JP2013060503A - 熱硬化性樹脂の分解処理装置および該樹脂の分解処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱硬化性樹脂を粉砕しながら供給する供給機と、供給された前記熱硬化性樹脂を加熱しながら加圧する押出機と、押出機内で熱硬化性樹脂が加熱・加圧される領域よりも下流側の領域に接続され温度調整した薬剤を注入する薬剤注入機構と、熱硬化性樹脂を分解処理する分解反応管12と、分解反応管内の圧力を調整する圧力調整機構13と、分解処理された分解生成物を回収する分解生成物回収機構15とを具備し、圧力調整機構は、分解生成物の流入方向に摺動可能なピストン50を具備し、分解生成物の平均流入方向のベクトルと頭頂面の法線ベクトルとのなす角が100°〜160°であることを特徴とする。
【選択図】図2A
Description
前記圧力調整機構は、前記分解生成物の流入方向に摺動可能なピストンを具備し、前記圧力調整機構に流入してきた前記分解生成物が前記ピストンの頭頂面に直線的に流れ当たるようになっており、前記分解生成物の平均流入方向のベクトルと前記頭頂面の法線ベクトルとのなす角が100°以上160°以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置を提供する。
(i)前記圧力調整機構は、前記ピストンの摺動方向における前記ピストンの前記頭頂面と反対側に、前記ピストンを前記摺動方向の前記分解反応管の側に押し出すための弾性部材と、前記弾性部材の押圧力を調整するための押圧力調整機構とを具備している。
(ii)前記ピストンは、該ピストンの摺動可能範囲を規定するためのストッパ構造を有している。
(iii)前記圧力調整機構は、前記ピストンの摺動方向が水平方向となるように設置され、前記圧力調整機構と前記分解生成物回収機構とをつなぐ回収配管は、該回収配管内を通る前記分解生成物が前記圧力調整機構から自然落下するように配設されている。
(iv)前記ピストンの前記頭頂面に、前記分解生成物を整流したい方向の溝が形成されている。
(v)前記熱硬化性樹脂は、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、またはこれらの樹脂と無機固形物との混合物である。
前記圧力調整機構は、前記分解生成物の流入方向に摺動可能なピストンを具備し、前記圧力調整機構に流入してきた前記分解生成物が前記ピストンの頭頂面に直線的に流れ当たるようになっており、前記分解生成物の平均流入方向のベクトルと前記頭頂面の法線ベクトルとのなす角が100°以上160°以下であり、前記分解反応管内の圧力に応じて前記ピストンが摺動することにより該分解反応管内の圧力を調整することを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理方法を提供する。
(vi)前記圧力調整機構は、前記ピストンの摺動方向における前記ピストンの前記頭頂面と反対側に、前記ピストンを前記摺動方向の前記分解反応管の側に押圧するための弾性部材と、前記弾性部材の押圧力を調整するための押圧力調整機構とを具備しており、前記分解反応管内の圧力を0.5 MPa以上3 MPa以下の範囲で調整している。
(vii)前記熱硬化性樹脂は、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、またはこれらの樹脂と無機固形物との混合物である。
図1は、本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置の1例を示す断面模式図である。図1に示したように、本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置は、大別すると、処理しようとする熱硬化性樹脂Pを粉砕しながら供給する供給機10と、供給された熱硬化性樹脂を加熱しながら加圧する押出機11と、押出機11の末部領域に接続され温度調整した薬剤を注入する薬剤注入機構16と、押出機11の下流に配設され熱硬化性樹脂を分解処理する分解反応管12と、分解反応管12の吐出口に配設され該分解反応管12内の圧力を調整する圧力調整機構13と、圧力調整機構13の下流に配設され分解処理された分解生成物を回収する分解生成物回収機構15とから構成される。以下では、より詳細に説明する。
供給機10には、処理しようとする熱硬化性樹脂Pを投入するためのホッパ10hが設けられている。ホッパ10hに熱硬化性樹脂Pを投入すると、熱硬化性樹脂Pは供給機10内で粉砕されて押出機11に供給される(供給工程)。供給機10内には攪拌器(図示せず)が設けられていることが好ましく、それにより粉砕された熱硬化性樹脂Pの大きさを均等化することができる。
押出機11の形式に特段の限定はなく、単軸押出機の他、二軸押出機や多軸押出機であってもよい。押出機11は、粉砕された熱硬化性樹脂Pが供給され加熱される供給ゾーンZaと、熱硬化性樹脂Pが加熱されながら加圧される加圧ゾーンZbと、加熱加圧されて溶融した熱硬化性樹脂Pを充満させてシールのようにするシールゾーンZcとに分けられる。供給ゾーンZaには、供給機10からの熱硬化性樹脂Pを受けるホッパ11hが設けられている。なお、ホッパ11hにおける熱硬化性樹脂Pによるブリッジを防ぐためには、押出機11のシリンダ11cに設けられた開口部11a(ホッパ11hの底部の開口部)の50%超を熱硬化性樹脂Pが塞がないように熱硬化性樹脂Pの供給を制御することが望ましい。
