JP2013080905A - 基板製造方法、配線基板の製造方法、ガラス基板および配線基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス基板上に密着力の弱い材料を直接積層することができる基板製造方法、配線基板の製造方法、ガラス基板および配線基板を提供する。
【解決手段】ケイ素酸化物を含むガラス基板2をいて形成されている基板を製造する基板製造方法であって、前記ガラスのケイ素酸化物を選択的にエッチングすることでアンカー部を形成するエッチング工程を備え、ケイ素酸化物を含むガラスを用いて形成されるガラス基板2において、前記ガラスのケイ素酸化物を選択的にエッチングすることで形成されたアンカー部を備える。
【選択図】図2
【解決手段】ケイ素酸化物を含むガラス基板2をいて形成されている基板を製造する基板製造方法であって、前記ガラスのケイ素酸化物を選択的にエッチングすることでアンカー部を形成するエッチング工程を備え、ケイ素酸化物を含むガラスを用いて形成されるガラス基板2において、前記ガラスのケイ素酸化物を選択的にエッチングすることで形成されたアンカー部を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、基板製造方法、配線基板の製造方法、ガラス基板および配線基板に関する。
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical System)等の電子部品が実装される配線基板に対しては、高い接続信頼性を確保しつつ電子部品等の高密度実装を可能にすることが求められている。これに応えるべく、配線基板については、樹脂基板ではなく、平滑性、硬質性、絶縁性、耐熱性等に優れたガラス基板をコア基板として用い、そのガラス基板の表裏面に連通する貫通孔の孔内に金属を充填することで、基板表裏面に形成された各電気配線を確実に導通させることを可能とし、これにより微細化や高密度化等に対応し得るようにすることが、本願発明者らによって提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなガラス基板からなる配線基板では、ガラス基板上に電気配線である配線パターンを形成するために様々な工夫を施している。
一般に、配線パターンは、低コストでありながら高い電気伝導性を示す銅で形成することが多い。しかしながら、ガラス基板に対する銅の密着力は、非常に弱いため、銅をガラス基板上に直接積層させることが困難である。そこで、ガラス基板と配線パターンを形成する銅膜層との間に、ガラス基板に対する配線パターンの密着力を強化する層である密着層を設けることになる。
例えば、特許文献1においては、この密着層をガラス基板上に順にクロム(Cr)層、クロムと銅の混合層、銅層を積層させた3層をスパッタ法により形成している。
例えば、特許文献1においては、この密着層をガラス基板上に順にクロム(Cr)層、クロムと銅の混合層、銅層を積層させた3層をスパッタ法により形成している。
ガラス基板上に形成する配線パターンの材料としては極めて好適な銅のような金属材料であっても、ガラス基板との密着力が弱いと、この密着力の弱さを補うために密着層を形成する必要がある。言い換えれば、最終的に必要となる配線パターンが形成された層をガラス基板上に直接積層させることができない。
このように、密着層が必要になると、製造工程の増加による生産効率の低下、さらには、生産効率の低下によるコスト増加、密着層形成に必要となる材料費によるコスト増加といった問題を招来してしまう。
このように、密着層が必要になると、製造工程の増加による生産効率の低下、さらには、生産効率の低下によるコスト増加、密着層形成に必要となる材料費によるコスト増加といった問題を招来してしまう。
そこで、本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、ガラス基板上に密着力の弱い材料を直接積層することができる基板製造方法、配線基板の製造方法、ガラス基板および配線基板を提供するものである。
