JP2013052118A - 内視鏡挿入部の先端部および内視鏡 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】挿入部の先端部が、鉗子孔を有する先端部本体、および、先端部本体の先端面を覆う鉗子孔に対応する開口を有するキャップを有し、かつ、先端部本体の先端面と、キャップのこの先端面に対向する対向面との間に、複数の突起を設け、この突起によって先端面と対向面との間に決まった空間を形成し、この空間において、少なくとも鉗子孔の周辺に接着剤を充填して先端部本体とキャップとを接着することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図2
Description
内視鏡は、基本的に、人体に挿入される挿入部、挿入部の操作や送気送水などの内視鏡の操作を行なう操作部、送気源や吸引ポンプ等と接続されるコネクタ(LG(Light Guide)コネクタ)、および、コネクタと操作部および挿入部を接続するユニバーサルコード(LG軟性部)等から構成される。
また、挿入部は、CCDセンサを有する撮像ユニットや照明レンズ等が組み込まれた先端部と、基端側の長尺な軟性部と、先端部と軟性部との間に設けられる、内視鏡の操作部での操作に応じて屈曲されるアングル部とを有する。
また、前述のように、先端部本体102には、鉗子孔108等が形成される。鉗子孔108は、先端部本体102に形成される貫通孔、および、この貫通孔に先端を挿入/固定されるチューブ108aによって構成される。さらに、先端キャップ104には、鉗子孔108に対応する開口110等が形成される。
また、周知のように、内視鏡挿入部の先端部は微細である。この微細な先端部本体102の先端面や先端キャップ104の対向面への接着剤の塗布や、先端部本体102に先端キャップ104を装着する作業は、人手によって行われる。
このように、先端部本体102の先端面と先端キャップ104の対向面とが平行では無い状態で、先端部本体102と先端キャップ104とが接着されると、鉗子孔108(および開口110)の周辺の接着部において、接着面の間で接着剤の充填ムラが生じ、その結果、鉗子孔108の周辺の接着面に、接着剤が充填されていない空隙ができてしまう。
従って、鉗子孔108には、被検者の体液等が侵入する可能性が有る。また、内視鏡の洗浄時には、鉗子孔108は、洗浄液で満たされ、かつ、洗浄液が流される。
また、鉗子孔108の周辺に接着剤の空隙が有ると、内視鏡の洗浄時に、この空隙から薬液が侵入して、両者の接着強度が低下してしまう。さらに、空隙から侵入した薬液によって、空隙が、より大きく広がってしまい、その結果、空隙から侵入した薬液が、ライトガイドや撮像ユニット等に入ってしまい、故障等のトラブルが生じる場合も有る。
しかも、薬液による接着剤の劣化が進行すると、甚だしい場合には、先端キャップ104が先端部本体102から剥がれてしまう。
また、頂点の高さが均一な1個の線状の突起と、1個の突起とが形成されるのが好ましい。
また、前記突起によって、前記先端面と対向面とが平行に保たれるのが好ましい。
また、前記鉗子孔が、全周に渡って前記先端面から突出し、かつ、その先端面からの突出量が前記突起の高さよりも小さい突出部を有するのが好ましい。
また、前記鉗子孔が、前記鉗子孔を形成する管状部材を有し、この管状部材の先端部が、前記突出部を成すのが好ましい。
さらに、前記突起によって形成される前記先端部本体およびキャップの隙間の全域に、接着剤が充填されるのが好ましい。
また、前記挿入部の先端部に、頂点の高さが均一な1個の線状の突起と、1個の突起とが形成されるのが好ましい。
また、前記挿入部の先端部の突起によって、前記先端部本体の先端面とキャップの対向面とが平行に保たれるのが好ましい。
また、前記先端部本体の鉗子孔が、全周に渡って前記先端面から突出し、かつ、その先端面からの突出量が前記突起の高さよりも小さいのが好ましい。
また、前記先端部本体の鉗子孔が、前記鉗子孔を形成する管状部材を有し、この管状部材の先端部が、前記突出部を成すのが好ましい。
さらに、前記挿入部の先端部の突起によって形成される前記先端部本体およびキャップの隙間の全域に、接着剤が充填されるのが好ましい。
すなわち、先端部本体の先端面および先端キャップの対向面との間に設けられる突起によって、先端部本体と先端キャップとの接着面で、決まった平行な空間を形成し、この空間に接着剤を充填して、両者を接着できる。
