JP2013073180A - 剥離現像用フレキソ印刷版原版 - Google Patents

剥離現像用フレキソ印刷版原版 Download PDF

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Abstract

【課題】裏露光を必要としないことからフレキソ印刷版のレリーフ深度を深くできるとともにその分作業工程を少なくでき、高精度に剥離現像可能な剥離現像用フレキソ印刷版原版を提供すること。
【解決手段】支持体12、支持体接着層14、感光層16、剥離接着層18、剥離体20の順で積層されたもので構成され、下記の(A)および(B)を満たすものとする。
(A)感光層16の硬化前には、感光層16と支持体接着層14との間の剥離力が、剥離接着層18と剥離体20との間の剥離力より小さい
(B)感光層16の硬化後には、感光層16と支持体接着層14との間の剥離力が、剥離接着層18と剥離体20との間の剥離力より大きい
(C)感光層16の硬化後には、剥離接着層18と剥離体20との間の剥離力が、感光層16の硬化部の破壊強度よりも小さい
【選択図】図1

Description

本発明は、フレキソ印刷版に好適な原版としてのフレキソ印刷版原版に関し、さらに詳しくは、剥離現像用のフレキソ印刷版原版に関するものである。
フレキソ印刷に用いられるフレキソ印刷版原版は、ポリエステルフィルムなどからなる支持体の上に感光性の樹脂組成物などからなる感光層を備えているのが一般的である。フレキソ印刷版の現像は、この原版の感光層の面に所定の画像を露光したのち感光層の露光されていない未硬化部を除去することにより行われている。
フレキソ印刷版の現像方法としては、一般的に、現像液中でブラッシングすることにより未硬化部の除去を行う方法が知られている。しかしながら、この現像方法では現像液を使用するため、現像液の廃液が出て廃液処理が必要になるという問題がある。
一方、このような現像液を用いない現像方法も知られている。例えば特許文献1には、感光層の未硬化部を加熱によって液化し、これを不織布で吸い取ることにより現像する現像方法が開示されている。また、例えば特許文献2〜3には、感光層の未硬化部を剥離することにより現像する現像方法が開示されている。
特開平05−19469号公報 特許第2550421号公報 特開2009−204855号公報
一般的に、フレキソ印刷版においては、感光層の硬化後の硬化部と支持体との間の接着性を確保するために、表面側からネガを通して感光層に主露光を行う前に、裏面側から支持体を通して感光層に裏露光を行い、感光層の支持体側に、所定の厚みで、硬化後の硬化部の土台となる硬化層を予め形成している。現像方法が剥離現像方法の場合においても、基本的にこのような裏露光を必要とする。
このように裏露光を行う場合には、形成した硬化層の厚みの分だけ、感光層のレリーフ深度(凸部と凹部の高さの差)が浅くなり、ネガの画像を再現する画像再現性が悪くなるおそれがある。また、裏露光を行う作業工程が増えるという問題がある。
加えて、剥離現像を行う場合には、感光層の硬化部を残し、未硬化部だけを高精度に剥離除去して、ネガの画像再現性を満足させることも課題となる。
本発明が解決しようとする課題は、裏露光を必要としないことからフレキソ印刷版のレリーフ深度を深くできるとともにその分作業工程を少なくでき、高精度に剥離現像可能な剥離現像用フレキソ印刷版原版を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る剥離現像用フレキソ印刷版原版は、感光層を支持する支持体、前記支持体と前記感光層との間を接着する支持体接着層、前記感光層、前記感光層と該感光層の未硬化部を剥離させる剥離体との間を接着する剥離接着層、前記剥離体、の順で積層された剥離現像用フレキソ印刷版原版であって、下記の(A)〜(C)を満たすことを要旨とするものである。
(A)前記感光層の硬化前には、前記感光層と前記支持体接着層との間の剥離力が、前記剥離接着層と前記剥離体との間の剥離力より小さい
(B)前記感光層の硬化後には、前記感光層と前記支持体接着層との間の剥離力が、前記剥離接着層と前記剥離体との間の剥離力より大きい
(C)前記感光層の硬化後には、前記剥離接着層と前記剥離体との間の剥離力が、前記感光層の硬化部の破壊強度よりも小さい
本発明に係る剥離現像用フレキソ印刷版原版においては、剥離接着層にアクリル樹脂、光重合性モノマー、および、光重合開始剤が含まれていることが好ましい。この場合、アクリル樹脂のTgは50℃以下であることが望ましい。また、アクリル樹脂はカルボキシル基を有するアクリル樹脂であることが望ましい。また、剥離接着層にはさらに硬化剤が含まれていることが望ましい。
また、本発明に係る剥離現像用フレキソ印刷版原版においては、剥離体にポリエステルが含まれていることが好ましい。また、支持体接着層にポリエステルが含まれていることが好ましい。また、感光層に光重合性モノマー、ゴム、水分散ラテックス、光重合開始剤が含まれていることが好ましい。
そして、本発明に係る剥離現像用フレキソ印刷版原版は、剥離体の剥離接着層に接する面とは反対の表面に、バインダーポリマーおよび赤外線吸収物質を含有する赤外線アブレーション層と、該赤外線アブレーション層を保護するカバーフィルムと、が剥離体の表面からこの順で設けられていても良い。
本発明に係る剥離現像用フレキソ印刷版原版によれば、上記の(A)〜(C)を満足することから、主露光により感光層の一部を硬化させた後、剥離現像を行うと、感光層の未硬化部では、感光層と支持体接着層との間が剥離され、感光層の未硬化部は剥離接着層および剥離体とともに除去される。一方、感光層の硬化部では、剥離接着層と剥離体との間が剥離され、感光層の硬化部は剥離接着層とともに支持体接着層上に残る。これにより、感光層の硬化部を残し、未硬化部だけを高精度に剥離除去して、ネガの画像再現性を満足させることができるため、高精度に剥離現像することが可能となる。また、感光層の硬化後には硬化部と支持体との間の接着性が十分に確保されるため、裏露光によって感光層に土台を形成しなくても良い。このように裏露光を必要としないことから、土台を形成しない分、フレキソ印刷版のレリーフ深度を深くできるため、画像再現性に優れるようになる。また、土台を形成しない分、作業工程を少なくできる。
この際、剥離接着層にアクリル樹脂、光重合性モノマー、および、光重合開始剤が含まれていれば、感光層の一部を硬化させたときに剥離接着層の一部も硬化される。剥離接着層の硬化部は、硬くなることで粘着性が低下するため、剥離体との間の接着性が低下する。一方で、剥離接着層には感光層の光硬化性成分と相溶しやすい光重合性モノマーが含まれることから、剥離接着層の硬化部と感光層との間の接着性は維持されるか向上する。これにより、感光層の硬化部では、剥離接着層と剥離体との間が剥離されやすくなる。したがって、上記(B)および(C)を満足させやすくなる。
このとき、アクリル樹脂のTgが50℃以下であると、硬化前の剥離接着層の粘着性に優れるため、硬化前の剥離接着層と剥離体との間の剥離力が大きくなることにより、上記(A)を満足させやすくなる。また、アクリル樹脂がカルボキシル基を有するアクリル樹脂であると、硬化前の感光層の粘着性に優れる。また、剥離体との間の親和性に優れるため、硬化前の剥離接着層と剥離体との間の剥離力が大きくなることにより、上記(A)を満足させやすくなる。
そして、剥離接着層にさらに硬化剤が含まれている場合には、剥離接着層の強度が向上するため、剥離現像の際、特に未硬化部の剥離を安定させることができる。また、これに加え、剥離接着層の破壊によるフレキソ印刷版原版あるいはフレキソ印刷版の強度低下を抑えることができる。
そして、剥離体にポリエステルが含まれている場合には、剥離接着層との間の親和性に優れるため、硬化前の剥離接着層と剥離体との間の剥離力が大きくなることにより、上記(A)を満足させやすくなる。
そして、支持体接着層にポリエステルが含まれていれば、感光層の硬化部と支持体接着層との間の剥離力は、感光層の未硬化部と支持体接着層との間の剥離力よりも大きくなる。そのため、上記(B)を満足させやすい。これは、支持体接着層にポリエステルが含まれることで、支持体接着層の材料と感光層に含まれる光硬化性成分との相溶性が良くなり、光硬化性成分の一部が支持体接着層に移行することによって、感光層の硬化後に、支持体接着層と感光層の硬化部との間の接着力(結合力)が高められるためと推察される。
そして、前記感光層に、光重合性モノマー、ゴム、水分散ラテックス、光重合開始剤が含まれていれば、感光層の硬化部と支持体接着層との間の剥離力は、感光層の未硬化部と支持体接着層との間の剥離力よりも大きくなりやすい。そのため、上記(B)を満足させやすい。これは、光重合性モノマーが支持体接着層に移行して、感光層の硬化後に、支持体接着層と感光層の硬化部との間の接着力(結合力)が高められやすいためと推察される。
