静止側部材3は、円筒部3aおよび大径覆設部3c等を含む。円筒部3aの内周面と出力側部材2の出力軸部2aの外周面との間には、ラジアル軸受部材8が設けられている。
静止側部材3の大径覆設部3cの内周面である円周面3fは、出力側部材2のカム面2cと径方向に対向し、カム面2cとの間にクサビ状の空間を形成している。
静止側部材3は、固定側板4と共に、図示しないハウジング等に固定されている。
出力側部材2の各カム面2cと静止側部材3の円周面3fとの間であって、円周方向の入力側部材1の柱部1b間のポケット7に、一対のローラ6が収容される。一対のローラ6間には、この一対のローラ6を相互に離反させるばね9が介設されている。
図5に示す中立位置において、入力側部材1の各柱部1bと各ローラ6との間に、第1所定角度αに相当する回転方向隙間が存在する。入力側部材1が出力側部材2に対して中立位置から正逆両方向に第1所定角度αだけ回転したとき、各柱部1bが各ローラ6に当接する。ここで、第1所定角度αは第2所定角度βより小さい角度に設定されている。
図5に示す中立位置では、一対のローラ6は、ばね9によって周方向の互いに離反する方向へ付勢され、カム面2cと静止側部材3との間に押し当てられている。この状態で、出力側部材2に正逆いずれかの方向の逆入力トルクが入力されると、ローラ6がクサビ部に入り込むことによって、出力側部材2の回転がロックされる。その結果、負荷からの逆入力トルクは遮断され、出力側部材2から入力側部材1へ伝達されない。
一方、入力側部材1が中立位置からいずれかの方向に第1所定角度αだけ回転すると、入力側部材1の柱部1bがクサビ部からローラ6を押し出すことによりロック状態が解除され、出力側部材2が回転可能となる。
さらに入力側部材1が中立位置から第2所定角度βだけ回転すると、軸部5xの二平面5aの端部が孔部2xの二平面2eの端部に当接して、入力側部材1の出力側部材2に対する相対回転が規制される。これにより、入力側部材1からの入力トルクが、軸部5xおよび孔部2xを介して出力側部材2に伝達され、出力側部材2が入力側部材1と共に回転する。そして、入力側部材1からの入力トルクがなくなると、ばね9の弾性復元力によって図5に示す中立位置に復帰する。
このように、中立位置における逆入力遮断クラッチ30のロック状態から、入力トルクの伝達状態に移行するときには、入力側部材1が第1所定角度αまで回転してロック状態を解除した上で、さらに入力側部材1が第2所定角度βまで回転して、入力側部材1の出力側部材2に対する相対回転が規制される状態になる必要がある。以下、本実施形態による駆動装置10の説明では、第1所定角度αを「解除角度α」という。
ところで、上記の逆入力遮断クラッチ30は、負荷側からの逆入力トルクを遮断することができるものの、逆入力トルクを遮断している停止状態から再始動(回転)するとき、ローラをクサビ部から押し出すための解除トルクTrが必要となる。すると、モータ17の駆動トルクTmが直接、逆入力遮断クラッチ30の入力側部材に入力される場合には、モータ17は、解除トルクTrと等倍以上の駆動トルクTmを出力しなければならない。したがって、比較的大きな駆動トルクTmが要求されるという問題がある。
そこで、本実施形態の駆動装置10は、停止状態からの始動時に、逆入力遮断クラッチ30のロック状態を解除するための駆動トルクTmを低減することを目的とする。
次に、本実施形態の駆動装置10の特徴的な構成について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、駆動装置10は、モータ17、伝達経路切替部100、逆入力遮断クラッチ30、出力軸13から構成される。出力軸13は、一般化した負荷800に接続される。
伝達経路切替部100は、入力軸11から中間軸12までの駆動トルクTmの伝達経路を、直接経路Rdとバイパス経路Rbとに切り替える。
軸O上の直接経路Rdは、入力軸11、カップリング20および中間軸12を経て逆入力遮断クラッチ30に至る経路である。カップリング20の構成については後述する。
バイパス経路Rbは、軸O上の入力軸11から、軸P上の入力副軸51、ダイオード式クラッチ50および中間副軸52を迂回して逆入力遮断クラッチ30に至る経路である。