また、突起を有することにより、接着剤を通常よりも厚くできるので、薬液等に起因する接着剤の劣化を、より遅らせることができる。
加えて、突起を有することにより、先端部本体と先端キャップとの接着時における接着剤の流動性が良くなる。その結果、先端部本体の先端面および先端キャップの対向面との間(接着面)の、より広い範囲に接着剤を充填することができ、先端部本体と先端キャップとの接着力を、より向上することができる。
図1に示す内視鏡は、内視鏡10は、体腔(消化管、耳鼻咽喉など)等の治療や検査を行なう処置部に挿入されて、体内の観察、静止画や動画の撮影、生体組織の採取などの処置等を行なうものである、
また、挿入部12は、体腔内等の検査部位に挿入される、長尺な部位で、公知の内視鏡と同様に、先端(挿入側の先端=操作部14と逆端)の先端部24と、アングル部26と、軟性部28とを有する。
この先端部24は、本発明の内視鏡挿入部の先端部である。内視鏡10は、挿入部12の先端部24に本発明を利用する以外、基本的に、公知の内視鏡である。
操作部14には、通常の内視鏡と同様に、鉗子孔(鉗子チャンネル)72に連通する、鉗子等の処置具を挿入するための鉗子口32、鉗子孔72を介して先端部24からの吸引を行なうための吸引ボタン34、送気送水孔(送気送水チャンネル)74を介して先端部24からから検査部位等に送気や送水を行なうための送気送水ボタン36等が配置される。なお、電子スコープである内視鏡10には、これ以外にも、ズームスイッチ、静止画の撮影スイッチ、動画の撮影スイッチ、フリーズスイッチ等、撮像ユニット(CCDセンサ)によって画像を観察/撮影するための各種のスイッチが設けられている。
さらに、操作部14には、アングル部26を左右方向に湾曲させるLRツマミ38、同上下方向に湾曲させるUDツマミ40、アングル部26を湾曲状態で保持するためのLRブレーキ42およびUDブレーキ46も設けられる。
また、LGコネクタ18には、照明光源とを接続するためのLG棒54や、電子メスを使用する際にSコードを接続するS端子等が設けられる。
このユニバーサルコード16には、送水コネクタ50に接続する送水チャンネル、通気コネクタ52に接続する送気チャンネル、吸引コネクタに接続する吸引チャンネル、ライトガイド、データケーブル等が収容/挿通される。
アングル部(湾曲部)26は、先端部24を目的位置に挿入したり目的位置に位置させるために、操作部14におけるLRツマミ38等の操作によって上下および左右(直交する4方向)に湾曲する領域である。
軟性部26は、先端部24およびアングル部26と、操作部14とを繋ぐ部位で、検査部位への挿入に対して十分な可撓性を有する長尺なものである。
軟性部26およびアングル部26には、前述の鉗子孔72(後述するチューブ72a)、送気送水孔74、先端部24の撮像ユニット68からの信号線、先端部24の照明レンズ70まで光を伝播するライトガイド、アングル部26を湾曲するためのワイヤなどが、挿通される。
先端部24は、先端部本体60と、先端部本体60の先端を覆う略円筒状の先端キャップ62とから構成される。先端部本体60は、一例として、金属製である。他方、先端キャップ62は、一例として、ポリサルフォン等の樹脂製である。
なお、図2(B)中の符号64は、先端キャップ104を除いて挿入部12の全域を覆う、樹脂やゴム製のカバーである。
照明レンズ70は、ライトガイド(例えば細い光ファイバの束)が伝播した光を、被検査部に照射するためのレンズである。先端部本体60には、ライトガイドを挿入する貫通孔が形成され、この貫通孔の先端部に、照明レンズ70が配置される。ライトガイドは、挿入部12(同前)、操作部14、ユニバーサルコード16を挿通して、LGコネクタ18のLG棒54まで挿通される。
同様に、送気送水孔74も、先端部本体60に形成される貫通孔であり、先端部本体60までは、図示しないチューブによって構成される。送気送水孔74を構成するチューブは、挿入部12(同前)、操作部14、およびユニバーサルコード16を介して、LGコネクタ18まで挿通される。
先端キャップ62は、先端部本体60の先端に覆い被さる、一面が開放する略円筒状のものである。先端キャップ62において、先端面60aに対面する部分(円筒の天井)には、鉗子孔72に対応する開口78を始めとして、先端部本体60に設けられる撮像ユニット68や照明ユニット70に対応する開口や、送気送水孔74に対応する開口が形成される。
なお、必要に応じて、先端部本体60の側周面と、先端キャップ62の内周面とも、接着剤で接着してもよい。
