JP2013071428A - 高せん断加工装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高せん断加工装置20は、内部に溶融樹脂が導入される加熱筒22と、加熱筒22内に回転可能に配設されていて内部に帰還穴34を連通させた内部帰還型スクリュー23とを備えた。加熱筒22の内周面25と内部帰還型スクリュー23の外周面30の間に外周クリアランス38を形成し、加熱筒22の底部と内部帰還型スクリュー23の先端部との間に先端クリアランス39を形成した。加熱筒22の底部は中央の底面26とその周囲の傾斜面27を有し、内部帰還型スクリュー23の先端部は帰還穴34の流入口33を有する先端面31とその周囲のテーパ面32を有する。傾斜面27とテーパ面32は対向し、流動する溶融樹脂の組成が不均一でも樹脂圧の分力は中心軸線Oに直交する方向に働き、高速回転する内部帰還型スクリュー23の芯振れを抑える。
【選択図】図1
Description
例えば特許文献1や特許文献2に記載された高せん断加工機は、内部帰還型の高せん断スクリューである内部帰還型スクリューを回転可能に収容した加熱筒を有している。
そして、加熱筒2と内部帰還型スクリュー3との間に略有底円筒形状のクリアランス10が形成されている。このクリアランス10は、内部帰還型スクリュー3の外周面5と加熱筒2の内周面8との間の外周クリアランス11と、内部帰還型スクリュー3の先端面6と加熱筒2の底面12との間の先端クリアランス13とで形成されている。
混練に際して、溶融した高分子材料はスクリュー羽根4でせん断加工を受けながら外周クリアランス11内を前進して内部帰還型スクリュー3の先端面6と加熱筒2の底面12との間の先端クリアランス13に移動してこのスクリュー3の帰還穴7を通って後方に帰還し、外周クリアランス11に戻されて循環移動させられる。この循環運動によって、外周クリアランス11内の高分子材料は旋回するスクリュー羽根4で繰り返しせん断され、ナノ分散化されて耐熱性、機械的特性、寸法安定性等に優れた高分子ブレンド押出し物を製造するようにしている。
内部帰還型スクリュー3が径方向に振れると外周クリアランス11の幅が変動してしまい、内部帰還型スクリュー3の周囲で外周クリアランス11の幅に偏りが発生すると、内部帰還型スクリュー3が加熱筒2の内周面8に接触してしまうおそれがあり、スクリュー羽根4による高せん断加工を十分に行えないという不具合を生じる。
高せん断加工装置を構成する内部帰還型スクリューの先端部と加熱筒の先端部の底部が上述したいずれかの構成を備えたことによって、高速回転による内部帰還型スクリューの芯振れを、クリアランスを流動する材料の圧力と、加熱筒の底部の略円錐台形状、略円錐形状また凹曲面形状によって受けることで、抑制できる。
先端クリアランスにおいて、流動する材料の圧力によって内部帰還型スクリューの中心軸線に直交する方向の分力が中心軸線方向に働くために、内部帰還型スクリューを高速回転させても芯振れを防止できる。
図1に示す第一実施形態による高せん断加工装置20は、例えば高分子材料を溶融状態にして高せん断応力を与えつつ混練することで、樹脂の内部構造をナノレベル等の微細レベルまで分散して混合するものである。
なお、本発明では高分子系材料として高分子ブレンド材料に限定されることなく、他のブレンド材料や、ブレンドしない単一の分子材料等を高せん断してナノ分散化することもできる。或いは、高分子系でない他の適宜の材料を用いることができる。
高せん断加工装置20では、略有底円筒状の加熱筒22と、加熱筒22内に回転可能に収容された内部帰還型スクリュー23とを備えている。なお、本実施形態による高せん断加工装置20において、内部帰還型スクリュー23の中心軸線O方向でこのスクリュー23による送り方向前方を「前方」、「前端」、「先端」とし、その反対側を「後方」、「後端」、「基端」として統一して用いる。
