JPH1150878A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

内燃機関の制御装置

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JPH1150878A
JPH1150878A JP9206481A JP20648197A JPH1150878A JP H1150878 A JPH1150878 A JP H1150878A JP 9206481 A JP9206481 A JP 9206481A JP 20648197 A JP20648197 A JP 20648197A JP H1150878 A JPH1150878 A JP H1150878A
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ignition
fuel
preignition
value
engine
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JP9206481A
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Hironao Kishi
宏尚 岸
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Abstract

(57)【要約】 【課題】プレイグニッションの速やかな回避と燃費の悪
化防止とを両立させ、しかも内燃機関の運転を安定維持
した状態でプレイグニッションを回避することのできる
内燃機関の制御装置を提供する。 【解決手段】エンジン11の燃焼室16内でのプレイグ
ニッション発生が検出されると、燃料噴射弁50による
燃料噴射量の増量補正が行われ、その増量補正によって
プレイグニッションが速やかに回避される。その後、燃
料増量値が徐々に減少されるとともに、その減少に伴い
点火時期が徐々に遅角補正される。即ち、燃料噴射量増
量によるプレイグニッション回避が徐々に点火時期遅角
によるプレイグニッション回避へと置き換えられる。そ
のため、プレイグニッション回避のための燃料噴射量増
量による燃費悪化が抑制される。また、徐々に点火時期
遅角補正が行われるため、点火時期遅角に基づく急激な
トルク低下は抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の制御装
置に係り、詳しくはプレイグニッションを回避制御する
上での好適な制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、車載用エンジン等の内燃機関
は、そのシリンダブロック内で往復移動するピストン
と、同機関の出力軸であるクランクシャフトと、ピスト
ンの往復移動をクランクシャフトの回転へと変換するコ
ンロッドとを備えている。また、シリンダブロックには
シリンダへッドが取り付けられている。このシリンダヘ
ッドとピストンとの間には、燃焼室が設けられている。
シリンダヘッドには、燃焼室に連通する吸気通路及び排
気通路と、燃焼室内へ向けて燃料を噴射する燃料噴射弁
と、燃焼室内の混合ガスに対し点火を行うための点火プ
ラグとが設けられている。
【0003】上記構成の内燃機関は、その吸気行程にお
いて、吸気通路を介して燃焼室へ空気が吸入されるとと
もに、燃料噴射弁から燃焼室へ向けて燃料が噴射され、
その燃料及び空気からなる混合ガスが燃焼室に充填され
る。その後、内燃機関の圧縮行程において、燃焼室内の
混合ガスがピストンの移動によって圧縮され、同混合ガ
スに対して点火プラグにより点火がなされる。内燃機関
は、点火された混合ガスの燃焼によりピストンが上記と
逆方向へ移動することで燃焼行程に移るとともに駆動力
を得る。その後、排気行程において、燃焼後の混合ガス
がピストンの移動により排気ガスとして排気通路を介し
て外部へ排出される。
【0004】こうした内燃機関では、例えば点火プラグ
の温度が過度に高くなると、同プラグによる点火よりも
前に燃焼室内の混合ガスが自然着火し、いわゆるプレイ
グニッションと呼ばれる異常燃焼が発生する場合があ
る。このプレイグニッションを検出するために従来は、
燃焼室内の燃焼状態を検出する燃焼状態検出装置が提案
され、実用されている。この燃焼状態検出装置の一例と
して、例えば特開昭61−155753号公報に記載さ
れたものが知られている。
【0005】同公報に記載された装置では、点火プラグ
の電極間に低電圧が印加されるとともに、その電極間に
流れる電流を検出するための電流検出回路が設けられて
いる。そして、燃焼室内で混合ガスが燃焼したときに発
生するイオンに基づき点火プラグの電極間に流れるイオ
ン電流を、上記電流検出回路によって検出するようにし
ている。従って、電流検出回路によって検出されるイオ
ン電流の発生タイミングに基づき、プレイグニッション
発生の有無を知ることができるようになる。
【0006】同公報に記載の燃焼状態検出装置によって
プレイグニッション発生が検出された場合、プレイグニ
ッション発生を回避すべく例えば燃料噴射量を増量さ
せ、燃焼室内の温度低下が図られる。即ち、燃料噴射量
増量によって混合ガスが理論空燃比よりもリッチ側に移
行して燃焼速度が緩やかにされることで燃焼室内の温度
上昇が抑制され、また、増量分燃料の蒸発時の気化熱が
点火プラグ等から奪われて燃焼室内の温度低下が図られ
る。このように燃焼室内の温度低下を図ることで、プレ
イグニッション発生が回避されるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように燃料噴射
量を増量することで、燃焼室内の温度を速やかに低減さ
せてプレイグニッション発生を回避することができるよ
うにはなるものの、燃料噴射量増量分だけ燃費が悪化す
る。
【0008】一方、プレイグニッションを回避する別の
方法としては、点火時期を遅角させることで混合ガスの
燃焼期間を全体的に遅角側へ移行させ、燃焼室内での混
合ガスの燃焼温度を低く抑えて燃焼室内温度の低減を図
ることが知られている。
【0009】しかし、点火時期の遅角により混合ガスの
燃焼温度を低くしても燃焼室自身の温度は速やかに低減
しないため、プレイグニッション発生を速やかに回避す
ることは難しい。また、点火時期の変更は内燃機関トル
クの出力特性に大きな変動を与え易いため、点火時期の
遅角によって生じる同機関のトルク低減が無視できない
ものとなる。
【0010】また、燃料噴射量の増量と点火時期の遅角
とを両方行うことも考えられるが、この場合には内燃機
関の燃料噴射量及び点火時期といった運転状態の変動が
大きくなるため、同機関の運転を安定した状態に維持す
ることが難しくなる。
【0011】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、プレイグニッションの速や
かな回避と燃費の悪化防止とを両立させ、しかも内燃機
関の運転を安定維持した状態でプレイグニッションを回
避することのできる内燃機関の制御装置を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるた
め、請求項1記載の発明では、内燃機関の燃焼室に供給
される燃料量及び該供給される燃料への点火時期を制御
する内燃機関の制御装置において、前記燃焼室内でのプ
レイグニッション発生を検出するプレイグニッション検
出手段と、前記プレイグニッション検出手段によるプレ
イグニッション発生の検出に基づいて、前記制御される
燃料量を増量補正し、その後この燃料増量値を徐々に減
少補正する燃料量補正手段と、前記燃料量補正手段によ
る燃料増量値の減少に伴って前記制御される点火時期を
徐々に遅角補正する点火時期補正手段とを備えた。
【0013】同構成によれば、プレイグニッション検出
手段によって燃焼室内でのプレイグニッション発生が検
出されると、燃料量補正手段によって燃焼室に供給され
る燃料量が増量補正されて燃焼室内温度が速やかに低下
し、プレイグニッションが回避される。その後、燃料量
補正手段によって燃料増量値が徐々に減少され、その減
少に伴い点火時期補正手段によって点火時期が徐々に遅
角補正される。こうした燃料量補正及び点火時期補正に
より、燃料量増量によるプレイグニッション回避が、点
火時期遅角によるプレイグニッション回避へと徐々に置
き換えられることで、プレイグニッションの速やかな回
避と燃費の悪化防止とを両立可能になる。また、点火時
期遅角によるプレイグニッション回避は、内燃機関にお
ける急激なトルク低下に繋がり易いが、上記のように徐
々に点火時期を遅角させることによって内燃機関の運転
を安定維持した状態でプレイグニッションを回避できる
ようになる。
【0014】請求項2記載の発明では、前記燃料量補正
手段は、内燃機関の排気温度が許容上限値を越えないよ
う、前記徐々に減少補正する燃料増量値を下限ガードす
るものとした。
【0015】同構成によれば、燃料増量値が徐々に減少
するに従い点火時期が徐々に遅角補正されると、その点
火時期遅角補正によって内燃機関の排気温度が徐々に高
くなる。そして、内燃機関の排気温度が許容上限値を越
える前に、上記徐々に減少する燃料増量値が下限ガード
されて点火時期の遅角補正が停止されるため、排気温度
が過度に上昇して内燃機関の排気系に故障等が発生する
のを防止できるようになる。
【0016】請求項3記載の発明では、前記燃料量補正
手段は、内燃機関の排気温度が許容上限値付近の値とな
るよう、前記燃料増量値の下限ガード値を設定するもの
とした。
【0017】同構成によれば、燃料増量値の下限ガード
に用いられる下限ガード値は、その下限ガードがなされ
たとき、内燃機関の排気温度が許容上限値付近の値とな
るものとして設定される。このように内燃機関の排気温
度が許容上限値付近の値となるように、燃料噴射量増量
及び点火時期遅角によるプレイグニッション回避が行わ
れることで、そのプレイグニッション回避に伴う燃費悪
化とトルク低下との両方を極力抑えることができるよう
になる。
【0018】請求項4記載の発明では、前記点火時期補
正手段は、前記プレイグニション検出手段によるプレイ
グニッション発生の検出後、所定の遅延時間を持って前
記遅角補正を開始するものとした。
【0019】同構成によれば、点火時期の遅角補正は、
プレイグニッション発生の検出後に所定の遅延時間をも
って開始される。そして、プレイグニッション発生の検
出から点火時期遅角補正開始までの遅延時間を変更する
ことで、一回のプレイグニッション発生の際に行われる
点火時期遅角補正の総遅角量を好適に調整することがで
きるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を自動車用の直列4
気筒ガソリンエンジンに適用した一実施形態を図1〜図
19に従って説明する。
【0021】図1に示すように、エンジン11の1番気
筒〜4番気筒(図1には一つの気筒のみ図示)には、そ
れぞれピストン12が設けられている。このピストン
は、エンジン11のシリンダブロック11a内にて往復
移動可能となっており、コンロッド13を介してエンジ
ン11の出力軸であるクランクシャフト14に連結され
ている。そして、ピストン12の往復移動は、コンロッ
ド13によってクランクシャフト14の回転へと変換さ
れるようになっている。
【0022】クランクシャフト14にはシグナルロータ
14aが取り付けられている。このシグナルロータ14
aの外周部には、複数の突起14bがクランクシャフト
14の軸線を中心とする等角度毎に設けられている。ま
た、シグナルロータ14aの側方には、クランクセンサ
14cが設けられている。そして、クランクシャフト1
4が回転して、シグナルロータ14aの各突起14bが
順次クランクセンサ14cの側方を通過することによ
り、同センサ14cからはそれら各突起14bの通過に
対応したパルス状の検出信号が出力されるようになる。
【0023】一方、シリンダブロック11aには、エン
ジン11における冷却水の水温を検出するための水温セ
ンサ11bが設けられている。また、シリンダブロック
11aの上端にはシリンダヘッド15が設けられ、シリ
ンダヘッド15とピストン12との間には燃焼室16が
設けられている。この燃焼室16には、シリンダヘッド
15に設けられた吸気ポート17及び排気ポート18が
連通している。更に、それら吸気ポート17及び排気ポ
ート18には、それぞれ吸気バルブ19及び排気バルブ
20が設けられている。
【0024】シリンダヘッド15には、上記吸気バルブ
19及び排気バルブ20を開閉駆動するための吸気カム
シャフト21及び排気カムシャフト22が回転可能に支
持されている。これら吸気及び排気カムシャフト21,
22はタイミングベルト23を介してクランクシャフト