本明細書で開示する1つの発明は、基板の製造方法である。本基板製造方法は、ケイ素酸化物を含むガラスを用いて形成される基板を製造する基板製造方法である。
本基板製造方法の特徴は、前記ガラスのケイ素酸化物を選択的にエッチングすることでアンカー部を形成するエッチング工程を備えることである。
本基板製造方法の特徴は、前記ガラスのケイ素酸化物を選択的にエッチングすることでアンカー部を形成するエッチング工程を備えることである。
ここで言う「ケイ素酸化物」とは、組成式「SixOy」で表される物質を示しており、たとえば、二酸化ケイ素(SiO2)が例示される。SixOyは、二酸化ケイ素の結晶質物質のみに限定されず、SixOyのアモルファス構造である石英ガラスも含まれる。また、ケイ素酸化物を主体とする構造のSiサイトの一部に、Alや他の元素が置換している場合も、ここで言う「ケイ素酸化物」に含まれる。
本基板製造方法において、前記ガラスが結晶化ガラスであると好ましい。結晶化ガラスの場合、結晶質部分とアモルファス部分で分子構造が異なる。また、結晶質成分も単一の結晶体が分散しているのではなく、複数種類の結晶体が分散している場合がある。つまり、結晶化ガラスは、異なる構造(結晶構造又はアモルファス構造)を有する複数のクラスターがランダムに分散していると考えられる。
本基板製造方法によれば、ガラス基板のケイ素酸化物部分を選択的にエッチングすることができ、複雑なアンカー部を形成することができる。このアンカー部に金属を充填することで、密着層を形成することなく、ガラス基板上に金属を直接積層することができる。
本基板製造方法において、前記エッチング工程では、酸性フッ化アンモニウムと強酸アンモニウム塩との混合液をエッチング液として用いると好ましい。
酸性フッ化アンモニウムに加え強酸アンモニウム塩を加えたエッチング液を使用すると、ケイ素酸化物に対するエッチング選択性が向上するため好ましい。
強酸アンモニウム塩として、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、及び、ハロゲン化アンモニウムが挙げられる。中でも硫酸アンモニウムが好ましい。
強酸アンモニウム塩として、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、及び、ハロゲン化アンモニウムが挙げられる。中でも硫酸アンモニウムが好ましい。
本基板製造方法は、前記アンカー部の凹凸に金属を充填し、充填した金属に連なる金属層を形成する金属層形成工程を備えると好ましい。本基板製造方法によれば、アンカー部の凹凸に充填された金属と金属層とが連続的に形成されるため、密着層を形成することなく、ガラス基板上に金属層を密着させることができ、しかも低コストでガラス基板を製造することができる。
本基板製造方法は、前記金属層が、銅からなると好ましい。
本明細書で開示する他の発明は、配線基板の製造方法である。本配線基板の製造方法は、前述までに説明したいずれかの基板製造方法で製造されたガラス基板の金属層に配線パターンを形成する。
本明細書で開示する他の発明は、ケイ素酸化物を含むガラスを用いて形成されるガラス基板である。本発明のガラス基板は、前記ガラスのケイ素酸化物を選択的にエッチングすることで形成されたアンカー部を備えることを特徴とする。また、前記ガラスは結晶化ガラスであることが好ましい。
本発明のガラス基板は、前記アンカー部の凹凸に金属を充填し、充填した金属に連なる金属層が形成されていると好ましい。
本発明のガラス基板は、さらに、前記金属層が銅からなると好ましい。
本発明で開示する他の発明は、前記ガラス基板の金属層に配線パターンが形成されている配線基板である。
本発明によれば、ガラス基板上に密着力の弱い材料を直接積層することを可能とする。
本明細書に記載するいくつかの実施形態の特徴を最初に整理する。
(特徴1)ガラス基板の素材である結晶化ガラスは、感光性ガラスである。
(特徴2)エッチング液は、酸性フッ化アンモニウムと硫酸アンモニウムの混合溶液を使用する。酸性フッ化アンモニウムと硫酸アンモニウムの比率は、1:1〜1:5程度、特に1:3が好ましい。