本発明の一実施形態に係るフレキソ印刷版原版の断面図である。 本発明の他の実施形態に係るフレキソ印刷版原版の断面図である。 図1のフレキソ印刷版原版から得られるフレキソ印刷版の製造工程の一例を示した工程図である。 図2のフレキソ印刷版原版から得られるフレキソ印刷版の製造工程の一例を示した工程図である。 フレキソ印刷版原版の剥離試験方法を示す模式図である。 フレキソ印刷版原版に適用するネガパターンを示す模式図である。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る剥離現像用フレキソ印刷版原版の断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る剥離現像用フレキソ印刷版原版(以下、単にフレキソ印刷版原版ということがある。)10は、感光層16を支持する支持体12、支持体12と感光層16との間を接着する支持体接着層14、感光層16、感光層16と該感光層16の未硬化部を剥離させる剥離体20との間を接着する剥離接着層18、剥離体20、の順で積層されたものからなる。
感光層16は、露光されることにより露光された部分が硬化する光硬化性成分を含んだ材料で構成されている。フレキソ印刷版原版10は、露光後には、感光層16の一部に硬化部が形成され、この硬化部を支持体接着層14上に残しつつ、未硬化部を支持体接着層14から剥離することにより現像が行われるものである。この際、剥離接着層18のうち感光層16の硬化部上にある部分は、感光層16の硬化部とともに支持体接着層14上に残り、剥離接着層18のうち感光層16の未硬化部上にある部分は、感光層16の未硬化部とともに剥離除去される。
このような構成において、フレキソ印刷版原版10は、下記の(A)〜(C)を満たすものである。
(A)感光層16の硬化前には、感光層16と支持体接着層14との間の剥離力が、剥離接着層18と剥離体20との間の剥離力より小さい
(B)感光層16の硬化後には、感光層16と支持体接着層14との間の剥離力が、剥離接着層18と剥離体20との間の剥離力より大きい
(C)感光層16の硬化後には、剥離接着層18と剥離体20との間の剥離力が、感光層16の硬化部の破壊強度よりも小さい
なお、以下では、剥離体20と剥離接着層18との間の界面を界面aとし、感光層16と支持体接着層14との間の界面を界面bとし、剥離接着層18と感光層16との間の界面を界面cとし、支持体接着層14と支持体12との間の界面を界面dとして説明する場合がある。
フレキソ印刷版原版10は、上記の(A)および(B)を満たすことにより、感光層16の支持体12側に硬化部の土台となる硬化層を一定の厚みで形成する必要がなく、露光後(主露光後)には、剥離現像により、感光層16の未硬化部では、感光層16と支持体接着層14との間(界面b)で剥離され、感光層16の未硬化部は剥離接着層18の未硬化部および剥離体20とともに除去される。一方、感光層16の硬化部では、剥離接着層18と剥離体20との間(界面a)で剥離され、感光層16の硬化部は剥離接着層18の硬化部とともに支持体接着層14上に残る。これにより、感光層16の硬化部を残し、感光層16の未硬化部を高精度に剥離除去して、ネガの画像再現性を満足させることができるため、高精度に剥離現像することが可能となる。
上記(A)および(B)をともに満足させる構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、次の(1)〜(3)の構成を挙げることができる。フレキソ印刷版原版10においては、これらのいずれの構成であっても良いし、上記(A)および(B)をともに満足させるものであれば他の構成であっても良い。なお、(3)は、下記(1)と(2)とを組み合わせたものからなるものである。
(1)感光層16を硬化させると、剥離接着層18と剥離体20との間(界面a)の接着力が低下する。すなわち、感光層16を硬化させる前と後とで、界面aの接着力が変化し、硬化させる前よりも硬化させた後の界面aの接着力が低くなる。なお、(1)においては、界面bや界面cの接着力は、感光層16を硬化させる前と後とで変化しないか、感光層16の硬化後に上昇することが好ましい。
(2)感光層16を硬化させることにより、感光層16と支持体接着層14との間(界面b)の接着力が上昇する。すなわち、感光層16の硬化後の硬化部と支持体接着層14との間の接着力が感光層16の未硬化部と支持体接着層14との間の接着力よりも高い。なお、(2)においては、界面aの接着力は、感光層16を硬化させる前と後とで変化しないか、感光層16の硬化後に低下することが好ましく、界面cの接着力は、感光層16を硬化させる前と後とで変化しないか、感光層16の硬化後に上昇することが好ましい。
(1)の構成を得る方法としては、例えば、剥離接着層18を構成する材料に光硬化性成分が含まれ、感光層16と同様、剥離接着層18も、露光されることにより露光された部分が硬化することなどを挙げることができる。剥離接着層18の硬化部は、硬くなることで粘着性が低下するため、剥離体20との間の接着性が低下する。一方で、剥離接着層18には感光層16の光硬化性成分と相溶しやすい光硬化性成分が含まれることから、剥離接着層18の硬化部と感光層16の硬化部との間の接着性は維持されるか向上する。
(2)の構成を得る方法としては、例えば、支持体接着層14を構成する材料に感光層16の光硬化性成分と相溶する材料を用いることなどを挙げることができる。これにより、光硬化性成分の一部が支持体接着層14に移行しやすくなる。光硬化性成分の一部が支持体接着層14に移行すると、硬化後に支持体接着層14と感光層16との間の接着力(結合力)が上昇する。
硬化後に支持体接着層14と感光層16との間の接着力(結合力)が上昇すると、感光層16の硬化後には硬化部と支持体12との間の接着性が十分に確保されるため、裏露光によって感光層16の支持体接着層14側に一定の厚みの硬化層(感光層16の硬化部の土台となる部分)を形成しなくても良い。裏露光を必要としない場合には、土台を形成しない分、フレキソ印刷版のレリーフ深度を深くできるため、画像再現性に優れるようになる。また、土台を形成しない分、作業工程を少なくできる。
なお、上記の(1)の構成を得る方法や(2)の構成を得る方法は、その一例を示したものであって、これらの方法は、上記の例示に限定されるものではない。同様の作用を示す構成であれば他の構成も適用できる。
そして、上記(C)を満足させる構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記の(1)の構成を得る方法として例示したように、剥離接着層18を構成する材料に光硬化性成分が含まれ、感光層16と同様、剥離接着層18も、露光されることにより露光された部分が硬化することなどを挙げることができる。このとき、感光層16を硬化させた後の硬化部の破断強度よりも、硬化後の剥離接着層18と剥離体20との間の接着力(結合力)が低くなるような材料を、剥離接着層18を構成する材料に用いると良い。
感光層16の未硬化部と支持体接着層14との間(界面b)の剥離力は、剥離現像時に未硬化部が支持体接着層14上に残るのを抑え、未硬化部と支持体接着層14との間(界面b)で確実に剥離されるなどの観点から、未硬化部の破壊強度よりも小さいことが好ましい。また、未硬化部と支持体接着層14との間(界面b)で確実に剥離されるなどの観点から、未硬化部と剥離接着層18との間(界面c)の剥離力よりも小さいことが好ましい。さらに、剥離接着層18の未硬化部の破壊強度よりも小さいことが好ましい。
剥離接着層18の硬化部と剥離体20との間(界面a)の剥離力は、剥離現像時に剥離接着層18の硬化部が剥離体20上に付くのを抑え、剥離接着層18の硬化部と剥離体20との間(界面a)で確実に剥離されるなどの観点から、剥離接着層18の硬化部の破壊強度よりも小さいことが好ましい。また、剥離接着層18の硬化部と剥離体20との間(界面a)で確実に剥離されるなどの観点から、感光層16の硬化部と剥離接着層18の硬化部との間(界面c)の剥離力よりも小さいことが好ましい。さらに、感光層16の硬化部の破壊強度よりも小さいことが好ましい。
感光層16の未硬化部と支持体接着層14との間の剥離力としては、剥離現像時に感光層16の未硬化部が支持体接着層14上に残りにくく、感光層16の未硬化部と支持体接着層14との間で確実に剥離されるなどの観点から、5.0N/幅3cm以下であることが好ましい。より好ましくは3.0N/幅3cm以下、さらに好ましくは1.0N/幅3cm以下である。一方、作業時のハンドリング性に優れるなどの観点から、0.1N/幅3cm以上であることが好ましい。より好ましくは0.3N/幅3cm以上である。
感光層16を硬化させた後の硬化部と支持体接着層14との間の剥離力は、剥離現像時に感光層16の硬化部が剥離されず確実に支持体接着層14上に残るなどの観点から、5.0N/幅3cm以上であることが好ましい。より好ましくは10.0N/幅3cm以上、さらに好ましくは20.0N/幅3cm以上である。支持体接着層14を構成する材料に感光層16の光硬化性成分と相溶する材料を用いると、感光層16の硬化部と支持体接着層14との間の剥離力を20.0N/幅3cm以上に設定しやすい。
剥離接着層18の未硬化部と剥離体20との間の剥離力は、剥離現像時に剥離接着層18の未硬化部が確実に剥離体20に付いて感光層16の未硬化部とともに支持体接着層14から剥離されるなどの観点から、1.0N/幅3cm以上であることが好ましい。より好ましくは3.0N/幅3cm以上、さらに好ましくは5.0N/幅3cm以上である。後述するように、剥離接着層18を構成する材料に粘着性のアクリル樹脂が含まれると、剥離接着層18の未硬化部と剥離体20との間の剥離力を5.0N/幅3cm以上に設定しやすい。
