JP2013055097A - 微細構造転写装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】微細構造を有するスタンパ2を用いて、被転写体1上の光硬化性樹脂組成物に微細構造を転写する微細構造転写装置15において、前記スタンパ2は、前記微細構造が形成される微細構造形成層4と、この微細構造形成層4における前記微細構造の形成面の反対側で、この微細構造形成層4に沿うように設けられる光照射層5と、この光照射層5における前記微細構造形成層4側の面と反対の面に配置されると共に、前記スタンパ2を前記被転写体1側に凸となるように湾曲させる圧電素子6と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
そこで、電子線描画装置の高速化を図るために各種形状のマスクを組み合わせて、それらに一括して電子ビームを照射することで複雑な形状の電子ビームを形成する、一括図形照射法の開発が進められている。しかしながら、パターンの微細化が進む一方で、電子線描画装置の大型化や、マスク位置の高精度制御等、装置コストが高くなるという欠点があった。
特に光硬化性樹脂組成物を前記樹脂層に用いた場合、高圧水銀ランプやLEDなどの光源を用いて紫外光を照射することで、樹脂層を硬化させることができ、短時間で高精度なパターンが作製できる。
つまり、被転写体に対する光照射が妨げられないようにアクチュエータをスタンパの裏側に配置するためには、実質的にスタンパを面方向に拡張しなければならない。
したがって、スタンパの周囲にアクチュエータを設ける微細構造転写装置(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)、及びスタンパの裏側にアクチュエータを設ける微細構造転写装置(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)のいずれにおいても、スタンパの面方向に装置が大型化することとなる。特に、同一平面内に複数のスタンパが隣接配置されるマルチスタンパにおいてはこの傾向が顕著となる。
本発明の微細構造転写装置は、スタンパの微細構造を被転写体に転写する際に被転写体の光硬化性樹脂組成物に向けて光を照射する光照射層をスタンパ内に備えると共に、スタンパにおける微細構造のナノメートルレベルのゆがみを補正するスタンパの変形機構を光照射層の裏側に備えることを主な特徴とする。
次に参照する図1(a)は、本発明の実施形態に係る微細構造転写装置の構成説明図であり、微細構造転写装置を模式的に示す縦断面図である。
被転写基板1aの表面には、樹脂薄膜1bとの接着性を向上させるためにカップリング層や金属薄膜を形成することもできる。
また、本実施形態でのスタンパ2は、微細構造形成層4と光照射層5との間に微細構造形成層4の支持基材3を有しているが、後に詳しく説明するように、支持基材3を省略することもできる。
微細構造形成層4の微細構造は、ナノメートルからマイクロメートルのサイズで形成された構造であり、具体的には、複数の微小突起が規則的に配置されたドットパターンや、これとは逆に微小凹部が規則的に配置されたパターン、複数の条が規則的に配置されたラメラパターン(ラインアンドスペースパターン)等が挙げられる。
支持基材3としては、後記するように圧電素子6が収縮する際にこれに応じて光照射層5及び微細構造形成層4と共に湾曲可能な材料であり、かつ光透過性のものであれば特に制限はない。
支持基材3の材料としては、ガラス、石英、樹脂等の強度と加工性を有するものが望ましい。また、支持基材3の表面には、微細構造形成層4との接着力を強化するために表面処理を施すことができる。
また、支持基材3は、弾性率の異なる2種以上の層で構成することもできる。このような支持基材3においては、弾性率の高い層と低い層との積層順や、組み合わせ、層数等について特に制限はない。
前記した樹脂の具体例としては、例えば、フェノール樹脂(PF)、ユリア樹脂(UF)、メラミン樹脂(MF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、不飽和ポリエステル(UP)、アルキド樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂(EP)、ポリイミド(PI)、ポリウレタン(PUR)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、AS樹脂、AAS樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリレート、酢酸セルロース、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド、シクロオレフィンポリマ、ポリ乳酸、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。
以上、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基のいずれかの官能基を有する単量体成分を例示したが本発明はこれらに限定されるものではない。