(特徴3)エッチングのターゲットは、ケイ素酸化物であり、特には、ケイ素酸化物のアモルファス成分である。
(特徴1)ガラス基板の素材である結晶化ガラスは、感光性ガラスである。
(特徴2)エッチング液は、酸性フッ化アンモニウムと硫酸アンモニウムの混合溶液を使用する。酸性フッ化アンモニウムと硫酸アンモニウムの比率は、1:1〜1:5程度、特に1:3が好ましい。
(特徴3)エッチングのターゲットは、ケイ素酸化物であり、特には、ケイ素酸化物のアモルファス成分である。
以下、本実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態においては、次の順序で説明を行う。
1.配線基板の概略構成
2.配線基板の製造方法の手順
2−1.ガラス基板改質工程
2−2.エッチング工程(表面粗化工程)
2−3.配線パターン形成工程
3.本実施形態の効果
4.変形例等
本実施形態においては、次の順序で説明を行う。
1.配線基板の概略構成
2.配線基板の製造方法の手順
2−1.ガラス基板改質工程
2−2.エッチング工程(表面粗化工程)
2−3.配線パターン形成工程
3.本実施形態の効果
4.変形例等
<1.配線基板の概略構成>
図1は、本実施形態に係る配線基板の構成例を示す断面図である。
図例の配線基板1は、そのコア基板としてガラス基板2を用いて構成されている。ガラス基板2の上面には、配線経路に応じたパターン形状の配線パターン3が形成されている。このことから、配線基板1は、片面配線基板を構成している。なお、以下の説明では、図1において、ガラス基板2の上面を第1面とし、ガラス基板2の下面を第2面とする。つまり、ガラス基板2の第1面と第2面は、互いに表裏の関係になっている。
図1は、本実施形態に係る配線基板の構成例を示す断面図である。
図例の配線基板1は、そのコア基板としてガラス基板2を用いて構成されている。ガラス基板2の上面には、配線経路に応じたパターン形状の配線パターン3が形成されている。このことから、配線基板1は、片面配線基板を構成している。なお、以下の説明では、図1において、ガラス基板2の上面を第1面とし、ガラス基板2の下面を第2面とする。つまり、ガラス基板2の第1面と第2面は、互いに表裏の関係になっている。
ガラス基板2は、感光性ガラス基板を用いて構成されている。ガラス基板2に用いられる感光性ガラス基板は、その平滑性、硬質性、絶縁性、加工性等の面で、配線基板1のコア基板として優れている。このような性質は、感光性ガラスのほかに、ソーダライムガラス等の化学強化ガラス、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス等でも同様であり、これらのガラスも配線基板1のコア基板に用いることが可能である。
配線パターン3は、ガラス基板2の第1面に直接積層した状態で形成されている。ガラス基板2の第1面は、配線パターン3を積層する前段において、表面をエッチングすることにより粗化されている。これにより、ガラス基板2の第1面と配線パターン3との密着力が強化される。そのため、密着力の弱いガラス基板2の第1面に配線パターン3を直接積層することができる。ガラス基板2の第1面に施す粗化処理については、後で詳細に説明をする。
<2.配線基板の製造方法の手順>
次に、配線基板の製造方法について説明する。
配線基板の一連の製造工程のなかには、ガラス基板改質工程、エッチング工程(表面粗化工程)、および、配線パターン形成工程が含まれる。このうち、配線パターン形成工程を除く一連の工程は、本実施形態の基板製造方法に含まれる工程となる。
次に、配線基板の製造方法について説明する。
配線基板の一連の製造工程のなかには、ガラス基板改質工程、エッチング工程(表面粗化工程)、および、配線パターン形成工程が含まれる。このうち、配線パターン形成工程を除く一連の工程は、本実施形態の基板製造方法に含まれる工程となる。
