JP2013067794A - エポキシ樹脂系組成物 - Google Patents

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将範 大賀
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Abstract

【課題】 貯蔵安定性と硬化力を兼ね備えたエポキシ樹脂系組成物および耐熱性に優れるエポキシ樹脂系硬化物を与えるリン系硬化促進剤含浸非中空型多孔質無機微粒子、更にはこのような非中空型多孔質無機微粒子を含有するエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物を提供すること。
【解決手段】 トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン(TPTP)を含浸させた非中空型多孔質無機微粒子を硬化促進剤として配合した(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子を少なくとも含有することを特徴とするエポキシ樹脂系組成物およびその硬化物。
【選択図】図1

Description

本発明は、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン含浸非中空型多孔質無機微粒子を含有するエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物に関する。
従来より、エポキシ樹脂系組成物を用いると、優れた機械的、化学的および電気的性質を有する成形体などが得られるため、エポキシ樹脂系組成物は、接着剤、塗料、注型材料の形態でコイル、コンデンサー、プリント基板などの各種の電気部品、あるいは半導体素子や集積回路の絶縁封止などの用途に広く使用されている。
上記した用途の中で、半導体素子の絶縁封止の分野では、半導体素子の高集積化への要求が高いため、半導体パッケージの構造も進歩し続けている。このため、封止材料としてのエポキシ樹脂系組成物の性能も、より優れたものが要求されている。
特に最近では、低コスト化のためパッケージ生産サイクル時間を短縮し生産性を向上するといったニーズが多々あり、パッケージ用樹脂封止材であるエポキシ樹脂系組成物に対して、速硬化性が要求されてきている。また、速硬化性と相反する性質として貯蔵安定性も要求されている。
パワーデバイス用途に用いられるエポキシ樹脂系硬化物においては、最近ではパワーデバイスから放出される熱量が増加しているため、高耐熱性(高Tg)エポキシ樹脂系硬化物のニーズが高まってきている(非特許文献1参照)。
硬化促進剤としては、イミダゾールやトリフェニルホスフィン(以下、TPPと呼ぶこともある。)等が用いられている。イミダゾールは一般的に、硬化促進能力は良好であり高Tgの硬化物が得られるものの、エポキシ樹脂から塩素を引き抜くため、エポキシ樹脂系硬化物は耐湿信頼性に劣り、電子材料用途としては不適であった。TPPを用いたエポキシ樹脂系硬化物は一般的に、耐湿信頼性に優れるものの、TPP自体の硬化促進能力が低いため、速硬化性に劣り、また、得られた硬化物のTgも比較的低くなる傾向にある(非特許文献2、3参照)。また、速硬化のためにこれら硬化促進剤の添加量を増やすと、硬化促進剤の反応により、エポキシ樹脂系組成物の貯蔵安定性が著しく低下するという問題があった。
そのため、速硬化性と貯蔵安定性を兼ね備えるエポキシ樹脂系組成物、さらには、パワーデバイス用途として硬化後に高耐熱性をもつエポキシ樹脂系硬化物の開発が望まれていた。
貯蔵安定性の改善の目的で、ホスフィン類をマイクロカプセル化する技術が開発された(特許文献1、2参照)が、カプセル成分が異物として残留するという問題があった。
更に貯蔵安定性の改善を目的として多孔質無機微粒子に硬化促進剤としてDBU、DBN等の液状アミンを含浸させ、表面を酸無水物で皮膜形成して得られるアミン含浸型多孔質無機微粒子も提案された(特許文献3参照)が、皮膜形成の処理工程が必要であり、硬化物にとって皮膜は異物となる可能性があった。またDBU、DBN等の液状アミンはイミダゾールと同様、エポキシ樹脂から塩素を引き抜く(非特許文献3参照)ため、エポキシ樹脂系硬化物は耐湿信頼性に劣り、電子材料用途としては不適であった。
また、同様に多孔質無機微粒子に硬化促進剤としてリン系硬化促進剤を含浸させるリン系化合物含浸型多孔質無機微粒子も提案された(特許文献4参照)が、硬化促進剤としてTPPを使用した場合、耐湿信頼性に優れるものの、TPP自体の硬化促進能力から充分な性能が得られるものではなかった。更に、エポキシ樹脂系組成物を調製する際には、ロール、ニーダーなどの混練機等で樹脂を80℃〜100℃程度まで加熱溶融させた上で混錬することが一般的である(特許文献5参照)が、TPP含浸型多孔質無機微粒子を用いた場合、加熱してエポキシ樹脂系組成物を調製する際に、TPP(融点80℃)が溶解し、樹脂中に滲み出るため、得られたエポキシ樹脂系組成物の貯蔵安定性にはさらに改善の余地があった。
なお、40〜60℃程度でエポキシ樹脂系組成物を調製出来れば、TPP含浸型多孔質無機微粒子を用いた場合でも、TPPが樹脂中に滲み出る可能性は少なくなるが、40〜60℃程度で溶融可能な固形の樹脂は、特殊な用途を除き知られていない。