押出機11のシールゾーンZcの下流側(押出機11の吐出口11dの近く)には、薬剤注入口11iが設けられており、温度調整した薬剤を注入する薬剤注入機構16が接続されている。薬剤注入機構16は、薬剤タンク17と、薬剤タンク17と薬剤注入口11iとを結ぶ薬剤配管18と、薬剤配管18に接続され薬剤を加圧して供給する薬剤ポンプ19と、薬剤配管18内の薬剤を加熱するヒータ20とからなる。薬剤配管18には、溶融した熱硬化性樹脂Pが逆流してこないように、逆止弁(図示せず)を設けることが望ましい。
押出機11の下流(吐出口11dの下流)には、薬剤と混合された熱硬化性樹脂Pを分解処理する分解反応管12が接続され、分解反応管12の吐出口12dには、分解反応管12内の圧力を調整する圧力調整機構13が設けられている。上述の薬剤注入口11iから分解反応管12の吐出口12dまでの領域が反応ゾーンZdとなる。本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置は、反応ゾーンZdを有することにより十分な分解反応時間を確保できることから、分解生成物を安定して生成することができる。
圧力調整機構13の下流には、分解処理された分解生成物を回収する分解生成物回収機構15が回収配管33を介して接続されている。回収配管33は、分解生成物が滞留しないで自然落下するように下り勾配状態で(例えば、鉛直方向に)配設されていることが好ましい(図1参照)。また、前述したように、回収配管33の流路断面積は、分解反応管12のそれよりも十分大きいこと(例えば、3倍以上)が好ましい。それにより、圧力調整機構13を通過した分解生成物の圧力を十分解放し、分解反応が過剰に進行しないようにすることができる。
分解生成物は、圧力調整機構13と回収配管33とを通過して、分解生成物回収機構15で回収される。本発明において、分解生成物回収機構15に特段の限定はないが、好適な例について以下説明する。
図1に示した構成を有する分解処理装置を用いて、熱硬化性樹脂を分解処理する実験を行った。分解処理を行う熱硬化性樹脂材料Pとしては、断熱用に用いられている発泡ポリウレタンを粉砕し、目開き5 mmでメッシュ分級した発泡ポリウレタン粉末を用いた。また、熱硬化性樹脂材料Pには、実験用不純物S(ポリプロピレンフィルム(約5 mm角)、アルミ箔(約5 mm角)、ガラス繊維(数十μm長))を添加混合した。なお、発泡ポリウレタン粉末の大きさは、本実験で用いた押出機11の大きさに合わせたものであり、言うまでもなく上記に限定されるものではない。
本発明の圧力調整機構と異なる構造を有する圧力調整機構を用いて、実施例1と同様の実験を行った。図6は、本発明の圧力調整機構と異なる構造を有する圧力調整機構の1例(比較例1)を示す断面模式図である。図6に示したように、比較例1の圧力調整機構は、シリンダ14内にピストン60と弾性部材54と押圧力調整機構55の一部とが収容され、ピストン60に取り付けられた弁61がピストン60と一体で移動することにより、弁61が弁座62から離れて分解生成物が排出される構造になっている。
本発明の圧力調整機構と異なる構造を有する別の圧力調整機構を用いて、実施例1と同様の実験を行った。図8は、本発明の圧力調整機構と異なる構造を有する圧力調整機構の他の1例(比較例2)を示す断面模式図である。図8に示したように、比較例2の圧力調整機構は、実施例1と同様に、シリンダ14内にピストン70と弾性部材54と押圧力調整機構55の一部とが収容されているが、ピストン70の摺動方向が分解生成物の流入方向に対して直交した構造になっている。
11…押出機、11h…ホッパ、11a…開口部、11c…シリンダ、11s…スクリュー、
11d…吐出口、11i…薬剤注入口、
12…分解反応管、12d…吐出口、
13…圧力調整機構、14…シリンダ、14f…前方シリンダ、14r…後方シリンダ、
15…分解生成物回収機構、
16…薬剤注入機構、17…薬剤タンク、18…薬剤配管、19…薬剤ポンプ、20…ヒータ、
21…モータ、
24…冷却ジャケット、25…フィルタ、26…排出弁、
32…安全弁、33…回収配管、
34…サンプリング器具、35…ホルダー、35a…ホルダー後端部、35b…ホルダー基部、
36…ボール弁、37…サンプリング管、38…シール継手、
40…不完全分解生成物回収容器、41…アーム、42…シール装置、
50…ピストン、51a〜51f…ピストン頭部、51t…頭頂面、52…ピストン尾部、
53…連結棒、54…弾性部材、55…押圧力調整機構、
56…弾性部材押圧治具、56s…押圧治具ねじ部、57…押圧力調整用ハンドル、
58…軸受け、59…シール部材
60…ピストン、61…弁、62…弁座、70…ピストン、
P…熱硬化性樹脂、S…不純物、
Za…供給ゾーン、Zb…加圧ゾーン、Zc…シールゾーン、Zd…反応ゾーン。
Claims (9)
