JP2013070777A - 歯科用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 レジンマトリックスモノマー、有機質充填材、および、無機質充填材として、平均粒子径が0.6〜0.8μmの二酸化チタン球状集合体を含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
近年、審美性に対する患者の要求が高まっており、天然歯の表面或いは内部に付着した色素を過酸化水素、過酸化尿素等によって分解して歯を白くするホワイトニング治療が普及しつつある。
ホワイトニング治療の普及に伴い、人工歯、歯科修復材等の審美性もホワイトニングされた歯に調和した専用のシェード(色調)が必要となる。
しかしながら、従来使用されている二酸化チタン等の白色系顔料を多量に配合した歯科用組成物を用いた人工歯等では、人工的な白さとなり、ホワイトニングされた歯に調和させることが十分にできない。
本出願人は、レジンマトリックスモノマー、有機質充填材、および、無機質充填材として、平均粒径が0.01〜0.10μmの二酸化チタン微粒子を含有する歯科用組成物を提案している(特許文献1)。
特許文献1に記載の歯科用組成物は、餅状またはペースト状として使用でき、通法に従い、成形用型内において、該歯科用組成物を人工歯等所定の形状に成形し、レジンマトリックスモノマーを重合硬化させることで、平均粒径が0.01〜0.10μmの二酸化チタン微粒子の配合割合が低くても、オパール効果の発現といった人工歯、歯科修復材等の審美性において要求される要件を満足させることができる。
特許文献1に記載の歯科用組成物を用いた人工歯等を口腔内に装着し、開口すると、口腔内が暗色(黒)背景となった状態で、口腔外からの光に対して平均粒径が0.01〜0.10μmの二酸化チタン微粒子によるオパール効果が発現することになるが、人工歯等が青みがかって見え、生気がなく血の気のない病的で人工物的な印象を看者に生起させるきらいがある。これは、口腔内が暗色(黒)背景となった状態で、平均粒径が0.01〜0.10μmの二酸化チタン微粒子が、口腔外からの光のうち長波長である赤色の光が透過し、短波長である青色の光が選択的に散乱・反射されることによると考えられるが、そのため、特許文献1に記載の歯科用組成物を用いた人工歯等では、天然歯はもとより、ホワイトニングされた天然歯と色調を調和させるのに難がある。
この発明は、上記のような実情に鑑み鋭意研究の結果創案されたものであり、口腔内に装着した場合に生気があって血の通った健康的な印象を看者に生起させることができる人工歯等を得るのに適した歯科用組成物、とりわけ、天然歯、ホワイトニングされた天然歯と調和し易い人工歯等を得るのに適した歯科用組成物を提供することを目的としている。
(2)前記(1)において、前記二酸化チタン球状集合体は、平均一次粒子径が0.01〜0.07μmの二酸化チタンの小球状粒子から形成されていることが好ましい。
(3)前記(1)または(2)において、前記レジンマトリックスモノマー100重量部に対し、前記有機質充填材20〜180重量部、前記二酸化チタン球状集合体0.1〜20重量部であることが好ましい。
(4)前記(1)、(2)または(3)において、さらに、無機質充填材として、バリウムガラス、アルミナガラス、カリウムガラス、シリカ、合成ゼオライト、リン酸カルシウム、長石、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、石英、無孔質のアトマイズド法のコロイダルシリカ、無孔質のコロイダルアルミナ、無孔質の湿式法のコロイダルシリカの群から選択された1種または2種以上の無機質粉末を含有することが好ましい。
(5)前記(1)、(2)、(3)または(4)において、さらに、有機無機複合充填材を含有することが好ましい。
すなわち、この発明の歯科用組成物は、餅状またはペースト状として使用でき、通法に従い、成形用型内において、該歯科用組成物を人工歯等所定の形状に成形し、レジンマトリックスモノマーを重合硬化させることで、口腔内に装着し、開口した時、明るいアイボリー色(オレンジ〜赤味のある色)を呈し、生気があって血の通った健康的な印象を看者に生起させることのできる人工歯等を得るのに適した歯科用組成物、とりわけ、天然歯、ホワイトニングされた天然歯と調和し易い人工歯等を得るのに適した歯科用組成物を得ることができる。
このように口腔内に装着し、開口した時、生気があって血の通った健康的な印象を看者に生起させることのできる人工歯等を得ることができるのは、この発明で使用する二酸化チタン球状集合体の光の選択的散乱・反射および透過が大きく寄与していると考えられる。この発明で使用する二酸化チタン球状集合体は、二酸化チタンの微細な一次粒子が球状に集合したものであることから、口腔内が暗色(黒)背景となった状態において、一次粒子、球状集合体による口腔外からの光の選択的散乱・反射および透過が複雑に絡み合って機能し特異な光学的特性を示すことになると考えられるがはっきりしていない。
