JP2013083156A - 内燃機関用の点火時期制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】気筒毎の点火時期が個別に制御される点火時期装置について、ノッキングの発生回避と気筒相互の点火時期のバラツキ防止との双方の課題を解消させることが可能な内燃機関用の点火時期制御装置を提供する。
【解決手段】点火サイクルn=24が到来すると、気筒#3に関する信号処理ルーチンRt01が起動する。かかる場面では、点火サイクルn=24での差分値Δ!CA24が、「Δ!CA24=CA22(#1)−!CA24(#3)」によって算出される。そして、「Δ!CA24=6.5>ΔCAth」が得られるため、「CA24(#3)=CA22(#1)−ΔCAth=5」として、遅進角設定値が設定される。即ち、点火サイクルn=24の信号処理ルーチンRt01では、処理S562が機能し、遅進角予定値!CA24(#3)よりも遅側へ遅進角設定値CA24(#3)が設定されることとなる。
【選択図】図9

Description

本発明は、内燃機関用の点火時期制御装置に関し、特に、内燃機関に設けられる気筒の点火時期が当該気筒毎に個別に設定される装置に用いて好適のものである。
独立点火方式を採用する内燃機関は、ディストリビュータを用いた配電方式に替わり、自動車の技術分野で広く普及されている。当該内燃機関は、気筒毎に点火コイルが設けられており、気筒毎の点火時期が適宜に制御されることで、気筒各々でのノッキングの発生を回避させている。この点火時期は、内燃機関の燃焼制御を行うECU(Engine Control Unit)で設定されるものであって、内燃機関の回転数情報及び負荷状態(スロットルバルブの開度情報,インジェクションの開度情報等)に基づいて設定される。
上述した点火時期は、燃費向上及び出力トルクの確保という観点から、ノッキングが発生する直前のタイミング(MBT=Minimum SparkAdvance for BEST Torque)へ設定するのが好ましい。このため、内燃機関用の点火時期制御装置(以下、単に点火時期制御装置と呼ぶ)は、点火時期がMBTに一致するよう、点火信号の出力タイミングを遅進角制御させている。このような点火時期制御は、一般に、ノック判定結果が「ノック無し」の場合に点火時期を進角させ、ノック判定結果が「ノック有り」の場合に点火時期を遅角させる。こうした遅進角制御を点火サイクル毎に行うことで、内燃機関での点火時期は、MBTへ一致するよう制御される。
当該点火時期は、気筒毎に個別に遅進角制御が行なわれることにより、ノッキングの発生を気筒毎個別に解消させている。このため、内燃機関では、各気筒に機構的なバラツキが生じていても、個別制御される点火信号によって、ノッキングが発生し難い、好適な燃焼動作が実現される。
例えば、特開2003−328840号公報(特許文献1)では、点火時期の遅進角を個別制御させる技術の一例として、ノック検出装置が紹介されている。具体的に説明すると、このノック検出装置は、点火コイル,イオン電流検出回路,及び,ECUを具備し、イオン電流検出回路では、気筒で燃焼が行われた際のイオン電流の波形を、検出信号としてECUへ送信する。ECUは、イオン電流の波形に基づいてノック判定処理を実行させる。当該ノック判定処理は、ノッキングの情報を示す波形(ノック信号)をイオン電流の波形から抽出し、其のノック信号の波形がノック判定閾値を上回った回数をカウントすることで、ノック発生の有無を判定する。
その後、ECUは、全気筒の遅角制御量(特許請求の範囲における遅進角設定値)について平均値(以下、平均遅角量と呼ぶ)を算出し、各々の気筒の遅角制御量と平均遅角量との差分値(以下、遅角偏差量と呼ぶ)を算出する。そして、当該ECUは、遅角偏差量の値に基づいて補正係数を気筒毎に設定し、この補正係数を用いてノック判定閾値を気筒毎に補正させる。尚、遅角制御量とは、点火サイクル毎に遅進角させる気筒毎の制御値(クランク角の変更値、又は、タイミングの変更値)の積算値を指し、ノック判定時点での点火時期を示す値である。従って、遅角偏差量は、平均偏差量に対する偏差を気筒毎に示すところ、各気筒についての遅角制御量の度合を示すパラメータとなる。
このような処理により、特許文献1に係るECUでは、ノック判定閾値を遅角偏差量に基づいて調整させ、具体的には、遅進角制御量の大きい気筒では遅角し難いように制御され、一方、平均遅角量に近い気筒にあっては比較的に遅角し易くなるように制御される。このように制御することで、特許文献1に係るノック判定装置では、気筒相互の遅角制御量のバラツキが一定範囲内に抑えられる。
特開2003−328840号公報
特許文献1の技術によれば、例えば、ノック信号の不具合等により或る気筒が異常進角してしまうと、平均遅角量が進角側の値に大きくシフトされてしまう。このような場合、正常なノック信号によって点火時期制御されている他の気筒では、平均遅角量に生じた誤差に伴い遅角偏差量の算出基準が不当のものとなり、当該気筒での点火時期が正しい基準に基づいて遅角制御できなくなるといった不具合を招く。特に、3気筒の内燃機関では、平均遅角量を算出する標本値が3気筒分しかないので、気筒各々での遅角制御量の値又は進角制御量の値が平均遅角量に大きく影響する。
また、特許文献1の技術によれば、当該平均遅角量より十分遅角制御された気筒(例えば、最も遅角制御された気筒)は、更なる遅角制御が行われ難くなる。ところが、実際の点火時期制御では、気筒各々の機構的なバラツキが大きい場合、最遅角気筒の点火時期がMBTに一致しているといった場面は十分に起こり得るし、場合によっては、其の最遅角気筒について更なる遅角制御が必要となる。即ち、特許文献1の技術によれば、或る気筒についての遅角制御が他の気筒に比較して進行すると、其の遅角制御が進んだ気筒では、ノッキングの発生場面に直面しているにも関わらず、点火時期が適正に遅角され得なくなる。
