JP2013076071A - 改質対象物の改質方法、コークス及び焼結鉱の製造方法並びに高炉の操業方法 - Google Patents

改質対象物の改質方法、コークス及び焼結鉱の製造方法並びに高炉の操業方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コークス強度の向上効果に優れた改質物、燃焼性能に優れた改質物を製造する。
【解決手段】褐炭、亜瀝青炭、一般炭またはバイオマスからなる改質対象物とタールの蒸留において留出するタール酸を10%以上含む油からなる溶剤を混合し、前記改質対象物と前記溶剤の混合物を加圧加熱して、前記改質対象物の不溶解成分と、前記改質対象物の可溶成分が前記溶剤に溶解した第1の液相成分とを生成し、これらの前記不溶解成分と前記第1の液相成分とを分離することを特徴とする改質対象物の改質方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、製鉄プロセスにおけるコークス製造用原料、焼結鉱製造用固体燃料、高炉羽口吹込み用還元材として使用される原料の改質技術に関する。
従来、コークス用の原料としては、瀝青炭などの高品位の粘結炭が主として使用されているが、粘結炭は高価であり、産出量も限られている。そのため、粘結炭に比べて粘結性の低い非微粘結炭などの低品位の低品位炭を改質して粘結炭に配合し混合することにより、コークスの原料として使用することが行われている。
例えば、特許文献1には、低品位炭と溶剤とを混合して低品位炭の溶剤への可溶成分を抽出し、当該抽出した抽出液に抽出残分を混合し、その混合物から溶剤を除去することにより、軟化溶融性等の性質の局在化が抑えられた均質な改質低品位炭を製造する製造方法が開示されている。
一般的に鉄鉱石の焼結工程では、鉄鉱石などに固体燃料としての粉コークスを混合して、この混合物を焼結することにより焼結鉱を製造している。また、高炉の操業においては、高炉の羽口から熱風とともに還元材としての微粉炭を吹き込むことにより高炉の操業性を向上させている。従来の低品位炭改質方法により得られた改質炭は、主としてコークス製造用原料として使用されており、焼結鉱製造用固体燃料および高炉羽口吹込み用還元材としての利用は検討されていない。
特開2007−161955号公報
コークスの原料となる配合炭中の非微粘結炭などの低品位炭の配合比を増加し、粘結炭などの高品位炭の配合比を更に減じるためには、安価な低品位炭からコークス強度の向上効果が高い改質炭を製造する必要がある。
また、焼結鉱の生産率をさらに向上させるためには、従来の固体燃料である粉コークスよりも燃焼性能の高い燃焼材固体燃料を使用する必要がある。また、高炉の操業性及び生産率をさらに高めるためには、従来の微粉炭よりも燃焼性能の高い還元材を用いる必要がある。
そこで、本発明は、コークス強度の向上効果に優れた改質物を得ることを第1の目的とする。また、本発明は、燃焼性能に優れた改質物を得ることを第2の目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)褐炭、亜瀝青炭、一般炭またはバイオマスからなる改質対象物とタールの蒸留において留出するタール酸を10質量%以上含む油からなる溶剤を混合し、前記改質対象物と前記溶剤の混合物を加圧加熱して、前記改質対象物の不溶解成分と、前記改質対象物の可溶成分が前記溶剤に溶解した第1の液相成分とを生成し、これらの前記不溶解成分と前記第1の液相成分とを分離することを特徴とする改質対象物の改質方法。(1)の構成によれば上記第1の目的を達成することができる。
(2)上記(1)の構成において、さらに、前記第1の液相成分を冷却することにより、第1の固相成分と、前記溶剤に溶解した第2の液相成分と、を生成し、分離し、さらに、該第2の液相成分から前記溶剤を分離することにより第2の固相成分を生成することを特徴とする請求項1に記載の改質対象物の改質方法。(2)の構成によれば、上記第1及び第2の目的を達成することができる。
(3)上記(1)の構成において、前記第1の液相成分を20〜50℃の温度に冷却することを特徴とする改質対象物の改質方法。(3)の構成によれば、第1の固相成分及び第2の固相成分の抽出率を高めることができる。
(4)上記(2)に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記第1の固相成分及び前記第2の固相成分のうち1種又は2種を高炉用コークス製造用原料として用いることを特徴とするコークスの製造方法。(4)の構成によれば、低コストでコークス強度を高めることができる。
(5)上記(2)に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記第2の固相成分及び前記不溶解成分が混合した混合物を高炉用コークス製造用原料として用いることを特徴とするコークスの製造方法。(5)の構成によれば、低コストでコークス強度を高めることができる。
(6)上記(2)に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記不溶解成分を前記第1の固相成分と混合した混合物、又は該混合物を炭化した炭化物を焼結鉱製造用固体燃料として使用することを特徴とする焼結鉱の製造方法。(6)の構成によれば、低コストで焼結鉱の生産効率を向上させることができる。
(7)上記(2)に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記第1の固相成分又は前記第1の固相成分を炭化処理した炭化物を、焼結鉱製造用固体燃料として使用することを特徴とする焼結鉱の製造方法。(7)の構成によれば、低コストで焼結鉱の生産効率を向上させることができる。
(8)上記(2)に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記不溶解成分を前記第1の固相成分と混合した混合物、又は該混合物を炭化した炭化物を、高炉羽口吹き込み用還元材として使用することを特徴とする高炉の操業方法。(8)の構成によれば、低コストで高炉の操業性を向上させることができる。
(9)上記(2)に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記第1の固相成分又は前記第1の固相成分を炭化処理した炭化物を、高炉羽口吹き込み用還元材として使用することを特徴とする高炉の操業方法。(9)の構成によれば、低コストで高炉の操業性を向上させることができる。
本発明によれば、コークス強度の向上効果が高い改質物を得ることができる。
改質対象物の改質工程を示した図である。 改質工程で抽出された改質物の利用方法を示した図である。 改質対象物のバイオマスの改質工程を示す工程図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(実施形態1)
図1を参照して、本実施形態に係る改質対象物である低品位炭の改質方法について説明する。図1は、低品位炭の改質工程を示す工程図である。混合工程13では、石炭槽11から供給される低品位炭と、溶剤槽12から供給される溶剤とを混合する。加圧加熱工程14では、混合工程13で得られた低品位炭と溶剤とからなる混合物を加圧加熱して、低品位炭の可溶成分を溶剤に溶解させる。低品位炭の可溶成分が溶解した溶剤を第1の液相成分Xといい、溶剤に不溶解であった低品位炭の不溶解成分を不溶解石炭Rというものとする。第1分離工程15では、これらの第1の液相成分X及び不溶解石炭Rを固液分離する。
冷却工程16では、第1の液相成分Xを冷却して、低品位炭の可溶成分の一部である抽出石炭D(第1の固相成分)と、残部の第2の液相成分Yとを得る。第2分離工程17では、冷却工程16で得られた第2の液相成分Y及び抽出石炭Dを固液分離する。第3分離工程18では、第2分離工程17で分離された第2の液相成分Yから溶剤を除き、その残部である抽出石炭S(第2の固相成分)を得る。つまり、低品位炭と溶剤とを混合した混合物から三種類の異なる有用な石炭、すなわち、不溶解石炭R、抽出石炭D及び抽出石炭Sを得ることができる。
(石炭槽11について)
石炭槽11には、褐炭、亜瀝青炭又は一般炭からなる低品位炭が貯留されている。このような低品位炭から製鉄プロセス用原料である、コークス製造用原料、焼結鉱製造用固体燃料、および、高炉羽口吹込み用還元材として有用な改質炭を得ることにより、原料コストを低減することができる。
(溶剤槽12について)
溶剤槽12には、石炭槽11に貯留された低品位炭の可溶成分を溶解するための溶剤が貯留されている。溶剤には、タールの蒸留において留出するタール酸を10質量%以上含む油を用いることができる。そして、タールの蒸留において留出する油としては、カルボル油が好ましい。カルボル油は、タールの蒸留において170〜200℃で留出する油であり、タール酸を34〜45%含んでいる油で、石炭酸油ともいう(石炭利用技術用語辞典より((社)燃料協会 編、1983)より)。カルボル油以外の溶剤としては、ナフタリン油、クレオソート油等がある。
さらに、溶剤としてカルボル油を用いることで、分離される不溶解石炭R、抽出石炭D及び抽出石炭Sのうち、コークス強度の向上効果がより高い抽出石炭Sを、より多く回収することができる。これは、カルボル油に含まれるタール酸の極性を示す官能基(フェノール性水酸基)の作用により、石炭高分子構造中の水素結合が切断されて石炭の凝集構造が緩和され、抽出石炭Sが抽出されやすくなったためと考えられる。
溶剤は、沸点が170〜330℃のものが好ましい。沸点が170℃未満であると、加圧加熱工程14での必要圧力が高くなり、また、溶剤を回収する工程で揮発による損失が大きくなり、溶剤の回収率が低下する。さらに、固相成分の抽出率が低下する。一方、330℃を超えると、後述する溶剤の分離が困難となり、溶剤の回収率が低下する
このように、溶剤を使用して低品位炭を加熱抽出することにより、有用な改質石炭の抽出率を高めることができる。さらに、溶剤を使用して低品位炭の加熱抽出をすることにより、高価な水素や触媒等を用いる必要がないため、安価なコストで低品位炭を可溶化して、経済性の向上を図ることができる。
(混合工程13について)
混合工程13では、溶剤槽12から供給される溶剤と、石炭槽11から供給される低品位炭とを混合する。低品位炭及び溶剤の混合物は、低品位炭の粒子が溶剤中に分散したスラリー状態で存在する。以下、この混合物をスラリーという。
(加圧加熱工程14について)
加圧加熱工程14では、所定の抽出温度まで低品位炭と溶剤のスラリーを加熱する。この加熱処理は、スラリー中の溶剤が沸点に達しないように、加圧状態で行う。具体的には、ゲージ圧力値を0.8〜2.5MPaに設定することにより、溶剤の沸騰を防止し、有用な改質炭の抽出率を高めることができる。この圧力条件でスラリーの温度(より具体的にはスラリーの液温)が低品位炭の可溶成分が十分に抽出される温度(以下、該温度を抽出温度と称す)に達すると、低品位炭の可溶成分が溶剤に溶解する。