また、特許文献4には多孔質無機微粒子に第一から第三ベンジルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンを含浸させた多孔質無機微粒子についても示唆されているが、これらのホスフィンは被酸化性が強く、エポキシ樹脂から酸素を引き抜き、ホスフィンオキシドとなり失活することが知られている。よって、エポキシ樹脂の硬化促進剤用途としては好ましくない。
同様に特許文献4には多孔質無機微粒子にトリス(p−メトキシフェニル)ホスフィンを含浸させた多孔質無機微粒子についても示唆されているが、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィンは溶媒への溶解性が低いため、高濃度の溶液を調製することは難しく、多孔質無機微粒子に含浸させることは困難であった。
一方で、TPPより速硬化性が高く、併せて高Tg、高耐湿信頼性である硬化物を得ることが出来るリン系硬化促進剤であるトリス(4−メチルフェニル)ホスフィン(以下、TPTPと呼ぶこともある。融点146℃)が知られており(特許文献6〜9、非特許文献4〜5参照)、特許文献4において、多孔質無機微粒子に当該TPTPの溶液を含浸させて得るTPTP含浸型多孔質無機微粒子について示唆されている。しかしながら、具体的な記述はなく、実施例記載のTPP含浸型多孔質無機微粒子と比較してその硬化促進剤としての性能は不明であった。
特許3308347号公報 特開平11−269353号公報 特開2009−209209号公報 特開2009−57393号公報 特許3309688号公報 特開平09−31166号公報 特許4461340号公報 特開2000−159978号公報 特開2004−203909号公報
「パワーエレクトロニクス実装研究会」第1回公開フォーラム予稿集、神奈川科学技術アカデミー発行(2008年6月13日) 先端半導体パッケージ材料技術」、技術情報協会発行(2010年8月31日)、p.38〜49 「高分子材料・技術総覧」、産業技術サービスセンター発行(2004年9月7日)、p.135 「第61回ネットワークポリマー講演討論会」講演要旨集、合成樹脂工業協会発行(2011年10月12日)、p.143 「ネットワークポリマー」合成樹脂工業協会発行(2012年)、Vol.33、No.3、p.123〜129
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものである。すなわち、エポキシ樹脂系組成物の貯蔵安定性に優れ、併せて当該組成物の硬化力および当該硬化物の耐熱性を兼ね備えたエポキシ樹脂系組成物および硬化物を提供することである。
このような状況に鑑み、本発明者らは鋭意検討した。その結果、TPTPを非中空型多孔質無機微粒子に含浸させた、TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子を硬化促進剤として配合すれば、エポキシ樹脂系組成物の貯蔵安定性に優れ、併せて当該組成物の硬化力および当該硬化物の耐熱性を兼ね備えたエポキシ樹脂系組成物および硬化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容をその要旨とするものである。
〔1〕エポキシ樹脂系組成物調製時に60〜140℃の熱をかけるエポキシ樹脂系組成物であって、当該組成物が(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン含浸非中空多孔質無機微粒子を少なくとも含有し、当該非中空型多孔質無機微粒子の吸油量が30〜300ml/100gであることを特徴とするエポキシ樹脂系組成物。
〔2〕非中空型多孔質無機微粒子がシリカ、珪酸カルシウム、アパタイト、アルミナ、ゼオライトから選択される1種または2種以上であることを特徴とする〔1〕に記載のエポキシ樹脂系組成物。
〔3〕さらに無機充填剤を含有することを特徴とする〔1〕または〔2〕のいずれかに記載のエポキシ樹脂系組成物。
〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のエポキシ樹脂系組成物を硬化して得られるエポキシ樹脂系硬化物。
本発明のTPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子を成分として含有するエポキシ樹脂系組成物は、TPTPの融点が146℃と高く、また各樹脂への溶解性が比較的低いため、そして、非中空型、かつ吸油量が30〜300ml/100gである多孔質無機微粒子の構造は強靭なため、TPTP含浸型多孔質無機微粒子を樹脂に加熱下配合した際に、内包または担持されたTPTPが樹脂中へ溶け出すこと、および、多孔質無機微粒子が崩壊することによってTPTPが樹脂中に放出される可能性は低くなる。
その結果、組成物を調製した後、室温保存下では硬化反応を抑制できるため、貯蔵安定性に優れることとなり、従来必要であった組成物の冷蔵保管が必要なくなる。また、TPTPの効果により硬化時の加熱条件下に速やかに硬化が進行するために、現場での作業効率を高めることができる。またエポキシ樹脂系硬化物とした際の耐熱性にも優れ、次世代パワー半導体用途を始めとした多くの用途で使用可能であり、極めて有用である。