入力軸11には入力ギア41が固定され、入力副軸51には第1ギア42が固定されている。また、中間副軸52には第2ギア43が固定され、出力軸12には出力ギア44が固定されている。本実施形態では、ギア41〜44は平歯車である。入力ギア41と第1ギア42とは「第1伝動部」を構成し、第2ギア43と出力ギア44とは「第2伝動部」を構成する。
本実施形態では、第1伝動部における「第1減速比Z1」、すなわち、入力ギア41の歯数に対する第1ギア42の歯数の比(またはピッチ円直径の比)は1より大きい。したがって、入力軸11のトルクは、回転数が(1/Z1)に減速されて入力副軸51に伝達される。また、第2伝動部における「第2減速比Z2」、すなわち、第2ギア43の歯数に対する中間ギア44の歯数の比(またはピッチ円直径の比)は1より大きい。したがって、中間副軸52のトルクは、回転数が(1/Z2)に減速されて中間軸12に伝達される。逆に、中間軸12のトルクは、回転数がZ2倍に増速されて中間副軸52に伝達される。
入力副軸51と中間副軸52との間に設けられるダイオード式クラッチ50は、入力副軸51の回転数が中間副軸52の回転数より大きいとき、入力副軸51のトルクを中間副軸52に伝達する。また、中間副軸52の回転数が入力副軸51の回転数より大きいとき、入力副軸51を中間副軸52に対して空転させる。本実施形態のダイオード式クラッチ50は、特許請求の範囲に記載の「トルク伝達部材」に相当する。
続いて、ダイオード式クラッチ50の構成について、図6を参照して説明する。
ダイオード式クラッチ50は、入力副軸51のトルクを中間副軸52に伝達し、中間副軸52のトルクを入力副軸51に伝達しない(入力副軸51を空転させる)装置である。ちょうど、電気回路において一方向へ電流を流し逆方向へ電流を流さない電気素子である「ダイオード」と類似の機能を持つことから、ここでは「ダイオード式クラッチ」と呼ぶ。なお、市販品では「トルクダイオード(登録商標)」がこれに相当する。また、入力軸の回転方向の一方向のみの回転を出力軸に伝達する「ワンウェイクラッチ」に対し、入力軸の回転方向の双方向の回転を出力軸に伝達可能であるという点から「ツーウェイクラッチ」と呼ばれることもある。
図6(a)に示すように、ダイオード式クラッチ50は、外輪としての入力副軸51、内輪としての中間副軸52、コロ53、保持器54、摺動ばね55、ケース56等から構成される。
保持器54は、コロ53を保持する。摺動ばね55は、径方向内側の端部55aが保持器54に引っ掛かり、径方向外側の摺動部55bがケース56内壁に当接して突っ張る。ケース56はハウジング60(図1等では図示省略)に固定され、入力副軸51の径方向外側を保持するとともに、軸受57を介して中間副軸52を回転可能に支持している。
図6(b)は、入力副軸(外輪)51にトルクが発生する場合を示す。このとき、保持器54は、ケース56と摺動ばね55間の摺動抵抗によりその場に留まろうとするため、コロ53は、入力副軸51の回転方向に対して反対方向へ相対回転する。コロ53が反対方向に移動しくさび部51aに噛み込むと、入力副軸51の回転がコロ53を介して中間副軸52へ伝達される。ここで、入力副軸51の回転数をSin、中間副軸52の回転数をSoutとすると、入力副軸51の回転方向に関係なく、「Sin>Sout」のときには入力副軸51から中間副軸52へトルクが伝達される。すなわち、「動力伝達状態」となる。
図6(c)は、中間副軸(内輪)52にトルクが発生する場合を示す。このとき、保持器54および入力副軸51は動かない。コロ53は、入力副軸51の径方向内側の凹部51bに位置し、入力副軸51および中間副軸52に噛み合うことができないため、中間副軸52のみが回転する。したがって、中間副軸52の回転方向に関係なく、「Sin<Sout」のときには中間副軸52から入力副軸51へトルクが伝達されず、入力副軸51は空転する。
また、ダイオード式クラッチ50が空転状態から伝達状態に移行するとき、バックラッシュに相当する切替角度λの回転が必要である。
次に、直接経路Rdに設けられるカップリング20の構成について、図7を参照して説明する。
