JP2013049999A - セルフレベリング材による仕上げ面の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下地セメント組成体上にスラリー状のセルフレベリング材を打設する打設工程と、前記セルフレベリング材の硬化後に、硬化した前記セルフレベリング材の表面を研磨する研磨工程と、を有する。
【選択図】図10
Description
このようなセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法によれば、スラリー状のセルフレベリング材を下地セメント組成体上に打設して硬化した後に、表面を研磨することにより、発生した色ムラを研磨により緩和することが可能である。
このようなセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法によれば、光沢が出ない程度の研磨なので、短時間にて強度が低い部分を削り落とすとともに、発生した色ムラを緩和することが可能である。
このようなセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法によれば、研磨により強度が低い部分を削り落とすとともに、光沢を有し色ムラの少ない表面に仕上げることが可能である。
このようなセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法によれば、第1研磨、第2研磨、第3研磨と順次、より滑らかに仕上げる仕上げ用パッドを用いて3段階で研磨するので、光沢を有し色ムラの少ない表面に、容易に仕上げることが可能である。
このようなセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法によれば、研磨工程の後のセルフレベリング材の表面に、1000mPa・s以下の粘度の低粘度樹脂を塗布した後に、低粘度樹脂の過剰塗布分を掻き取ることにより、色ムラが少なく美観に優れ、かつ、表面強度、低粘度樹脂のより高い付着力を備えた表面に仕上げることが可能である。
このようなセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法によれば、研磨工程の後のセルフレベリング材の表面に、ポリアルキルアルコキシシロキサンを主成分とする吸水防止剤を塗布することにより、表面強度と美観に優れた表面に仕上げることが可能である。
このようなルフレベリング材による仕上げ面の施工方法によれば、スラリー状のセルフレベリング材に、所望の色の顔料を混合して、所望の色にて表面強度と美観に優れた表面に仕上げることが可能である。
本実施形態では、本発明のセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法として、セメント組成物としてのコンクリート床の表面を仕上げる施工方法について、試験体を用いた試験の結果とともに説明する。
本試験に使用した材料を表1に示す。
2−1外観観察
上塗材まで塗布後、試験体の様子を目視により観察。
上塗材の塗布直前と塗布翌日の色差を測定する。
試験体の表面を複数の領域に分け、各々の領域にて互いに異なる仕様により仕上げておく。各仕様により仕上げられた各々の試験箇所につき測定点を3ヶ所定め、色差のばらつきの変化を評価する。各仕様については後述する。
上塗材塗布後の試験体に対し、セルフレベリング材の材齢21日、28日で実施する。試験方法は、日本建築仕上学会認定品の引っかき試験器を用いて形成した引っかき傷を評価する。
上塗材を塗布したセルフレベリング材の表層に碁盤目状に切り込みを入れ、布粘着テープにより付着性を評価する。
本試験においては、下地としてセメント組成体の代わりに90cm角のベニヤ板4枚を繋ぎ合わせて使用する。打設面積は1.8m×1.8mの正方形(3.24m2)とする。
90cm角のベニヤ板4枚を180cm角の平面になるように並べ、繋ぎ目を布粘着テープで処理した。
セルフレベリング材打設前日に、ベニヤ板表面にUプライマーGを塗布した。
プライマーの塗布は2回行い、1回目は原液の6倍希釈液、2回目は原液の4倍希釈液を塗布した。
厚さ8mmのシーリング用バックパッカーを打設面周囲に貼り付けた。
セルフレベリング材のプレミックス粉体と顔料とを粉体のまま十分に混合した。
ここでは、試験体を緑色に着色するために、緑色の顔料(マイン緑)を使用した。
セルフレベリング材プレミックス粉体と顔料の混合材と水とを混合し、ミキサーで3分間十分に練り混ぜてスラリーを生成する。なお、練混ぜはセルフレベリング材プレミックス粉体使用分ごとに行った。