剥離接着層18の硬化部と剥離体20との間の剥離力は、剥離現像時に剥離接着層18の硬化部が剥離体20に付かず、剥離接着層18の硬化部と剥離体20との間で確実に剥離されるなどの観点から、20.0N/幅3cm以下であることが好ましい。より好ましくは10.0N/幅3cm以下、さらに好ましくは2.0N/幅3cm以下である。剥離接着層18を構成する材料に光硬化性成分が含まれると、剥離接着層18の硬化部と剥離体20との間の剥離力を2.0N/幅3cm以下に設定しやすい。
剥離力は、JIS K 6854で規定される方法に準拠して、例えばT型剥離試験、180°剥離試験、90°剥離試験などにより測定することができる。なお、上記剥離力は、180°剥離試験において、剥離力を測定する際の試験体の幅を3cmとしたときの値であるため、単位をN/幅3cmとしている。剥離力の測定の際には、試験体の幅を適宜変更することができる。また、感光層16や剥離接着層18の破壊強度も、同様に、JIS K 6854で規定される方法に準拠して、例えばT型剥離試験、180°剥離試験、90°剥離試験などにより測定することができる。そして、感光層16の硬化部との間の剥離力や感光層16の硬化部の破壊強度、剥離接着層18の硬化部との間の剥離力や剥離接着層18の硬化部の破壊強度は、感光層16や剥離接着層18をUVA18.5J/cmの光量でUV照射して硬化させたときに測定したものとすることができる。
ここで、感光層16を構成する材料としては、上記光硬化性成分として光重合性モノマーを含むものなどを例示することができる。感光層16を構成する材料には、光重合性モノマーに加えて、例えば、バインダーポリマー、光重合開始剤などを配合することができる。感光層16を構成する材料には、さらに、感光層16に配合される各種添加剤などが含まれていても良い。このような添加剤としては、界面活性剤、可塑剤、熱重合禁止剤(安定剤)、紫外線吸収剤、染料、顔料、消泡剤、香料などを挙げることができる。なお、上記光重合性モノマーには、光重合性オリゴマーも含まれる。
光重合性モノマー(オリゴマー、以下、同様である。)としては、エチレン性不飽和化合物などを挙げることができる。エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリル変性重合体などを挙げることができる。(メタ)アクリル変性重合体としては、例えば(メタ)アクリル変性ブタジエンゴム、(メタ)アクリル変性ニトリルゴムなどを挙げることができる。これらは単独で用いられていても良いし、2種以上併用しても良い。
(メタ)アクリルモノマーとしては、アルキル系(メタ)アクリルモノマー、エチレングリコール系(メタ)アクリルモノマー、グリセリン系(メタ)アクリルモノマー、ウレタン系(メタ)アクリルモノマーなどを挙げることができる。これらのうちでは、支持体接着層14への移行がより一層進行しやすいなどの理由で、アルキル系(メタ)アクリルモノマー、芳香環を有する(メタ)アクリルモノマーなどが好ましい。一方、エチレングリコール系(メタ)アクリルモノマーやグリセリン系(メタ)アクリルモノマーなどは、これらの中では比較的、支持体接着層14への移行が進行しにくいものとして挙げることができる。
より具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート・エチル(メタ)アクリレート・プロピル(メタ)アクリレート・ブチル(メタ)アクリレート・イソアミル(メタ)アクリレート・2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート・ラウリル(メタ)アクリレート・ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート・3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート・クロロプロピル(メタ)アクリレート等のハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート・エトキシエチル(メタ)アクリレート・ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート・ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート・メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート・メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート・2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート・2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキルジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコール等のエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン等の多価ビニル化合物等を挙げることができる。
光重合性モノマーの含有量としては、特に限定されるものではないが、好ましくは10〜80質量%の範囲内、より好ましくは20〜50質量%の範囲内である。光重合性モノマーの含有量が10質量%以上であれば、架橋密度の不足がなく、良好な画像再現性とインク耐性が得られやすい。一方、光重合性モノマーの含有量が80質量%以下であれば、レリーフが脆くなく、かつ、フレキソ印刷版の特徴である柔軟性が確保されやすい。
バインダーポリマーとしては、ゴムを含む材料を挙げることができる。ゴムを含むことにより、フレキソ印刷版のゴム弾性が高まるため、種々の被刷体に印刷しやすくできるなどの効果が期待できる。バインダーポリマーには、上記ゴムの他に、水分散ラテックスが含まれていても良い。水分散ラテックスとは、重合体粒子を分散質として水中に分散したものである。この水分散ラテックスから水を除去することにより、重合体が得られる。水分散ラテックスを用いることで、剥離現像後に感光層の一部が残ったとしても、これを水で洗い流すことができる。
ゴムとしては、具体的には、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、塩素化ポリエチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)などを挙げることができる。また、これらのゴムのうち、不飽和結合を有するものについての部分あるいは完全水素添加物などを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併合して用いても良い。
水分散ラテックスとしては、具体的には、ポリブタジエンラテックス、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリクロロプレンラテックス、ポリイソプレンラテックス、ポリウレタンラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、ビニルピリジン重合体ラテックス、ブチル重合体ラテックス、チオコール重合体ラテックス、アクリレート重合体ラテックスなどの水分散ラテックス重合体やこれら重合体にアクリル酸やメタクリル酸などの他の成分を共重合して得られる重合体などを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併合して用いても良い。
光重合開始剤は、光重合性モノマーの光重合を開始させるものであれば特に限定されず、例えば、アルキルフェノン類、アセトフェノン類、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アントラキノン類、ベンジル類、ビアセチル類等の光重合開始剤を挙げることができる。具体的には、例えば、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、メチル−O−ベンゾイルベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができる。
光重合開始剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、好ましくは0.3〜5質量%の範囲内、より好ましくは0.5〜3質量%の範囲内である。光重合開始剤の含有量が0.3質量%以上であれば、光重合性モノマーの光重合反応が十分に起こり、良好な画像が形成できる。一方、光重合開始剤の含有量が5質量%以下であれば、感度が高すぎないため、露光時間の調節が容易になる。
感光層16の厚さとしては、特に限定されるものではないが、0.01〜3mmの範囲内であることが好ましい。感光層16の厚さが0.01mm以上であれば、レリーフ深度を十分に確保できる。一方、感光層16の厚さが3mm以下であれば、フレキソ印刷版原版10の重さを抑えることができ、画像再現性、剥離現像性に優れ、実用上、印刷版として使用することができる。
剥離接着層18を構成する材料としては、上記の(1)の構成を得ることを目的とする場合には、例えば、光硬化性成分が含まれ、露光されることにより露光された部分が硬化するものなどを挙げることができる。剥離接着層18の硬化部は、硬くなることで粘着性が低下するため、剥離体20との間の接着性が低下する。一方で、剥離接着層18には感光層16の光硬化性成分と相溶しやすい光硬化性成分が含まれることから、剥離接着層18の硬化部と感光層16の硬化部との間の接着性は維持されるか向上する。
