JP2013067592A - 経口皮膚保護剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】可食経験の有る植物由来の抽出物を用いて、単回摂取により、紫外線により誘発される皮膚の炎症とそれに伴う皮膚の劣化を予防または軽減する経口皮膚保護剤を提供する。
【解決手段】クロセチンまたはその薬理学的に許容しる塩を有効成分として含有することを特徴とする経口皮膚保護剤。
【効果】本発明の経口皮膚保護剤は、単回摂取により、紫外線により誘発される皮膚の炎症抑制活性の効果を発揮する。また、本発明の経口皮膚保護剤は、紫外線により誘発される皮膚の炎症を抑制することによって改善される疾患の予防及び治療に利用し得る。
【選択図】 なし
【解決手段】クロセチンまたはその薬理学的に許容しる塩を有効成分として含有することを特徴とする経口皮膚保護剤。
【効果】本発明の経口皮膚保護剤は、単回摂取により、紫外線により誘発される皮膚の炎症抑制活性の効果を発揮する。また、本発明の経口皮膚保護剤は、紫外線により誘発される皮膚の炎症を抑制することによって改善される疾患の予防及び治療に利用し得る。
【選択図】 なし
Description
本発明は、クロセチンまたはその薬理学的に許容し得る塩を有効成分とし、紫外線により誘発される皮膚の炎症とそれに伴う皮膚の劣化を予防または軽減することを目的とした経口皮膚保護剤に関する。
成層圏に存在するオゾン層は、太陽光に含まれる有害な紫外線の大部分を吸収して、地球上の生物を守っている。近年、このオゾン層がフロンなどの人工的化学物質によって破壊されることが明らかとなっている。オゾン層の破壊によって、今まで地表に届かなかった紫外線が降り注ぐようになり、ヒトでは皮膚がん、白内障、免疫機能の低下が、植物では成長阻害、色素形成不全などの障害が増加することが実験及び疫学研究結果から明らかにされている(非特許文献1参照)。
皮膚が強い紫外線に曝されると、紅斑(皮膚発赤)や浮腫などのダメージを受け、その結果、肥厚や弾性喪失、シワ発生、色素沈着異常など皮膚の劣化が引き起こされる。さらに、強い紫外線への繰り返しの被爆は、皮膚がんのリスクを増大させる。一方で年間を通じて皮膚が曝されている弱い紫外線、いわゆる生活紫外線も、皮膚の劣化を引き起こす原因になることが報告されている(非特許文献2参照)。こうした紫外線による健康被害を防ぐため、これまで皮膚へ塗布する日焼け止めクリームや化粧品などの外用剤が、紫外線から皮膚を保護する主な手段として用いられてきた。しかしながら、外出の度に、皮膚外用剤を身体の露出している部分すべてに、完全に塗布することは困難であるばかりでなく、手間と時間もかかってしまうことから、より手軽で有効な紫外線対策の手段が望まれていた。
この課題を解決すべく、経口摂取によって皮膚を紫外線から保護する効果のある薬理成分に関して、数多くの研究がなされている。ヒト皮膚のビタミンC、ビタミンE、カロテノイドの濃度は、紫外線に曝されることによって低下することが報告されている。これらの知見にもとづき、ヒトがビタミンC、ビタミンE、カロテノイドを経口摂取した場合に、紫外線による皮膚のダメージが軽減される可能性についても検討がなされている。例えば、カロテノイドでは、β−カロテンやリコピンの経口摂取により、紫外線により誘発される皮膚の炎症(紅斑)を抑制するとする報告がなされている(非特許文献3および4参照)。しかしながら、これらのカロテノイドの摂取では、いずれも効果が認められるまでに10週間程度と長い時間を要するため、前もって連続して摂取しておく必要があるなど紫外線対策として簡便な手段とはいえなかった。そのため、より簡便で有効な紫外線対策の手段として、より即効性のある薬理成分が求められていた。
一方、カロテノイドの一種であり、クチナシの果実、サフランの雌しべなどの可食経験の有る植物から抽出されるクロセチンについては、眼精疲労改善剤としての用途(特許文献1参照)が知られているが、紫外線により誘発される皮膚の炎症とそれに皮膚の劣化を、予防または軽減することを目的とした皮膚保護剤として有用であるとの報告はない。
YAKUGAKU ZASSHI Vol.126,677−693(2006)