製造例1で得られたTPTP含浸非中空型多孔質シリカ(MC1−TPTP)のSEM写真を示す。 製造例2で得られたTPTP含浸非中空型多孔質シリカ(MC2−TPTP)のSEM写真を示す。 製造例3で得られたTPTP含浸中空型多孔質シリカ(MC3−TPTP)のSEM写真を示す。 製造例4で得られたTPTP含浸高吸油型多孔質シリカ(MC4−TPTP)のSEM写真を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明にかかるエポキシ樹脂系組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂系硬化剤、(C)TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子を含有するエポキシ樹脂系組成物である。
本発明においてエポキシ樹脂組成物とは、前記(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂系硬化剤、(C)TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子を均一に混ぜ合わせた混合物を指し、エポキシ樹脂硬化物とは、当該エポキシ樹脂組成物にある特定の条件下で熱をかけることによってエポキシ樹脂が流動性を失って、硬化した固形物を指す。
また、本発明において、硬化力と速硬化性は同義で使用される。
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、特に限定されず、汎用的なエポキシ樹脂を用いることが可能であり、エポキシ基を分子中に2個以上含有するものであれば、制限なく使用することができる。例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、および脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。また、有姿でそのまま使用してもよく、適宜溶剤や添加材等を添加して使用することもできる。
(B)フェノール樹脂系硬化剤
フェノール樹脂系硬化剤としては、特に限定されず、汎用的なフェノール樹脂を用いることが可能であり、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、有姿でそのまま硬化剤として使用してもよく、適宜溶剤や添加材等を添加し、硬化剤組成物として使用することもできる。
(C)TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子
TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子は、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン(TPTP)を内包または担持させた非中空型多孔質無機微粒子の構成をとる。本発明のTPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子は貯蔵安定性や取扱いを容易とする観点から、適宜溶剤や添加剤等を含んでもよい。また、発明の効果を損なわないことを限度に、他の硬化促進剤を併用してもよい。
多孔質無機微粒子に内包または担持させるTPTPは、速硬化性が高く、併せて高Tg、高耐湿信頼性である硬化物を得ることが出来るリン系硬化促進剤として知られており、融点は146℃である。
TPTPを内包または担持する多孔質無機微粒子としては、シリカ、珪酸カルシウム、アパタイト、アルミナ、ゼオライトなどが挙げられる。シリカはフィラーとして広く使われているため、前述の多孔質無機微粒子の中でも特にシリカが、異物とならないため好ましい。
本発明において、多孔質無機微粒子の内部は非中空型であることが好ましく、またその吸油量は高くなりすぎないことが好ましい。多孔質無機微粒子に中空型多孔質無機微粒子や高吸油型多孔質無機微粒子を使用すると、TPTP含浸型多孔質無機微粒子を作製する際や、混練機等でエポキシ樹脂系組成物を調製する際に、多孔質無機微粒子が崩壊してしまう可能性があり、多孔質無機微粒子の崩壊は、エポキシ樹脂系組成物の、貯蔵安定性の悪化や流動性の悪化の原因となる可能性があるためである。
なお、本発明において、吸油量とは多孔質無機微粒子が最大限吸収することのできる溶液の量を指し、吸油能と同義で使用される。
上記の吸油量は、JIS K5101−13−2に従い、試料に煮あまに油を滴下しながらパレットナイフで練り合わせ、螺旋状に巻き起こる状態になった点を終点とし、下記式により求めることができる。
本発明において、非中空型多孔質無機微粒子にTPTPを内包または担持させる上で、非中空型多孔質無機微粒子の吸油量はある程度大きいほうが好ましい。具体的には、30〜300ml/100gであることが好ましく、50〜250ml/100gであることがより好ましく、70〜200ml/100gであることがさらに好ましい。吸油量が30ml/100gより少ないと、内包または担持可能なTPTPの量が少なく、硬化促進能力を十分に発揮できない可能性がある。吸油量が300ml/100gより大きいと、非中空型多孔質無機微粒子の強度が不十分となり、TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子を作製する際や、TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子を使用しエポキシ樹脂系組成物を調製する際に、非中空型多孔質無機微粒子が崩壊する可能性がある。
TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子の平均粒径は0.1〜50μmであることが好ましく、0.3〜20μmであることがより好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましい。0.1μm以下であると、樹脂組成物の増粘を引き起こす可能性があり、また粒子の凝集を招くことで、分散が困難になる可能性もある。15μm以上であると、薄型のプリプレグ、フィルムや両面銅張積層板などに使用しにくい欠点がある。
なお、平均粒径は、粒度分布測定装置を用いて測定し、累積50%となる粒子径(メジアン径)である。
本発明にかかる非中空型多孔質無機微粒子は、上記に説明する物性を満たすものであれば、市販品を入手して使用することができる。
本発明のTPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子の作製方法としては特に限定されないが、TPTPを溶媒に溶解して得られる溶液に、非中空型多孔質無機微粒子を浸漬することにより、TPTPが速やかに非中空型多孔質無機微粒子に吸着され、次いで溶媒を除去することにより得ることができる。
TPTPを溶解させる溶媒としては、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、トルエンなどの無極性有機溶媒が挙げられ、TPTPの溶解性および環境への負荷面からトルエンが好ましい。
非中空型多孔質無機微粒子が内包または担持するTPTPの量は、多孔質無機微粒子の吸油量に依存し、本発明に使用されるTPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子は、内包または担持するTPTPの量が最大になるように調製される。そのため、TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子は、非中空型多孔質無機微粒子の吸油量より過剰となるTPTP溶液を用いて、含浸させ、調製することが望ましい。
なお、非中空型多孔質無機微粒子の吸油量よりTPTP溶液を過剰に浸漬するために溶媒を加熱しTPTP溶液の濃度を上げた後に、多孔質無機微粒子に浸漬することもできる。
<エポキシ樹脂組成物>
エポキシ樹脂系組成物は、フェノール樹脂系硬化剤と硬化性エポキシ樹脂とTPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子とを少なくとも含んでなり、これらを混合するだけで、ただちにエポキシ樹脂系組成物を調製できる。
本発明におけるエポキシ樹脂系組成物は、TPTP含浸型多孔質無機微粒子のTPTPの融点が146℃と高く、また各樹脂への溶解性が比較的低いため、そして、非中空型、かつ吸油量が30〜300ml/100gである多孔質無機微粒子は構造的に強靭なため、TPTP含浸型多孔質無機微粒子を樹脂に加熱下配合した際に、内包または担持されたTPTPが樹脂中へ溶け出すこと、および、多孔質無機微粒子が崩壊することによってTPTPが樹脂中に放出される可能性は低くなり、硬化反応を最小限に抑えることができる。その結果、樹脂系組成物の貯蔵保存性を向上させることが出来る。
また、硬化促進剤を直接添加せずに、TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子を用いることによって、硬化促進剤を樹脂に溶融混練時にエポキシ樹脂系組成物中に容易に均一分散させることが容易となり、非中空型多孔質無機微粒子はTPTPの硬化促進能力に影響を及ぼさないため、硬化時の加熱条件下で速硬化し、当該硬化物を高Tgとすることができる。
エポキシ樹脂系組成物は、線膨張率を小さくするために、公知の各種無機充填剤を含有することができる。無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化アルミニウムなどを挙げることができる。またそれらは、シランカップリング剤などのカップリング剤で表面処理してもよい。その他、エポキシ樹脂系組成物に添加される公知の添加剤が含まれていてよい。添加剤としては、イオントラップ剤、離型剤、カーボンブラックなどの顔料などが挙げられる。
エポキシ樹脂系組成物のうち、本発明にかかるTPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子の含有量は、硬化促進剤成分の内包または担持量によるので特に限定しないが、硬化性エポキシ樹脂100重量部に対して2.0重量部〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは5.0重量部〜15.0重量部である。かかる含有量が2.0重量部より少ないと、硬化促進効果を十分に発揮することができない場合があり、また、20.0重量部より多い場合、エポキシ樹脂系組成物の硬化が早過ぎることが懸念されるためである。一方で、TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子の含有量は、エポキシ樹脂系組成物の保存安定性には影響を与えない。