本発明は上記課題に鑑み、気筒毎の点火時期が個別に制御される点火時期制御装置について、ノッキングの発生回避と気筒相互の点火時期のバラツキ防止との双方の課題を解消させることが可能な内燃機関用の点火時期制御装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では次のような内燃機関用の点火時期制御装置の構成とする。即ち、内燃機関の各々の気筒に対応して設けられた複数の点火コイルと、前記気筒で発生するノッキングの発生状態を当該気筒毎に検出するノック検出部と、前記複数の点火コイルに対応して個別に点火信号を設定し前記気筒での点火時期を個別に制御する信号処理部と、を備える内燃機関用の点火時期制御装置であって、
前記信号処理部は、前記ノック検出部から出力された検出信号に基づいて当該検出信号に対応する被検査気筒でのノッキングの発生有無を判定するノック判定処理と、前記被検査気筒の点火時期の制御予定先とされる遅進角制御量を数値化させた遅進角予定値を、前記ノック判定処理の結果に基づいて算出する遅進角値演算処理と、前記遅進角制御量が最も遅角側へ制御されている最遅角気筒の遅進角制御量と当該最遅角気筒を除く他の気筒の遅進角制御量との差を一定範囲内とするよう、前記被検査気筒の遅進角制御量を制御させる最遅角気筒追尾処理と、を実行させることとする。
好ましくは、前記信号処理部は、当該信号処理部によって設定された遅進角設定値に基づいて、前記被検査気筒に対応した点火信号を生成することとする。
好ましくは、前記最遅角気筒追尾処理は、前記被検査気筒が前記最遅角気筒である場合、前記遅進角予定値を前記被検査気筒の遅進角設定値として設定し、前記被検査気筒が前記他の気筒に属する場合、前記最遅角気筒の遅進角制御量と前記被検査気筒の遅進角制御量との差を一定範囲内とするよう、前記被検査気筒の遅進角設定値を設定させることとする。
好ましくは、前記最遅角気筒追尾処理は、前記被検査気筒が前記他の気筒に属する場合、前記最遅角気筒の遅進角設定値と前記被検査気筒の遅進角予低値との差分値を演算する比較処理と、前記差分値が限界差分値より小さい場合、前記被検査気筒の遅進角予定値を当該被検査気筒の遅進角設定値として設定させ、前記差分値が前記限界差分値より大きい場合、前記最遅角気筒の遅進角設定値から所定オフセット値を減算させた減算結果値を、前記被検査気筒の遅進角設定値として設定させる遅進角値設定処理と、を実行させることとする。このとき、前記所定オフセット値は、前記限界差分値とされるのが好ましい。
前記信号処理部は、更に、前記点火時期の遅角制御の許容限界とされる最遅角値を設定する最遅角値設定処理と、前記差分値が前記限界差分値以上となる事象の頻度を点火時期毎に算出するバラツキ頻度認識処理と、前記頻度が所定閾値頻度を上回った場合、前記被検査気筒の遅進角設定値を前記最遅角値に設定する最遅角処理と、を実行させることとしても良い。
この他、前記信号処理部は、更に、前記点火時期の遅角制御の許容限界とされる最遅角値を設定する最遅角値設定処理と、前記遅進角設定処理の前記減算結果値によって遅角制御される事象の頻度を算出する強制遅角頻度認識処理と、前記頻度が所定閾値頻度を上回った場合、前記被検査気筒の遅進角設定値を前記最遅角値に設定する最遅角処理と、を実行させることとしても良い。
好ましくは、前記頻度は、前記事象の連続発生回数によって算出されることとする。
前記被検査気筒の遅進角設定値が前記最遅角処理に基づいて前記最遅角値に設定されている場面において、前記最遅角処理は、前記頻度が前記所定閾値頻度以下に復帰すると、前記遅進角設定値の遅進角制御を再開させることとする。
本発明に係る点火時期制御装置によると、最遅角気筒における点火時期の遅角制御量は、他の気筒との関係による規制を受けることなく、適正な処理に基づいて順調に遅角制御が実施される。このため、気筒毎に機構的なバラツキが大きい場合であっても、最遅角気筒のような遅角制御の進んだ気筒について、点火時期の遅角制御を適正量実施することが可能となり、当該最遅角気筒でのノッキングの回避が可能となる。
また、本発明に係る内燃機関用の点火時期制御装置によると、最遅角気筒の点火時期の遅角制御が他の気筒との関係による規制を受けることなく実施され、且つ、他の気筒に係る点火時期の遅角制御量が最遅角気筒の遅角制御量に対して追尾するよう制御される。この追尾制御は、最遅角気筒の遅角制御量に対して一定範囲内となるよう、他の気筒について遅角制御量が行なわれるので、気筒相互の点火時期が略一定の時間間隔とされる。このため、内燃機関では、燃焼エネルギーを受け取る間隔が略一定間隔とされ、出力トルクの周期的な変動が抑制される。
上述の如く、最遅角気筒の点火時期は、「ノック有り」との判定結果が得られた場合、他の気筒との関係による規制を受けることなく、適正な処理に基づいて順調に遅角制御される。一方、他の気筒(進角側の気筒)の各々の点火時期は、最遅角気筒を追尾するよう制御されるので、MBTよりも遅角側に制御されることとなる。加えて、当該追尾的な制御によって、内燃機関では、気筒相互の点火時期の間隔を略一定間隔で迎えることが可能となる。即ち、本発明に係る点火時期制御装置は、これらの効果が密接に影響し合うことで、全ての気筒においてノックの発生を解消させ、且つ、出力トルクの変動を抑制させる、といった相乗的な効果が得られる。
実施の形態に係る内燃機関の点火時期制御装置の構成を示す図 イオン電流検出回路の構成を示す図 ノック判定処理に関するタイミングチャート 実施の形態に係る信号処理ルーチンのフローチャート 実施の形態に係る信号処理ルーチンで設定されるパラメータのイメージ図 気筒#1の遅進角設定値を示すタイミングチャート 実施の形態に係る各気筒の遅進角設定値を示すタイミングチャート(1) 実施の形態に係る各気筒の遅進角設定値を示すタイミングチャート(2) 実施の形態に係る気筒#1,#2の遅進角設定値を示すタイミングチャート 実施の形態に係る各気筒の遅進角設定値を示すタイミングチャート(3) 実施例に係る信号処理ルーチンのフローチャート 実施例に係る各気筒の遅進角値を示すタイミングチャート
