JP2013049942A - 耐久撥水性ポリアミド繊維布帛及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】JIS L−1092法に規定される繰り返し洗濯30回後の撥水度が3級以上であり、フッ素系撥水剤が繊維重量に対し固形分換算で0.03〜1重量%付着され、かつ、飛行時間二次イオン質量分析(TOF−SIMS)測定における該フッ素系撥水剤注のパーフルオロオクタン酸(PFOA)含有量が検出限界未満であることを特徴とする耐久撥水性ポリアミド繊維布帛。
【選択図】なし
Description
撥水加工としては、通常、布帛に対して最終仕上げ工程でフッ素系撥水剤やシリコーン系撥水剤等の撥水剤を含浸後、乾燥熱処理を行う方法が採られている。シリコーン系撥水剤は撥水性のレベル、洗濯耐久性共に不十分であるため、洗濯耐久性に優れているフッ素系撥水剤を使用した撥水加工も多く行われている。
これを解決すべく様々な試みがなされており、例えば、特許文献1には、含フッ素化合物の処理液を付与した後低温プラズマで処理し、次いで70℃以上の熱処理を施すという加工法が提案されている。しかしながら、プラズマ処理を行なうことで撥水性被膜がエッジングされてしまうため、その効果は不十分である。また、特許文献2には、布帛にオルガノポリシロキサン化合物、含フッ素化合物又はこれらの混合物を含む処理液を付与した後、低温プラズマ処理を施して親水化し、さらに前記処理液を付与するという撥水耐久性布帛の製造法が提案されている。しかしながら、特許文献2には、耐久撥水性に関する洗濯30回後の性能には言及されておらず、さらには2段階の処理を必要とするものであり、経済的な問題や風合いが硬くなってしまうという問題もある。
(1)JIS L−1092法に規定される繰り返し洗濯30回後の撥水度が3級以上であり、フッ素系撥水剤が繊維重量に対し固形分換算で0.03〜1重量%付着され、かつ、飛行時間二次イオン質量分析(TOF−SIMS)測定における該フッ素系撥水剤中のパーフルオロオクタン酸(PFOA)含有量が検出限界未満であることを特徴とする耐久撥水性ポリアミド繊維布帛。
ポリアミド繊維布帛を低温プラズマで処理し、
該処理された布帛に、飛行時間二次イオン質量分析(TOF−SIMS)測定におけるパーフルオロオクタン酸(PFOA)含有量が検出限界未満であるフッ素系撥水剤を繊維重量に対し固形分換算で0.03〜1重量%付着させ、そして
該フッ素系撥水剤が付着された布帛を乾燥させる、
を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の耐久撥水性ポリアミド繊維布帛の製造方法。
本発明のポリアミド繊維布帛は、JIS L−1092法に規定される撥水度評価方法において、繰り返し洗濯30回後の撥水度が3級以上であることを特徴とし、該撥水度は、好ましくは4級以上である。
撥水剤付着量については、撥水剤の固形分濃度とピックアップ率より求めることができるが、蛍光X線法によって求めてもよい。また、撥水剤の構造は、TOF−SIMS測定によって検出されるフラグメントイオンから確認することができる。
以下、処理方法の例を説明する。
その後、このように処理された布帛を乾燥させる。乾燥方法としては、約150〜190℃の温度で約1〜2分間程度の熱処理が好ましい。この熱処理によって、撥水性の耐久性は大きく向上する。
本発明の布帛を構成するポリアミド繊維素材の総繊度は、衣料等で一般的に使用されている範囲のものを用いることができるが、その中でも総繊度が10〜200dtexのものが好ましい。
本発明の布帛の目付は特に限定されないが、10〜200g/m2が好ましく、より好ましくは30〜150g/m2である。本発明の布帛の厚みも特に限定されないが、0.01〜1.2mmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mmである。本明細書中、布帛の厚みは、Peacock社製の厚み測定器を用い、φ3.0cmの測定部を5gの荷重にて布帛に接触させ、3か所測定し平均した値をいう。