剥離接着層18の光硬化性成分としては、感光層16において示した光重合性モノマーなどを挙げることができる。特に限定されるものでないが、粘着性成分と相溶性が良いものが好ましい。
剥離接着層18を構成する材料には、上記光硬化性成分に加えて、粘着性成分や光重合開始剤などが含まれていても良い。また、硬化剤が含まれていても良い。また、接着材料に添加される添加剤が含まれていても良い。粘着性成分は、剥離接着層18の硬化前における接着性(粘着性)を確保するなどの目的で用いられる。剥離接着層18の光重合開始剤としては、感光層16において示した光重合開始剤などを挙げることができる。硬化剤は、配合することにより剥離接着層18の強度が向上するため、剥離現像の際、特に未硬化部の剥離を安定させることができる。また、これに加え、剥離接着層18の破壊によるフレキソ印刷版原版あるいはフレキソ印刷版の強度低下を抑えることができる。添加剤としては、界面活性剤、可塑剤、熱重合禁止剤(安定剤)、紫外線吸収剤、染料、顔料、消泡剤、香料などを挙げることができる。
光硬化性成分の含有量としては、特に限定されるものではないが、硬化前の接着性(粘着性)と硬化後の粘着性の低下とのバランスに優れるなどの観点から、粘着性成分100質量部対し、10〜80質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは10〜60質量部の範囲内である。
光重合開始剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、好ましくは0.3〜5質量%の範囲内、より好ましくは0.5〜3質量%の範囲内である。光重合開始剤の含有量が0.3質量%以上であれば、光硬化性成分の光重合反応が十分に起こり、剥離接着層18の粘着性を低下させることができる。一方、光重合開始剤の含有量が5質量%以下であれば、感度が高すぎないため、露光時間の調節が容易になる。
粘着性成分としては、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂、天然ゴム、NBR、SBRなどのゴムなどを挙げることができる。このうちでは、硬化前における剥離体20や感光層16との接着性に特に優れるなどの観点から、アクリル樹脂が特に好ましい。
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルの単独重合体あるいは共重合体を挙げることができる。これらは、単独で用いることもできるし、2種以上を併用しても良い。アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、炭素数が1〜8のアルキル基を有するものなどを挙げることができる。具体的には、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどを挙げることができる。
アクリル樹脂としては、粘着性に優れるなどの観点から、Tgが比較的低いものが好ましい。上記観点から、アクリル樹脂のTgとしては、50℃以下であることが好ましい。より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは0℃以下である。なお、Tgは、JIS K7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して測定される値である。
アクリル樹脂としては、感光層16や剥離体20との接着性に優れるなどの観点から、カルボキシル基(−COOH)やカルボン酸塩基を有するものが好ましい。この際、カルボキシル基の含有量としては、感光層16や剥離体20との接着性に優れるなどの観点から、3〜40KOHmg/gの範囲内であることが好ましい。
アクリル樹脂のより好ましい例としては、上記好ましいTgの範囲を満足しやすく、粘着性に優れるなどの観点から、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体、アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体などを挙げることができる。
剥離接着層18を構成する材料に配合しうる硬化剤は、自己架橋やアクリル樹脂の反応し得る官能基と架橋することで剥離接着層18の強度を向上する。このような硬化剤としては、特に限定されるものではないが、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メチロールメラミンなどを挙げることができる。また、必要に応じて硬化促進剤を併用しても良い。硬化剤としては、特にイソシアネート化合物が好ましい。
イソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物が好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、脂環族、芳香族、脂肪族のジイソシアネート化合物を挙げることができる。また、ポリイソシアネート化合物は、アダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体等の3官能以上のポリイソシアネート化合物も用いることができる。
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシネート、ジシクロヘキシルメタン−4、4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどを挙げることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネートなどを挙げることができる。
剥離接着層18を構成する材料に、アクリル樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤を含む場合には、剥離接着層18の未硬化部と剥離体20との間の剥離力を1.0N/幅3cm以上にしやすく、また、剥離接着層18を硬化させた後の硬化部と剥離体20との間の剥離力を2.0N/幅3cm以下にしやすい。
一方、上記の(1)の構成を得ることを目的としない場合には、剥離接着層18を構成する材料としては、上記の(A)〜(C)を満たす範囲内において、剥離体20と感光層16とを接着させることができるものであれば特に限定されず、公知の他の接着剤などを用いることができる。
剥離接着層18の厚さとしては、特に限定されるものではないが、1〜100μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは5〜30μmの範囲内である。剥離接着層18の厚さが1μm以上であれば、接着が確保できる。一方、剥離接着層18の厚さが100μm以下であれば、感光層16までの距離が短く、UV光が直線的に感光層16に照射されるため、画像再現性に優れる。
支持体接着層14を構成する材料としては、上記の(2)の構成を得ることを目的とする場合には、例えば、感光層16の硬化成分と相溶する材料を好ましい材料として用いることができる。これにより、光硬化性成分の一部が支持体接着層14に移行しやすくなるため、硬化後に支持体接着層14と感光層16との間の接着力(結合力)を高めることができる。この結果、感光層16を硬化させることにより、感光層16と支持体接着層14との間の接着力を上昇させて、感光層16の硬化後の硬化部と支持体接着層14との間の接着力を感光層16の未硬化部と支持体接着層14との間の接着力よりも高くすることができる。
感光層16の硬化成分と相溶する材料は、特に限定されるものではないが、例えばポリエステルを含むことが好ましい。支持体接着層14にポリエステルが含まれることで、支持体接着層14の材料と感光層16に含まれる光硬化性成分との相溶性が良くなり、光硬化性成分の一部が支持体接着層14に移行することによって、露光後に、支持体接着層14と感光層16との間の接着力(結合力)が高められると推察される。
支持体接着層14にポリエステルが含まれる場合には、感光層16を構成する材料が光硬化性成分として(メタ)アクリルモノマーを含むと、感光層16の未硬化部と支持体接着層14との間の剥離力を1.0N/幅3cm以下にしやすく、また、感光層16を硬化させた後の硬化部と支持体接着層14との間の剥離力を20.0N/幅3cm以上にしやすい。
支持体接着層14にポリエステルが含まれる場合には、さらに、硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤としては、特に限定されるものではないが、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メチロールメラミンなどを挙げることができる。また、必要に応じて硬化促進剤を併用しても良い。硬化剤としては、特にイソシアネート化合物が好ましい。イソシアネート化合物を含むことにより、イソシアネート化合物の自己架橋やポリエステルの反応し得る官能基と架橋することで、フレキソ印刷を行う際のインクに接触しても支持体接着層14から接着性成分が流れ出ないようにすることができる。したがって、繰り返しフレキソ印刷を行ったときにも接着層としての機能は長期にわたって維持される。
