JP2013048590A - 飲食品用香料溶剤の苦味マスキング方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スクラロース又はソーマチンを添加することにより、トリアセチンやトリエチルシトレートの特有な苦味をマスキングする。
【選択図】なし
Description
飲食品用香料を溶解して、安定で取り扱いの容易な香料組成物とするために、トリアセチンやトリエチルシトレートが使用されている(特許文献1)が、これらの飲食品用香料の溶剤は、それ自体トップにおける苦味や後を引く苦味などの特有な苦味を有しており、ガムやキャンディなどに飲食品用香料を多く添加したい場合には、これらの溶剤の苦味が製品に影響するという問題点があった。
なお、トリエチルシトレートは、それ自体香料としても使用されることがある。
特許文献3には、スクラロースやソーマチンを添加することで、塩酸エピナスチンやレバミピドなどの薬効成分の苦味をマスキングできることが、特許文献4には、イソロイシン、ロイシン、バリンなどのアミノ酸の苦味をマスキングできることが記載されている。
さらに特許文献5には、スクラロース及び/又はソーマチンを添加することで、たんぱく質、脂質、ビタミンなどを含有する高栄養食のエグ味、苦味及び不快臭をマスキングできることが記載されている。
しかしながら、これら特許文献のいずれにも、スクラロース又はソーマチンを添加することにより、トリアセチンやトリエチルシトレートの特有な苦味をマスキングできることは記載されていない。
項1.スクラロース又はソーマチンを添加することを特徴とする、トリアセチン及び/又はトリエチルシトレートの特有な苦味のマスキング方法。
項2.トリアセチン1質量部に対して、スクラロースを0.0003〜0.5質量部添加する、項1記載のトリアセチンの特有な苦味のマスキング方法。
項3.トリエチルシトレート1質量部に対して、スクラロースを0.003〜0.5質量部添加する、項1記載のトリエチルシトレートの特有な苦味のマスキング方法。
項4.トリアセチン1質量部に対して、ソーマチンを0.0001〜0.005質量部添加する、項1記載のトリアセチンの特有な苦味のマスキング方法。
項5.トリエチルシトレート1質量部に対して、ソーマチンを0.0003〜0.003質量部添加する、項1記載のトリエチルシトレートの特有な苦味のマスキング方法。
そのため、飲食品に、トリアセチンやトリエチルシトレートを溶剤とする飲食品用香料を多く添加することができ、その際これらの溶剤の苦味が、飲食品に影響することがない。
また、本発明に用いるソーマチンは、Marantaceae科(くずうこん科)に属する多年性植物ソーマトコッカスダニエリ(Thaumatococcus daniellii BENTH)の種子から得られた、分子量約21000のタンパク質を主成分とする甘味物質であり、砂糖の3000〜8000倍と非常に強い甘味度を有している。
ソーマチンは、ソーマトコッカス・ダニエリの果実の仮種皮を水抽出し、精製することによって調製することができるが、簡便には、市販の製品を用いることもでき、このような製品としては、サンスイートT(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を挙げることができる。
トリアセチンの特有な苦味をマスキングするためには、トリアセチン1質量部に対して、スクラロースであれば0.0003〜0.5質量部、好ましくは0.0005〜0.03質量部であり、ソーマチンであれば0.0001〜0.005質量部、好ましくは0.0002〜0.004質量部である。
また、トリエチルシトレートの特有な苦味をマスキングするためには、トリエチルシトレート1質量部に対して、スクラロースであれば0.003〜0.5質量部、好ましくは0.005〜0.1質量部であり、ソーマチンであれば0.0003〜0.003質量部、好ましくは0.0005〜0.002質量部である。
トリアセチン1質量部に対して、それぞれスクラロースの添加量が0.0003質量部、ソーマチンの添加量が0.0001質量部より少ないと、トリアセチンの特有な苦味のマスキング効果が十分ではなく、また、スクラロースの添加量が0.5質量部、ソーマチンの添加量が0.005質量部より多いと、スクラロースやソーマチンによる甘味がつきすぎて、トリアセチンの特有な苦味のマスキング効果も十分に確認できず、いずれも好ましくない。
