JP2013062609A - 放送音声の音量制御装置、及びその音量制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】音量制御装置は、所定の周波数帯域における、放送音声信号と騒音信号との信号対雑音比を算出する算出部と、算出された信号対雑音比が放送音声の最低可聴音量の指標である信号対雑音比の目標値となるように、放送音声信号を増幅する増幅器の増幅率を決定する制御部と、を備える
【選択図】図7
Description
る放送音声のパワーに対応する目標値における放送音声のパワーが放送音量下限時のパワーを下回る場合には、前記増幅器によって増幅された放送音声のパワーが前記放送音量下限時のパワーとなる増幅率を決定する、ように構成しても良い。
走行中の騒音下での列車内放送音量は、小さすぎると「聞こえない」状態となり、大きすぎると「耳障り」となる。これまで実録の車内騒音を対象とした放送音量の検討はなされていない。本願の発明者は、「注意して聴けば放送内容が理解できる最低の音量」を「最低可聴音量」と定義し、車内放送音量を最低可聴音量に制御するための指標を見いだすための実験・研究を行った。
複数種類の車内騒音と放送音声に対する最低可聴音量を求める実験を行った。実験は、部屋内に実録車内騒音と放送音声とが流れる模擬的な列車の車内環境を作り、当該車内環境下で被験者の最低可聴音量を求めることによって実施した。
(1)部屋の寸法:9.0[W:幅]×5.0[D:奥行き]×2.4[H:高さ]m
(2)残響時間:0.38sec
(3)使用騒音:実録車内騒音3種
(4)騒音レベル:70dBA,80dBA,90dBA(被験者耳元で測定)
(5)放送音声:女性アナウンサー2名の音声。各1文章(約8秒)
(6)被験者:20代の男性3名、女性1名
図1は、部屋内に設けた実験設備を示す。部屋内に複数のスピーカ51〜55が被験者の周囲に配置され、各スピーカ51〜55から実録車内騒音(noise)が流れるようにし
て、走行中の車内騒音を再現した。尚、車内騒音の低音域を確実に再現するため、スピーカ51として無指向性の低音用スピーカ(woofer)を使用し、スピーカ52〜55として一般的なスピーカを使用した。一方、パーソナルコンピュータ(PC)56から出力される放送音声信号が、DA(ディジタル−アナログ)変換器57でアナログ信号に変換され、増幅器(amp)58で増幅された後、スピーカ5Aから出力されるようにして、騒音下
での車内放送を再現した。なお、スピーカ5Aと被験者との間には1mの間隙を設けた。さらに、被験者が音量調整器(ボリューム:vol)59を操作し、増幅器58の増幅率を
変えてスピーカ5Aからの音量を調整できるようにした。そして、被験者近傍のサウンドをマイクロフォン5Bで集音し、集音された信号(サウンド信号)がAD(アナログ−ディジタル)変換器5Cでディジタル信号に変換された後にPC56に入力されるようにし、集音されたサウンドの音量をPC56で測定するようにした。音量調整器59の操作により、放送音声の音量を変動させ、被験者が「注意して聴けば放送内容が理解できる最低の音量」と感じるときの放送音声の音量を、「最低可聴音量」として記録するようにした。
感じる聴感に近似させるためである。例えば、このような、人間の聴覚感度を表すものとして等ラウドネス曲線(例えば、次の文献参照:鈴木陽一、竹島久志、「最小可聴値と等ラウドネス曲線をめぐる最近の話題」、日本音響学会誌、58巻2号(2002)、130〜137頁)等が知られている。
図3は、実験結果として得られた騒音レベル(注:騒音のA特性音圧レベルのことを「騒音レベル」と略称する)と最低可聴音量の関係を示す。図3のグラフは、或る被験者1名の実験結果を示しており、3種類の騒音(騒音A,騒音B,騒音C)と、2種類の放送音声(音声1,音声2)との各組合せにおいて、騒音レベルがそれぞれ70dBA,80dBA,90dBAであるときの、最低可聴音量[dBA]をプロットしたものである。
本願の発明者は、A特性音圧レベルに代わる音量制御の指標を探るため、或る被験者について最低可聴音量となったときの放送音声と騒音との関係を周波数帯域別に分析した。具体的には、騒音A,B,C(80dBA)の環境下で1つの放送音声について1人の被験者から得られた最低可聴音量時の放送音声のエネルギーと、各騒音A,B,Cとのエネルギーとの比である信号対雑音比(SNR(Signal Noise Ratio))を1000Hz毎に算出した。
のSNRが、例えば−10dB〜−15dBの範囲となるように放送音声の音量を制御すれば、騒音の種類によらない最低可聴音量制御が実現できることが見いだされた。
次に、上述した実験・研究の結果を踏まえた、放送音声の音量制御装置について説明する。図7に、本実施形態に係る放送音声の音量制御装置の構成例を示す。図7において、音量制御装置1は、バンドパスフィルタ(BPF)2、バンドパスフィルタ(BPF)3、増幅器(AMP)4、マイクロフォン5、スピーカ6、制御装置10を備える。尚、図7に例示する音量制御装置1は、図示せぬスイッチ等のオン/オフにより、車内放送に合わせ、走行中の騒音を測定することができる。
された増幅制御量に応じて音声信号を増幅し、スピーカ6に出力する。尚、増幅器4は、利得が可変な増幅器に限定されない。例えば、固定された利得を有する増幅器を複数段に備え、制御装置10から出力される増幅制御量に応じて動作する増幅器を切替えて選択す
るように構成してもよい。