フェノール樹脂系硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂中のエポキシ当量と、フェノール樹脂の水酸基当量との当量比を考慮して決定される。一般的には、エポキシ当量と水酸基当量との当量比が1:0.1〜1.5、より好ましくは1:0.8〜1.2となるように、フェノール樹脂系硬化剤の含有量を決定する。
以下、本発明にかかるエポキシ樹脂系組成物の調製方法について説明する。
まず、硬化性エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合物を加熱混練後、TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子を添加し、加熱混練した後、冷却することが好ましい。この際、ロール、ニーダーなどの混練機等を用いてもよい。
硬化性エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合物を加熱するのは、各樹脂の粘度を低下させることで混練を容易とし、各樹脂が均一となるように撹拌するためである。
硬化性エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合物と、TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子とを加熱混合することで、エポキシ樹脂系組成物となる。ここで、加熱温度を好ましくは60℃〜140℃、より好ましくは80℃〜120℃とすれば、容易に混合できる。140℃を超える温度で混合することは、内包または担持されたTPTPが樹脂中に溶け出し、貯蔵安定性を損なう可能性があるため、好ましくない。
また、硬化性エポキシ樹脂、フェノール樹脂系硬化剤、およびTPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子の各成分は、各混合工程において一度に混合してもよく、または複数回に分けて少しずつ混合してもよい。また、上記溶剤や添加剤、無機充填剤等を混合する場合も、同様に、任意の時期に一度または複数回に分けて混合することができる。
以下、実施例及び試験例を以って、本発明の有用性について具体的に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
〈製造例1〉TPTP含浸非中空型多孔質シリカMC1−TPTPの作製
攪拌装置、還流冷却管、および温度計を装備した1Lの四つ口フラスコにトリス(4−メチルフェニル)ホスフィン(北興化学工業社製、商品名:TPTP、融点146℃)150gおよびトルエン450gを投入し、40℃まで加熱することで均一溶液を得た。これに非中空型多孔質シリカ(平均粒径:2μm、比表面積:350m/g、吸油量150ml/100g)100gを添加し、40℃で2時間攪拌後、反応液を濾過し、得られた残渣を乾燥することで、TPTP含浸非中空型多孔質シリカ(以下、MC1−TPTPと呼ぶ。)を125g得た。
TPTP含浸非中空型多孔質シリカをSEM観察して得られた写真を図1に示す。SEM写真から多孔質の崩壊は認められず、真球状であることが分かる。
〈製造例2〉TPTP含浸非中空型多孔質シリカMC2−TPTPの作製
攪拌装置、還流冷却管、および温度計を装備した1Lの四つ口フラスコにトリス(4−メチルフェニル)ホスフィン(北興化学工業社製、商品名:TPTP、融点146℃)150gおよびトルエン450gを投入し、40℃まで加熱することで均一溶液を得た。これに非中空型多孔質シリカ(平均粒径:5μm、比表面積:400m/g、吸油量130ml/100g)100gを添加し、40℃で2時間攪拌後、反応液を濾過し、得られた残渣を乾燥することで、TPTP含浸非中空型多孔質シリカ(以下、MC2−TPTPと呼ぶ。)を120g得た。
TPTP含浸非中空型多孔質シリカをSEM観察して得られた写真を図2に示す。SEM写真から多孔質の崩壊は認められず、真球状であることが分かる。
〈製造例3〉TPTP含浸中空型多孔質シリカMC3−TPTPの作製
攪拌装置、還流冷却管、および温度計を装備した1Lの四つ口フラスコにトリス(4−メチルフェニル)ホスフィン(北興化学工業社製、商品名:TPTP、融点146℃)150gおよびトルエン450gを投入し、40℃まで加熱することで均一溶液を得た。これに中空型多孔質シリカ(平均粒径:10μm、比表面積:500m/g、吸油量140ml/100g)100gを添加し、40℃で2時間攪拌後、反応液を濾過し、得られた残渣を乾燥することで、TPTP含浸中空型多孔質シリカ(以下、MC3−TPTPと呼ぶ。)を118g得た。
TPTP含浸中空型多孔質シリカをSEM観察して得られた写真を図3に示す。SEM写真から多孔質の崩壊した様子が分かる。
〈製造例4〉TPTP含浸高吸油型多孔質シリカMC4−TPTPの作製
