JP2013082700A - 貼付製剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造ロスを減少させ、経済的な貼付製剤の製造方法の提供。粘着剤層の面積および厚さを増大させずとも、十分に高い薬物の皮膚透過量が得られ、しかも、薬物の結晶の析出が極めて生じ難い、貼付製剤を得ることができる、貼付製剤の製造方法の提供。
【解決手段】貼付製剤1の製剤方法であって、製造予定の貼付製剤に対応する形状の凹部12を有する容器11に、薬物、粘着ポリマー及び有機溶媒を含有する粘着剤層形成用組成物を流し込み、該組成物から前記有機溶媒を乾燥除去して前記凹部12内で薬物含有粘着剤層3を形成した後、該薬物含有粘着剤層3に支持体2を積層して、薬物含有粘着剤層3を支持体2の片面に備えた貼付製剤1を得ることを特徴とする、貼付製剤の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は薬物を含有する粘着剤層を支持体の片面に備えた貼付製剤の製剤方法に関する。
薬物の経皮投与は、肝臓の初回通過による薬物代謝や各種副作用を回避することができ、しかも薬物を長期間にわたって持続的に投与することができる。その中でも、粘着剤層中に薬物を含有させた貼付製剤は、投与方法が容易で投与量を厳密に制御できることから、開発が盛んに行われている。
貼付製剤から皮膚へと効率よく生体内に薬物を吸収させる方法として、粘着剤層中の薬物濃度を高める方法や、粘着剤層の面積および厚さを増大させる方法が知られている。しかし、粘着剤層に含有される薬物濃度が高いほど、粘着剤層中に薬物の結晶が形成される傾向があり、また、貼付製剤の粘着剤層の面積および厚さを増大させると、貼付製剤を使用する際の取り扱い性の低下や、皮膚に貼付している間の違和感の増大等の問題が生じる。
粘着剤層中に薬物の結晶が析出した場合、その量がわずかであれば、貼付製剤の有用性に悪影響を及ぼさないが、患者に品質劣化を懸念させ、その使用を躊躇わせるなどの不具合を引き起こし得る。また、薬物の結晶の量が多い場合は、薬物の放出性が変化するだけでなく、粘着剤層表面を結晶が覆う場合は接着性を有する面積が減少し、皮膚への接着性の低下が生じて、長期貼付に耐えられない可能性がある。
特許文献1、2では、過飽和濃度の薬物を含む粘着剤層を加熱処理し、結晶析出が抑えられた貼付製剤を作製することが開示されている。しかし、該製造方法の加熱工程の温度は、薬物の融点以上であるため、薬物の変性が懸念される。また、特許文献1、2に記載の方法は、支持体/薬物含有粘着剤層/剥離ライナーの積層構成からなる積層シートに切断加工を施すことによって所定形状の貼付製剤を製造するため、かかる方法においては、貼付製剤が切り取られた後の積層シートは、通常、不要部分として廃棄されるため、製造ロスがある。また、予めこの不要部分を見込んで、積層シートを作製するため、不要な材料コストもかかる。
特表2006−513195公報 特許第3566301号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、製造ロスを減少させ、経済的な貼付製剤の製造方法を提供することにある。
また、粘着剤層の面積および厚さを増大させずとも、十分に高い薬物の皮膚透過量が得られ(すなわち、優れた薬物の放出性を有し)、しかも、薬物の結晶の析出が極めて生じ難い、貼付製剤を得ることができる、貼付製剤の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討したところ、薬物含有粘着剤層における薬物の結晶の析出には、薬物含有粘着剤層に加わる物理刺激が大きく影響していることが分かり、薬物含有粘着剤層に加わる物理刺激を極力軽減する観点から研究を進めた。その結果、次に示す製造方法で貼付製剤を製造すると、薬物含有粘着剤層に薬物の結晶析出の原因となるような物理刺激が加わることなく、貼付製剤を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の製造方法とは、
(1)製造予定の貼付製剤に対応する形状の凹部を有する容器に、薬物、粘着ポリマー及び有機溶媒を含有する粘着剤層形成用組成物を流し込み、
(2)有機溶媒を乾燥除去し、
(3)薬物含有粘着剤層に支持体を積層する方法である。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 貼付製剤の製剤方法であって、
製造予定の貼付製剤に対応する形状の凹部を有する容器に、薬物、粘着ポリマー及び有機溶媒を含有する粘着剤層形成用組成物を流し込み、
該組成物から前記有機溶媒を乾燥除去して前記凹部内で薬物含有粘着剤層を形成した後、
該薬物含有粘着剤層に支持体を積層して、薬物含有粘着剤層を支持体の片面に備えた貼付製剤を得ることを特徴とする、貼付製剤の製造方法。
[2] 容器の凹部の内面が剥離処理されている、上記[1]記載の方法。
[3] 薬物が室温で固体の薬物である、上記[1]または[2]記載の方法。
[4] 薬物がDSCによって結晶化ピークが観測されない薬物である、上記[1]または[2]記載の方法。
[5] 粘着剤層形成用組成物は、凹部内にて形成される薬物含有粘着剤層が、薬物が該粘着剤層に溶解したものであるが、当該粘着剤層に物理刺激が付与された直後には、当該粘着剤層に薬物の結晶が形成されないが、さらに保存された時に薬物の結晶が形成される薬物濃度となるように調製されたものである、上記[1]または[2]記載の方法。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の方法により貼付製剤を製造後、該貼付製剤を開口の周囲にフランジが形成された容器に収容し、前記フランジに蓋材を接着して容器内を密閉した包装体とすることを特徴とする、貼付製剤包装体の製造方法。
[7] 上記[1]に記載の方法により製造される貼付製剤であって、薬物含有粘着剤層には薬物が溶解しており、当該貼付製剤の製造後、常温・常湿環境下で当該貼付製剤を6ヶ月保管した時、該6ヶ月の保管期間中、薬物含有粘着剤層には薬物の結晶が認められないことを特徴とする、貼付製剤。
[8] 薬物含有粘着剤層は、当該粘着剤層に物理刺激が付与された直後には、当該粘着剤層に薬物の結晶が形成されないが、さらに保存すると薬物の結晶が形成される薬物濃度に調製されたものである、上記[7]記載の貼付製剤。
本発明によれば、廃棄が必要となる不要部分を発生しない、経済的な貼付製剤の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、薬物含有粘着剤層が貼付製剤の取り扱い性を低下させない適度な面積および厚みにて形成されていながら、十分に高い薬物の透過性(すなわち、高い放出性)を示し、しかも、保管後の粘着剤層にも薬物の結晶析出が実質的に認められない、長期貼付にも耐えられる皮膚への接着性の持続性を備えた貼付製剤を得ることができる。