こういったことから、例えば、この発明の歯科用組成物を単層の人工歯に使用してもよいし、多層の人工歯に使用してもよい。図1に示すようなコア層1、デンチン層2、エナメル層3の3層からなる多層の人工前歯Tの場合は、デンチン層2にこの発明の歯科用組成物を使用し、最外層であるエナメル層3に、特許文献1に記載の歯科用組成物を使用すると、両者が相まって、人工前歯Tは、青みがかって見えるのが抑制され、むしろ、生気があって血の通った健康的な印象を看者に生起させ、しかも、天然歯に似たオパール効果を呈し、ホワイトニングされた天然歯にも容易に調和させることができる良好な人工前歯を得ることができる。なお、この様な構造は、人工前歯に限られず人工犬歯等に用いてもよい。
重合開始剤としては、加熱重合型開始剤、化学重合型開始剤、光重合型開始剤が使用できる。
増感剤としては、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4′−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、アシルフォスフィンオキサイドの誘導体、アジド基を含む化合物等が例示でき、これらは、単独もしくは混合して使用される。
光重合型開始剤は、紫外線または可視光線などの活性光線を照射することにより重合反応が達せられる。光源としては超高圧、高圧、中圧および低圧の各種水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、キセノンランプ、アルゴンイオンレーザー等が使用される。
この発明で使用する二酸化チタン球状集合体は、二酸化チタンの微細な一次粒子が球状に集合したものであることから、一次粒子、球状集合体による光の選択的散乱・反射および透過が複雑に絡み合って機能し特異な光学的特性を示すことになると考えられるがはっきりしていない。この発明において使用される二酸化チタン球状集合体は、平均粒子径が0.6〜0.8μmであることが好ましい。二酸化チタン球状集合体の平均粒子径が0.6μm未満では、散乱光が健康的な赤・黄色系ではなく冷たい緑・青系に移行することから好ましくない。一方、二酸化チタン球状集合体の平均粒子径が0.8μmを超えると、透過光及び散乱光が白系に移行することから好ましくない。二酸化チタン球状集合体が平均粒子径0.6〜0.8μmであると散乱光が健康的な赤・黄色系であって望ましい。
前記無機質充填材をカップリング剤で処理するには、無機質充填材とカップリング剤とを適宜混合すればよい。
前記有機無機複合充填材に用いる無機質粉末は、予めカップリング剤を用いて表面処理したものを用いることが好ましい。カップリング剤としては、前記したオルガノファンクショナルシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤が使用できる。前記有機無機複合充填材に用いる無機質粉末のカップリング処理は、前記無機質充填材のカップリング処理と同様にして、無機質粉末とカップリング剤と適宜混合すればよい。
例えば、この発明の歯科用組成物を用いて、人工歯を製造するには、先ず、レジンマトリックスモノマー、有機質充填材、平均粒子径が0.6〜0.8μmの二酸化チタン球状集合体を所定割合になるように秤量し、必要に応じ重合開始剤、顔料等を加え、均一になるように混合し、所定時間経過させて餅状の生地(歯科用組成物)を作製する。次いで、該生地を、人工歯金型に填入し、加圧成形する。そして、生地を金型中で加圧したまま、重合成形する。重合開始剤として加熱重合開始剤を用いると、金型を加熱することで重合を行わせることができる。重合が完了したら、金型から成形された人工歯を取り出せばよい。
歯冠の成形も所定の型を用いて同様にして行うことができる。
義歯の作製において、通法に従って人工歯が排列された蝋義歯をフラスコ埋没し、流蝋して形成された空洞に、この発明の餅状の生地(歯科用組成物)を充填し、生地を重合させることで義歯床を成形することになる。
なお、レジンマトリックスモノマー、有機質充填材、平均粒子径が0.6〜0.8μmの二酸化チタン球状集合体に、さらに、バリウムガラス等の前記無機質充填材および/または有機無機複合充填材を併用する場合も、所定割合になるように秤量し、必要に応じ重合開始剤、顔料等を加え、均一になるように混合し、所定時間経過させて餅状の生地(歯科用組成物)を作製して行えばよい。
(実施例1)
レジンマトリックスモノマーとして、メチルメタクリレート(MMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、有機質充填材として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、重合触媒として、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、無機質充填材として、平均粒子径0.7μmの二酸化チタン球状集合体(商品名;マイクロマリモ、テイカ(株)製)を、表1の実施例1に示す重量部秤量して均一になるように攪拌混合し、所定時間経過させて餅状の歯科用組成物を得た。
