JP6885275B2 - フィルムコンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、金属化フィルムを備えたフィルムコンデンサに関する。
この種のフィルムコンデンサとして、誘電体フィルムと金属蒸着膜とにより形成される金属化フィルムを備え、金属蒸着膜の形成時にメタリコン電極側の金属蒸着膜部分を他の部分よりも所定の幅で厚く形成したものが開示されている(特許文献1参照)。この従来のフィルムコンデンサは、金属蒸着膜が金属膜層、誘電体フィルムが高分子フィルム、メタリコン電極が電極引き出し用メタリコンでそれぞれ形成されている。
従来のフィルムコンデンサは、一般に、金属化フィルムが積層または巻回された金属化フィルム柱体および金属化フィルム柱体の電極取り出し面に形成されたメタリコン電極からなる金属化フィルム素子を備えている。さらに、従来のフィルムコンデンサは、金属化フィルム素子を収容するケースと、ケース内に金属化フィルム素子を封止し、線膨張率(/℃)が金属化フィルムよりも小さい封止材とを備えている。
特開2008−263172号公報
しかしながら、従来のフィルムコンデンサにおいては、フィルムコンデンサの温度が高温から低温に変化したとき、金属化フィルムとメタリコン電極との接合部分が剥離してしまうことがある。この剥離は、フィルムコンデンサの温度が高温から低温に変化する際、封止材の線膨張率が金属化フィルムよりも小さく、封止材の収縮が金属化フィルムの収縮よりも小さいので、封止材の収縮が金属化フィルムの収縮に追従することができないために生ずる。なお、線膨張率は、温度変化により材料の長さが変化する割合を示し、低温から高温への温度変化により材料が膨張する場合だけでなく、高温から低温への温度変化により材料が収縮する場合も含まれる。このような温度変化による接合部分の剥離によって、フィルムコンデンサの機能が損なわれてしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、高温から低温への温度変化があっても、金属化フィルムとメタリコン電極との接合部分が剥離することがなく、コンデンサとしての機能を保持することができるフィルムコンデンサを提供することを課題とする。
本発明に係るフィルムコンデンサは、誘電体フィルムと金属蒸着膜とからなる金属化フィルムが積層または巻回されて形成された金属化フィルム柱体および前記金属化フィルム柱体の電極取り出し面に形成されたメタリコン電極からなる金属化フィルム素子と、前記金属化フィルム素子が収容されるケースと、前記ケース内に収容された前記金属化フィルム素子を封止する、線膨張率が前記金属化フィルムよりも小さい封止材と、を有するフィルムコンデンサにおいて、前記金属化フィルムと前記メタリコン電極との接合強度は、前記封止材と前記メタリコン電極との接合強度よりも大きいことを特徴とする。
本発明に係るフィルムコンデンサにおいては、ケース内に金属化フィルム素子を収容して封止する封止材の線膨張率は、金属化フィルムの線膨張率よりも小さくなっている。その結果、高温から低温への温度変化があると、封止材が収縮する大きさは、金属化フィルムが収縮する大きさよりも小さくなるので、金属化フィルムが収縮しようとする収縮力は、金属化フィルムが封止材から離隔する方向に作用する。この金属化フィルムの収縮力は、金属化フィルムとメタリコン電極との接合部分および封止材とメタリコン電極との接合部分にも作用する。
本発明に係るフィルムコンデンサにおいては、金属化フィルムとメタリコン電極との接合強度が、封止材とメタリコン電極との接合強度よりも大きくなっているので、金属化フィルムの収縮力により、金属化フィルムとメタリコン電極との接合部分よりも封止材とメタリコン電極との接合部分の方が先に剥離する。封止材とメタリコン電極との接合部分が剥離すると、金属化フィルムの収縮力は消滅し、金属化フィルムとメタリコン電極との接合が維持される。その結果、高温から低温への温度変化があってもコンデンサとしての機能が保持される。
本発明によれば、高温から低温への温度変化があっても、金属化フィルムとメタリコン電極との接合部分が剥離することがなく、コンデンサとしての機能を保持することができるフィルムコンデンサを提供することができる。
本発明の実施形態に係るフィルムコンデンサの図であり、図1(a)は、フィルムコンデンサの分解斜視図を示し、図1(b)は、フィルムコンデンサの断面図を示す。 本発明の実施形態に係るフィルムコンデンサの金属化フィルム素子の断面図であり、図2(a)は、金属化フィルム素子のメタリコン電極の表面に離型剤を塗布した状態を示し、図2(b)は、金属化フィルム素子のメタリコン電極の表面に粉体を塗布した状態を示す。 本発明の実施形態に係るフィルムコンデンサの実施例および比較例におけるサンプルの概略の作製工程を説明する説明図。 本発明の実施形態に係るフィルムコンデンサの実施例および比較例におけるサンプルの温度変化による効果を説明するグラフであり、図4(a)は、−40℃から120℃に変化させたときの温度変化とコンデンサ容量との関係を示し、図4(b)は、120℃から−40℃に変化させたときの温度変化とコンデンサ容量との関係を示す。 本発明の実施形態に係るフィルムコンデンサの実施例および比較例におけるサンプルの温度変化による効果を説明する説明図であり、図5(a)は、実施例のフィルムコンデンサの説明図を示し、図5(b)は、比較例のフィルムコンデンサの説明図を示す。
