以下、添付図面を参照して、等価回路パラメータ測定装置1および等価回路パラメータ測定方法の実施の形態について説明する。
最初に、等価回路パラメータ測定装置1(以下、「測定装置1」ともいう)の構成について、図面を参照して説明する。
測定装置1は、図1に示すように、測定部2、操作部3、記憶部4、処理部5および出力部6を備え、測定部2に接続された測定対象としての試料7の等価回路についての各パラメータを測定可能に構成されている。本例では、測定装置1は、電子部品(コア損失の大きいコイル、コア損失の小さいコイル(または抵抗値の小さい抵抗)、抵抗値の大きい抵抗、コンデンサ、圧電素子)を試料7として、それぞれに予め規定された等価回路の各パラメータ(容量C(直列容量Csおよび/または並列容量Cp)、インダクタンスLおよび抵抗R)のパラメータ値Cv(Csvおよび/またはCpv),Lv,Rvを算出するものとする。
なお、コア損失の大きいコイルは、図2に示す等価回路(インダクタンスL、容量(並列容量Cp)および抵抗Rが並列に接続された第1等価回路A))で表され、コア損失の小さいコイルは、図3に示す等価回路(インダクタンスLおよび抵抗Rからなる直列回路に容量(並列容量Cp)が並列に接続された第2等価回路B)で表される。また、抵抗値の大きい抵抗は、図4に示す等価回路(容量(並列容量Cp)および抵抗Rからなる並列回路にインダクタンスLが直列に接続された第3等価回路C)で表され、コンデンサは、図5に示す等価回路(インダクタンスL、容量(直列容量Cs)および抵抗Rが直列に接続された第4等価回路D)で表され、圧電素子は、図6に示す等価回路(容量(直列容量Cs)、抵抗RおよびインダクタンスLからなる直列回路に他の容量(並列容量Cp)が並列に接続された第5等価回路E)で表されるものとする。
測定部2は、各プローブ2aを介して試料7を接続可能に構成されて、予め規定された周波数帯域での試料7についてのインピーダンスZの周波数特性および位相θの周波数特性を測定し、インピーダンスZの周波数特性を示す周波数特性データDZ、および位相θの周波数特性を示す周波数特性データDθを処理部5に出力する。また、測定部2は、インピーダンスZおよび位相θの各周波数特性の測定、および各周波数特性データDZ,Dθの処理部5への出力については、処理部5からの要求に応じて実行する。
操作部3は、例えば操作キー(図示せず)を複数備え、操作された操作キーに予め割り当てられた処理を処理部5に対して実行させるための命令データDcmdを処理部5に出力する。記憶部4は、RAMなどの半導体メモリや、HDD(Hard disk drive)で構成されて、周波数特性データDZ,Dθ、およびパラメータ値Cv(Csv,Cpv),Lv,Rvなどを記憶する。
処理部5は、例えばCPUで構成されて、測定部2に対する制御を実行すると共に、パラメータ測定処理を実行する。また、処理部5は、パラメータ測定処理において特定した試料7の等価回路(第1等価回路A〜第5等価回路Eのいずれか)を示すマークMと、この特定した等価回路について測定したパラメータ値Cv,Lv,Rvを出力部6に出力する。出力部6は、一例として、液晶ディスプレイなどの表示装置で構成されて、マークMおよびパラメータ値Cv,Lv,Rvを画面に表示する。本例では等価回路を示すマークMとして、第1等価回路Aの場合には記号「A」を、第2等価回路Bの場合には記号「B」を、第3等価回路Cの場合には記号「C」を、第4等価回路Dの場合には記号「D」を、第5等価回路Eの場合には記号「E」を処理部5が出力し、また出力部6が画面に表示するものとする。
なお、表示装置に代えて、外部装置(外部記憶媒体などの外部記憶装置を含む)とのインターフェース回路で出力部6を構成して、この外部装置にマークMおよびパラメータ値Cv,Lv,Rvを出力することもできる。
次いで、測定装置1による試料7についての等価回路の各パラメータC,L,Rのパラメータ値Cv,Lv,Rvの測定動作と共に、試料7についての等価回路のパラメータ値Cv,Lv,Rvの測定方法について図面を参照して説明する。
まず、等価回路が未知である試料7が各プローブ2aを介して測定部2に接続されている状態において、処理部5は、操作キーに対する操作が行われた操作部3から命令データDcmd(パラメータ値Cv,Lv,Rvの測定を指示する命令データ)を入力したときに、図7に示すパラメータ測定処理20を実行する。
このパラメータ測定処理20では、処理部5は、まず、周波数特性実測処理を実行する(ステップ21)。この周波数特性実測処理において、処理部5は、測定部2に対して、試料7についてのインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性(予め規定された周波数帯域内での周波数特性)を測定(実測)させる。また、処理部5は、測定部2に対して、測定したインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性を示す周波数特性データDZ,Dθを処理部5に出力させる。処理部5は、測定部2から出力される周波数特性データDZ,Dθを取得して、記憶部4に記憶させる。これにより、周波数特性実測処理が完了する。