この抽出温度は、300〜420℃に設定するのが好ましい。300℃よりも温度が低い場合には、石炭構成分子間の結合力を十分に低下させることができないため、固相成分の抽出率が低下する。一方、420℃よりも温度が高い場合には、石炭の熱分解反応で生成されたラジカルの再結合が起こり、改質石炭の抽出率が低下する。また、低品位炭と溶剤のスラリーの加圧加熱処理は、非酸化性ガスの雰囲気内で行うのが好ましい。非酸化性ガスには、窒素ガスを用いることが好適である。抽出処理時間は、例えば、20〜30分に設定することができる。
以上のような加圧加熱工程14における低品位炭及び溶剤のスラリーの加圧加熱処理により、低品位炭の可溶成分が溶剤に溶解した第1の液相成分Xと溶剤に不溶解であった低品位炭の不溶解成分である不溶解石炭Rとを生成することができる。これらの生成物は第1分離工程15に送られる。
(第1分離工程15について)
第1分離工程15では、第1の液相成分X及び不溶解石炭Rを固液分離する。固液分離方法には、重力沈下法を用いることができる。分離して得られた不溶解石炭Rの用途については後述する。第1分離工程15で分離された第1の液相成分Xは、冷却工程16に送液するか、或いはそのままコークス原料として使用することができる。
(冷却工程16について)
冷却工程16に送液された第1の液相成分Xは冷却される。ここで、冷却温度が50℃よりも高いと、抽出石炭S及び抽出石炭Dの抽出率が低下する。他方、冷却温度を20℃より低くしても、前記抽出率が顕著に向上することはなく、却って冷却時間が長くなる。したがって、冷却温度は20〜50℃に設定するのが好ましい。なお、冷却工程16は、第1の液相成分Xを冷却することにより褐炭、亜瀝青炭又は一般炭を改質して、製鉄プロセス用原料であるコークス製造用原料、焼結鉱製造用固体燃料および高炉羽口吹込み用還元材として有用な抽出石炭S及び抽出石炭Dを抽出することを目的としている。したがって、上記冷却温度は、抽出石炭S及び抽出石炭Dの抽出率を向上するために好ましい範囲を示すものであり、抽出石炭S及び抽出石炭Dが抽出可能である限り上記冷却温度に限定されるものではない。なお、上記冷却工程16における冷却方法としては、空冷でもよいし、冷却温度や冷却速度などの冷却条件を制御できる冷却装置を用いて冷却してもよい。
(第2分離工程17について)
冷却工程16で得られた第2の液相成分Y及び抽出石炭Dは、第2分離工程17で固液分離される。第2分離工程17での固液分離方法には、重力沈下法を用いることができる。ここで分離して得られた抽出石炭Dの用途については後述する。
(第3分離工程18について)
第2分離工程17で分離された第2の液相成分Yは、第3分離工程18に送液される。第3分離工程18では、第2の液相成分Yに含まれる溶剤が除去される。溶剤を除去方法は、蒸発乾固法やスプレードライ法であってもよい。これにより、第2の液相成分Yに含まれる抽出石炭Sを固相状態で抽出することができる。
次に、抽出石炭S、抽出石炭D及び不溶解石炭Rの用途について詳細に説明する。図2は、抽出石炭S、抽出石炭D及び不溶解石炭Rの用途を説明するための図である。まず、第3分離工程18にて得られた抽出石炭Sの用途について説明する。安価な低品位炭を改質して得られた抽出石炭Sは、コークス製造プロセスの原料炭として用いることで原料コスト低減およびコークス強度向上を図ることができる。
したがって、抽出石炭Sは、例えば、図2のコークス原料炭配合部に供給して、コークスの配合炭として用いることができる。これにより、褐炭、亜瀝青炭又は一般炭からコークス強度の向上効果が高い抽出石炭Sを得ることができる。さらに、抽出石炭S単体に比べてコークス強度向上効果は低くなるが、混合部において、抽出石炭Sを抽出石炭D又は不溶解石炭Rと混合して得られる混合炭S+D、混合炭S+Rをコークス製造用の配合炭として用いることもできる。また、第1の液相成分Xは抽出石炭S及び抽出石炭Dを含むため、冷却せずにそのままの状態でコークス製造用の配合炭として用いることもできる。
また、第2分離工程17で得られた抽出石炭Dは、ミクロな気孔構造を備えており燃焼開始温度が低く、燃焼速度も速いため、燃焼性能に優れている。また、抽出石炭Dを乾留し炭化することにより、ミクロな気孔構造がさらに発達する。したがって、図2に図示するように、抽出石炭D、抽出石炭Dを炭化処理部で炭化させた炭化抽出石炭DCは、鉄鉱石焼結装置に供給して焼結鉱製造プロセスの固体燃料として用いてもよいし、高炉に供給して高炉の羽口から熱風とともに吹き込む還元材として用いてもよい。抽出石炭D、炭化抽出石炭DCは、鉄鉱石焼結用の固体燃料として現在使用されている粉コークスよりも、燃焼開始温度が低く、燃焼速度も速いため、燃焼性能が優れている。さらに、抽出石炭D、炭化抽出石炭DCは、高炉の羽口から熱風とともに吹き込まれる還元材として現在使用されている微粉炭よりも、燃焼開始温度が低く、燃焼速度も速いため、燃焼性能に優れている。さらにまた、抽出石炭S単体に比べてコークス強度向上効果は低くなるが、抽出石炭Dも同様にコークス強度向上効果を有しており、コークス原料炭配合部に供給してコークス製造用の配合炭として用いることもできる。