本発明に係るフィルムコンデンサを適用した実施形態に係るフィルムコンデンサ10の構成について図面を参照して説明する。
実施形態に係るフィルムコンデンサ10は、 図1(a)、図1(b)に示すように、金属化フィルム素子20と、ケース30と、封止材40とにより構成されている。フィルムコンデンサ10は、金属化フィルム素子20に電圧が印加されると金属化フィルム素子20内に電荷を蓄えることができる所定の静電容量(F)、いわゆるコンデンサ容量を備えた受動素子からなる。
金属化フィルム素子20は、金属化フィルム柱体21と、メタリコン電極22と、一対のバスバーなどの端子23とにより構成されている。金属化フィルム柱体21は、数万枚程度の多数の金属化フィルム31が積層され、または数万回程度の多回数で金属化フィルム31が巻回されて柱状に形成されている。
なお、説明の便宜上図1(b)には、一対の金属化フィルム31のみを示す。金属化フィルム31は、フィルムの材質によっても異なるが所定の線膨張率(/℃)を有している。なお、線膨張率は(/K)でも表されるが、(/K)で表す場合には、[K]=[℃]+273.15の関係にある。
金属化フィルム31は、誘電体フィルム41と、金属蒸着膜42とを有している。誘電体フィルム41は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレン・ナフタレート(PEN)などの良好な耐湿性および電気特性を有する高分子フィルムからなる。誘電体フィルム41は、2μm乃至4μm程度の厚みで形成されている。
金属蒸着膜42は、高真空中で蒸着材料を加熱し気化、昇華させ気体分子となった蒸着材料を誘電体フィルム41に衝突付着させる真空蒸着により形成された蒸着薄膜からなる。蒸着材料は、アルミニウム(Al)や亜鉛(Zn)などの良好な耐電圧特性を有する金属材料からなる。
なお、金属蒸着膜42を真空蒸着以外のスパッタリングやイオンプレーティングなどの薄膜形成方法で形成してもよい。また、蒸着金属を複数の領域に分割し、分割した領域毎にヒューズを設け分割した領域で形成されるコンデンサ部を保護するようにしてもよい。このコンデンサ部に自己回復の限界を超え絶縁破壊が発生した場合、ヒューズが短絡電流により溶断され、他のコンデンサ部からこの領域のコンデンサ部を遮断するようにして他のコンデンサ部を保護するようにしてもよい。
メタリコン電極22は、金属化フィルム柱体21の一方端部の電極取り出し面21aと他方端部の電極取り出し面21bに形成された一対の電極からなり、例えば溶解した金属微粒子を金属化フィルム柱体21の一方端部および他方端部に吹き付けて表面で固化させるコーティング、いわゆる溶射金属による接合により形成される。
各メタリコン電極22の表面には端子23との結合を良好にする部材、例えばはんだ層が形成されており、各端子23が各メタリコン電極22の表面にそれぞれ電気的に固く接続されるようになっている。
端子23は、一対のメタリコン電極22にそれぞれ接合された導体からなり、メタリコン電極22に接合された部分の反対側は、図1(b)に示すように、ケース30の側面から突出している。端子23の突出した部分に電圧が印加されると、金属化フィルム素子20に電圧が印加されるようになっている。
ケース30は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)などの良好な耐湿性や難燃性を有する合成樹脂で形成されている。ケース30は、図1(a)に示すように、外形状が直方体で一方の側面が開口されており、短側内壁30aと長側内壁30bで囲まれた内空間30cを有し、その内空間30cに、金属化フィルム素子20および端子23の一部が収容される。
封止材40は、エポキシ樹脂(EP)、ポリウレタン樹脂(PUR)、シリコーン樹脂(SI)などの良好な絶縁性、耐熱性、耐湿性および熱伝導性を有する合成樹脂からなる。封止材40の線膨張率は、金属化フィルム31の線膨張率よりも小さくなっている。封止材40は、ケース30内に収容した金属化フィルム素子20および端子23の一部と短側内壁30aおよび長側内壁30bとの間の内空間30cに充填される。
金属化フィルム素子20のメタリコン電極22および端子23の表面には、メタリコン電極22および端子23と封止材40との接合強度を低下させる接合強度低下処理がなされている。