まず、本実施形態で使用するガラス基板2について説明をする。ガラス基板2を構成するガラス基材には、感光性の物質をガラス中に分散させた感光性ガラスを用いる。ガラス基板2は、感光性を示すものであれば特に制限はない。具体的には、ガラス基板2には、感光性成分として金(Au)、銀(Ag)、亜酸化銅(Cu2O)または酸化セリウム(CeO2)のうち少なくとも1種を含んでいることが好ましく、2種以上含んでいることがより好ましい。このようなガラス基板2としては、例えば質量%で、SiO2:55%〜85%,酸化アルミニウム(Al2O3):2%〜20%,酸化リチウム(Li2O):5%〜15%,SiO2+Al2O3+Li2O>85%を基本成分とし、Au:0.001%〜0.05%,Ag:0.001%〜0.5%,Cu2O:0.001%〜1%を感光性金属成分とし、更にCeO2:0.001%〜0.2%を光増感剤として含有するものを用いることができる。
(2−1.ガラス基板改質工程)
まず、始めに、感光性ガラスであるガラス基板2に対してガラス基板改質工程を実行する。
通常、感光性のガラス基板2には、リチウムイオン(Li+)、カリウムイオン(K+)等のアルカリ金属イオンが含まれている。これらのアルカリ金属イオンが配線基板1の配線金属に漏洩し、これに水が吸着すると、電圧が印加されている回路間において配線金属がイオン化し、これが再度電荷を受けて還元され析出するイオンマイグレーションが発生する。このイオンマイグレーションにより、最悪の場合には、析出した金属によって一方の回路から他方の回路に向かう配線が形成され、回路間が短絡してしまうおそれがある。このような短絡不良は、配線間隔が小さい場合に顕著となる。このため、微細な配線を高密度に形成するためにはイオンマイグレーションを抑止する必要がある。
まず、始めに、感光性ガラスであるガラス基板2に対してガラス基板改質工程を実行する。
通常、感光性のガラス基板2には、リチウムイオン(Li+)、カリウムイオン(K+)等のアルカリ金属イオンが含まれている。これらのアルカリ金属イオンが配線基板1の配線金属に漏洩し、これに水が吸着すると、電圧が印加されている回路間において配線金属がイオン化し、これが再度電荷を受けて還元され析出するイオンマイグレーションが発生する。このイオンマイグレーションにより、最悪の場合には、析出した金属によって一方の回路から他方の回路に向かう配線が形成され、回路間が短絡してしまうおそれがある。このような短絡不良は、配線間隔が小さい場合に顕著となる。このため、微細な配線を高密度に形成するためにはイオンマイグレーションを抑止する必要がある。
ガラス基板改質工程では、ガラス基板2全体に、例えば紫外線を約700mJ/cm2で照射し、その後、約850℃の温度で約2時間の熱処理を行うことにより、ガラス基板2を結晶化する。このように感光性のガラス基板2全体を結晶化することにより、結晶化前にくらべて、ガラス基板2に含まれるアルカリ金属イオンが移動しにくくなる。このため、イオンマイグレーションを効果的に抑止することができる。
(2−2.エッチング工程(表面粗化工程))
ガラス基板改質工程でガラス基板2を結晶化させて結晶化ガラスとした後は、エッチング工程(表面粗化工程)を行う。
ガラス基板改質工程でガラス基板2を結晶化させて結晶化ガラスとした後は、エッチング工程(表面粗化工程)を行う。
エッチング工程は、少なくともガラス基板2に対して、その表面である第1面または第2面の粗化を行う工程である。表面の粗化とは、当該表面を粗い面状態に変化させること、より具体的にはSEM(電子顕微鏡)観察で識別できる差異が生じる程度以上の面粗さの変化を伴う面処理を行うことをいう。表面粗化工程では、少なくともガラス基板2の第1面または第2面に対して粗化を行えばよいことから、当該第1面または第2面の他にガラス基板2の側端面等を粗化対象面として含んでいてもよい。なお、以下においては、ガラス基板2の第1面を粗化するものとして説明する。