また、図示例の先端部24において、先端部本体60の先端面60aの何の部材も配置されない領域および鉗子孔72等の孔が形成されていない領域は、平面になっている。他方、先端キャップ62の対向面62aの開口78等が形成されない領域も、平面になっている。この平面領域が、先端部本体60と先端キャップ62との接着面となる。
突起82は、いずれも同じ高さである。従って、この突起82によって、接着面となる先端面60aと対向面62aとは、平行に保たれる。
これにより、鉗子孔72など、先端部本体60と先端キャップ62との接着面におけるシール性を要求される部位に、確実かつ均一な存在密度で接着剤を充填して、シール性を要求される部分において、接着剤の隙間等が生じることを、好適に防止できる。
そのため、従来の内視鏡挿入部の先端部では、先端部本体102の先端面と先端キャップ104の対向面とが平行では無い状態で、先端部本体102に先端キャップ104が装着され、接着されてしまう場合が多い。その結果、鉗子孔108の周辺等において、接着面である先端面と対向面との間で、接着剤の充填ムラが生じて、接着面に接着剤の空隙ができてしまう。このような接着剤の空隙が有ると、空隙に体液等が侵入して感染リスクを生じ、また、空隙から内視鏡を洗浄する薬液が侵入して、撮像ユニットの故障等のトラブルや先端キャップの剥離の原因となる。
すなわち、本発明によれば、先端面60aと対向面62aとを平行に保って、かつ両面の間に決まった平行な空間を形成することで、鉗子孔72の周辺等のシール性が要求される部分の接着面間に、ムラなく均一な存在密度(充填密度)で、確実に接着剤を充填して、先端部本体60と先端キャップ62との接着を行える。
また、従来の構造では、先端キャップ(先端部本体の先端面と先端キャップの対向面)を押し付けて接着を行うことにより、接着剤の厚さは30μm以下となる。これに対して、本発明では、突起82を有することにより、接着剤80の厚さ(接着剤層)を通常よりも厚くできるので、薬液等に起因する接着剤の劣化を、より遅らせることができる。
加えて、本発明では、突起82を有することにより、先端部本体60と先端キャップ62との接着時における、先端面60aと対向面62aとの間での接着剤80の流動性が良くなる。その結果、先端面60aと対向面62aとの間の、より広い範囲に接着剤を充填でき、先端部本体60と先端キャップ62との接着力を、より向上できる。
すなわち、先端キャップ62の対向面62aの開口78の周辺(および/または先端面60aの鉗子孔72の周辺)など、薬液等の侵入路と成り得る孔等の全周を囲む領域のみに、突起82の高さを超える接着剤を塗布して、先端部本体60と先端キャップ62との接着を行えばよい。
すなわち、例えば先端キャップ62の対向面62a全面(および/または先端面60aの被接着面全面)に、突起82の高さを超える接着剤を塗布して、先端部本体60と先端キャップ62との接着の際に鉗子孔72に接着剤が溢れるようにして、先端部本体60と先端キャップ62との接着を行うのが好ましい。なお、鉗子孔72等に溢れた接着剤は、接着剤等に応じた公知の方法で除去すればよい。
なお、本発明者の検討によれば、突起82の高さは30〜100μmが好ましい。突起82の高さを、この範囲とすることにより、先端面60aと対向面62aとの平行度、接着剤80の流動性(充填性)、接着強度等の点で好ましい結果を得ることができる。
一例として、図3に概念的に示すような、上面の高さが均一な線状(長尺)な1個の突起82Lと、点状の1個の突起82との組み合わせによって、平面を定義して、先端面60aと対向面62aとを平行に保ってもよい。
すなわち、突起82は、先端キャップ62の対向面62aに形成してもよい。あるいは、先端部本体60の先端面60aと先端キャップ62の対向面62aとの、両方に突起82を形成してもよい。例えば、図2に示す3個の突起82を用いる例であれば、2個の突起を先端面60aに形成し、1個の突起を対向面62aに形成してもよい。
好適な一例として、図4に示す鉗子孔72を形成するチューブ72bのように、先端部本体60の先端面60aから突出し、かつ、この突出量が、突起82の高さよりも少ない構成(対向面62aとチューブ72b先端との間に間隙を有する構成)が、例示される。
周知のように、液体は、基本的に広い方に流れる。従って、チューブ72bと対向面62aとの狭い隙間から接着剤が溢れるのは、先端面60aと対向面62aとの間の移動可能な全域に接着剤が行き渡った後となる。