14に連結され、同ベルト23によりクランクシャフト
14の回転が吸気及び排気カムシャフト21,22へ伝
達されるようになっている。そして、吸気カムシャフト
21が回転すると、吸気バルブ19が開閉駆動されて、
吸気ポート17と燃焼室16とが連通・遮断される。ま
た、排気カムシャフト22が回転すると、排気バルブ2
0が開閉駆動されて、排気ポート18と燃焼室16とが
連通・遮断されるようになっている。
【0025】シリンダヘッド15において、排気カムシ
ャフト22の側方には、同シャフト22の外周面に設け
られた突起22aを検出して検出信号を出力するカムセ
ンサ22bが設けられている。そして、排気カムシャフ
ト22が回転すると、同シャフト21の突起22aがカ
ムセンサ22bの側方を通過する。この状態にあって
は、カムセンサ22bから上記突起22aの通過に対応
した所定間隔毎に検出信号が出力されるようになる。
【0026】吸気ポート17及び排気ポート18には、
それぞれ吸気管30及び排気管31が接続されている。
この吸気管30内及び吸気ポート17内は吸気通路32
となっている。また、排気管31内及び排気ポート18
内は排気通路33となっており、排気通路33の下流側
にはエンジン11の排気ガスを浄化するための触媒33
aが設けられている。
【0027】吸気管30の上流端には、エアフローメー
タ34が設けられている。エアフローメータ34は、吸
気通路32を介して燃焼室16へ吸入される空気の量を
検出し、その検出された吸入空気量に対応した出力信号
を発生する。そのエアフローメータには、吸気通路を通
過して燃焼室へ吸入される空気の温度を検出するための
吸気温センサ35が設けられている。そして、吸気温セ
ンサは、吸入空気の温度を検出し、その検出された吸入
空気温度に対応した検出信号を出力する。
【0028】また、吸気管30の下流端には、燃焼室1
6内へ向かって燃料を噴射するための燃料噴射弁50が
設けられている。この燃料噴射弁50は、吸気通路32
内の空気が燃焼室16へ吸入されるとき、燃焼室16へ
向けて燃料を噴射し、燃料及び空気からなる混合ガスを
形成する。
【0029】吸気通路32内において、エアフローメー
タ34よりも下流側には、スロットルバルブ46が設け
られている。スロットルバルブ46の開度(スロットル
開度)は、自動車の室内に設けられたアクセルペダル4
7の踏込量(アクセル開度)に基づき調節され、このス
ロットルバルブ46の開度調節により燃焼室16内へ吸
入される空気の量が調節される。そして、スロットルバ
ルブ46の近傍にはスロットルセンサ46aが設けられ
ている。このスロットルセンサ46aは、スロットル開
度を検出して同開度に対応した出力信号を発生する。
【0030】一方、シリンダヘッド15には、燃焼室1
6内に充填された混合ガスに対して点火を行うための点
火プラグ51が設けられている。この点火プラグ51
は、エンジン11に設けられたイグナイタモジュール5
3を介して、自動車のバッテリ54に接続されている。
【0031】こうしたエンジン11にあっては、その吸
気行程において、ピストン12の下降により燃焼室16
内に負圧が発生し、その負圧により燃焼室16へ吸気通
路32を介して空気が吸入される。また、燃料噴射弁5
0からは、燃焼室16に吸入される空気の量に対応した
量の燃料が同燃焼室16へ向かって噴射され、その結
果、燃焼室16には空気と燃料とからなる混合ガスが充
填される。
【0032】その後、エンジン11の圧縮行程におい
て、ピストン12の上昇により、燃焼室16内の混合ガ
スは圧縮される。燃焼室16内で圧縮された混合ガス
は、点火プラグ51により点火されて爆発し、その爆発
力によってピストン12が下降してエンジン11は爆発
行程に移る。この爆発行程により、エンジン11は駆動
力を得ることとなる。こうして燃焼室16内で燃焼した
混合ガスは、エンジン11の排気行程において、ピスト
ン12の上昇により排気ガスとして排気通路33へ送り
出され、触媒33で浄化された後に外部へ排出される。
【0033】次に、エンジン11における点火系の詳細
な構造を図2及び図3に基づいて説明する。その図2は
点火プラグ51における電極部分の拡大断面図であり、
図3は主にイグナイタモジュール53の電気的構成を示
すブロック図である。
【0034】図2に示すように、点火プラグ51の先端
部には、金属によって円筒状に形成されてシリンダヘッ
ド15に螺着されたネジ部55が設けられている。この
ネジ部55の先端面には、燃焼室16内へ突出するL字
状の電極56aが設けられている。電極56aとシリン
ダヘッド15との間は、ネジ部55を介しての通電が可
能となっている。また、ネジ部55の内側には絶縁体5
7を貫通する棒状の電極56bが設けられている。この
電極56bの先端部は、絶縁体57から突出して燃焼室
16内に位置し、上記ネジ部55に設けられた電極56
aと対向している。そして、絶縁体57を貫通する電極
56bは、その絶縁体57によってネジ部55、電極5
6a及びシリンダヘッド15と絶縁された状態になって
いる。
【0035】一方、図3に示すように、イグナイタモジ
ュール53は、イグニッションコイル53a、イグナイ
タ53b及びイオン電流検出回路部53cとから構成さ
れている。そのイグナイタ53b及びイオン電流検出回
路部53cは、点火時期、燃料噴射時期及び燃料噴射量
など、エンジン11の運転状態を制御するための電子制
御ユニット(以下「ECU」という)92に接続されて
いる。
【0036】上記イグニッションコイル53aは、バッ
テリ54及びイグナイタ53bに接続された一次コイル
58と、点火プラグ51及びイオン電流検出回路部53
cに接続された二次コイル59とから構成されている。
そして、イグニッションコイル53aの一次コイル58
に一次電流が通電され、その後に同一次電流が遮断され
ると、イグニッションコイル53aの二次コイル59に
高電圧が発生するようになる。その二次コイル59に発
生した高電圧が点火プラグ51の電極56a,56b間
に印加されることにより、それら電極56a,56b間
に火花が飛んで燃焼室16内に充填された混合ガスに点
火がなされる。
【0037】イグニッションコイル53aの一次コイル
58に流れる一次電流の通電制御は、ECU92から出
力される点火指令信号に基づきイグナイタ53bによっ
て行われる。また、イグナイタ53bには上記一次電流
が過度に大きくなるのを抑制するための定電流制御回路
60が設けられている。ここで、点火プラグ51による
一回の点火がなされる際のイグナイタ53bが入力する
点火指令信号の推移態様と、一次コイル58に流れる一
次電流の推移態様とを図5のタイムチャートに示す。
【0038】同図から明らかなように、図5の波形aで
示される点火指令信号がOFFからONへと立ち上がっ
たとき、図5の波形bで示される一次電流が時間経過に
伴い徐々に増加し始める。そして、点火指令信号がON
からOFFへと立ち下がる前に一次電流が限界値に到達
した場合には、一次電流が当該限界値を越えないよう定
電流制御回路60によって定電流制御が行われる。この
ような一次電流の定電流制御開始時には、立ち上り中の
一次電流が一定値となるよう制御され、その際に一次電
流が増減方向へ変動するようになる。
【0039】その後、点火指令信号がONからOFFへ
と立ち下がると、一次電流が遮断されて点火プラグ51
の電極56a,56b間に火花が飛び、燃焼室16に充
填された混合ガスに点火がなされる。こうして点火され
た混合ガスが燃焼してイオンが発生すると、同イオンに
よって点火プラグ51の電極56a,56b間にイオン
電流が流れるようになる。このイオン電流は、イグニッ
ションコイル53aの二次コイル59に接続されたイオ
ン電流検出回路部53c(図3)によって検出される。
ここで、イオン電流検出回路部53cによって検出され
る電流の推移態様を図5の波形cで示す。
【0040】同図から明らかなように、図5の波形aで
示される点火指令信号がONからOFFへと立ち下がっ
た後、図5の波形cで示される態様でイオン電流が発生
するようになる。このイオン電流が、点火指令信号の立
ち下がり後に発生するのは、点火プラグ51による点火
がなされてから混合ガスが燃焼するまでに時間がかか
り、その混合ガス燃焼によるイオン発生にも時間がかか
るためである。また、このようにイオン電流を検出する
イオン電流検出回路部53cには、同回路部53cでの
断線を検出するための断線検出部61が設けられてい
る。
【0041】ところで、上記構成のエンジン11におい
ては、燃焼室16内でいわゆるプレイグニッションやく
すぶりが発生する場合がある。そして、例えばプレイグ
ニッションが発生した場合には、点火プラグ51による
点火前に混合ガスが自然着火して燃焼してしまうため、
点火指令信号の立ち下がり前に図5の波形dにおいて破
線で示す態様でイオン電流が発生する。また、くすぶり
が発生した場合には、例えば図2に一点鎖線で示すよう
に電極56bにカーボンが付着し、そのカーボンを介し
て電極56a,56b間に漏洩電流が流れるようにな
る。こうした漏洩電流は、点火指令信号の立ち上り後に
図5の波形dにおいて一点鎖線で示す態様で発生する。
【0042】次に、本実施形態におけるエンジン11の
制御装置の電気的構成を図4に基づいて説明する。この
制御装置は、ROM93、CPU94、RAM95及び
バックアップRAM96等を備える論理演算回路として
構成された上記ECU92を備えている。
【0043】ここで、ROM93は各種制御プログラム
や、その各種制御プログラムを実行する際に参照される
マップ等が記憶されるメモリであり、CPU94はRO
M93に記憶された各種制御プログラムやマップに基づ
いて演算処理を実行する。また、RAM95はCPU9
4での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一
時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM96
はエンジン11の停止時に保存すべきデータを記憶する
不揮発性のメモリである。そして、ROM93、CPU
94、RAM95及びバックアップRAM96は、バス
97を介して互いに接続されるとともに、外部入力回路
98及び外部出力回路99と接続されている。
【0044】外部入力回路98には、水温センサ11
b、クランクセンサ14c、カムセンサ22b、エアフ
ローメータ34、吸気温センサ35、スロットルセンサ
46a、イオン電流検出回路部53c及びバッテリ54
が接続されている。一方、外部出力回路99には、燃料
噴射弁50及びイグナイタ53bが接続されている。
【0045】このように構成されたECU92は、クラ
ンクセンサ14cからの検出信号及びバッテリ54から
の電圧信号を入力し、それら信号に基づきエンジン回転
数NE及びバッテリ電圧Bを求める。更に、ECU92
は、求められたエンジン回転数NE及びバッテリ電圧B
に基づき、点火指令信号の立ち上りから立ち下がりまで
の時間と同じ値となる一次電流の通電時間tを算出す
る。なお、通電時間tを算出する際には、予め実験によ
って求められてROM93に記憶された図6に示すマッ
プが参照される。このように算出された通電時間tは、
図6から明らかなように、エンジン回転数NEが高くな
るとともにバッテリ電圧Bが低くなるほど長くなり、エ
ンジン回転数NEが低くなるとともにバッテリ電圧Bが
高くなるほど短くなる。そして、ECU92は、算出さ
れた通電時間tに応じてイグナイタ53bへ出力する点
火指令信号の立ち上り時期と立ち下がり時期とを決定す
る。
【0046】ECU92は、点火指令信号がOFFから
ONへと立ち上がった直後である図5の波形aに示した
第1時点P1において、イオン電流検出回路部53cに
よって検出された電流が所定のしきい値を越えているこ
とに基づきくすぶりを検出する。このようにしてくすぶ
りを検出することができるのは、くすぶり発生時に点火
プラグ51の電極56bに付着したカーボンを介して流
れる漏洩電流が、図5の波形dに一点鎖線で示すように
点火指令信号の立ち上り直後(一次電流通電初期)に発
生するためである。なお、点火指令信号立ち上りから上
記第1時点P1までの時間は、点火指令信号立ち上り時
にイオン電流検出回路部53cが検出するノイズ等によ
ってくすぶりが誤検出されることのない値に設定されて
いる。
【0047】更に、ECU92は、点火指令信号がON
からOFFへと立ち下がる直前である図5の波形aに示
した第2時点P2において、イオン電流検出回路部53
cによって検出された電流が所定のしきい値を越えてい
ることに基づきプレイグニッションを検出する。このよ
うにしてプレイグニッションを検出することができるの