図7(a)および(b)は、入力軸11が回転駆動されない状態での中立位置を示し、図7(c)および(d)は、駆動トルクTmが入力軸11から中間軸12に伝達される状態での伝達位置を示している。カップリング20は、入力軸11に連結される入力ロータ21、中間軸12に連結される中間ロータ22、「復元部材」としての第1スプリング23および第2スプリング24から構成される。
図7(b)、(d)に示すように、入力ロータ21には、回転軸Oを通り径方向の両側に延びる突起部211が形成されている。また中間ロータ22には、入力ロータ21が中間ロータ22に対して所定の角度回転したとき突起部211が当接するストッパ部222が突起部211の時計回り方向および反時計回り方向の双方に形成される。本実施形態では、図の上下方向および左右方向に対称に、4つのストッパ部222が形成されている。
各ストッパ部222には、スプリング保持穴225が形成されている。図7(b)にて突起部211の反時計回り方向のスプリング保持穴225には、回転軸Oに対して対称に2つの第1スプリング23が設けられている。また、突起部211の時計回り方向のスプリング保持穴225には、回転軸Oに対して対称に2つの第2スプリング24が設けられている。
第1スプリング23および第2スプリング24は、サイズ、ばね荷重等の仕様が同等のコイルばねである。そのため、図7(b)に示す中立位置では、第1スプリング23のばね荷重Ls1と第2スプリング24のばね荷重Ls2とのバランスにより、突起部211は、ストッパ部222同士の中間の位置に保たれる。
ここで、入力軸11および入力ロータ21が図7(d)の反時計回り方向に回転駆動されると、突起部211は中立位置から角度θ回転したときストッパ部222に当接する。以下、この角度θを、カップリング20の「遊び角度θ」という。なお、入力軸11および入力ロータ21が図7(d)の時計回り方向に回転駆動された場合も同様に、突起部211は中立位置から反対方向に遊び角度θ回転したときストッパ部222に当接する。
入力ロータ21の回転角度が遊び角度θ未満の範囲では、入力ロータ21は中間ロータ22に対し空転する。そして、入力ロータ21の回転角度が遊び角度θに達すると、入力ロータ21の突起部211が中間ロータ22のストッパ部222を押して共に回転する。したがって、モータ17の駆動トルクTmが入力軸11から中間軸12に伝達される。このとき、図7(d)に示すように、第1スプリング23は圧縮され、第2スプリング24は伸長した状態である。
その後、入力軸11および入力ロータ21の回転駆動が停止されると、第1スプリング23と第2スプリング24とのばね荷重のバランスにより、突起部211は、ストッパ部222に対する初期位置、すなわち中立位置に復元される。そのため、次に入力軸11が再回転するとき、入力ロータ21は、常に初期位置から回転を開始することができる。したがって、回転始動時に、常に、遊び角度θの回転を確保することができる。
ここで、カップリング20の遊び角度θ、逆入力遮断クラッチ30の解除角度α、及びダイオード式クラッチ50の切替角度λの望ましい関係について説明する。
駆動装置10の停止状態からの始動時には、カップリング20が初期位置(中立位置)から遊び角度θ回転する間に、<1>ダイオード式クラッチ50が空転状態から伝達状態に切り替わり、駆動トルクTmが入力軸11からバイパス経路Rbを経由して中間軸12に伝達可能となること、<2>逆入力遮断クラッチ30のロック状態が解除されること、の2つの動作が完了することが望ましい。
1つ目のダイオード式クラッチ50の切替について、入力副軸51の切替角度λは、入力軸11の回転角度に換算すると、「Z1×λ」となる。また、2つ目の逆入力遮断クラッチ30のロック解除について、バイパス経路Rbを経由した中間軸13の解除角度αは、入力軸11の回転角度に換算すると、「Z×α」となる。
したがって、カップリング20の遊び角度θは、下式1を満たすように設定される。
θ>(Z1×λ)+(Z×α) ・・・(式1)
また、逆入力遮断クラッチ30のロック状態を解除した後、カップリング20において入力ロータ21の回転角度が遊び角度θに達してから、逆入力遮断クラッチ30で入力側部材1(中間軸12)のトルクが出力側部材2(出力軸13)へ伝達可能となることが望ましい。そのためには、カップリング20の遊び角度θと逆入力遮断クラッチ30の第2所定角度βについて、さらに下式2が成り立つことが要件となる。
θ≦(Z1×λ)+(Z×β) ・・・(式2)