表面の粗化は、以下のような手法で行う。本実施形態においては、結晶化された後のガラス基板2に対して、酸性フッ化アンモニウム(NH4F・HF)と硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)とが所定の比率で混合されてなるエッチング液によるエッチングを行う。このようなエッチング処理を行うと、ガラス基板2を構成する各種材料のうち、上記のエッチング液に溶け易いケイ素酸化物が優先して選択的に溶解除去される。具体的には、酸性フッ化アンモニウムと硫酸アンモニウムの比率は、1:1〜1:5程度、特に1:3が好ましい。その結果、エッチング処理された表面には、微細なエッチング痕が多数形成されることになる。このエッチング痕の形成によって、ガラス基板2の表面が粗化される。
ガラス基板改質工程により結晶化されたガラス基板2は、ケイ素酸化物とリチウムダイシリケート(LiO・2SiO2)によって構成されている。つまり、結晶化したガラス基板2は、クラスター状のケイ素酸化物を含んでいる。
このようなケイ素酸化物の構造としては、アモルファスである石英ガラス(シリカガラス)、結晶質である石英、トリジマイト及びクリストバライトが考えられる。
このようなケイ素酸化物の構造としては、アモルファスである石英ガラス(シリカガラス)、結晶質である石英、トリジマイト及びクリストバライトが考えられる。
図2(A)に示す結晶化されたガラス基板2の第1面を上記のエッチング液によりエッチングすると、図2(B)に示すように粗化され、凹凸が形成される。このようにして粗化された表面は、粗化をしない場合と比較して粗化によって形成されたエッチング痕の底部まで金属材料が入り込むことでアンカー効果が発揮されるので、粗化をしない場合に比べると、粗化された表面に対する金属材料の密着強度が向上することになる。
このエッチング工程による粗化は、ガラス基板2の表面、ここでは第1面を単に粗くするだけではない。上述したエッチング液は、ケイ素酸化物、特にケイ素酸化物のアモルファス成分(たとえば、石英ガラス等)をターゲットとして溶解除去していくため、図2(B)の領域A,B,Cに示すように、表面から深く入り込むようなエッチング痕を形成するようにエッチングがなされる。このような、領域A,B,Cでは、アンカー効果が極めて顕著となり金属材料との密着強度をさらに向上させることになる。
このように、エッチング工程により表面を粗化された箇所は、アンカー効果が極めて高
くなり、そのままでは密着力の弱かった、例えば、銅などの金属材料との密着強度を向上
させることができる。なお、図2(B)に示すガラス基板2の第1面のように、エッチン
グ工程により粗化され、凹凸が形成された表面は、アンカー効果を示すことから、以下の説明においてアンカー部と呼ぶ。
このように、エッチング工程により表面を粗化された箇所は、アンカー効果が極めて高
くなり、そのままでは密着力の弱かった、例えば、銅などの金属材料との密着強度を向上
させることができる。なお、図2(B)に示すガラス基板2の第1面のように、エッチン
グ工程により粗化され、凹凸が形成された表面は、アンカー効果を示すことから、以下の説明においてアンカー部と呼ぶ。
(2−3.配線パターン形成工程)
(配線層形成工程)
配線層形成工程では、図2(C)に示すように、ガラス基板2のアンカー部を形成した第1面に対して直接、配線層3aを形成する。配線層3aの形成は、電解メッキによって行う。
このとき、まずアンカー部に対して金属材料を充填させる。そして、アンカー部に充填した金属材料に連なるよう積層させることで配線層3aを構成する金属層を形成する。
このように、アンカー部に充填させる金属、充填した金属に連なる金属層を構成する金属材料としては、低コストでありながら高い電気伝導性を示す銅が好適である。上述したように銅は、ガラス基板2との密着力が弱いがアンカー部の形成により密着強度が向上していることからガラス基板2へ直接積層させることができる。ガラス基板2には、アンカー部が形成されているため銅以外で、ガラス基板2との密着力の弱い金属材料であっても配線パターンとなりうる金属材料であればどのようなものでも用いることができる。
(配線層形成工程)
配線層形成工程では、図2(C)に示すように、ガラス基板2のアンカー部を形成した第1面に対して直接、配線層3aを形成する。配線層3aの形成は、電解メッキによって行う。
