以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態における印刷システム1の全体構成例を示す図である。印刷システム1は、一般的なパーソナルコンピュータなどで構成される情報処理装置2と、その情報処理装置2とネットワーク3を介して相互にデータ通信可能に接続される画像形成装置4とで構成される。ネットワーク3は、例えば、一般的なオフィス内に構築されるLAN(Local Area Network)である。但し、これに限定されずネットワーク3は、WAN(Wide Area Network)などの広域的な通信網を含む複合的な通信ネットワークであってもよい。また情報処理装置2及び画像形成装置4は、例示されている数に限られない。
情報処理装置2は、上述したように例えば一般的なパーソナルコンピュータである。情報処理装置2は、各種情報を表示する表示部2aと、ユーザによる操作指示を入力する操作入力部2bとを備えている。情報処理装置2は、ユーザによって操作入力部2bに入力される指示操作に基づいて、例えば複数ページからなる文書データに基づく印刷データを生成し、その印刷データをネットワーク3を介して画像形成装置4に送信する構成である。但し、印刷データは、文書データに限らず、図形や写真などの画像データであっても良い。
画像形成装置4は、情報処理装置2からの印刷データを受信して、その印刷データに基づき印刷出力を行う構成である。また、例えば画像形成装置4は、そのような印刷機能だけでなく、更にコピー機能、スキャナ機能及びFAX機能などを備えたMFP(Multi Function Peripheral)などと称される装置で構成されても良い。
画像形成装置4は、ユーザに各種指示操作を行わせる操作パネル5と、受信する印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷処理部6と、印刷処理部6によって印刷出力される印刷物を載置する印刷出力トレイ8と、印刷媒体となる用紙をストックしておくための複数の給紙カセット7と、印刷処理部6による印刷処理と連携して製本に関する後処理を行う後処理部10と、手差しによる印刷物を載置するためのフィーダ部11と、後処理部10によって製本出力された印刷物を載置する製本出力トレイ12(12a,12b)と、を備えている。但し、製本出力トレイ12は図例に示す数に限られず、例えば1つであっても良い。
印刷処理部6は、印刷処理を行うために必要な以下の構成を備えている。例えば、印刷処理部6は、給紙カセット7から用紙を1枚ずつ給紙する給紙部、給紙部から給紙された用紙に対して、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部、画像形成部によって形成されるトナー像(画像)を用紙に転写させる転写部、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着部、印刷された印刷物を印刷出力トレイ8又は後処理部10に出力する印刷物搬送部、画像形成部にトナーを補充するトナーボトルなどを備えている。
上記印刷物搬送部は、出力される印刷物の印刷経路を印刷出力トレイ8と、後処理部10とに切り替え可能に構成される。すなわち印刷出力のみが行われる場合、印刷物搬送部は、印刷出力される印刷物を印刷出力トレイ8に出力し、後処理が行われることが予定されている印刷物については後処理部10に対して出力する。また印刷処理部6は、例えば印刷物を所定枚数に応じて段違いで印刷出力トレイ8に出力したり、向きを異ならせて印刷出力トレイ8に出力したりする機能を備えても良い。
また画像形成装置4は、上述したように印刷処理部6から印刷出力される印刷物に対して各種の後処理を行う後処理部10を備えている。例えば、後処理部10は、パンチやステープル、製本などの処理を後処理として行うように構成される。
ここで情報処理装置2は、製本指示を印刷データに含めることによって、印刷処理部6によって印刷出力される印刷物の製本を後処理部10に行わせることが可能である。後処理部10は、そのような製本指示に基づき後処理を実行するために必要な以下のような構成を備える。例えば後処理部10は、印刷処理部6によって印刷出力される印刷物を上記印刷物搬送部と連携して自動搬送する後処理搬送部、その自動搬送される印刷物に対して、所定位置へのステープル留め、中綴じ又はクルミ製本などの製本処理を行う製本処理部、及び製本処理部によって製本が完了した印刷物(以下「完成本」と称する)を製本出力トレイ12に出力する製本出力部を備えている。また図例のように複数の製本出力トレイ12a,12bが設けられる場合、製本出力部は、製本出力トレイ12a,12bの何れかに出力経路を切り替えて完成本を出力することが可能に構成される。
図2,図3は、本実施形態の概略を模式的に示す図である。画像形成装置4は、印刷処理を実行している状態で新たに印刷データを受信した場合、その受信した印刷データが実行中の印刷データと同一ファイル(ドキュメントなど)に基づいて作成されたデータであれば、その新たに受信した印刷データから現在実行中の印刷データと差し替えるための差替ページを抽出し、その差替ページを自動で差替えて印刷出力する構成である。
例えば、情報処理装置2に対してユーザがドキュメントの編集操作を行った後、そのドキュメントに対する印刷指示を行うと、情報処理装置2から画像形成装置4に対して印刷データが送信される。その後、ユーザが、ドキュメントに対する修正操作を行ってあらためて印刷指示を行うと、情報処理装置2から画像形成装置4に対して再び印刷データが送信される。このような場合、画像形成装置4は、同一ファイルに基づく印刷データを異なるタイミングで受信する。
そのため、画像形成装置4は、先に受信した第1の印刷データに基づく印刷出力の実行中に、新たな印刷データを受信した場合、その受信した印刷データがその時点で印刷出力実行中である第1の印刷データと同一ファイルに基づいて作成された第2の印刷データであれば、第2の印刷データに含まれるページから、第1の印刷データに含まれるページと差し替えるための差替ページを抽出する。
例えば、第1および第2の印刷データのそれぞれが複数ページを含むデータであれば、それらの印刷データに基づく印刷出力は、画像形成装置4において1ページずつ順次行われていく。そのため、印刷データに含まれるページ数が多いほど、印刷出力に要する時間が長くなり、第1の印刷データに基づく印刷出力の実行中に第2の印刷データを受信する可能性が高くなる。そして画像形成装置4は、第1の印刷データに基づく印刷出力の実行中に第2の印刷データを受信した場合、第2の印刷データから抽出する差替ページを、第1の印刷データにおける未出力状態のページと差し替えて印刷出力を行うように構成される。
以下の説明では、画像形成装置4が第2の印刷データから差替ページを抽出する際、主として、第1の印刷データに含まれるページと、第2の印刷データに含まれるページとをページ単位で比較することにより、第1の印刷データのページに対して差分が検出されるページを差替ページとして抽出する場合を例示する。
図2および図3の例は、第1および第2の印刷データが全3ページからなるデータである場合を示している。まず図2に示すように、画像形成装置4は、第1の印刷データを受信すると、その第1の印刷データに基づく印刷出力が可能となったタイミングでその第1の印刷データに基づく印刷出力を1ページ目から順に開始する。例えば図2では、最初に第1の印刷データに含まれる1ページ目の印刷出力が完了した状態を示している。また図2に示す状態では、画像形成装置4において続いて2ページ目の印刷出力が開始されているものとする。
図3は、そのような状態で受信する第2の印刷データを例示している。この第2の印刷データは、第1の印刷データに対して2,3ページ目が修正された内容のデータとなっている。