本発明の第1実施形態による貼付製剤の製造方法の概略説明図である。 図1中の容器の斜視図である。 本発明の第2実施形態による貼付製剤の製造方法の概略説明図である。 図3中の容器の斜視図である。
以下、本発明をその実施形態に即して説明する。
本発明の貼付製剤の製造方法(以下、「本発明方法」と略称することがある。)は、図1、3に示されるように、貼付製剤1(製造予定の貼付製剤)に対応する形状の凹部12を有する容器11に、薬物、粘着ポリマー及び有機溶媒を含有する粘着剤層形成用組成物(図示せず)を流し込み、有機溶媒を乾燥除去して凹部12内にて薬物含有粘着剤層(以下、単に「粘着剤層」ということがある。)3を形成した後、該薬物含有粘着剤層3に支持体2を積層することが主たる特徴である。
本発明方法において、容器11が有する「製造予定の貼付製剤に対応する形状の凹部12」とは、その内部にて粘着剤層形成用組成物中の有機溶媒の乾燥除去がなされて、製造予定の貼付製剤の所定の平面形状および厚みを有する薬物含有粘着剤層3が少なくとも形成されるように、その形状および寸法が設定された凹部を意味する。該凹部12は少なくとも薬物含有粘着剤層3が収容され得る深さであればよいが、その内部にて薬物含有粘着剤層3に支持体2を積層する作業も行える深さに形成してもよい。なお、凹部12に流し込まれた粘着剤層形成用組成物は有機溶媒の乾燥除去によって体積が減少するので、該凹部12内に形成される薬物含有粘着剤層の厚みは、凹部12内に流し込まれた粘着剤層形成用組成物の高さより低くなる。このため、凹部12の深さは、最小でも、製造予定の貼付製剤の薬物含有粘着剤層3の厚みの110%程度の寸法(深さ)であることが必要である。なお、凹部12の深さが大きすぎると、薬物含有粘着剤層3の形成後、薬物含有粘着剤層3を凹部12から取り出す作業、或いは、凹部12にて薬物含有粘着剤層3に支持体2を積層する作業がしづらくなるため、凹部12の深さと薬物含有粘着剤層3の厚みの差(凹部の深さ−薬物含有粘着剤層の厚み)は20mm以下であるのが好ましい。
図1、2に示す容器11の場合、凹部12は単一の凹部で形成されており、凹部12内にて薬物含有粘着剤層3に支持体2を積層する場合、支持体2と薬物含有粘着剤層3の平面サイズおよび平面形状が実質的に同一の貼付製剤1が製造される。
一方、図3、4に示す容器11は、薬物含有粘着剤層3を形成するための型になる第1凹部12Aと、平面サイズを該第1凹部12Aの平面サイズよりも大きくした、支持体2に対応する形状の第2凹部12Bとからなる2段構造の凹部になっている。このため、図3、4に示す容器11を使用することで、容器11の第1凹部12Aに薬物、粘着ポリマー及び有機溶媒を含有する粘着剤層形成用組成物(図示せず)を流し込み、有機溶媒を乾燥除去して第1凹部12A内にて薬物含有粘着剤層3を形成後、容器の第2凹部12Bに支持体2を挿入して、薬物含有粘着剤層3に支持体2を積層することで、支持体2の平面サイズが薬物含有粘着剤層3の平面サイズよりも大きいタイプの貼付製剤1を製造することができる。
本発明において、容器11に形成する凹部12の平面サイズは特に限定されないが、図1、2に示される容器11の場合、凹部12の平面サイズは一般的には0.5〜80cm程度、好ましくは,0.5〜60cmである。
また、図3、4に示される容器11の場合、第1凹部12Aの平面サイズは一般的には0.5〜80cm程度、好ましくは,0.5〜60cmであり、支持体2を受承する第2凹部12Bの平面サイズは一般的には0.5〜120cm程度,好ましくは0.5〜100cmである。なお、第1凹部12Aの全周において、第2凹部12Bが0.5〜10mm程度の幅をもって大きくなるように、第1凹部12Aと第2凹部12Bの平面サイズを設定するのが好ましい。こうすることで、支持体2の周縁部に十分かつ適度な幅の摘み代(しろ)が確保された貼付製剤を容易に製造することができる。
本発明における容器11は、貼付製剤の製造において、薬物含有粘着剤層3を形成するための型となり、かつ、貼付製剤の使用時まで、薬物含有粘着剤層を保護し得る保形性と強度を備えていることが好ましい。従って、容器は特に限定されないが、従来から貼付製剤のブリスター包装体を製造する際のブリスターボトム材として使用されるプラスチックシートを、真空成形法、圧空成形法、真空−圧空成形法、圧縮成形法等の公知のシート成形法によって、貼付製剤に対応する形状の凹部を有する容器に成型したものが好適である。かかるプラスチックシートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等の汎用プラスチック製のものを用いることができる。シートは1種または2種以上のプラスチックからなる単層シートであっても、各層が互いに異なるプラスチックからなる2層以上の積層シートであってもよい。また、シートに十分なガスバリア性を付与するために、上記の汎用プラスチックのシートに、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、アクリロニトリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン等を積層したガスバリア性シートを使用することできる。ここにいう、アクリロニトリル系樹脂は、樹脂総重量当たりの50重量%以上がアクリルニトリル成分で構成されていれば特に制限されない。柔軟性とヒートシール性の観点から、アクリロニトリルを主たる構造単位とする共重合体であるのが好ましく、当該共重合体は、構造単位として、少なくとも、アクリロニトリルと、ブタジエン等のゴム成分、及び/又は、アルキル基の炭素数が1〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む共重合体であるのが好ましい。また、当該共重合体において、アクリロニトリルの含有量は50〜90重量%であるのが好ましく、特に好ましい共重合組成は、アクリロニトリル50〜90重量%、ブタジエン等のゴム成分2〜12重量%、アルキル基の炭素数が1〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステル8〜38重量%の共重合体である。ガスバリア性シートは、保形性と強度および柔軟性とヒートシール性を兼ね備えるポリエチレンテレフタレート製シートとアクリロニトリル系樹脂製シートとを積層した積層シートが特に好ましい。なお、容器が光遮断性を必要とする場合は、上記の汎用プラスチックシートまたはガスバリア性シートにさらに金属箔等の光遮断性を有するフィルム等を積層した積層シートを使用することができる。また、以上説明したシートにさらに金属を蒸着させたシートを用いてもよい。
また、容器内での薬物含有粘着剤層の形成時における粘着剤層形成用組成物からの有機溶媒の除去や、粘着剤層への架橋構造の導入のための加熱等を考慮すると、容器を構成するプラスチックシートは加熱により、溶融、変形しないことが好ましい。したがって、プラスチックシートには、DSC(示差走査熱量測定)によるガラス転移温度が、薬物含有粘着剤層の形成時の加熱温度より高いプラスチック製のものを選択するのが好ましい。