このとき、まずアンカー部に対して金属材料を充填させる。そして、アンカー部に充填した金属材料に連なるよう積層させることで配線層3aを構成する金属層を形成する。
このように、アンカー部に充填させる金属、充填した金属に連なる金属層を構成する金属材料としては、低コストでありながら高い電気伝導性を示す銅が好適である。上述したように銅は、ガラス基板2との密着力が弱いがアンカー部の形成により密着強度が向上していることからガラス基板2へ直接積層させることができる。ガラス基板2には、アンカー部が形成されているため銅以外で、ガラス基板2との密着力の弱い金属材料であっても配線パターンとなりうる金属材料であればどのようなものでも用いることができる。
配線層3aを構成する金属層は、後述するエッチングによって配線パターン3を形成するときに生じるサイドエッチング量を考慮すると、極力薄く形成することが望ましい。しかし、配線層3aが薄すぎると、使用環境によってガラス基板2の温度変化が繰り返された場合に、配線層3aの熱膨張係数とガラス基板2の熱膨張係数との差によって、配線パターンに金属疲労が生じるおそれがある。このため、金属疲労に対する配線パターンの接続の信頼性を確保するために、配線層3aは適度な厚みにしておく必要がある。具体的には、配線層3aの厚みを1μm〜20μm程度とすることが望ましく、さらには4μm〜7μm程度とすることがより好ましい。配線層3aの厚さが1μmを下回る場合には、上記金属疲労によって配線の断線が生じる危険性が高くなる。また、配線層3aの厚さが20μmを上回る場合には、配線パターンの微細化の要求に応えることが難しくなる。
(パターニング工程)
パターニング工程では、図2(D)に示すように、ガラス基板2に形成した配線層3aをフォトリソグラフィ法とエッチングによってパターニングすることにより、配線パターン3を形成する。具体的には、ガラス基板2の配線層3aを図示しないレジスト層で覆った後、このレジスト層を露光・現像することにより、レジストパターンを形成する。これにより、ガラス基板2の配線層3aの一部(配線パターンとして残す部分)がレジストパターンで覆われた状態となる。次に、レジストパターンをマスクとして、配線層3aの露出部分をエッチングによって除去する。これにより、レジストパターンと同じパターン形状をもつ配線パターン3が得られる。ここで用いるレジストは、液状レジストでもドライフィルムレジストでも電着レジストでもよい。また、レジストタイプとしては、ポジ型およびネガ型のいずれであってもかまわない。一般的には、ネガ型レジストにくらべてポジ型レジストのほうが、解像性が高い。このため、微細な配線パターンを形成するうえでは、ポジ型レジストのほうが適している。
パターニング工程では、図2(D)に示すように、ガラス基板2に形成した配線層3aをフォトリソグラフィ法とエッチングによってパターニングすることにより、配線パターン3を形成する。具体的には、ガラス基板2の配線層3aを図示しないレジスト層で覆った後、このレジスト層を露光・現像することにより、レジストパターンを形成する。これにより、ガラス基板2の配線層3aの一部(配線パターンとして残す部分)がレジストパターンで覆われた状態となる。次に、レジストパターンをマスクとして、配線層3aの露出部分をエッチングによって除去する。これにより、レジストパターンと同じパターン形状をもつ配線パターン3が得られる。ここで用いるレジストは、液状レジストでもドライフィルムレジストでも電着レジストでもよい。また、レジストタイプとしては、ポジ型およびネガ型のいずれであってもかまわない。一般的には、ネガ型レジストにくらべてポジ型レジストのほうが、解像性が高い。このため、微細な配線パターンを形成するうえでは、ポジ型レジストのほうが適している。
<3.本実施形態の効果>
本実施形態で説明した基板製造方法、配線基板の製造方法、ガラス基板および配線基板によれば、以下のような効果が得られる。
(第1の効果)
本実施形態によれば、結晶化したガラス基板2のケイ素酸化物を選択的にエッチングすることでアンカー部を形成する。したがって、ガラス基板2との密着力が弱く、本来なら密着層を必要としていた、例えば、銅などの金属材料を直接積層させることができるガラス基板2を製造することができる。