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Proc.Soc.Exp.Med.,Vol.223,170−174(2000)
J.Nutr.,Vol.131,1449−1451(2001)
本発明らは、可食経験の有る植物由来の抽出物を用いて、単回摂取により、紫外線により誘発される皮膚の炎症とそれに伴う皮膚の劣化を予防または軽減する経口皮膚保護剤を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、カロテノイド色素の一種であるクロセチンが紫外線より誘発される皮膚炎症を単回摂取で抑制することを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明は、下記(1)式で表されるクロセチン、またはその薬理学的に許容し得る塩を有効成分として含有することを特徴とする経口皮膚保護剤、からなっている。
本発明の経口皮膚保護剤は、単回摂取により、紫外線により誘発される皮膚の炎症抑制活性の効果を発揮する。
本発明の経口皮膚保護剤は、紫外線により誘発される皮膚の炎症を抑制することによって改善される疾患の予防及び治療に利用し得る。
本発明の経口皮膚保護剤は、紫外線により誘発される皮膚の炎症を抑制することによって改善される疾患の予防及び治療に利用し得る。
本発明に用いられるクロセチンは、下記(2)式で表される化合物(分子量328.40)である。
このクロセチンは、通常、カロテノイド系の黄色色素であるクロシン(クロセチンのジゲンチオビオースエステル)を加水分解することにより得られる。クロシンは、アカネ科クチナシ(Gardenia augusta MERRIL var. grandiflora HORT.,Gardenia jasminoides ELLIS)の果実、サフランの柱頭の乾燥物などに含まれる。クロシンを得るための工業的原料としてはクチナシの果実が好ましく用いられる。
上記クチナシの果実からクロシンを抽出する方法に制限はなく、例えば、クチナシの乾燥果実を粉砕し、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど) またはそれらの混合液を用いて抽出するなどの公知の方法が用いられる。抽出条件は、例えば水・アルコール混合液(1:1)を用いる場合、室温(約0〜30℃)〜50℃で約1〜18時間が好ましく、約30〜40℃で約2〜4時間がより好ましい。乾燥果実の粉砕物からのクロシンの抽出率をより高めるため、抽出操作は通常複数回繰り返される。クロシンを含む抽出液は自体公知の方法により濃縮され、通常、濃縮液として冷蔵保存される。
クロシンの加水分解は、定法に従って行われてよく、通常、酸、アルカリまたは適当な加水分解酵素を用いて行われる。ここで酸としては、例えば塩酸、硫酸およびリン酸などが挙げられる。アルカリとしては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどが挙げられる。また加水分解酵素としては、β−グルコシダーゼなどが挙げられる。
工業的には、クロシンの加水分解は通常アルカリを用いて行われる。一例を示すと、前記クロシンを含む濃縮液に過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を加え、好ましくは攪拌下、室温(約0〜30℃)〜70℃で約1〜24時間、好ましくは約40〜60℃で約3〜5時間反応する。
アルカリによる加水分解終了後、反応液に塩酸、硫酸またはリン酸などの無機酸、もしくはクエン酸などの有機酸の水溶液を適量加え、液性をpH約4.0以下、好ましくはpH約1.0〜3.0にすることによりクロセチンの結晶を析出させる。これとは別に、反応液を塩酸、硫酸またはリン酸などの無機酸、もしくはクエン酸などの有機酸の水溶液に加えて、クロセチンの結晶を析出させてもよい。その後、クロセチンの結晶を含む混合液を固液分離することにより、クロセチンの結晶を含む懸濁液またはスラリーが得られる。
また、クロシンの加水分解が酸を用いて行われる場合、通常、加水分解と同時にクロセチンの結晶が析出するため、反応液はクロセチンを含む懸濁液として得られる。反応終了後、得られた懸濁液を固液分離することにより、クロセチンの結晶を含む懸濁液またはスラリーが得られる。