練り上がったスラリーを型枠に囲まれたベニヤ板(下地)の打設面上に流し込み、金属棒で均すことで平滑面を作製した。材齢8日経過後に、表面には色ムラが見られた。
材齢8日経過後、セルフレベリング材の打設面(表面)の研磨を行った。
研磨にはポリッシャーを用い、打設面を半分に分け、左側半分は住友3M製ネバーラストマーブルケアパッド(前処理用)による1回研磨を行い、光沢が出ない程度の仕上げ状態とした。右側半分は住友3M製スコッチブライト ハイプロパッド(荒研磨用)による第1研磨、住友3M製ネバーラストマーブルケアパッド(前処理用)による第2研磨、住友3M製ネバーラストマーブルケアパッド(仕上げ用)による第3研磨の順に3回研磨を行い、光沢が出る程度の仕上げ状態にした。
研磨後の表面は、色ムラが緩和されていることが目視にて確認された。
材齢9日経過後、上塗材としてユニエポ01及びイシノールスーパーウェットを領域を分けて塗布した。図1に試験体における各領域の仕様を示す。図1に示すように、試験体10の表面を9つの領域に分けている。領域A、C、E、G、Iは、光沢が出ない程度に研磨した領域であり、領域B、D、F、Hは、光沢が出る程度に研磨した領域である。
含水率は材齢とともに減少するが、一般的にコンクリートやモルタルへの上塗材塗布には表面の含水率が5%以下となることが望ましいとされている。このため、まず含水率が5%以下になる材齢を次に示すように確認した。
コンクリート・モルタル水分計(HI−520,ケット科学研究所)により打設したセルフレベリング材表面の含水率を測定した。含水率と材齢との関係を図2に示す。なお、測定値は測定箇所5点の平均値とし、測定モードはモルタル・厚さ10mmとした。
本試験においては、材齢9日の時点で5%を下回った。このため、セルフレベリング材に上塗りを行うには9日程度の養生期間が必要になると考えられる。この結果に基づいて、本試験においては、上塗材を塗布するタイミングを材齢9日経過後とした。
4−1.外観観察
上塗材塗布後の試験体10の各領域(A〜H)について外観を目視により観察した。
結果を表3に示す。
ユニエポ01を塗布したのみでは吸い込みムラや表面に気泡が出る傾向にあり、外観が好ましくなかった。ユニエポ01の過剰分を掻き取ることにより気泡の発生に関しては抑えることができたが、1回研磨の場合には吸い込みムラが残っていた。
スーパーウェットでは塗布したのみで吸い込みムラや気泡の発生等は見られず目視では均一な仕上げ状態が確認された。
上塗材の塗布による色ムラの均一化の効果を確認するため、前記図1に示す領域C、D、E、F、G、H の仕様に基づいて上塗材を塗布した領域において、上塗材の塗布前と塗布後で色差(Lab)と光沢の4項目を測定し、塗布前後における色差、光沢のばらつきの変化を相対標準偏差RSD(%)にて評価した。相対標準偏差RSD(%)は(式1)にて算出する。
(相対標準偏差RSD) = 100×(標準偏差)/(平均値)・・・(式1)
図8は、建築仕上学会式の引っかき試験器を用いて行った引っかき試験の結果を示す図である。
図9は、付着力試験の結果を示す図である。
上塗材を塗布した部分について、カッターにより試験体10の領域A〜Hの表面に碁盤目状に切り込みを入れた後、布粘着テープ12を貼り付けた後に剥がした状態を確認する付着試験を行った。表5に結果、図9に試験状況をそれぞれ示す。図9では、布粘着テープ12を剥がした後の試験体10の表面と布粘着テープ12の粘着面とを示している。本付着力試験では、布粘着テープとして、株式会社寺岡製作所製オリーブテープNo.141(商品名)を使用した。
ユニエポ01を塗布した領域A〜Fでは過剰塗布量を除去していない領域A〜Dで過剰塗布量を除去している領域E、Fより付着力が劣る傾向が見られた。
・ セルフレベリング材に顔料を混ぜて打設しただけでは色ムラが目立つ。
・ 顔料により着色したセルフレベリング材に荒研磨→前処理→仕上げの3工程の研磨により色ムラが消え、光沢も出る。
・ セルフレベリング材の含水率が5%を切るには打設後9日間の養生が必要である。
外観
◎:表面状態が均一
△:気泡もしくは吸い込みムラのどちらかがある
×:気泡や吸い込みムラが両方とも目立つ
色ムラ
◎:塗布前後において色差と光沢計4項目中4項目でばらつきが低くなった
〇:塗布前後において色差と光沢計4項目中3 項目でばらつきが低くなった
×:塗布前後において色差と光沢計4項目中1 項目でばらつきが低くなった
表面強度