以下、本発明に係る実施の形態につき図面を参照して具体的に説明する。図1は、内燃機関用の点火時期制御装置(以下、単に点火時期制御装置と呼ぶ)の構成が示されている。本実施の形態では、内燃機関が3気筒であるとし、各々の気筒について#1〜#3として表すこととする。また、同図にあっては、気筒#1〜#3の各々に対応させて点火プラグが示されている。
図示の如く、点火時期制御装置CMBは、内燃機関の気筒#1〜#3に対応して設けられた複数の点火コイルCLと、当該点火コイルCLに対応して設けられるパワートランジスタTrと、各気筒で発生するノッキングの発生状態を気筒毎に検出するイオン電流検出回路INSと、複数の点火コイルCLに対応して個別に点火信号を設定し気筒#1〜#3での点火時期を個別に制御する信号処理部ECUとを備えている。
図2には、所定の気筒に対応する点火コイルCL及びイオン電流検出回路INSの回路構成が示されている。図示の如く、点火コイルCLは、一次コイルL1及び二次コイルL2を備え、各コイルは図示されない鉄心に巻回されている。このうち、一次コイルL1は、一端が車載バッテリVBに電気的に接続され、他端がパワートランジスタTrに接続されている。一方、二次コイルL2は、一端が点火プラグPGに接続され、他端がイオン電流検出回路INSの一端部に接続されている。当該点火コイルCLは、一次電流Ic1(一次コイルL1に流れる電流)に応動して、数十kVの高電圧を発生させる。
パワートランジスタTrは、信号処理部ECUから印加される点火信号SGに応じて、一次電流Ic1を制御させる。点火信号SGは、数μ〜数m(sec)程度の矩形波とされ、パワートランジスタTrは、この信号に応じて、一次電流Ic1の通電/遮断を行なう。当該パワートランジスタTrは、IGBT,MOSFET等、自動車技術分野で広く用いられているものが採用される。
イオン電流検出回路INS(ノック判定部)は、図示の如く、ツェナーダイオードZD、ダイオードD1,D2、コンデンサC1、抵抗R1〜R3、オペアンプAMPを主構成要素する。当該イオン電流検出回路INSは、点火コイルCLを直接的に点火制御させるイグナイタ、又は、信号処理部ECU等の回路部に内蔵される。
かかる構成のうち、オペアンプAMPは、出力端が信号処理部ECUに接続され、当該出力端の電圧値Vion(検出信号Vion)を信号処理部ECUに印加させる。検出信号Vionは、イオン電流Iionを増幅させた比例値であって、当該イオン電流Ionの波形状態を示すものである。以下、検出信号Voutを、単に、イオン電流と呼ぶことがある。
信号処理部ECUは、一般に、「Engine Control Unit」を指すものであり、其の内部要素は、CPU,メモリ回路,AD変換回路,クロック回路等を具備し、種々の情報処理を執り行う。また、メモリ回路には、各種制御プログラム,及び,マップ情報等が格納されている。このうち、制御プログラムは、イオン電流検出処理プログラム100,ノック判定処理プログラム200,基準点火時期設定処理プログラム300,最遅角点火時期設定プログラム400,この他、点火時期制御に関するプログラム(主に、遅進角値演算処理プログラム,最遅角気筒追尾処理プログラム等、本発明に密接に関係するプログラム)から構成される。そして、本実施の形態では、これらの制御プログラムとハードウェアとが協働して、点火時期制御装置CMBが構築される。
信号処理部ECUでは、各気筒での点火動作毎に信号処理ルーチンRt01が起動され、各処理段階で上述した制御プログラムが機能する(図4参照)。ここで、内燃機関の点火サイクルとは、「圧縮工程→膨張行程」へ移行する動作を全ての気筒についてカウントしたものであって、「n」と表すものとする。具体的に説明すると、n=1,2,3.・・・・・、の各々が点火サイクルとされる。特に、mを自然数とすると、気筒#1に対応する点火サイクルnは「n=3m−2」で表され、気筒#2に対応する点火サイクルnは「n=3m−1」で表され、気筒#3に対応する点火サイクルnは「n=3m」で表される。また、点火時期とは、信号処理部ECUによって、上記点火サイクルに対応して与えられるものであって、所定の演算処理によって遅進角設定されるものである。
信号処理部ECUは、後述する遅進角設定値に基づいて点火信号SGを生成させ、当該点火信号SGを点火サイクル毎に順次出力させる(図3a参照)。尚、同図にあっては、点火信号SGが気筒1#についてのみ代表的に示されているが、実際には、気筒#2及び気筒#3についても、点火信号が適宜のタイミングで出力されている。この点火信号SGの出力タイミングは、各々の気筒に対応して個別に点火信号を設定し、当該気筒での点火時期が個別に制御される。この出力タイミングについては、後述により其の設定方法が明らかとなろう。
点火コイルCLでは、当該点火信号SGを受けて、一次電流Ic1が発生する(図3b参照)。そして、点火信号SGが立下がると、一次電流Ic1はパワートランジスタTrによって遮断され、これにより、二次コイルL2から負の高電圧V2が出力される(図3c参照)。このとき、点火プラグPGでは、プラグギャップ部に放電を発生させ、気筒内部の混合気を燃焼させる。
このとき、イオン電流検出回路INSでは、回路内に放電電流I1が流れ、コンデンサC1に電荷がチャージされる(図2参照)。気筒内部では、混合気の燃焼に応じて、ラジカルな物質(イオン)が多数生成されることとなる。このため、放電が止まると、コンデンサC1のチャージ電荷は、当該イオンを介して、イオン電流Iionとして回路内を流れることとなる。