は、プレイグニッション発生時に点火プラグ51の電極
56a,56b間を介して流れるイオン電流が、図5の
波形dに破線で示すように点火指令信号の立ち下がり直
前(一次電流通電終期)に発生するためである。そし
て、点火指令信号立ち上りから同第2の時点P2までの
時間は上記のように算出された一次電流の通電時間tに
基づき求められ、その求められた時間に基づいてECU
92がタイマ制御を行うことによって第2時点P2が決
定される。こうして決定された第2時点P2は、上記タ
イマ制御実行時に誤差が生じた場合でも点火指令信号立
ち下がりとの間の時間が「0」になることがないものと
される。
【0048】一方、ECU92は、上記エンジン回転数
NE、エアフローメータ34からの検出信号に基づき求
められるエンジン負荷、及びスロットルセンサ46aか
らの検出信号に基づき求められるスロットル開度など、
エンジン11の運転状態に基づき、基本燃料噴射量及び
基本点火時期を算出する。なお、これら基本燃料噴射量
及び基本点火時期等を算出する際には、予め実験によっ
て求められてROM93に記憶された周知のマップが参
照される。ECU92は、こうして求められた基本燃料
噴射量及び基本点火時期に基づき、燃料噴射弁50及び
イグナイタ53bを駆動制御して燃料噴射量及び点火時
期の調整を行う。
【0049】次に、上記構成のECU92を通じて実行
される制御態様の概要を、図7〜図10に基づいて説明
する。ECU92は、エンジン11の稼動状況がプレイ
グニッション発生を誤検出する状況であるとき、図5の
第2時点P2にてなされる点火プラグ51の電極56
a,56b間を流れる電流に基づくプレイグニッション
検出を禁止する。プレイグニッション発生を誤検出する
エンジン11の稼動状況としては、イグニッションコイ
ル53aのコイル温度が低いとき、エンジン回転数NE
が低いとき、及びバッテリ電圧Bが高いときなどがあげ
られる。
【0050】例えばエンジン11の始動直後など、イグ
ニッションコイル53aのコイル温度が低い場合には、
電流が流れ易くなって一次コイル58に流れる一次電流
の立ち上りが速くなり、点火指令信号がONからOFF
に立ち下がる前に一次電流が限界値に到達して定電流制
御が行われる。その結果、図5に波形bで示すように、
定電流制御開始時の一次電流に増減方向への変動が生
じ、その変動に基づきイオン電流検出回路部53cによ
って検出される電流にも図5に波形cで示される変動が
生じる。また、エンジン回転数NEが低い場合には、点
火指令信号立ち上りから立ち下がりまでの時間、即ち一
次電流の通電時間tが長くなるため、点火指令信号が立
ち下がる前に一次電流が限界値に到達して定電流制御が
行われる。その結果、上記と同様に定電流制御開始時の
一次電流に変動が生じるとともに、イオン電流検出回路
部53cによって検出される電流にも変動が生じる。こ
のような電流変動が第2時点P2にて生じた場合には、
当該電流変動をイオン電流検出回路部53cが誤ってイ
オン電流として検出してしまい、プレイグニッション発
生が誤検出されることとなる。
【0051】一方、故障等によってバッテリ電圧Bが過
度に高くなった場合には、一次電流の通電時間tが短く
なるとともに、点火指令信号の立ち上りと立ち下がりと
が接近する。この状態にあって、くすぶりが発生して点
火プラグ51の電極56bに付着したカーボンを介して
漏洩電流が流れると、上記通電時間tが短いために漏洩
電流が第2時点P2にて発生している状態になる。そし
てその結果、イオン電流検出回路53cが上記漏洩電流
を誤ってイオン電流として検出してしまい、プレイグニ
ッション発生が誤検出されることとなる。
【0052】上述したようなプレイグニッション発生を
誤検出するエンジン11の稼動状況のときには、イオン
電流検出回路部53cによって検出される電流に基づく
プレイグニッションの検出が禁止される。そのため、上
記プレイグニッション発生の誤検出に基づき、不要なプ
レイグニッション回避制御等が実行されるのを防止する
ことができるようになる。
【0053】また、プレイグニッション発生が誤検出さ
れないエンジン11の稼動状況のときには、イオン電流
検出回路部53cによって検出される電流に基づくプレ
イグニッションの検出が行われる。そして、プレイグニ
ッション発生が検出された場合、ECU92は、図7
(a)及び(b)に示すように燃料噴射量及び点火時期
を制御してプレイグニッション回避を行う。これら図7
(a)及び(b)は、プレイグニッション回避が行われ
る際の時間経過に伴う燃料噴射量増量及び点火時期遅角
量(図7(b)の実線)の推移傾向を示すものである。
【0054】これらの図から明らかなように、プレイグ
ニッション発生が検出されたとき、ECU92は、燃料
噴射弁50によって噴射される燃料を増量させた後、そ
の増量値を徐々に減少させるとともに、当該燃料増量の
減少に伴い点火プラグ51による点火時期を徐々に遅角
させる。ここで、上記プレイグニッション回避のための
燃料噴射量制御及び点火時期制御が行われた際、エンジ
ン11の運転状態がどのように推移するかを図9のグラ
フに示す。
【0055】このグラフにおいて、横軸及び縦軸は空燃
比及び点火時期を示し、実線Xは燃焼室内温度の等温度
線を示す。そして、グラフ中実線Xよりも上側の領域
は、燃焼室16内で、プレイグニッションが発生する燃
焼室内温度領域となる。また、グラフ中の一点鎖線Y
は、エンジン11が出力するトルクの等トルク線を示
し、グラフ中下側に位置するものほど低トルクとなる。
更に、グラフ中の実線Zはエンジン11から排出される
排気ガスの等排気温線を示し、グラフ中実線Zよりも右
側の領域は触媒33aなどのエンジン11の排気系に故
障が発生する排気温度領域となる。
【0056】今、グラフ中の位置αの状態にエンジン1
1の運転状態があるとき、プレイグニッション発生の検
出に基づき燃料噴射量が増量されると、エンジン11の
運転状態は位置αから位置βへと推移する。そして、燃
料増量分の気化熱と燃料増量による燃焼速度の緩和とに
よって燃焼室16内の温度が速やかに低下され、速やか
なプレイグニッション回避が行われる。その後、燃料噴
射量の増量値が段階的に減少されるとともに、同燃料増
量値の減少に伴って点火時期が徐々に遅角され、エンジ
ン11の運転状態は位置βから位置γへと推移する。即
ち、燃料噴射量増量によるプレイグニッション回避が、
点火時期遅角によるプレイグニッション回避に置き換え
られる。
【0057】こうした燃料噴射量増量及び点火時期遅角
によるプレイグニッション回避により、プレイグニッシ
ョン発生直後には燃料噴射量増量によって速やかに燃焼
室16内の温度が低下するようになる。また、その後に
燃料噴射量の増量値が徐々に減少され、代わりに点火時
期が徐々に遅角されるため、燃料噴射量増量による燃費
の悪化や、急激な点火時期遅角によるエンジン11の急
激なトルク低下が防止される。従って、速やかなプレイ
グニッション回避と燃費の悪化防止との両立を図り、し
かもエンジン11の運転状態を安定維持してプレイグニ
ッション回避を行うことができるようになる。
【0058】ところで、エンジン11においては、例え
ば排気バルブ20に付着した付着物が熱せられ、その付
着物の熱により燃焼室16内の混合ガスが自然着火して
プレイグニッション発生となることがある。この場合、
上記プレイグニッション回避制御を行っても、排気バル
ブ20に付着した付着物自身の温度を低減させることが
困難であるため、プレイグニッションが進行して暴走性
プレイグニッションに至ることとなる。プレイグニッシ
ョンは、暴走性のものへと進行すると、その発生頻度が
高くなるとともに発生開始時期が早くなる。従って、プ
レイグニッション発生に基づき図5の波形dに破線で示
す態様で生じたイオン電流は、そのプレイグニッション
の進行に伴って発生開始時期が波形aの第1時点P1ま
で早くなる。
【0059】また、エンジン11においては、くすぶり
によって点火プラグ51の電極56bにカーボンが付着
し、そのカーボンを介して電極56a,56b間に漏洩
電流が流れることがある。こうしたくすぶりの進行度合
いは上記カーボンの付着量によって決定され、同カーボ
ン付着量が多いほどくすぶりが進行して漏洩電流の発生
終了時期が遅くなる。従って、くすぶり発生に基づき図
5の波形dに一点鎖線で示す態様で生じたイオン電流
は、そのくすぶりの進行に伴って発生終了時期が波形a
の第2時点P2まで遅くなる。
【0060】上述したようにプレイグニッションやくす
ぶりが進行した場合には、第1及び第2時点P1,P2
においてイオン電流検出回路部53cによって検出され
た電流が、漏洩電流なのかイオン電流なのか判別できな
い。そこで、ECU92は、第1及び第2時点P1,P
2において、イオン電流検出回路部53cによって検出
される電流がしきい値を越えた回数をそれぞれカウント
する。そして、プレイグニッション及びくすぶりの進行
特性を考慮して、それらカウント値の比較に基づき、燃
焼室16内でプレイグニッションが発生しているのか、
或いはくすぶりが発生しているのかを判定する。また、
ECU92は、それらカウント値の大小に基づきプレイ
グニッション及びくすぶりの進行度合いを判定する。こ
のように燃焼室16内の燃焼状態を判定できるのは、く
すぶりが進行するほど第1時点P1でのカウント値が大
きくなり、プレイグニッションが進行するほど第2時点
P2でのカウント値が大きくなるためである。
【0061】そして、上記燃焼室16の燃焼状態判定に
おいて、暴走性のプレイグニッションが発生している旨
の判定がなされた場合、ECU92は、燃料噴射弁50
を駆動制御して燃料噴射の燃料カットを実行する。この
燃料カットが実行することにより、燃焼室16内に混合
ガスが充填されなくなって燃焼による発熱が抑制される
とともに、燃焼室16への吸入空気によって室内が冷却
される。通常は燃料カットによる燃焼室16内の冷却に
よって、暴走性プレイグニッションの発生が的確に抑制
されるようになる。
【0062】ここで、燃料カットがなされる際の第2時
点P2における上記カウント値の推移態様を図10に波
形pで示す。同図から明らかなように、波形pで示され
る上記カウント値が大きくなると暴走性プレイグニッシ
ョン発生の旨の判定がなされ、ECU92は、波形qで
示される燃料噴射量増量を上限値まで増量した状態で、
波形rで示されるように所定期間だけ燃料カットを実行
する。更に、ECU92は上記カウント値を所定値だけ
減らす。こうした燃料カットによって暴走性プレイグニ
ッションが抑制できない場合には、上記カウント値が再
び大きくなって暴走性プレイグニッション発生の旨の判
定がなされ、上記と同様の燃料カット及びカウント値の
減算が繰り返されるとともに、燃料噴射量増量が上限値
に保持される。また、この二回目以後の暴走性プレイグ
ニッション発生の旨の判定は、初回の暴走性プレイグニ
ッション発生の旨の判定よりも小さなカウント値の増分
にてなされるため、同プレイグニッション抑制のための
燃料カットが早期に実行される。従って、暴走性プレイ
グニッションによるエンジン11への悪影響を抑えるこ
とができるようになる。
【0063】次に、上記ECU92を通じて実行される
制御態様について図12〜図19を参照して説明する。
図12は、本実施形態における各種制御のメインルーチ
ンを示すフローチャートである。同メインルーチンは、
ECU92を通じて所定クランク角(本実施形態では上
死点後30°CA)毎の角度割り込みにて実行される。
【0064】このメインルーチンにおいてECU92
は、ステップS101の処理として、クランクセンサ1
4c及びカムセンサ22bからの検出信号に基づき、こ
れから燃焼が行われる気筒を判別する。続いてECU9
2は、ステップS102の処理として、プレイグニッシ
ョン回避のために行われる燃料噴射量増量補正の増量ガ
ード値efprmaxを算出する。即ち、燃料噴射量増
量の限界値(本実施形態ではエンジン11の運転状態に
基づき求められる基本燃料噴射量の60%の値)から、
プレイグニッション回避以外の目的でなされる燃料噴射
量の増量補正値を減算した値が、上記増量ガード値ef
prmaxとして算出される。
【0065】ECU92は、続くステップS103の処
理として、周知の故障診断を行って水温センサ11b、
クランクセンサ14c、カムセンサ22b、エアフロー
メータ34、吸気温センサ35及びスロットルセンサ4
6aなど、各種センサが異常でないか否か判断する。そ
して、各種センサが異常である旨の判断がなされるとス
テップS113(図13)に進み、各種センサが異常で
ない旨の判断がなされるとステップS104に進むこと
になる。なお、メインルーチンにおいて、ステップS1
04,S105,S107の処理は、プレイグニッショ