ここにおいて、PMMAは、平均分子量500,000、平均粒子径20μmの粉末を用いた。
前記二酸化チタン球状集合体は、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでシランカップリング処理したものである。シランカップリング処理は、二酸化チタン球状集合体100重量部に対しカップリング剤1重量部を使用した。
得られた試料を#1000の耐水研磨紙にて両面を研磨し、次いで、その表面をサンドペーパー#1000にて表面研磨し、バフ研磨によって鏡面仕上げして直径15mm、厚さ1mmの試験体を得た。得られた試験体に対して背景を黒にした時の試験体の表側の色を自然光下にて目視観察したところ赤系の色が確認できた。
従って、実施例1の歯科用組成物を使用した人工歯等を口腔内に装着した場合に生気があって血の通った健康的な印象を看者に生起させることができ、ホワイトニングされた天然歯とも調和させ易い。
レジンマトリックスモノマーとして、MMA、EDMA、有機質充填材として、実施例1で使用したと同一のPMMA、重合触媒として、BPO、無機質充填材として、平均粒子径0.03μmの二酸化チタン微粒子(商品名;TITANIX JRNC、テイカ(株)製)を、表1の比較例1に示す重量部秤量して均一になるように攪拌混合し、所定時間経過させて餅状の歯科用組成物を得た。
前記二酸化チタン微粒子は、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでシランカップリング処理したものである。シランカップリング処理は、二酸化チタン微粒子100重量部に対しカップリング剤1重量部を使用した。
従って、比較例1の歯科用組成物を使用した人工歯等を口腔内に装着した場合には、生気がなく血の気のない病的で人工物的な印象を看者に生起させることになり、ホワイトニングされた天然歯とも調和させ難い。
1 コア層
2 デンチン層
3 エナメル層
Claims (5)
- レジンマトリックスモノマー、有機質充填材、および、無機質充填材として、平均粒子径が0.6〜0.8μmの二酸化チタン球状集合体を含有することを特徴とする歯科用組成物。
- 前記二酸化チタン球状集合体は、平均一次粒子径が0.01〜0.07μmの二酸化チタンの小球状粒子から形成されていることを特徴とする請求項1記載の歯科用組成物。
- 前記レジンマトリックスモノマー100重量部に対し、前記有機質充填材20〜180重量部、前記二酸化チタン球状集合体0.1〜20重量部であることを特徴とする請求項1または2記載の歯科用組成物。
- さらに、無機質充填材として、バリウムガラス、アルミナガラス、カリウムガラス、シリカ、合成ゼオライト、リン酸カルシウム、長石、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、石英、無孔質のアトマイズド法のコロイダルシリカ、無孔質のコロイダルアルミナ、無孔質の湿式法のコロイダルシリカの群から選択された1種または2種以上の無機質粉末を含有することを特徴とする請求項1、2または3記載の歯科用組成物。
- さらに、有機無機複合充填材を含有することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の歯科用組成物。
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JP2018509248A (ja) * | 2015-03-24 | 2018-04-05 | クルツァー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングKulzer GmbH | 部分義歯または総義歯を作製する方法およびこの方法に従って得られる補綴物 |
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JPH07196428A (ja) * | 1993-12-29 | 1995-08-01 | Kuraray Co Ltd | 充填材および充填材を含む歯科用複合材料 |
JP2000191325A (ja) * | 1998-12-25 | 2000-07-11 | Tayca Corp | 二酸化チタンの小球状粒子から形成される球状二酸化チタン集合体およびその製造方法 |
JP2001302429A (ja) * | 2000-04-28 | 2001-10-31 | Shiyoufuu:Kk | 凝集物を含有する歯科用複合組成物 |
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