- 高温高圧場を利用して熱硬化性樹脂を連続的に分解処理する装置であって、
処理しようとする前記熱硬化性樹脂を粉砕しながら供給する供給機と、
供給された前記熱硬化性樹脂を加熱しながら加圧する押出機と、
前記押出機内で前記熱硬化性樹脂が加熱・加圧される領域よりも下流側の領域に接続され温度調整した薬剤を注入する薬剤注入機構と、
前記押出機の下流に配設され前記熱硬化性樹脂を分解処理する分解反応管と、
前記分解反応管の吐出口に配設され該分解反応管内の圧力を調整する圧力調整機構と、
前記圧力調整機構の下流に配設され分解処理された分解生成物を回収する分解生成物回収機構とを具備し、
前記圧力調整機構は、前記分解生成物の流入方向に摺動可能なピストンを具備し、前記圧力調整機構に流入してきた前記分解生成物が前記ピストンの頭頂面に直線的に流れ当たるようになっており、前記分解生成物の平均流入方向のベクトルと前記頭頂面の法線ベクトルとのなす角が100°以上160°以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。 - 請求項1に記載の熱硬化性樹脂の分解処理装置において、
前記圧力調整機構は、前記ピストンの摺動方向における前記ピストンの前記頭頂面と反対側に、前記ピストンを前記摺動方向の前記分解反応管の側に押し出すための弾性部材と、前記弾性部材の押圧力を調整するための押圧力調整機構とを具備していることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。 - 請求項1または請求項2に記載の熱硬化性樹脂の分解処理装置において、
前記ピストンは、該ピストンの摺動可能範囲を規定するためのストッパ構造を有していることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂の分解処理装置において、
前記圧力調整機構は、前記ピストンの摺動方向が水平方向となるように設置され、
前記圧力調整機構と前記分解生成物回収機構とをつなぐ回収配管は、該回収配管内を通る前記分解生成物が前記圧力調整機構から自然落下するように配設されていることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂の分解処理装置において、
前記ピストンの前記頭頂面に、前記分解生成物を整流したい方向の溝が形成されていることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂の分解処理装置において、
前記熱硬化性樹脂は、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、またはこれらの樹脂と無機固形物との混合物であることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。 - 高温高圧場を利用して熱硬化性樹脂を連続的に分解処理する方法であって、
処理しようとする前記熱硬化性樹脂を供給機内で粉砕しながら供給する工程と、
前記供給機から供給された前記熱硬化性樹脂を押出機内で加熱しながら加圧する工程と、
前記押出機内における前記熱硬化性樹脂が加熱・加圧される領域よりも下流側の領域で温度調整した薬剤を注入・混合する工程と、
前記押出機の下流に配設された分解反応管内において、前記分解反応管の吐出口に配設された圧力調整機構によって該分解反応管内の圧力を調整しながら前記熱硬化性樹脂を分解反応処理する工程と、
分解反応処理された分解生成物を回収する工程とを有し、
前記圧力調整機構は、前記分解生成物の流入方向に摺動可能なピストンを具備し、前記圧力調整機構に流入してきた前記分解生成物が前記ピストンの頭頂面に直線的に流れ当たるようになっており、前記分解生成物の平均流入方向のベクトルと前記頭頂面の法線ベクトルとのなす角が100°以上160°以下であり、
前記分解反応管内の圧力に応じて前記ピストンが摺動することにより該分解反応管内の圧力を調整することを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理方法。 - 請求項7に記載の熱硬化性樹脂の分解処理方法において、
前記圧力調整機構は、前記ピストンの摺動方向における前記ピストンの前記頭頂面と反対側に、前記ピストンを前記摺動方向の前記分解反応管の側に押圧するための弾性部材と、前記弾性部材の押圧力を調整するための押圧力調整機構とを具備しており、
前記分解反応管内の圧力を0.5 MPa以上3 MPa以下の範囲で調整していることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理方法。 - 請求項7または請求項8に記載の熱硬化性樹脂の分解処理方法において、
前記熱硬化性樹脂は、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、またはこれらの樹脂と無機固形物との混合物であることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理方法。
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