第1分離工程15で得られた不溶解石炭Rは、よりミクロな気孔構造を備えており、燃焼開始温度が低く、燃焼速度も速いため、燃焼性能に優れている。また、不溶解石炭Rを炭化させることにより、ミクロな気孔構造がさらに発達する。したがって、図2に図示するように、抽出石炭D及び不溶解石炭Rの混合炭D+R、この混合炭D+Rを炭化した(D+R)Cを、焼結鉱製造プロセスの固体燃料、高炉の羽口から熱風とともに吹き込む還元材として用いることができる。混合炭D+R、炭化混合炭(D+R)Cは、焼結鉱製造プロセスの固体燃料として現在使用されている粉コークスよりも、燃焼開始温度が低く、燃焼速度も速いため、燃焼性能が優れている。さらに、混合炭D+R、炭化混合炭(D+R)Cは、高炉の羽口から熱風とともに吹き込まれる還元材として現在使用されている微粉炭よりも、燃焼開始温度が低く、燃焼速度も速いため、燃焼性能が優れている。
抽出石炭Dなどを焼結鉱製造プロセスの固体燃料として使用する場合には、焼結鉱の原料となる粉状或いは適切な粒度に破砕調整された鉄鉱石、石灰石や蛇紋岩などの副原料などに抽出石炭Dなどの固体燃料を混入して、破砕および混練して造粒する。この造粒物は、例えば、ドワイトロイド式焼結機のパレット上に所定の厚さ(たとえば500〜700mm)で層状に装入される。そして、点火炉によって、造粒物の表層に含まれる燃焼開始温度が低く、燃焼速度も速い燃焼性能が優れた抽出石炭Dなどの固体燃料に着火して、焼結処理を開始する。着火後はウインドボックスにより、下方に向けて空気を吸引しながら前記固体燃料、および前記固体燃料から放出される揮発分を燃焼させ、その燃焼熱によってパレット上の造粒物を焼結させて焼結ケーキとする。
焼結処理で得られた焼結ケーキは無端のパレットから送出された後、第1のクラッシャーにより破砕され、冷却される。続いて、第2のクラッシャーによりさらに破砕され、多段式の篩いにより、高炉用原料として所定の粒径を有する焼結鉱が得られる。
一方、抽出石炭Dなどを高炉の羽口から熱風とともに吹き込む還元材として用いる場合は、粉砕機により粉砕された後、羽口から熱風とともに高炉に吹き込まれる。熱風により熱せられた還元材は、微粉炭よりも燃焼開始温度が低く、燃焼速度も速いため、速やかに一酸化炭素や水素ガスなどの還元ガスとなって、高炉内に装入される塊状鉄鉱石、焼結鉱などを還元する。これにより羽口先での燃焼性が向上し、高炉の操業性を向上させることができる。
(実施形態2)
次に、図3を参照して、本実施形態の改質対象物であるバイオマスの改質方法について説明する。図3は、バイオマスの改質工程を示す工程図である。混合工程13では、バイオマス槽21から供給されるバイオマスと、溶剤槽12から供給される溶剤とを混合する。加圧加熱工程14では、混合工程13で得られたバイオマスと溶剤とからなる混合物を加圧加熱して、バイオマスの可溶成分を溶剤に溶解させる。バイオマスの可溶成分が溶解した溶剤を第1の液相成分XBといい、溶剤に不溶解であったバイオマスの不溶解成分を固相成分RBと定義する。第1分離工程15では、これらの第1の液相成分XB及び固相成分RBを固液分離する。
冷却工程16では、第1の液相成分XBを冷却して、バイオマスの可溶成分の一部である抽出固相成分DB(第1の固相成分)と、残部の第2の液相成分YBとを得る。第2分離工程17では、冷却工程16で得られた第2の液相成分YB及び抽出固相成分DBを固液分離する。第3分離工程18では、第2分離工程17で分離された第2の液相成分YBから溶剤を除き、その残部である抽出固相成分SB(第2の固相成分)を得る。つまり、バイオマスと溶剤とを混合した混合物から三種類の異なる固相成分(固相成分RB、抽出固相成分DB及び抽出固相成分SB)を得ることができる。以下、改質工程の各部について詳細に説明するが、低品位炭を改質対象物とした実施形態1と重複する説明は省略する。
(バイオマス槽21について)
バイオマス槽21には、バイオマスが貯留されている。バイオマスは、好ましくは原子数比(モル比)として、1.42≦H/C≦1.78、0.66≦O/C≦0.95である。後述するように、バイオマスから製鉄プロセス用原料である、コークス製造用原料、焼結鉱製造用固体燃料、および、高炉羽口吹込み用還元材として有用な原料を得ることにより、原料コストの低減及び環境保全を図ることができる。
(溶剤槽12について)
溶剤槽12には、バイオマス槽21に貯留されたバイオマスの可溶成分を溶解するための溶剤が貯留されている。溶剤については、実施形態1と重複するため説明を省略する。
このように、改質対象物をバイオマスとする場合にも、溶剤を使用して固相成分の加熱抽出をすることにより、固相成分の抽出率を高めることができる。さらに、高価な水素や触媒等を用いる必要がないため、安価なコストでバイオマスを可溶化して、経済性の向上を図ることができる。
(混合工程13について)
混合工程13では、溶剤槽12から供給される溶剤と、バイオマス槽21から供給されるバイオマスとを混合する。バイオマス及び溶剤の混合物は、バイオマスの粒子が溶剤中に分散したスラリー状態で存在する。
(加圧加熱工程14について)
加圧加熱工程14では、所定の抽出温度までバイオマスと溶剤のスラリーを加熱する。この加熱処理は、スラリー中の溶剤が沸点に達しないように、加圧状態で行う。具体的には、ゲージ圧力値を0.8〜2.5MPaに設定することにより、溶剤の沸騰を防止し、固相成分の抽出率を高めることができる。この圧力条件でスラリーの温度(より具体的にはスラリーの液温)が固相成分の可溶成分が十分に抽出される温度(以下、該温度を抽出温度と称す)に達すると、バイオマスの固相成分が溶剤に溶解する。