画像形成装置4は、図2に示す状態、すなわち第1の印刷データに基づく印刷出力の実行中に、図3に示す第2の印刷データを受信すると、第1および第2の印刷データをページ単位で比較して差分の検出されるページを、第2の印刷データから差替ページとして抽出する。すなわち図2および図3の例では、画像形成装置4は、第1の印刷データに対して差分を有する第2の印刷データの2,3ページ目を差替ページとして抽出する。そして画像形成装置4は、その差替ページに対応する第1の印刷データのオリジナルページを差替ページに差替えて印刷出力を行う。
例えば、上述したように第2の印刷データを受信したタイミングで既に第1の印刷データに含まれる2ページ目の印刷出力が開始されている場合、画像形成装置4は、印刷出力実行中の2ページ目を差し替えることができないため、その時点で未出力状態であるオリジナルページの3ページ目についてのみ差替処理を行う。そして画像形成装置4は、既に印刷出力されているオリジナルページの2ページ目に対応する差替ページ、つまり第2の印刷データの2ページ目については、第1の印刷データの最終ページの印刷出力が完了した後に追加出力する。またこの場合、画像形成装置4は、第2の印刷データにおいて差替ページ以外のページについては印刷出力しない。このようにして最終的に、3ページ目が自動で差替えられて印刷出力されると共に、ユーザ自身が手作業で差替える分の2ページ目が印刷出力され、合計で4ページ分の印刷物が出力される。
これにより3ページ目については、第1の印刷データから第2の印刷データへと自動で差替えられて印刷出力されるので、第1の印刷データの3ページ目が印刷出力されない。そのため、例えば印刷用紙やトナーなどの消費資源が節約されると共に、ユーザにとっては手作業で3ページ目を差替える手間が省ける。
また2ページ目については、印刷物の最後尾に第2の印刷データの2ページ目が出力される。そのため、ユーザは、2ページ目を手作業で差し替えなければならない。ただし、この場合でも、ユーザが差し替え作業を行う際の作業負担は従来よりも軽減される。すなわち、従来であれば、2ページ分(2ページ目と3ページ目)の差し替え作業が必要であったが、上記のような本実施形態の出力形態の場合は1ページ分(2ページ目のみ)の差し替え作業だけを行えば良いため、ユーザの作業負担を軽減することができる。
以下、このような画像形成装置4の構成について詳しく説明する。
図4は、画像形成装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。図例に示すように、画像形成装置4は、この画像形成装置4の動作を制御する制御部15と、情報処理装置2などの外部機器と接続するためのネットワークインタフェース16と、各種情報を記憶する記憶装置17と、上述した操作パネル5と、印刷処理部6と、後処理部10とを備え、それぞれがバス25して相互にデータ通信が可能に接続される構成である。
制御部15は、CPU15aとメモリ15bとを備えており、各部の動作を制御するものである。CPU15aは、記憶装置17に記憶されているプログラム18を読み出して実行する。ここで、プログラム18は、制御部15を後述する各種処理部として機能させるためのプログラムである。メモリ15bは、CPU15aがプログラム18を実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するものである。
ネットワークインタフェース16は、画像形成装置4を、ネットワーク3(図1)に接続するためのものである。これにより制御部15は、このネットワークインタフェース16を介して情報処理装置2と通信可能に接続される。尚、ネットワークインタフェース16は、ネットワーク3に対して有線接続されるものであっても良いし、無線接続されるものであっても良い。
記憶装置17は、ハードディスク装置などの不揮発生の記憶手段であり、上述したプログラム18を記憶すると共に、印刷データを記憶する記憶領域である印刷データ記憶部19を備える。印刷データ記憶部19には、例えば情報処理装置2から送信される印刷データが記憶される。但し、印刷データ記憶部19は、必ずしも記憶装置17に設けられるものに限られず、例えばメモリ15bなどに設けられるものであっても構わない。
図5は、制御部15の機能構成の一例を示す図である。制御部15は、上述したCPU15aがプログラム18を実行することにより、管理部31、抽出部32、印刷制御部33及び後処理制御部34として機能する。これら各処理部は、情報処理装置2からの印刷データを受信することで連携した動作を行うように機能する。以下、各処理部の構成について説明する。
管理部31は、受信する印刷データを管理する処理部である。管理部31は、情報処理装置2からの印刷データを受信すると受信部として機能し、その印刷データを印刷データ記憶部19に記憶させる。印刷データ記憶部19は、複数の印刷データを記憶することが可能である。そのため、管理部31によって受信される印刷データは、直ちに印刷出力されない場合、印刷データ記憶部19に記憶された状態でスプールされる。
また管理部31は、印刷データを受信したとき、その時点で他の印刷データに基づく印刷出力が実行中である場合には、その実行中である印刷データと新たに受信した印刷データとが、互いに同一ファイルのドキュメントなどに基づいて作成された印刷データであるか否かを判断する。この判断処理に関する具体的な処理内容については後述する。
抽出部32は、管理部31によって同一ファイルに基づいて作成された印刷データであると判断された場合に機能し、第1の印刷データと第2の印刷データのそれぞれに含まれるページをページ単位で比較し、第2の印刷データから差替対象となる差替ページを抽出する処理部である。すなわち、管理部31によって第1及び第2の印刷データのファイルの同一性が肯定されると、抽出部32は、印刷データ記憶部19から第1及び第2の印刷データを読み出し、第1の印刷データと第2の印刷データとをページ単位で比較する。このとき、抽出部32は、第1の印刷データと第2の印刷データのそれぞれに含まれる複数ページのうち、互いにページ番号が同じ番号となるページ同士を比較する。そして第2の印刷データに含まれる複数ページのうち第1の印刷データのページに対して差分の検出されるページを、その第2の印刷データから差替ページとして抽出すると共に、その差分ページ対応する第1の印刷データのページをオリジナルページとして抽出する。
印刷制御部33は、印刷データの印刷処理を制御する処理部である。すなわち印刷制御部33は、印刷データ記憶部19に記憶されている印刷データを順次読み出して印刷処理部6に出力する。このとき、印刷制御部33は、読み出し対象となる印刷データに含まれるページを、そのページ順序に従って1ページずつ読み出していく。そしてページ単位のデータに対するRIP(Raster Image Processing)処理を実行することにより、印刷処理部6が印刷出力可能なデータを生成し、そのデータを印刷処理部6に出力する。これにより、印刷処理部6において印刷出力が行われる。
また印刷制御部33は、抽出部32によって差替ページが抽出されると、その差替ページに対応するオリジナルページが印刷出力済みであるか否かを判断する。このとき印刷制御部33は、判断部として機能する。そして印刷制御部33は、差替ページに対応するオリジナルページが未出力であると判断される場合に、そのオリジナルページを差替ページに差替える。そして差替ページに対するRIP処理を行って出力することにより、オリジナルページを差替ページに差し替えた状態で、印刷処理部6における印刷出力を行わせる。また、既に印刷出力済みのオリジナルページに対応する差替ページについては、上述したように第1の印刷データの最終ページの印刷出力が完了した後に印刷出力する。