また、後述するように、本発明における容器は、貼付製剤の製造後にそのままブリスター(包装容器)としても使用してもよく、そのような場合は、容器を密閉するカバーシートを接着するため、カバーシートとの接着がなされる面に熱融着性の材料として、例えば、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤、ポリアクリロニトリル等のシーラントフィルム等をコーティング処理しておくのが好ましい。
容器を構成するシートの厚みは特に限定されないが、貼付製剤を製造する間、容器の凹部が過度に変形しない強度を確保できる厚みであることが好ましく、さらに、後述の、貼付製剤の製造後に容器をそのままブリスター(包装容器)として使用して貼付製剤の包装体を連続的に製造する場合等を考慮すると、貼付製剤中の薬物を透過させない厚みを確保することが必要ある。このような観点から、上記シートの総厚みは一般的には10〜1000μmであり、好ましくは25〜500μmである。
本発明における容器11は、凹部12内にて形成された薬物含有粘着剤層3を凹部12の内面から容易に剥離できるように、凹部12の内面に剥離処理(具体的には、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、ワックス等による表面処理)を施しておくのが好ましい。
また、貼付製剤の製造後に容器11をそのままブリスター(包装容器)として使用して貼付製剤の包装体を連続的に製造する場合を考慮すると、図1〜図4に示されるように、容器11はその開口の周囲にフランジ(突片)13を形成した構成であるのが好ましい。このような構成とすることで、容器内を密閉するためのカバーシート(図示せず)を該フランジ(突片)13に接着することで、包装体を簡単に製造でき、かつ、包装体の密閉構造を確実に得ることができる。なお、フランジ(突片)13の幅(図2、4中のW1)は特に限定されないが、一般的には1〜50mm程度であり、好ましくは1〜20mm程度である。
[粘着剤層形成用組成物]
本発明において、粘着剤層形成用組成物とは、粘着ポリマー、薬物および有機溶媒を少なくとも含有する組成物であり、必要に応じて、タッキファイヤー、有機液状成分、架橋剤などがさらに配合される。粘着剤層形成用組成物は、通常、粘着ポリマー、薬物等の粘着剤層を形成する必須成分の濃度、或いは、該必須成分に、タッキファイヤー、架橋剤、有機液状成分などを加えたものの総濃度が15重量%程度以上、90重量%程度以下の溶液に調製される。
上記の薬物は、ヒトなどの哺乳動物にその皮膚を通して投与し得る、経皮吸収可能な薬物であればよく、従来から貼付製剤の薬物として使用されている公知の薬物を制限なく用いることができる。そのような薬物としては、具体的には、副腎皮質ステロイド剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗リウマチ剤、睡眠剤、抗精神病剤、抗うつ剤、精神刺激剤、抗不安定剤、抗てんかん剤、片頭痛治療剤、パーキンソン病治療剤、脳循環・代謝改善剤、抗認知症剤、自律神経作用剤、筋弛緩剤、降圧剤、利尿剤、血糖降下剤、高脂血症治療剤、痛風治療剤、全身麻酔剤、局所麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、ビタミン剤、狭心症治療剤、血管拡張剤、抗不整脈剤、抗ヒスタミン剤、メディエーター遊離抑制剤、ロイコトリエン拮抗剤、女性ホルモン剤、甲状腺ホルモン剤、抗甲状腺剤、制吐剤、鎮暈剤、気管支拡張剤、鎮咳剤、去痰剤、禁煙補助剤などが挙げられる。
有機溶媒としては、室温(25℃)で液状を呈し、粘着ポリマー、薬物等を溶解させる有機化合物であり、かつ、粘着剤層を形成させる際に十分に乾燥除去されるように、常圧における沸点が150℃未満のものが好ましい。よって、メタノール、エタノール、ベンゼン、n−ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、トルエン、キシレン、ヘプタン、イソプロピルアルコール等が好適である。
前述のとおり、容器11には、貼付製剤1(製造予定の貼付製剤)の少なくとも薬物含有粘着剤層3に対応する形状の凹部12が形成されており、粘着剤層形成用組成物を容器11に流し込み、溶媒を乾燥除去することにより、凹部12内にて薬物含有粘着剤層3を形成することができる。本発明で製造する貼付製剤の薬物含有粘着剤層3は皮膚接着性の観点から非含水系の粘着剤層であるのが好ましく、このため、有機溶媒を用いて粘着剤層形成用組成物を調製している。なお、「非含水系粘着剤層」とは、粘着剤層中の含水率が10重量%未満、好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは3重量%未満、最も好ましくは、2重量%未満の粘着剤層を意味する。
粘着ポリマーとしては、特に限定されず、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーを含むアクリル系ポリマー;スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエンなどのゴム系ポリマー;シリコーンゴム、ジメチルシロキサンベース、ジフェニルシロキサンベースなどのシリコーン系ポリマー;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル系ポリマー;酢酸ビニル−エチレン共重合体などのビニルエステル系ポリマー;ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレートなどのカルボン酸成分とエチレングリコールなどの多価アルコール成分からなるエステル系ポリマーなどが挙げられる。
アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに官能性単量体を共重合して得られたものが好ましい。すなわち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる単量体成分を50〜99重量%(好ましくは60〜95重量%)含有し、残りの単量体成分が官能性単量体からなる共重合体が好ましい。ここにいう主成分とは、共重合体を構成する単量体成分の総重量に基づき、50重量%以上含まれる単量体成分を意味する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、主成分単量体ともいう)は、通常、アルキル基が炭素数4〜13の直鎖または分岐アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなど)からなるものであり、これらは1種または2種以上が使用される。