ポリエステルは、支持体接着層14の接着性成分であることが好ましい。ポリエステルは、多価カルボン酸とポリオールとの重縮合体で構成される。ポリエステルを形成する多価カルボン酸としては、芳香族骨格を有する芳香族多価カルボン酸、脂肪族骨格を有する脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸および脂肪族多価カルボン酸の両方を含む多価カルボン酸を挙げることができる。多価カルボン酸としては、ジカルボン酸やトリカルボン酸などが好ましく用いられる。ポリエステルを形成するポリオールとしては、ジオールやトリオールなどが好ましく用いられる。ポリエステルは、結晶性のものであっても良いし、非晶性のものであっても良い。
ポリエステルとしては、特に限定されるものではないが、感光層16の光硬化性成分との相溶性に優れるなどの観点から、非晶性のポリエステルであることが好ましい。また、同様の観点から、Tgが比較的低いものであることが好ましい。また、強度に優れるなどの観点から、芳香族多価カルボン酸に由来する芳香族成分を含むことが好ましい。このようなポリエステルとしては、例えば、芳香族多価カルボン酸および脂肪族多価カルボン酸を含む多価カルボン酸とポリオール化合物とを反応させて得られるポリエステルポリオールを挙げることができる。
ポリエステルのTgとしては、特に限定されるものではないが、柔軟性や接着性に優れるなどの観点から、70℃以下であることが好ましい。より好ましくは50℃以下である。なお、Tgは、JIS K7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して測定される値である。また、ポリエステルの数平均分子量としては、特に限定されるものではないが、強度や接着性に優れるなどの観点から、3000〜30000であることが好ましい。より好ましくは10000〜20000である。なお、ポリエステルの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で表される分子量とすることができる。
芳香族カルボン酸としては、具体的には、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、オキシビス(安息香酸)、エチレン−1,2−ビス(p−オキシ安息香酸)、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、4,4’−スルホニルジ安息香酸などを挙げることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらのうちでは、より接着性に優れるなどの観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸とイソフタル酸の混合物が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数が6〜12のものが特に好ましい。より具体的には、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸などを挙げることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらのうちでは、より接着性に優れるなどの観点から、アジピン酸、セバシン酸、アジピン酸とセバシン酸の混合物が好ましい。
ポリオール化合物としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの低分子量ポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコールなどのポリエーテル系ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどのポリオレフィン系ポリオール、アジペート系ポリオール、ラクトン系ポリオールなどを挙げることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらのうちでは、より接着性に優れるなどの観点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールが好ましい。
支持体接着層14を構成する材料に配合しうるイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物が好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、上記剥離接着層18において示したものなどを挙げることができる。
一方、上記の(2)の構成を得ることを目的としない場合には、支持体接着層14を構成する材料としては、上記の(A)〜(C)を満たす範囲内において、支持体12と感光層16とを接着させることができるものであれば特に限定されず、公知の接着剤などを用いることができる。
支持体接着層14の厚さとしては、特に限定されるものではないが、1〜100μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは5〜50μmの範囲内である。
支持体12を構成する材料は、特に限定されるものではないが、樹脂などが好ましい。支持体12は、感光層16を裏露光する必要がないことなどから、透明であっても良いし、透明でなくても良い。透明とは、露光ができる程度に光が透過することをいう。支持体12としては、寸法安定性に優れることから、PETフィルムなどのポリエステルフィルムが好ましい。支持体12の厚みとしては、感光層16などの積層された層を支持するのに十分な強度が得られるなどの観点から、50〜300μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは50〜200μmの範囲内である。
剥離体20を構成する材料は、特に限定されるものではないが、樹脂などが好ましい。感光層16の露光は、剥離体20を残した状態で剥離体20側から行うことから、剥離体20は露光ができる程度に透明であることが好ましい。
剥離体20としては、具体的には、PETフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンフィルム,ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルムなどを挙げることができる。このうち、剥離接着層との間の親和性に優れ、硬化前の剥離接着層と剥離体との間の剥離力が大きくなるなどの観点から、ポリエステルフィルムが特に好ましい。剥離体20の厚さとしては、取り扱い性に優れる、傷などから保護する機能に優れるなどの観点から、25〜200μmの範囲内が好ましい。より好ましくは50〜150μmの範囲内である。
ここで、上記フレキソ印刷版原版10は、支持体12、支持体接着層14、感光層16、剥離接着層18、剥離体20の順で積層された積層体よりなるものであるが、本発明に係るフレキソ印刷版原版は、さらに赤外線アブレーション層を備えたものであっても良い。図2には、他の実施形態に係るフレキソ印刷版原版30を示す。
図2に示すように、他の実施形態に係るフレキソ印刷版原版30は、剥離接着層18と剥離体20との間に赤外線アブレーション層22が設けられ、赤外線アブレーション層22上には赤外線アブレーション層22を覆って保護するカバーフィルム24が設けられており、支持体12、支持体接着層14、感光層16、剥離接着層18、剥離体20、赤外線アブレーション層22、カバーフィルム24の順で積層されたものよりなる。他の実施形態に係るフレキソ印刷版原版30は、赤外線アブレーション層22、カバーフィルム24以外の構成については、上記フレキソ印刷版原版10と同様であるため、その説明を省略する。
赤外線アブレーション層22は、感光層16の表面を覆うマスクとなる部分である。赤外線アブレーション層22は、赤外線レーザにより除去され得る部分であるとともに、除去されなかった部分が紫外光を遮蔽(吸収)して感光層16に紫外光が照射されないようにマスクする部分である。紫外光を遮蔽するなどの観点から、赤外線アブレーション層22の厚さとしては、0.1〜5μmの範囲内であることが好ましい。この赤外線アブレーション層22は、バインダーポリマーおよび赤外線吸収物質を含有する組成物で構成されている。
赤外線アブレーション層22のバインダーポリマーとしては、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、天然ゴム、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用して用いても良い。
赤外線吸収物質としては、赤外線を吸収して熱に変換し得る物質であれば、特に限定されるものではない。赤外線吸収物質としては、具体的には、カーボンブラック、アニリンブラック、シアニンブラックなどの黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、ローダミン色素、ナフトキノン系色素、ポリメチン染料、ジイモニウム塩、アゾイモニウム系色素、カルコゲン系色素、カーボングラファイト、鉄粉、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、アリールアルミニウム金属塩類、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、酸化コバルトや酸化タングステンなどの金属酸化物、これらの金属の水酸化物、硫酸塩、ビスマス,スズ,テルル,アルミニウムの金属粉などを挙げることができる。このうち、紫外線吸収機能をも有するなどの観点から、カーボンブラック、カーボングラファイトなどが好ましい。