次いで、処理部5は、極大極小検出処理を実行する(ステップ22)。この極大極小検出処理では、処理部5は、インピーダンスZの周波数特性を示す周波数特性データDZに基づいて、このインピーダンスZの周波数特性における極大点および極小点を検出する。
この場合、試料7の等価回路が上記した第1等価回路Aに近いものであるときには、インピーダンスZの周波数特性における極大点および極小点の出現の仕方は、図13に示すレジスタンスrの周波数特性における極大点および極小点の出現の仕方に近似している。すなわち、インピーダンスZの周波数特性には、極大点のみが検出される。また、試料7の等価回路が上記した第2等価回路Bに近いものであるときには、インピーダンスZの周波数特性における極大点および極小点の出現の仕方は、図14に示すレジスタンスrの周波数特性における極大点および極小点の出現の仕方に近似している。すなわち、インピーダンスZの周波数特性には、極大点のみが検出される。
また、試料7の等価回路が上記した第3等価回路Cに近いものであるときには、インピーダンスZの周波数特性における極大点および極小点の出現の仕方は、図15に示すコンダクタンスGの周波数特性における極大点および極小点の出現の仕方に近似している。すなわち、インピーダンスZの周波数特性には、極小点のみが検出される。また、試料7の等価回路が上記した第4等価回路Dに近いものであるときには、インピーダンスZの周波数特性における極大点および極小点の出現の仕方は、図16に示すコンダクタンスGの周波数特性における極大点および極小点の出現の仕方に近似している。すなわち、インピーダンスZの周波数特性には、極小点のみが検出される。ただし、コンダクタンスGは、インピーダンスZの逆数であるアドミタンスの実数成分であるため、図15,16に示されるコンダクタンスGの極大点はインピーダンスZの極小点に対応する周波数に出現する。
また、試料7の等価回路が上記した第5等価回路Eに近いものであるときには、インピーダンスZの周波数特性における極大点および極小点は、図17に示すように出現する。すなわち、極大点および極小点が検出される。
続いて、処理部5は、ステップ22の極大極小検出処理で検出した極大点および極小点の状態を判別して(ステップ23)、試料7の等価回路についての最初の特定処理(一次特定)を実行する。
具体的には、処理部5は、ステップ23での判別の結果、極大点のみを検出したとき(インピーダンスZの周波数特性に極大点のみが存在している状態のとき)には、一次等価回路特定処理(ステップ24)を実行して、その極大点の出現の仕方が図13,14に示すレジスタンスrの周波数特性における極大点の出現の仕方に近似しているため、試料7の等価回路は、第1等価回路A(図2参照)および第2等価回路B(図3参照)のいずれかであると特定する。
また、処理部5は、ステップ23での極大点および極小点の状態の判別の結果、極小点のみを検出したとき(インピーダンスZの周波数特性に極小点のみが存在している状態のとき)には、他の一次等価回路特定処理(ステップ30)を実行して、その極小点の出現の仕方が図15,16に示すコンダクタンスGの周波数特性における極大点の出現の仕方に近似しているため(ただし、上記したように、コンダクタンスGは、インピーダンスZの逆数であるアドミタンスの実数成分であるため、コンダクタンスGの極大点がインピーダンスZの極小点に対応する)、試料7の等価回路は、第3等価回路C(図4参照)および第4等価回路D(図5参照)のいずれかであると特定する。
また、処理部5は、ステップ23での極大点および極小点の状態の判別の結果、極大点および極小点を検出したとき(インピーダンスZの周波数特性に極大点および極小点が存在している状態のとき)には、他の一次等価回路特定処理(ステップ36)を実行して、その極大点および極小点の出現の仕方が図17に示すインピーダンスZの周波数特性における極大点および極小点の出現の仕方に近似しているため、試料7の等価回路は、第5等価回路Eであると特定する。
以下では、まず、処理部5が、ステップ23において極大点のみを検出したときの動作について説明する。
この場合、処理部5は、一次等価回路特定処理を実行して、極大点のみを検出したことをもって、試料7の等価回路が第1等価回路Aおよび第2等価回路Bのいずれかであると特定(仮特定)する(ステップ24)。
次いで、処理部5は、パラメータ算出処理ABを実行する(ステップ25)。この場合、処理部5は、パラメータ算出処理ABでは、まず、図8に示すパラメータ算出処理50をパラメータ算出処理Aとして実行して、試料7の等価回路を第1等価回路Aとしたときの各パラメータ(並列容量Cp,インダクタンスL,抵抗R)についてのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを算出する。
このパラメータ算出処理Aでは、処理部5は、まず、r周波数特性算出処理を実行する(ステップ51)。このr周波数特性算出処理では、処理部5は、実測したインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性データDZ,Dθに基づいて、試料7のレジスタンスr(インピーダンスZの実数成分(|Z|×cosθ))の周波数特性を算出すると共に、この周波数特性を示す周波数特性データDrを記憶部4に記憶させる。また、処理部5は、算出した周波数特性データDrに基づいて、レジスタンスrが最大となる周波数(並列共振周波数fp)、およびレジスタンスrの最大値rmaxを検出して、記憶部4に記憶させる。これにより、r周波数特性算出処理が完了する。