これにより、カップリング20が伝達状態となり、続いて逆入力遮断クラッチ30が伝達状態となることで、駆動トルクTmが入力軸11から、カップリング20、中間軸12および逆入力遮断クラッチ30を経由して出力軸13へ伝達可能となる。
次に、図8を参照して駆動装置10の作動を説明する。太線矢印は伝達される駆動トルクを示す。そのうち、主軸O上の直接経路Rdを伝達される駆動トルクを直接伝達トルクTdと表し、副軸Pを含むバイパス経路Rb経由して伝達される駆動トルクをバイパス伝達トルクTbと表す。また、中太線破線矢印は非伝達トルクTnを示す。
図8(a)は、モータ17が停止状態から始動するときの作動を示す。停止状態では、入力軸11、中間軸12および出力軸13のいずれも停止しており、逆入力遮断クラッチ30はロック状態となっている。
回転開始時、カップリング20の遊び角度θの範囲では、入力ロータ21は中間ロータ22に対し空転するため、入力軸11のトルクは、直接中間軸12に伝達されない。
一方、入力軸11のトルクは、入力ギア41と第1ギア42との噛み合いにより、第1減速比Z1で減速されて入力副軸51に伝達される。すると、ダイオード式クラッチ50において入力副軸(外輪)51の回転数Sinが停止している中間副軸(内輪)52の回転数Soutよりも大きくなる(Sin>Sout)ため、入力副軸51のトルクが中間副軸52に伝達される(図6(b)参照)。そして、第2ギア43と中間ギア44との噛み合いにより、中間軸12は第2減速比Z2で減速されて回転する。その結果、入力軸11のトルクがバイパス減速比Z(=Z1×Z2)で減速されて中間軸12に伝達される。
また、バイパス伝達トルクTbは、駆動トルクTmのZ倍に増幅されて中間軸12に伝達され、逆入力遮断クラッチ30のロック状態を解除する。すなわち、逆入力遮断クラッチ30の解除トルクTrに対し、駆動トルクTmを(1/Z)に低減することができる。
ここで、遊び角度θは、上述の(式1)のように設定される。したがって、入力ロータ21の回転角度が遊び角度θの範囲で、確実にバイパス伝達トルクTbによって、逆入力遮断クラッチ30のロック状態を解除することができる。
逆入力遮断クラッチ30のロック状態が解除され、かつ、図8(b)に示すようにカップリング20の回転角度が遊び角度θに達し伝達状態になると、駆動トルクTmは、入力軸11から直接経路Rd、すなわちカップリング20、中間軸12および逆入力遮断クラッチ30を経由して出力軸13に等速で伝達される。
このとき、中間副軸52の回転数は、中間軸12の回転数のZ2倍であり、一方、入力副軸51の回転数は、入力軸11の回転数の(1/Z1)である。ここで、入力軸11と中間軸12とは等速で回転し、Z1>1、Z2>1であるから、必ず、中間副軸52の回転数は入力副軸51の回転数より大きくなる。するとダイオード式クラッチ50において中間副軸(内輪)52の回転数Soutが入力副軸(外輪)51の回転数Sinよりも大きくなる(Sin<Sout)ため、中間副軸52が入力副軸51に対して空転する(図6(c)参照)。したがって、バイパス伝達トルクTbは非伝達状態(Tn)となる。
以上説明したように、本発明の一実施形態の駆動装置10は、以下(1)〜(3)を主要な特徴とする。
(1)中間軸12と出力軸13との間に逆入力遮断クラッチ30が設けられているため、負荷800側からの逆入力トルクを遮断することができる。本実施形態では、可変圧縮比エンジン80の燃焼に伴い、高圧縮比側から低圧縮比側に移行させるように負荷回転軸62を正転させるトルク(図3参照)が出力軸13に作用したとしても、逆入力遮断クラッチ30がロック状態となることによって逆入力トルクが遮断される。
(2)逆入力遮断クラッチ30の入力側に、直接経路Rdとバイパス経路Rbとを切り替える伝達経路切替部100が設けられる。そして、モータ17の始動時、カップリング20の遊び角度θ範囲では、駆動トルクTmは、中間軸12(逆入力遮断クラッチ30の入力側部材)に直接伝達されず、バイパス経路Rbを経由して伝達される。
バイパス経路Rbを経由することにより、駆動トルクTmは、入力軸11から減速し且つ増力されて中間軸12に伝達され、逆入力遮断クラッチ30の入力側部材に作用する。これにより、駆動トルクTmが直接中間軸12に伝達される場合に対し、逆入力遮断クラッチ30のロック状態を解除するための駆動トルクTmを低減することができる。