一方、オペアンプAMPの出力端では、イオン電流Iionが変動すると、これに応じて電圧値が変動する。この電圧値は、イオン電流検出回路INSの検出信号Vionであって、信号ラインを介して、信号処理部ECUのADポートへ印加される。
図3(d)に示す如く、イオン電流の検出信号Vionは、放電電圧V2の収束後(即ち、燃焼後)に現れる。信号処理部ECUでは、この検出信号Vionの発生時期に合わせて信号処理ルーチンRt01が起動され(図4参照)、当該ルーチンRt01で規定されている処理を点火サイクル毎(即ち、気筒毎)に実行させる。図4に示す如く、信号処理ルーチンRt01では、先ず、イオン電流検出処理S100が実行される。処理S100は、検出信号(イオン電流)を検出するためのウィンドウWionを設定し、当該期間において、ADタイミング毎に検出信号Vionの値をメモリ回路へ順次記憶させる。尚、上述した信号処理ルーチンRt01の起動タイミング,ウィンドウWionの開始点及び期間は、内燃機関の運転状態(回転数,負荷の状態)に基づいて適宜決定される。
処理S100が終了すると、ノック判定処理S200が実行される。当該処理S200は、図3(e)に示す如く、イオン電流Ionに重畳されるノック信号に対応させて、ノック検出用のウィンドウWknを設定する。このウィンドウWknについても、内燃機関の運転状態に応じて設定させることで、ウィンドウWknの開始時期/期間がノック信号の発生時期/期間に一致する。
同ノック判定処理S200では、ウィンドウWnkの設定期間についてバンドパス処理を実施し、検出信号Voutからノック信号Sknを抽出する(図3f参照)。その後の処理の一例としては、ノック信号Sknの全波波形について積分処理を実施し(図3g参照)、積分値INTの値が閾値KNth以下のとき「ノック無し」と判定し、積分値INTの値が閾値以上のとき「ノック有り」と判定する。このように、ノック判定処理200では、検出信号Voutに対応する検査中の気筒(以下、被検査気筒と呼ぶ)について、ノッキングの発生有無が判定される。尚、本実施の形態では、かかる判定処方に限定することなく、例えば、積分値INTの替わりに、ノック信号Sknが所定閾値を上回わる際のカウント値を用いても良い。また、ノック信号Sknのピーク値に基づいて、ノック判定を実施しても良い。
次に、処理S300では、基準点火時期CABFが設定される。当該基準点火時期CABFは、内燃機関の運転状態(特に、必要トルク)に応じて与えられる進角方向の点火時期を指し、本実施の形態では、全ての運転条件の中で最も進角側に設定される限界時期を、基準点火時期CABFとしている(図5a参照)。尚、図5は、クランクシャフトが回転している様を示すものであって、TDCは、ピストン動作における上死点を指す。
次に、処理400では、最遅角値CAMDが設定される(図5b参照)。当該最遅角値CAMDは、遅角方向へ設定されるものであって、トルクを著しく低下させない範囲に設定される。本実施の形態では、当該最遅角値CAMDを、点火時期の遅角制御の許容限界として設定する。但し、この最遅角値CAMDは、内燃機関の運転状態に応じて適宜変更されるものであっても良く、当該運転状態に関わらず一定の値として設定されても良い。
また、最遅角値CAMDは、クランク角(deg CA)に関するパラメータであるが、当該クランク角(deg CA)によって表現されても良く、点火時期等の時間(msec)等によって表現されるものであっても良い。即ち、最遅角値とは、結果的にクランク角(deg CA)を示すこととなる何らかのパラメータであれば良い。同様に、以下の記載において、遅角値,進角値,遅進角値,遅進角予定値,遅進角設定値(遅進角制御量),又は,遅角差,と表現される用語は、上述の如く、結果的にクランク角(deg CA)を示すこととなる何らかのパラメータを指す。尚、本実施の形態にあっては、説明の便宜上、これらの値がクランク角(deg CA)に相当するディメンションであるとして説明を行なう。
処理S510では、現時点で設定されている被検査気筒#Nの遅進角設定値を認識する(図5c参照)。信号処理ルーチンRt01では、起動時の点火サイクル毎に、遅進角設定値をメモリ回路へ更新・記録させ、次回の点火サイクルに備える。即ち、現点火サイクルnとし、直前の点火サイクルn−3とすると、現点火サイクルnで設定されている被検査気筒#Nの遅進角設定値は、直前点火サイクルn−3で設定されたCAn−3(#N)ということになる。このため、現点火サイクルnでは、メモリ回路に記録された情報を参照することにより、現時点で設定されている被検査気筒#Nの遅進角設定値CAn−3(#N)を認識することが可能となる。尚、本実施の形態では3気筒の内燃機関が用いられるところ、現時点の気筒#Nの点火サイクルをnとすると、其の気筒#Nにおける直前の点火サイクルは、点火サイクルを3点後退させたn−3で表される。
以降説明される処理S520〜S570では、図5(d)に示されるように、次回の点火サイクルにおける点火時期の制御先CAn(#N)が決定される。先ず、処理S520では、ノック判定処理S200でのノック判定結果に基づいて、遅進角予定値!CAn(#N)を算出させる。遅進角予定値!CAn(#N)は、「!CAn(#N)=CAn−3(#N)+ΔCAd」によって算出される。上式右辺のうち、CAn−3(#N)は、現時点での遅進角設定値であって、ΔCAdは、ノック判定結果に基づいて与えられる制御値である。本実施の形態では、これらのパラメータは遅角方向が「正」で表され、進角方向が「負」で表される。また、本実施の形態では、ノック判定結果が「ノック無し」とされる場合、「ΔCAd=−0.5(deg CA)」として設定され、ノック判定結果が「ノック有り」とされる場合、「ΔCAd=+1(deg CA)」として設定される。このように、ノック判定に基づいて遅進角制御されることで、遅進角予定値!CAn(#N)は、次回の点火サイクルn+3における点火時期の制御予定先を規定することとなる。