次いで、処理部5は、Q算出処理を実行する(ステップ52)。このQ算出処理では、処理部5は、レジスタンスrについての周波数特性データDr、および最大値rmaxに基づいて、並列共振周波数fpについての象限周波数f1,f2(f2>f1)を検出して、記憶部4に記憶させる。象限周波数f1,f2は、レジスタンスrが最大値rmaxの1/2となる点での周波数であり、並列共振周波数fpを挟んで低域側と高域側とに現れる周波数である。次いで、処理部5は、象限周波数f1,f2および並列共振周波数fpに基づいて、Q(=fp/|f2−f1|)を算出して、記憶部4に記憶させる。これにより、Q算出処理が完了する。
続いて、処理部5は、R算出処理を実行する(ステップ53)。このR算出処理では、処理部5は、第1等価回路Aについての抵抗Rのパラメータ値Rvとして、最大値rmaxを記憶部4に記憶させる。これにより、R算出処理が完了する。
次いで、処理部5は、C算出処理を実行する(ステップ54)。このC算出処理では、処理部5は、最大値rmax、並列共振周波数fpおよびQに基づいて、Q/(2×π×fp×rmax)を算出して、第1等価回路Aについての並列容量Cpのパラメータ値Cpvとして記憶部4に記憶させる。これにより、C算出処理が完了する。
続いて、処理部5は、L算出処理を実行する(ステップ55)。このL算出処理では、処理部5は、算出したパラメータ値Cpvおよび並列共振周波数fpに基づいて、1/{(2×π×fp)2×Cpv}を算出して、第1等価回路AについてのインダクタンスLのパラメータ値Lvとして記憶部4に記憶させる。これにより、L算出処理が完了し、併せて、パラメータ測定処理Aも完了する。
また、処理部5は、図9に示すパラメータ算出処理60をパラメータ算出処理Bとして実行して、試料7の等価回路を第2等価回路Bとしたときの各パラメータ(並列容量Cp,インダクタンスL,抵抗R)についてのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを算出する。
このパラメータ算出処理Bでは、処理部5は、まず、r周波数特性算出処理を実行する(ステップ61)。なお、ステップ25でのパラメータ算出処理A,Bの実行順は任意であるが、本例のように、パラメータ算出処理A,Bのいずれか一方が既に完了しているときには、処理内容が同一のr周波数特性算出処理も既に完了していることになる。このため、この場合には、パラメータ算出処理A,Bのうちの後に実行する処理では、処理部5は、このr周波数特性算出処理を省略する。
次いで、処理部5は、Q算出処理を実行する(ステップ62)。このQ算出処理は、上記したパラメータ算出処理AでのQ算出処理と同一の処理内容である。このため、r周波数特性算出処理のときと同様にして、Q算出処理もパラメータ算出処理Aで既に完了している。したがって、本例では、処理部5は、このQ算出処理を省略する。
続いて、処理部5は、C算出処理を実行する(ステップ63)。このC算出処理は、上記したパラメータ算出処理AでのC算出処理と同一の処理内容である。このため、r周波数特性算出処理のときと同様にして、C算出処理もパラメータ算出処理Aで既に完了している。したがって、処理部5は、このQ算出処理では、パラメータ算出処理Aのステップ54において算出したパラメータ値Cpv(=Q/(2×π×fp×rmax))を、第2等価回路Bついての並列容量Cpのパラメータ値Cpvとして記憶部4に記憶させる。これにより、C算出処理が完了する。
次いで、処理部5は、L算出処理を実行する(ステップ64)。このL算出処理では、処理部5は、算出したパラメータ値Cpv、Qおよび並列共振周波数fpに基づいて、2×Q2/{(2×π×fp)2×Cpv×(2×Q2−1)}を算出して、第2等価回路BについてのインダクタンスLのパラメータ値Lvとして記憶部4に記憶させる。これにより、L算出処理が完了する。
続いて、処理部5は、GB算出処理を実行する(ステップ65)。このGB算出処理では、処理部5は、実測したインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性データDZ,Dθに基づいて、最も低い周波数(各周波数特性データDZ,Dθの周波数帯域での下限周波数)である周波数fLでのコンダクタンスGL(=cosθ/|Z|)およびサセプタンスBL(=−sinθ/|Z|)を算出して、記憶部4に記憶させる。これにより、GB算出処理が完了する。
次いで、処理部5は、R算出処理を実行する(ステップ66)。このR算出処理では、処理部5は、各パラメータ値Cpv,Lv、周波数fL、コンダクタンスGLおよびサセプタンスBLに基づいて、2×π×fL×GL×Lv/(2×π×fL×Cpv−BL)を算出して、第2等価回路Bについての抵抗Rのパラメータ値Rvとして記憶部4に記憶させる。これにより、R算出処理が完了し、併せて、パラメータ測定処理Bも完了する。これにより、パラメータ算出処理ABが完了する。