官能性単量体は、共重合反応に関与する不飽和二重結合を分子内に少なくとも一個有するとともに、官能基を側鎖に有するものであり、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステルなどのヒドロキシル基含有単量体;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパン酸などのスルホ基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルアミノエチルエステルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリプレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリルエステルなどのアルコキシル基含有単量体が挙げられる。
かかる官能性単量体は1種または2種以上を使用でき、これらの中でも、粘着剤層の感圧粘着性、凝集性、粘着剤層中に含有する薬物の放出性などの点から、カルボキシル基含有単量体が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリル酸である。
アクリル系ポリマーとして、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(主成分単量体)と官能性単量体との共重合体に、さらに他の単量体を共重合したものを使用することもできる。
当該他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾールなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を使用できる。
また、当該他の単量体の使用量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(主成分単量体)と官能性単量体の合計重量に対して、通常、0〜40重量%程度が好ましく、より好ましくは10〜30重量%程度である。
アクリル系ポリマーの好ましい具体例としては、ヒト皮膚への接着性がよく、接着および剥離の繰り返しが容易である観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしての2−エチルヘキシルアクリレートと、アクリル酸と、N−ビニル−2−ピロリドンとの三元共重合体が好ましく、2−エチルヘキシルアクリレートと、アクリル酸と、N−ビニル−2−ピロリドンとを、40〜99.8:0.1〜10:0.1〜50の重量比で共重合させた共重合体がより好ましい。
ゴム系ポリマーは中でも、ポリイソブチレン、ポリイソプレンおよびスチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)等)から選ばれる少なくとも一種を主成分とするゴム系ポリマーが好ましい。薬物安定性が高く、必要な接着力および凝集力が両立できる観点から、粘度平均分子量500,000〜2,100,000の高分子量ポリイソブチレンと、粘度平均分子量10,000〜200,000の低分子量ポリイソブチレンとを、95:5〜5:95の重量比で配合させた混合物が特に好ましい。
ここにいう粘度平均分子量は、シュタウディンガーインデックス(J)を、20℃にてウベローデ粘度計のキャピラリーのフロータイムからSchulz−Blaschke式により算出し、このJ値を用いて下式により求めるものである:
Figure 2013082700
粘着ポリマーにゴム系ポリマーを用いる場合、粘着剤層形成用組成物にはタッキファイヤーをさらに配合することが常温での粘着性を粘着剤層に付与できるために好ましい。タッキファイヤーは、当技術分野で公知のものを適宜選択して用いればよい。タッキファイヤーとしては、例えば、石油系樹脂(例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂など)、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂(例えば、スチレン樹脂、ポリ(α−メチルスチレン)など)、水添石油樹脂(例えば、脂環族飽和炭化水素樹脂など)などが挙げられる。中でも、脂環族飽和炭化水素樹脂が薬物の保存安定性が良好になるため好適である。タッキファイヤーは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、タッキファイヤーの量は、ゴム系ポリマーの総重量に対して、通常33〜300重量%、好ましくは50〜200重量%である。
薬物含有粘着剤層の粘着性調節や薬物の経皮吸収促進などのために、所望により、粘着剤層形成用組成物には、有機液状成分を含有させることができる。有機液状成分とは、室温(25℃)で液状を呈し、粘着剤層を可塑化する作用を示す有機化合物であり、該有機液状成分は、粘着剤層形成用組成物中の有機溶媒を加熱により乾燥除去して粘着剤層を形成させる際に、粘着剤層中に十分に残存するように、常圧における沸点が150℃以上であることが好ましい。従って、有機液状成分の好適な具体例としては、オレイルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;カプリル酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;オリーブ油、ヒマシ油、スクワレン、ラノリンなどの油脂類;液状界面活性剤;ジイソプロピルアジペート、フタル酸エステル、ジエチルセバケート、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどの可塑剤;スクアラン、流動パラフィンなどの炭化水素類;エトキシ化ステアリルアルコール;脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。有機液状成分は1種または2種以上を使用することができる。
なかでも、脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(モノ、ジ、又はトリグリセリド)、オクチルドデカノール、アセチルクエン酸トリブチル、流動パラフィンなどが特に好ましい。