赤外線吸収物質の含有量は、使用する赤外線レーザ光線で赤外線アブレーション層22が除去されるような感度を有する範囲となる量であれば良い。赤外線吸収物質の含有量としては、好ましくは0.1〜75質量%の範囲内、より好ましくは1〜50質量%の範囲内である。
赤外線アブレーション層22は、これらの成分の他に、各種の添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収物質、染料、顔料、消泡剤、香料などを挙げることができる。
紫外線吸収物質としては、300〜400nmの領域に吸収を有する物質が好ましい。このような物質としては、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、カーボンブラック、上記赤外線吸収物質で示される金属あるいは金属酸化物などを挙げることができる。
カバーフィルム24を構成する材料は、特に限定されるものではないが、剥離体20を構成する材料で示した材料などを挙げることができる。感光層16の露光は、カバーフィルム24を剥離して赤外線アブレーション層22にネガパターンを描画した後に行われることから、カバーフィルム24を残した状態でカバーフィルム24側から感光層16を露光するわけではないので、カバーフィルム24は透明でなくても良いし、透明であっても良い。
次に、フレキソ印刷版原版の製造方法の一例について説明する。
一実施形態に係るフレキソ印刷版原版10は、例えば、支持体12と剥離体20との間に感光層16を形成する感光性組成物を挟み、感光性組成物の厚さが所定の厚さになるように所定の温度でプレスすることにより製造することができる。支持体12の感光性組成物に接触する面には、例えば、予め支持体接着層14を形成する接着材料を塗工し、また、剥離体20の感光性組成物に接触する面には、予め剥離接着層18を形成する接着材料を塗工する。これにより、支持体12と感光性組成物との間や、感光性組成物と剥離体20との間を接着することができる。
なお、支持体接着層14を形成する接着材料や、剥離接着層18を形成する接着材料は、上記するように塗工可能となるように液状であっても良いし、フィルム状、シート状などの固形状であっても良い。固形状の場合には、支持体12と感光性組成物との間や、感光性組成物と剥離体20との間に、それぞれの接着材料を挟み、熱圧着等を行うことによりこれらの間を接着することができる。
他の実施形態に係るフレキソ印刷版原版30は、例えば、カバーフィルム24と剥離体20の間に赤外線アブレーション層22が形成された積層体と支持体12との間に感光層16を形成する感光性組成物を挟み、感光性組成物の厚さが所定の厚さになるように所定の温度でプレスすることにより製造することができる。支持体12の感光性組成物に接触する面には、予め支持体接着層14を形成する接着材料を塗工し、また、剥離体20の感光性組成物に接触する面には、予め剥離接着層18を形成する接着材料を塗工することができる。あるいは、支持体12と感光性組成物との間や、感光性組成物と剥離体20との間に、それぞれの接着材料を挟み、熱圧着等を行うことによりこれらの間を接着することができる。
感光層16を形成する感光性組成物は、上記する各成分を混練し、必要に応じて脱水することにより調製できる。水分散ラテックスを含む場合、予め水分散ラテックスを脱水した後、水分散ラテックスから得られた重合体と、これ以外の成分とを混練することによっても調製できる。混練時に用いる混練機としては、2軸押出機、単軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを挙げることができる。
赤外線アブレーション層22は、例えば、赤外線アブレーション層22を形成する組成物の各成分を溶剤に溶解させて塗工液を調製し、これを剥離体20あるいはカバーフィルム24の表面に塗工した後、剥離体20とカバーフィルム24を貼り合わせ、乾燥させて溶剤を除去することにより形成することができる。また、赤外線アブレーション層22は、例えば、カバーフィルム24と剥離体20の間に赤外線アブレーション層22を形成する組成物を挟み、この組成物の厚さが所定の厚さになるように所定の温度でプレスすることによっても形成することができる。
溶剤としては、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤や、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤や、メタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤や、酢酸メチルなどのエステル系溶剤や、グリコール系溶剤や、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性の極性溶剤などを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
次に、フレキソ印刷版の製造方法の一例について説明する。図3、4には、それぞれ、図1、2のフレキソ印刷版原版から得られるフレキソ印刷版の製造工程の一例を示す。図3(a)には露光工程を示し、図3(b)には現像工程を示す。また、図4(a)には描画工程を示し、図4(b)には露光工程を示し、図4(c)には現像工程を示す。
フレキソ印刷版は、フレキソ印刷版原版の感光層16にレリーフ像を形成したものである。フレキソ印刷版は、基本的に、フレキソ印刷版原版の感光層16に光を照射して感光層16にレリーフ像の元となる硬化部を形成する露光工程と、感光層16の未硬化部を除去して硬化部よりなるレリーフ像を形成する現像工程と、を経ることにより製造できる。
図3(a)に示すように、一実施形態に係るフレキソ印刷版原版10では、露光工程で、剥離体20の上に予めネガパターンが形成されているネガフィルム26を載せ、ネガフィルム26を通して(ネガフィルム26の上から)感光層16に光(紫外線等)を照射する。ネガフィルム26は、所望の画像マスクとして機能し、感光層16の光が当たった部分は硬化し、光が当たらなかった部分は硬化しない。これにより、感光層16には、レリーフ像の元となる硬化部16aと、現像工程で剥離される未硬化部16bとが形成される。
フレキソ印刷版原版10では、感光層16の上にある剥離接着層18にも、ネガフィルム26を通して部分的に光(紫外線等)が照射される。光硬化性成分を含んだ剥離接着層18では、光が当たった部分は硬化し、光が当たらなかった部分は硬化しない。これにより、感光層16の硬化部16a上に剥離接着層18の硬化部18aが形成され、感光層16の未硬化部16b上に剥離接着層18の未硬化部18bが形成される。剥離接着層18の硬化部18aは、感光層16の硬化部16aとともにレリーフ像の元となる部分であり、剥離接着層18の未硬化部18bは、感光層16の未硬化部16bとともに現像工程で剥離される部分である。
次いで、図3(b)に示すように、現像工程で、剥離体20を剥離する。このとき、感光層16の未硬化部16bと支持体接着層14との間の剥離力が剥離接着層18の未硬化部18bと剥離体20との間の剥離力より小さく、かつ、感光層16の硬化部16aと支持体接着層14との間の剥離力が剥離接着層18の硬化部18aと剥離体20との間の剥離力より大きいので、感光層16の未硬化部16bでは感光層16(16b)と支持体接着層14との間で剥離され、感光層16の硬化部16aでは剥離接着層18(18a)と剥離体20との間で剥離される。これにより、剥離接着層18の硬化部18aとともに感光層16の硬化部16aを支持体接着層14上に残しつつ、剥離接着層18の未硬化部18bとともに感光層16の未硬化部16bを支持体接着層14から剥離除去して、剥離接着層18の硬化部18aおよび感光層16の硬化部16aよりなるレリーフ像を支持体12上に形成する。
剥離現像後には、必要に応じて、現像液を用いた現像も行うことができる。現像液を用いた現像は、例えばスプレー式現像装置やブラシ式洗い出し機などを用いて残存する未硬化部16bを洗い出すことにより行うことができる。仮に、現像液を用いた現像を行う場合でも、上記剥離現像によって感光層16の未硬化部16bの除去が行われていることから、現像液を用いた現像のみの場合と比べて廃液量を低減することができる。
現像液には、例えば水系の現像液を用いることができる。水系の現像液は、水に、必要に応じて界面活性剤やpH調整剤などを添加したもので構成される。この場合、感光層16を形成する感光性組成物には、水現像可能とするために、水分散ラテックスが含まれていることが好ましい。現像液を用いた現像を行う場合には、必要に応じて、フレキソ印刷版を乾燥させる乾燥工程を実施しても良い。
次いで、必要に応じて、得られたフレキソ印刷版材全体に再度光を照射する後露光工程を実施しても良い。
露光工程や後露光工程においては、例えば、300〜400nmの波長の光を照射できる高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯、ケミカル灯などを用いることにより紫外線を照射できる。