続いて、処理部5は、実測特定周波数特性算出処理を実行する(ステップ26)。この実測特定周波数特性算出処理では、処理部5は、実測したインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性データDZ,Dθに基づいて、試料7についてのコンダクタンスG、サセプタンスB、レジスタンスrおよびリアクタンスXのうちの1つの特定成分についての周波数特性(実測値の周波数特性データDZ,Dθに基づく実測特定周波数特性)を算出する。
本例では、ステップ25で実行したパラメータ算出処理A(またはB)において、r周波数特性算出処理を実行して、試料7のレジスタンスrについての周波数特性データDrを、実測したインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性データDZ,Dθに基づいて既に算出している。このため、本例では、一例として、レジスタンスrを特定成分として規定して、算出済みの周波数特性データDrを特定成分についての実測特定周波数特性を示す実測特定周波数特性データとして使用することにより、実測特定周波数特性算出処理を省略している。なお、レジスタンスrを特定成分として規定せずに、コンダクタンスG、サセプタンスBおよびリアクタンスXのいずれかを特定成分として規定する構成としたときには、処理部5は、この実測特定周波数特性算出処理において、実測値の周波数特性データDZ,Dθに基づいて、特定成分として規定したコンダクタンスG、サセプタンスBおよびリアクタンスXのいずれかについての実測特定周波数特性を示す実測特定周波数特性データを算出して、記憶部4に記憶させる。
次いで、処理部5は、理論特定周波数特性算出処理を実行する(ステップ27)。この理論特定周波数特性算出処理では、処理部5は、ステップ25で実行したパラメータ算出処理ABにおいて算出した第1等価回路Aの各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて、第1等価回路Aの特定成分(本例では上記したようにレジスタンスr)についての理論値の周波数特性である理論第1周波数特性を算出すると共に、この周波数特性を示す第1周波数特性データDrAを記憶部4に記憶させる。
また、処理部5は、理論特定周波数特性算出処理において、ステップ25で実行したパラメータ算出処理ABにおいて算出した第2等価回路Bの各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて、第2等価回路Bの特定成分(レジスタンスr)についての理論値の周波数特性である理論第2周波数特性を算出すると共に、この周波数特性を示す第2周波数特性データDrBを記憶部4に記憶させる。
次いで、処理部5は、二次等価回路特定処理を実行する(ステップ28)。この二次等価回路特定処理では、処理部5は、上記のようにして算出した実測特定周波数特性および理論第1周波数特性を比較すると共に、実測特定周波数特性および理論第2周波数特性を比較することにより、第1等価回路Aおよび第2等価回路Bのうちから実測特定周波数特性に、より近似する周波数特性を有する等価回路を試料7の等価回路として特定する。
具体的には、処理部5は、実測特定周波数特性としてのレジスタンスrの周波数特性を示す周波数特性データDrおよび理論第1周波数特性としてのレジスタンスrについての理論値の周波数特性を示す第1周波数特性データDrAに基づいて、各周波数におけるレジスタンスr(特定成分)の実測値(周波数特性データDrで示される値)と理論値(第1周波数特性データDrAで示される値)との差分の自乗の積算値および差分の自乗の積算値の平方根のうちのいずれか一方を差分値として算出すると共にこの差分値に基づいて第1等価回路Aについての第1評価値DVAを算出し、記憶部4に記憶させる。本例では、一例として、差分の自乗の積算値の平方根を差分値として算出し、この差分値を周波数特性データDrの個数で除算した平均値(積分値の平均)を第1評価値DVAとして算出する。
また、処理部5は、実測特定周波数特性としてのレジスタンスrの周波数特性を示す周波数特性データDrおよび理論第2周波数特性としてのレジスタンスrについての理論値の周波数特性を示す第2周波数特性データDrBに基づいて、各周波数におけるレジスタンスr(特定成分)の実測値(周波数特性データDrで示される値)と理論値(第2周波数特性データDrBで示される値)との差分の自乗の積算値および差分の自乗の積算値の平方根のうちのいずれか一方(第1評価値DVAを算出した上記の差分値に対応するいずれか一方)を差分値として算出すると共にこの差分値に基づいて第2等価回路Bについての第2評価値DVBを算出し、記憶部4に記憶させる。このため、第2評価値DVBについても、第1評価値DVAと同様にして、差分の自乗の積算値の平方根を差分値として算出し、この差分値を周波数特性データDrの個数で除算した平均値(積分値の平均)を使用する。
次いで、処理部5は、第1評価値DVAと第2評価値DVBとを比較して、第1等価回路Aおよび第2等価回路Bのうちの算出した評価値の小さい等価回路を、上記の実測特定周波数特性により近似する周波数特性を有する等価回路として、試料7の等価回路に特定(最終特定)する。これにより、二次等価回路特定処理が完了する。
続いて、処理部5は、パラメータ決定処理を実行する(ステップ29)。このパラメータ決定処理では、処理部5は、二次等価回路特定処理で特定した等価回路(第1等価回路Aまたは第2等価回路B)についてパラメータ算出処理ABにおいて算出した各パラメータ値Cpv,Lv,Rvを試料7の等価回路について最終的な各パラメータ値として決定する。また、処理部5は、決定した試料7の等価回路について最終的な各パラメータ値Cv(Cpv),Lv,Rvと、特定した等価回路を示すマークM(例えば、第1等価回路Aに特定したときには、記号「A」)とを出力部6に出力する。これにより、パラメータ決定処理が完了し、併せて、ステップ23において極大点のみを検出した場合の試料7についての等価回路の各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvの測定処理が完了する。
次に、処理部5が、ステップ23において極小点のみを検出したときの動作について説明する。
この場合、処理部5は、一次等価回路特定処理を実行して、極小点のみを検出したことをもって、試料7の等価回路が第3等価回路Cおよび第4等価回路Dのいずれかであると特定(仮特定)する(ステップ30)。
次いで、処理部5は、パラメータ算出処理CDを実行する(ステップ31)。この場合、処理部5は、パラメータ算出処理CDでは、まず、図10に示すパラメータ算出処理70をパラメータ算出処理Cとして実行して、試料7の等価回路を第3等価回路Cとしたときの各パラメータ(並列容量Cp,インダクタンスL,抵抗R)についてのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを算出する。
パラメータ算出処理Cでは、処理部5は、まず、G周波数特性算出処理を実行する(ステップ71)。このG周波数特性算出処理では、処理部5は、実測したインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性データDZ,Dθに基づいて、試料7のコンダクタンスG(アドミタンスYの実数成分(cosθ/|Z|))の周波数特性を算出すると共に、この周波数特性を示す周波数特性データDGを記憶部4に記憶させる。また、処理部5は、算出した周波数特性データDGに基づいて、コンダクタンスGが最大となる周波数(直列共振周波数fs)、およびコンダクタンスGの最大値Gmaxを検出して、記憶部4に記憶させる。これにより、G周波数特性算出処理が完了する。
次いで、処理部5は、Q算出処理を実行する(ステップ72)。このQ算出処理では、処理部5は、コンダクタンスGについての周波数特性データDG、および最大値Gmaxに基づいて、直列共振周波数fsについての象限周波数f1,f2(f2>f1)を検出して、記憶部4に記憶させる。象限周波数f1,f2は、コンダクタンスGが最大値Gmaxの1/2となる点での周波数であり、直列共振周波数fsを挟んで低域側と高域側とに現れる周波数である。次いで、処理部5は、象限周波数f1,f2および直列共振周波数fsに基づいて、Q(=fs/|f2−f1|)を算出して、記憶部4に記憶させる。これにより、Q算出処理が完了する。
続いて、処理部5は、L算出処理を実行する(ステップ73)。このL算出処理では、処理部5は、最大値Gmax、直列共振周波数fsおよびQに基づいて、Q/(2×π×fs×Gmax)を算出して、第3等価回路CについてのインダクタンスLのパラメータ値Lvとして記憶部4に記憶させる。これにより、L算出処理が完了する。
次いで、処理部5は、C算出処理を実行する(ステップ74)。このC算出処理では、処理部5は、算出したパラメータ値Lv、Qおよび直列共振周波数fsに基づいて、2×Q2/{(2×π×fs)2×Lv×(2×Q2−1)}を算出して、第3等価回路Cについての並列容量Cpのパラメータ値Cpvとして記憶部4に記憶させる。これにより、C算出処理が完了する。
次いで、処理部5は、rX算出処理を実行する(ステップ75)。このrX算出処理では、処理部5は、取得した周波数特性データDZ,Dθのうちの最も低い周波数(各周波数特性データDZ,Dθの周波数帯域での下限周波数)である周波数fLでのレジスタンスrL(=|Z|×cosθ)およびリアクタンスXL(=|Z|×sinθ)を算出して、記憶部4に記憶させる。これにより、rX算出処理が完了する。
続いて、処理部5は、R算出処理を実行する(ステップ76)。このR算出処理では、処理部5は、パラメータ値Cv,Lv、周波数fL、並びに算出したレジスタンスrLおよびリアクタンスXLに基づいて、(2×π×fL×Lv−XL)/(2×π×fL×rL×Cv)を算出して、第3等価回路Cについての抵抗Rのパラメータ値Rvとして記憶部4に記憶させる。これにより、R算出処理が完了し、併せて、パラメータ算出処理Cも完了する。
また、処理部5は、図11に示すパラメータ算出処理80をパラメータ算出処理Dとして実行して、試料7の等価回路を第4等価回路Dとしたときの各パラメータ(直列容量Cs,インダクタンスL,抵抗R)についてのパラメータ値Csv,Lv,Rvを算出する。
このパラメータ算出処理Dでは、処理部5は、まず、G周波数特性算出処理を実行する(ステップ81)。なお、ステップ31でのパラメータ算出処理C,Dの実行順は任意であるが、本例のように、パラメータ算出処理C,Dのいずれか一方が既に完了しているときには、処理内容が同一のG周波数特性算出処理も既に完了していることになる。このため、この場合には、パラメータ算出処理C,Dのうちの後に実行する処理では、処理部5は、このG周波数特性算出処理を省略する。