DSP(Digital Signal Processor)のようなプロセッサ、プロセッサの作業領域としての主記憶装置(例えばRAM(Random Access Memory))、プロセッサによって実行される処理手順が記述されたプログラムや、プログラム実行時に使用されるデータを格納する二次記憶(例えば、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク(HDD))、入出力ユニット(I/O)、各BPF2,3からの音声信号、騒音信号のような、制御装置10に入力される信号のアナログ−ディジタル変換を行う複数のAD変換器や、制御装置10から出力される信号に対する必要なディジタル−アナログ変換を行うDA変換器等を含む。制御装置10は、上記した構成要素が集約されたシステムLSI(Large Scale Integrated-Circuit)で実現することも可能である。
デバイスや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の複数機能を備
えた専用デバイス等のハードウェア回路として実現してもよい。
Rが目標SNRと異なるときには、測定SNRが目標SNRに近づくように増幅率を決定する。また、増幅率制御部13は、決定した増幅率が所定の閾値以下である場合には、一旦決定した増幅率を、それより大きい一定の増幅率に変更する(再決定する)。換言すれば、決定した増幅率が閾値以下の場合には、一定の増幅率で音声信号を増幅することを決定する。決定された増幅率は、SNR算出部11に与えられる。尚、増幅率制御部13は、制御部の例示である。
次に、本実施形態の音量制御装置1における音量制御処理(増幅率制御部13の増幅率制御処理)を説明する。図8に音量制御処理の説明図を例示し、図9に制御装置10で実行される音量制御処理フローを例示する。制御装置10は、例えば、RAM等に実行可能に展開されたプログラムにより音量制御処理を実行する。
n1”の騒音信号のSNRである。尚、図8において騒音信号“Pn1”計測時の目標S
NRは、(Ps0,Pn1)である。
以上説明した、本実施形態の音量制御装置1によれば、最低可聴音量の指標値として所定の周波数帯域における放送音声と騒音との信号対雑音比(SNR)を適用し、測定SNRが最低可聴音量の指標値である目標SNRと異なる場合には、測定SNRが目標SNRとなるような、音量制御が行われる。これによって、従来のA特性音圧レベル(dBA)を用いた制御とは異なり、騒音の種類に依存することなく、騒音環境下で、放送音声が最低可聴音量以上の音量でスピーカ6から出力されることを保証することができる。従って、放送音声が騒音でかき消されて聞こえなくなることを防止することができる。
図10に音量制御装置の変形例を例示する。図10は、音量制御装置として複数のBPFを備える構成である。以下、図7に例示する第1実施形態との相違点について説明する
。変形例の音量制御装置20は、BPF21,22,23,スイッチ24,25、周波数帯域制御部26等を備える。変形例においては、複数のBPFとスイッチを備える事により、例えば、放送アナウンス時の騒音に応じたSNRによる放送音声の音量制御が可能となる。
イッチである。図例では、3段のBPFを備えるため3系統の出力が可能な一入力3出力の切替えスイッチである。例えば、SP3T(Single Pole 3 throw)や多接点のリレー
スイッチ等が例示できる。スイッチ25は、前段に備えられる複数のBPF数に応じた多入力一出力の多段切替スイッチである。図例では、3段のBPFを備えるため3系統の入力が可能な3入力一出力の切替えスイッチである。尚、スイッチ24,25は同一構成の多段切替スイッチで構成することが可能である。
2 バンドパスフィルタ
3 バンドパスフィルタ
4 増幅器
5 マイクロフォン
6 スピーカ
10 制御装置
11 SNR算出部
12 SNR目標値格納部
13 増幅率制御部
20 音量制御装置
21 BPF
22 BPF
23 BPF
24 スイッチ
25 スイッチ
26 周波数帯域制御部
Claims (5)
- 所定の周波数帯域における、放送音声信号と騒音信号との信号対雑音比を算出する算出部と、
算出された信号対雑音比が放送音声の最低可聴音量の指標である信号対雑音比の目標値となるように、前記放送音声信号を増幅する増幅器の増幅率を決定する制御部と、
を備える音量制御装置。 - 前記制御部は、前記算出された信号対雑音比における放送音声のパワーに対応する目標値における放送音声のパワーが放送音量下限時のパワーを下回る場合には、前記増幅器によって増幅された放送音声のパワーが前記放送音量下限時のパワーとなる増幅率を決定する、
請求項1に記載の音量制御装置。 - 前記所定の周波数帯域は、1000Hz以上、且つ4kHz以下である、請求項1または2の何れかに記載の音量制御装置。
- 所定の周波数帯域における、放送音声信号と騒音信号との信号対雑音比を算出するステップと、
算出された信号対雑音比が放送音声の最低可聴音量の指標である信号対雑音比の目標値となるように、前記放送音声信号を増幅する増幅器の増幅率値を決定する制御ステップと、
を備える音量制御方法。 - 前記制御ステップでは、前記算出された信号対雑音比における放送音声のパワーに対応する目標値における放送音声のパワーが放送音量下限のパワーを下回る場合には、前記増幅器によって増幅された放送音声のパワーが前記放送音量下限のパワーとなる増幅率を決定する、
請求項4に記載の音量制御方法。
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