すなわち、内視鏡挿入部の先端部において、鉗子孔72を構成するチューブ72bを先端面60aから突出し、かつ、この突出量が突起82よりも低い構成とし、前記のように先端部本体60と先端キャップ62との接着を行うことにより、先端面60aと対向面62aとの間の接着面と成りうる全ての領域に接着剤を充填して、より確実かつ高いシール性を確保して、先端部本体60と先端キャップ62との接着を行うことができる。
また、図4に示される例では、鉗子孔72を構成するチューブ72bを先端面60aから突出させた構成としたが、これ以外の構成も利用可能である。例えば、鉗子孔72を構成するチューブ72aは図2と同様として、先端面60aに、鉗子孔72を同一面で囲み、かつ、突起82よりも低い凸部を形成してなる構成であってもよい。
12 挿入部
14 操作部
16 ユニバーサルコード
18 LGコネクタ
20 ビデオコネクタ
24,100 先端部
26 アングル部
28 軟性部
32 鉗子口
34 吸引ボタン
36 送気送水ボタン
38 LRツマミ
40 UDツマミ
42 LRブレーキ
46 UDブレーキ
50 送水コネクタ
52 通気コネクタ
54 LG棒
60,102 先端部本体
60a 先端面
62,104 先端キャップ
62a 対向面
64,106 カバー
68 撮像ユニット
70 照明レンズ
72,108 鉗子孔
72a,72b チューブ
74 送気送水孔
78,110 開口
80 接着剤
82,82L 突起
Claims (14)
- 体腔内に挿入される内視鏡挿入部の先端部であって、
鉗子孔を有する先端部本体と、
この先端部本体の先端面を覆う、前記鉗子孔に対応する開口を有するキャップと、
前記先端部本体の先端面および前記キャップの前記先端面との対向面の間に設けられる、複数の突起と、
少なくとも前記先端部本体の鉗子孔の全周を囲んで、前記突起によって形成される前記先端部本体およびキャップの隙間に充填される接着剤とを有することを特徴とする内視鏡挿入部の先端部。 - 合計で3個の前記突起が形成される請求項1に記載の内視鏡挿入部の先端部。
- 頂点の高さが均一な1個の線状の突起と、1個の突起とが形成される請求項1に記載の内視鏡挿入部の先端部。
- 前記突起によって、前記先端面と対向面とが平行に保たれる請求項1〜3のいずれかに記載の内視鏡挿入部の先端部。
- 前記鉗子孔が、全周に渡って前記先端面から突出し、かつ、その先端面からの突出量が前記突起の高さよりも小さい突出部を有する請求項1〜4のいずれかに記載の内視鏡挿入部の先端部。
- 前記鉗子孔が、前記鉗子孔を形成する管状部材を有し、この管状部材の先端部が、前記突出部を成す請求項5に記載の内視鏡挿入部の先端部。
- 前記突起によって形成される前記先端部本体およびキャップの隙間の全域に、接着剤が充填される請求項1〜6のいずれかに記載の内視鏡挿入部の先端部。
- 体腔内に挿入される挿入部を有し、この挿入部を体腔内に挿入することにより被観察部を観察する内視鏡であって、
前記挿入部の先端部が、鉗子孔を有する先端部本体と、この先端部本体の先端面を覆う、前記鉗子孔に対応する開口を有するキャップと、前記先端部本体の先端面および前記キャップの前記先端面との対向面の間に設けられる、複数の突起と、少なくとも前記先端部本体の鉗子孔の全周を囲んで、前記突起によって形成される前記先端部本体およびキャップの隙間に充填される接着剤とを有することを特徴とする内視鏡。 - 前記挿入部の先端部に、合計で3個の前記突起が形成される請求項8に記載の内視鏡。
- 前記挿入部の先端部に、頂点の高さが均一な1個の線状の突起と、1個の突起とが形成される請求項8に記載の内視鏡。
- 前記挿入部の先端部の突起によって、前記先端部本体の先端面とキャップの対向面とが平行に保たれる請求項8〜10のいずれかに記載の内視鏡。
- 前記先端部本体の鉗子孔が、全周に渡って前記先端面から突出し、かつ、その先端面からの突出量が前記突起の高さよりも小さい突出部を有する請求項8〜11のいずれかに記載の内視鏡。
- 前記先端部本体の鉗子孔が、前記鉗子孔を形成する管状部材を有し、この管状部材の先端部が、前記突出部を成す請求項12に記載の内視鏡。
- 前記挿入部の先端部の突起によって形成される前記先端部本体およびキャップの隙間の全域に、接着剤が充填される請求項8〜13のいずれかに記載の内視鏡。
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