接合強度低下処理としては、例えば図2(a)に示すメタリコン電極22および端子23の表面自由エネルギー(mJ/m)を低下させる処理や、図2(b)に示すメタリコン電極22および端子23の表面に粉体を塗布する処理が挙げられる。
表面自由エネルギーを低下させる処理は、封止材40の凝集力よりも小さな凝集力を有する材料をメタリコン電極22および端子23の表面に塗布する処理からなる。なお、凝集力とは、液体や固体の原子またはイオン間に働く引力をいい、この引力により液体や固体は、凝集して一定の体積を保つことができる。
封止材40の凝集力よりも小さな凝集力を有する材料として、炭素原子数の大きい鎖式モノカルボン酸からなる高級脂肪酸、一価または二価の高級アルコールとのエステルを指す融点の高い油脂状の物質からなるワックスおよびシロキサン結合による主骨格を持つ、合成高分子化合物からなるシリコーンなどの離型剤が挙げられる。
なお、これらの離型剤に防湿性がある場合には、メタリコン電極22から金属化フィルム柱体21への水分の浸入を防ぎ、高湿下での金属化フィルム柱体21の耐久性を向上させることも可能となる。
表面自由エネルギー(mJ/m)は、固体などの物質の表面のエネルギーをいい、固体内部のいわゆるバルク分子は、周辺分子との相互作用で安定したバランスを保つが、表面分子は相手分子が少ないため不安定なバランスとなり、過剰なエネルギーを持つことになる。この過剰なエネルギーが表面自由エネルギーとなる。したがって、表面自由エネルギーが高いほど、相手側の気体や微粒子を吸着し易くなり、相手側の固体と付着し易くなる。この表面自由エネルギーを低下させることで、相互の接合強度を低下させることができる。
なお、接合強度は、接合部分の機械的な強度試験などで定量的かつ客観的に評価することもできる。例えば接合強度の評価方法として、ISO規格による樹脂−金属接合特性評価試験や、試料に破断するまで制御された張力をかけ、試料の引張強度などの機械的性質を測定する引張試験、試料の両端を支えて中央に荷重を加える曲げ試験などが挙げられる。
メタリコン電極22および端子23の表面に粉体を塗布する処理においては、接合強度を低下させる粉体として、例えば二酸化ケイ素(SiO)、いわゆるシリカが挙げられる。シリカをメタリコン電極22および端子23の表面に塗布することでメタリコン電極22および端子23が封止材40と直接接合するのを妨げることができ、メタリコン電極22と端子23との接合強度を低下させることができる。
また、塗布する粉体に防湿性がある場合には、メタリコン電極22から金属化フィルム柱体21への水分の浸入を防ぐか、または水分の浸入を遅延させることで、高湿下での金属化フィルム柱体21の耐久性を向上させることも併せて可能となる。
本実施形態に係るフィルムコンデンサ10は、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合強度が、封止材40とメタリコン電極22との接合強度よりも大きくなるように、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合、封止材40とメタリコン電極22との接合がなされている。
具体的には、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分は、溶射金属による接合が行われるので強固に接合されている。他方、封止材40とメタリコン電極22との接合部分は、接合強度を低下させる接合強度低下処理がなされているので、接合強度は低下している。したがって、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合強度は、封止材40とメタリコン電極22との接合強度よりも大きくなっている。
以下、本実施形態に係るフィルムコンデンサ10の実施例および比較例により、本発明に係るフィルムコンデンサについてさらに具体的に説明する。但し、本発明に係るフィルムコンデンサの技術的範囲は実施例に限定されるものではない。
<実施例>
実施例においては、フィルムコンデンサ10のサンプルBを作製する。サンプルBは、まず、厚み3μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる誘電体フィルム41にアルミニウム(Al)などの金属を真空蒸着して金属化フィルム31を作製する。作製した金属化フィルム31を数万回巻回して金属化フィルム柱体21を作製する。
次いで、作製された金属化フィルム柱体21の電極取り出し面21a、21bにそれぞれ溶融金属を射出してメタリコン電極22を電極取り出し面21a、21bに形成する。形成したメタリコン電極22にそれぞれ端子23を接続し、図3に示すように、金属化フィルム素子20を作製する。