〇:上塗材の塗布により無塗布の箇所と比べて引っかき傷幅が狭まった
△:上塗材の有無による引っかき傷幅の差が無い
×:引っかき試験により塗膜が割れた
付着力試験
◎:上塗材が浸透して表面に残っていない
〇:テープ試験により上塗材塗膜が剥がれない
×:テープ試験により上塗材塗膜が剥がれた
総評
◎:各試験項目について良好な結果を示した
〇:一部試験項目に上塗材塗布による性能改善効果が見られないが、概ね試験結果が良好であった
△:一部試験項目に上塗材塗布による性能悪化が見られたが、良好な試験結果を示す項目もあり、可能性を排除するまでには至らない
×:使用にあたり容認できない結果を示す試験項目がある
・スラリーが硬化した後、上塗材を塗布する前工程にて表面研磨することにより、色ムラが改善される。また、上塗材の塗布による効果として、色ムラを更に抑えて均一化する効果、および、表面硬度の強化も図ることが可能である。すなわち、ポリッシャーによる研磨と樹脂の上塗りとにて、色の均一化と表層の強化を図ることが可能である。
以上の結果をふまえ、より好ましいセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法は、図10に示すように、まず、下地セメント組成体に、セルフレベリング材用プライマーを塗布する(プライマー塗布工程S1)。
次に、セルフレベリング材プレミックス粉体と顔料とを粉体の状態にて混合(粉体混合工程S2)し、その後、水を加えて練り混ぜ、スラリーを生成する(スラリー生成工程S3)。
次に、着色したセルフレベリング材のスラリーを下地コンクリート上に打設する(打設工程S4)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
Claims (7)
- 下地セメント組成体上にスラリー状のセルフレベリング材を打設する打設工程と、
前記セルフレベリング材の硬化後に、硬化した前記セルフレベリング材の表面を研磨する研磨工程と、
を有することを特徴とするセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法。 - 請求項1に記載のセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法であって、
前記研磨工程における研磨は、光沢が出ない程度の研磨であることを特徴とするセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法。 - 請求項1に記載のセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法であって、
前記研磨工程における研磨は、光沢が出る程度の研磨であることを特徴とするセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法。 - 請求項3に記載のセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法であって、
前記研磨工程における研磨は、荒研磨用パッドを使用した第1研磨と、前記荒研磨用パッドより表面を滑らかに仕上げる前処理用パッドを使用した第2研磨と、前記前処理用パッドより表面を滑らかに仕上げる仕上げ用パッドを使用した第3研磨と、を順次行うことを特徴とするセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法であって、
前記研磨工程の後の前記セルフレベリング材の表面に、1000mPa・s以下の粘度の低粘度樹脂を塗布する低粘度樹脂塗布工程と、
前記低粘度樹脂塗布工程の後に、前記低粘度樹脂の過剰塗布分を掻き取る掻取工程と、
を有することを特徴とするセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法であって、
前記研磨工程の後の前記セルフレベリング材の表面に、ポリアルキルアルコキシシロキサンを主成分とする吸水防止剤を塗布する吸水防止剤塗布工程を有することを特徴とするセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法。 - 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法であって、
前記スラリー状のセルフレベリング材に、顔料を混合することを特徴とするセルフレベリング材による仕上げ面の施工方法。
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