ここで印刷制御部33は、管理部31が印刷データを受信したとき、他の印刷データに基づく印刷出力の実行中である場合には、その印刷データを受信したタイミングで、他の印刷データに基づく印刷出力を一時停止するように構成されることが好ましい。これにより、印刷出力の実行中に印刷データを受信した以降において、オリジナルページの印刷出力が進んでしまうことを抑制することができる。つまり、印刷データが受信されるタイミングでは未出力であるオリジナルページが、その後の各処理部による各種処理が行われている最中に、差替ページに差替えられることなく印刷出力されてしまうことを防止することができるので、例えば印刷出力を一時停止しない場合に比べて多くの差替ページを差替えた状態で印刷出力することができる。以下においては、そのような好ましい形態について例示する。
後処理制御部34は、後処理部10による後処理を制御する処理部である。すなわち後処理制御部34は、印刷データに含まれる製本指示に基づいて、印刷処理部6によって印刷出力された印刷物に対してステープル留めやクルミ製本などの各種製本処理を後処理部10に実行させる。これにより製本された完成本が製本出力トレイ12に出力される。
以下においては、画像形成装置4が第1の印刷データに基づく印刷出力を開始してから終了するまでに、第2の印刷データを受信した場合に、各処理部が連携して行う処理について詳しく説明する。
図6は、受信する第1の印刷データA1及び第2の印刷データA2を模式的に示す図である。第1の印刷データA1は、例えば全5ページからなる文書データで構成される。また第1の印刷データA1には、付属情報としてファイル名などのファイル識別情報が付加されている。これに対して第2の印刷データA2は、上述した第1の印刷データA1の修正版である。第2の印刷データA2は、第1の印刷データA1と同様に全5ページで構成される文書データである。そして第2の印刷データA2には、ファイル識別情報として、第1の印刷データA1と同一のファイルであることを示す情報が付加されている。また図6における第2の印刷データA2は、2,4ページ目が第1の印刷データA1と異なる内容になっている。つまり、これら2,4ページ目が修正された内容を含むページである。尚、以下の説明においては、第1の印刷データA1と第2の印刷データA2とを特に区別する必要がない場合には、単に「印刷データ」と称する。
図5に示す管理部31は、情報処理装置2からの第1の印刷データA1を受信すると、その第1の印刷データA1を印刷データ記憶部19に記憶させる。また管理部31は、第1の印刷データA1を受信すると、そのとき実行中となっている別の印刷データが存在するか否かを判断する。そして管理部31は、実行中となっている別の印刷データが存在しない場合には、受信した第1の印刷データA1の印刷処理を実行するように印刷制御部33に指示する。
印刷制御部33は、管理部31からの指示に従って第1の印刷データA1に基づく印刷処理を開始する。まず印刷制御部33は、印刷データ記憶部19から第1の印刷データA1を読み出す。そして印刷制御部33は、第1の印刷データA1に対して上述したRIP処理を行って、その印刷データを印刷処理部6に送信する。これにより印刷処理部6において第1の印刷データA1に基づく印刷出力が1ページずつ順に実行されていく。このようにして第1の印刷データA1に基づく印刷出力が開始される。
そして第1の印刷データA1に基づく印刷出力が開始された後、その第1の印刷データA1に基づく印刷出力が完了する前に、別の印刷データを受信した場合、管理部31は、その受信した印刷データを印刷データ記憶部19に記憶させると共に、以下のように処理を行う。管理部31は、別の印刷データを受信したタイミングで、第1の印刷データA1が既に実行中となっていることを検知すると、その受信した印刷データが、そのとき実行中の第1の印刷データA1と同一ファイルに基づいて作成された印刷データであるか否かを判断する。この判断処理は、差替ページを抽出するためにページ単位で行う比較処理を実行するか否かを決定するための処理となる。この判断を事前に行うことにより、受信した印刷データが現在実行中の印刷データとは異なるファイルに基づいて作成されたデータである場合には、ページ単位の比較処理を行う必要がなくなるので、例えば互いに関係のない印刷データについて比較処理を行ってしまうといった無駄な処理を防止することができる。
また、印刷制御部33は、第1の印刷データA1に基づく印刷出力が完了するまでに、管理部31が別の印刷データを受信すると、そのとき実行中のRIP処理を中断すると共に、実行中である第1の印刷データA1に基づく印刷出力の動作を一時停止するように印刷処理部6に対して指示を行う。印刷処理部6は、その指示に従って第1の印刷データA1に基づく印刷出力の動作を一時停止する。尚、このとき印刷処理部6において既に印字処理が開始されているページがある場合には、そのページついては、差替ページに差替えて印刷出力することができないので、印刷出力を行っても良い。
そして第1の印刷データA1に基づく印刷出力が停止した状態で、上記の判断処理が行われる。この判断処理は、第1の印刷データA1に付加されているファイル識別情報と、管理部31によって受信された印刷データに付加されているファイル識別情報とを対比することにより行われる。例えば双方のファイル識別情報に含まれるファイル名などが完全に一致する場合、管理部31によって受信された印刷データは、第1の印刷データA1と同一のファイルに基づいて作成されたデータとなる。この場合、管理部31によって受信された印刷データは、現在実行中である第1の印刷データA1との比較対象となる第2の印刷データA2として決定される。
更に、このような判断処理の精度を向上させるため、管理部31は、以下のように同一性の判断を行っても良い。すなわち印刷処理を実行している状態で、その実行中の印刷データに対して、ファイル名などが完全一致する印刷データを受信する場合、その受信する印刷データは、必ずしも実行中の印刷データの修正版であるとは限らない。例えば実行中の印刷データとは別に印刷出力させることを目的とした印刷データの可能性もある。つまり受信する印刷データは、実行中の印刷データに対して2部目となる印刷データの可能性がある。この場合、仮にファイル名などが同一であることによって2つの印刷データの比較処理を開始してしまうと、無用な比較処理を行うことになるばかりか、2部目の印刷データに基づく印刷出力が行われなくなってしまう。
そこで管理部31は、まずファイル名などが同一である場合であっても、ファイル識別情報に含まれるファイル更新日時が双方同じであるか否かを判断する。すなわち、ファイル更新日時が双方同じあれば、受信した印刷データが修正されたデータではなく、現在実行中の印刷データと同じデータであることを特定することができる。したがって、この場合は、受信した印刷データを比較処理の対象とはせず、通常印刷のためのデータとして判断する。
一方、ファイル名などが同一であり、ファイル更新日時が異なる場合には、受信した印刷データが、現在実行中の印刷データとは異なるデータであってその内容が修正されたものであることを特定することができる。そのため、管理部31は、ファイル名などが同一であって、且つ、ファイル更新日時が異なる場合に、受信した印刷データを、第1の印刷データA1と同一のファイルに基づいて作成され、且つ修正されたデータとして判断するようにしても良い。そしてこのような判断によって、受信した印刷データを、現在実行中である第1の印刷データA1との比較対象となる第2の印刷データA2として決定するようにしても良い。
上記のような判断処理によって、受信した印刷データが、現在実行中の第1の印刷データA1との比較処理の対象となる第2の印刷データであると判断されると、次に抽出部32が機能する。これに対し、比較処理の対象でないと判断されると、印刷制御部33は、一時停止している印刷出力を再開する。この場合、受信した印刷データは、通常の印刷出力が行われるのを待機するデータとして印刷データ記憶部19に保持される。
