JP2013074033A - フィルムコンデンサおよびこのフィルムコンデンサの製造方法 - Google Patents

フィルムコンデンサおよびこのフィルムコンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高誘電率のフィルム材料を用いたフィルムコンデンサの誘電損失を低減すること。
【解決手段】フィルムコンデンサ(10)の製造方法は、2枚のフィルム(17,17)の側面に金属膜(18)が形成された一対の金属化フィルム(16,16)を重ね合わせた状態で捲回し、その幅方向の両端部にメタリコン(19,19)を接続して形成されるものを対象とする。基材上に樹脂組成物を塗布し、樹脂組成物を乾燥させてフィルム(17)を形成する工程と、フィルム(17)の結晶融点以下の温度でフィルム(17)を熱処理する工程とを備えている。
【選択図】図4

Description

本発明は、フィルムコンデンサおよびこのフィルムコンデンサの製造方法に関し、特に、誘電損失の低減対策に係るものである。
従来より、表面にアルミニウム、又は亜鉛等を蒸着した一対の誘電体のフィルム(金属化フィルム)を重ね合わせて捲回形成されたフィルムコンデンサが知られている。
このフィルムコンデンサに用いられるフィルムは、これまでポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)やポリフェニレンサルファイド(PPS)などが材料とされていた(特許文献1参照)が、近年のフィルムコンデンサの大容量化に伴い、フィルムの材料として高誘電率の材料が用いられるようになった。
特開2009−38089号公報
しかしながら、上述した高誘電率のフィルムは、誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))が大きくなってしまう。このため、高誘電率のフィルム材料を用いたフィルムコンデンサの性能が低下してしまうという問題があった。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、高誘電率のフィルム材料を用いたフィルムコンデンサにおける誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))を低減することを目的とする。
本発明は、捲回したフィルムに対して熱処理を行うようにしたものである。
第1の発明は、2枚のフィルム部材(17)の側面に金属膜(18)が形成された一対の金属化フィルム(16)を重ね合わせた状態で捲回し、その幅方向の両端部に電極部材(19,19)を接続して形成されるフィルムコンデンサの製造方法であって、基材上に樹脂組成物を塗布し、該樹脂組成物を乾燥させて上記フィルム部材(17)を形成するフィルム作成工程と、上記フィルム部材(17)の結晶融点以下の温度で上記フィルム部材(17)を熱処理する熱処理工程とを備えている。
上記第1の発明では、2枚のフィルム部材(17)の側面に金属膜(18)が形成された一対の金属化フィルム(16)を重ね合わせた状態で捲回し、その幅方向の両端部に電極部材(19,19)を接続させてフィルムコンデンサが製造される。
フィルム作成工程では、基材状に樹脂組成物を塗布し、該樹脂組成物を乾燥させてフィルム部材(17)が形成される。つまり、フィルム部材(17)は、いわゆる塗工法によって形成される。
次に、熱処理工程では、フィルム部材(17)の結晶融点以下の温度でフィルム部材(17)に対して熱処理を行う。こうすることで、フィルム部材(17)の内部の結晶構造が変化し、フィルム部材(17)の誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の増加が抑えられる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記フィルム作成工程の後、上記2枚のフィルム部材(17)の側面に金属膜(18)を形成して一対の金属化フィルム(16)を形成する金属膜形成工程と、上記一対の金属化フィルム(16)を重ね合わせて捲回して捲回素子(15)を形成する捲回工程と、上記捲回素子(15)の幅方向の両端部のそれぞれに電極部材(19,19)を接続する接続工程とを備え、上記熱処理工程は、上記接続工程の前に行われる。