上記のようにして得られたクロセチンの結晶を含む懸濁液またはスラリーには、クロセチンの結晶と共に、酸、中和塩および原料由来の不純物などが混ざり合っているため、これらを除去する目的で、洗浄処理が行われる。該処理は、例えば、上記懸濁液またはスラリーを十分量の水、アルコールまたはそれらの混合液を用いて洗浄するなど、公知の方法にて行ってよい。洗浄処理は、所望する純度が得られるまで、通常複数回繰り返される。洗浄処理後、クロセチンの結晶を含む懸濁液またはスラリーを、例えば真空乾燥機などを用いて約50℃を越えない温度で乾燥し、精製クロセチンを得る。精製クロセチンは、窒素ガスなど不活性ガスで置換された容器に密封され、保存されるのが好ましい。
本発明で用いられるクロセチンの含有量は、クロセチンを含む試料の色価から次式に基づいて算出される。
尚、上記色価は、以下の[色価測定方法]に基づき測定される。
[色価測定方法]
1)測定する吸光度が0.3〜0.7の範囲になるように、試料を精密に量り、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かして正確に100mlとする。
2)その5mlを正確に量り、Kolthoff氏緩衝液(50mM Na2B4O7・10H2O−50mM Na2CO3,pH10.0)を加えて50mlとする。
3)その5mlを正確に量り、Kolthoff氏緩衝液(pH10.0)を加えて50mlとする。
4)その5mlを正確に量り、Kolthoff氏緩衝液(pH10.0)を加えて50mlとし、試験溶液とする。
5)Kolthoff氏緩衝液(pH10.0)を対照とし、液層の長さ1cmで420nm付近の極大吸収部における吸光度Aを測定し、次式により色価を求める。
1)測定する吸光度が0.3〜0.7の範囲になるように、試料を精密に量り、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かして正確に100mlとする。
2)その5mlを正確に量り、Kolthoff氏緩衝液(50mM Na2B4O7・10H2O−50mM Na2CO3,pH10.0)を加えて50mlとする。
3)その5mlを正確に量り、Kolthoff氏緩衝液(pH10.0)を加えて50mlとする。
4)その5mlを正確に量り、Kolthoff氏緩衝液(pH10.0)を加えて50mlとし、試験溶液とする。
5)Kolthoff氏緩衝液(pH10.0)を対照とし、液層の長さ1cmで420nm付近の極大吸収部における吸光度Aを測定し、次式により色価を求める。
本発明において、クロセチンの薬理学的に許容しうる塩としては、例えば、ナトリウム、カリウムなどの第1族元素の塩、マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素の塩、ピリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミンなどの医薬的に許容される有機アミノ化合物の塩などが挙げられる。
本発明の経口皮膚保護剤は、上記クロセチンもしくはその薬理学的に許容しうる塩をそのまま、あるいは医薬品添加物、食品添加物および食品素材などを適宜配合し、常法に従い、例えば液剤(例えばドリンク剤など)、散剤、顆粒剤、錠剤、マイクロカプセル、ソフトカプセル、ハードカプセル、油脂組成物、O/W型乳化液、W/O型乳化液または可溶化液などの形状の製剤として製造され得る。
上記製剤の製造に用いられる医薬品添加物、食品添加物および食品素材としては、例えば賦形剤(乳糖、デキストリン、コーンスターチ、結晶セルロースなど)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなど)、崩壊剤(カルボキシメチルセルロースカルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムなど)、結合剤(デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、アラビアガム液など)、溶解補助剤(アラビアガム、ポリソルベート80など)、甘味料(砂糖、果糖ブドウ糖液糖、ハチミツ、アスパルテームなど)、着色料(β−カロテン、食用タール色素、リボフラビンなど)、保存料(ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、亜硫酸ナトリウムなど)、増粘剤(アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(BHT、BHA、アスコルビン酸、トコフェロールなど)、香料(ハッカ、ストロベリー香料など)、酸味料(クエン酸、乳酸、DL−リンゴ酸など)、調味料(DL−アラニン、5´−イノシン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウムなど)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなど)、pH調整剤(クエン酸、クエン酸三ナトリウムなど)、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類などが挙げられる。
上記製剤の場合、クロセチンもしくはその薬理学的に許容しうる塩の含有量は、製剤100質量%中、純度100質量%のクロセチンに換算して、通常約0.0001〜50質量%、好ましくは約0.001〜20質量%、より好ましくは約0.01〜10質量%である。
更に、本発明の経口皮膚保護剤は、飲食品の形態をとることが可能である。該飲食品としては、例えば清涼飲料、ドロップ、キャンディ、チューインガム、チョコレート、グミ、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン、ゼリー菓子、クッキーなどが挙げられる。
上記飲食品の場合、クロセチンもしくはその薬理学的に許容しうる塩の含有量は、飲食品100質量%中、純度100質量%のクロセチンに換算して、通常約0.00003〜10質量%、好ましくは約0.01〜5質量%である。
また、本発明の経口皮膚保護剤は、単独で用いることができるほか、皮膚の健康維持に良いとされる他の成分、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類、亜鉛、セレン、硫黄、カルシウム、鉄などのミネラル類、β−カロテン、α−カロテン、リコピン、フィトエン、フィトフルエン、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−クリプトキサンチン、フコキサンチン、ビキシン、ノルビキシンなどのカロテノイド類、アントシアニン、アントシアニジン、プロアントシアニジン、カテキン、ヒドロキシチロソール、オレウロペイン、イソフラボン配糖体又はそのアグリコンなどのポリフェノール類、さらにはアルギニン、グリシン、メチオニン、システイン、オルニチンなどのアミノ酸、シスチン、グルタチオン、コラーゲン又はその分解物などのたんぱく質又はその分解物(ペプチド)、ヒアルロン酸、グルクロン酸、コンドロイチン硫酸などのグリコサミノグルカン、シトルリン、タウリン、グルコサミン、コウジ酸、α−リポ酸、CoQ10、スクワレン、エラスチン、セラミドなどと組み合わせて用いることが可能である。
本発明の経口皮膚保護剤を経口摂取する際のクロセチンもしくはその薬理学的に許容しうる塩の成人1日当たりの用量は、純度100質量%のクロセチンに換算して、約0.1〜500mgの範囲である。
本発明の経口皮膚保護剤(紫外線に対する皮膚保護用経口剤)は、紫外線により誘発される皮膚の紅斑(皮膚発赤)や浮腫などの炎症抑制活性に優れているため、このような炎症の抑制を目的として利用できる他、紫外線による肥厚や弾性喪失、シワ発生、色素沈着異常などの皮膚の劣化又は老化抑制などを目的としても利用し得る。
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[試験例]
[単回摂取における紫外線による肌の炎症抑制活性の評価試験]
紫外線による肌炎症に対するクロセチンの保護効果を検証するため、表1に示した配合からなる内容物を充填したハードカプセルの形態の被験薬および対照薬(230mg/1カプセル)を常法にて作製し、健常な成人男性を対象にして、二重盲検法によるクロスオーバー比較試験を実施した。試験方法を以下に示す。