この抽出温度は、好ましくは300〜420℃である。300℃よりも温度が低い場合には、バイオマス構成分子間の結合力を十分に低下させることができないため、固相成分の抽出率が低下する。一方、420℃よりも温度が高い場合には、バイオマスの熱分解反応で生成されたラジカルの再結合が起こり、固相成分の抽出率が低下する。また、バイオマスと溶剤のスラリーの加圧加熱処理は、非酸化性ガスの雰囲気内で行うのが好ましい。非酸化性ガスには、窒素ガスを用いることが好適である。抽出処理時間は、例えば、20〜30分に設定することができる。
以上のような加圧加熱工程14におけるバイオマスと溶剤のスラリーの加圧加熱処理により、バイオマスの可溶成分が溶剤に溶解した第1の液相成分XBと溶剤に不溶解であったバイオマスの不溶解成分である固相成分RBとを生成することができる。これらの生成物は第1分離工程15に送られる。
(第1分離工程15について)
第1分離工程15では、第1の液相成分XB及び固相成分RBを固液分離する。固液分離方法には、重力沈下法を用いることができる。第1分離工程15で分離された第1の液相成分XBは、冷却工程16に送液するか、或いはそのままコークス原料として使用することができる。
(冷却工程16について)
冷却工程16に送液された第1の液相成分XBは冷却される。冷却温度は、好ましくは20〜50℃である。この範囲が好ましい理由は実施形態1と同様である。
(第2分離工程17について)
冷却工程16で得られた第2の液相成分YB及び抽出固相成分DBは、第2分離工程17で固液分離される。第2分離工程17での固液分離方法には、重力沈下法を用いることができる。
(第3分離工程18について)
第2分離工程17で分離された第2の液相成分YBは、第3分離工程18に送液される。第3分離工程18では、第2の液相成分YBに含まれる溶剤が除去される。溶剤の除去方法は、蒸発乾固法やスプレードライ法であってもよい。これにより、第2の液相成分YBに含まれる抽出固相成分SBを固相状態で抽出することができる。
改質対象物であるバイオマスから、上述した各工程によって分離、抽出された各成分は、実施形態1の対応する各成分と同様の用途に用いることができる。すなわち、第1分離工程15で分離される固相成分RBは図1の不溶解石炭Rに対応し、第1の液相成分XBは図1の第1の液相成分Xに対応し、第2分離工程で分離される抽出固相成分DBは図1の抽出石炭Dに対応し、第2の液相成分YBは図1の第2の液相成分Yに対応し、第3分離工程18において分離される抽出固相成分SBは図1の抽出石炭Sにそれぞれ対応する。そして、本実施形態において得られる各成分は、実施形態1で説明した対応する各成分の用途と同様の用途に用いることができる。
(実施形態3)
次に、実施形態3について説明する。実施形態3は、溶剤として、タールの蒸留において留出するタール酸を10質量%以上含む油からなる溶剤と、非水素供与性溶剤と、を組み合わせた溶剤を用いる点を特徴とする。
非水素供与性溶剤は、主に低品位炭の乾留生成物から精製した、2環芳香族を主とする溶剤で、石炭誘導体である。この非水素供与性溶剤は、加熱状態でも安定であり、石炭との親和性に優れているため、溶剤に抽出される固相成分の抽出率が高い。
非水素供与性溶剤の主たる成分としては、2環芳香族であるナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン等が挙げられ、その他脂肪族側鎖をもつナフタレン類、また、これにビフェニルや長鎖脂肪族側鎖をもつアルキルベンゼンが含まれる。
非水素供与性溶剤は、沸点が180〜330℃のものが好ましい。沸点が180℃未満であると、加圧加熱工程14での必要圧力が高くなり、また、溶剤を回収する工程で揮発による損失が大きくなり、溶剤の回収率が低下する。さらに、固相成分の抽出率が低下する。一方、330℃を超えると、後述する溶剤の分離が困難となり、溶剤の回収率が低下する。
本実施形態では、以上のような非水素供与性溶剤と、実施形態1で説明したタールの蒸留において留出するタール酸を10質量%以上含む油からなる溶剤とが混合された溶剤を、溶剤槽12に貯留し、低品位炭あるいはバイオマスからなる改質対象物を溶解するための溶剤として用いる。
以上説明した本実施形態によれば、改質対象物を溶解する溶剤として、タールの蒸留において留出するタール酸を10質量%以上含む油からなる溶剤と非水素供与性溶剤とを混合した溶剤を用いた場合でも、実施形態1と同様に、コークス強度の向上効果が高い改質物である、抽出石炭Sや抽出固相成分SBを高い収率で回収することができる。
次に、以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
タールの蒸留において留出するタール酸を10質量%以上含む油からなる溶剤を抽出溶剤として用いることによる効果について、比較例を示して詳細に説明する。効果は、コークス強度向上効果の高い抽出石炭Sの回収率に基づき評価した。発明例および比較例の改質処理による各成分の回収率を以下の表1A、表1Bに示す。


Figure 2013076071
Figure 2013076071
発明例1では、改質対象物として乾燥させた褐炭Lを用いた。褐炭Lの組成は、質量%でC:66.8%、H:5.1%、N:0.6%、O:27.5%である。褐炭Lの改質処理は、まず、褐炭Lとカルボル油を質量比で1:10の比率で混合し、その混合物に対して、加圧加熱工程において、加熱温度を370℃、圧力を2MPaの条件で1時間加圧加熱処理を行った。次に、第1分離工程において、重力沈下法により不溶解石炭Rを分離させた。次に、冷却工程において、第1の液相成分Xを25℃まで冷却した。次に、第2分離工程において、重力沈下法により抽出石炭Dを分離させた。次に、第3分離工程において、第2の液相成分Y中の溶剤を蒸発法により除去し抽出石炭Sを抽出した。