上記第2の発明では、フィルム作成工程の後に、金属膜形成工程、捲回工程、熱処理工程および接続工程が順番に行われる。金属膜形成工程では、2枚のフィルム部材(17,17)の側面に金属膜(18)を形成して一対の金属化フィルム(16,16)を形成する。捲回工程では、金属膜形成工程で形成された一対の金属化フィルム(16,16)を重ね合わせて捲回して捲回素子(15)を形成する。熱処理工程では、フィルム部材(17)の結晶融点以下の温度でフィルム部材(17)に対して熱処理を行う。次に接続工程では、捲回素子(15)の幅方向の両端部のそれぞれに電極部材(19,19)を接続する。接続工程前に熱処理工程を行うことで、捲回素子(15)に電極部材(19,19)を接続した後にフィルム部材(17)が変形するのを防止することができる。このため、電極部材(19,19)と捲回素子(15)との接触強度の低下を抑えられる。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記熱処理工程は、上記フィルム部材(17)を熱処理すると共に、該フィルム部材(17)を乾燥させるように構成されている。
上記第3の発明では、熱処理工程において、フィルム部材(17)を熱処理すると同時に、該フィルム部材(17)を乾燥させる。こうすることで、フィルム部材(17)の結晶構造を変化させつつ、フィルム部材(17)の内部の水分を蒸発させることができる。
第4の発明は、上記第1〜第3の発明の何れか1つにおいて、上記フィルム部材(17)は、フッ素系の樹脂材料で構成されている。
上記第4の発明では、フッ素系の樹脂材料で構成されたフィルム部材(17)の誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の増加を抑えることができる。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記フィルム部材(17)は、フッ化ビニリデンを含む材料で構成されている。
上記第5の発明では、フッ化ビニリデンを含んだ樹脂材料で構成されたフィルム部材(17)の誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の増加を抑えることができる。
第6の発明は、2枚のフィルム部材(17,17)の側面に金属膜(18)が形成された一対の金属化フィルム(16,16)を重ね合わせた状態で捲回し、その幅方向の両端部に電極部材(19,19)を接続して形成されるフィルムコンデンサであって、上記フィルム部材(17)は、基材上に樹脂組成物を塗布し、該樹脂組成物を乾燥させることで形成されると共に、該フィルム部材(17)の結晶融点以下の温度で熱処理がなされている。
上記第6の発明では、2枚のフィルム部材(17,17)の側面に金属膜(18)が形成された一対の金属化フィルム(16,16)が形成される。この一対の金属化フィルム(16,16)を重ね合わせた状態で捲回し、その幅方向の両端部に電極部材(19,19)を接続する。
フィルム部材(17)は、基材状に樹脂組成物を塗布し、該樹脂組成物を乾燥させて形成されると共に、フィルム部材(17)の結晶融点以下の温度で熱処理が行われている。こうすることで、フィルム部材(17)の内部の結晶構造が変化し、フィルム部材(17)の誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の増加が抑えられる。
第7の発明は、上記第6の発明において、上記フィルム部材(17)は、フッ素系の樹脂材料で構成されている。
上記第7の発明では、フッ素系の樹脂材料で構成されたフィルム部材(17)の誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の増加を抑えることができる。
第8の発明は、上記第7の発明において、上記フィルム部材(17)は、フッ化ビニリデンを含む材料で構成されている。
上記第8の発明では、フッ化ビニリデンを含んだ樹脂材料で構成されたフィルム部材(17)の誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の増加を抑えることができる。
上記第1および第6の発明によれば、フィルム部材(17)に対して熱処理を施したため、フィルム部材(17)の結晶構造を変化させることができる。このため、フィルム部材(17)の誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の増加を抑えることができる。この結果、このフィルム部材(17)を用いたフィルムコンデンサの性能の低下を抑制することができる。
上記第2の発明では、接続工程前に熱処理を行うようにしたため、接続工程後のフィルム部材(17)への加熱を防止することができる。これにより、接続工程後のフィルム部材(17)への加熱によってフィルム部材(17)が変形するのを防止することができる。この結果、電極部材(19)とフィルム部材(17)との接続強度の低下を抑制することができる。
