JP2013063463A - 小径金属管の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対のサイドロールであって、成形されるパイプの外径φ1に対して成形するロールの外径φ2の外径比φ2/φ1を10以上、好ましくは25以上となるように設計された大径サイドロールを使用し、金属帯を単スタンドの前記サイドロールを通して円筒状に成形した後、金属帯エッジの突合せ部を溶接接合する。大径サイドロールとして、3方ロール方式あるいは4方ロール方式のものを用いてもよい。
単スタンドでの製造が可能となるため、ロール交換の手間が軽減され、コスト低減に資する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、ロールフォーミング法では、製造する金属管のサイズを変更する際はロール成形スタンドが多いため、オペレーターによるロール交換作業や寸法調整に伴う作業負荷が大きく、ライン休止時間が長くなることで生産効率が低下する。さらに外径が20mmを下回るような小径管を製造する場合、例えば特許文献1にあるような多段スタンドによる造管では、調整箇所が多くなり各スタンドで厳密な調整をしなければ鋼帯に蛇行やねじれ等の成形不具合が生じて生産効率が著しく低下する。小径管を製造する場合は作業効率や生産性改善のため、可能な限り少段数、ひいては単スタンドで造管することが望ましい。
しかしながら、ダイドローフォーミング法では、ダイス1段で円筒状に成形できるが、ダイスと管材との摩擦が著しく、潤滑油を使用しながら製造しても金属帯疵から脱落した金属粉末が蓄積され、ダイスを頻繁に手入れしないと溶接品質が維持できないことや、さらには表面疵が著しいため造管後に表面研磨処理が必要になるなど、生産性低下ならびに生産コストの上昇が否めない。
前記した通り、ロールフォーミング法はロール交換作業や寸法調整に伴う作業負荷が大きいばかりでなく、特に小径管を製造する場合に、わずかな調整ミスで突合せ部に不具合が発生し易くなる。
また、ダイドローフォーミング法では潤滑油を大量に使用するため、そのままレーザ溶接することができない。
前記外径比φ2/φ1は25以上となるようにすることが好ましい。
エッジベンドロールスタンドによって金属帯エッジを曲げた後、大径サイドロールを通すことが好ましい。
なお、4方ロール方式として上側にフィンロールを付加してエッジの突合せ位置を高精度に維持しながら成形してもよい。
さらに、溶接接合が行われるスクイズロールの直前上側にもフィンロールを配置し、ねじれの発生を抑制しつつ造管してもよい。この際スクイズロールの直前上側に配置されるフィンロールとして得ようとする管の半径よりも大きな曲率半径が付与された形状の凹面とフィンを備えたフィンロールを用いると、鋼帯エッジを押圧しながら当接部形状を矯正して造管できるので、成形精度の優れた小径金属管が得られる。
3:エッジベンドロールスタンド 4:大径サイドロールスタンド
5:スクイズロールスタンド 6:引抜き装置
7:溶接管 8、8’:フィンロール
9:ボトムロール 10:金属帯
そこで、数多い段数のロール成形スタンドを用いることなく、緩やかにロール成形でき、ロール成形時の生じるひずみを小さくできる手段について検討を重ねている段階で、単スタンドのロール成形スタンドで緩やかにかつ生じるひずみが小さくなるように成形できることを見出し、本発明に到達した。
以下にその詳細を説明する。
パイプの外径に対して成形するロールの外径の外径比が相当に大きくなるように設計された大径サイドロールはダイスと見立てることができ、単スタンド、かつ無潤滑で円筒状の成形が可能となったものである。
なお、大径サイドロールは、被成形円筒形状に応じた大きいロール径を必要とするため、外径が20mmを下回るような小径の溶接管製造に好適であるが、大きな外径の溶接管製造にはそれに見合った径のサイドロールが必要となり、現実的ではない。
成形されるパイプの外径φ1に対する成形するロールの外径φ2の比である外径比φ2/φ1が大きいサイドロールを使用することで緩やかにロール成形でき、つまり成形中に生じるひずみを小さくしながら成形できる。
図2に外径比φ2/φ1と鋼帯エッジ部の相当塑性ひずみの関係を示しているが、外径比を10以上とすることで、特に鋼帯エッジに生じるひずみを一段と小さい状態で成形することができ、エッジが湾曲されたときの断面形状が良好でかつ反りのない状態での成形が可能となる。外径比を25以上とすることがより好ましい。外径比の上限については特に規定する必要はないが、鋼帯エッジ部に生じるひずみの低減効果が80程度で飽和すること、ロール費用などを考慮すると80程度とするのが実用的である。