(3)バイパス経路Rbにダイオード式クラッチ50が設けられることにより、逆入力遮断クラッチ30のロック状態が解除された後は、ダイオード式クラッチ50が空転状態となり、バイパス経路Rbを経由するバイパス伝達トルクTbが非伝達状態(Tn)となる。これにより、直接経路Rdとバイパス経路Rbとが同時に伝達状態となる二重係合(デッドロック)の発生を回避することができる。
さらに、本実施形態の駆動装置10は、以下(4)〜(6)の特徴を有する。
(4)カップリング20に「復元部材」としてのスプリング23、24が設けられることにより、入力軸11の回転が停止したとき、カップリング20は、初期位置に復元される。これにより、入力軸11が再回転するとき、カップリング20の遊び角度θを常に確保することができる。
(5)カップリング20の初期位置は、第1スプリング23と第2スプリング24とのばね荷重のバランスにより、「中立位置」に設定される。これにより、カップリング20は中立位置から、正転および逆転の両方向に遊び角度θを確保することができる。したがって、モータ17が負荷800を正逆両方向に回転させる装置に適用することができる。
(6)入力ギア41および第1ギア42からなる「第1伝動部」の減速比Z1、並びに、第2ギア43および中間ギア44からなる「第2伝動部」の減速比Z2は、いずれも1より大きく設定されている(Z1>1、Z2>1)。これにより、Z1とZ2との積であるバイパス減速比Zを可及的に大きく設定することが有利となる。バイパス減速比Zが大きいほど、逆入力遮断クラッチ30のロック状態を解除するためのモータ17の駆動トルクTmを低減することができる。
さらにZ1=Z2とする場合には、例えば入力ギア41と第2ギア43とを共通とし、第1ギア42と中間ギア44とを共通とすることで、部品を共用化することができる。
(その他の実施形態)
(ア)上記実施形態では、モータ17は、入力軸11を正転方向および逆転方向の両方向に回転駆動し、可変圧縮比エンジン80を低圧縮比状態から高圧縮比状態、及び、高圧縮比状態から低圧縮比状態の両方へ変化させる。したがって、逆入力遮断クラッチ30のロック状態を正逆両方向に解除する必要がある。そのため、カップリング20は中立位置を初期位置とし、正逆両方向に遊び角度θを確保することが必要となる。
これに対し、逆入力遮断クラッチ30のロック状態を解除する方向が一方向に限られる場合には、カップリング20は一方向にのみ遊び角度θを確保すればよい。したがって、例えば正転方向のみにロック状態を解除する駆動装置の場合、回転停止後、スプリング等の復元部材によって、正転方向の初期位置に復元される構造とすればよい。
(イ)モータ17の駆動方向が一方向か両方向かに拘わらず、カップリング20に復元部材を設けなくてもよい。例えば、モータ17の回転停止時、入力軸11を「停止前の回転方向と反対方向」に遊び角度θだけ逆回転させてから停止する制御を実施することにより、復元部材を設けるのと同様の効果が得られる。
(ウ)上記実施形態では、第1減速比Z1、第2減速比Z2、バイパス減速比Zは、いずれも1より大(Z1>1、Z2>1、Z>1)に設定される。ここで、本発明の解決課題である「逆入力遮断クラッチ30を解除するためのモータ17の駆動トルクTmを低減する」ためには、バイパス減速比Zが1より大きいことは必須の要件である。
また、定常回転時にダイオード式クラッチ50を空転させるためには、入力副軸51の回転数が中間副軸52の回転数より小さいことが要件となる。この要件は、
(1/Z1)<Z2 すなわち (Z1×Z2)=Z>1
と表されるから、結局上述の内容と同じである。
そこで、「Z>1」を満足しさえすれば、Z1またはZ2の一方が「1以下」、すなわち、「第1伝動部または第2伝動部のいずれか一方が等速または増速伝達する」ものであってもよい。このような実施形態は、噛み合うギア同士の歯数およびピッチ円直径を調整することで実現することができる。
なお、このような実施形態を包含するため、特許請求の範囲では、「第1変速比Z1」、「第2変速比Z2」という用語を用いた。