上記第3の発明では、フィルム部材(17)に対して熱処理と乾燥を同時に行うようにしたため、乾燥装置や乾燥工程を別途設ける必要がなくなる。これにより、工程数を削減したり、製造装置のコストを低減させることができる。
第4および第7の発明によれば、誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の大きいフッ素系の樹脂材料で構成されたフィルム部材(17)の誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の増加を抑えることができる。
第5および第8の発明によれば、誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の大きいフッ化ビニリデンを含む樹脂材料で構成されたフィルム部材(17)の誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の増加を抑えることができる。
図1は、実施形態に係るフィルムコンデンサを示す概略の断面図である。 図2は、実施形態に係る捲回した一対の金属化フィルムを示す概略の斜視図である。 図3は、実施形態に係るフィルムコンデンサを拡大して示す概略の断面図である。 図4は、実施形態1に係るフィルムコンデンサの製造工程を示す工程図である。 図5は、実施形態に係る熱処理・乾燥工程の時間と温度の関係を示すグラフである。 図6は、実施形態に係るフィルムコンデンサの誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))を示すグラフである。 図7は、実施形態2に係るフィルムコンデンサの製造工程を示す工程図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〈発明の実施形態1〉
図1に本実施形態1に係るフィルムコンデンサ(10)を示す。このフィルムコンデンサ(10)は、コンデンサケース(11)内にコンデンサ素子(15)を収容し、このコンデンサ素子(15)の周りに封止樹脂(12)が充填されて構成されている。フィルムコンデンサ(10)は、例えばインバータ回路とコンバータ回路との間の平滑コンデンサ等として用いられている。
上記コンデンサケース(11)は矩形状の箱体に形成されている。コンデンサケース(11)の内部にはコンデンサ素子(15)が収容されると共に、コンデンサ素子(15)の周りを覆うように封止樹脂(12)が充填されている。
上記封止樹脂(12)は、エポキシ基を有する熱硬化性のエポキシ樹脂と硬化部材とからなる封止部材である。封止樹脂(12)は、空気に含まれる水分の通過を阻止するという機能を有している。つまり、コンデンサ素子(15)の周りを封止樹脂(12)で覆うことによってコンデンサケース(11)の外部空気に含まれる水分等によってコンデンサ素子(15)が吸湿するのを防止している。尚、封止樹脂(12)は、エポキシ樹脂と、硬化部材とを組み合わせることでコンデンサケース(11)内で硬化させている。
上記コンデンサ素子(15)は、図2および図3に示すように、絶縁性を有する帯状のフィルム(17)の両面に金属膜(18)を蒸着させて形成した金属化フィルム(16)を上下2枚重ねにして、この一対の金属化フィルム(16,16)を円筒体状に捲回すると共に、捲回した一対の金属化フィルム(16,16)の幅方向の両端にメタリコン(19,19)が接続されて形成されている。このとき、2枚の金属化フィルム(16,16)は、互いを左右方向に1mm程度、ずらした状態で重ねられている。
上記各フィルム(17)は、フッ素系の樹脂を用いて約6μm程度の膜厚に形成されており、本発明に係るフィルム部材を構成している。各フィルム(17)の両側の表面には、アルミニウム(Al)などの金属膜(18)が蒸着形成されている。この金属膜(18)は50Å〜400Å程度の膜厚に形成されている。尚、上記フィルム(17)の厚さは、例示であり、フィルム(17)の厚みは3〜10μm程度に形成してもよい。また、フィルム(17)に蒸着形成される金属膜(18)はアルミニウム(Al)に限られず、亜鉛(Zn)などの金属をその材料として用いてもよい。
上記フィルム(17)の材料となるフッ素樹脂は、例えばフッ化ビニリデン(VDF)と四フッ化エチレン(TFE)の共重合体で構成されている。尚、フィルム(17)の材質はこれに限られず、フッ素樹脂であればよい。