攪拌装置、還流冷却管、および温度計を装備した1Lの四つ口フラスコにトリス(4−メチルフェニル)ホスフィン(北興化学工業社製、商品名:TPTP、融点146℃)300gおよびトルエン900gを投入し、40℃まで加熱することで均一溶液を得た。これに高吸油型多孔質シリカ(平均粒径:5μm、比表面積:680m/g、吸油量370ml/100g)100gを添加し、40℃で2時間攪拌後、反応液を濾過し、得られた残渣を乾燥することで、TPTP含浸高吸油型多孔質シリカ(以下、MC4−TPTPと呼ぶ。)を132g得た。
TPTP含浸高吸油型多孔質シリカをSEM観察して得られた写真を図4に示す。SEM写真から多孔質の崩壊した様子が分かる。
〈製造例5〉TPP含浸非中空型多孔質シリカMC1−TPPの作製
攪拌装置、還流冷却管、および温度計を装備した500mLの四つ口フラスコにトリフェニルホスフィン(北興化学工業社製、商品名:TPP、融点82℃)150gを投入し、トルエン150gに溶解させた。これに非中空型多孔質シリカ(平均粒径:2μm、比表面積:350m/g、吸油量150ml/100g)100gを添加し、室温で2時間攪拌後、反応液を濾過し、得られた残渣を乾燥することで、TPP含浸非中空型多孔質シリカ(以下、MC1−TPPと呼ぶ。)を160g得た。
〈製造例6〉TPP含浸非中空型多孔質シリカMC2−TPPの作製
攪拌装置、還流冷却管、および温度計を装備した500mLの四つ口フラスコにトリフェニルホスフィン(北興化学工業社製、商品名:TPP、融点82℃)150gを投入し、トルエン150gに溶解させた。これに非中空型多孔質シリカ(平均粒径:5μm、比表面積:400m/g、吸油量130ml/100g)100gを添加し、40℃で2時間攪拌後、反応液を濾過し、得られた残渣を乾燥することで、TPP含浸非中空型多孔質シリカ(以下、MC2−TPPと呼ぶ。)を154g得た。
〈実施例1〉
エポキシ樹脂のNC−3000(エポキシ当量274、日本化薬社製)28.0重量部にフェノール樹脂系硬化剤のMEH−7851M(水酸基当量210、明和化成社製)21.2重量部を加え、120℃で5分加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却した。これにMC1−TPTP2.0重量部を加え、120℃で2分加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却しエポキシ樹脂系組成物を得た。ここで、エポキシ当量と水酸基当量の当量比は、1.0である。
得られたエポキシ樹脂系組成物を、一次硬化として150℃で2時間、続いて二次硬化として180℃で6時間熱硬化させることで、エポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈実施例2〉
MC1−TPTP2.0重量部に代えて、MC2−TPTP2.5重量部とした以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈実施例3〉
2本ロールにエポキシ樹脂のNC−3000(エポキシ当量274、日本化薬社製)140重量部およびフェノール樹脂系硬化剤のMEH−7851M(水酸基当量210、明和化成社製)106重量部、離型剤のライスワックスTOWAX−3F11(東亜化成社製)5重量部、さらにMC1−TPTP10.0重量部および破砕状フィラーのヒューズレックスRD−8(龍森社製)250重量部を仕込み、100℃で7分加熱下に混練することで、エポキシ樹脂系組成物を得た。ここで、エポキシ当量と水酸基当量の当量比は、1.0である。
得られたエポキシ樹脂系組成物を、一次硬化として150℃で2時間、続いて二次硬化として180℃で6時間熱硬化させることで、エポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈実施例4〉
MC1−TPTP10重量部に代えて、MC2−TPTP12.5重量部とした以外は、実施例3と同様にしてエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈実施例5〉
エポキシ樹脂のEPICLON HP−4710(エポキシ当量172、DIC社製)30.0重量部にフェノール樹脂系硬化剤のフェノライトTD−2131(水酸基当量104、DIC社製)18.1重量部を加え、140℃で2分加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却した。これにMC1−TPTP0.84重量部を加え、110℃で2分加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却しエポキシ樹脂系組成物を得た。ここで、エポキシ当量と水酸基当量の当量比は、1.0である。
得られたエポキシ樹脂系組成物を、一次硬化として150℃で1時間、続いて二次硬化として200℃で2時間、アフターキュアとして220℃で4時間熱硬化させることで、エポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈実施例6〉
MC1−TPTP0.84重量部に代えて、MC2−TPTP1.36重量部とした以外は、実施例5と同様にしてエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈比較例1〉