(第2の効果)
本実施形態によれば、酸性フッ化アンモニウムと強酸アンモニウム塩とが所定の比率で混合されてなるエッチング液によりエッチングを行うため、結晶化したガラス基板2のケイ素酸化物、特に石英ガラスをターゲットとして粗化していく。これにより、ガラス基板2の表面を単に粗くするといったような粗化とは異なり、表面から深くかつ入り組んだエッチング痕を形成するため、密着強度の非常に高いアンカー部を形成することができる。特に、強酸アンモニウム塩として、硫酸アンモニウムを選択することで上記の効果をより高めることができる。
(第3の効果)
本実施形態によれば、アンカー部の凹凸に充填された金属材料に連なるように金属層が形成されることから極めて強固なアンカー効果を発揮することができるとともに、密着層を必要としないことから低コストで基板を製造することができる。
(第4の効果)
本実施形態によれば、配線層3aを構成する金属層として銅を用いることで、高い電気伝導性と低コスト化を実現できる基板を製造することができる。
(第5の効果)
本実施形態によれば、上述した一連の工程からなる基板製造方法を利用して配線基板の製造方法が構成されている。したがって、その製造方法によって得られる配線基板1は、密着層を必要とすることなく、配線パターン3を銅にて形成することができる。したがって、極めて低コストで配線基板1を製造することができる。
(第6の効果)
本実施形態によれば、結晶化したガラス基板2は、ケイ素酸化物を選択的にエッチングすることで形成されたアンカー部を備えている。したがって、ガラス基板2との密着力が弱く、本来なら密着層を必要としていた、例えば、銅などの金属材料を直接積層させることができる。
(第7の効果)
本実施形態によれば、結晶化したガラス基板2は、アンカー部に充填された金属材料に連なるように形成された金属層を備えていることから極めて強固なアンカー効果を発揮することができるとともに密着層を必要としないことから、低コスト化を実現することができる。
(第8の効果)
本実施形態によれば、結晶化したガラス基板2は、配線層3aを構成する金属層として銅が用いられることで、高い電気伝導性と低コスト化を実現することができる。
(第9の効果)
本実施形態によれば、配線基板1は、密着層を必要とすることなく、配線パターン3が銅にて形成されている。したがって、極めて低コストで配線基板1を製造することができる。
本実施形態で説明した基板製造方法、配線基板の製造方法、ガラス基板および配線基板によれば、以下のような効果が得られる。
(第1の効果)
本実施形態によれば、結晶化したガラス基板2のケイ素酸化物を選択的にエッチングすることでアンカー部を形成する。したがって、ガラス基板2との密着力が弱く、本来なら密着層を必要としていた、例えば、銅などの金属材料を直接積層させることができるガラス基板2を製造することができる。
(第2の効果)
本実施形態によれば、酸性フッ化アンモニウムと強酸アンモニウム塩とが所定の比率で混合されてなるエッチング液によりエッチングを行うため、結晶化したガラス基板2のケイ素酸化物、特に石英ガラスをターゲットとして粗化していく。これにより、ガラス基板2の表面を単に粗くするといったような粗化とは異なり、表面から深くかつ入り組んだエッチング痕を形成するため、密着強度の非常に高いアンカー部を形成することができる。特に、強酸アンモニウム塩として、硫酸アンモニウムを選択することで上記の効果をより高めることができる。
(第3の効果)
本実施形態によれば、アンカー部の凹凸に充填された金属材料に連なるように金属層が形成されることから極めて強固なアンカー効果を発揮することができるとともに、密着層を必要としないことから低コストで基板を製造することができる。
(第4の効果)
本実施形態によれば、配線層3aを構成する金属層として銅を用いることで、高い電気伝導性と低コスト化を実現できる基板を製造することができる。
(第5の効果)