上記メタリコン(19)は上記金属膜(18)と外部に延びる電極である銅線(20)との間を電気的に接続するものであって、本発明に係る電極部材を構成している。このメタリコン(19,19)は、捲回した金属化フィルム(16,16)の端部に亜鉛(Zn)等の金属を溶融噴射することで形成されている。各金属化フィルム(16)は、その幅方向の両端が吹き付けられたメタリコン(19,19)の内部に埋没することでメタリコン(19,19)によって固定支持されている。
上記銅線(20)は、φ1.0mmの軟銅線に構成されている。銅線(20)はコンデンサケース(11)の外部まで延びてインバータ回路等とフィルムコンデンサ(10)とを接続する接続端子となるものである。銅線(20)は、その基端が半田付けによってメタリコン(19,19)に対して取り付けられる一方、その先端部が封止樹脂(12)から外方に突出して基板(21)に接続されている。
−フィルムコンデンサ(10)の製造方法−
上記フィルムコンデンサ(10)の製造方法について図4に基づいて具体的に説明する。
フィルムコンデンサ(10)の製造では、まず、フッ化ビニリデン(PDF)と四フッ化エチレン(TFE)との共重合体からなる原料を溶媒に熔解したものをPET基材フィルムに塗工する(塗工工程ST1)。そして、これを乾燥し、溶媒を揮発する(乾燥工程ST2)。そして、PET基材フィルムから600mm幅の広幅長尺のロールフィルム原反を剥離する(乾燥工程ST2)。尚、上記塗工工程ST1と乾燥工程ST2とは、本発明に係るフィルム作成工程を構成している。
次に、真空蒸着機でアルミニウムを蒸着してロールフィルム原反に金属膜(18)を形成する(蒸着工程ST3)。尚、蒸着工程ST3は、本発明に係る金属膜形成工程を構成している。そして、ロールフィルム原反をカットすることで金属化フィルム(16)が完成する(ST4)。次に、この金属化フィルム(16)を2枚重ねにし、互いを左右にずらした状態で捲回機にかけて捲回する(捲回工程ST5)。
次に、捲回した金属化フィルム(16)を加熱装置の内部に入れる。加熱装置では、140〜150℃の温度で捲回した金属化フィルム(16)が加熱される(熱処理・乾燥工程ST6)。尚、この加熱装置の設定温度は、例示であり、フィルム材質、膜厚、加熱装置の設置環境(室内の温度・湿度)などによって最適な値に設定されるものである。特に、本実施形態1では、フィルム(17)の材質となるフッ化ビニリデン(PDF)と四フッ化エチレン(TFE)との共重合体からなるフッ素樹脂の結晶化融点(結晶融点)温度付近の温度を設定温度としている。また、熱処理・乾燥工程ST6は、本発明に係る熱処理工程を構成している。
具体的に、熱処理・乾燥工程では、図5に示すように、加熱対象となる捲回した金属化フィルム(16)を加熱装置の内部に設置し、約1時間かけて例えば145℃まで昇温させる。そして、145℃で約10分間放置する。その後、約2時間かけて加熱装置の温度を室温まで下げる。このようにフィルム(17)をその結晶化融点(結晶融点)温度付近の温度で加熱することで、フィルム(17)内の結晶構造が変質し、誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))が改善される一方、フィルム(17)内の水分が蒸発し、絶縁抵抗の低下が抑えられる。
尚、本実施形態1では、図5および図6に示すように、加熱装置の設定温度を140℃、145℃、および150℃の3つの条件で熱処理・乾燥工程を行った。
次に、捲回した金属化フィルム(16)の両端に亜鉛(Zn)等の金属を溶融噴射(溶射)してメタリコン(19,19)を形成する(メタリコン工程ST7)。尚、メタリコン工程ST7は、本発明に係る接続工程を構成している。そして、メタリコン(19,19)に端子である銅線(20,20)を半田付けしてコンデンサ素子(15)を形成する(リード付け工程ST8)。
最後に、コンデンサ素子(15)をコンデンサケース(11)内に収容する。そして、コンデンサケース(11)に封止樹脂(12)を流し込み、100℃の温度環境下で約2時間加熱し、封止樹脂(12)を硬化させてコンデンサ素子(15)をコンデンサケース(11)内に封止する(封止工程ST9)。こうしてフィルムコンデンサ(10)が完成する。
−比較例−