図7は、抽出部32によって行われる処理を模式的に示す図である。抽出部32は、互いに比較対象となる第1の印刷データA1及びA2を印刷データ記憶部19から読み出す。そして、抽出部32は、各印刷データA1及びA2をページ単位で比較して、第2の印刷データA2のうち第1の印刷データA1に対して差分を有するページがあるか否かを判断する。すなわちその差分を有するページが差替ページである。図7の例では、抽出部32は、第2の印刷データA2のうち第1の印刷データA1に対して2,4ページ目に差分が存在すると判断する。そして抽出部32は、第2の印刷データA2において2,4ページ目を差替えページとして抽出する。また抽出部32は、第1の印刷データA1において2,4ページ目を、上記差替ページに対応するオリジナルページであるとして抽出する。抽出部32によって差替ページ及びオリジナルページが抽出されると、次に印刷制御部33が機能する。
差替ページ及びオリジナルページが抽出された以降の印刷制御部33の処理については、第2の印刷データA2を受信したときの第1の印刷データA1の印刷処理の進行具合によって、処理内容が異なる。そこで、以下においては場合を分けて説明する。
図8は、第1の印刷データA1において差替対象となるオリジナルページが全て未出力であるタイミングで、第2の印刷データA2を受信した場合の処理を模式的に時系列で示す図である。例えば、管理部31は、第1の印刷データA1の1ページ目の印刷出力が完了した後であって、2ページ目の印刷出力が開始される前に第2の印刷データA2を受信したとする。
この場合、印刷制御部33は、判断部として機能し、上記のようにして抽出部32によって抽出されるオリジナルページのうち未出力状態であるオリジナルページが存在するか否かを判断する。図8において、例えばオリジナルページである第1の印刷データA1の2ページ目に対する印字処理が未だ開始されていない状態で差替ページが抽出されたとする。この場合、印刷制御部33は、オリジナルページの2,4ページ目の何れも印字処理が行われていないので、それら2,4ページ目が未出力の状態であると判断する。このように印刷制御部33は、オリジナルページに対して印字処理が開始されていない場合に、そのオリジナルページが未出力であると判断する。これにより、そのオリジナルページの代わりに差し替えページに基づく印字処理を行うことが可能である。
次に印刷制御部33は、未出力のオリジナルページを検出すると、その未出力のオリジナルページを、その未出力のオリジナルページに対応する差替ページに差替える。このとき印刷制御部33は、差替部として機能する。具体的に説明すると、印刷制御部33は、未出力状態のオリジナルページである2,4ページ目のそれぞれを、差替ページである第2の印刷データA2の2,4ページ目に書き換える。つまり印刷制御部33は、第1の印刷データの2ページ目を第2の印刷データA2の2ページ目で上書きし、第1の印刷データの4ページ目を第2の印刷データA2の4ページ目で上書きする。
オリジナルページから差替ページへの差替えが完了すると、次に印刷制御部33は、差替え後の第1の印刷データA1の印刷処理を印刷処理部6に実行させる。すなわち第2の印刷データA2を受信したときに第1の印刷データA1の印刷処理を一時停止している場合、この段階で第1の印刷データA1の印刷処理が再開される。つまり印刷制御部33は、差替え後の第1の印刷データA1のページ順序に従ってRIP処理を行い、印刷処理部6に対してそのRIP処理後の第1の印刷データA1を送信する。このとき印刷制御部33は、第1の印刷データA1において未出力のページのみについてRIP処理を行う。
図8の例では、1ページ目については既に印刷出力が行われているので、未出力状態である2〜5ページ目についてRIP処理を行い、ページ順序に従ってRIP処理後の2〜5ページ目を印刷処理部6に送信する。これにより印刷処理部6は、既に印刷出力された1ページ目の直後の2ページ目から差替え後の内容で印刷出力を行うことが可能になる。またRIP処理の途中で一時停止した場合、印刷制御部33は、一時停止したRIP処理がオリジナルページに対するものである場合には、そのオリジナルページに対するRIP処理を中止して差替ページに対するRIP処理を行い、一時停止したRIP処理がオリジナルページに対するものでない場合には、そのページに対するRIP処理を再開する。
また、第2の印刷データA2を受信する前であって1ページ目の印刷処理が行われている段階で、既に2ページ目以降のRIP処理が終了している場合がある。この場合、印刷制御部33は、既に終了しているオリジナルページに対応する差替ページのRIP処理のみを行い、そのRIP処理後の差替ページを、オリジナルページと差替えても良い。
このようにして、図8に示すように、第1の印刷データA1の2,4ページ目が自動で差替ページに差替えられて印刷出力が行われる。この場合、ユーザが手作業で差し替えるべきページが1枚も印刷出力されないので、ユーザにとって作業負担が大幅に軽減されると共に、差替対象となったオリジナルページの枚数分だけ用紙やトナーなどの資源を節約することができる。上記のようにして差替え後の全ての印刷出力が完了すると、印刷制御部33は、印刷データ記憶部19から第1の印刷データA1及び第2の印刷データA2を削除する。すなわち、この場合において印刷制御部33は、第2の印刷データA2において差替ページ以外のページの印刷出力を行わない。但し、第1の印刷データA1及び第2の印刷データA2の何れか一方又は両方に再印刷が予定されている場合には、印刷制御部33は、以下のように処理を行う。
例えば、本実施形態のように画像形成装置4に印刷データを記憶する印刷データ記憶部19が設けられている場合、その印刷データをある程度の期間保存しておき、ユーザによる操作パネル5への直接操作によって印刷データを印刷出力させることが可能である。このような出力形態は、一般的に「タッチアンドプリント」と呼ばれる。タッチアンドプリントを行うことで、複数のユーザで1つの印刷データを共有できると共に、各ユーザのそれぞれが任意のタイミングで印刷データの印刷出力を行なわせることが出来るので使い勝手が良いというメリットがある。一般的に、タッチアンドプリントを行う際、画像形成装置4は、記憶装置17に記憶されている印刷データのファイル名を一覧表示して、ユーザに印刷データを選択させる。但し、本実施形態のように、複数の同一ファイル名の印刷データが存在する場合、ユーザは、一覧表示されるファイル名のうち何れを選択すれば良いのかを判別することが困難になる場合がある。この場合、ユーザは、修正前の印刷データを誤って印刷出力してしまう可能性もある。
そこで、印刷制御部33は、以下のように処理しても良い。すなわち、印刷制御部33は、第1の印刷データA1と第2の印刷データA2の何れにも再印刷指示が含まれている場合、タッチアンドプリントを行うときにユーザがファイル名で迷わないように、第1の印刷データA1を印刷データ記憶部19から削除する。これにより同一である複数のファイル名が表示されてしまうことを防止することができると共に、ユーザが修正を行った後の印刷データを記憶しておくことができる。またこの場合、印刷制御部33は、第1の印刷データA1に対して第2の印刷データA2の差替ページを全て差替えた状態で第1の印刷データA1を上書き保存してから第2の印刷データA2を削除しても良い。これにより第1の印刷データA1をタッチアンドプリントにより再印刷する場合に、差替え後の内容で印刷出力することができる。これに対し、第1の印刷データA1と第2の印刷データA2のうち、何れか一方にのみ再印刷指示が含まれている場合、ユーザが意図的に何れか一方を選択していると考えられるので、その指示に従って、再印刷指示が含まれている一方を印刷データ記憶部19に残し、他方を印刷データ記憶部19から削除する。