そして、供給口21に設けた供給バルブ21aは予め設定された時間等に応じて溶融樹脂の注入量を制御することが可能な自動開閉式とされ、本実施形態では排出バルブ28aの開閉動作に連動しているものとする。
内部帰還型スクリュー23には、その先端面31の流入口33から回転中心をなす中心軸線Oに沿って後方に延びる帰還穴34が形成されており、この帰還穴34は途中で中心軸線Oから次第に離間して1または複数に分岐されて湾曲することで外周面30に吐出口35によって開口している。帰還穴34の吐出口35は供給口21よりも後側また略同一位置に設けられている。
また、スクリュー羽根29の間の溝面29aが内部帰還型スクリュー23の中心軸線Oに平行となる構成、すなわち外周クリアランス38における加熱筒22の内周面と内部帰還型スクリュー23の外周面のスクリュー羽根29(または溝面29a)との間の隙間が中心軸線O方向にわたって略一定の間隙S1となっている。内部帰還型スクリュー23の先端面31及びテーパ面32と加熱筒22の底面26及び傾斜面27との隙間を構成する先端クリアランス39は略一定幅の間隙S2を有している。
そのため、外周クリアランス38と先端クリアランス39、即ち間隙S1と間隙S2とでクリアランスKによる高せん断領域が形成されている。
また、内部帰還型スクリュー23の基端部41は、スクリュー羽根29が形成されていない外周クリアランス38の範囲外の後部側位置に設けられていて、スクリュー羽根29の外径と同等或いはそれより大きい径に形成された円柱状領域を有する。この基端部は加熱筒23の内周面25に対して液密に摺動可能となっている。
図6に示す従来の高せん断加工機1では、図2(b)に示すように、加熱筒2と内部帰還型スクリュー3によるクリアランス10を流動する溶融樹脂に関し、外周クリアランス11は略円筒形状であるため、外周クリアランス11内の溶融した樹脂圧は、後部樹脂圧Vaから溶融樹脂の送り方向である先端側の前部樹脂圧Vbにかけて次第に樹脂圧が増大する傾向にある。そして、外周クリアランス11から先端クリアランス13に移動した溶融樹脂の樹脂圧Vcは流入口33に向けて次第に低下する。
なお、加熱筒22において、外周クリアランス38の後側と前側に後部樹脂圧センサー36a、前部樹脂圧センサー36bを設け、先端クリアランス39の中央に先端樹脂圧センサー36cを設けている。
図1に示す高せん断加工装置20において、例えば高分子材料を可塑化させた溶融樹脂を射出ノズルから供給口21を通して加熱筒22内の外周クリアランス38に注入する。
高せん断加工装置20では、加熱筒22内の内部帰還型スクリュー23を例えば300min−1以下の低速回転で回転させて、加熱筒22内の空のクリアランスKに溶融樹脂を注入することで、溶融樹脂によって内部の空気が排出口28から排出され、加熱筒22内の外周クリアランス38及び先端クリアランス39、そして帰還穴34内が溶融樹脂で次第に満たされる。
そして、溶融樹脂の注入を完了させると、注入バルブ21a及び排出バルブ28aを閉じる。
また、高速回転する内部帰還型スクリュー23は、中心軸線Oに対して傾斜する先端のテーパ面32と加熱筒22の底部の傾斜面27とが先端クリアランス39の小さな間隙S2を以て略同一の角度で対向して傾斜保持されているから、内部帰還型スクリュー23の芯ぶれが断面テーパ状のテーパ面32と加熱筒22の傾斜面27との間の樹脂圧によって抑制される。
その後、溶融樹脂は帰還穴34内を中心軸線Oに沿って後方へ流れる。更に、溶融樹脂は遠心力で帰還穴34の吐出口35から内部帰還型スクリュー23の外周面30に流出して外周クリアランス38に帰還し、再び外周クリアランス39内を先端側に移送されるといった循環流動を高速で繰り返す。