脂肪酸エステルとしては、薬物含有粘着剤層中の粘着ポリマーとの相溶性を保ち、かつ、貼付製剤の製造工程における粘着剤層形成用組成物中の有機溶媒の乾燥除去を加熱下で行う際に有機溶媒とともに揮散してしまうのを防ぐために、炭素数が好ましくは12〜16(より好ましくは12〜14)の高級脂肪酸と炭素数が好ましくは1〜4の低級1価アルコールとからなる脂肪酸エステルが好適に使用される。炭素数12〜16の高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などが挙げられ、炭素数が1〜4の低級1価アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステル(モノ、ジ、又はトリグリセリド)は、グリセリン中鎖(炭素数8〜12)脂肪酸エステルが好ましく、また、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドのいずれか1種でも、2種以上の混合物であってもよいが、トリグリセリドが好ましい。また、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、グリセリンにエステル結合している中鎖脂肪酸種が一種類のみのトリグリセリド(例えば、グリセリンにエステル結合している中鎖脂肪酸がカプリル酸のみのカプリル酸トリグリセリド、カプリン酸のみのカプリン酸トリグリセリドなど)が用いられても良いし、グリセリンにエステル結合している中鎖脂肪酸種が複数種であるトリグリセリド(例えば、グリセリンにエステル結合している中鎖脂肪酸がカプリル酸とカプリン酸である(カプリル酸・カプリン酸)トリグリセリドや、カプリル酸とカプリン酸とラウリン酸である(カプリル酸・カプリン酸・ラウリン酸)トリグリセリドなど)が用いられても良い。
貼付製剤の薬物含有粘着剤層は適度な皮膚接着性および剥離時の糊残り防止の観点から、架橋処理された粘着剤層とするのが好ましく、そのために、粘着剤層形成用組成物中には、三官能性イソシアネートなどのイソシアネート系化合物、有機過酸化物、有機金属塩、金属アルコラート、金属キレート化合物、多官能性化合物(多官能性外部架橋剤やジアクリレートやジメタクリレートなどの多官能性内部架橋用モノマー)などの各種架橋剤を含有させることができる。このような各種架橋剤を配合した粘着剤層形成用組成物を使用する場合、粘着剤層形成用組成物中の有機溶媒を加熱乾燥して除去することで同時に架橋処理(化学的架橋処理)が施され、架橋構造を有する薬物含有粘着剤層が形成される。なお、薬物含有粘着剤層に物理的架橋処理によって架橋構造を導入する場合、容器11の凹部12内にて粘着剤層形成用組成物中の有機溶媒を乾燥除去して形成された薬物含有粘着剤層に紫外線照射や電子線照射などの放射線照射を行う。
[貼付製剤の製造]
まず、粘着剤層形成用組成物を調製する。すなわち、粘着ポリマー及び薬物を、必要に応じて有機液状成分等の他の添加剤と共に有機溶媒に加えて均一になるまで十分に混合する。架橋剤を配合する場合は、この混合液にさらに架橋剤を加えて十分に混合する。この際、必要に応じて、架橋剤とともに有機溶媒を加えて混合してもよい。このようにして得た混合液を粘着剤層形成用組成物とする。粘着剤層形成用組成物は、以下の薬物含有粘着剤層の形成工程において、容器11の凹部12内にて形成される薬物含有粘着剤層3が、該粘着剤層中に薬物が溶解し、かつ、該粘着剤層中の薬物濃度が、薬物の該粘着剤層中の飽和濃度の100〜300%となるように調製する。
次に、粘着剤層形成用組成物を容器11の凹部12に流し込み、粘着剤層形成用組成物中の有機溶媒を乾燥除去して薬物含有粘着剤層3を形成する。粘着剤層形成用組成物の容器11(凹部12)への流し込みは、例えば、1個の容器毎にその凹部へ粘着剤層形成用組成物を所定量流し込む方法、または、シート上に複数の凹部を形成させたもの(複数の容器が区画されたシート)を用意して、粘着剤層形成用組成物を流入し、凹部の外側に残った余分な組成物を除去することにより、個々の容器に所定量の粘着剤層形成用組成物を配分する等の方法で行うことができる。粘着剤層形成用組成物中の有機溶媒の乾燥除去は室温下に容器を放置して有機溶媒を揮散させる自然乾燥であっても、容器11を加熱環境下に置いて、有機溶媒を揮散(蒸発)させる加熱乾燥であってもよい。なお、この際の加熱温度は、容器11を構成するプラスチックシートのガラス転移温度未満の温度であり、一般的には、25℃以上、100℃未満、好ましくは、25℃以上、90℃未満、さらに好ましくは25℃以上、80℃未満である。
薬物含有粘着剤層3に架橋構造を導入する場合は、加熱環境下に24〜72時間程度放置して有機溶媒の乾燥除去とともに架橋反応を促進させる。
支持体を粘着剤層へ積層する方法は、特に限定されない。
例えば、支持体として使用するフィルムの上で、容器11を上下反転させることにより、容器11の凹部12内に形成された薬物含有粘着剤層3をフィルムに積層し、フィルムを所定形状に打ち抜いて支持体2を形成して、貼付製剤を得るようにしてもよいし、容器11の凹部12内に形成された薬物含有粘着剤層3に凹部12内にて支持体2を積層して貼り合わせて、所定形状の貼付製剤1を得るようにしてもよい。
後者の方法の場合、支持体2は、薬物含有粘着剤層3の全面を覆う形状に予め切断しておき、それを容器11の凹部12内に形成された薬物含有粘着剤層3の表面に積層して貼り合せる。なお、図3に示されるように、支持体2の平面サイズが薬物含有粘着剤層3の平面サイズよりも大きいタイプの貼付製剤1を製造する場合は、支持体2は予めそのようなサイズに切断しておく。
支持体2は、特に限定はされないが、具体的には、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、アイオノマー樹脂などの単独フィルム、金属箔、又はこれらから選ばれる2種以上のフィルムを積層したラミネートフィルムなどが挙げられる。これらのうち、支持体として粘着剤層との接着性(投錨性)を向上させるために支持体を上記材質からなる無孔性フィルムと下記の多孔性フィルムとのラミネートフィルムとし、多孔性フィルム側を薬物含有粘着剤層3に貼り合せることが好ましい。無孔性フィルムの厚みは2〜100μmが好ましく、2〜50μmがより好ましい。
多孔性フィルムとしては、粘着剤層との投錨性が向上するものであれば特に限定されず、例えば紙、織布、不織布(例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)不織布など)、上記のフィルム(例えば、ポリエステル、ナイロン、サラン(商品名)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、金属箔、ポリエチレンテレフタレートなどの単独フィルム、およびこれらの1種または2種以上のフィルムを積層したラミネートフィルムなど)に機械的に穿孔処理したフィルムなどが挙げられ、特に紙、織布、不織布(例えば、ポリエステル不織布、ポリエチレンテレフタレート不織布など)が支持体の柔軟性の点から好ましい。多孔性フィルム、例えば、織布や不織布の場合、これらの目付量を5〜30g/mとすることが投錨力の向上の点で好ましい。
支持体におけるラミネートフィルムは、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、エクストルージョン(押し出し)ラミネート法、ホットメルトラミネート法、コ・エクストルージョン(共押し出し)ラミネート法等の公知のラミネートフィルムの製造方法によって製造される。
支持体の厚みは、特に限定されないが、一般的には、2〜500μm、好ましくは2〜200μm、より好ましくは10〜50μmである。2μm未満であると、自己支持性等の取扱い性が低下する傾向となり、500μmを超えると、貼付製剤の使用時(皮膚への貼付時)に、違和感(ごわごわ感)を生じ、皮膚への追従性が低下する傾向となる。