次に、本実施形態1に対する比較例について説明する。本比較例では、フィルムコンデンサの製造工程において実施形態1の熱処理を行っていないものである。図6に示すように、本比較例の製造方法で製造したフィルムコンデンサは、実施形態1に係るフィルムコンデンサ(10)よりも誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))が大きくなっている。また、本実施形態1では、150℃の温度条件による熱処理が誘電正接(tanδ)の値が最も低く、効果が高い。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、フィルム(17)に対して熱処理を施したため、フィルム(17)の結晶構造を変化させることができる。このため、フィルム(17)の誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の増加を抑えることができる。この結果、高誘電率のフィルム(17)を用いたフィルムコンデンサの性能の低下を抑制することができる。
また、メタリコン工程ST7の前に熱処理・乾燥工程ST6を行うようにしたため、メタリコン工程ST7の後のフィルム(17)への加熱を防止することができる。これにより、メタリコン工程ST7の後のフィルム(17)への加熱によってフィルム(17)が変形するのを防止することができる。この結果、メタリコン(19)とフィルム(17)との接続強度の低下を抑制することができる。
また、フィルム(17)に対して熱処理と乾燥を同時に行うようにしたため、乾燥装置や乾燥工程を別途設ける必要がなくなる。これにより、工程数を削減したり、製造装置のコストを低減させることができる。
さらに、誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の大きいフッ素系の樹脂材料であるフッ化ビニリデンを含む樹脂材料で構成されたフィルム(17)の誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))の増加を抑えることができる。
〈発明の実施形態2〉
次に、本発明の実施形態2について図7に基づいて説明する。本実施形態2は、実施形態1とは、フィルムコンデンサ(10)の製造方法が異なっている。尚、本実施形態2では、上記実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
−フィルムコンデンサ(10)の製造方法−
上記フィルムコンデンサ(10)の製造方法について図7に基づいて具体的に説明する。
フィルムコンデンサ(10)の製造では、まず、フッ化ビニリデン(PDF)と四フッ化エチレン(TFE)との共重合体からなる原料を溶媒に熔解したものをPET基材フィルムに塗工する(塗工工程ST1)。そして、これを乾燥し、溶媒を揮発する(乾燥工程ST2)。そして、PET基材フィルムから600mm幅の広幅長尺のロールフィルム原反を剥離する(乾燥工程ST2)。尚、上記塗工工程ST1と乾燥工程ST2とは、本発明に係るフィルム作成工程を構成している。
次に、真空蒸着機でアルミニウムを蒸着して金属膜(18)を形成する(蒸着工程ST3)。そして、ロールフィルム原反をカットすることで金属化フィルム(16)が完成する(ST4)。次に、この金属化フィルム(16)を2枚重ねにし、互いを左右にずらした状態で捲回機にかけて捲回する(捲回工程ST5)。
次に、捲回した金属化フィルム(16)の両端に亜鉛(Zn)等の金属を溶融噴射(溶射)してメタリコン(19,19)を形成する(メタリコン工程ST6)。そして、メタリコン(19,19)に端子である銅線(20,20)を半田付けしてコンデンサ素子(15)を形成する(リード付け工程ST7)。
次に、コンデンサ素子(15)を加熱装置の内部に入れる。加熱装置では、140〜150℃の温度でコンデンサ素子(15)が加熱される(熱処理・乾燥工程ST8)。尚、この加熱装置の設定温度は、例示であり、フィルム材質、膜厚、加熱装置の設置環境(室内の温度・湿度)などによって最適な値が設定されるものである。特に、本実施形態1では、フィルム(17)の材質となるフッ化ビニリデン(PDF)と四フッ化エチレン(TFE)との共重合体からなるフッ素樹脂の結晶化融点(結晶融点)温度付近の温度を設定温度としている。また、熱処理・乾燥工程ST8は、本発明に係る熱処理工程を構成している。
具体的に、熱処理・乾燥工程では、加熱対象となるコンデンサ素子(15)を加熱装置の内部に設置し、約1時間かけて例えば145℃まで昇温させる。そして、145℃で約10分間放置する。その後、約2時間かけて加熱装置の温度を室温まで下げる。このようにフィルム(17)を結晶化融点(結晶融点)温度付近の温度で加熱することで、フィルム(17)内の結晶構造が変質し、誘電損失(すなわち、誘電正接(tanδ))が改善される一方、フィルム(17)内の水分が蒸発し、絶縁抵抗の低下が抑えられる。