作製した金属化フィルム素子20のメタリコン電極22および端子23の表面に、東レ・ダウコーニング社製の高真空用グリスHVG−50からなる離型剤Rを塗布する。続いて、離型剤Rが塗布された金属化フィルム素子20をケース30に収容する。そして、ケース30内に、エポキシ樹脂(EP)を主成分とするソマール社製のエピフォームK−8876からなる封止材40を充填する。
ケース30内に封止材40を充填して封止材40の脱泡を行ったのち、85℃で1時間封止材40を硬化させ、さらに90℃で3時間封止材40を硬化させてフィルムコンデンサ10のサンプルBを完成させる。
<比較例>
比較例においては、フィルムコンデンサ10のサンプルAを作製する。サンプルAは、図3に示すように、金属化フィルム素子20のメタリコン電極22および端子23の表面に、離型剤Rを塗布する処理を行わない点がサンプルBと異なっている。サンプルAは、この離型剤Rの塗布処理を除いて、サンプルBと同様に作製され、サンプルAを完成させる。
<サンプルの評価>
完成したサンプルBおよびサンプルAを所定温度の高温槽に投入し、サンプルBおよびサンプルAの各構成要素が膨張することで発生する単位面積当たりの力で表される膨張応力(N/mm)、または各構成要素が収縮することで発生する収縮応力(N/mm)を各構成要素に生じさせてサンプルBおよびサンプルAを評価する。
具体的には、サンプルBおよびサンプルAのそれぞれを−40℃の低温槽に所定時間だけ投入したのち、120℃の高温槽に所定時間だけ投入し、サンプルBおよびサンプルAの各構成要素に膨張応力を生じさせて、サンプルBおよびサンプルAをそれぞれ高温槽から取り出してサンプルBおよびサンプルAを評価する。
また、サンプルBおよびサンプルAのそれぞれを120℃の高温槽に所定時間だけ投入したのち、−40℃の低温槽に所定時間だけ投入し、サンプルBおよびサンプルAの各構成要素に収縮応力を生じさせて、サンプルBおよびサンプルAをそれぞれ低温槽から取り出してサンプルBおよびサンプルAを評価する。
取り出したサンプルBおよびサンプルAのそれぞれに対して、公知の電気特性試験で静電容量(μF)、いわゆるコンデンサ容量を求めサンプルBおよびサンプルAを評価する。サンプルBおよびサンプルAの−40℃から120℃への温度変化の場合、図4(a)に示すように、サンプルBおよびサンプルAの双方とも、−40℃ではコンデンサ容量がほぼ25μFであり、120℃でも、コンデンサ容量がほぼ25μFで、大きな変化は見られなかった。
サンプルBおよびサンプルAは−40℃から120℃への温度変化を加えても、良好な電気特性を有しておりコンデンサの機能が保持されていた。したがって、少なくともサンプルBおよびサンプルAの金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分で剥離などの損傷は発生していないと評価できる。
−40℃から120℃への温度変化の場合、金属化フィルム31の線膨張率(/℃)が封止材40の線膨張率よりも大きくなっているので、金属化フィルム31の膨張が大きいのに対して、封止材40の膨張は小さい。
したがって、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分は、互いに押し合う圧縮力が作用し、この圧縮力は、メタリコン電極22と封止材40との接合部分にも作用する。その結果、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分およびメタリコン電極22と封止材40との接合部分に剥離が生ずることはないと考えられる。
一方、120℃から−40℃への温度変化の場合、図4(b)に示すように、サンプルBは、120℃ではコンデンサ容量がほぼ25μFであり、−40℃でも、コンデンサ容量がほぼ25μFで、大きな変化は見られなかった。
その結果、サンプルBは、120℃から−40℃への温度変化の場合、良好な電気特性を有しておりコンデンサの機能が保持されていることが分かる。したがって、サンプルBの少なくとも金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分で剥離などの損傷は発生していないと評価できる。
サンプルBに120℃から−40℃への温度変化を加えても、良好な電気特性を有するのは、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合強度が、封止材40とメタリコン電極22との接合強度よりも大きくなっているからであると評価できる。
サンプルBの温度が、120℃から−40℃へ変化すると、金属化フィルム31の線膨張率(/℃)が封止材40の線膨張率よりも大きくなっているので、金属化フィルム31の収縮が大きいのに対して、封止材40の収縮は小さい。したがって、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分は、互いに引き合う引張力が作用し、引張力はメタリコン電極22と封止材40との接合部分にも作用する。