処理520が終了すると、以下の処理S530〜S570(特許請求の範囲における最遅角気筒追尾処理に相当)によって、最遅角気筒の遅進角制御量と当該最遅角気筒を除く他の気筒の遅進角制御量との差を一定範囲内とするよう、被検査気筒#Nの遅進角制御量を制御させる。尚、最遅角気筒とは、遅進角制御量が最も遅角側へ制御されている気筒を指し、以下、#Mと表わすこととする。また、被検査気筒#Nは、当該気筒#Nの点火時期制御の進行具合によって、最遅角気筒#Mとも成り得るし、他の気筒(進角側の気筒)とも成り得る。
処理530では、点火サイクルnでの最遅角気筒#Mと、当該気筒#Mに相当する最遅角設定値CAn(#M)を特定する。具体的には、点火サイクル(n−2,n−1,n)の情報が用いられ、この中から、最遅角側の遅進角設定値CAn(#M)を特定し、また、これに相当する気筒を最遅角気筒#Mと特定する。
この処理によって、被検査気筒#Nが最遅角気筒#Mであるという結果が得られた場合、処理S540,S550を実行させずに、遅進角予定値!CAn(#N)を被検査気筒#Nの遅進角設定値CAn(#N)として設定する(S561)。そして、この値CAn(#N)は、処理S570によってメモリ回路へ記録・更新される。この場合、気筒#Nに係る次回の点火サイクルn+3では、ここで更新された遅進角設定値CAn(#N)に基づいて、点火時期(点火信号の出力タイミング,パルス幅等)が規定される。
このように、被検査気筒#Nが最遅角気筒#Mとされる場合、当該気筒#N(#M)における点火時期の遅角制御量(遅進角設定値)は、「ノック有り」との判定結果が得られると、他の気筒との関係による規制を受けることなく、所定の処理に基づいて順調に遅角設定される。このため、気筒毎の機構的なバラツキが大きい場合であっても、最遅角気筒#Mについて、点火時期の遅角制御を適正量実施することが可能となる。
一方、被検査気筒#Nが最遅角気筒#Mでない場合(他の気筒に属する場合)、処理S540〜S570によって、最遅角気筒#Mの遅進角制御量と被検査気筒#Nの遅進角制御量との差を一定範囲内とするよう、被検査気筒#Nの遅進角設定値が定められる。
被検査気筒#Nが最遅角気筒#Mでない場合について説明すると、先ず、比較処理S540を実行させ、「Δ!CAn=CAn(#M)−!CAn(#N)」,を演算する。上式右辺のうち、CAn(#M)は、点火サイクルnで特定された最遅角設定値であって、!CAn(#N)は、点火サイクルnで算出された遅進角予定値である。また、左辺Δ!CAnを、以下、差分値と呼ぶこととする。
処理S540が終了すると、遅進角設定処理(S550,S561,S562)が実行される。当該処理では、先ず、限界差分値ΔCAthを設定し、先の処理で算出された差分値Δ!CAnが限界差分値ΔCAthよりも大きいか否かの閾値判定を行なう(S550)。本実施の形態では、「ΔCAth=5(deg CA)」と設定される。
そして、「Δ!CAn≦ΔCAth」とされる場合、遅進角予定値!CAn(#N)を遅進角設定値CAn(#N)として設定させ、「Δ!CAn>ΔCAth」とされる場合、「CAn(#N)=CAn(#M)−ΔCAth」,によって、遅進角設定値CAn(#N)を設定させる。尚、この場合の遅進角設定値は、減算結果値(最遅角気筒の遅進角設定値から限界差分値を減算させた値)を意味する。このように、本実施の形態では、最遅角気筒#Mの遅進角設定値が基準となり、この基準とされる遅進角設定値に基づいて、他の気筒の遅進角設定値が設定されることとなる。このとき、当該他の気筒(進角側の気筒)は、遅進角設定処理(S550,S561,S562)によって、最遅角気筒#Mと被検査気筒#Nの遅進角設定値の差が一定範囲内とされ、これにより、被検査気筒#Nの遅進角設定値が最遅角気筒#Mの遅進角設定値に追従するように制御されることとなる。
以下、遅進角設定値CAn(N#)の推移について、所定のシチュエーション毎に説明する。先ず、最遅角気筒#Mの遅進角設定値の推移について説明する。図6上段には、気筒#1に係るノック判定信号KNd(#1)が示されており、同図下段には、気筒#1の遅進角設定値CAn(#1)の推移が示されている。尚、この気筒#1は、最遅角気筒#Mであるものとする。図示の如く、気筒#1の遅進角設定値CAn(#1)は、「ノック有り{KNd(#1)=HIGH}」との判定が行なわれると、1(deg CA)毎に遅角制御される(点火サイクルn=1,4,7)。一方、「ノック無し{KNd(#1)=LOW}」との判定が行なわれると、0.5(deg CA)毎に進角制御される(点火サイクルn=10,13,16)。また、気筒#1が被検査気筒#Nとされていない点火サイクル(例えば、点火サイクルn=2,3など)にあっては、気筒#1に対応する信号処理ルーチンRt01が起動されるまで、既存の値が維持されることとなる。このようにして、気筒#1の遅進角設定値は、点火サイクルに応じて、CA1(#1)→CA4(#1)→・・・→CA13(#1)→CA16(#1),といったように、ステップ状に推移する。
この場合、最遅角気筒#M(気筒#1)は、他の気筒に影響されることなく、自己のノック判定結果が該気筒#1の遅進角設定値に反映されることとなる。このため、最遅角気筒#M(気筒#1)の遅進角設定値は、他の気筒に対して機構的なバラツキが有る場合であっても、MBT(Minimum SparkAdvance for BEST Torque)となるように設定される。