一方、他の実施形態に係るフレキソ印刷版原版30では、露光工程の前に、ネガパターンを作製する描画工程を経る。具体的には、図4(a)に示すように、カバーフィルム24を剥離して赤外線アブレーション層22を露出させ、赤外線アブレーション層22に赤外線レーザを照射して赤外線アブレーション層22の所定の部分を除去することにより、所望のネガパターンを作製する。なお、他の実施形態に係るフレキソ印刷版原版30の露光工程(図4(b))および現像工程(図4(c))は、一実施形態に係るフレキソ印刷版原版10の露光工程(図3(a))および現像工程(図3(b))と同様であるため、その説明を省略する。
赤外線レーザとしては、ルビーレーザ,アレキサンドライトレーザ,ペロブスカイトレーザ,Nd−YAGレーザ,エメラルドガラスレーザなどの固体レーザ、InGaAsP,InGaAs,GaAsAlなどの半導体を用いた半導体レーザ、ローダミン色素などの色素レーザなどを挙げることができる。
本発明に係る印刷版原版は、使用時に、感光層16の上(具体的には剥離体20の上)にネガフィルム26(すでに画像が形成されているもの)を密着させる、いわゆるアナログ方式の印刷版原版であっても良いし、予め感光層16の上(具体的には剥離体20の上)に赤外線アブレーション層22が密着している、いわゆるCTP(Computer to plate)方式に含まれるLAM(Laser ablation mask)方式の印刷版原版であっても良い。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<感光層組成物の調製>
水分散ラテックス45.5質量部(固形分としての重合体は25質量部)と、アクリル変性液状BR15質量部と、アクリルモノマー(1,9−ノナンジオールジメタクリレート)5質量部とを混合し、120℃に加熱した乾燥機で2時間水分を蒸発させて、水分散ラテックスから得られた重合体と光重合性モノマーとの混合物を得た。この混合物と、BR<1>15質量部と、BR<2>15質量部と、界面活性剤2質量部と、可塑剤15質量部とをニーダー中で45分間混練した。その後、ニーダー中に、熱重合禁止剤0.2質量部と、光重合開始剤を1質量部と、紫外線吸収剤0.03質量部とを投入し、5分間混練して、感光層組成物を調製した。
<支持体接着層用接着材料の調製>
ポリエステル100質量部と、硬化剤(HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート)2質量部とをトルエン:メチルエチルケトン1:1混合溶剤で溶解・混合し、固形分30%の支持体接着層用接着材料を調製した。
<剥離接着層用接着材料の調製>
アクリル樹脂100質量部と、硬化剤(イソシアネート化合物)5質量部と、アクリルモノマー(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)30質量部と、光重合開始剤(ジメチルベンジルケタール)2質量部とをトルエン:メチルエチルケトン=1:1混合溶剤で溶解・混合し、固形分20質量%の剥離接着層用接着材料を調製した。
(実施例1)
<フレキソ印刷版原版の作製>
厚さ125μmのPETフィルム(支持体)の一方面に支持体接着層用接着材料を乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布し、厚さ50μmのPETフィルム(剥離体)の一方面に剥離接着層用接着材料を乾燥後の厚さが30μmとなるように塗布し、いずれも接着材料が塗布された面を内側にして支持体と剥離体との間に感光層組成物を挟み、感光層組成物の厚さが1.0mmになるように120℃に加熱したプレス機でプレスすることにより、支持体、支持体接着層、感光層、剥離接着層、剥離体がこの順で積層された実施例1のフレキソ印刷版原版を作製した。
(実施例3)
支持体接着層用接着材料の調製において、硬化剤を用いなかった以外は実施例1と同様にして、実施例3のフレキソ印刷版原版を作製した。
(比較例1)
剥離接着層用接着材料の調製において、アクリルモノマーおよび光重合開始剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1のフレキソ印刷版原版を作製した。
(比較例2)
剥離接着層用接着材料の調製において、アクリル樹脂に代えてポリエステルを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2のフレキソ印刷版原版を作製した。
(実施例2)
<赤外線アブレーション層組成物の調製>
アクリル樹脂75質量部およびNBR25質量部からなるバインダーポリマー100質量部に対し、カーボンブラック100質量部および可塑剤3質量部を加え、さらに溶剤としてメチルイソブチルケトン812質量部を加え、羽攪拌にて混合した。得られた混合液を三本ロールミルを用いて分散させた後、固形分が15質量%となるようにさらにメチルイソブチルケトンを加えることにより、赤外線アブレーション層組成物を調製した。
<フレキソ印刷版原版の作製>
厚さ50μmのPETフィルム(剥離体)の一方面に、乾燥後の塗膜の厚さが1μmとなるように、バーコータで赤外線アブレーション層組成物を塗布し、120℃で5分乾燥させた後に厚さ125μmのPETフィルム(カバーフィルム)を貼り合わせることにより、剥離体とカバーフィルムの間に赤外線アブレーション層を形成した。次いで、この積層体の剥離体の表面に剥離接着層用接着材料を塗布し、120℃で10分乾燥させた。次いで、実施例1と同様に、接着材料を内側にして、積層体と支持体との間に感光層組成物を挟み、プレスすることで、支持体、支持体接着層、感光層、剥離接着層、剥離体、赤外線アブレーション層、カバーフィルムがこの順で積層された実施例2のフレキソ印刷版原版を作製した。
以下に、本実施例において用いた各成分を具体的に示す。
<感光層組成物の成分>
・水分散ラテックス:[(日本ゼオン株式会社製「ニポールLX111NF」)から得られた重合体]
・BR<1>:[日本ゼオン株式会社製、ニポールBR1220]
・BR<2>:[JSR株式会社製、RB810]
・アクリル変性液状BR:[大阪有機化学株式会社製、BAC−45]
・アクリルモノマー:[日油株式会社製、1,9−ノナンジオールジメタクリレート]
・界面活性剤:[花王株式会社製、エマール0]
・熱重合禁止剤:[精工化学株式会社製、MEHQ(ハイドロキノンモノメチルエーテル)]
・光重合開始剤:[チバ・ジャパン株式会社製、イルガキュア651]
・紫外線吸収剤:[チバ・ジャパン株式会社製、チヌビン326]
・可塑剤:[エッソ石油株式会社製、クリストール70]
<支持体接着層用接着材料の成分>
・ポリエステル:[東洋紡績社製「バイロンGK330」、数平均分子量17000、Tg=16℃、酸成分:テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸]
・硬化剤:[イソシアネート化合物、旭化成ケミカルズ社製「デュラネートTPA−100」]
<剥離接着層用接着材料の成分>
・アクリル樹脂(粘着性成分):根上工業社製「パラクロンME−3500」、主成分:アクリル酸ブチル、Tg=−35℃、酸価20KOHmg/g
・硬化剤:イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業社製「コロネートL」
・アクリルモノマー(光硬化性成分):大阪有機化学社製「ビスコート♯400」
・光重合開始剤:チバ・ジャパン株式会社製
・ポリエステル:[東洋紡績社製「バイロンGK330」]
<赤外線アブレーション層組成物の成分>
・アクリル樹脂:[根上工業(株)社製「プレコート200」]
・NBR:[日本ゼオン株式会社製「ニポールDN101」]
・カーボンブラック:[三菱化学株式会社製「MA8」]
・可塑剤:[和光純薬工業(株)社製、O−アセチルクエン酸トリブチル]
作製したフレキソ印刷版原版(実施例1、3、比較例1、2、参考例)について剥離試験を行い、剥離界面の確認と剥離力を測定した。その試験結果を表1に示す。剥離試験は、JIS K 6854に準拠して室温(23℃)下で行った。図5に剥離試験の様子を模式的に示す。
なお、表1の参考例は、実施例1と同じ構成の試験体を用い、支持体側から波長ピークが360〜380nmの水銀ランプで数秒間露光して感光層の支持体側に土台となる硬化層を形成した後、感光層のカバーフィルム側が未硬化状態のものについて上記剥離試験を行ったものである。
<剥離試験>
(未硬化状態のものについて)
作製したフレキソ印刷版原版から幅3cm長さ20cmの試験体を採取した。図5に示すように、この試験体の一方の短辺側において、引張試験機の一方の把持具で把持するのに必要な長さだけ支持体接着層と感光層との間を剥離して一方の把持具で支持体および支持体接着層の一端部を把持した。また、この試験体の一方の短辺側において、引張試験機の他方の把持具で把持するのに必要な長さだけ剥離体と剥離接着層との間を剥離して他方の把持具で剥離体の一端部を把持した。引張速度500mm/min.で一方の把持具により支持体および支持体接着層の一端部を剥離方向に引っ張ることにより、T型剥離試験を行った(JIS K6854−3に準拠)。このときの引張荷重を剥離力(N/幅3cm)とした。
(硬化状態のものについて)
作製したフレキソ印刷版原版のカバーフィルム側から波長ピークが360〜380nmの水銀ランプで約10cmの距離で10分間露光して感光層全体を硬化させた。この際、UV照度計で光量を測定したところ、UVA域で18.5J/cmであった。次いで、硬化したものから幅3cm長さ20cmの試験体を採取した。次いで、この試験体について、上記(未硬化状態のものについて)と同様にT型剥離試験を行った(JIS K6854−3に準拠)。