発明例1で用いたカルボル油に含まれるタール酸は40質量%である。発明例2は、発明例1における溶剤を、タールの蒸留により留出するタール酸を12質量%含有する溶剤Aに変更した以外は、発明例1と同様にして褐炭Lを改質処理した。発明例3では、改質対象物を褐炭Lから亜瀝青炭Nに変更した以外は、発明例2と同様の改質処理を実施した。亜瀝青炭Nの組成は、質量%でC:74.3%、H:6.0%、N:1.4%、O:18.4%である。発明例4では、改質対象物を褐炭LからバイオマスB4に変更した以外は、発明例2と同様の改質処理を実施した。バイオマスB4の組成は、質量%でC:45.5%、H:6.0%、N:0.7%、O:47.9%である。発明例5では、改質対象物を褐炭Lから亜瀝青炭N及びバイオマスB4の混合物N+B4に変更した以外は、発明例2と同様の改質処理を実施した。なお、混合物N+B4において、亜瀝青炭N及びバイオマスB4の混合比率は質量比で1:1とした。
比較例1は、発明例1における溶剤を、タールの蒸留により留出するタール酸を8質量%含有する溶剤Bに変更した以外は、発明例1と同様にして褐炭Lを改質処理した。比較例2は、発明例1における溶剤を1−MN(メチルナフタレン)に変更した以外は、発明例1と同様にして褐炭Lを改質処理した。比較例3、4及び5ではそれぞれ、改質対象物を褐炭Lから亜瀝青炭N、バイオマスB4及び混合物N+B4に変更した以外は、比較例1と同様の改質処理を実施した。
表1A、表1Bに示すように、本発明の実施例である、カルボル油および溶剤Aを溶剤として用いた改質方法では、コークス強度の向上効果が高い良質な抽出石炭Sを、比較例(溶剤Bおよび1−MN)に比べて高い収率で回収することができた。
(実施例2)
上述の発明例1乃至5及び比較例1乃至5で得られた各改質炭を原料として、発明例6〜30、比較例6〜30および参考例1〜5のコークスを製造し、コークスの品質として要求される強度について評価を行った。表2Aは発明例及び参考例の評価結果であり、表2Bは比較例及び参考例の評価結果である。
Figure 2013076071
Figure 2013076071
発明例6では、まず、コークス製造用の主たる原料の石炭として、強粘結炭と非微粘結炭を1:1の質量比で配合したベース混合炭を生成した。そして、ベース混合炭を90質量%、発明例1の改質処理により得られた抽出石炭Sを10質量%の配合割合で配合した配合炭を試験コークス炉で乾留してコークスを製造し、コークス強度の評価試験を行った。コークスは、配合炭を0.75g/cmの充填嵩密度で試験コークス炉に装入し、炉温1000℃で乾留することで製造した。コークス強度の評価は、JIS K2151に規定されている回転強度試験方法のドラム強度(ドラム試験機にコークスを入れて、150回転後の15mmふるい上に残存するコークスの質量の試料質量に対する百分率)DI150 15を測定して行った。以下、他の発明例、比較例、および参考例についても同様の方法でコークスを作成し、ドラム試験を行ってコークスの強度を評価したので、重複する説明は省略する。
発明例7では、発明例6における配合炭を、ベース混合炭90質量%に対して、発明例1の改質処理により得られた抽出石炭Sを5質量%、抽出石炭Dを5質量%の配合割合で配合した配合炭に変更した点を除いて、発明例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
発明例8では、発明例6における配合炭を、ベース混合炭90質量%に対して、発明例1の改質処理により得られた抽出石炭Sを5質量%、不溶解石炭Rを5質量%の配合割合で配合した配合炭に変更した点を除いて、発明例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
発明例9では、発明例6における配合炭を、ベース混合炭90質量%に対して、発明例1の改質処理により得られた抽出石炭Dを10質量%の配合割合で配合した配合炭に変更した点を除いて、発明例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
発明例10では、発明例6における配合炭を、ベース混合炭90質量%に対して、発明例1の改質処理により得られた不溶解石炭Rを10質量%の配合割合で配合した配合炭に変更した点を除いて、発明例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
発明例11、16、21及び26では、それぞれ抽出石炭Sを発明例2乃至5の改質処理により得た点を除いて、発明例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
発明例12、17、22及び27では、それぞれ抽出石炭S及び抽出石炭Dを発明例2乃至5の改質処理により得た点を除いて、発明例7と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
発明例13、18、23及び28では、それぞれ抽出石炭S、不溶解石炭Rを発明例2乃至5の改質処理により得た点を除いて、発明例8と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