[単回摂取における紫外線による肌の炎症抑制活性の評価試験]
紫外線による肌炎症に対するクロセチンの保護効果を検証するため、表1に示した配合からなる内容物を充填したハードカプセルの形態の被験薬および対照薬(230mg/1カプセル)を常法にて作製し、健常な成人男性を対象にして、二重盲検法によるクロスオーバー比較試験を実施した。試験方法を以下に示す。
<試験方法>
男性ボランティア15名の被験者をA群(n=7)とB群(n=8)とに無作為に割り付け、A群を被検薬投与群、B群を対照薬投与群とした。試験に先立って、各被験者について最小紅斑量テストを実施した。最小紅斑量(MED:Minimal Erythema Dose)は、「日本化粧品工業連合会SPF測定法基準 2007年改定版」に記載の「8. MEDの判定方法」に基づいて測定した。また、1.5cm四方の穴を1箇所に開けた紫外線防護シートを被験者の上腕内側に貼り付け、色差計(SPECTROPHOTOMETER NF333;日本電色工業社製)にてシート開口部の皮膚の色(a値:皮膚の赤味を表す指標)を測定した。
その後、A群には被験薬を、B群には対照薬を2カプセル服用させ、服用から4時間後、紫外線照射機(デルマレイ−200;テルモ・クリニカルサプライ社製)を用いて、上記最小紅斑量テストにより測定された最小紅斑量の1.25倍量の紫外線をシート開口部の皮膚に照射した。紫外線照射から24時間後に紫外線照射部位(シート開口部の皮膚)の色を色差計(SPECTROPHOTOMETER NF333;日本電色工業社製にて測定した。
さらに、1週間ウオッシュアウト期間を取った後、A群を対照薬投与群、B群を被験薬投与群として、同様の試験を実施した。
評価では、照射前と照射24時間後の皮膚の色の差(照射24時間後のa値−照射前のa値)を紅斑強度とし、この紅斑強度を、被験薬を摂取した場合(被験薬摂取時)と対照薬を摂取した場合(対照薬摂取時)とで比較した。被験者15名の被験薬摂取時と対照薬摂取時の紅斑強度の平均値および標準偏差を表2に示す。
男性ボランティア15名の被験者をA群(n=7)とB群(n=8)とに無作為に割り付け、A群を被検薬投与群、B群を対照薬投与群とした。試験に先立って、各被験者について最小紅斑量テストを実施した。最小紅斑量(MED:Minimal Erythema Dose)は、「日本化粧品工業連合会SPF測定法基準 2007年改定版」に記載の「8. MEDの判定方法」に基づいて測定した。また、1.5cm四方の穴を1箇所に開けた紫外線防護シートを被験者の上腕内側に貼り付け、色差計(SPECTROPHOTOMETER NF333;日本電色工業社製)にてシート開口部の皮膚の色(a値:皮膚の赤味を表す指標)を測定した。
その後、A群には被験薬を、B群には対照薬を2カプセル服用させ、服用から4時間後、紫外線照射機(デルマレイ−200;テルモ・クリニカルサプライ社製)を用いて、上記最小紅斑量テストにより測定された最小紅斑量の1.25倍量の紫外線をシート開口部の皮膚に照射した。紫外線照射から24時間後に紫外線照射部位(シート開口部の皮膚)の色を色差計(SPECTROPHOTOMETER NF333;日本電色工業社製にて測定した。
さらに、1週間ウオッシュアウト期間を取った後、A群を対照薬投与群、B群を被験薬投与群として、同様の試験を実施した。
評価では、照射前と照射24時間後の皮膚の色の差(照射24時間後のa値−照射前のa値)を紅斑強度とし、この紅斑強度を、被験薬を摂取した場合(被験薬摂取時)と対照薬を摂取した場合(対照薬摂取時)とで比較した。被験者15名の被験薬摂取時と対照薬摂取時の紅斑強度の平均値および標準偏差を表2に示す。
ここで、紅斑強度は、その数値が大きいほど皮膚が赤色に変化し、紅斑(紫外線による炎症)が生じていることを示す。また、集計されたデータに基づき対応のあるt検定を行ったところ、被験薬と対照薬において有意な差(危険率5%未満)が認められ、被験薬の摂取により紅斑強度が有意に低値を示すことが明らかとなった。この結果は、本発明の経口皮膚保護剤は、単回摂取により、紫外線による皮膚炎症の抑制に有効であることを示している。
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