(エ)入力ギア41、第1ギア42、第2ギア43、中間ギア44の伝動部材は、平歯車に限らず、はすば歯車、ウォーム、遊星歯車であってもよく、あるいは、摩擦伝達、ベルトとプーリ、チェーンとスプロケット等、同期伝達するものであれば形式を問わない。
(オ)本発明のその他の実施形態の「カップリング」について、図9、図10を参照して説明する。
図9に示すカップリング25は、入力ロータ26、中間ロータ27および「復元部材」としてのスプリング28から構成される。入力ロータ26は、回転軸Oから偏芯した位置に、スプリング28の一端が保持されるスプリングホルダ部261を設けている。また、スプリング28の他端は、中間ロータ27に形成される凹部271の底部に保持される。これにより、スプリング28は、引っ張り方向にばね荷重がかかるようになっている。
図9(a)に示す中立位置では、スプリング28は回転軸Oに平行に保持されるため、セット長が最短、したがって引っ張り荷重が最小の状態である。入力ロータ26が中間ロータ27に対して回転し、図9(b)に示す伝達状態になったとき、スプリング28は回転軸Oに対して傾いて保持され、セット長が長くなり、したがって引っ張り荷重が増大している。そこで入力ロータ26側のトルクが無くなると、スプリング28が縮もうとする引っ張り力によって入力ロータ26を回転させ、中立位置に戻す。
図10に示すカップリング70は、入力ロータ71および中間ロータ72から構成される。入力ロータ71は、回転軸Oに対して径方向の一方の側がN極711、他方の側がS極713となる永久磁石を有している。中間ロータ72は、回転軸Oに対して図の上方および下方に、いずれも扇形状のN極721およびS極723からなる2組の永久磁石を有している。2組の永久磁石は、N極721の壁722同士が対向し、S極723の壁724同士が対向する。そして、N極721の壁722同士が対向する間に入力ロータ71のN極711が配置され、S極723の壁724同士が対向する間に入力ロータ71のS極713が配置される。
この実施形態では、磁極711、713、721、723が「復元部材」に相当する。なお、既製の永久磁石が入力ロータ71および中間ロータ72に組み付けられてもよく、入力ロータ21および中間ロータ22自体の一部が着磁されて磁極を形成してもよい。
図10(a)に示すように、入力ロータ71が回転駆動されない状態では、磁極の反発により、入力ロータ71の磁極711、713が、中間ロータ72の磁極721、723の壁722、724同士の中間に位置する中立位置となる。
入力ロータ71が中間ロータ72に対して遊び角度θ回転すると、図10(b)に示すように同極性の磁極同士が当接または近接した状態となり、入力ロータ71のトルクが中間ロータ72に伝達される。
(カ)本発明の駆動装置は、可変圧縮比エンジンの他、特許文献2のような電動パワーステアリング装置、特許文献3に引用されている電動シャッター装置等、負荷側からの逆入力が作用する駆動装置に広く適用可能である。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
10 ・・・駆動装置、
100 ・・・伝達経路切替部、
11 ・・・入力軸、
12 ・・・中間軸
13 ・・・出力軸、
17 ・・・モータ(駆動手段)、
20、25、70 ・・・カップリング、
21、26、71 ・・・入力ロータ、
22、27、72 ・・・中間ロータ、
23 ・・・第1スプリング(復元部材)、
24 ・・・第2スプリング(復元部材)、
28 ・・・スプリング(復元部材)、
30 ・・・逆入力遮断クラッチ、
41 ・・・入力ギア(第1伝動部)、
42 ・・・第1ギア(第1伝動部)、
43 ・・・第2ギア(第2伝動部)、
44 ・・・中間ギア(第2伝動部)、
50 ・・・ダイオード式クラッチ(トルク伝達部材)、
51 ・・・入力副軸、外輪、
52 ・・・中間副軸、内輪、
711、713、721、723 ・・・磁極(復元部材)、
80 ・・・可変圧縮比エンジン、
800 ・・・負荷、
α ・・・逆入力遮断クラッチの解除角度、
λ ・・・ダイオード式クラッチ(トルク伝達部材)の切替角度、
θ ・・・カップリングの遊び角度、
Tm ・・・駆動トルク、
Td ・・・直接伝達トルク、
Tb ・・・バイパス伝達トルク、
Tn ・・・非伝達トルク、
Rb ・・・直接経路、
Rd ・・・バイパス経路、