以下の実施例、比較例においては、以下の測定方法を用いて評価した。
JIS L−1092 スプレー法に基づいて、以下の基準で評価した。
5級:表面に湿潤や水滴の付着がないもの
4級:表面に湿潤しないが小さな水滴の付着を示すもの
3級:表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの
2級:表面の半分の面積に湿潤を示すもの
1級:表面全体に湿潤を示すもの
各実施例、比較例で得られた布帛について、洗濯処理なし、及びC法による繰り返し洗濯30回後の試料をそれぞれ測定した。
尚、以下の表1中、「4−5」は、4級と5級の間の状態を指し、「3−4」は、3級と4級の間の状態を指し、「2−3」は、2級と3級の間の状態を指す。
加工後の布帛を以下の基準で官能評価した。
○:風合いが良好である
△:風合いがやや硬い
×:風合いが硬い
撥水剤自体、及び撥水加工された布帛について、飛行時間二次イオン質量分析装置:TRIFT・III型(Physical Electric社製)を用いて、サンプル表面におけるPFOA由来のフラグメントイオン、およびパーフルオロヘキサン酸由来のフラグメントイオンの定性分析を行なった。
ポリアミド加工糸15デシテックス/12フィラメントを経糸と緯糸に使用したタフタ組織の織物を、ウォータージェットルーム織機にて製織した。得られた織物を、常法により精練、染色し、濃青色の染色布を得た。この布帛に対し、下記条件にて低温プラズマ処理を行い、その後、フッ素系樹脂“アサヒガードAG−E082”(旭硝子(株)社製、固形分20重量%、TOF−SIMS測定においてPFOA由来のフラグメントイオンが検出されず、パーフルオロヘキサン酸(C6)に基づくフラグメントイオンが検出されたため、C6系撥水剤と判断される):1重量%及び“メイカネートST”(明成化学工業(株)製):0.1重量%水分散液に浸漬し、圧搾機にて余剰液を除去、100℃×2分間の乾燥を行い、170℃×90秒のファイナルセットを行った。このときの撥水剤付着量は繊維重量に対し固形分換算で0.13重量%であった。この布帛に対し、風合い及び初期(洗濯処理なし)と繰り返し洗濯30回後の撥水性を評価した。各試験の結果を以下の表1に示す。尚、本布帛のTOF−SIMS測定において、PFOA由来のフラグメントイオンは検出されず、パーフルオロヘキサン酸のフラグメントイオンが検出された。
(プラズマ処理条件)
ガス・圧力:窒素53〜67Pa
印加電圧:5〜6kV
照射面と生地との距離:5cm
処理速度:20m/分
電極数:4本
ポリアミド加工糸15デシテックス/12フィラメントを経糸と緯糸に使用したタフタ組織の織物を、ウォータージェットルーム織機にて製織した。得られた織物を、常法により精練、染色し、濃青色の染色布を得た。この布帛に対し、実施例1と同様の条件にて低温プラズマ処理を行い、その後、フッ素系樹脂“アサヒガードAG−E082”(旭硝子(株)社製、固形分20重量%):0.5重量%及び“メイカネートST”(明成化学工業(株)製):0.05重量%水分散液に浸漬し、圧搾機にて余剰液を除去、100℃×2分間の乾燥を行い、170℃×90秒のファイナルセットを行った。このときの撥水剤付着量は繊維重量に対し固形分換算で0.065重量%であった。この布帛に対し、風合い及び初期と繰り返し洗濯30回後の撥水性を評価した。各試験の結果を以下の表1に示す。尚、布帛のTOF−SIMS測定結果は実施例1と同様であった。
ポリアミド加工糸22デシテックス/24フィラメントを経糸に、ポリアミド加工糸33デシテックス/26フィラメントを緯糸に使用したリップストップ組織の織物を、ウォータージェットルーム織機にて製織した。得られた織物を、常法により精練、染色し、濃青色の染色布を得た。この布帛に対し、実施例1と同様の条件にて低温プラズマ処理を行い、その後、フッ素系樹脂“アサヒガードAG−E082”(旭硝子(株)社製、固形分20重量%):0.5重量%及び“メイカネートST”(明成化学工業(株)製):0.05重量%水分散液に浸漬し、圧搾機にて余剰液を除去、100℃×2分間の乾燥を行い、170℃×90秒のファイナルセットを行った。このときの撥水剤付着量は繊維重量に対し固形分換算で0.065重量%であった。この布帛に対し、風合い及び初期と繰り返し洗濯30回後の撥水性を評価した。各試験の結果を以下の表1に示す。尚、布帛のTOF−SIMS測定結果は実施例1と同様であった。