図7は、最遅進角気筒#M(同図の場合、気筒#1を指す)に対して、気筒#2,#3(他の気筒)が限界差分値未満とされる場面が示されている。図示の如く、気筒#2,#3にあっても、ノック判定信号KNd(#2),KNd(#3)に応じて、各気筒の遅進角設定値が設定される。具体的には、気筒#2の遅進角設定値が,CA5(#2)→CA8(#2)→CA11(#2)→CA14(#2)→CA17(#2),といったように推移し、気筒#3の遅進角設定値が,CA9(#3)→CA12(#3)→CA15(#3),といったように推移する。
この場合、気筒#1に対して気筒#2,#3(他の気筒)が限界差分値未満とされるので、気筒#2,#3についても、各々のノック判定結果に基づいて遅進角設定値が設定されることとなる。また、気筒#2又は気筒#3の遅進角設定値が更に遅角される場合には、其の遅角の度合によって、気筒#2又は気筒#3の何れかが最遅角気筒#Mともなり得る。
次に、最遅進角気筒#Mと進角側の気筒との差分値Δ!CAnが限界差分値を上回る場面について説明する。図8上段には、ノック判定信号KNd(#1),KNd(#2),KNd(#3)が示され、同図下段には、前述とは別の場面(点火サイクルn=20〜34)での遅進角設定値が示されている。尚、同図に示される遅進角設定値の矢印部は、信号処理ルーチンRt01の起動タイミングを示すものである。また、図9については、図8のうち気筒#2に関係する信号・値が省略されている。先ず、図9を参照して、気筒#1及び気筒#3の遅進角設定値について説明することとする。
図示の如く、気筒#1(最遅角気筒#M)の遅進角設定値CAn(#1)は、自己のノック判定KNd(#1)がHIGH状態とされている期間、遅角方向への設定が進められる。このような制御の中、点火サイクルn=21が到来すると、気筒#3を被検査気筒#Nとする信号処理ルーチンRt01が起動する。かかる場面では、図示の如く、点火サイクルn=21での差分値Δ!CA21が、「Δ!CA21=CA19(#1)−!CA21(#3)」によって算出される。そして、「Δ!CA21=5≦ΔCAth」が得られるため、「CA21(#3)=!CA21(#3)=4」として、遅進角設定値が設定される。即ち、点火サイクルn=21の信号処理ルーチンRt01では、処理S561を介して遅進角設定値が設定されることとなる。
次に、点火サイクルn=24が到来すると、先と同様、気筒#3に関する信号処理ルーチンRt01が再び起動する。かかる場面では、図示の如く、点火サイクルn=24での差分値Δ!CA24が、「Δ!CA24=CA22(#1)−!CA24(#3)」によって算出される。そして、「Δ!CA24=6.5>ΔCAth」が得られるため、「CA24(#3)=CA22(#1)−ΔCAth=5」として、遅進角設定値が設定される。即ち、点火サイクルn=24の信号処理ルーチンRt01では、処理S562が機能し、遅進角予定値!CA24(#3)よりも遅側へ遅進角設定値CA24(#3)が設定されることとなる。
同図では、点火サイクルが更に進むと、気筒#1(最遅角気筒#M)の遅進角設定値が遅角制御される。このように、気筒#3の遅進角設定値を算出する基準が遅角方向へ推移する為、気筒#3の遅進角設定値は、上述同様、気筒#1の遅進角設定値の推移に応じて、遅角方向へ設定されることとなる(n=28,n=31,参照)。このため、図8に示す如く、気筒#3の遅進角設定値CAn(#3)は、気筒#1の遅進角設定値CAn(#1)を追尾するように、点火サイクルの進行に応じて順次遅角側へ設定されることとなる。但し、図8及び図9では気筒全体の点火時期が遅角方向へ制御される場面について示されているが、実際には、図10に示す如く、最遅角気筒#Mの点火時期が遅角されると、他の気筒の点火時期も追尾的に遅角され、その後、各々が徐所に進角するといった動作を繰返す。
尚、図8では気筒#3についての説明を行なったが、気筒#2の遅進角設定値CAn(#2)についても、差分値Δ!CAnが一定以上増加すると、最遅角設定値に対して追尾的な設定処理が行われる。
このように、全ての気筒の遅進角設定値が一定範囲内に設定されることで、内燃機関では、気筒相互の点火時期が略一定の時間間隔とされ、出力トルクの周期的な変動が抑制される。また、本実施の形態によると、最遅進角気筒#1の遅進角設定値は、MBTに略一致するよう設定され、気筒#2又は#3の遅進角設定値は、MBTよりも遅角設定されることとなる。このため、内燃機関の全ての気筒#1〜#3は、ノッキングが発生しないタイミングで混合気が点火燃焼されることとなり、内燃機関の長寿命化,ドライバビリティの向上が図られる。
また、本実施の形態に係る点火時期制御装置CMBによると、最遅角気筒#M(#1)の点火時期の遅角制御が他の気筒(#2,#3)との関係による規制を受けることなく実施され、且つ、他の気筒(#2,#3)に係る点火時期の遅角制御量が最遅角気筒#M(#1)の遅角制御量に対して追尾するよう制御される。この追尾制御は、最遅角気筒#M(#1)の遅角制御量に対して一定範囲内となるよう、他の気筒について遅角制御量が制御されるので、気筒相互の点火時期が略一定の時間間隔とされる。このため、内燃機関では、燃焼エネルギーを受け取る間隔が略一定間隔とされ、カムシャフトからは、出力変動の少ないトルクが供給されることとなる。
上述の如く、最遅角気筒の点火時期は、「ノック有り」との判定結果が得られた場合、他の気筒との関係による規制を受けることなく、適正な処理に基づいて順調に遅角制御される。一方、他の気筒(進角側の気筒)の各々の点火時期は、最遅角気筒を追尾するよう制御されるので、MBTよりも遅角側に制御されることとなる。加えて、当該追尾的な制御によって、内燃機関では、気筒相互の点火時期の間隔を略一定間隔で迎えることが可能となる。即ち、本実施の形態に係る点火時期制御装置は、これらの効果が密接に影響し合うことで、全ての気筒においてノックの発生を解消させ、且つ、出力トルクの変動を抑制させる、といった相乗的な効果が得られる。
