JP2013071087A - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題を解決するための手段】複数の層形成用インキと硬化性化合物を含有させた硬化性インキを準備して、該複数の層形成用インキ、および該硬化性インキから、複数の層形成用インキ液層、および硬化性インキ液層を各々形成して、該複数の層形成用インキ液層、および該硬化性インキ液層を、層形成用インキ液層と硬化性インキ液層と層形成用インキ液層との積層構造が形成されるように積み重ね、積み重ねられた該複数の層形成用インキ液層、および該硬化性インキ液層を基体に同時に塗布し、乾燥した後、層間の該硬化性化合物を反応させる。
【選択図】図1
Description
なお、本明細書では、樹脂と反応する硬化性化合物を架橋剤と呼び、反応して樹脂を形成する硬化性化合物をプレポリマーまたは多官能モノマーと呼ぶ。また、未反応の硬化性化合物を含有するインキを硬化性インキと呼び、硬化性インキで形成されるインキ液層を硬化性インキ液層と呼ぶ。また、反応させた硬化性化合物を硬化物と呼ぶ。
≪塗布方法≫
図1は同時多層塗布方法の一例を示す模式図である。
11はダイコーティングユニットで、インキを押し出すスリット1,2,3を有している。図示していないが、スリットの数は3に限定されることなく任意の数が可能である。
また、該硬化性樹脂を層形成用インキに含有する場合は、硬化性インキ液層の上下の層形成用インキ液層を形成する層形成用インキのいずれか一方のみに該硬化性樹脂を含有させてもよいし、両方に該硬化性樹脂を含有させてもよいが、層間の密着性を向上させることができるので、硬化性インキ液層の上下の層形成用インキ液層を形成する層形成用インキの両方に該硬化性樹脂を含有させることが好ましい。
また、該硬化性樹脂と層形成用化合物とは、同じ化合物であっても異なる化合物であってもよいが、積層体の層の特性に与える影響を少なくすることができるので、同じ化合物であることが好ましい。
また、硬化性インキ液層の上下の層形成用インキ液層を形成する層形成用インキのいずれか一方または両方にも、プレポリマーおよび/または多官能モノマーを含有させることが、層間の密着性を向上させることができるために好ましく、層間の密着性をより向上させることができるので、硬化性インキ液層の上下の層形成用インキ液層を形成する層形成用インキの両方にも、プレポリマーおよび/または多官能モノマーを含有させることがより好ましい。
また、硬化性インキ中に含まれるプレポリマーおよび/または多官能モノマーが、硬化性インキ液層の上下の層形成用インキ液層を形成する層形成用インキのいずれか一方または両方に含有する硬化性樹脂と反応して硬化物を得ることが好ましい。上述の第1の方法で得られる効果が相乗されて、より強固に層と層との密着性を向上することができるからである。
層形成用インキに使用される層形成用化合物としては、積層体の層の所望の特性を得るために必要な主成分となる化合物であれば、特に限定されない。層形成用化合物を含有する層形成用インキは、水や有機溶剤などの溶液であれエマルジョンのような分散液であれ、特に制限されず、得られる積層体の用途、層の所望の特性、層の材料などに応じて適宜選択される。
層形成用化合物としては、インキ化が容易なので、一般の熱可塑性の樹脂を好ましく使用することができる。層形成用化合物としての樹脂(有機高分子化合物)は、それ自体で層の所望の特性が発現することもあるし、後述する体質顔料等の粒子のバインダーとして働くこともあり、得られる積層体の用途に応じて適宜選択される。なお、上述のように、層形成用化合物としての樹脂は、架橋剤と反応する硬化性樹脂として働くこともできる。
水溶性の樹脂としては、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース樹脂;カルボキシル化ポリビニルアルコール、スルホン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコールなどのけん化度50モル%以上(好ましくは70モル%以上)のポリビニルアルコール(PVA)及びその誘導体;スルホン化度50モル%以上(好ましくは70モル%以上)のポリスチレンスルホン酸;けん化度50モル%以上(好ましくは70モル%以上)のエチレン−ビニルアルコール共重合体;ポリアクリル酸及びその塩などの水性アクリル樹脂;ポリビニルピロリドン;ポリエチレングリコール;アルギン酸塩類や、水性ポリエステル樹脂;水性ポリウレタン樹脂;水性エポキシ樹脂;水性ポリオレフィン樹脂;水性フェノール樹脂;ポリパラビニルフェノール;ゼラチン、寒天、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、グアガムなどの天然樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、層形成用インキ中には、層形成用化合物として窒化ホウ素などの熱伝導性粒子や体質顔料を添加することができる。体質顔料は、白色または透明な無機の粒子であり、艶消しや他の着色顔料の希釈に用いられるものであり、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化ケイ素、タルク、硫酸カルシウム、ベントナイト、チタンバリウム、酸化亜鉛などが利用される。
低屈折率の材料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、弗化ナトリウム、弗化マグネシウム、弗化リチウム、弗化カルシウムなどがあり、特に酸化珪素や酸化アルミニウムが好ましい。
硬化性インキに利用できる硬化性化合物は、本発明の製造方法により得られる積層体の用途、層の所望の特性、層の材料などに応じて選択されるものであり、特に限定されるものではない。硬化性化合物を水や有機溶剤に溶解や分散することで硬化性インキを適宜調整することができる。
硬化性インキ中に含有させる架橋剤は、利用する硬化反応によって異なる。水酸基を持つ硬化性樹脂と反応する架橋剤は多官能イソシアネート化合物である。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニメメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物、あるいはプレポリマー化したポリイソシアネートやイソシアネートの変性体が利用できる。
例えば、紫外線または電子線により硬化するプレポリマーおよび多官能モノマーは、分子中にアクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリロイルオキシ、メタアクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体を重合した、プレポリマーおよび/または多官能モノマーである。