発明例14、19、24及び29では、それぞれ抽出石炭Dを発明例2乃至5の改質処理により得た点を除いて、発明例9と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
発明例15、20、25及び30では、それぞれ不溶解石炭Rを発明例2乃至5の改質処理により得た点を除いて、発明例10と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
比較例6では、発明例6における配合炭を、ベース混合炭90質量%に対して、比較例1の改質処理により得られた抽出石炭Sを10質量%の配合割合で配合した配合炭に変更した点を除いて、発明例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
比較例7では、発明例6における配合炭を、ベース混合炭90質量%に対して、比較例1の改質処理により得られた抽出石炭Sを5質量%、抽出石炭Dを5質量%の配合割合で配合した配合炭に変更した点を除いて、発明例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
比較例8では、発明例6における配合炭を、ベース混合炭90質量%に対して、比較例1の改質処理により得られた抽出石炭Sを5質量%、不溶解石炭Rを5質量%の配合割合で配合した配合炭に変更した点を除いて、発明例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
比較例9では、発明例6における配合炭を、ベース混合炭90質量%に対して、比較例1の改質処理により得られた抽出石炭Dを10質量%の配合割合で配合した配合炭に変更した点を除いて、発明例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
比較例10では、発明例6における配合炭を、ベース混合炭90質量%に対して、比較例1の改質処理により得られた不溶解石炭Rを10質量%の配合割合で配合した配合炭に変更した点を除いて、発明例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
比較例11、16、21及び26では、それぞれ抽出石炭Sを比較例2乃至5の改質処理により得た点を除いて、比較例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
比較例12、17、22及び27では、それぞれ抽出石炭S及び抽出石炭Dを比較例2乃至5の改質処理により得た点を除いて、比較例7と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
比較例13、18、23及び28では、それぞれ抽出石炭S、不溶解石炭Rを比較例2乃至5の改質処理により得た点を除いて、比較例8と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
比較例14、19、24及び29では、それぞれ抽出石炭Dを比較例2乃至5の改質処理により得た点を除いて、比較例9と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
比較例15、20、25及び30では、それぞれ不溶解石炭Rを比較例2乃至5の改質処理により得た点を除いて、比較例10と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
参考例1では、発明例6における配合炭を、ベース混合炭90質量%に対して、発明例1の改質対象物である褐炭Lを改質せずに10質量%の配合割合で配合した配合炭に変更した点を除いて、発明例6と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
参考例2では、ベース混合炭のみを用いてコークスを製造し、その強度を測定した。参考例3乃至5は、参考例1の褐炭Lをそれぞれ亜瀝青炭N、バイオマスB4及び混合物N+B4に振り替えた点を除いて参考例1と同様の方法でコークスを製造し、その強度を測定した。
発明例と比較例を比較すると、溶剤としてカルボル油、溶剤Aを用いて褐炭Lを改質して得た改質炭S、D、S+D、S+Rを加えて製造したコークスは、溶剤として溶剤B、1−MNを用いて同じく褐炭Lを改質して得た各種改質炭を加えて製造したコークスよりも高いコークス強度向上効果を有することがわかった。
また、溶剤Aを用いて亜瀝青炭N、バイオマスB4、その混合物を改質して得た改質物S、D、S+D、S+Rを加えて製造したコークスは、溶剤Bを用いて改質した場合よりも、高いコークス強度向上効果を有することがわかった。
従って、カルボル油、溶剤Aを用いて改質対象物を改質することにより、コークス強度向上効果の高い改質物を得ることができる。
(実施例3)
実施例3では、抽出石炭D、混合炭D+Rの燃焼性について評価を行った。これらの石炭は、実施例1と同様の方法で褐炭Lから抽出した。また、抽出石炭D、混合炭D+Rをそれぞれ炭化した炭化抽出石炭Dc、炭化混合炭(D+R)cについても燃焼性の評価を行った。なお、比較例として、粉コークスについても、同様の燃焼性評価を行った。炭化は、キルンを用いて750℃で処理を行った。
(i)熱天秤を用いた反応開始温度、及び、反応速度最大温度の評価試験
まず、熱天秤に、所定の粒度(0.15−0.25mm)に調整した上記各試料を、所定の質量(10−20mg)入れ、空気雰囲気中で昇温して、質量減少を測定した。そして、質量減少率が安定して0.002(1/min)を超える温度を反応開始温度と定義して評価した。