ンの発生が誤検出されるエンジン11の稼動状況である
か否か判断するためのものである。
【0066】ECU92は、ステップS104の処理と
して、水温センサ11b及び吸気温センサ35からの検
出信号に基づき、エンジン11の冷却水温及び吸気温を
求める。そして、上記冷却水温及び吸気温から推定され
るイグニッションコイル53aのコイル温度が、プレイ
グニッションの誤検出を生じさせない値か否かを判断す
る。即ち、例えば、冷却水温が0℃以上で且つ吸気温が
−5℃以上(イグニッションコイル53aのコイル温度
が0℃以上)か否かを判断する。そのステップS104
でNOと判断されるようなエンジン11の稼動状況で
は、一次コイル58のコイル温度が低すぎて一次電流が
流れ易いことに起因する当該電流の定電流制御が行われ
るようになる。
【0067】従って、ステップS104でNOと判断さ
れた場合には、上記定電流制御の実行に基づきプレイグ
ニッションの誤検出が生じるエンジン11の稼動状況で
ある旨の判定がなされて、ステップS113(図13)
に進むこととなる。また、ステップS104でYESと
判断された場合には、プレイグニッションの誤検出が生
じるエンジン11の稼動状況ではない旨の判定がなされ
て、続くステップS105に進む。
【0068】ECU92は、ステップS105の処理と
して、エンジン回転数NEがプレイグニッションを誤検
出させることのない値か否か、即ち例えばエンジン回転
数NEが3000rpm以上か否かを判断する。そのス
テップS105でNOと判断されるようなエンジン11
の稼動状況では、ECU92によって算出される一次電
流の通電時間tが長すぎることに起因して当該電流の定
電流制御が行われるようになる。
【0069】従って、ステップS105でNOと判断さ
れた場合には、上記定電流制御の実行に基づきプレイグ
ニッションの誤検出が生じるエンジン11の稼動状況で
ある旨の判定がなされて、ステップS113(図13)
に進むこととなる。また、ステップS105でYESと
判断された場合には、プイグニッションの誤検出が生じ
るエンジン11の稼動状況ではない旨の判定がなされ
て、続くステップS106に進む。
【0070】ECU92は、ステップS106の処理と
して、イオン電流検出回路部53cに設けられた断線検
出部61からの検出信号に基づき、そのイオン電流検出
回路部53cに断線が発生しているか否かを判断する。
そして、断線が発生している場合にはステップS113
(図13)に進み、断線が発生していない場合にはステ
ップS107に進む。
【0071】ECU92は、ステップS107の処理と
して、バッテリ電圧Bがプレイグニッションの誤検出を
生じさせない値か否か、即ち例えばバッテリ電圧Bが1
5.1Vよりも小さいか否かを判断する。そのステップ
S107でNOと判断されるようなエンジン11の稼動
状況では、ECU92によって算出される一次電流の通
電時間tが過度に短くなることに起因して、イオン電流
検出回路部53cがくすぶりによる漏洩電流を誤ってプ
レイグニッションによるイオン電流として検出するよう
になる。
【0072】従って、ステップS107でNOと判断さ
れた場合には、上記一次電流の通電時間tが過度に短く
なることに基づきプレイグニッションの誤検出が生じる
エンジン11の稼動状況である旨の判定がなされて、ス
テップS113(図13)に進むこととなる。また、ス
テップS107でYESと判断された場合には、プレイ
グニッションの誤検出が生じるエンジン11の稼動状況
ではない旨の判定がなされて、続くステップS108に
進む。
【0073】ECU92は、ステップS108の処理と
して、エアフローメータ34からの検出信号に基づきエ
ンジン負荷を求め、そのエンジン負荷及びエンジン回転
数NEが図11のマップに斜線で示すプレイグニッショ
ン検出領域内にあるか否かを判断する。このマップにお
けるプレイグニッション検出領域は、プレイグニッショ
ンが発生する可能性のある燃焼室16内の温度領域を表
す。なお、上記マップは、予め実験により求められてR
OM93に記憶されており、ステップS108の処理を
実行する際に参照される。
【0074】そして、ステップS108でNOと判断さ
れた場合にはステップS113(図13)に進み、YE
Sと判断された場合にはステップS109(図13)に
進む。ECU92は、ステップS109の処理として、
プレイグニッション及びくすぶりの発生を判定するとと
もに、プレイグニッションが検出されたときには燃料噴
射量の増量補正を実行する。
【0075】即ち、ECU92は、図5の波形aで示さ
れる一次電流通電中の第1時点P1において、イオン電
流検出回路部53cにより検出される電流が所定のしき
い値を越えたときくすぶりを検出し、後述するくすぶり
カウンタCAを「1」だけ加算する。また、ECU92
は、上記一次電流通電中の第2時点P2において、イオ
ン電流検出回路部53cにより検出される電流が所定の
しきい値を越えたときプレイグニッションを検出し、プ
レイグニッションカウンタCBを「1」だけ加算する。
【0076】こうしたイオン電流検出回路部53cによ
る電流検出に基づきプレイグニッションが検出されたと
き、ECU92は、燃料噴射量を増量補正することで速
やかなプレイグニッション回避を図り、その後に当該増
量補正の際の燃料増量値efprigを徐々に減少させ
る。また、イオン電流検出回路部53cによる電流検出
に基づきくすぶりの発生が検出されたとき、ECU92
は、上記プレイグニッション回避のための燃料噴射量増
量補正を中止する。そして、燃焼室16内でくすぶりが
発生しているのか、或いはプレイグニッションが発生し
ているのかは、ECU92が上記カウンタCA,CBの
大小を比較することに基づき的確に判定されることとな
る。
【0077】一方、上記ステップS103〜ステップS
108(図12)でNOと判断されてステップS113
に進んだ場合、ECU92は上記カウンタCA,CBを
「0」にリセットする。続いてステップS114に進
み、ECU92は、前回の燃料増量値efprigから
所定値m1を減算したものを「0」より小さくならない
ように下限ガードし、その下限ガードした値を今回の燃
料増量値efprigとして設定する。こうして今回の
燃料増量値efprigを設定した後、ステップS11
2に進む。
【0078】従って、ステップS104,S105,S
107でNOと判断された場合、即ち一次電流の定電流
制御が行われたり、一次電流の通電時間tが過度に短く
なるなど、プレイグニッションを誤検出するエンジン1
1の稼動状況のときにはステップS109に進むことが
ない。そのため、上記プレイグニッションを誤検出する
エンジン11の稼動状況のときには、ステップS109
でのプレイグニッション判定が禁止され、同プレイグニ
ッションの誤検出が防止されるようになる。
【0079】また、ステップS103において各種セン
サの異常によりNOと判断された場合や、ステップS1
06において断線検出部61によって検出されるイオン
電流検出回路部53cでの断線に基づきNOと判断され
た場合も、ステップS109に進むことがない。従っ
て、各種センサの異常やイオン電流検出回路部53cで
の断線が生じた場合も、ステップS109でのプレイグ
ニッション判定が禁止される。そのため、各種センサの
異常に基づくステップS104,S105での判断の誤
りや、イオン電流検出回路部53cの断線に基づくステ
ップS109でのプレイグニッションの誤検出が防止さ
れる。
【0080】更に、ステップS108において、燃焼室
16内の温度がプレイグニッションの発生に繋がる温度
領域内にないことに基づいてNOと判断された場合も、
ステップS109に進んで同ステップS109でのプレ
イグニッション判定が行われることがない。そのため、
プレイグニッションが発生するはずのない温度領域に燃
焼室16内の温度がある場合には、無駄なプレイグニッ
ション判定が行われなくなって、そのプレイグニッショ
ン判定にかかるECU92の制御負担が軽減するように
なる。
【0081】さて、ステップS109の処理が実行され
た後、ECU92は、続くステップS110の処理とし
て、上記くすぶりカウンタCA及びプレイグニッション
カウンタCBのカウント値に基づき、くすぶり及びプレ
イグニッションの進行度合いを判定する。そして、プレ
イグニッションが進行して暴走性のものとなっている旨
の判定がなされた場合、ECU92は、燃料噴射弁50
による燃料噴射の燃料カットを所定期間だけ実行し、上
記暴走性プレイグニッションを抑制する。
【0082】続いてステップS111に進み、ECU9
2は、ガード値egdの算出処理を実行する。このガー
ド値egdは、上記ステップS109の処理において、
プレイグニッション回避のために増量補正される燃料噴
射量の増量値efprigが徐々に減少する際、その燃
料増量値efprigを下限ガードするためのものであ
る。こうしてガード値egdを算出した後、ステップS
112に進む。
【0083】ECU92は、ステップS112の処理と
して、エンジン11の点火時期遅角補正を実行する。即
ち、上記プレイグニッション検出に基づき燃料噴射量が
増量補正された後、その燃料増量値efprigが徐々
に減少する際、ECU92は、当該燃料増量値efpr
igの減少に伴ってエンジン11の点火時期を徐々に遅
角補正する。このように燃料噴射量の増量補正を行った
後、燃料増量値efprigの減少に伴い点火時期を徐
々に遅角させることで、プレイグニッションを回避しつ
つ燃費の悪化を防止し、しかも急激な点火時期遅角に起
因したエンジン11の急激なトルク低下をも防止可能と
なる。
【0084】次に、メインルーチンにおけるステップS
109で実行される処理について、図14及び図15を
参照して詳しく説明する。図14及び図15は、燃焼室
16内における燃焼状態を判別し、プレイグニッション
発生時には燃料噴射量を増量補正するための処理ルーチ
ンを示すフローチャートである。同処理ルーチンは、上
記メインルーチンにおいてステップS109に進んだと
き、ECU92を通じて実行される。
【0085】この処理ルーチンにおいてECU92は、
ステップS201の処理として、後述するステップS2
04で行われるプレイグニッション回避のための燃料噴
射量増量補正の燃料増量値efprigを設定し直す。
即ち、前回の燃料増量値efprigから所定値m2を
減算した値を、後に詳述するガード値egdで下限ガー
ドして今回の燃料増量値efprigとして設定し直
す。続いてステップS202に進み、ECU92は、図
5の波形aの第2時点P2において、イオン電流検出回
路53cによって検出される電流が所定のしきい値を越
えているか否か基づき、プレイグニッションが検出され
たか否かを判断する。そして、上記電流がしきい値を越
えている場合にはプレイグニッションが検出されたと判
断してステップS203に進み、上記電流がしきい値を
越えていない場合にはプレイグニッションが検出されて
いないと判断してステップS205に進む。
【0086】ECU92は、ステップS203の処理
で、プレイグニッション検出フラグxprigとして
「1」をRAM95にセットした後、ステップS204
に進む。ECU92は、ステップS204の処理とし
て、プレイグニッション検出フラグxprigが「1」
であることに基づき、プレイグニッション検出回数を表
すプレイグニッションカウンタCBに「1」を加算する
とともに燃料噴射量の増量補正を行う。この燃料噴射量
の増量補正は、燃料増量値efprigに所定値m3を
加算したものを、新たな燃料増量値efprigとして
設定することによって行われる。なお、その所定値m3
は、上記ステップS201における所定値m2よりも大
きく、例えば所定値m2の20倍の値とされる。また、
ECU92は、後述する遅角ディレイカウンタecpr
dly及び遅角カウンタecprstpを「0」にリセ
ットする。即ち、これら各カウンタecprdly,e
cprstpは、プレイグニッションが検出される毎に
「0」にリセットされるようになる。
【0087】このようなステップS204の処理を実行
することにより、プレイグニッション検出時には燃料噴
射量が増量補正されて速やかなプレイグニッション回避
が図られる。そして、燃料噴射量増量補正における燃料
増量値efprigは、その後に上記ステップS201
の処理によって段階的に減少されることとなる。そのた
め、図7(c)に示すように、例えばプレイグニッショ
ン検出に基づきプレイグニッションカウンタCBがカウ
ントアップされていくと、燃料増量値efprigは同
カウンタCBのカウントアップ後に徐々に減少する。
【0088】ECU92は、続くステップS205の処
理として、燃焼室16内が現在くすぶり状態と判定され