Figure 2013073180
実施例1、3においては、感光層が未硬化状態のものは、支持体接着層と感光層との間(界面b)で剥離した。このことから、実施例では、感光層の未硬化部と支持体接着層との間(界面b)の剥離力は剥離体と剥離接着層との間(界面a)の剥離力より小さいことが示された。
また、実施例1、3においては、感光層が硬化状態のものは、剥離体と剥離接着層との間(界面a)で剥離した。このことから、感光層を硬化させた後の硬化部と支持体接着層との間(界面b)の剥離力は感光層を硬化させた後の剥離体と剥離接着層との間(界面a)の剥離力より大きいことが示された。
これに対し、比較例1では、感光層が未硬化状態のものは、支持体接着層と感光層との間(界面b)で剥離した。一方、感光層が硬化状態のものは、支持体接着層と感光層との間(界面b)、あるいは、剥離体と剥離接着層との間(界面a)で剥離する前に、硬化した感光層の破壊が生じた。このため、界面aあるいは界面bでの剥離力は測定できなかった。なお、このときの引張荷重は24N/幅3cmであり、この値が上記条件で硬化させたときの硬化した感光層の破断強度である。
ここで、比較例1の支持体接着層に用いた接着材料は、各実施例の支持体接着層に用いた接着材料と同じである。この場合において、比較例1の感光層が硬化状態のものでは、界面bあるいは界面aで剥離する前に、硬化した感光層の破壊が生じた。このことから、各実施例において、感光層を硬化させた後の硬化部と支持体接着層との間(界面b)の剥離力は、感光層の硬化部の破断強度との関係で24N/幅3cm超であることが確認できた。
比較例2では、支持体接着層と剥離接着層に同じような接着材料(ポリエステルとイソシアネートとを含む材料)を用いているため、感光層が未硬化状態のものは、支持体接着層と感光層との間(界面b)と、剥離体と剥離接着層との間(界面a)の両方で剥離が生じ、剥離界面が安定しなかった。このため、界面bでの剥離力は正しく測定できなかった。一方、感光層が硬化状態のものは、界面bあるいは界面aで剥離する前に、硬化した感光層の破壊が生じた。このため、界面aあるいは界面bでの剥離力は測定できなかった。
参考例では、感光層が未硬化状態のもの(主露光前のもの)は、支持体接着層と感光層との間(界面b)、あるいは、剥離体と剥離接着層との間(界面a)で剥離する前に、感光層の未硬化部で破壊が生じた。このため、界面bでの剥離力は測定できなかった。なお、このときの引張荷重は5.2N/幅3cmであり、この値が感光層の未硬化部の破断強度である。そして、このことから、各実施例において、感光層が未硬化状態の場合における剥離体と剥離接着層との間(界面a)の剥離力は、感光層の未硬化部の破断強度との関係で5.2N/幅3cm超であることが確認できた。
以上のことから、各実施例のフレキソ印刷版原版は、上記の(A)〜(C)を満たしていることが示された。これに対し、比較例1では、少なくとも(C)を満たしていないことがわかる。さらに、比較例2では、少なくとも(A)を満たしていないことがわかる。
また、各実施例のフレキソ印刷版原版は、感光層が未硬化状態の場合には、感光層と剥離接着層との間(界面a)の剥離力は5.2N/幅3cm超であり、支持体接着層と感光層との間(界面b)の剥離力は0.8N/幅3cm以下であり、感光層が硬化状態の場合には、感光層と剥離接着層との間(界面a)の剥離力は1.7N/幅3cm以下であり、支持体接着層と感光層との間(界面b)の剥離力は24N/幅3cm超であることが確認できた。
次いで、作製した各フレキソ印刷版原版について、剥離現像評価を行った。評価方法は以下の記載の通りである。その結果を表1に示す。なお、剥離現像評価に適用したネガパターンの形状は、図6に示す通りとした。
<剥離現像評価>
(実施例1、3、比較例1〜2)
剥離体上に所定のネガパターンが形成されたネガフィルムをセットし、さらにネガフィルムの上にPVCシートを被せ、真空引きすることによりネガフィルムを剥離体に密着させ、前述同様の条件で剥離体側より10分間露光して剥離接着層の所定部分と感光層の所定部分を硬化させた。次いで、剥離体を剥離することにより、剥離接着層の未硬化部と感光層の未硬化部の除去を行った。
(実施例2)
カバーフィルムを剥離した後、描画機(ESKO社製「CDI spark2120」)により赤外線アブレーション層に所定のネガパターンを形成した。次いで、前述同様の条件で赤外線アブレーション層側より10分間露光して剥離接着層の所定部分と感光層の所定部分を硬化させた。次いで、赤外線アブレーション層とともに剥離体を剥離することにより、剥離接着層の未硬化部と感光層の未硬化部の除去を行った。
なお、剥離現像評価の基準は以下の通りとした。
○:感光層の未硬化部が支持体接着層との間で剥離され、感光層の硬化部とともに剥離接着層の硬化部が剥離体との間で剥離されたため、支持体接着層上に感光層の硬化部を残しつつ未硬化部だけを支持体接着層から剥離除去できた。
×*1:感光層の未硬化部が支持体接着層との間で剥離されず、剥離除去できなかった。
×*2:感光層の未硬化部は支持体接着層から剥離除去できたが、剥離接着層の硬化部が剥離体との間で剥離される前に感光層の硬化部が破壊されたため、剥離除去できなかった。
実施例によれば、感光層の未硬化部は支持体接着層との間で剥離され、感光層の硬化部は剥離接着層の硬化部とともに剥離体との間で剥離され、所定のパターンの印刷版が得られた。すなわち、感光層の硬化部を残し、未硬化部だけを高精度に剥離除去して、ネガの画像再現性を満足させることができた。また、裏露光をしなくても、感光層の硬化部が破壊されるよりも先に感光層の硬化部と支持体接着層との間(界面b)が剥離されることはなく、感光層の硬化部と支持体接着層との間の接着性が十分に確保されていることも確認できた。したがって、実施例によれば、裏露光を必要とせず、フレキソ印刷版のレリーフ深度を深くできるとともにその分作業工程を少なくできることが確認できた。
一方、比較例1では、感光層の未硬化部の剥離除去はできたが、剥離接着層の硬化部と剥離体との間(界面a)の接着が強く、感光層の硬化部が破壊し、剥離現像できなかった。比較例2では、感光層の未硬化部での剥離界面が安定せず、剥離接着層の未硬化部と剥離体との間でも剥離が生じたため、剥離現像できなかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (9)

  1. 感光層を支持する支持体、前記支持体と前記感光層との間を接着する支持体接着層、前記感光層、前記感光層と該感光層の未硬化部を剥離させる剥離体との間を接着する剥離接着層、前記剥離体、の順で積層された剥離現像用フレキソ印刷版原版であって、下記の(A)〜(C)を満たすことを特徴とする剥離現像用フレキソ印刷版原版。
    (A)前記感光層の硬化前には、前記感光層と前記支持体接着層との間の剥離力が、前記剥離接着層と前記剥離体との間の剥離力より小さい
    (B)前記感光層の硬化後には、前記感光層と前記支持体接着層との間の剥離力が、前記剥離接着層と前記剥離体との間の剥離力より大きい
    (C)前記感光層の硬化後には、前記剥離接着層と前記剥離体との間の剥離力が、前記感光層の硬化部の破壊強度よりも小さい
  2. 前記剥離接着層には、アクリル樹脂、光重合性モノマー、および、光重合開始剤が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の剥離現像用フレキソ印刷版原版。
  3. 前記アクリル樹脂のTgが50℃以下であることを特徴とする請求項2に記載の剥離現像用フレキソ印刷版原版。
  4. 前記アクリル樹脂は、カルボキシル基を有するアクリル樹脂であることを特徴とする請求項2または3に記載の剥離現像用フレキソ印刷版原版。
  5. 前記剥離接着層には、さらに硬化剤が含まれていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の剥離現像用フレキソ印刷版原版。
  6. 前記剥離体には、ポリエステルが含まれていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の剥離現像用フレキソ印刷版原版。
  7. 前記支持体接着層には、ポリエステルが含まれていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の剥離現像用フレキソ印刷版原版。
  8. 前記感光層には、光重合性モノマー、ゴム、水分散ラテックス、光重合開始剤が含まれていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の剥離現像用フレキソ印刷版原版。
  9. 前記剥離体の前記剥離接着層に接する面とは反対の表面には、バインダーポリマーおよび赤外線吸収物質を含有する赤外線アブレーション層と、該赤外線アブレーション層を保護するカバーフィルムと、が前記剥離体の表面からこの順で設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の剥離現像用フレキソ印刷版原版。
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