本発明方法を適用する現実的なライン構成を図3に示す。
巻き戻された金属帯10は、板押え1で押えられつつガイド2で側端を揃えてエッジベンドロールスタンド3に通される。側端が曲げられた金属帯は大径サイドロールスタンド4で円筒状に成形された後、フィンロール8で突合せ当接部の位置精度を高め、スクイズロールスタンド5を通るときにレーザ溶接法などで溶接接合され、溶接管7となる。なお、6は引き抜き装置である。
このロールスタンドを通り、側端が曲げられた金属帯が、図1や図5で示される大径サイドロールスタンド4を通るときに円筒形状に成形されるのである。
この材料の下方への逃げを防ぐためには、下方のロール間に、いわゆる“受け”を配置することが好ましい。
しかしながら、ボトムロール9の中心線を図8に示すように大径サイドロールの中心線に合致するように配置した場合には、円筒状への成形の際に不具合を発生させることがある。大径サイドロールとボトムロールの中心線が合致していると、ロール直下において鋼帯は周方向に全周を拘束されるため、ひずみが過剰に生じて不具合を発生させると推測される。同時に、中心線が合致した状態では、ロール中心からやや手前において、鋼帯はボトムロールに支持されない部位でパイプの底部が下方向に潜り込んで折れ曲がるようにして成形され、その後に潜り込んだ部分がボトムロールに支持されて立ち上げられる際に生じる曲げ、曲げ戻しによってひずみが過剰に生じ不具合を発生させるためと推測される。
そこで、ボトムロールをライン入側にオフセットして配置する(図9参照)。これにより、鋼帯が周方向に全周を拘束されることなく逃げ道が生じ、また曲げ、曲げ戻しによる余計な変形が少ないためにひずみの発生量を大幅に低減することができ、成形された金属管の形状および品質が大幅に向上する。
なお、溶接法はレーザ溶接法に限定されるものではなく、ティグ溶接、プラズマ溶接などのアーク溶接法や高周波溶接法などを用いても良い。
レーザ溶接法に限らず、金属帯の突合せ部を溶接接合する際には、突合せ当接部の位置決め精度が高く、溶接線が一直線で伸びていることが好ましい。
突合せ当接部の位置決め精度を高くするために、本発明ではサイドロール成形の際にフィンロールを追加した4方ロール方式によってロール成形することが好ましい(図10参照)。
そこで、本発明ではさらに、図11(b)に示すように、スクイズロールの直前にも第二のフィンロールを設けた。
すなわち、図3に示すように二つのフィンロール8,8’を直列に配置して造管時の当接部の位置決めが高精度でなされ、溶接線が一直線で伸びた形状が得られ、より安定した連続造管が可能となる。
そこで、本発明ではさらに、スクイズロールの直前に配置するフィンロールとして、図13に示すような、得ようとする管の半径よりも大きな曲率半径が付与された形状の押圧面とフィンを備えたフィンロールを用いて、鋼帯エッジを押圧しながら当接部形状を矯正して造管した。
次に、18Cr‐1Mo‐Ti‐LCN組成を有する板厚0.5mmのステンレス鋼帯を素材として、外径φ6.5mm(φ1)の溶接管を製造した事例を紹介する。
製造ラインとして、図3で紹介したラインを使用し、エッジベンドロールとして図4に示すプロフィール、サイズを有するロールを、大径サイドロールとして図5、図7に示すサイズ(φ2=300mm、外径比φ2/φ1=46)を有し、外径62mmのボトムロールをライン入側に10mmオフセット配置したロールを用いた。また、ライン入側に12mm、14mm、15mm、16mm、18mm、20mmオフセット配置したロールを用いての造管も行った。なお、大径サイドロールの上側にのみフィンロールを配置した。
ライン速度が4m/minとなる条件で前記素材鋼帯を通板し、スクイズロール上で出力約900W、ビーム径0.6mmの条件でファイバーレーザ溶接して溶接管を製造した。
同様に、図3で紹介したラインを使用し、16.5Cr‐Ti‐LCN組成を有する板厚0.3mmのステンレス鋼帯を素材として外径φ3.7mm(φ1)の溶接管が得られるよう、φ100mmのエッジベンドロールと、φ2が100mm、300mmの大径サイドロール(外径比φ2/φ1=27、81)、外径62mmのボトムロールをライン入側にオフセット配置したロールを用い、ライン速度4m/min、ファイバーレーザ出力約500W、ビーム径0.6mmの条件で溶接管を製造した。
なお、この事例でも、ライン入側に10mmオフセット配置したロールと、12mm、14mm、15mm、16mm、18mm、20mmオフセット配置したロールを用いた7種の造管を、いずれも大径サイドロールの上側にのみフィンロールを配置して行っている。