このように本発明の貼付製剤の製造方法では、容器11の凹部12内にて、貼付製剤1個分の大ききおよび厚みの薬物含有粘着剤層3を形成し、この薬物含有粘着剤層3に支持体2を積層して1個の貼付製剤を完成させるので、その製造過程で薬物含有粘着剤層を切断する工程を含まない。この為、製造過程で薬物含有粘着剤層に大きな物理刺激が加わらず、その結果、後述の実施例から明らかなように、製造後の貼付製剤の保管期間中に薬物含有粘着剤層中には薬物の結晶が析出しないと考えられる。
本発明方法によって製造される貼付製剤において、薬物含有粘着剤層3の厚みは特に限定されないが、本発明方法によって製造される貼付製剤は、薬物含有粘着剤層3の面積および厚さを大きくせずとも、十分に高い薬物の放出性を示す。このため、薬物含有粘着剤層3の厚みは、製剤の取り扱い性の観点から、好ましくは10〜500μm程度であり、より好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μmである。
本発明方法によって製造される貼付製剤において、薬物含有粘着剤層3に含有させる薬物は前述の薬物を用いることができ、特に限定されないが、本発明方法の効果がより顕著に発現する薬物としては、室温(25℃)で固体の薬物が好ましい。「室温で固体の薬物」とは、DSC(示差走査熱量測定)による融点が25℃より高い薬物を意味する。ここにいう「融点」は、JIS K 7121−1987に準拠して測定したDSC曲線における、補外融解開始温度である。補外融解開始温度とは、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度である。
また、薬物はDSCによって結晶化ピークが検出されない薬物が好ましい。結晶化ピークが検出されない薬物を用いることで、貼付製剤の製造直後(貼付製剤を保管する前)における、薬物含有粘着剤層3中の薬物の結晶形成をより確実に抑制することができる。結晶化ピークが検出されない薬物は、結晶構造を形成し難い性質がある為、粘着剤層中においても結晶を形成しにくいと考えられる。ここでいう、結晶化ピークとは、JIS K 7121−1987に準拠してDSC曲線を測定した時の、薬物の結晶化に伴う発熱ピークを意味する。すなわち、測定容器に、薬物を5mg〜10mg量り、以下の温度プログラムにより、測定することによりDSC曲線を得る。薬物の融点より50℃低い温度で10分間保持した後、毎分2℃の速度で昇温し、融点より30℃高い温度で3分間保持する。その後、毎分2℃の速度で降温し、薬物のガラス転移温度より30℃低い温度で10分間保持した後、再度、毎分2℃の速度で薬物の融点より30℃高い温度まで、昇温する。
DSCによる結晶化ピークが検出されない薬物としては、ミコナゾール、ジルチアゼム、スコポラミン、ケトプロフェン、インドメタシン、カプサイシン、イブプロフェン、硝酸イソソルビド、ジクロフェナク、ロチゴチンなどが挙げられる。
薬物含有粘着剤層3には薬物が溶解しており、薬物含有粘着剤層3中の薬物の重量濃度(重量%)は、好ましくはその薬物の粘着剤層中の飽和濃度(重量%)の100〜300%であり、好ましくは100〜250%である。かかる飽和濃度に対する重量濃度の比率[(重量濃度/飽和濃度)×100(%)]が100%未満では、粘着剤層中の薬物濃度が低いために、十分に高い薬物の皮膚透過量を得ることが困難な傾向となり、一方、300%を超えると、貼付製剤の製造後に粘着剤層に物理刺激が付与されることがなくても、製造後の貼付製剤の保管期間中に薬物の結晶が形成される傾向となる。なお、ここでいう、「薬物の重量濃度」とは、薬物含有粘着剤層3中の薬物の実際の濃度(重量%)のことであり、「薬物の飽和濃度」とは薬物含有粘着剤層が室温下で薬物を析出することなく溶解状態で含有し得る最大量のことであり、薬物の飽和濃度は、次の操作によって求められる。粘着剤層中の薬物の重量濃度を1重量%刻みで変化させた貼付製剤を用意し、それぞれ貼付製剤の粘着剤層上のライナーを剥離し、粘着剤層の露出面に、薬物を少量静置し、ライナーを再度粘着剤層に積層する。こうして作製した貼付製剤を25℃の恒温器で6ヶ月保管し、1ヶ月毎に、粘着剤層に静置した薬物の大きさが変化するかを光学顕微鏡(倍率:500倍)で観察する。薬物の大きさが大きくなった場合は、薬物の重量濃度は飽和濃度を超えていると判断し、薬物の大きさが小さくなった場合は、薬物の重量濃度は飽和濃度以下と判断し、薬物の大きさに変化がない場合は、薬物の重量濃度は飽和濃度付近であると判断する。
この測定方法は、薬物の重量濃度が飽和濃度より大幅に小さい場合は、静置した薬物は粘着剤層へ溶解する為、薬物の大きさが小さくなり、薬物の重量濃度が飽和濃度より大きい場合では、静置した薬物を起点に結晶が成長する為、薬物の大きさが大きくなり、薬物の重量濃度が飽和濃度付近の場合は、静置した薬物の溶解と成長が平衡となる為、薬物の大きさは変化しないという現象を利用したものである。
例えば、薬物の重量濃度が1〜5重量%の貼付製剤では、静置した薬物の大きさが小さくなり、薬物の重量濃度が6〜7重量%の貼付製剤では、静置した薬物の大きさに変化がなく、薬物の重量濃度が8〜10重量%の貼付製剤では、薬物の大きさが大きくなった場合、粘着剤層における薬物の飽和濃度は7%(重量%)とする。なお、この方法に従って、飽和濃度が1%未満と判断されるとき(薬物の重量濃度1重量%の貼付製剤でも静置した薬物の大きさが大きくなる場合)、薬物の重量濃度0〜1重量%の範囲で、0.2重量%刻みで薬物の重量濃度を変化させた貼付製剤を用意して、先述の手順にて同様の評価を行い、飽和濃度を求める。
従来一般の、薬物含有粘着剤層を含む積層シートを打ち抜いて所望の平面形状の貼付製剤を得る方法によって製造される貼付製剤では、粘着剤層中の薬物の重量濃度(重量%)が、薬物の粘着剤層中の飽和濃度(重量%)の100〜300%の範囲にある薬物含有粘着剤層に対して切断(打ち抜き)等の物理刺激が付与されると、後述の比較例に示されるように、薬物の結晶化ピークの検出の有無に関わらず、物理刺激が付与されてから24時間以上、6ヶ月以内に結晶が析出する。これに対し、本発明の貼付製剤の方法では、薬物含有粘着剤層の切断工程を含まないため、製造される貼付製剤の薬物含有粘着剤層には物理刺激が付与されていない。このため、後述の実施例に示されるように、貼付製剤の製造後、常温・常湿環境下で当該貼付製剤を6ヶ月保管した時、該6ヶ月の保管期間中、薬物含有粘着剤層中には薬物の結晶が認められない。ここで常温とは25±2℃、常温とは60±5%RHを意味する。特に、結晶化ピークが検出されない薬物を用いて、本発明の貼付製剤の方法により貼付製剤を製造すると、粘着剤層中の薬物の結晶の形成をより確実に抑制することができる。