ているか否か、即ち後述するくすぶり状態フラグxpr
exが「1」であるか否かを判断する。そして、ステッ
プS205において「xprex=1」であると判断さ
れた場合にはステップS206に進み、ECU92は、
くすぶり復帰準備フラグxksretとして「1」をR
AM95にセットする。また、ステップS205におい
て「xprex=1」でないと判断された場合にはステ
ップS207に進み、ECU92は、くすぶり復帰準備
フラグxksretを「0」にリセットする。
【0089】ステップS206又はステップS207の
処理を経た後にステップS208(図15)に進み、E
CU92は、図5の波形aにおける第1時点P1におい
て、イオン電流検出回路53cによって検出される電流
が所定のしきい値を越えているか否か基づき、くすぶり
が検出されたか否かを判断する。そして、上記電流がし
きい値を越えている場合にはくすぶりが検出されたと判
断し、順次ステップS209,S210へと進む。EC
U92は、ステップS209の処理で、くすぶり検出フ
ラグxkusとして「1」をRAM95にセットする。
また、ECU92は、ステップS210の処理として、
「xkus=1」であることに基づきくすぶり検出回数
を表すくすぶりカウンタCAに「1」を加算する。
【0090】一方、上記ステップS208において、イ
オン電流検出回路53cによって検出される電流が所定
のしきい値を越えていない場合にはくすぶりが検出され
ていないと判断し、ステップS211に進む。このステ
ップS211及び続くステップS212の処理は、くす
ぶりが解消した直後でのプレイグニッション発生を検
し、そのプレイグニッションが検出されたときに的確な
プレイグニッション回避を実行するためのものである。
また、ステップS213以降の処理は、燃焼室16の燃
焼状態、即ちくすぶりが発生しているのか、或いはプレ
イグニッションが発生しているのかを的確に判定し、そ
の判定に応じた処理を実行するためのものである。
【0091】ここでは、まずステップS213以降の処
理について説明した後、ステップS211及びステップ
S212の処理について説明することとする。ECU9
2は、ステップS213の処理として、くすぶりカウン
タCAのカウント値がプレイグニッションカウンタCB
のカウント値以上で、且つ、それらカウント値が「0」
でない(「CA≠0,CB≠0」)か否かを判断する。
そして、ステップS213でYESと判断された場合、
即ち「CA≧CB且つCA,CB≠0」である場合に
は、くすぶりが発生している旨の判定、即ちくすぶりが
進行した燃焼状態である旨の判定がなされる。また、ス
テップS213でNOと判断された場合、即ち「CA<
CB」である場合には、プレイグニッションが発生して
いる旨の判定がなされる。このようにプレイグニッショ
ン発生及びくすぶり発生の旨の判定を行うことができる
のは、 ・プレイグニッションでは、その初期段階において一次
電流の通電終期にイオン電流が発生し、プレイグニッシ
ョンが進行するほど当該イオン電流の発生開始時期が一
次電流通電初期へと早められる。
【0092】・くすぶりでは、その初期段階において一
次電流の通電初期に漏洩電流が発生し、くすぶりが進行
するほど当該漏洩電流の発生終了時期が一次電流通電終
期へと遅らされる。等々の理由によるものである。
【0093】そして、ステップS213でYESと判断
され、くすぶり発生の旨の判定がなされた場合にはステ
ップS214に進む。ECU92は、ステップS214
の処理として、前記くすぶり状態フラグxprexとし
て「1」をRAM95にセットする。また、ステップS
213でNOと判断された場合にはステップS215に
進む。ECU92は、ステップS215の処理として、
くすぶり状態フラグxprexを「0」にリセットす
る。
【0094】ところで、上記ステップS213の判断処
理においては、「CA,CB≠0」であるならば「CA
=CB」であってもYESと判断され、くすぶり発生の
旨の判定がなされる。これは一般に、燃焼室16内での
混合ガスの燃焼状態によっては、点火プラグ51の電極
56bに急激にカーボンが付着することがあり、この場
合にくすぶりの進行した状態が突発的に生じて初回のく
すぶり発生時にCA,CBが両方ともカウントアップさ
れるようになるためである。即ち、このような状態のと
きでも、上記ステップS213の判定処理によって、的
確にくすぶり発生の旨の判定を行えるようにするためで
ある。
【0095】さて、続いて上記ステップS210でくす
ぶりが検出されていないと判断され、ステップS211
に進んだ場合について説明する。ECU92は、ステッ
プS211の処理として、プレイグニッション検出フラ
グxprigが「1」で、且つくすぶり復帰準備フラグ
xksretが「1」であるか否かを判断する。このス
テップS211では、くすぶりが解消した直後にプレイ
グニッションが発生したか否かを判断している。そし
て、NOと判断された場合にはステップS213に進
み、YESと判断された場合にはステップS212に進
む。ECU92は、ステップ212の処理として、くす
ぶり状態フラグxprexを「0」にリセットするとと
もに、くすぶりカウンタCA及びプレイグニッションカ
ウンタCBを「0」にリセットする。
【0096】このようにカウンタCA,CBを「0」に
リセットするのは、くすぶり解消直後におけるプレイグ
ニッション発生の旨の判定を的確に行うためである。即
ち、プレイグニッションはくすぶりが解消した直後にも
発生することがある。また、くすぶり発生の旨の判定が
なされたとき、くすぶりカウンタCAがプレイグニッシ
ョンカウンタCBに比べて極めて大きい場合もある。こ
の場合、くすぶり発生の旨の判定直後にプレイグニッシ
ョンが検出されてカウンタCBがカウントアップされて
も、すぐに「CA<CB」となることがないためにステ
ップS214に進み、プレイグニッション発生の旨の判
定が行われない。しかし、本実施形態では、くすぶり解
消直後のプレイグニッションを検出した場合には、上記
のようにカウンタCA,CBを「0」リセットするた
め、そのプレイグニッション発生の旨の判定が遅れるの
を防止することができるようになる。
【0097】以上の各ステップの処理が実行された後、
当該処理ルーチンから図12及び図13に示すメインル
ーチンに戻り、ECU92はメインルーチンにおけるス
テップS110(図13)の処理を実行することとな
る。
【0098】次に、メインルーチンにおけるステップS
110で実行される処理について、図16及び図17を
参照して詳しく説明する。図16及び図17は、暴走性
プレイグニッションを判定・抑制するための処理ルーチ
ンを示すフローチャートである。同処理ルーチンは、上
記メインルーチンにおいてステップS110に進んだと
き、ECU92を通じて実行される。
【0099】この処理ルーチンにおいて、ステップS3
01〜S305の処理は暴走性プレイグニッションの発
生を判定するためのものであって、ステップS306〜
S308の処理はくすぶりの進行を判定するためのもの
である。
【0100】ECU92は、ステップS301の処理と
して、プレイグニッションカウンタCBが例えば「1
0」以上で、且つくすぶりカウンタCAが例えば「9」
であるか否かを判断する。更に、ECU92は、プレイ
グニッションカウンタCBが例えば「10」以上で、且
つ後述する暴走判定フラグxpbが「1」であるか否か
を判断する。そして、上記二つの判断の内のいずれか一
方でYESと判断された場合には、暴走性プレイグニッ
ションが発生している旨の判定がなされてステップS3
03に進む。
【0101】また、上記二つの判断の内のいずれか一方
でNOと判断された場合にはステップS302に進み、
ECU92は、プレイグニッションカウンタCBが例え
ば「50」以上で、且つくすぶり状態フラグxprex
が「0」であるか否かを判断する。そして、ステップS
302でYESと判断された場合には、暴走性プレイグ
ニッションが発生している旨の判定がなされてステップ
S303に進む。
【0102】このように暴走性プレイグニッションが発
生している旨の判定がなされ、ステップS303に進む
状況としては、 ・プレイグニッションに基づくイオン電流が、一次電流
通電中の第1及び第2時点P1,P2(図5)にてそれ
ぞれ所定回数以上検出され、そのイオン電流の発生開始
時期が早くなっていることが分かるとき。
【0103】・プレイグニッションに基づくイオン電流
が、一次電流通電中の第2時点P2(図5)にて検出さ
れる回数が多くなり、そのイオン電流の発生度合いが高
くなっていることが分かるとき。 等々の状況があげられる。
【0104】こうした状況が生じることによって、ステ
ップS301,S302からステップS303に進むこ
ととなる。そして、ECU92は、ステップS303の
処理で、暴走判定フラグxpbとして「1」をRAM9
5にセットする。また、ECU92は、くすぶりカウン
タCA及び後述する燃料カットカウンタCf/cを
「0」にリセットするとともに、プレイグニッションカ
ウンタCBを例えば「5」だけ減算する。そのため、二
回目以後の暴走性プレイグニッション発生の旨の判定
は、初回の初回の暴走性プレイグニッション発生の旨の
判定よりも小さなカウント値の増分にてなされるため、
初回の暴走性プレイグニッション発生の旨の判定よりも
早期に行われることとなる。なお、燃料カットカウンタ
Cf/cは、メインルーチンにおけるステップ112
(図13)の点火時期遅角処理にてカウントアップされ
る。
【0105】一方、上記ステップ302でNOと判断さ
れた場合には、暴走性プレイグニッションが発生してい
ない旨の判定がなされ、ステップS304に進むことと
なる。ECU92は、ステップS304の処理として、
燃料カットカウンタCf/cが例えば「100」以上か
否か判断する。そして、「Cf/c≧100」でない場
合にはステップS306に進み、「Cf/c≧100」
である場合にはステップS305に進む。ECU92
は、ステップS305の処理として、暴走判定フラグx
pbを「0」にリセットする。
【0106】本実施形態では、この暴走判定フラグxp
bが「1」であるときには、後述するステップS312
の燃料カット処理で、暴走性プレイグニッション抑制の
ためのエンジン11の燃料カットが実行される。そし
て、引き続き暴走性プレイグニッション発生の旨の判定
がなされる場合において、その暴走性プレイニッション
を抑制するための燃料カットは、初回の暴走性プレイグ
ニッションを抑制するためのものに比べ、二回目以後の
暴走性プレイグニッションを抑制するためのもののほう
が早期に行われる。
【0107】さて、上記各処理を実行した後にステップ
S306に進むと、ECU92は、くすぶりカウンタC
Aが例えば「50」以上で、且つプレイグニッションカ
ウンタCBが例えば「49」であるか否かを判断する。
更に、ECU92は、くすぶりカウンタCAが例えば
「50」以上で、且つ後述するくすぶり進行フラグxk
bが「1」であるか否かを判断する。
【0108】そして、上記二つの判断の内のいずれか一
方でYESと判断された場合には、くすぶりが進行して
いる旨の判定、即ちくすぶりが進行している燃焼状態で
ある旨の判定がなされてステップS307に進む。この
ようにくすぶりが進行している旨の判定がなされる状況
としては、くすぶりに基づく漏洩電流が、一次電流通電
中の第1及び第2時点P1,P2(図5)にてそれぞれ
所定回数以上検出され、その漏洩電流の発生終了時期が
遅くなっていることが分かるときなどがあげられる。こ
うしてステップS307に進むと、ECU92は、くす
ぶり進行フラグxkbとして「1」をRAM95にセッ
トする。更に、ECU92は、プレイグニッション回避
のための燃料増量補正が行われているならば、燃料増量
値efprigを「0」にすることで、上記燃料増量補
正を中止してくすぶりの進行を抑制する。
【0109】一方、上記ステップS306における二つ
の判断の内のいずれか一方でNOと判断された場合に
は、くすぶりが進行していない旨の判定、即ちくすぶり
が進行していない燃焼状態である旨の判定がなされてス
テップS308に進む。ECU92は、ステップS30
8の処理として、くすぶり進行フラグxkbを「0」に
リセットする。上記ステップ307,S308の処理を
経た後、順次ステップS309〜S311(図17)に
進む。
【0110】これらステップS309〜S311の処理
は、後述するステップS312で燃料カットが行われた
後、燃料噴射が再開されたときの燃料増量値efpri
gを決定するためのものである。そして、ECU92
は、ステップS309の処理として、暴走判定フラグx
pbが「1」であるか否か、即ち暴走性プレイグニッシ
ョン発生の旨の判定がなされているか否かを判断する。