本実施形態によれば、上述した一連の工程からなる基板製造方法を利用して配線基板の製造方法が構成されている。したがって、その製造方法によって得られる配線基板1は、密着層を必要とすることなく、配線パターン3を銅にて形成することができる。したがって、極めて低コストで配線基板1を製造することができる。
(第6の効果)
本実施形態によれば、結晶化したガラス基板2は、ケイ素酸化物を選択的にエッチングすることで形成されたアンカー部を備えている。したがって、ガラス基板2との密着力が弱く、本来なら密着層を必要としていた、例えば、銅などの金属材料を直接積層させることができる。
(第7の効果)
本実施形態によれば、結晶化したガラス基板2は、アンカー部に充填された金属材料に連なるように形成された金属層を備えていることから極めて強固なアンカー効果を発揮することができるとともに密着層を必要としないことから、低コスト化を実現することができる。
(第8の効果)
本実施形態によれば、結晶化したガラス基板2は、配線層3aを構成する金属層として銅が用いられることで、高い電気伝導性と低コスト化を実現することができる。
(第9の効果)
本実施形態によれば、配線基板1は、密着層を必要とすることなく、配線パターン3が銅にて形成されている。したがって、極めて低コストで配線基板1を製造することができる。
<4.変形例等>
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
例えば、本実施形態においては、配線基板の製造方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、配線基板以外の用途で利用される基板製造方法として実施することも可能である。また、本実施形態には、ガラス基板、配線基板も含まれる。
また、本実施形態においては、ガラス基板2として、感光性を有するガラス基板を用いたが、感光性を有していない他のガラス基板を用いてもよい。さらにまた、本実施形態においては、片面配線基板を一例として挙げ説明をしたが、本発明は、これに限定されるものではなく、もちろん両面配線基板に適用することもできる。
1 配線基板
2 ガラス基板
3 配線パターン
3a 配線層
2 ガラス基板
3 配線パターン
3a 配線層
Claims (11)
- ケイ素酸化物を含むガラスを用いて形成されている基板を製造する基板製造方法であって、
前記ガラスのケイ素酸化物を選択的にエッチングすることでアンカー部を形成するエッチング工程を備えること
を特徴とする基板製造方法。 - 前記ガラスは、結晶化ガラスであること
を特徴とする請求項1に記載の基板製造方法。 - 前記エッチング工程では、酸性フッ化アンモニウムと強酸アンモニウム塩との混合液をエッチング液として用いること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板製造方法。 - 前記アンカー部の凹凸に金属を充填し、充填した金属に連なる金属層を形成する金属層形成工程を備えること
を特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の基板製造方法。 - 前記金属層は、銅からなること
を特徴とする請求項4記載の基板製造方法。 - 請求項4又は請求項5記載の基板製造方法で製造された基板の金属層に配線パターンを形成すること
を特徴とする配線基板の製造方法。 - ケイ素酸化物を含むガラスを用いて形成されるガラス基板において、
前記ガラスのケイ素酸化物を選択的にエッチングすることで形成されたアンカー部を備えること
を特徴とするガラス基板。 - 前記ガラスが結晶化ガラスであること
を特徴とする請求項7に記載のガラス基板。 - 前記アンカー部の凹凸に金属を充填し、充填した金属に連なる金属層が形成されていること
を特徴とする請求項7又は請求項8に記載のガラス基板。 - 前記金属層は、銅からなること
を特徴とする請求項9記載のガラス基板。 - 請求項9又は請求項10記載のガラス基板の金属層に配線パターンが形成されていること
を特徴とする配線基板。
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