次いで、処理部5は、Q算出処理を実行する(ステップ82)。このQ算出処理は、上記したパラメータ算出処理CでのQ算出処理と同一の処理内容である。このため、G周波数特性算出処理のときと同様にして、Q算出処理もパラメータ算出処理Cで既に完了している。したがって、処理部5は、このQ算出処理を省略する。
続いて、処理部5は、R算出処理を実行する(ステップ83)。このR算出処理では、処理部5は、第4等価回路Dについての抵抗Rのパラメータ値Rvとして、1/Gmaxを記憶部4に記憶させる。これにより、R算出処理が完了する。
次いで、処理部5は、L算出処理を実行する(ステップ84)。このL算出処理では、処理部5は、最大値Gmax、直列共振周波数fsおよびQに基づいて、Q/(2×π×fs×Gmax)を算出して、第4等価回路DについてのインダクタンスLのパラメータ値Lvとして記憶部4に記憶させる。これにより、L算出処理が完了する。
続いて、処理部5は、C算出処理を実行する(ステップ85)。このC算出処理では、処理部5は、算出したパラメータ値Lvおよび直列共振周波数fsに基づいて、1/{(2×π×fs)2×Lv}を算出して、第4等価回路Dについての直列容量Csのパラメータ値Csvとして記憶部4に記憶させる。これにより、C算出処理が完了し、併せて、パラメータ算出処理Dも完了する。また、パラメータ算出処理CDも完了する。
続いて、処理部5は、実測特定周波数特性算出処理を実行する(ステップ32)。この実測特定周波数特性算出処理では、処理部5は、実測したインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性データDZ,Dθに基づいて、試料7についてのコンダクタンスG、サセプタンスB、レジスタンスrおよびリアクタンスXのうちの1つの特定成分についての周波数特性(実測値の周波数特性データDZ,Dθに基づく実測特定周波数特性)を算出する。
本例では、ステップ31で実行したパラメータ算出処理CDにおいて、G周波数特性算出処理を実行して、試料7のコンダクタンスGについての周波数特性データDGを、実測したインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性データDZ,Dθに基づいて既に算出している。このため、本例では、一例として、コンダクタンスGを特定成分として規定して、算出済みの周波数特性データDGを特定成分についての実測特定周波数特性を示す実測特定周波数特性データとして使用することにより、実測特定周波数特性算出処理を省略している。なお、コンダクタンスGを特定成分として規定せずに、レジスタンスr、サセプタンスBおよびリアクタンスXのいずれかを特定成分として規定する構成としたときには、処理部5は、この実測特定周波数特性算出処理において、実測値の周波数特性データDZ,Dθに基づいて、特定成分として規定したレジスタンスr、サセプタンスBおよびリアクタンスXのいずれかについての実測特定周波数特性を示す実測特定周波数特性データを算出して、記憶部4に記憶させる。
次いで、処理部5は、理論特定周波数特性算出処理を実行する(ステップ33)。この理論特定周波数特性算出処理では、処理部5は、ステップ31で実行したパラメータ算出処理CDにおいて算出した第3等価回路Cの各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて、第3等価回路Cの特定成分(本例では上記したようにコンダクタンスG)についての理論値の周波数特性である理論第3周波数特性を算出すると共に、この周波数特性を示す第3周波数特性データDGCを記憶部4に記憶させる。
また、処理部5は、理論特定周波数特性算出処理において、ステップ31で実行したパラメータ算出処理CDにおいて算出した第4等価回路Dの各パラメータCs,L,Rのパラメータ値Csv,Lv,Rvを用いて、第4等価回路Dの特定成分(本例ではコンダクタンスG)についての理論値の周波数特性である理論第4周波数特性を算出すると共に、この周波数特性を示す第4周波数特性データDGDを記憶部4に記憶させる。
次いで、処理部5は、二次等価回路特定処理を実行する(ステップ34)。この二次等価回路特定処理では、処理部5は、上記のようにして算出した実測特定周波数特性および理論第3周波数特性を比較すると共に、実測特定周波数特性および理論第4周波数特性を比較することにより、第3等価回路Cおよび第4等価回路Dのうちから実測特定周波数特性に、より近似する周波数特性を有する等価回路を試料7の等価回路として特定する。
具体的には、処理部5は、実測特定周波数特性としてのコンダクタンスGの周波数特性を示す周波数特性データDGおよび理論第3周波数特性としてのコンダクタンスGについての理論値の周波数特性を示す第3周波数特性データDGCに基づいて、各周波数におけるコンダクタンスG(特定成分)の実測値(周波数特性データDGで示される値)と理論値(第3周波数特性データDGCで示される値)との差分の自乗の積算値および差分の自乗の積算値の平方根のうちのいずれか一方を差分値として算出すると共にこの差分値に基づいて第3等価回路Cについての第3評価値DVCを算出し、記憶部4に記憶させる。本例では、一例として、差分の自乗の積算値の平方根を差分値として算出し、この差分値を周波数特性データDGの個数で除算した平均値(積分値の平均)を第3評価値DVCとして算出する。