Z ・・・バイパス減速比、
Z1 ・・・第1減速比(第1変速比)、
Z2 ・・・第2減速比(第2変速比)。

Claims (5)

  1. 駆動トルクを発生する駆動手段と、
    駆動手段によって回転駆動される入力軸と、
    負荷に接続される出力軸と、
    前記入力軸と前記出力軸との間に設けられる中間軸と、
    前記中間軸と前記出力軸との間に設けられ、前記負荷から前記出力軸に逆入力される逆入力トルクに対して前記出力軸を回転不能にロックし、前記中間軸が所定の角度だけ回転したときロック状態を解除して前記中間軸のトルクを前記出力軸に伝達する逆入力遮断クラッチと、
    前記入力軸に連結される入力ロータ、及び、前記中間軸に連結される中間ロータから構成され、前記入力ロータの前記中間ロータに対する初期位置から所定の遊び角度θの範囲で前記入力ロータを空転させた後、前記入力ロータのトルクを前記中間ロータに伝達するカップリングと、
    前記入力軸とは別の軸上に設けられる入力副軸と、
    前記入力軸の回転を変速して又は等速で前記入力副軸に伝達する第1伝動部と、
    前記中間軸とは別の軸上に設けられる中間副軸と、
    前記中間軸の回転を変速して又は等速で前記中間副軸に伝達する第2伝動部と、
    前記入力副軸と前記中間副軸との間に設けられ、前記入力副軸の回転数が前記中間副軸の回転数より大きいとき、前記入力副軸のトルクを前記中間副軸に伝達し、前記中間副軸の回転数が前記入力副軸の回転数より大きいとき、前記入力副軸を前記中間副軸に対して空転させるトルク伝達部材と、
    を備え、
    前記第1伝動部における前記入力副軸の回転数に対する前記入力軸の回転数比を第1変速比Z1とし、
    前記第2伝動部における前記中間軸の回転数に対する前記中間副軸の回転数比を第2変速比Z2とし、
    前記第1伝動部、前記トルク伝達部材および前記第2伝動部を経由するバイパス経路における前記中間軸の回転数に対する前記入力軸の回転数比をバイパス減速比Zとすると、
    Z=Z1×Z2>1 であり、
    前記駆動手段の始動時、前記カップリングの前記入力ロータが前記中間ロータに対して前記初期位置から前記遊び角度θ回転している間に、駆動トルクが前記入力軸から前記バイパス経路を経由して前記中間軸に伝達されることで前記逆入力遮断クラッチのロック状態を解除し、
    前記入力ロータが前記中間ロータに対して前記遊び角度θ回転した後、駆動トルクが前記入力軸から前記カップリング、前記中間軸および前記逆入力遮断クラッチを経由して前記出力軸に伝達されることを特徴とする駆動装置。
  2. 前記逆入力遮断クラッチにおいて、前記ロック状態を解除するための前記中間軸の回転角度を解除角度αとし、
    前記トルク伝達部材において、前記中間副軸に対する前記入力副軸の空転状態から前記入力副軸のトルクが前記中間副軸に伝達される伝達状態へ切り替えるための前記入力副軸の回転角度をλとすると、
    前記カップリングの遊び角度θ、前記逆入力遮断クラッチの解除角度α、及び前記トルク伝達部材の切替角度λについて、
    θ>(Z1×λ)+(Z×α)
    となるように設定されることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記カップリングは、
    前記入力軸の回転が停止したとき、前記入力ロータの前記中間ロータに対する回転位置を前記初期位置に復元させる復元部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
  4. 前記入力ロータの前記中間ロータに対する前記初期位置は、前記駆動手段による回転方向が正転方向および逆転方向の両方で前記遊び角度θを確保可能な中立位置に設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動装置。
  5. 前記第1変速比Z1および前記第2変速比Z2について、
    Z1>1 かつ Z2>1
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の駆動装置。
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