ポリアミド加工糸15デシテックス/12フィラメントを経糸と緯糸に使用したタフタ組織の織物を、ウォータージェットルーム織機にて製織した。得られた織物を、常法により精練、染色し、濃青色の染色布を得た。この布帛に対し、実施例1と同様の条件にて低温プラズマ処理を行い、その後、フッ素系樹脂“アサヒガードAG−E061”(旭硝子(株)社製、固形分20重量%、TOF−SIMS測定においてPFOA由来のフラグメントイオンが検出されず、パーフルオロヘキサン酸(C6)に基づくフラグメントイオンが検出されたため、C6系撥水剤と判断される):1重量%及び“メイカネートST”(明成化学工業(株)製):0.1重量%水分散液に浸漬し、圧搾機にて余剰液を除去、100℃×2分間の乾燥を行い、170℃×90秒のファイナルセットを行った。このときの撥水剤付着量は繊維重量に対し固形分換算で0.13重量%であった。この布帛に対し、風合い及び初期と繰り返し洗濯30回後の撥水性を評価した。各試験の結果を以下の表1に示す。尚、布帛のTOF−SIMS測定結果は実施例1と同様であった。
ポリアミド加工糸15デシテックス/12フィラメントを経糸と緯糸に使用したタフタ組織の織物を、ウォータージェットルーム織機にて製織した。得られた織物を、常法により精練、染色し、濃青色の染色布を得た。この布帛を、フッ素系樹脂“アサヒガードAG−E082”(旭硝子(株)社製、固形分20重量%):4重量%及び“メイカネートST”(明成化学工業(株)製):0.4重量%水分散液に浸漬し、圧搾機にて余剰液を除去、100℃×2分間の乾燥を行い、170℃×90秒のファイナルセットを行った。このときの撥水剤付着量は繊維重量に対し固形分換算で0.52重量%であった。この布帛に対し、風合い及び初期と繰り返し洗濯30回後の撥水性を評価した。各試験の結果を以下の表1に示す。尚、布帛のTOF−SIMS測定結果は実施例1と同様であった。
ポリアミド加工糸15デシテックス/12フィラメントを経糸と緯糸に使用したタフタ組織の織物を、ウォータージェットルーム織機にて製織した。得られた織物を、常法により精練、染色し、濃青色の染色布を得た。この布帛を、フッ素系樹脂“アサヒガードAG−E082”(旭硝子(株)社製、固形分20重量%):1重量%及び“メイカネートST”(明成化学工業(株)製):0.1重量%水分散液に浸漬し、圧搾機にて余剰液を除去、100℃×2分間の乾燥を行い、170℃×90秒のファイナルセットを行った。このときの撥水剤付着量は繊維重量に対し固形分換算で0.13重量%であった。この布帛に対し、風合い及び初期と繰り返し洗濯30回後の撥水性を評価した。各試験の結果を以下の表1に示す。尚、布帛のTOF−SIMS測定結果は実施例1と同様であった。
ポリアミド加工糸15デシテックス/12フィラメントを経糸と緯糸に使用したタフタ組織の織物を、ウォータージェットルーム織機にて製織した。得られた織物を、常法により精練、染色し、濃青色の染色布を得た。この布帛を、フッ素系樹脂“アサヒガードAG−E082”(旭硝子(株)社製、固形分20重量%):1重量%及び“メイカネートST”(明成化学工業(株)製):0.1重量%水分散液に浸漬し、圧搾機にて余剰液を除去、100℃×2分間の乾燥を行い、170℃×90秒のファイナルセットを行った。このときの撥水剤付着量は繊維重量に対し固形分換算で0.13重量%であった。その後、実施例1と同様の条件にて低温プラズマ処理を行い、得られた布帛に対し、風合い及び初期と繰り返し洗濯30回後の撥水性を評価した。各試験の結果を以下の表1に示す。尚、布帛のTOF−SIMS測定結果は実施例1と同様であった。