エポキシ樹脂のNC−3000(エポキシ当量274、日本化薬社製)28.0重量部に、フェノール樹脂系硬化剤のMEH−7851M(水酸基当量210、明和化成社製)21.2重量部を加え、120℃で5分加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却した。これにMC3−TPTP2.5重量部を加え、120℃で2分加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却しエポキシ樹脂系組成物を得た。ここで、エポキシ当量と水酸基当量の当量比は、1.0である。
得られたエポキシ樹脂系組成物を、一次硬化として150℃で2時間、続いて二次硬化として180℃で6時間熱硬化させることで、エポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈比較例2〉
MC3−TPTP2.5重量部に代えて、MC4−TPTP1.6重量部とした以外は、比較例1と同様にしてエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈比較例3〉
MC3−TPTP2.5重量部に代えて、TPP(北興化学工業社製)0.4重量部とした以外は、比較例1と同様にしてエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈比較例4〉
MC3−TPTP2.5重量部に代えて、TPTP(北興化学工業社製)0.4重量部とした以外は、比較例1と同様にしてエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈比較例5〉
MC3−TPTP2.5重量部に代えて、MC1−TPP1.0重量部とした以外は、比較例1と同様にしてエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈比較例6〉
MC3−TPTP2.5重量部に代えて、MC2−TPP1.0重量部とした以外は、比較例1と同様にしてエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈比較例7〉
2本ロールにエポキシ樹脂のNC−3000(エポキシ当量274、日本化薬社製)140重量部およびフェノール樹脂系硬化剤のMEH−7851M(水酸基当量210、明和化成社製)106重量部、離型剤のライスワックスTOWAX−3F11(東亜化成社製)5重量部、さらにMC3−TPTP12.5重量部および破砕状フィラーのヒューズレックスRD−8(龍森社製)250重量部を仕込み、100℃で7分加熱下に混練することで、エポキシ樹脂系組成物を得た。ここで、エポキシ当量と水酸基当量の当量比は、1.0である。
得られたエポキシ樹脂系組成物を、一次硬化として150℃で2時間、続いて二次硬化として180℃で6時間熱硬化させることで、エポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈比較例8〉
MC3−TPTP12.5重量部に代えて、MC4−TPTP8.0重量部とした以外は、比較例7と同様にしてエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈比較例9〉
MC3−TPTP12.5重量部に代えて、TPTP(北興化学工業社製)2.0重量部とした以外は、比較例7と同様にしてエポキシ樹脂系組成物およびエポキシ樹脂系硬化物を得た。
〈比較例10〉
エポキシ樹脂のEPICLON HP−4710(エポキシ当量172、DIC社製)30.0重量部にフェノール樹脂系硬化剤のフェノライトTD−2131(水酸基当量104、DIC社製)18.1重量部を加え、140℃で2分加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却した。これにTPTP0.2重量部を加え、110℃で2分加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却しエポキシ樹脂系組成物を得た。ここで、エポキシ当量と水酸基当量の当量比は、1.0である。
得られたエポキシ樹脂系組成物を、一次硬化として150℃で1時間、続いて二次硬化として200℃で2時間、アフターキュアとして220℃で4時間熱硬化させることで、エポキシ樹脂系硬化物を得た。
〔ゲルタイム測定〕
JIS K 6910記載のゲル化時間測定方法に準じ、鋼板温度を175℃として、実施例1〜6および比較例1〜10で得られたエポキシ樹脂系組成物のゲルタイム(GT)を測定した。本測定において、ゲル化試験器としては日新科学社製GT―Dを使用した。
〔レオメーター測定〕
実施例1〜2および比較例1〜6で得られたエポキシ樹脂系組成物の粘度を、レオメーターにより経時測定した。レオメーターとしてはレオテック社製コーンプレート型レオメーターRC20−CPSを使用し、エポキシ樹脂系組成物を175℃熱板上で測定した。
〔熱時硬度測定〕
実施例1〜2および比較例1〜6で得られたエポキシ樹脂系組成物の加熱時の粘度変化を、レオメーターにより経時測定した。レオメーターとしてはレオテック社製コーンプレート型レオメーターRC20−CPSを使用し、エポキシ樹脂系組成物を175℃熱板上で測定した。
〔耐熱性試験〕