ところで、上記においては、比較処理において第1の印刷データA1とA2とで差分が存在する場合を例示したが、第1の印刷データA1と第2の印刷データA2とで差分が存在しない場合もある。例えば、ユーザがドキュメントの修正を行うことなく、異なるタイミングで同一ファイルの印刷指示を2度行うような場合である。またユーザがドキュメントの修正を行うことなく、ファイルの更新操作だけを行った後に、再度印刷指示を行う場合もある。但し第2の印刷データA2を受信した段階では、同一ファイルの印刷指示を2度受信した要因が、ユーザが誤って第1の印刷データA1の送信指示を2度行ってしまったのか、又はユーザが第1の印刷データA1の2部目を意図して第2の印刷データA2の印刷指示を行ったのかを判断することができない。そこで、比較処理において差分となるページが存在しない場合、印刷制御部33は、第1の印刷データA1と同一ファイルであって差分の存在しない第2の印刷データA2の印刷出力を行うか否かを確認する確認画面を作成し、その確認画面を情報処理装置2に表示させても良い。そして印刷制御部33は、その確認画面に対するユーザの操作指示に基づき、第2の印刷データA2を印刷出力したり、その印刷出力をキャンセルしたりしても良い。
図9は、差替ページに対応する複数のオリジナルページのうち、一部が既に印刷出力されてしまった後に、管理部31が第2の印刷データA2を受信した場合の処理を模式的に時系列で示す図である。図例では、第1の印刷データA1においてオリジナルページである2ページ目の印刷出力が完了してから、もう1つのオリジナルページである4ページ目の印刷出力が開始する前に、第2の印刷データA2を受信した場合を例示している。
印刷制御部33は、まず第1の印刷データA1のオリジナルページのうち2ページ目が既に印刷出力され、4ページ目が未出力の状態であることを検知する。印刷制御部33は、既に印刷出力されてしまったオリジナルページである2ページ目については自動で差替えることができないので、未出力のオリジナルページである4ページのみを上記と同様にして差替ページに差替える。そして印刷制御部33は、差替え後の第1の印刷データA1の印刷出力を再開する。図例では印刷制御部33は、そのとき印刷データA1の3ページ目の印刷出力を実行中である場合には、差替え後の4ページ目と差替対象でない5ページ目とをページ順序に従って印刷処理部6に印刷処理を行わせる。そして印刷制御部33は、図例に示すように第1の印刷データA1の最終ページである5ページ目の印刷出力が完了した後、差替ページである2ページ目を印刷出力する。
このような構成によれば、未出力のオリジナルページである4ページ目については差替ページに自動で差替えられて印刷出力されるので、ユーザは、その4ページ目を手作業で差替える手間が省けると共に、オリジナルページの4ページ目が印刷出力されないので消費資源を節約することができる。またユーザは、差替ページとなる2ページ目についは、手作業で差替える必要があるが、差替対象となるページに対して個別に印刷指示を行う手間が省けるので、作業負担が軽減される。
図10は、第1の印刷データA1のオリジナルページが全て印刷出力されてしまった後であって、印刷出力が完了する前に第2の印刷データA2を受信した場合の処理を模式的に時系列で示す図である。この場合、印刷制御部33は、オリジナルページである2,4ページ目における印刷出力が既に行われ、未出力のオリジナルページが存在しないことを検知する。印刷制御部33は、既に印刷出力されてしまったオリジナルページの2,4ページ目については、自動で差替ページに差替えることができないので、差替ページのオリジナルページに対する差替えを行わない。この場合、印刷制御部33は、第1の印刷データA1の最終ページまで通常通り印刷処理を実行し、第1の印刷データA1の最終ページである5ページ目が印刷出力されてから、差替ページとなる2,4ページ目を印刷出力する。すなわちこの場合、ユーザは、その差替ページである2,4ページ目を手作業で差替えることになる。但し、このような構成によっても、ユーザは修正後の第2の印刷データA2を画像形成装置4に送信するだけで差替ページが自動で印刷出力されるので、差替ページを個別に印刷出力する場合に比べて作業負担が軽減される。
また上記のように、ユーザが手作業で差替えるべき差替ページを追加して印刷出力する場合、第1の印刷データA1の最終ページと、差替ページとをユーザが比較的簡易に区別できるように、印刷出力時の出力態様に関する印刷設定を自動で変更しても良い。例えば印刷制御部33は、既に印刷出力されたオリジナルページに対応する差替ページを印刷出力する場合、印刷設定を自動で変更して差替ページを段違いで出力したり、或いは、差替ページを第1の印刷データA1の最終ページとは異なる方向で出力したりしても良い。また印刷制御部33は、例えば白紙用紙やカラー用紙などの追加用紙を追加して出力する印刷設定を自動で行って、差替ページを印刷出力する直前に、その追加用紙を出力しても良い。またこのとき、印刷制御部33は、ユーザが差替ページのページ番号を比較的簡易に把握することができるように、その追加用紙に差替ページのページ番号一覧や差替えを案内するメッセージなどを付して印刷出力しても良い。更に、差替ページを印刷する用紙の裏面が空白であるような場合には、印刷制御部33は、その裏面に上記メッセージを付しても良い。
図11〜図15は、複数部の印刷データを印刷出力する場合における処理を模式的に時系列で示す図である。以下、各図を参照しつつ、複数部の印刷データを印刷出力する場合における処理について説明する。尚、以下においても、上記と同様に図6で示す第1の印刷データA1及び第2の印刷データA2を例に挙げて説明する。
図11は、印刷データをページ単位で10部ずつ順次印刷出力していく処理を示す図である。つまりこの場合、印刷制御部33は、1ページ目から10部ずつ印刷処理を行う。また図11は、第1の印刷データA1において全てのオリジナルページが未出力の状態で第2の印刷データA2を受信する場合を例示している。例えば、第1の印刷データA1の印刷出力が開始された後であって、第1の印刷データA1における2ページ目の1部目の印刷出力が開始される前に、第2の印刷データA2を受信したとする。この場合、上記と同様にして抽出部によって第1の印刷データA1と第2の印刷データA2との比較処理が行われ、第2の印刷データA2の2,4ページ目については差替ページであると判断され、第1の印刷データA1の2,4ページ目については、上記差替ページに対応するオリジナルページであると判断される。また印刷制御部33は、抽出されたオリジナルデータの全てが未出力の状態であると判断する。
印刷制御部33は、全てのオリジナルページが未出力であるので、それらオリジナルページを差替ページに差替えて、各ページを10部ずつ印刷出力する。このようにして図11に示すように、差替ページである2ページ目と4ページ目とが自動で差替えられて各ページが10部ずつ印刷出力される。この場合、全ての差替ページが自動で差替えられて印刷出力されるので、印刷出力が抑制されたオリジナルページの枚数分に相当する消費資源を節約することができると共に、ユーザは、手作業による差替え作業がなくなるので作業負担が大幅に軽減される。
図12は、第1の印刷データA1のオリジナルページが一部未出力である状態で第2の印刷データA2を受信する場合を示す図である。例えば管理部31は、第1の印刷データA1において4ページ目の5部目までの印刷出力が完了した後であって、6部目が開始される前に第2の印刷データA2を受信したとする。この場合、印刷制御部33は、抽出部32によって抽出されるオリジナルページのうち4ページ目の5部目〜10部目が未出力であると判断する。そして印刷制御部33は、未出力のオリジナルページである4ページ目の5部目〜10部目を差替ページに差替えて印刷出力する。
また印刷制御部33は、第1の印刷データA1の最終ページである5ページ目の10部目の印刷出力が完了すると、既に出力されたオリジナルページの未出力分に対応する部数の差替ページを印刷出力する。すなわち印刷制御部33は、第2の印刷データA2の2ページ目については、未出力分である10部全てを印刷出力し、4ページ目については、未出力分である残りの5部を印刷出力する。これにより4ページ目の5部目〜10部目については、差替ページに自動で差替えられて印刷出力されるので、その分用紙が節約される。またユーザは、差替ページである2ページ目の10部と、4ページ目の5部とを手作業で差替えることになるが、差替ページの全てを手作業で差替える場合に比べて作業負担が軽減される。