また、質量減少曲線の傾きが最大となる温度(単位時間あたりの質量減少が最大となる温度)を、反応速度最大温度と定義して評価した。
(ii)焼結鍋試験評価(焼結プロセスにおける生産率、歩留まりの評価試験)
直径30cm、層高60cmの焼結試験装置を用いて、所定の配合原料で焼結鉱を製造する試験を実施した。上記各試料は、原料鉄鉱石に対してそれぞれ4質量%となるように配合して配合原料とした。この配合原料を焼結試験装置内に60cm高さまで装入したのち、原料層の表層の固体燃料にプロパンガスバーナーで90秒間点火する操作を行った。その後、15kPaの一定負圧で下方へ空気を吸引しながら焼結反応を行った。一連の焼結処理が完了した焼結体を、十分に冷却した後、2m高さから4回落下させて破砕し、5mm以上の粒度を有するものを焼結鉱として回収した。このマテリアルバランスから焼結鉱の生産率および歩留まりを測定した。ここで生産率は、焼結体の質量を試験装置面積と焼成時間で除して求め、単位時間単位面積あたりの焼結体量としてt/d/m2で表す。また、歩留まりは、装入質量に対する回収焼結鉱(+5mm)の割合により定義した。
評価は、生産率、製品歩留まりで行い、褐炭単独の改質物(比較例)の生産率及び歩留まりを基準とし、比較例より優れている場合を○、さらにより優れている場合を◎で評価した。評価試験結果を表3に示す。
Figure 2013076071
表3に示すように、カルボル油、溶剤Aにより抽出された抽出石炭D、炭化抽出石炭Dc、混合炭D+R、炭化混合炭(D+R)cは、粉コークスに比べて反応開始温度が低く、反応速度最大温度が低く、優れた燃焼性能を有していることがわかった。したがって、抽出石炭D、炭化抽出石炭Dc、混合炭D+R、炭化混合炭(D+R)cは、焼結鉱製造用固体燃料および高炉羽口吹込み用還元材として好適に用いることができる。また、焼結鍋試験から、固体燃料として、抽出石炭D、炭化抽出石炭Dc、混合炭D+R、炭化混合炭(D+R)cを用いることで、粉コークスに比べて生産率及び成品歩留が向上することが判った。従って、抽出石炭D、炭化抽出石炭Dc、混合炭D+R、炭化混合炭(D+R)cを焼結鉱製造プロセスの固体燃料として使用することにより、焼結鉱の生産率を向上させること
ができる。
11、21 石炭槽
12 溶剤槽
13 混合工程
14 加圧加熱工程
15 第1分離工程
16 冷却工程
17 第2分離工程
18 第3分離工程

Claims (9)

  1. 褐炭、亜瀝青炭、一般炭またはバイオマスからなる改質対象物とタールの蒸留において留出するタール酸を10質量%以上含む油からなる溶剤とを混合し、前記改質対象物と前記溶剤の混合物を加圧加熱して、前記改質対象物の不溶解成分と、前記改質対象物の可溶成分が前記溶剤に溶解した第1の液相成分とを生成し、これらの前記不溶解成分と前記第1の液相成分とを分離することを特徴とする改質対象物の改質方法。
  2. さらに、前記第1の液相成分を冷却することにより、第1の固相成分と、前記溶剤に溶解した第2の液相成分と、を生成し、分離し、さらに、該第2の液相成分から前記溶剤を分離することにより第2の固相成分を生成することを特徴とする請求項1に記載の改質対象物の改質方法。
  3. 前記第1の液相成分を20〜50℃の温度に冷却することを特徴とする請求項2に記載の改質対象物の改質方法。
  4. 請求項2に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記第1の固相成分及び前記第2の固相成分のうち1種又は2種を高炉用コークス製造用原料として用いることを特徴とするコークスの製造方法。
  5. 請求項2に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記第2の固相成分及び前記不溶解成分が混合した混合物を高炉用コークス製造用原料として用いることを特徴とするコークスの製造方法。
  6. 請求項2に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記不溶解成分を前記第1の固相成分と混合した混合物、又は該混合物を炭化した炭化物を焼結鉱製造用固体燃料として使用することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  7. 請求項2に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記第1の固相成分又は前記第1の固相成分を炭化処理した炭化物を、焼結鉱製造用固体燃料として使用することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  8. 請求項2に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記不溶解成分を前記第1の固相成分と混合した混合物、又は該混合物を炭化した炭化物を、高炉羽口吹き込み用還元材として使用することを特徴とする高炉の操業方法。
  9. 請求項2に記載の改質対象物の改質方法で得られた前記第1の固相成分又は前記第1の固相成分を炭化処理した炭化物を、高炉羽口吹き込み用還元材として使用することを特徴とする高炉の操業方法。

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