この引張力により、接合強度の比較的小さいメタリコン電極22と封止材40との接合部分が金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分よりも先に剥離する。この剥離により、引張力は消滅し、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合が維持される。
サンプルBは、図5(a)に示すように、メタリコン電極22と封止材40との接合部分に剥離が生じているが、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分に剥離が生じていないと評価することができる。
これに対し、サンプルAに120℃から−40℃への温度変化を加えた場合、図4(b)に示すように、120℃では、サンプルAはサンプルBと同様、コンデンサ容量がほぼ25μFであるが、−40℃では、サンプルAはコンデンサ容量が約10μFに低下している。
約10μFのコンデンサ容量では、フィルムコンデンサとしての適正な電気特性が得られない。したがって、少なくともサンプルAの金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分での導通がとれておらず、この接合部分が剥離していることが分かる。
120℃から−40℃への温度変化の場合、サンプルAは、メタリコン電極22と封止材40との接合部分に離型剤Rが塗布されていないので、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合強度が、封止材40とメタリコン電極22との接合強度よりも大きくなっていないと考えられる。
120℃から−40℃への温度変化を加えると、サンプルAは、サンプルBと同様、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分に、互いに引き合う引張力が作用し、メタリコン電極22と封止材40との接合部分にも作用する。
この引張力により、図5(b)に示すように、接合強度の比較的小さい金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分がメタリコン電極22と封止材40との接合部分よりも先に剥離してしまう。この剥離は、サンプルAの温度が120℃の高温から−40℃の低温に変化する際、封止材40の線膨張率が金属化フィルム31よりも小さく、封止材40の収縮が金属化フィルム31の収縮よりも小さいので、封止材40の収縮が金属化フィルム31の収縮に追従することができないために生ずると考えられる。その結果、サンプルAの金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分の剥離によりサンプルAのコンデンサ容量が低下してしまうと考えられる。
実施例および比較例で説明したように、本実施形態に係るフィルムコンデンサ10は、
金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合強度が、封止材40とメタリコン電極22との接合強度よりも大きくなっているので、高温から低温への温度変化があっても、金属化フィルム31とメタリコン電極22との接合部分が剥離することがなく、コンデンサとしての機能を保持することができるという効果が得られる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
10・・・フィルムコンデンサ、20・・・金属化フィルム素子、21・・・金属化フィルム柱体、21a、21b・・・電極取り出し面、22・・・メタリコン電極、23・・・端子、30・・・ケース、30a・・・短側内壁、30b・・・長側内壁、30c・・・内空間、31・・・金属化フィルム、40・・・封止材、41・・・誘電体フィルム、42・・・金属蒸着膜

Claims (1)

  1. 誘電体フィルムと金属蒸着膜とからなる金属化フィルムが積層または巻回されて形成された金属化フィルム柱体および前記金属化フィルム柱体の電極取り出し面に形成されたメタリコン電極からなる金属化フィルム素子と、前記金属化フィルム素子が収容されるケースと、前記ケース内に収容された前記金属化フィルム素子を封止する、線膨張率が前記金属化フィルムよりも小さい封止材と、を有するフィルムコンデンサにおいて、
    前記メタリコン電極の表面に二酸化ケイ素の粉体が塗布されており、
    前記金属化フィルムと前記メタリコン電極との接合強度は、前記封止材と前記メタリコン電極との接合強度よりも大きいことを特徴とするフィルムコンデンサ。
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