図13は、第1の印刷データA1のオリジナルページが全て印刷出力された後であって、第1の印刷データA1の印刷出力が完了する前に第2の印刷データA2を受信した場合を示す図である。例えば、第1の印刷データA1の4ページ目の10部目を印刷出力した後であって、5ページ目の10部目の印刷出力が完了する前に、第2の印刷データA2を受信したとする。この場合、印刷制御部33は、抽出部32によって抽出されるオリジナルページのうち未出力であるオリジナルページが存在しないと判断する。印刷制御部33は、未出力であるオリジナルページが存在しないので、オリジナルページに対応する差替ページの差替えを行わない。また印刷制御部33は、第1の印刷データA1の最終ページの10部目の印刷出力を完了した後に、差替ページを全て印刷出力する。すなわち図10の例では、印刷制御部33は、第2の印刷データA2の2,4ページ目を各10部ずつ印刷出力する。この場合、ユーザは、全ての差替ページを手作業で差替えることになるが、自動抽出された差替ページが印刷出力されるので、各差替ページに対して個別に印刷指示を行う手間を省くことができる。
図14は、第1の印刷データA1を部数単位で印刷出力した場合において、第1の印刷データA1のオリジナルページが全て未出力である状態で第2の印刷データA2を受信した場合を例示する図である。第1の印刷データA1を部数単位で印刷出力する場合とは、第1の印刷データA1の1ページ目〜5ページ目を1部ずつ印刷出力させた後、同様に2部目以降についても1ページ目〜5ページ目を1部ずつ順次印刷出力する印刷態様である。このような印刷態様は、一般的に、製本を行う場合において採用される。そこで、以下においては、印刷処理が実行される場合を説明すると共に、印刷処理の完了後に後処理が実行される場合について例示する。
例えば、第1の印刷データA1において1部目の1ページ目の印刷出力が完了した後であって、1部目の2ページ目の印刷出力が開始される前に第2の印刷データA2を受信したとする。印刷制御部33は、まず1部目においてオリジナルページが全て未出力であると判断する。そして印刷制御部33は、1部目におけるオリジナルページである2,4ページ目を差替ページである2,4ページ目に差替えて印刷出力を行う。同様にして印刷制御部33は、2部目以降においても2,4ページ目を差替ページに差替えて印刷出力を行う。これにより全ての差替ページが自動で差替えられて印刷出力されるので用紙を節約することができると共に、ユーザは、手作業による差替え作業がなくなるので作業負担が大幅に軽減される。
次に後処理制御部34は、印刷処理部6に対して、印刷出力された印刷物を部数毎に後処理部10に順次搬送させる。また後処理制御部34は、搬送された印刷物に対して製本指示に基づく製本処理を後処理部10に実行させる。すなわち後処理部10は、印刷物の所定位置にステープル留めを行ったり、印刷物に対してクルミ製本を行ったりする。そして後処理部10は、製本処理の完了した完成本を製本出力トレイ12に出力する。
図15は、第1の印刷データA1のオリジナルページが一部未出力である状態で第2の印刷データA2を受信する場合を示す図である。例えば第1の印刷データA1において5部目の3ページ目までの印刷出力が完了した後であって、5部目の4ページ目の印刷出力が開始される前に第2の印刷データA2を受信したとする。つまりこの場合、1部目〜4部目については、第1の印刷データA1が差替えられずに印刷出力されるので、修正前の内容で製本されることになる。一方、5部目においては、印刷出力の途中で第2の印刷データA2を受信したことにより未だ製本されていないので、自動差替え又はユーザによる手作業での差替えが可能である。そこで印刷制御部33は、5部目について以下のように処理を行う。
まず印刷制御部33は、5部目の3ページ目までの印刷出力が完了した後であって、5部目の4ページ目の印刷出力が開始される前に第2の印刷データA2を受信したことを検知すると、5部目の4ページ目以降のオリジナルデータが未出力であると判断する。そして、印刷制御部33は、5部目については、未出力のオリジナルページである4ページ目を差替ページに差替えて印刷出力を行う。また、印刷制御部33は、5部目において既に印刷出力されたオリジナルページである2ページ目については、5部目の最終ページである5ページ目の印刷出力が完了した後に印刷出力する。このような差替処理は、図9で示した差替処理と同様である。つまり部数単位で印刷出力が行われている最中に第2の印刷データA2を受信した場合、そのとき印刷実行中の1部については、第2の印刷データA2を受信したタイミングに応じて図8〜図10の何れかと同様の差替処理が行われることになる。
後処理制御部34は、上記5部目の2ページ目のように、差替ページに差替えられなかったオリジナルページが存在する場合には、そのオリジナルページに対して製本指示がなされている場合であってもそのオリジナルページに対して後処理を行わない。すなわちこの場合、仮に差替ページに差替えられなかったオリジナルページが含まれたまま製本処理が行われてしまうと、後に差替ページを差替えることが困難になってしまう。そこで後処理制御部34は、オリジナルページが含まれた状態で印刷出力された1部について製本指示がなされている場合には、後処理を行わずに製本出力トレイ12に出力する。これによりユーザは、差替ページに差替えられなかったオリジナルページが含まれる1部に対して手作業で差替ページに差替えすることができる。この場合ユーザは、手作業により差替えた印刷物をフィーダ部11にセットした後、操作パネル5に対して製本指示を行うことにより後処理部10に後処理を実行させることが可能である。
また画像形成装置4は、上記5部目のように印刷段階では製本対象となっているものの製本処理がキャンセルされた印刷物については、印刷出力を行うときに出力経路を切り替えても良い。例えば印刷制御部33は、差替ページに差替えられなかったオリジナルページが含まれた1部については、出力経路をそれまでの後処理部10から印刷出力トレイ8に切り替えて、印刷物をその印刷出力トレイ8に出力する。これにより後処理部10に印刷物が搬送されないので後処理が行われないことになる。また製本された完成本と、製本されない印刷物とが異なる場所に出力されるので、ユーザにとっても両者を区別し易くなる。
次に印刷制御部33は、第1の印刷データA1の6部目〜10部目については、オリジナルページを差替ページに差替えて印刷出力を行う。これにより後処理部10において、差替ページに差替えられた印刷物が製本されて製本出力トレイ12に出力される。
また、印刷段階において印刷制御部33は、6部目〜10目のように1部中に含まれる全てのオリジナルページが、そのオリジナルページに対応する差替ページに差替えられた場合、その差替え完了後の完成本と、例えば1部目〜4部目のように差替えが行われなかった完成本とをユーザが比較的簡易に区別し易いように以下のように処理しても良い。
例えば、印刷制御部33は、部数単位で印刷出力を行う場合において、1部中に含まれる全てのオリジナルページを差替ページに差替えると、印字処理が間に合うことを条件として、その1部中の1ページ目の例えば余白などに、出力結果に関する案内メッセージなどの情報を付して印刷出力する。例えば、その案内メッセージには、1〜4部目が未修正版であり6〜10部目が修正版である内容や、5部目についてはユーザの手作業により差替ページを差替えるべき内容などが含まれる。そして後処理制御部34は、その印刷物の後処理を後処理部10に実行させる。これにより出力結果に関する案内メッセージが1ページ目に付された完成本が出力されるので、ユーザは、修正版の完成本と、その他の完成本とを比較的簡易に区別することができるようになる。尚、出力結果に関する情報を付すべきページ数は任意であり、印字処理が間に合うことを条件として2ページ目以降にその情報を付しても構わない。