また、同じく16.5Cr‐Ti‐LCN組成を有する板厚0.3mmのステンレス鋼帯を素材として、外径φ6.5mm(φ1)の溶接管を製造した事例を紹介する。
製造ラインとして、上記実施例1で紹介したものと同じ形状、サイズのエッジベンドロール、大径サイドロール及びライン入側にオフセット配置したボトムロールを用いた。
なお、この事例では、ライン入側に5mmオフセット配置したロールと、7mm、10mm、12mm、15mm、18mm、20mmオフセット配置したロールを用いた7種の造管を、いずれも大径サイドロールの上側にフィンロールを配置するとともに、スクイズロールの直前上側にも、図13中、曲率半径が5mm、10mmの押圧面を有するフィンロールを配置し、合計14種の造管を行った。
そして、ライン速度が10m/minとなる条件で前記素材鋼帯を通板し、スクイズロール上で出力約1500W、ビーム径0.6mmの条件でファイバーレーザ溶接して溶接管を製造した。
上記の各製造条件ともに無潤滑で製造したが、外径比が10以上となる大径サイドロールを用いているため、いずれの条件でも断面形状が良好な金属管が得られた。
前記外径比φ2/φ1は25以上となるようにすることが好ましい。
エッジベンドロールスタンドによって金属帯エッジを曲げた後、大径サイドロールを通すことが好ましい。
さらに、溶接接合が行われるスクイズロールの直前上側にもフィンロールを配置し、ねじれの発生を抑制しつつ造管してもよい。この際スクイズロールの直前上側に配置されるフィンロールとして得ようとする管の半径よりも大きな曲率半径が付与された形状の凹面とフィンを備えたフィンロールを用いると、鋼帯エッジを押圧しながら当接部形状を矯正して造管できるので、成形精度の優れた小径金属管が得られる。
Claims (14)
- 一対のサイドロールであって、成形されるパイプの外径φ1に対して成形するロールの外径φ2の外径比φ2/φ1が10以上になるように設計された大径サイドロールを使用し、金属帯を単スタンドの前記サイドロールを通して円筒状に成形した後、金属帯エッジの突合せ部を溶接接合することを特徴とする小径金属管の製造方法。
- 外径比φ2/φ1が25以上となるように設計された大径サイドロールを使用する請求項1に記載の小径金属管の製造方法。
- エッジベンドロールスタンドによって金属帯エッジを曲げた後、大径サイドロールを通す請求項1又は2に記載の小径金属管の製造方法。
- 使用する大径サイドロールとして、3方ロール方式に配置されているものを使用する請求項1〜3のいずれか1項に記載の小径金属管の製造方法。
- 3方ロール方式の下側に設置されたロールをライン入側にオフセットに配置したものを用いる請求項4に記載の小径金属管の製造方法。
- 使用する大径サイドロールとして、上側にフィンロールを付加した4方ロール方式に配置されているものを使用する請求項1〜5の何れか1項に記載の小径金属管の製造方法。
- さらに、溶接接合が行われるスクイズロールの直前上側にもフィンロールを配置し、ねじれの発生を抑制しつつ造管する請求項6に記載の小径金属管の製造方法。
- スクイズロールの直前上側に配置されるフィンロールとして、フィンと、得ようとする管の半径よりも大きな曲率半径が付与された形状の押圧面を備えたフィンロールを用い、鋼帯エッジを押圧しながら当接部形状を矯正して造管する請求項7に記載の小径金属管の製造方法。
- 一対のサイドロールであって、成形されるパイプの外径φ1に対して成形するロールの外径φ2の外径比φ2/φ1が10以上になるように設計された大径サイドロールと、該大径サイドロールの下流側に配置されたスクイズロール及び溶接機器を備えていることを特徴とする小径金属管の製造装置。
- 大径サイドロールが、3方ロール方式に配置されているものである請求項9に記載の小径金属管の製造装置。
- 3方ロール方式の下側に設置されたロールがライン入側にオフセットに配置されたものである請求項10に記載の小径金属管の製造装置。
- 大径サイドロールが、さらに上側にフィンロールが付加した4方ロール方式に配置されているものである請求項11又12に記載の小径金属管の製造装置。
- さらに、溶接接合が行われるスクイズロールの直前上側にもフィンロールが配置されている請求項12に記載の小径金属管の製造装置。
- スクイズロールの直前上側に配置されるフィンロールが、フィンと、得ようとする管の半径よりも大きな曲率半径が付与された形状の押圧面を備えたものである請求項13に記載の小径金属管の製造装置。
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