尚、上述した点火時期制御装置CMBでは、最遅角気筒と進角側気筒との両遅進角設定値の差分値Δ!CAnが限界差分値ΔCAthに到達した場合、当該差分値Δ!CAnが限界差分値ΔCAthとなるよう、進角側気筒の遅進角設定値を設定させている。しかし、かかる追尾的な処理は、これに限定されるものではない。例えば、限界差分値ΔCAthより小さい値の所定オフセット値(例えば、3{deg CA})を新たに設定し、最遅角気筒と進角側気筒との両遅進角設定値の差分値Δ!CAnが限界差分値ΔCAthに到達した場合、当該差分値Δ!CAnが所定オフセット値(3{deg CA})となるよう、進角側気筒の遅進角設定値を遅角させるようにしても良い。この場合、気筒相互の点火時期の間隔誤差が更に低減され、トルクの出力変動がより効果的に抑制されることとなる。
図11には、実施の形態に係る信号処理ルーチンRt01の改変例が示されている。具体的に説明すると、本実施例に係る信号処理ルーチンRt02は、実施の形態で既に説明した処理S100〜S562の後に、復帰用カウンタ更新処理S610と、バラツキ頻度認識処理S620と、最遅角処理(S630,S631)と、遅進角動作復帰処理(S630,S632)と、遅進角設定値更新処理S640とが新たに追加構成されている。
先に説明した実施の形態では、処理S100〜S562の処理結果に基づいて、被検査気筒#Nの遅進角設定値CAn(#N)が設定される。これに対し、本実施例にあっては、処理S100〜S562の処理結果に基づいて、被検査気筒#Nの復帰用遅進角設定値$CAn(#N)を設定する。この復帰用遅進角設定値$CAn(#N)は、以後の処理S620〜S631の処理結果によって、次回点火サイクルの点火時期制御に反映される場合と、次回点火サイクルの点火時期制御に反映されない場合とが有る。このため、復帰用カウンタ更新処理S610では、処理S100〜S562で得た処理結果$CAn(#N)を一時的に記録しておき(図12の復帰用カウンタを参照)、其の情報$CAn(#N)は、必要に応じて後の処理で参照されることとなる。
実施の形態でも説明したが、図12の復帰用カウンタで示されるように、最遅角気筒#1と進角側気筒#3との関係は、双方の遅進角設定値が所定角度を隔てて設定される場合がある(矢印部参照)。本実施例では、この状況を監視する為、バラツキ頻度認識処理S620によって、この事象(矢印部に相当)の連続発生回数CNcntがカウントされる。具体的には、「Δ!CAn>ΔCAth」となる点火サイクルでカウントを開始させ、「Δ!CAn≦ΔCAth」となる点火サイクルでカウントを終了させる。図12を参照して説明すると、連続発生回数CNcntは、点火時期n=6〜9(CNcnt=4),点火時期n=21〜30(CNcnt=11),点火時期n=48〜51(CNcnt=4),にてカウントが行なわれる。このように、処理S620では、「Δ!CAn>ΔCAth」となる連続発生回数をカウントすることにより、気筒相互の点火時期のバラツキ状態が顕著となる事象の頻度(以下、バラツキ頻度と呼ぶ)を認識する。
処理S630では、連続発生回数CNcntに対して閾値CNth(所定閾値頻度)を設定させ、連続発生回数CNcntが閾値CNthに到達したか否かを判定する。本実施例では、閾値CNthが「CNth=5」に設定されている。
そして、「CNcnt≧CNth」の場合、最遅角処理S631が機能し、被検査気筒#1(#M)の遅進角設定値を最遅角値CAMDに設定する。図12の場合、「CNcnt≧CNth」となる場面は、「点火サイクルn=25〜29」とされる。このため、処理S631では、点火サイクルn=25に対応する遅進角設定値CA25(#2)を「CA25(#2)=CAMD」に設定し、処理640では、この値を遅進角設定値の更新値として、メモリ回路へ記録させる。
かかる処理は、次回以後の点火サイクルでも同様に機能し、点火サイクルが到来する順番で、全ての気筒の遅進角設定値が最遅角値CAMDに設定される(図12の遅進角カウンタを参照)。一般に、気筒相互の点火時期のバラツキ状態が顕著となる場合では、最遅角気筒#Mの遅進角設定値が連続的に遅角制御されている可能性がある。このような気筒については、ノッキング発生の危険度が高いため、其の遅進角設定値を遅角方向に大きく制御させる必要がある。このため、本実施例では、気筒相互の点火時期のバラツキ状態について監視を行い、当該バラツキ状態が顕著と認められた場合、全気筒の遅進角設定値を最遅角値CAMDに設定させることで、ノッキングの発生を緊急的に回避させている。併せて、全気筒の遅進角設定値が最遅角値CAMDに一律に設定させることで、気筒相互の点火時期が略一定となり、出力トルクの安定化も図られる。
尚、気筒の遅進角設定値が最遅角値CAMDに設定されている場面では、連続発生回数CNcntが閾値CNth以下に復帰すると、遅進角動作復帰処理(S630,S632)が実行される。当該遅進角動作復帰処理は、閾値CNthの監視を行い(S630)、「CNcnt<CNth」となった時点で、被検査気筒#Nの遅進角設定値CAn(#N)を、最遅角値CAMDから変更させ、遅進角値設定処理(S550,S561,S562)で算出された被検査気筒#Nの復帰用遅進角設定値$CAn(#N)に再設定する。即ち、遅進角動作復帰処理(S630,S632)では、角遅進角設定値の遅進角制御を再開させる役割を担う。
このように、遅進角動作復帰処理(S630,S632)によれば、連続発生回数CNcntの状況から点火時期のバラツキ状態を把握し、其のバラツキ状態が一定範囲に復帰すると、実施の形態で説明した処理に戻すことが可能となる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態(又は、実施例)に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記された技術的思想の範囲内において、種々の変更が可能である。