また、本実施形態のように複数の製本出力トレイ12a,12b(図1)を備えている場合、差替ページが差替えられた完成本については、差替ページが差替えられなかった完成本とは異なる製本出力トレイ12に出力しても良い。すなわち後処理制御部34は、差替ページに差替えられない1部目〜4部目については、通常の設定通り製本出力トレイ12aに出力する。そして後処理制御部34は、差替え完了後の6部目〜10部目については出力経路に関する設定を自動変更することで、出力経路を製本出力トレイ12bに切り替えて出力する。これによりユーザは、差替え完了後の完成本と、差替えられなかった完成本とを比較的簡易に区別できるようになる。
次に印刷制御部33は、10部目までの印刷処理が完了した後、差替ページが差替えられなかった1部目〜4部目に対応する差替ページの2,4ページ目を4部ずつ印刷出力する。ここで、1部目〜4部目については、既に製本された状態であるので、ユーザが差替ページを手作業で差替えることは困難である。従ってこの場合、ユーザは、1部目〜4部目については、完成本と、差替ページとを別々に管理することになる。但し、このような構成によっても、1部目〜4部目の全てについて差替ページを差替えて印刷出力し直す場合に比べて大幅に消費資源を節約することができる。また、この場合、印刷制御部33は、例えば用紙サイズを、予め設定されている用紙に対して所定回り小さいサイズを選択して、その用紙に対して差替ページの印刷を行う。これにより印刷出力される差替ページが1部目〜4部目の各完成本においてページ枠内に収まるように挟み込むことができるようになるので、ユーザは完成本と差替ページとを比較的管理しやすくなる。
図16は、制御部15において行われる全体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、この図16を参照しつつ制御部15における全体的な処理手順について詳しく説明する。また、図16に示す処理は、一定間隔で繰り返し実行される処理である。
制御部15は、印刷データを受信すると(ステップS1のYES)、その印刷データを印刷データ記憶部19に記憶させると共に、そのとき既に他の印刷データの印刷出力が実行中であるか否かを検知する。(ステップS2)。そして制御部15は、印刷データを受信したタイミングで例えば上記第1の印刷データA1が実行中である場合(ステップS2のYES)、差替処理を実行する(ステップS3)。またこのとき制御部15は、実行中の印刷処理を一時停止させても良い。一方、制御部15は、第1の印刷データA1が実行中でない場合(ステップS2のNO)、ステップS3をスキップする。次に制御部15は、第1の印刷データA1の印刷出力を実行する(ステップS4)。このとき第1の印刷データA1に製本指示が含まれている場合には(ステップS5のYES)、制御部15は、後処理部10に製本処理を実行させる(ステップS6)。一方、ステップ5において、第1の印刷データA1に製本指示が含まれてない場合(ステップS5のNO)、制御部15は、ステップS6〜S8をスキップする。
続いて制御部15は、1部中に手動差替対象となるページ、つまり図15に示したように、複数部の印刷処理を部数単位で行う場合において自動で差替えられなかったオリジナルページが1部中に存在するか否かを検知する(ステップS7)。そして制御部15は、1部中に手動差替対象となるページが存在する場合には(ステップS7のYES)、その1部について製本処理をキャンセルする(ステップS8)。一方、制御部15は、ステップ7において、1部中に手動差替対象となるページが存在しない場合(ステップS7のNO)、ステップS8をスキップする。制御部15は、印刷処理又は製本処理が完了するまで(ステップS9のNO)、ステップS4〜S9を繰り返して行い、印刷処理又は製本処理が完了すると(ステップS9のYES)、全体的な処理を終了する。また制御部15は、ステップS1において印刷データを受信しない場合(ステップS1のNO)、ステップS2〜S9をスキップし、この処理を終了する。
図17は、制御部15において実行される差替処理の処理手順の一例を示す図である。以下、図17を参照して差替処理の処理手順について詳しく説明する。
まず制御部15は、実行中の第1の印刷データA1と、新たに受信した印刷データとの同一性を判断する(ステップS21)。そして第1の印刷データA1と、新たに受信した印刷データが互いに比較対象となる場合には(ステップS22のYES)、制御部15は、印刷データ記憶部19から各印刷データを読み出す(ステップS23)。上記の例で言うと、制御部15は、第1の印刷データA1と第2の印刷データA2とを印刷データ記憶部19から読み出す。続いて制御部15は、各印刷データA1,A2を比較し(ステップS24)、第2の印刷データA2のうち差分を有するページが存在する場合(ステップS25のYES)、そのページを差替ページとして抽出する(ステップS26)。またこのとき制御部15は、第1の印刷データA1において差替ページに対応するオリジナルページを抽出する。
次に制御部15は、抽出したオリジナルページのうち未出力のオリジナルページが存在するか否かを判断し(ステップS27)、未出力のオリジナルページが存在する場合には(ステップS27のYES)、そのオリジナルページを差替ページに差替える(ステップS28)。一方、制御部15は、抽出したオリジナルページのうち未出力のオリジナルページが存在しない場合には(ステップS27のNO)、ステップS28をスキップする。続いて制御部15は、抽出したオリジナルページのうち出力済のオリジナルデータが存在するか否かを判断し(ステップS29)、出力済のオリジナルデータが存在する場合には(ステップS29のYES)、第1の印刷データA1の最終ページの印刷出力が完了した後に差替ページを追加出力することを決定する(ステップS30)。一方、制御部15は、抽出したオリジナルページのうち出力済のオリジナルデータが存在しない場合には(ステップS29のNO)、ステップS30をスキップする。このようにして差替処理は終了する。そして制御部15は、図16のステップS4において差替処理後の第1の印刷データA1の印刷出力を行う。また第2の印刷データA2を受信したときに第1の印刷データA1の印刷処理を一時停止している場合には、制御部15は、この段階で第1の印刷データA1の印刷処理を再開する。
制御部15は、ステップS22において第1の印刷データA1と、新たに受信した印刷データが互いに比較対象とならない場合(ステップS22のNO)、ステップS23〜S30をスキップする。この場合、第1の印刷データA1の印刷出力の完了後に、新たに受信した印刷データの印刷出力が行われることになる。また、制御部15は、ステップS25において各印刷データA1,A2を比較して差分が検出されない場合(ステップS25のNO)、ステップS26〜S30をスキップする。この場合、このフローチャートに従うと第2の印刷データA2の印刷出力が行われることになるが、これに限られない。すなわち、この場合の第2の印刷データA2は、上述したように第1の印刷データA1と同一内容であり、ユーザが誤って印刷指示を行った可能性がある。そこで制御部15は、ユーザに対して上述した確認画面を表示して、その確認画面に対する指示操作に基づき第2の印刷データA2の印刷処理を実行しても良い。以上のようにして差替処理は全て終了する。
以上のように、本実施形態では、複数ページからなる第1の印刷データA1に基づく印刷出力が開始された後、その印刷出力が完了するまでに第2の印刷データA2を受信した場合、第2の印刷データA2に含まれる複数ページのうちから差替対象となる差替ページを抽出する構成である。そして画像形成装置4は、抽出される差替ページに対応する第1の印刷データA1のオリジナルページが未出力であると判断される場合に、そのオリジナルページを差替ページに差替えて印刷出力する構成である。