また、処理部5は、実測特定周波数特性としてのコンダクタンスGの周波数特性を示す周波数特性データDGおよび理論第4周波数特性としてのコンダクタンスGについての理論値の周波数特性を示す第4周波数特性データDGDに基づいて、各周波数におけるコンダクタンスG(特定成分)の実測値(周波数特性データDGで示される値)と理論値(第4周波数特性データDGDで示される値)との差分の自乗の積算値および差分の自乗の積算値の平方根のうちのいずれか一方(第3評価値DVCを算出した上記の差分値に対応するいずれか一方)を差分値として算出すると共にこの差分値に基づいて第4等価回路Dについての第4評価値DVDを算出し、記憶部4に記憶させる。このため、第4評価値DVDについても、第3評価値DVCと同様にして、差分の自乗の積算値の平方根を差分値として算出し、この差分値を周波数特性データDGの個数で除算した平均値(積分値の平均)を使用する。
次いで、処理部5は、第3評価値DVCと第4評価値DVDとを比較して、第3等価回路Cおよび第4等価回路Dのうちの算出した評価値の小さい等価回路を、上記の実測特定周波数特性により近似する周波数特性を有する等価回路として、試料7の等価回路に特定(最終特定)する。これにより、二次等価回路特定処理が完了する。
続いて、処理部5は、パラメータ決定処理を実行する(ステップ35)。このパラメータ決定処理では、処理部5は、二次等価回路特定処理で特定した等価回路(第3等価回路Cおよび第4等価回路D)についてパラメータ算出処理において算出した各パラメータ値Cpv(またはCsv),Lv,Rvを試料7の等価回路について最終的な各パラメータ値として決定する。また、処理部5は、決定した試料7の等価回路について最終的な各パラメータ値Cv(CpvまたはCsv),Lv,Rvと、特定した等価回路を示すマークM(例えば、第3等価回路Cに特定したときには、記号「C」)とを出力部6に出力する。これにより、パラメータ決定処理が完了し、併せて、ステップ23において極小点のみを検出した場合の試料7についての等価回路の各パラメータCp(またはCs),L,Rのパラメータ値Cpv(またはCsv),Lv,Rvの測定処理が完了する。
次に、処理部5が、ステップ23において極大点および極小点を検出したときの動作について説明する。
この場合、処理部5は、パラメータ算出処理ABCDEを実行する(ステップ36)。この場合、処理部5は、パラメータ算出処理ABCDEとして、試料7の等価回路を、第1等価回路A、第2等価回路B、第3等価回路C、第4等価回路Dおよび第5等価回路Eであると順次特定しつつ、実測したインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性データDZ,Dθに基づいて、第1等価回路A、第2等価回路B、第3等価回路C、第4等価回路Dおよび第5等価回路Eについての各パラメータ値をそれぞれ算出して、記憶部4に記憶させる。
具体的には、第1等価回路Aについての各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvについては、処理部5は、上記したパラメータ算出処理A(図8参照)を実行して算出し、記憶部4に記憶させる。また、第2等価回路Bについての各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvについては、処理部5は、上記したパラメータ算出処理B(図9参照)を実行して算出し、記憶部4に記憶させる。また、第3等価回路Cについての各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvについては、処理部5は、上記したパラメータ算出処理C(図10参照)を実行して算出し、記憶部4に記憶させる。また、第4等価回路Dについての各パラメータCs,L,Rのパラメータ値Csv,Lv,Rvについては、処理部5は、上記したパラメータ算出処理D(図11参照)を実行して算出し、記憶部4に記憶させる。
また、第5等価回路Eについての各パラメータCp,Cs,L,Rの各パラメータ値Cpv,Csv,Lv,Rvについては、図12に示すパラメータ算出処理90(パラメータ算出処理E)を実行して算出する。なお、パラメータ算出処理A,B,C,Dについては、既に説明したため、以下では、パラメータ算出処理Eについて説明する。
このパラメータ算出処理Eでは、処理部5は、まず、Gr周波数特性算出処理を実行する(ステップ91)。このGr周波数特性算出処理では、処理部5は、実測したインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性データDZ,Dθに基づいて、試料7のコンダクタンスG(cosθ/|Z|)の周波数特性を算出すると共に、この周波数特性を示す周波数特性データDGを記憶部4に記憶させる。また、処理部5は、各周波数特性データDZ,Dθに基づいて、試料7のレジスタンスr(|Z|×cosθ)の周波数特性を算出すると共に、この周波数特性を示す周波数特性データDrを記憶部4に記憶させる。これにより、Gr周波数特性算出処理が完了する。