【0111】そのステップS309においてNOと判断
された場合には、ステップS311に進む。ECU92
は、ステップS311の処理として、メインルーチンの
ステップS102(図12)にて算出された増量ガード
値efprmaxで、現在の燃料増量値efprigを
上限ガードする。また、ステップS309においてYE
Sと判断された場合には、ステップS310に進む。E
CU92は、ステップS310の処理として、上記増量
ガード値efprmaxを新たな燃料増量値efpri
gとして設定し、その燃料増量値efprigを上限値
へと大きくする。
【0112】上記ステップS310,S311を経てス
テップS312に進むと、ECU92は、燃料カット処
理を実行することとなる。この燃料カット処理を実行す
るECU92は、暴走判定フラグxpbが「1」である
場合にはECU92が燃料噴射弁50による燃料噴射の
燃料カットを実行し、暴走判定フラグxpb「0」であ
る場合には上記燃料カットを実行しない。
【0113】従って、図10に波形pで示すように、暴
走性プレイグニション発生に基づきプレイグニッション
カウンタCBが大きくなると、暴走プレイグニッション
発生の旨の判定がなされて暴走判定フラグxpbが
「1」にセットされる。そして、「xpb=1」である
ことに基づき、図10に波形q,rで示すように燃料増
量値efprigが上限値に設定された状態で燃料カッ
トが実行され、その燃料カットにより暴走性プレイグニ
ッションが的確に抑制される。なお、このときにはステ
ップS303(図16)の処理により、プレイグニッシ
ョンカウンタCBのカウント値が「5」だけ減算されて
波形pで示すように一旦小さくなる。
【0114】そして、燃料カットは、ステップS302
(図16)における燃料カットカウンタCf/cが「1
00」以上になるまで実行される。これは燃料カットカ
ウンタCf/cが「100」以上になると暴走判定フラ
グxpbが「0」にリセットされ、「xpb=0」であ
ることに基づき燃料カットが終了されるためである。こ
うして燃料カットが終了すると、上限値に設定された燃
料増量値efprigに基づき増量補正された状態でエ
ンジン11の燃料噴射が再開される。
【0115】一般に、燃料カット中には空気のみが燃焼
室16に送り込まれるため、吸気ポート17、吸気及び
排気バルブ19,20の裏側に付着した燃料等も蒸発し
てしまう。そのため、燃料カット実行後に燃料噴射が再
開されたとき、その燃料噴射量がプレイグニッション回
避のための増量補正が行われた状態にあると、その燃料
増量分が吸気ポート17や吸気及び排気バルブ19,2
0の裏側等に付着し、結果的に燃焼室内の燃料量が燃焼
に適した値となってノッキングが発生し易くなる。しか
し、本実施形態では、燃料カット実行後に燃料噴射を再
開したとき、その燃料噴射量が上限値へと増量補正され
た状態になっているため、上記ノッキングの発生が抑制
されることとなる。
【0116】以上の各ステップの処理が実行された後、
当該処理ルーチンから図12及び図13に示すメインル
ーチンに戻り、ECU92はメインルーチンにおけるス
テップS111(図13)の処理を実行することとな
る。
【0117】次に、メインルーチンにおけるステップS
111で実行される処理について、図18を参照して詳
しく説明する。図18は、前記ステップS102(図1
2)の処理において、減少する燃料増量値efprig
を下限ガードする際に用いられるガード値egdを算出
するための処理ルーチンを示すフローチャートである。
同処理ルーチンは、上記メインルーチンにおいてステッ
プS111に進んだとき、ECU92を通じて実行され
る。
【0118】この処理ルーチンにおいてECU92は、
ステップS401の処理として、くすぶり状態フラグx
prexが「0」であるか否かを判断する。そして、
「xprex=0」でない場合、即ちくすぶり中である
場合にはガード値egdを「0」に設定する。こうして
ガード値egdを「0」に設定することで、燃料増量値
efprigが比較的大きい値で下限ガードされること
に基づきくすぶりが進行してしまうのを抑制することが
できるようになる。
【0119】また、ステップS401において、「xp
rex=0」である場合、即ちくすぶり中でない場合に
は、プレイグニッションカウンタCBの最大カウント値
に所定値m4を乗算したものと前回のガード値egdと
の大きい方を、今回のガード値egdとして設定する。
こうして設定されたガード値egdに基づき、プレイグ
ニッション回避のための燃料噴射量増量後に減少する燃
料増量値efprigの下限ガードが行われる。
【0120】従って、燃料噴射量は、図7(a)に示す
ように、プレイグニッション検出時に一旦増量補正され
た後、前記燃料増量値efprigがガード値egdで
下限ガードされるまで段階的に減少するようになる。そ
して、プレイグニッションカウンタCBの最大値が大き
くなるほどガード値egdが大きい値に設定されるた
め、カウンタCBの最大値が大きくなるほど上記下限ガ
ードが行われたときの燃料噴射量の値は大きくなる。
【0121】そして、メイルーチンにおけるステップS
112(図13)の点火時期遅角処理では、上記のよう
に徐々に減少する燃料増量値efprigに応じてエン
ジン11の点火時期が遅角され、その点火時期遅角量は
上記燃料増量値efprigに応じて図7(b)に実線
で示すように徐々に大きくなる。一般に、エンジン11
においては、燃料噴射量が一定である条件のもとで点火
時期が遅角補正されると、その遅角量が大きくなるほど
排気温度が高くなる。これは点火時期が遅角補正される
と、燃焼室16内での混合ガスの燃焼時期が全体的に遅
角側へ移行され、同混合ガスが高温のままで排気ガスと
して排出されるためである。
【0122】従って、上記ステップS402で算出され
るガード値egdが小さいほど、e燃料増量値fpri
gの下限ガード時における燃料噴射量が小さくなるた
め、その燃料噴射量に応じて決定される点火時期遅角量
が大きくなって、結果的にエンジン11の排気温度が高
くなる。本実施形態では、プレイグニッション回避のた
めの燃料噴射量増量補正及び点火時期遅角補正が行われ
たとき、エンジン11の排気温度が図9のグラフにおい
て実線Zで示される等排気温線よりも右側に位置するこ
とのない、ほぼ実線Z上の値となるように、上記ステッ
プS402での所定値m4が設定されている。
【0123】以上の各ステップの処理が実行された後、
当該処理ルーチンから図12及び図13に示すメインル
ーチンに戻り、ECU92はメインルーチンにおけるス
テップS112(図13)の処理を実行することとな
る。
【0124】次に、メインルーチンにおけるステップS
112で実行される処理について、図19を参照して詳
しく説明する。図19は、プレイグニッション検出時に
点火時期遅角処理を行うための処理ルーチンを示すフロ
ーチャートである。同処理ルーチンは、上記メインルー
チンにおいてステップS112に進んだとき、ECU9
2を通じて実行される。
【0125】この処理ルーチンにおいてECU92は、
ステップS501の処理として、図8に示すマップを参
照して燃料増量値efprigに基づき点火時期の目標
遅角量t−aprgを算出する。そのマップは予め実験
によって求められてROM93に記憶されている。そし
て、燃料増量値efprigが大きいほど、算出される
目標量t−aprgも大きい値となる。従って、プレイ
グニッション検出時に燃料噴射量が増量された後に燃料
増量値efprigが徐々に小さくなるとき、目標遅角
量t−aprgは図7(b)に二点鎖線で示す態様で推
移する。
【0126】ECU92は、続くステップS502の処
理として、プレイグニッションカウンタCBが「0」で
あるか否か、即ちプレイグニッションが検出されている
か否かを判断する。そして、プレイグニッションが検出
されておらず「CB=0」である場合にはステップS5
10に進み、プレイグニッションが検出されており「C
B=0」でない場合にはステップS503に進む。続く
ステップS503〜507の処理は、プレイグニッショ
ン回避のための点火時期遅角補正を実行するためのもの
である。
【0127】ECU92は、ステップS503の処理と
して、遅角ディレイカウンタecprdlyに「1」を
加算する。この遅角ディレイカウンタecprdlyの
カウント値は、ステップS204(図14)の処理によ
ってプレイグニッション回避のために燃料噴射量が増量
されたときからの経過時間に対応したものとなる。続い
てステップS504に進み、ECU92は、遅角ディレ
イカウンタecprdlyが例えば「50」以上である
か否かを判断する。そして、「ecprdly≧50」
である場合にはステップS505に進み、「ecprd
ly≧50」でない場合にはステップS506に進む。
【0128】ECU92は、ステップS505の処理と
して、遅角カウンタecprstpに「1」を加算す
る。この遅角カウンタecprstpのカウント値は、
段階的に点火時期遅角補正が行われる際における当該補
正の時間間隔に対応したものとなる。続いてステップS
506に進み、ECU92は、遅角カウンタecprs
tpが例えば「13」以上であるか否かを判断する。そ
して、「ecprstp≧13」である場合にはステッ
プS507に進み、「遅角カウンタecprstp」で
ない場合にはステップS508に進む。
【0129】ECU92は、ステップS507の処理と
して、現在の点火時期遅角量t−aprを更に例えば
0.5°CAだけ更に遅角側へ増加させるとともに、遅
角カウンタecprstpを「0」にリセットする。こ
うしたステップS507の処理での点火時期遅角補正
は、(1)プレイグニッション検出時に燃料噴射量が増
量補正されたときから「ecprdly≧50」になる
までの時間が経過すること。
【0130】(2)上記の条件を満たしたとき或いは
「ecprstp=0」へとリセットされたときから
「ecprstp≧13」になるまでの時間が経過する
こと。という二つの条件が満たされたときに実行され
る。
【0131】そして、(1)及び(2)の条件を満たす
ことによって、図7(a)及び(b)に示すように、プレ
イグニッション検出時の燃料噴射量増量補正が行われた
後、点火時期遅角補正が実行されるのに所定の時間が経
過するようになる。また、一回の点火時期遅角補正が実
行されてから次の点火時期遅角補正が実行されるまでに
所定の時間間隔が必要になるため、図7(b)に実線で
示すように点火時期遅角補正が段階的に行われるように
なる。このように点火時期が徐々に遅角補正されること
によって、点火時期遅角補正に起因するエンジン11の
急激な出力トルク低下が生じることがなく、点火時期遅
角補正時のエンジン11の運転を安定維持することが可
能になる。
【0132】上記燃料噴射量増量補正の実行時から点火
時期遅角補正の実行までに経過する時間の調整は、上記
ステップS504における「50」という値を適宜変更
することによって行われ、その調整によって点火時期遅
角補正の開始時期が変更される。このように点火時期遅
角補正の開始時期を可変とすることで、一回のプレイグ
ニッション発生の際に行われる点火時期の総遅角量を好
適に調整することができるようになる。即ち、上記総遅
角量は、点火時期遅角補正開始時期を早めることで多く
され、点火時期遅角補正開始時期を遅らせることで少な
くされる。
【0133】また、段階的に行われる点火時期遅角補正
の時間間隔の調整は、ステップS506における「1
3」という値を適宜変更することによって行われる。こ
のように点火時期遅角補正の時間間隔を調整すること
で、全体的な点火時期遅角補正の速さを変更して、その
速さを好適に調整することができるようになる。即ち、
上記全体的な点火時期遅角補正は、一つの点火時期遅角
補正毎の時間間隔を小さくとることで速くされ、その時
間間隔を大きくとることで遅くされる。
【0134】なお、メインルーチンにおけるステップS
103〜S108(図12)の判断処理でNOと判断さ
れ、続くステップS113(図13)でプレイグニッシ
ョンカウンタCBが「0」にリセットされた直後で、し
かもプレイグニッションが発生していない場合等では、
上記ステップS502で「CB=0」であると判断され
るようになる。このような状況とき、ステップS502
からステップS510へと進み、ECU92は、同ステ
ップS502の処理として、上記遅角ディレイカウンタ
ecprldy及び遅角カウンタecprstpを
「0」にリセットする。そして、その後にステップS5
08に進む。
【0135】さて、上記ステップS507若しくはステ
ップS510からステップS508に進むと、ECU9
2は、そのステップS508の処理として、点火時期遅