ポリアミド加工糸15デシテックス/12フィラメントを経糸と緯糸に使用したタフタ組織の織物を、ウォータージェットルーム織機にて製織した。得られた織物を、常法により精練、染色し、濃青色の染色布を得た。この布帛に対し、実施例1と同様の条件にて低温プラズマ処理を行い、その後、フッ素系樹脂“アサヒガードAG−E082”(旭硝子(株)社製、固形分20重量%):0.1重量%及び“メイカネートST”(明成化学工業(株)製):0.01重量%水分散液に浸漬し、圧搾機にて余剰液を除去、100℃×2分間の乾燥を行い、170℃×90秒のファイナルセットを行った。このときの撥水剤付着量は繊維重量に対し固形分換算で0.013重量%であった。この布帛に対し、風合い及び初期と繰り返し洗濯30回後の撥水性を評価した。各試験の結果を以下の表1に示す。尚、布帛のTOF−SIMS測定結果は実施例1と同様であった。
ポリアミド加工糸15デシテックス/12フィラメントを経糸と緯糸に使用したタフタ組織の織物を、ウォータージェットルーム織機にて製織した。得られた織物を、常法により精練、染色し、濃青色の染色布を得た。この布帛に対し、実施例1と同様の条件にて低温プラズマ処理を行い、その後、フッ素系樹脂“アサヒガードAG−E082”(旭硝子(株)社製、固形分20重量%):10重量%及び“メイカネートST”(明成化学工業(株)製):1重量%水分散液に浸漬し、圧搾機にて余剰液を除去、100℃×2分間の乾燥を行い、170℃×90秒のファイナルセットを行った。このときの撥水剤付着量は繊維重量に対し固形分換算で1.3重量%であった。この布帛に対し、風合い及び初期と繰り返し洗濯30回後の撥水性を評価した。各試験の結果を以下の表1に示す。尚、布帛のTOF−SIMS測定結果は実施例1と同様であった。
ポリアミド加工糸15デシテックス/12フィラメントを経糸と緯糸に使用したタフタ組織の織物を、ウォータージェットルーム織機にて製織した。得られた織物を、常法により精練、染色し、濃青色の染色布を得た。この布帛を、フッ素系樹脂“アサヒガードAG−E082”(旭硝子(株)社製、固形分20重量%):1重量%及び“メイカネートST”(明成化学工業(株)製):0.1重量%水分散液に浸漬し、圧搾機にて余剰液を除去、100℃×2分間の乾燥を行い、170℃×90秒のファイナルセットを行った。この布帛に対し、実施例1と同様の条件にて低温プラズマ処理を行い、その後、フッ素系樹脂“アサヒガードAG−E082”(旭硝子(株)社製、固形分20重量%):1重量%及び“メイカネートST”(明成化学工業(株)製):0.1重量%水分散液に浸漬し、圧搾機にて余剰液を除去、100℃×2分間の乾燥を行い、170℃×90秒のファイナルセットを行った。このときの撥水剤付着量は繊維重量に対し固形分換算で0.26重量%であった。この布帛に対し、風合い及び初期と繰り返し洗濯30回後の撥水性を評価した。各試験の結果を以下の表1に示す。尚、布帛のTOF−SIMS測定結果は実施例1と同様であった。
Claims (3)
- JIS L−1092法に規定される繰り返し洗濯30回後の撥水度が3級以上であり、フッ素系撥水剤が繊維重量に対し固形分換算で0.03〜1重量%付着され、かつ、飛行時間二次イオン質量分析(TOF−SIMS)測定における該フッ素系撥水剤中のパーフルオロオクタン酸(PFOA)含有量が検出限界未満であることを特徴とする耐久撥水性ポリアミド繊維布帛。
- 前記フッ素系撥水剤がパーフルオロヘキサン酸(C6)系撥水剤である、請求項1に記載の耐久撥水性ポリアミド繊維布帛。
- 以下の工程:
ポリアミド繊維布帛を低温プラズマで処理し、
該処理された布帛に、飛行時間二次イオン質量分析(TOF−SIMS)測定におけるパーフルオロオクタン酸(PFOA)含有量が検出限界未満であるフッ素系撥水剤を繊維重量に対し固形分換算で0.03〜1重量%付着させ、そして
該フッ素系撥水剤が付着された布帛を乾燥させる、
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の耐久撥水性ポリアミド繊維布帛の製造方法。
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