最後に、コンデンサ素子(15)をコンデンサケース(11)内に収容する。そして、コンデンサケース(11)に封止樹脂(12)を流し込み、100℃の温度環境下で約2時間加熱し、封止樹脂(12)を硬化させてコンデンサ素子(15)をコンデンサケース(11)内に封止する(封止工程ST9)。こうしてフィルムコンデンサ(10)が完成する。
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態1又は2について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態1又は2では、フィルム(17)の両面に金属膜(18)を蒸着形成するようにしたが、本発明はこれに限られず、フィルムの片面に金属膜を蒸着形成して金属化フィルムを形成するようにしてもよい。また、一枚のフィルムの両面に金属膜を蒸着形成し、他の一枚のフィルムを合わせフィルムとして一対の金属化フィルムとしてもよい。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、フィルムコンデンサおよびこのフィルムコンデンサの製造方法について有用である。
16 金属化フィルム
17 フィルム(フィルム部材)
18 金属膜
19 電極部材(メタリコン)

Claims (8)

  1. 2枚のフィルム部材(17,17)の側面に金属膜(18)が形成された一対の金属化フィルム(16,16)を重ね合わせた状態で捲回し、その幅方向の両端部に電極部材(19,19)を接続して形成されるフィルムコンデンサの製造方法であって、
    基材上に樹脂組成物を塗布し、該樹脂組成物を乾燥させて上記フィルム部材(17)を形成するフィルム作成工程と、
    上記フィルム部材(17)の結晶融点以下の温度で上記フィルム部材(17)を熱処理する熱処理工程とを備えている
    ことを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。
  2. 請求項1において、
    上記フィルム作成工程の後、上記2枚のフィルム部材(17,17)の側面に金属膜(18)を形成して一対の金属化フィルム(16,16)を形成する金属膜形成工程と、
    上記一対の金属化フィルム(16,16)を重ね合わせて捲回して捲回素子(15)を形成する捲回工程と、
    上記捲回素子(15)の幅方向の両端部のそれぞれに電極部材(19,19)を接続する接続工程とを備え、
    上記熱処理工程は、上記接続工程の前に行われる
    ことを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。
  3. 請求項2において、
    上記熱処理工程は、上記フィルム部材(17)を熱処理すると共に、該フィルム部材(17)を乾燥させるように構成されている
    ことを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1つにおいて、
    上記フィルム部材(17)は、フッ素系の樹脂材料で構成されている
    ことを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。
  5. 請求項4において、
    上記フィルム部材(17)は、フッ化ビニリデンを含む材料で構成されている
    ことを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。
  6. 2枚のフィルム部材(17,17)の側面に金属膜(18)が形成された一対の金属化フィルム(16,16)を重ね合わせた状態で捲回し、その幅方向の両端部に電極部材(19,19)を接続して形成されるフィルムコンデンサであって、
    上記フィルム部材(17)は、基材上に樹脂組成物を塗布し、該樹脂組成物を乾燥させることで形成されると共に、該フィルム部材(17)の結晶融点以下の温度で熱処理がなされている
    ことを特徴とするフィルムコンデンサ。
  7. 請求項6において、
    上記フィルム部材(17)は、フッ素系の樹脂材料で構成されている
    ことを特徴とするフィルムコンデンサ。
  8. 請求項7において、
    上記フィルム部材(17)は、フッ化ビニリデンを含む材料で構成されている
    ことを特徴とするフィルムコンデンサ。
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