また、光硬化性樹脂組成物からなる微細構造形成層4に代えて、ガラス、石英、樹脂等の透明性を有する基板に微細構造をフォトリソグラフィ法、集束イオンビームリソグラフィ、電子線描画法等によって形成したもの使用することもできる。この場合においても支持基材3を省略することできる。
この光反射層11は、次に説明する光源8から光照射層5内に照射された光が、微細構造形成層4に面する側に対して反対の面を介して漏れ出ないようにするためのものである。この光反射層11は、例えば、光照射層5の表面に銀を蒸着して形成することができる。
そして、圧電素子6が収縮することで光照射層5が湾曲すると、この湾曲度に応じて図1(a)に示す支持基材3及び微細構造形成層4も湾曲することとなる。つまり、圧電素子6は、スタンパ2を被転写体1(図1(a)参照)側に凸となるように湾曲させることとなる。
なお、被転写体1に対するスタンパ2の位置決めは、図1(a)及び(b)に示すように、スタンパ2に設けたアライメント孔13と、被転写基板1aに設けたアライメントマークMとを重ね合わせることで行われる。
なお、本発明に適用できるアライメント方法としては、光学アライメント、機械アライメント等の別を問わずに既知のあらゆる方法を採用することができることは言うまでもない。
そして、スタンパ2が被転写体1に押圧された状態で、光源8から光が光照射層5内に照射されると、光は光照射層5内で散乱光となって、光照射層5から万遍なく均一に樹脂薄膜1bに照射される。
本実施形態に係る微細構造転写装置15は、圧電素子6(変形機構)によりスタンパ2を被転写体1側に凸となるように湾曲させる。その結果、スタンパ2内で最も被転写体1側に位置する微細構造形成層4は、微細構造が形成されるその面方向のサイズをこの湾曲にともなって変化させることができる。したがって、この微細構造転写装置15によれば、スタンパ2の微細構造にナノメートルレベルのゆがみが生じた場合に、スタンパ2を被転写体1側に凸となるように湾曲させることでそのゆがみを補正することができる。
前記実施形態では、光源8の光の照射口8aが光照射層5の縁部に臨むように配置されており、光源8の本体が光照射層5の外側に配置されるものを想定しているが、本発明は光を光照射層5内に導入することができれば光源8の位置に特に制限はない。
また、光源8は、図4に示すように、光反射層11寄りで光照射層5内に配置された面光源とすることもできる。
なお、図3(a)及び(b)、並びに図4中、符号2は、スタンパであり、符号6は、圧電素子であり、符号11は、光反射層であり、符号3は、支持基材であり、符号4は、微細構造形成層であり、符号13は、アライメント孔である。
次に参照する図5は、変形機構として収縮可能な金属層を光照射層上に設けた例を示す模式図であり、図1(b)に対応する図である。
その結果、スタンパ2(図1(a)参照)は、被転写体1(図1(a)参照)側に凸となるように湾曲することとなる。
なお、図5中、符号13は、アライメント孔である。
また、この場合、1対のスタンパ2は、被転写体1を上下から挟む構成でも左右から挟む構成でもよい。
(実施例1)
本実施例では、図1に示す微細構造転写装置15を使用してスタンパ2の微細構造を被転写体1の樹脂薄膜1bに転写した。
支持基材3には20mm×20mm、厚さ0.7mmのガラス基板を使用した。支持基材3の表面には20nmの厚さの酸化シリコン膜をスパッタリング法で形成した。そして、この酸化シリコン膜に対して電子線描画法で100nmフルピッチ(50nmハーフピッチ)、高さ50nmの溝パターンを形成することで、酸化シリコン膜からなる微細構造形成層4を形成した。
次に、支持基材3の微細構造形成層4を形成した面の裏面に、光照射層5としての導光板を配置した。この導光板は、透明性樹脂からなる連続相に、この連続相と屈折率の異なる透明性樹脂からなる微粒子を分散させた光散乱板で構成されている。
また、光照射層5の裏面には、銀を蒸着することで光反射層11を形成した。そして、光照射層5上に4つのピエゾ素子(圧電素子6)を配置した。
光源8としては、波長365nmの紫外光を照射するための光ファイバを配置した。
なお、被転写体1に対するスタンパ2の位置合わせは、アライメント孔13とアライメントマークMとの重なりを光学的に確認することで行った。
本実施例では、実施例1で使用したスタンパ2を50μm間隔で2つ並べて、同時に被転写体1上に微細構造を転写した。そして、実施例1と同様に、スタンパ2を観察して求めたゆがみによる誤差を解消するように圧電素子6で当該ゆがみを補正した。次いで、これらのスタンパ2で微細構造を転写した転写物に基づいてパターン誤差を求めたところ、±500ppmであった。また、転写物側に形成された2つの転写痕の間隔は、スタンパ2の間隔と同じ50μmであった。