これによって、溶融樹脂が循環流動によって混練されると共に高せん断応力が付与される。この循環により溶融樹脂はナノ分散化され、高分子材料の内部構造をナノレベルで分散及び混合できる。
これにより、高せん断により加工されたクリアランスK内のナノ分散樹脂が内部帰還型スクリュー23の回転とともに先端側の排出口28から排出され、排出された高分子材料の溶融樹脂を高分子ブレンド押出し物として得ることができる。
このようにして、同様のステップを繰り返すことにより、順次、固体状樹脂を高せん断して高分子材料をナノレベルで分散・混合することができる。
本実施形態による高せん断加工装置40では、加熱筒22の先端部の底部が略円錐形状の凹曲面41に形成され、内部帰還型スクリュー23の先端部が略円錐形状の凸曲面42に形成されている。しかも、内部帰還型スクリュー23の凸曲面42と加熱筒22の凹曲面41は先端クリアランス39を構成する小さな間隙S2を以て対向して、中心軸線Oに対して鋭角で傾斜するテーパ面が全周に亘って形成されている。
凸曲面42の頂部を中心軸線Oが貫通すると共に、この頂部に帰還穴34の流入口33が形成されている。
本実施形態による高せん断加工装置50では、加熱筒22の先端部の底部が中心軸線Oと交差する点を最も先端側に突出する略球体の一部形状からなる凹曲面51に形成され、内部帰還型スクリュー23の先端部も同様に略球体の一部形状からなる凸曲面52に形成されている。しかも、これら凸曲面52と凹曲面51は小さな間隙S2を以て対向して先端クリアランス39を構成する。
外周クリアランス38の最も後端側の樹脂圧を後部樹脂圧Vaとし、外周クリアランス38の最も先端側(先端クリアランス39との交差部)の樹脂圧を前部樹脂圧Vbとし、先端クリアランス39の中央の樹脂圧を先端樹脂圧Vcとして測定した。これらの測定は後部、前部、先端樹脂圧センサー36a、36b、36cによりそれぞれ測定した。
測定に際し、内部帰還型スクリューは全長450mmとし、回転速度は750min−1とし、50ミリセックに1回データのサンプリングをして波形を表示した。また、1回の高せん断処理時間を20秒として40秒間隔で20回測定した。
後部樹脂圧Vaは、高せん断加工装置20の駆動開始時の樹脂圧がほとんどなく、その後1.30PMa前後に上昇し、次第に低下していった。
22 加熱筒
23 内部帰還型スクリュー
25 内周面
26 底面
27 傾斜面
29 スクリュー羽根
30 外周面
31 先端面
32 テーパ面
33 流入口
34 帰還穴
35 吐出口
38 外周クリアランス
39 先端クリアランス
41、51 凹曲面
42、52 凸曲面
K クリアランス
Claims (3)
- せん断応力を付与しつつ混練することで材料を分散及び混合するための高せん断加工装置において、
内部に材料が導入される略有底円筒状の加熱筒と、
該加熱筒内に回転可能に配設されていて内部に帰還穴を連通させた内部帰還型スクリューと、
前記加熱筒及び前記内部帰還型スクリューの間の周面と先端部に形成されていて前記材料を流動させるクリアランスとを備え、
前記加熱筒及び前記内部帰還型スクリューの先端部には断面略テーパ状または円弧状の凹部と凸部が対向して形成されている
ことを特徴とする高せん断加工装置。 - 前記内部帰還型スクリューの先端部は略円錐台形状、略円錐形状また凸曲面形状のいずれかに形成され、前記加熱筒の先端部の底部は略円錐台形状、略円錐形状また凹曲面形状のいずれかに形成されている請求項1に記載された高せん断加工装置。
- 前記クリアランスは、前記断面略テーパ状または円弧状の凹部と凸部が対向して形成されている先端クリアランスを有し、該先端クリアランス内を流動する材料によって前記内部帰還型スクリューの中心軸線に直交する方向の分力が作用するようにした請求項1または2に記載された高せん断加工装置。
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