例えば、実施の形態に係るバラツキ頻度認識処理S620では、バラツキ頻度を算出するために、「Δ!CAn≧ΔCAth」となる事象をカウントしている。しかし、これに限らず、減算結果値「CAn(#N)=CAn(#M)−ΔCAth」によって遅角制御される事象をカウントするようにしても良い。これによっても、バラツキ頻度認識処理と同様、バラツキ頻度に関する状況を把握することが可能である(強制遅角頻度認識処理)。
また、上述によると、バラツキ頻度の算出は、当該頻度の連続発生回数を計数することで行なわれている。しかし、これに限らず、種々の統計的算出方法を用いて、該バラツキ頻度を算出させても良い。
CMB 内燃機関用の点火時期制御装置, #1〜#3 気筒, CL 点火コイル, INS イオン電流検出回路, ECU 信号処理部, 100 ノック判定処理用のプログラム, 200 遅進角演算処理用のプログラム, 300 最遅角気筒追尾処理用のプログラム, KNd(#1)〜KNd(#3) ノック判定結果, CAFB 基準点火時期, CAND 最遅角時期, N 点火サイクル,CAn(#N) 遅進角設定値, バランス悪化点火サイクル Nw, CNcnt 連続回数(発生頻度), CNth 所定閾値頻度,

Claims (9)

  1. 内燃機関の各々の気筒に対応して設けられた複数の点火コイルと、前記気筒で発生するノッキングの発生状態を当該気筒毎に検出するノック検出部と、前記複数の点火コイルに対応して個別に点火信号を設定し前記気筒での点火時期を個別に制御する信号処理部と、を備える内燃機関用の点火時期制御装置であって、
    前記信号処理部は、
    前記ノック検出部から出力された検出信号に基づいて当該検出信号に対応する被検査気筒でのノッキングの発生有無を判定するノック判定処理と、
    前記被検査気筒の点火時期の制御予定先とされる遅進角制御量を数値化させた遅進角予定値を、前記ノック判定処理の結果に基づいて算出する遅進角値演算処理と、
    前記遅進角制御量が最も遅角側へ制御されている最遅角気筒の遅進角制御量と当該最遅角気筒を除く他の気筒の遅進角制御量との差を一定範囲内とするよう、前記被検査気筒の遅進角制御量を制御させる最遅角気筒追尾処理と、を実行させることを特徴とする内燃機関用の点火時期制御装置。
  2. 前記信号処理部は、当該信号処理部によって設定された遅進角設定値に基づいて、前記被検査気筒に対応した点火信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用の点火時期制御装置。
  3. 前記最遅角気筒追尾処理は、
    前記被検査気筒が前記最遅角気筒である場合、前記遅進角予定値を前記被検査気筒の遅進角設定値として設定し、前記被検査気筒が前記他の気筒に属する場合、前記最遅角気筒の遅進角制御量と前記被検査気筒の遅進角制御量との差を一定範囲内とするよう、前記被検査気筒の遅進角設定値を設定させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関用の点火時期制御装置。
  4. 前記最遅角気筒追尾処理は、前記被検査気筒が前記他の気筒に属する場合、
    前記最遅角気筒の遅進角設定値と前記被検査気筒の遅進角予低値との差分値を演算する比較処理と、
    前記差分値が限界差分値より小さい場合、前記被検査気筒の遅進角予定値を当該被検査気筒の遅進角設定値として設定させ、前記差分値が前記限界差分値より大きい場合、前記最遅角気筒の遅進角設定値から所定オフセット値を減算させた減算結果値を、前記被検査気筒の遅進角設定値として設定させる遅進角値設定処理と、を実行させることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の内燃機関用の点火時期制御装置。
  5. 前記所定オフセット値は、前記限界差分値とされることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関用の点火時期制御装置。
  6. 前記信号処理部は、更に、
    前記点火時期の遅角制御の許容限界とされる最遅角値を設定する最遅角値設定処理と、
    前記差分値が前記限界差分値以上となる事象の頻度を算出するバラツキ頻度認識処理と、
    前記頻度が所定閾値頻度を上回った場合、前記被検査気筒の遅進角設定値を前記最遅角値に設定する最遅角処理と、を実行させることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  7. 前記信号処理部は、更に、
    前記点火時期の遅角制御の許容限界とされる最遅角値を設定する最遅角値設定処理と、
    前記遅進角設定処理の前記減算結果値によって遅角制御される事象の頻度を算出する強制遅角頻度認識処理と、
    前記頻度が所定閾値頻度を上回った場合、前記被検査気筒の遅進角設定値を前記最遅角値に設定する最遅角処理と、を実行させることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  8. 前記頻度は、前記事象の連続発生回数によって算出されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の内燃機関用の点火時期制御装置。
  9. 前記被検査気筒の遅進角設定値が前記最遅角処理に基づいて前記最遅角値に設定されている場面において、
    前記最遅角処理は、前記頻度が前記所定閾値頻度以下に復帰すると、前記遅進角設定値の遅進角制御を再開させることを特徴とする請求項6乃至請求項8に記載の内燃機関用の点火時期制御装置。
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