角量t−aprを上記ステップS501で算出した目標
遅角量t−aprgで上限ガードする。その結果、図7
(b)に実線で示す点火時期遅角量t−aprが二点鎖
線で示す目標遅角量t−aprgを越えて大きくなるこ
とはなく、最終的には点火時期遅角量t−aprと目標
遅角量t−aprgとが一致する。
【0136】その目標遅角量t−aprgは、前記ガー
ド値egdによって下限ガードされた燃料増量値efp
rigに基づき算出されるため、点火時期及び燃料噴射
量等のエンジン11の運転状態が最終的に図9の位置γ
へ向けて収束する。即ち、最終的に点火時期及び燃料噴
射量は、図中実線Zで示される等排気温線上にほぼ位置
した状態となり、プレイグニッション回避の実行により
エンジン11の排気温度が触媒33a等に故障を生じさ
せるほど高くなるのを防止することができるようにな
る。しかも、レイグニッション回避に伴う燃料悪化と出
力トルク低下との両方を極力抑えることができるように
なる。
【0137】ECU92は、続くステップS509の処
理として、燃料カットカウンタCf/cに「1」を加算
するとともに、くすぶり検出フラグxkus及びプレイ
グニッション検出フラグxprigを「0」にリセット
する。
【0138】そして、こうした各ステップの処理が実行
された後、当該処理ルーチンから図12及び図13に示
すメインルーチンに戻る。以上詳述した処理が行われる
本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるように
なる。
【0139】・一般に、くすぶりによる漏洩電流は点火
指令信号(図5の波形a)の立ち上り直後(一次電流通
電初期)に発生し、プレイグニッションによるイオン電
流は点火指令信号の立ち下がり直前に発生する。従っ
て、故障等によってバッテリ電圧が過度に高くなる(本
実施形態では15.1V以上)など、一次電流の通電時
間tが過度に短くなるようなエンジン11の稼動状況の
とき、点火指令信号の立ち上りと立ち下がりとが接近
し、漏洩電流をイオン電流として誤検出し易くなる。こ
のようにバッテリ電圧が過度に高いエンジン11の稼動
状況のときには、メインルーチンにおけるステップS1
07(図12)の判断処理でNOと判断され、プレイグ
ニッション判定処理が行われるステップS109(図1
3)へは進まなくなる。そのため、故障等によってバッ
テリ電圧が過度に高くなって、一次電流が過度に短くな
るようなエンジン11の稼動状況のとき、くすぶりによ
る漏洩電流をプレイグニッションによるイオン電流とし
て誤検出するのを防止することができる。
【0140】・また、図5の波形bで示されるような一
次電流の定電流制御では、一次電流が徐々に立ち上がる
ときに限界値を越えないよう一定値へと制御されるが、
その際に一次電流に増減方向への変動が生じる。こうし
て一次電流が変動すると、図5の波形cで示すようにイ
オン電流検出回路部53cが検出する電流にも変動が生
じ、その電流変動を誤ってイオン電流として検出し易く
なる。このように定電流制御が行われるようなエンジン
11の稼動状況としては、イグニッションコイル53a
のコイル温度が低く一次電流が流れ易い場合や、エンジ
ン回転数NEが低くて一次電流の通電時間tが長くなる
ような場合がある。そして、コイル温度が過度に低い
(本実施形態では0℃より低いとき)ときや、エンジン
回転数NEが過度に低い(本実施形態では3000rp
mより低いとき)ときには、メインルーチンにおけるス
テップS104,S105(図12)の判断処理でNO
と判断される。その結果、プレイグニッション判定処理
が行われるステップS109(図13)へは進まなくな
る。そのため、イグニッションコイル53aのコイル温
度やエンジン回転数NEが過度に低いなど、定電流制御
が行われるエンジン11の稼動状況のとき、イオン電流
検出回路部53cによって検出される電流変動をイオン
電流として誤検出するのを防止することができる。
【0141】・上記ステップS104,ステップS10
5の処理を実行する前に、ステップS103(図12)
の処理として各種センサが異常でないか否かを判断す
る。そして、例えばイグニッションコイル53aのコイ
ル温度を求めるための水温センサ11b及び吸気温セン
サ35や、エンジン回転数NEを求めるためのクランク
センサ14cに異常が生じている場合には、ステップS
103でNOと判断され、上記ステップS104,S1
05へは進まなくなる。従って、それらセンサ11b,
14c,35の異常によるステップS104,S105
での判断の誤りや、その誤判断に起因するステップS1
09(図13)でのプレイグニッションの誤検出を防止
することができる。
【0142】・そのステップS109の処理でのプレイ
グニッション判定を実行する前に、ステップS106の
処理でイオン電流検出回路部53cに設けられた断線検
出部61からの検出信号に基づき、そのイオン電流検出
回路部53cに断線が発生しているか否かが判断され
る。そして、断線が発生している場合にはステップS1
07でNOと判断され、上記ステップS109へは進ま
なくなる。従って、イオン電流検出回路部53cでの断
線等の故障によって、ステップS109の処理でプレイ
グニッションの誤検出が生じるのを防止することができ
る。
【0143】・また、本実施形態では、メインルーチン
におけるステップS108の処理として、エンジン負荷
及びエンジン回転数NEが図11のマップに斜線で示す
ようなプレイグニッションが発生する可能性のある燃焼
室16内の温度領域内の値であるか否かが判断される。
そして、ステップS108でYESと判断されたときの
み、ステップS109(図13)に進んでプレイグニッ
ション判定が行われる。従って、プレイグニッションが
発生するはずのないエンジン負荷領域及びエンジン回転
領域にあるとき、無駄なプレイグニッション判定を実行
することがなくなり、プレイグニッション判定にかかる
ECU92の制御負担を軽減することができる。
【0144】・本実施形態では、くすぶりは、一次電流
通初期の第1時点P1(図5の波形a)において、イオ
ン電流検出回路部53cにより検出される電流が所定の
しきい値を越えることに基づき検出される。また、プレ
イグニッションは、一次電流の通電終期の第2時点P2
(図5の波形a)において、イオン電流53cにより検
出される電流が所定のしきい値を越えていることに基づ
き検出される。一般に、図5の波形dに一点鎖線で示す
ように、くすぶりによる漏洩電流は、一次電流通電初期
に発生するとともにくすぶりの進行に伴い発生終了時期
が遅れるようになる。また、プレイグニッションによる
イオン電流は、一次電流通電終期に発生するとともにプ
レイグニッションの進行に伴い発生開始時期が早まるよ
うになる。従って、くすぶりが進行して漏洩電流の発生
時期が第2時点P2にさしかかったり、プレイグニッシ
ョンが進行してイオン電流の発生時期が第1時点P1に
さしかかったりすると、漏洩電流とイオン電流とを間違
って検出してしまうことがある。そして、その間違った
電流検出によって、くすぶりをプレイグニッションとし
て誤検出したり、プレイグニッションをくすぶりとして
誤検出したりすることがある。しかし、本実施形態で
は、第1時点P1でイオン電流検出回路部53cにより
検出された電流がしきい値を越えたとき、くすぶりカウ
ンタCAをカウントアップし、第2時点P2でイオン電
流検出回路部53cにより検出された電流がしきい値を
越えたとき、くすぶりカウンタCBをカウントアップす
るようにした。そして、図14及び図15に示す処理ル
ーチンのステップS213(図15)の判断処理におい
て、「CA≧CB」で且つ「CA,CB≠0」のときに
くすぶり発生の旨の判定、即ちくすぶりが進行した燃焼
状態である旨の判定をした。また、上記ステップS21
3の判断処理において、「CA<CB」であるのときに
は、プレイグニッション発生の旨の判定をするようにし
た。従って、くすぶり及びプレイグニッションが進行し
たときでも、くすぶりが発生しているか、或いはプレイ
グニッションが発生しているのかを的確に判定すること
ができる。
【0145】・くすぶりが進行してゆくと、上記「CA
≧CB」で且つ「CA,CB≠0」という条件を維持し
た状態で、カウンタCA,CBが大きくなってゆく。ま
た、プレイグニッションが進行してゆくと、上記「CA
<CB」という条件を維持した状態で、カウンタCA,
CBが大きくなってゆく。従って、図16及び図17に
示す処理ルーチンのステップS301,S302(図1
6)の処理において、カウンタCA,CBの大きさに基
づきプレイグニッションが進行しているか否か、即ち暴
走性プレイグニッションが発生しているか否かの判定を
的確に行うことができるようになる。更に、ステップS
306(図16)の処理において、カウンタCA,CB
の大きさに基づきくすぶりが進行しているか否か、即ち
くすぶりが進行している燃焼状態か否かを的確に判定す
ることができる。
【0146】・本実施形態では、上記ステップS213
(図15)の判断処理において、「CA,CB≠0」で
あるならば「CA=CB」であってもYESと判断さ
れ、くすぶり発生の旨の判定が行われるようにした。こ
れは一般に、燃焼室16内での混合ガスの燃焼状態によ
っては、点火プラグ51の電極56bに急激にカーボン
が付着することがあり、この場合にくすぶりの進行した
状態が突発的に生じて初回のくすぶり発生時にCA,C
Bが両方ともカウントアップされるようになるためであ
る。即ち、このような状態のときでも、「CA=CB」
且つ「CA,CB≠0」という条件が満たされ、上記ス
テップS213の判定処理によって的確にくすぶり発生
の旨の判定を行えるようにするためである。従って、本
実施形態では、上記のようにくすぶりの進行した状態が
突発的に生じたとしても、そのくすぶり発生の旨の判定
を的確に行うことができる。
【0147】・本実施形態では、ステップS211(図
15)の判断処理によって、くすぶりが解消した直後に
プレイグニッションが発生したか否かの判断を行い、同
ステップS211でYESと判断された場合には、続く
ステップS212の処理でカウンタCA,CBを「0」
にリセットするようにした。このようにカウンタCA,
CBを「0」にリセットするのは、くすぶり解消直後に
おけるプレイグニッション発生の旨の判定を的確に行う
ためである。即ち、プレイグニッションはくすぶりが解
消した直後にも発生することがある。また、くすぶり発
生の旨の判定がなされたとき、くすぶりカウンタCAが
プレイグニッションカウンタCBに比べて極めて大きい
場合もある。この場合、くすぶり発生の旨の判定直後に
プレイグニッションが検出されてカウンタCBがカウン
トアップされても、すぐに「CA<CB」となることが
ないためにプレイグニッション発生の旨の判定が行われ
ない。しかし、本実施形態では、くすぶり解消直後のプ
レイグニッション発生を検出した場合には、上記のよう
にカウンタCA,CBを「0」リセットするため、その
プレイグニッション発生の旨の判定が遅れるのを防止す
ることができるようになる。
【0148】・本実施形態では、プレイグニッションが
検出されるとステップS204(図14)の処理によっ
て燃料噴射量が増量補正され、そのプレイグニッション
が速やかに回避される。その後、ステップS201(図
14)の処理によって燃料増量値efprigが徐々に
減少される。更に、燃料増量値efprigの減少に伴
って、図19に示す処理ルーチンのステップS507の
処理によって、点火時期の遅角量が徐々に大きくなるよ
う点火時期遅角補正が実行される。こうした燃料噴射量
補正及び点火時期補正により、燃料噴射量増量によるプ
レイグニッション回避が点火時期遅角によるプレイグニ
ッション回避に徐々に置き換えられる。そのため、燃料
噴射量増量による速やかなプレイグニッション回避と、
燃費を悪化させることのない点火時期遅角によるプレイ
グニッション回避とを両立させることができる。しか
も、プレイグニッション回避のための点火時期遅角補正
は徐々に行われるため、点火時期遅角補正に伴うエンジ
ン11の出力トルクの急激な低下を抑え、エンジン11
の運転を安定維持することができる。
【0149】・また、上記のように徐々に減少する燃料
増量値efprigは、図18に示す処理ルーチンのス
テップS402の処理によって算出されたガード値eg
dで下限ガードされる。このガード値egdは、上記プ
レイグニッション回避のための燃料噴射量増量補正及び
点火時期遅角補正が行われた際、最終的なエンジン11
の排気温を許容限界値へとできる限り接近させるべく図
9の実線Z上の値となるように算出される。即ち、プレ
イグニッション回避のための上記補正により、エンジン
11の運転状態は図9に示す位置α,位置β,位置γへ