実施例1〜6および比較例1〜10で得られたエポキシ樹脂系硬化物の耐熱性試験を実施した。本試験において、動的粘弾性試験機としてはエスアイアイ・ナノテクノロジー社製SDM5600・DMS110を使用し、昇温2℃/分、周波数1Hz、曲げモードにて行った。貯蔵弾性率(E´)と損失正接(tanδ)の温度依存性を調べた。tanδのピーク温度をガラス転移温度(Tg)とした。TMA試験機としてはエスアイアイ・ナノテクノロジー社製TMA/SS7100を使用し、昇温2℃/分にて行った。50℃〜100℃における膨張率を線膨張率(α1)とした。
実施例1〜6の配合、および当該組成物を調製直後から6ヶ月間40℃で保存した後のGT測定結果を表1に示し、比較例1〜10の配合、および当該組成物のGT測定結果を表2に示す。
表1、2に示すように、本発明にかかるエポキシ樹脂系組成物(実施例1〜6)は、40℃で長期保存した場合でもゲル化時間は全く変化せず、貯蔵安定性に極めて優れているといえる。また、特にフィラーを配合した樹脂組成物(実施例3、4)においても、貯蔵安定性の損失は認められず、パワーデバイス用途に耐えうる特殊なタイプの高耐熱性エポキシ樹脂(実施例5、6)を用いた場合でも、本発明にかかるエポキシ樹脂系組成物は、40℃で長期保存中後もゲル化時間は全く変化せず、貯蔵安定性に極めて優れているといえる。
一方、比較例1、2、7、8の場合には、40℃で短期保存の場合はゲル化時間の変化は少ないが、長期間保存するとゲル化時間が短くなった。初期硬化が進んだことを示唆しており、実施例1〜6と比較すると、長期貯蔵安定性に劣るといえる。
比較例3、4、9、10の場合には、40℃で保存すると、短期間でゲル化時間が大幅に短くなった。初期硬化が進んだことを示唆しており、明らかに貯蔵安定性に劣るといえる。
比較例5、6の場合にも、40℃で保存すると、同様に短期間でゲル化時間が大幅に短くなった。これは、エポキシ樹脂系組成物の調製中に120℃まで加熱したことで、内包したTPP(融点80℃)が非中空型多孔質無機微粒子の外に溶出したためと考えられる。
以上の結果から、多孔質無機微粒子は、吸油量が30〜300ml/100gである非中空型多孔質無機微粒子を用いること、および、硬化促進剤を非中空型多孔質無機微粒子に内包または担持することが、貯蔵安定性付与には重要であるといえる。
次に、実施例1、2、比較例1〜6について、レオメーター測定結果を表3に、熱時硬度測定結果を表4に示す。
表3、4から、本発明にかかるエポキシ樹脂系組成物(実施例1、2)は、TPTPそのものを用いた場合(比較例4)と比較し、エポキシ樹脂系組成物の硬化力損失は殆どなく、速硬化性を備えることが分かる。また熱時硬度測定結果から、本発明にかかるエポキシ樹脂系組成物(実施例1、2)は、硬化促進剤にTPP(比較例3)もしくはTPP含浸非中空型多孔質無機微粒子(比較例5、6)を用いた場合と比較し、熱時硬度の差からエポキシ樹脂系組成物の硬化力が高い、つまり速硬化性に優れることが分かる。
次に、実施例1〜6で得られた各エポキシ樹脂系硬化物の耐熱性試験結果を表5に示し、比較例1〜10で得られた各エポキシ樹脂系硬化物の耐熱性試験結果を表6に示す。
表5、6から、硬化促進剤としてTPTP含浸型多孔質無機微粒子を用いたエポキシ樹脂系硬化物(実施例1〜4、比較例1、2、7、8)は、硬化促進剤にTPP(比較例3)もしくはTPP含浸型多孔質無機微粒子(比較例5、6)を用いた場合と比較し、高Tgとなるため、耐熱性に優れていることが分かる。
また、パワーデバイス用途に耐えうる特殊なタイプの高耐熱性エポキシ樹脂系硬化物においては、TPTP含浸非中空型多孔質無機微粒子を用いたエポキシ樹脂系硬化物は、TPTPを用いた場合と同様、更に耐熱性に優れることが分かる(実施例5、6、比較例10)。
なお、本発明にかかるエポキシ樹脂系硬化物は、無機充填剤を配合することで、線膨張率が低減可能であり、また熱伝導率増大により一層の耐熱性を付与することも可能といえる。
本発明のエポキシ樹脂系組成物は、貯蔵安定性に優れ、併せて当該組成物の硬化力および当該硬化物の耐熱性を兼ね備えており、例えば、各種の小型の電気・電子部品や半導体部品の樹脂封止において極めて有用であり、また、パワーデバイス用途に耐えうる高耐熱性エポキシ樹脂系組成物に対しても同様であるといえる。

Claims (4)

  1. エポキシ樹脂系組成物調製時に60〜140℃の熱をかけるエポキシ樹脂系組成物であって、当該組成物が(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン含浸非中空型多孔質無機微粒子を少なくとも含有し、当該非中空型多孔質無機微粒子の吸油量が30〜300ml/100gであることを特徴とするエポキシ樹脂系組成物。
  2. 非中空型多孔質無機微粒子がシリカ、珪酸カルシウム、アパタイト、アルミナ、ゼオライトから選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂系組成物。
  3. さらに無機充填剤を含有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のエポキシ樹脂系組成物。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のエポキシ樹脂系組成物を硬化して得られるエポキシ樹脂系硬化物。
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