本発明方法で製造される貼付製剤において、薬物含有粘着剤層が有機液状成分を含有する場合、薬物含有粘着剤層中の有機液状成分の含有量は、粘着剤層100重量%中5〜70重量%であり、より好ましくは10〜60重量%である。また、薬物含有粘着剤層が架橋剤を含有する場合、粘着剤層100重量%中、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5.0重量%である。
また、本発明方法により製造される貼付製剤は、好ましくは、薬物含有粘着剤層に物理刺激を付与すると、その直後には、当該粘着剤層に薬物の結晶が形成されないが、さらに保存すると当該粘着剤層に薬物の結晶が形成される。ここで、「直後」とは、物理刺激が付与されてから24時間未満内の期間を意味する。物理刺激が付与された直後に粘着剤層に薬物の結晶が形成されるものは、薬物の粘着剤層中の濃度が高すぎるため、実際の貼付製剤の使用時に粘着剤層に薬物の結晶が形成されている可能性が高く、また、これがさらに保存された時に、粘着剤層に薬物の結晶が形成されないものは、粘着剤層中の薬物の濃度が低いために、実際の貼付製剤の使用時に、十分な薬物の皮膚透過量を達成できない可能性がある。ここで、これがさらに保存された時とは、物理刺激を与えてから24時間以上、6ヶ月未満内を意味する。
本明細書中でいう「物理刺激」とは貼付製剤の粘着剤層にカッターの刃を突き刺す等の硬質かつ先鋭な部位を有する物品の当該部位を粘着剤層に突き刺したり、打ち抜き刃、カッターなどの刃物で粘着剤層を切断すること等を意味する。
本願の出願人は、貼付製剤を包装後に加熱すれば、薬物含有粘着剤層における薬物の結晶形成を抑制できることを見出し、特願2011−061515においてそれを提案したが、かかる技術では、加熱によって薬物含有粘着剤層が着色する可能性があったが、本発明方法によって貼付製剤を製造すると、粘着剤層が着色する可能性も軽減することができる。
[貼付製剤包装体の製造]
本発明方法で製造された貼付製剤は、所望により、自体公知の包装材で包装することができる。すなわち、貼付製剤1を容器11とともに、或いは、容器11から取り出して、樹脂フィルム、金属箔およびそれらの積層フィルム等の包装材にて包装することができる。
また、本発明方法で製造され、容器11の凹部12内に収容された貼付製剤を、容器11の開口の周囲に形成されたフランジ13に蓋材を接着して容器11内を密閉することで、貼付製剤のブリスター包装体(ブリスターパック)を製造することができる。容器11の開口部を密封する蓋材は、容器11とヒートシールが可能なシート状のものであれば特に限定されるものではない。貼付製剤の分野でブリスター包装体(ブリスターパック)の蓋材として使用される材質のもの、具体的には、樹脂フィルム、金属箔、紙類、及び、それらの積層フィルム等が使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の文中で「部」とあるのは全て「重量部」を意味する。
1.ポリマー溶液の調製
(1)アクリル系ポリマー溶液の調製
不活性ガス雰囲気下、アクリル酸2−エチルへキシル75部、N−ビニル−2−ピロリドン22部、アクリル酸3部およびアゾビスイソブチロニトリル0.2部を酢酸エチル中60℃にて溶液重合させてアクリル系ポリマー溶液(ポリマー固形分:28重量%)を得た。
(2)ポリイソブチレン系ポリマー溶液の調製
高分子量ポリイソブチレン(粘度平均分子量4000000,Oppanol(R) B200,BASF社製)を固形分として22.0部、低分子量ポリイソブチレン(粘度平均分子量55000,Oppanol(R) B12,BASF社製)を固形分として38.0部および脂環族飽和炭化水素樹脂(軟化点140℃,ARKON(R) P−140,荒川化学工業社製)40.0部をトルエンに溶解して、ポリイソブチレン系ポリマー溶液(ポリマー固形分21重量%)を得た。
2.実施例1〜7、参考例2
表1に示した処方で原料を配合して粘着剤層形成用組成物を調製した。
ポリエチレンテレフタレート(以後、「PET」と略称する。)製シートとアクリロニトリル系樹脂製シートとを積層した積層シートを成形することで、製造予定の貼付製剤(平面形状が33mm四方の正方形の支持体の片面全面に厚みが200μmの薬物含有粘着剤層を備えたもの)に対応する形状の凹部(深さ:15mm)を有する容器を作製し、凹部の内面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した。この容器の凹部に粘着剤層形成用組成物を乾燥後の粘着剤層の厚さが200μmになるように流し込んだ後、溶剤が十分揮発するまで50℃で5分間乾燥させて、粘着剤層を形成させ、その粘着剤層表面に、支持体としてPETフィルム(厚さ25μm)を貼り合わせて貼付製剤を得た。
3.比較例1
表1に示した処方で原料を配合して粘着剤層形成用組成物を調製し、該粘着剤層形成用組成物を剥離ライナーとしてのPETフィルム(厚さ75μm)の片面に、乾燥後の厚さが200μmになるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。その粘着剤層に支持体としてのPETフィルム(厚さ25μm)を貼り合わせて、得られた積層シートを平面形状が33mm四方の正方形の貼付製剤に切断加工して、貼付製剤を得た。
4.参考例1
表1に示した処方で原料を配合して粘着剤層形成用組成物を調製し、比較例1と同様にして作製した貼付製剤を、酸素濃度3%以下の雰囲気下で包装容器に包装し、60℃で12時間加熱して、貼付製剤を得た。
5.結晶形成の観察
実施例1〜7、比較例1および参考例1、2の貼付製剤を、25℃の恒温器で、6ヶ月保管した。6ヶ月の保管期間中に、恒温器から貼付製剤を取り出し、目視および光学顕微鏡観察(倍率500倍)で粘着剤層の粘着面およびその内部の薬物の結晶の形成を観察した。
目視および光学顕微鏡観察(倍率500倍)により粘着剤層の粘着面およびその内部に薬物の結晶の形成が認められないものを良(○)、目視では粘着剤層の粘着面およびその内部に薬物の結晶の形成は認められなかったが、光学顕微鏡観察(倍率500倍)ではわずかな結晶の形成が認められたものを可(△)、目視で明らかに結晶の形成が認められたものを不可(×)と評価した。
6.薬物放出性
実施例1〜7、比較例1および参考例1、2の貼付製剤について、25℃で6ヶ月間保管した後の貼付製剤の薬物放出性を評価した。貼付製剤の放出試験を、U.S. Pharmacopeia 26, <724>Drug Release, Transdermal Delivery Systems-General Drug Release Standardsに従って実施し、試験開始から0.25時間後、0.5時間後、4時間後、24時間後の放出液を採取した。採取した液は、メンブレンフィルターでろ過し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量し、放出された薬物の量を求めた。貼付製剤中の放出開始前の薬物の量(重量)に対する、所定時間後に放出した薬物の量(重量)から放出率を算出した。