このような構成によれば、第1の印刷データA1の印刷出力を実行中に第2の印刷データA2を受信した場合に、未だ印刷出力されていない第1の印刷データA1におけるオリジナルページを差替ページに差替えて印刷出力するので、ユーザは、全ての差替ページを手作業で差替える必要がなくなる。これによりユーザの作業負担が軽減される。また画像形成装置は、オリジナルページの印刷出力を抑制する分だけ印刷用紙やトナーなどの消費資源を節約することができる。
また、本実施形態では、抽出部32は、差替ページを抽出する際、第1の印刷データA1と第2の印刷データA2とをページ単位で比較し、第2の印刷データA2のうちから第1の印刷データA1とは異なるページを差替ページとして抽出する構成である。このような構成によれば、第2の印刷データA2のうち第1の印刷データA1に対して修正が施されたページだけを適切に抽出することができる。
また本実施形態では、画像形成装置4は、第1の印刷データA1の実行中に第2の印刷データA2を受信したときには、実行中である第1の印刷データA1に基づく印刷出力を一時停止させ、差替ページを差替えた後に、一時停止させた印刷出力を再開させる構成である。
このような構成によれば、第1の印刷データA1の印刷出力の実行中に第2の印刷データA2を受信した場合にその印刷出力の実行を一時停止させるので、第2の印刷データA2を受信した以降におけるオリジナルページの印刷出力を比較的早いタイミングで抑制することができる。これにより、例えば印刷出力を一時停止しない場合に比べて多く差替ページを差替えることができる。
また本実施形態では、画像形成装置4は、第1の印刷データA1の印刷出力を一時停止させた後、第2の印刷データA2と第1の印刷データA1とが互いに比較対象であるか否かを判断する事前処理を行う構成である。そして、事前処理において各印刷データA1,A2が互いに比較対象でないことが判明したときには、比較処理を行わずに、その一時停止させた印刷出力を再開させる構成である。このような構成によれば、比較処理を行わないので比較的早いタイミングで第1の印刷データA1の印刷出力を完了させることができると共に、関係のない印刷データ間で差替ページを抽出してしまうといった無駄な処理を防止することができる。
更に本実施形態では、第2の印刷データA2から抽出された差替ページのうち、既に印刷出力済みのオリジナルページに対応する差替ページを、第1の印刷データA1における最終ページの印刷出力が完了した後に追加出力させる構成である。このような構成によれば、既に印刷出力したオリジナルページに対応する差替ページ、つまり自動で差替えられなかった差替ページについても印刷出力されるので、ユーザは、ユーザ自身で差替ページを個別に印刷指示する手間が省ける。
また本実施形態では、画像形成装置4は、印刷出力済みのオリジナルページに対応する差替ページを印刷出力させる際、出力態様に関する設定を自動変更することで、第1の印刷データA1の最終ページに対して差替ページを異なる出力態様で出力したり、差替ページの直前に追加用紙を挿入して出力したりする構成である。このような構成によれば、ユーザに対して、第1の印刷データA1における印刷物と、ユーザ自身で差替えるべき差替ページとを比較的に簡易に区別させることができる。
更に本実施形態では、後処理制御部34は、印刷処理部6から出力される印刷物に、差替ページに対応するオリジナルページが含まれている場合には、その印刷物に対して後処理を行わない構成である。このような構成によれば、差替ページに対応するオリジナルページが含まれている印刷物の製本を行わないので、ユーザが手作業で差替えページを差替えることができる。
また本実施形態では、部数単位で印刷出力が行われる場合において、1部中において全てのオリジナルページが差替ページに差替えられた印刷物を印刷出力する場合、出力結果に関する情報を、その1ページ目に付加して印刷出力して後処理を行う構成である。このような構成によれば、ユーザは、修正版の完成本と、未修正版の完成本とを比較的簡易に区別することができる。
(変形例)
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば、上述した実施形態では、第1の印刷データA1に基づく印刷出力の実行中に、第2の印刷データA2を受信した場合、第2の印刷データA2に含まれるページと、第1の印刷データA1に含まれるページとをページ単位で比較して差分のあるページを差替ページとして抽出する場合を例示した。しかし、これに限られるものではない。例えば第2の印刷データA2を受信したとき、その第2の印刷データに含まれるページの全てを差替ページとして抽出するようにしても良い。この場合、画像形成装置4は、第1の印刷データA1に含まれるページのうち、未出力となっているページの全てを、その未出力ページに対応する第2の印刷データA2のページに差し替えて印刷出力する。更にこの場合、第1の印刷データのうち差し替えが必要なオリジナルページが既に出力済みであることもあるので、画像形成装置4は、既に出力済みのページ対してのみページ単位での比較処理を行って差分ページを検出し、その差分ページだけを後に印刷出力するようにしても良い。
また上述した実施形態では、第1の印刷データA1の実行中に第2の印刷データA2を受信した場合、自動的に差替ページを抽出する構成を例示した。但し、予め第2の印刷データA2に差替ページを抽出する差替指示を含めておくように構成しても良い。この場合、管理部31は、第2の印刷データA2を受信したとき、その第2の印刷データA2に差替指示が含まれている場合にのみ上述した事前処理を行う。これにより受信する全ての印刷データにおいて事前処理を行わずに済むので制御部15の処理負担が軽減される。また印刷制御部33は、第2の印刷データA2に差替指示が含まれている場合にのみ、第1の印刷データA1の印刷処理を一時停止させる。これにより第2の印刷データA2に差替指示が含まれていない場合には、第1の印刷データA1の印刷処理を一時停止しないので、印刷処理を一時停止する場合に比べて第1の印刷データA1の印刷出力が早く完了する。
更に上述した実施形態では、印刷データの送信元が情報処理装置2である場合を例示しがこれに限られない。例えば、画像形成装置4にUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの外部記憶装置を接続することが可能に構成されている場合において、そのUSBメモリから同一ファイルに基づく文書データや画像データなどを複数回入力した場合に、上述した比較処理を行っても良い。
また、上述した実施形態では、第1の印刷データA1と第2の印刷データA2とのページ数が同一である場合を例示した。但しこれに限らず、第1の印刷データA1に対して第2の印刷データA2のページ数が異なっても良い。また一般的に、第1の印刷データA1に対して第2の印刷データA2のページ数が異なる場合、第2の印刷データA2は第1の印刷データA1に対して大幅に修正が加えられている場合があるので、比較処理を行うと全ページが差替ページになる場合もある。そこで、管理部31は、比較処理を行う事前処理として第1の印刷データA1と第2の印刷データA2のページ数を比較し、各印刷データA1,A2が共に同一ページ数である場合に、両者が互いに比較対象となると判断して比較処理を行っても良い。この場合、ページ数が異なる場合には比較処理が行われないので、第1の印刷データA1と第2の印刷データA2とのそれぞれが印刷出力されることになるが、比較処理を行った後に全ページついて差替処理が行われる場合に比べて処理負担が軽減される。
更に、本実施形態では、印刷システム1は、情報処理装置2と画像形成装置4とから構成される場合を例示したがこれに限られない。例えば、印刷システム1に、印刷ジョブなどを管理する管理サーバなどが設けられてもよい。この場合、上述した制御部15や印刷データ記憶部19などは、その管理サーバに設けられても良い。このような構成によれば、一般的な印刷装置に特別な構成を加えることなく本発明を実現することができる。