と順次推移するが、その位置γの状態のときには、エン
ジン11の排気温がほぼ実線Z上の値となる。従って、
プレイグニッション回避のための点火時期遅角補正によ
り、エンジン11の排気温が過度に高くなって上記実線
Zよりも右側領域へ移行し、触媒33a等のエンジン1
1の排気系に故障が生じるのを防止することができる。
また、上記燃料噴射補正及び点火時期補正後の最終的な
排気温度は、ほぼ実線Z上に位置した状態となるため、
それら補正に起因する燃費悪化と出力トルク低下との両
方を極力抑えることができる。
【0150】・本実施形態では、プレイグニッション回
避のための燃料噴射量増量が行われた後、所定時間経過
してから点火時期遅角補正を実行するようにしている。
そして、上記燃料噴射量増量から点火時期遅角開始まで
の時間は、図19の処理ルーチンにおけるステップS5
04で用いられる「50」という値を変更することで適
宜調整され、その調整によって点火時期遅角補正の開始
時期が可変とされる。このように点火時期遅角補正の開
始時期を可変とすることで、一回のプレイグニッション
発生の際に行われる点火時期の総遅角量を好適に調整す
ることができるようになる。なお、上記総遅角量は、点
火時期遅角補正開始時期を早めることで多くされ、点火
時期遅角補正開始時期を遅らせることで少なくされる。
【0151】・また、上記点火時期遅角補正は段階的に
行われる。そして、点火時期遅角補正の時間間隔は、ス
テップS506(図19)における「13」という値を
適宜変更することによって調整される。このように点火
時期遅角補正の時間間隔を調整することで、全体的な点
火時期遅角補正の速さを変更して、その速さを好適に調
整することができるようになる。なお、上記全体的な点
火時期遅角補正は、一つの点火時期遅角補正毎の時間間
隔を小さくとることで速くされ、その時間間隔を大きく
とることで遅くされる。
【0152】・本実施形態では、暴走性のプレイグニッ
ションが発生している旨の判定がなされたとき、図16
及び図17に示す処理ルーチンのステップS312(図
17)の処理によって、所定期間だけ噴射燃料の燃料カ
ットが実行される。このように燃料カットを実行するこ
とで燃焼室16内の温度が効率よく冷却され、暴走性プ
レイグニッションが的確に抑制されるようになる。ま
た、初回の暴走性プレイグニッション発生の旨が判定さ
れた後では、ステップS303(図16)の処理によっ
て、暴走性プレイグニッション発生の旨の判定を初回の
場合よりも早期に行うようにした。そのため、暴走性プ
レイグニッション抑制のための燃料カットは、初回の暴
走性プレイグニッションを抑制するためのものよりも、
二回目以後の暴走性プレイグニッションを抑制のための
ものの方が早期に行われるようになる。従って、暴走性
プレイグニッションによるエンジン11への悪影響を抑
えることができるようになる。
【0153】・また、上記燃料カットは、ステップS3
10(図17)の処理によって、燃料増量値efpri
gが上限値となった状態にて実行される。一般に、燃料
カット中には空気のみが燃焼室16に送り込まれるた
め、吸気ポート17、吸気及び排気バルブ19,20の
裏側に付着した燃料等も蒸発してしまう。そのため、燃
料カット実行後に燃料噴射が再開されたとき、その燃料
噴射量がプレイグニッション回避のための増量補正が行
われた状態にあると、その燃料増量分が吸気ポート1
7、吸気及び排気バルブ19,20の裏側等に付着し、
結果的に燃焼室16内の燃料量が燃焼に適した値となっ
てノッキングが発生し易くなる。しかし、本実施形態で
は、燃料カット実行後に燃料噴射を再開したとき、上記
ステップS310の処理によって燃料噴射量が上限値へ
と増量補正された状態になるため、上記ノッキングの発
生を抑制することができる。
【0154】なお、本実施形態は、例えば以下のように
変更することもできる。 ・図19に示す処理ルーチンにおいて、ステップS50
4,S506の判断処理を行う際の判断基準の値(「5
0」,「13」)を適宜変更してもよい。
【0155】・プレイグニッション回避のための燃料噴
射量増量後、燃料増量値efprigが減少すると同時
に点火時期遅角補正を行ってもよい。この場合、ステッ
プS504,505等を省略することができるようにな
り、ECU92の制御負担を軽減することができる。
【0156】・本実施形態では、プレイグニッション回
避のための燃料噴射量補正及び点火時期補正を行ったと
き、エンジン11の排気温が最終的に図9に実線Zで示
す等排気温線上にほぼ位置するようにガード値egdを
算出したが、本発明はこれに限定されない。即ち、上記
最終的なエンジン11の排気温が図9において実線Zよ
りも左側の領域にあるならば、算出されるガード値eg
dはどのような値であってもよい。
【0157】・また、エンジン11の排気温が排気系に
影響を与えないことを条件に、上記最終的な排気温度が
図9において実線Zよりも右側の領域に位置するようガ
ード値egdを算出するようにしてもよい。
【0158】・本実施形態では、燃焼室16内での燃焼
時に点火プラグ51の電極56a、56b間に生じるイ
オン電流に基づいて、プレイグニッションを検出するよ
うにしたが、本発明はこれに限定されない。例えばエン
ジン11に燃焼圧センサ、ノックセンサ及び燃焼光セン
サ等を設け、それらセンサからの検出信号に基づきプレ
イグニッションの検出を行ってもよい。なお、燃焼光セ
ンサとは、燃料燃焼時の光を検出するセンサのことであ
る。
【0159】次に、以上の実施形態から把握することの
できる請求項以外の技術的思想を、その効果とともに以
下に記載する。請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機
関の制御装置において、前記点火時期補正手段は所定時
間間隔毎に段階的に点火時期の遅角量を増加するもので
あって、前記点火時期補正手段による遅角量増加の時間
間隔を可変とする遅角量増加間隔可変手段を更に備える
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。同構成によれ
ば、点火時期補正手段による所定時間間隔毎の遅角量増
加の際、その遅角量増加の時間間隔を遅角量増加間隔可
変手段によって変更することで、全体的な点火時期遅角
補正の速さ調整を好適に行うことができる。
【0160】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、燃料量増
量補正によりプレイグニッションが速やかに回避された
後、当該燃料量の増量値が徐々に減少されるとともに、
その減少に伴い点火時期が徐々に遅角補正される。この
ように燃料量増量によるプレイグニッション回避が、点
火時期遅角によるプレイグニッション回避へと徐々に置
き換えられることで、プレイグニッションの速やかな回
避と燃費の悪化防止とを両立することができる。また、
上記点火時期遅角によるプレイグニッション回避は徐々
に行われるため、内燃機関の運転を安定維持した状態で
プレイグニッションを回避することができる。
【0161】請求項2記載の発明によれば、点火時期が
徐々に遅角補正されることで徐々に内燃機関の排気温度
が高くなるが、その排気温度が許容上限値を越える前に
上記燃料増量値が下限ガードされて点火時期の遅角補正
が停止される。そのため、内燃機関の排気温度が過度に
上昇し、同機関の排気系に故障等が発生するのを防止す
ることができる。
【0162】請求項3記載の発明によれば、燃料増量値
の下限ガードに用いられる下限ガード値は、その下限ガ
ードがなされたとき、内燃機関の排気温度が許容上限値
付近の値となるものとして設定される。このように内燃
機関の排気温度が許容上限値付近の値となるように、燃
料量増量及び点火時期遅角によるプレイグニッション回
避が行われることで、そのプレイグニッション回避に伴
う燃費悪化とトルク低下との両方を極力抑えることがで
きる。
【0163】請求項4記載の発明によれば、点火時期の
遅角補正は、プレイグニッション発生の検出後に所定の
遅延時間をもって開始される。そして、プレイグニッシ
ョン発生の検出から点火時期遅角補正開始までの遅延時
間を変更することで、一回のプレイグニッション発生の
際に行われる点火時期遅角補正の総遅角量を好適に調整
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたエンジン全体を示す概略断
面図。
【図2】点火プラグの電極を示す拡大断面図。
【図3】上記エンジンにおける点火系の電気的構成を示
すブロック図。
【図4】本実施形態のエンジン制御装置の電気的構成を
示すブロック図。
【図5】一回の点火が行われる際の点火指令信号、一次
電流及びイオン電流検出回路部による検出電流の推移態
様を示すタイムチャート。
【図6】一次電流通電時間を算出する際に参照されるマ
ップ。
【図7】プレイグニッション発生時における燃料噴射量
増量、点火時期遅角量及びカウント値の推移態様を示す
タイムチャート。
【図8】目標遅角量を算出する際に参照されるマップ。
【図9】プレイグニッション回避のための燃料噴射量制
御及び点火時期制御が行われた際、エンジン11の運転
状態がどのように推移するかを示すグラフ。
【図10】カウント値、燃料増量値の推移態様及び燃料
カット実行態様を示すタイムチャート。
【図11】エンジン回転数及び負荷がプレイグニッショ
ン検出領域内にあるか否かを判断する際に参照されるマ
ップ。
【図12】エンジン制御装置によって実行される制御全
体の手順を示すフローチャート。
【図13】エンジン制御装置によって実行される制御全
体の手順を示すフローチャート。
【図14】くすぶり及びプレイグニッションを判定する
手順、及びプレイグニッション検出時における燃料噴射
量の増量補正手順を示すフローチャート。
【図15】くすぶり及びプレイグニッションを判定する
手順、及びプレイグニッション検出時における燃料噴射
量の増量補正手順を示すフローチャート。
【図16】暴走性プレイグニッション及びくすぶり進行
を判定する手順、及び暴走性プレイグニッション発生の
判定がなされたときの燃料カット手順を示すフローチャ
ート。
【図17】暴走性プレイグニッション及びくすぶり進行
を判定する手順、及び暴走性プレイグニッション発生の
判定がなされたときの燃料カット手順を示すフローチャ
ート。
【図18】徐々に減少する燃料増量値の下限ガード値を
算出する手順を示すフローチャート。
【図19】プレイグニッション検出時における点火時期
の遅角補正手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…エンジン、16…燃焼室、50…燃料噴射弁、5
1…点火プラグ、53…イグナイタモジュール、53a
…イグニッションコイル、53b…イグナイタ、53c
…イオン電流検出回路部、92…電子制御ユニット(E
CU)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02P 5/153

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の燃焼室に供給される燃料量及び
    該供給される燃料への点火時期を制御する内燃機関の制
    御装置において、 前記燃焼室内でのプレイグニッション発生を検出するプ
    レイグニッション検出手段と、 前記プレイグニッション検出手段によるプレイグニッシ
    ョン発生の検出に基づいて、前記制御される燃料量を増
    量補正し、その後この燃料増量値を徐々に減少補正する
    燃料量補正手段と、 前記燃料量補正手段による燃料増量値の減少に伴って前
    記制御される点火時期を徐々に遅角補正する点火時期補
    正手段と、 を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 【請求項2】前記燃料量補正手段は、内燃機関の排気温
    度が許容上限値を越えないよう、前記徐々に減少補正す
    る燃料増量値を下限ガードする請求項1記載の内燃機関
    の制御装置。
  3. 【請求項3】前記燃料量補正手段は、内燃機関の排気温
    度が許容上限値付近の値となるよう、前記燃料増量値の
    下限ガード値を設定する請求項2記載の内燃機関の制御
    装置。
  4. 【請求項4】前記点火時期補正手段は、前記プレイグニ
    ション検出手段によるプレイグニッション発生の検出
    後、所定の遅延時間を持って前記遅角補正を開始する請
    求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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