基体は、塗布されるインキ液層の積層構造を支持することができるものであれば、特に限定されない。例えば、高分子化合物のフィルム、金属フォイル、可とう性ガラスなどが用いられる、特に高分子化合物のフィルムを好適に用いることができる。
光透過性基材の厚さに特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmの範囲、さらに好ましくは50〜125μmである。
(熱硬化装置)
ロール状に巻き取られた硬化性化合物を含む積層体あるいはシート状の硬化性化合物を含む積層体を、恒温加熱室に保存して加熱硬化する。温度は40℃〜90℃で、硬化時間は製品の種類により異なるが例えば2日から7日程度である。
紫外線を照射する装置としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハラィドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度の波長域を使用することができる。
乾燥炉6の後に照射装置を設けて硬化性化合物を含む積層体に紫外線を照射して硬化して巻き取ってもよいし、乾燥して巻取り後あらためて照射装置にかけて硬化性化合物を含む積層体を硬化することもできる。
電子線を照射する装置は、真空チャンバー内のフィラメントで生じた熱電子を、グリッドによって引き出し、薄膜の金属からなる窓との間にかけられた高電圧(70〜300kV)によって、電子を加速して、窓からカーテン状に電子線を放射する。
電子線を照射する装置としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは、直線型、ダイナミトロン(登録商標)型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。用いる電子線のエネルギーは、100〜1000keV程度、好ましくは100〜300keVのものが使用される。電子線の照射量は、通常2〜15Mrad程度である。
乾燥炉6の後に照射装置を設けて硬化性化合物を含む積層体に電子線を照射して硬化して巻き取ってもよいし、乾燥して巻取り後あらためて電子線照射装置にかけて硬化性化合物を含む積層体を硬化することもできる。
本発明が利用される領域は、赤外線反射フィルムや反射防止フィルムなどの光学フィルムが特に好適である。これらの光学フィルムは、低屈折率層と高屈折率層を積層しており、かつ低屈折率層と高屈折率層の境目が形成されており、その境目における屈折率変化が明確である必要があるからである。また、層間の境目が必要であるその他の用途の積層体でも利用することができる。
下記の方法にて赤外線反射フィルムを作成した。
下記の組成の成分を配合して高屈折率層形成用インキAを得た。
疎水性酸化チタン微粒子「AEROXIDE(登録商標)ТiО2 T805」
(日本アエロジル株式会社製) :25重量部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレック(登録商標)BM‐5」 :30重量部
(積水化学工業株式会社製)
メチルエチルケトン :200重量部
トルエン :200重量部
疎水性シリカ微粒子「アエロジル(登録商標)R202」 :25重量部
(日本アエロジル株式会社製)
ポリビニルブチラール樹脂「エスレック(登録商標)BM‐5」 :30重量部
(積水化学工業株式会社製)
メチルエチルケトン :200重量部
トルエン :200重量部
ジイソシアネート(架橋剤)「コロネート(登録商標)T‐80」 :12重量部
(日本ポリウレタン工業株式会社製、45%酢酸エステル溶液)
メチルエチルケトン :20重量部
トルエン :20重量部
下記の方法にて反射防止フィルムを作成した。
実施例1の高屈折率層形成用インキAと低屈折率層形成用インキBと硬化性インキCを使用する。
下記の方法にて赤外線反射フィルムを作成した。
実施例1の高屈折率層形成用インキAと低屈折率層形成用インキBを使用した。
ビスフェノール型エポキシ樹脂「EPICLОN(登録商標)850」 :10重量部
(DIC株式会社製)
ビスフェノール型エポキシ樹脂「EPICLОN(登録商標)860」 :8重量部
(DIC株式会社製)
ポリアミドアミン(架橋剤)「ラツカマイド(登録商標)17‐202」:20重量部
(DIC株式会社製)
キシレン :100
n‐ブタノール :100
下記の方法にて赤外線反射フィルムを作成した。
実施例1の高屈折率層形成用インキAと低屈折率層形成用インキBを使用した。
ウレタンアクリレート「紫光(登録商標)LTV1700−B」 :25重量部
(日本合成化学工業株式会社製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) :5重量部
光重合開始剤「イルガキュア(登録商標)184」 :0.2重量部
(旧チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
メチルエチルケトン :70重量部
トルエン :60重量部
2t:インキタンク
3t:インキタンク
1p:インキ供給ポンプ
2p:インキ供給ポンプ
3p:インキ供給ポンプ
1:スリット
2:スリット
3:スリット
1s:インキ液層
2s:インキ液層
3s:インキ液層
4:コーティングロール
5:基体
6:乾燥炉
11:ダイコーティングユニット
Claims (3)
- 層形成用化合物を含有させた複数の層形成用インキ、および硬化性化合物を含有させた硬化性インキを準備して、
該複数の層形成用インキ、および該硬化性インキから、複数の層形成用インキ液層、および硬化性インキ液層を各々形成して、
該複数の層形成用インキ液層、および該硬化性インキ液層を、層形成用インキ液層と硬化性インキ液層と層形成用インキ液層との積層構造が形成されるように積み重ね、
積み重ねられた該複数の層形成用インキ液層、および該硬化性インキ液層を基体に同時に塗布し、乾燥した後、層間の該硬化性化合物を反応させることを特徴とする積層体の製造方法。 - 硬化性化合物が架橋剤であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 硬化性化合物がプレポリマーおよび多官能モノマーのいずれか一方または両方であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
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2011
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