本実施例では、図3(a)及び(b)に示すように、光源8(複数のLED内蔵)を設けたスタンパ2を使用した以外は、実施例1と同様の微細構造転写装置15を使用してスタンパ2の微細構造を被転写体1の樹脂薄膜1bに転写した(図1(a)及び(b)参照)。そして、実施例1と同様に、スタンパ2を観察して求めたゆがみによる誤差を解消するように圧電素子6で当該ゆがみを補正した。次いで、これらのスタンパ2で微細構造を転写した転写物に基づいてパターン誤差を求めたところ、±600ppmに低減されていた。
本実施例では、図4に示すように、光源8(複数のLED内蔵)を設けたスタンパ2を使用した以外は、実施例1と同様の微細構造転写装置15を使用してスタンパ2の微細構造を被転写体1の樹脂薄膜1bに転写した(図1(a)及び(b)参照)。そして、実施例1と同様に、スタンパ2を観察して求めたゆがみによる誤差を解消するように圧電素子6で当該ゆがみを補正した。次いで、これらのスタンパ2で微細構造を転写した転写物に基づいてパターン誤差を求めたところ、±500ppmに低減されていた。
本実施例では、図1(b)に示す4つの圧電素子6に加えて、光照射層5の内側で十字に交差するように配置された2つの圧電素子6で、スタンパ2のゆがみを補正した以外は、実施例1と同様に、微細構造を転写した転写物に基づいてパターン誤差を求めたところ、±500ppmに低減されていた。
本実施例では、図5に示すように配置された金属層7をペルチェ素子(図示省略)で冷却することで当該金属層7を収縮させてスタンパ2のゆがみを補正した以外は、実施例1と同様に、微細構造を転写した転写物に基づいてパターン誤差を求めたところ、マスターモールドを基準としたパターン誤差は±2nmであった。
本比較例では、圧電素子6を設けなかった以外は、図1(a)に示す実施例1と同様の微細構造転写装置15を使用してスタンパ2の微細構造を被転写体1の樹脂薄膜1bに転写した。つまり、スタンパ2のゆがみを補正せずに微細構造を被転写体1の樹脂薄膜1bに転写した。次いで、これらのスタンパ2で微細構造を転写した転写物に基づいてマスターモールドを基準としたパターン誤差を求めたところ、±5nmであった。
本比較例では、図1(a)の光照射層5を設けずに、支持基材3の裏側に配置した光源(図示省略)にて光を樹脂薄膜1bに照射する構成とした。その結果、図1(b)に示す圧電素子6が樹脂薄膜1bに向けての光を遮るので、これを回避するために、スタンパ2が面方向外側に3cm広がった。そして、このスタンパ2を保持する機構(図示省略)もスタンパ2の外周部に設けたことで装置が大型化した。そして、本比較例では、このスタンパ2を2つ横並びに配置したところ、被転写体1に転写したパターン同士の間は、3cm以上となった。
2 スタンパ
3 支持基材
4 微細構造形成層
5 光照射層
6 圧電素子(変形機構)
7 金属層(変形機構)
8 光源
9 ステージ
10 加圧機構
11 光反射層
15 微細構造転写装置
Claims (7)
- 微細構造を有するスタンパを用いて、被転写体上の光硬化性樹脂組成物に微細構造を転写する微細構造転写装置において、
前記スタンパは、前記微細構造が形成される微細構造形成層と、
この微細構造形成層における前記微細構造の形成面の反対側で、この微細構造形成層に沿うように設けられる光照射層と、
この光照射層における前記微細構造形成層側の面と反対の面に配置されると共に、前記スタンパを前記被転写体側に凸となるように湾曲させる変形機構と、
を備えることを特徴とする微細構造転写装置。 - 請求項1に記載の微細構造転写装置において、
前記変形機構は、自己収縮することで前記光照射層を撓ませて前記スタンパを前記被転写体側に向かって凸となるように湾曲させることを特徴とする微細構造転写装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の微細構造転写装置において、
前記スタンパを前記被転写体に向けて移動させることで押圧する加圧機構を備えていることを特徴とする微細構造転写装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の微細構造転写装置において、
前記変形機構は、圧電素子であることを特徴とする微細構造転写装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の微細構造転写装置において、
前記変形機構は、前記光照射層に沿って形成される金属層と、
この金属層を冷却して収縮させる熱電素子と、
を備えることを特徴とする微細構造転写装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の微細構造転写装置において、
前記光照射層内に光源を有していると共に、前記光照射層は、光源から照射される光を散乱させることを特徴とする微細構造転写装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の微細構造転写装置において、
前記被転写体に対向するように複数の前記スタンパが並設されていることを特徴とする微細構造転写装置。
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