また、トリエチルシトレートにおいても同様に、トリエチルシトレート1質量部に対して、それぞれスクラロースの添加量が0.003質量部、ソーマチンの添加量が0.0003質量部より少ないと、トリエチルシトレートの特有な苦味のマスキング効果が十分ではなく、また、スクラロースの添加量が0.5質量部、ソーマチンの添加量が0.003質量部より多いと、スクラロースやソーマチンによる甘味がつきすぎて、トリエチルシトレートの特有な苦味のマスキング効果も十分に確認できず、いずれも好ましくない。
なお、以下の記載において、「部」は質量部を示し、「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製を、「※」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標をそれぞれ示す。
トリアセチンの1質量%水溶液を調製し、それに表1のように、スクラロースの量を変えて添加し、コントロールと比べて、次の基準で苦味のマスキング効果を評価して、結果を表1に示した。
×:効果なし △:やや効果がある、もしくは高添加量では効果があるが甘味がやや強い
○:効果がある ◎:非常に効果がある
トリアセチンの1質量%水溶液を調製し、それに表2のように、各種の甘味料をスクラロース0.001質量%添加と同じ甘味になるような量を添加して、トリアセチンの苦味のマスキング効果を評価し、結果を表2に示した。
トリエチルシトレートの1質量%水溶液を調製し、それに表3のように、スクラロースの量を変えて添加し、コントロールと比べて、次の基準で苦味のマスキング効果を評価して、結果を表3に示した。
×:効果なし △:やや効果がある、もしくは高添加量では効果があるが甘味がやや強い
○:効果がある ◎:非常に効果がある
トリエチルシトレートの1質量%水溶液を調製し、それに表4のように、各種の甘味料をスクラロース0.005質量%添加と同じ甘味になるような量を添加して、トリエチルシトレートの苦味のマスキング効果を評価し、結果を表4に示した。
トリアセチンの1質量%水溶液を調製し、それに表5のように、ソーマチンの量を変えて添加し、コントロールと比べて、実施例1と同じ基準で苦味のマスキング効果を評価して、結果を表5に示した。
トリエチルシトレートの1質量%水溶液を調製し、それに表6のように、ソーマチンの量を変えて添加し、コントロールと比べて、実施例3と同じ基準で苦味のマスキング効果を評価して、結果を表6に示した。
表7の処方に基づき、マルチトールとキシリトールを粉体混合し、83メッシュを通した。
次いで、ガムベースを加温して軟化させ、60℃で保温している縦型ニーダーに入れ、上記粉体混合物、グリセリン、大豆レシチン、MT−Nを少しずつ加えて、20rpm程度で攪拌し、ガム基剤を製造した。
このようにして製造したガム基剤(5g)に、表8の香料溶剤及び高甘味度甘味料(単位はいずれもg)を添加して、練りこみ、ガムを製造した。
官能評価を行い、その結果を表9に示した。
前記のように製造したガム基剤(5g)に、表10〜表13の香料及び高甘味度甘味料(単位はいずれもg)を添加して、練りこみ、ガムを製造した。
官能評価を行い、その結果を表10〜表13に示した。
使用した香料は、以下の通りである。
ライムオイルA :MT−N20%含有 *2(苦味がない)
ライムオイルB:トリアセチン20%含有
ライムオイルC:トリエチルシトレート20%含有
ピーチフレーバー:トリアセチン30%含有
Claims (5)
- スクラロース又はソーマチンを添加することを特徴とする、トリアセチン及び/又はトリエチルシトレートの特有な苦味のマスキング方法。
- トリアセチン1質量部に対して、スクラロースを0.0003〜0.5質量部添加する、請求項1記載のトリアセチンの特有な苦味のマスキング方法。
- トリエチルシトレート1質量部に対して、スクラロースを0.003〜0.5質量部添加する、請求項1記載のトリエチルシトレートの特有な苦味のマスキング方法。
- トリアセチン1質量部に対して、ソーマチンを0.0001〜0.005質量部添加する、請求項1記載のトリアセチンの特有な苦味のマスキング方法。
- トリエチルシトレート1質量部に対して、ソーマチンを0.0003〜0.003質量部添加する、請求項1記載のトリエチルシトレートの特有な苦味のマスキング方法。
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