また、25℃で6ヶ月間保管した貼付製剤の各所定時間後の薬物放出率と、製造直後の貼付製剤の各所定時間後の薬物放出率とを比較して、薬物放出率が変化していないものを良好(○)、放出変化が生じていれば不良(×)と評価した。なお、ここにいう「薬物放出率が変化していない」とは、25℃で6ヶ月保管した貼付製剤の薬物放出率と、製造直後の貼付製剤の薬物放出率とを比較した時、0.25時間後、0.5時間後、4時間後、24時間後のいずれにおいても薬物放出率の差が3%以内であることである。
7.物理刺激による粘着剤層の薬物の結晶の形成
貼付製剤の粘着剤層に、カッターを突き刺すことにより、物理刺激を与えた。これを、包装容器に包装し、25±2℃、60±5%RHで6ヶ月保存した。物理刺激が付与される前、物理刺激が付与された直後(物理刺激を与えてから0時間以上、24時間未満内)、およびこれがさらに保存された時(物理刺激を与えてから24時間以上、6ヶ月未満内)に、粘着剤層に薬物の結晶が形成されたか否か、目視および光学顕微鏡により粘着剤層の粘着面およびその内部を観察した。目視および光学顕微鏡(倍率500倍)により結晶が形成されていたものをY、目視および光学顕微鏡(倍率500倍)により結晶が形成されていなかったものをN、目視では結晶が認められないが光学顕微鏡(500倍)では結晶が認められたものをSとして評価した。
なお、物理刺激が付与された後(物理刺激を与えてから24時間以上、6ヶ月未満内)に粘着剤層に薬物の結晶が形成されるものは、粘着剤層中に薬物が適度に高い濃度で溶解して含有されているといえる。一方、物理刺激が付与されてから24時間未満内に薬物の結晶が形成されるものは、薬物の粘着剤層中の濃度が高すぎすることから、実際に貼付製剤を使用する際に粘着剤層に薬物の結晶が形成されている可能性があり、使用に支障をきたす可能性がある。また、物理刺激が付与された後、薬物の結晶の形成に6ヶ月より長い時間を要する製剤は、粘着剤層中の薬物の濃度が低いために、十分な薬物の皮膚透過量を達成できない可能性がある。
Figure 2013082700
表1の試験結果から、以下の考察を得た。全実施例、比較例1および参考例1、2の粘着剤層中に薬物は過飽和量で存在する。
実施例2、比較例1および参考例1は薬物含有粘着剤層の処方は同じであるが、貼付製剤の製法が異なる。積層シートを打抜いて得られた比較例1の貼付製剤は、薬物含有粘着剤層に結晶が析出したのに対して、貼付製剤に対応する形状の凹部を有する容器に粘着剤層形成用組成物を流し込んで得られた実施例2の貼付製剤は結晶が析出しなかった。比較例1の粘着剤層中の薬物濃度は過飽和状態である為、打ち抜き加工時に粘着剤層へ物理刺激が付与されたことにより、結晶核が形成し、保管期間中に目視で確認できるほどの大きさに結晶が成長したものと考えられる。
実施例2の貼付製剤は、その製造過程において粘着剤層へ物理刺激が付与される工程がない為、結晶が析出しなかったものと考えられる。また、比較例1は結晶が析出したが、比較例1の製造方法の後に、加熱工程が加わった参考例1は結晶が析出しなかった。これは、積層シートを貼付製剤の形状に打抜く際の物理刺激により、結晶核が形成したものの、加熱工程により結晶核が粘着剤層へ溶解した為、結晶が析出しなかったものと考えられる。
参考例2および比較例1の貼付製剤は、製造後の保管期間中に結晶が析出し、放出が変化したため、十分な透過性が得られないものである。また、結晶が析出すると、患者に品質劣化を懸念させ、その使用を躊躇わせるばかりか、粘着剤層表面を結晶が覆うと、接着面積が減少し、皮膚への接着性が低下し、使用に支障をきたすものである。
実施例2と参考例1は薬物含有粘着剤層の処方は同じであるが、製法が異なるものであり、共に結晶が析出しなかった。よって、実施例2は貼付製剤の加熱工程を有しない為、加熱工程に必要な装置類や時間が省略できる点で優位であるといえる。さらに、実施例2は、貼付製剤の形状をした容器に粘着剤層形成用組成物を流し込んで、乾燥させて薬物含有粘着剤層を形成するのに対し、参考例1は粘着剤層を含む積層シートを打ち抜いて貼付製剤を作製するので、実施例2は参考例1と比較して、成型時のロスが少なく、経済的に有利と言える。
また、実施例1〜7の結果から、貼付製剤に含まれる粘着ポリマー、液状成分、薬物によらず、粘着剤層中の薬物の重量濃度が飽和濃度に対して100〜300%の貼付製剤を、本発明の製造方法により製造できることがわかる。
実施例7は、結晶化ピークが検出される薬物であり、わずかに薬物の結晶が認められるが、皮膚への接着性には影響のない程度の結晶であり、使用に支障はないものである。わずかに結晶が認められるとは、目視では結晶は認められないが、光学顕微鏡(500倍)では結晶が認められたことである。
1 貼付製剤
2 支持体
3 薬物含有粘着剤層
11 容器
12 凹部
12A 第1凹部
12B 第2凹部

Claims (8)

  1. 貼付製剤の製剤方法であって、
    製造予定の貼付製剤に対応する形状の凹部を有する容器に、薬物、粘着ポリマー及び有機溶媒を含有する粘着剤層形成用組成物を流し込み、
    該組成物から前記有機溶媒を乾燥除去して前記凹部内で薬物含有粘着剤層を形成した後、
    該薬物含有粘着剤層に支持体を積層して、薬物含有粘着剤層を支持体の片面に備えた貼付製剤を得ることを特徴とする、貼付製剤の製造方法。
  2. 容器の凹部の内面が剥離処理されている、請求項1記載の方法。
  3. 薬物が室温で固体の薬物である、請求項1または2記載の方法。
  4. 薬物がDSCによって結晶化ピークが観測されない薬物である、請求項1または2記載
    の方法。
  5. 粘着剤層形成用組成物は、凹部内にて形成される薬物含有粘着剤層が、薬物が該粘着剤層に溶解したものであるが、当該粘着剤層に物理刺激が付与された直後には、当該粘着剤層に薬物の結晶が形成されないが、さらに保存された時に薬物の結晶が形成される薬物濃度となるように調製されたものである、請求項1または2記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により貼付製剤を製造後、該貼付製剤を開口の周囲にフランジが形成された容器に収容し、前記フランジに蓋材を接着して容器内を密閉した包装体とすることを特徴とする、貼付製剤包装体の製造方法。
  7. 請求項1に記載の方法により製造される貼付製剤であって、薬物含有粘着剤層には薬物が溶解しており、当該貼付製剤の製造後、常温・常湿環境下で当該貼付製剤を6ヶ月保管した時、該6ヶ月の保管期間中、薬物含有粘着剤層には薬物の結晶が認められないことを特徴とする、貼付製剤。
  8. 薬物含有粘着剤層は、当該粘着剤層に物理刺激が付与された直後には、当該粘着剤層に薬物の結晶が形成されないが、さらに保存すると薬物の結晶が形成される薬物濃度に調製されたものである、請求項7記載の貼付製剤。
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