次いで、処理部5は、直列・並列共振周波数検出処理を実行する(ステップ92)。この直列・並列共振周波数検出処理では、処理部5は、Gr周波数特性算出処理において算出した周波数特性データDGに基づいて、コンダクタンスGが最大となる周波数(直列共振周波数fs)、およびコンダクタンスGの最大値Gmaxを検出して、記憶部4に記憶させる。また、処理部5は、Gr周波数特性算出処理において算出した周波数特性データDrに基づいて、レジスタンスrが最大となる周波数(並列共振周波数fp)を検出して、記憶部4に記憶させる。これにより、直列・並列共振周波数検出処理が完了する。
続いて、処理部5は、Q算出処理を実行する(ステップ93)。このQ算出処理では、処理部5は、コンダクタンスGについての周波数特性データDG、および最大値Gmaxに基づいて、直列共振周波数fsについての象限周波数f1,f2(f2>f1)を検出して、記憶部4に記憶させる。象限周波数f1,f2は、コンダクタンスGが最大値Gmaxの1/2となる点での周波数であり、直列共振周波数fsを挟んで低域側と高域側とに現れる周波数である。次いで、処理部5は、象限周波数f1,f2および直列共振周波数fsに基づいて、Q(=fs/|f2−f1|)を算出して、記憶部4に記憶させる。これにより、Q算出処理が完了する。
次いで、処理部5は、R算出処理を実行する(ステップ94)。このR算出処理では、処理部5は、第5等価回路Eについての抵抗Rのパラメータ値Rvとして、1/Gmaxを記憶部4に記憶させる。これにより、R算出処理が完了する。
続いて、処理部5は、Cs算出処理を実行する(ステップ95)。このCs算出処理では、処理部5は、最大値Gmax、直列共振周波数fsおよびQに基づいて、Gmax/(2×π×fs×Q))を出して、第5等価回路Eについての直列容量Csのパラメータ値Csvとして記憶部4に記憶させる。これにより、Cs算出処理が完了する。
次いで、処理部5は、L算出処理を実行する(ステップ96)。このL算出処理では、処理部5は、算出したパラメータCsのパラメータ値Csv、および直列共振周波数fsに基づいて、1/(4×π2×fs2×Csv)を算出して、第5等価回路EについてのインダクタンスLのパラメータ値Lvとして記憶部4に記憶させる。これにより、L算出処理が完了する。
続いて、処理部5は、Cp算出処理を実行する(ステップ97)。このCp算出処理では、処理部5は、算出したパラメータ値Csv、並列共振周波数fpおよび直列共振周波数fsに基づいて、fs2×Csv/(fp2−fs2)を算出して、第5等価回路Eについての並列容量Cpのパラメータ値Cpvとして記憶部4に記憶させる。これにより、Cp算出処理が完了し、併せて、パラメータ算出処理Eも完了する。また、これにより、パラメータ算出処理ABCDEについても完了する。
次いで、処理部5は、理論位相周波数特性算出処理を実行する(ステップ37)。この理論位相周波数特性算出処理では、処理部5は、ステップ36で算出した第1等価回路Aについての各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて、第1等価回路Aの位相θについての理論値の周波数特性である理論周波数特性を算出すると共に、この周波数特性を示す第1周波数特性データDθAを記憶部4に記憶させる。
同様にして、処理部5は、ステップ36で算出した第2等価回路Bについての各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて、第2等価回路Bの位相θについての理論値の周波数特性である理論周波数特性を示す第2周波数特性データDθBを算出して、記憶部4に記憶させ、ステップ36で算出した第3等価回路Cについての各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて、第3等価回路Cの位相θについての理論値の周波数特性である理論周波数特性を示す第3周波数特性データDθCを算出して、記憶部4に記憶させる。また、処理部5は、ステップ36で算出した第4等価回路Dについての各パラメータCs,L,Rのパラメータ値Csv,Lv,Rvを用いて、第4等価回路Cの位相θについての理論値の周波数特性である理論周波数特性を示す第4周波数特性データDθDを算出して、記憶部4に記憶させ、ステップ36で算出した第5等価回路Eについての各パラメータCp,Cs,L,Rの各パラメータ値Cpv,Csv,Lv,Rvを用いて、第5等価回路Eの位相θについての理論値の周波数特性である理論周波数特性を示す第5周波数特性データDθEを算出して、記憶部4に記憶させる。これにより、理論位相周波数特性算出処理が完了する。
続いて、処理部5は、等価回路特定処理を実行する(ステップ38)。この等価回路特定処理では、処理部5は、理論位相周波数特性算出処理において算出した第1等価回路A、第2等価回路B、第3等価回路C、第4等価回路Dおよび第5等価回路Eの位相θについての各理論位相周波数特性と、ステップ21の周波数特性実測処理において実測した位相θの実測周波数特性とを比較することにより、第1等価回路A、第2等価回路B、第3等価回路C、第4等価回路Dおよび第5等価回路Eのうちから、実測周波数特性に最も近似する(最も近い)周波数特性を有する等価回路を試料7の等価回路として特定する。
具体的には、処理部5は、実測した位相θの周波数特性を示す周波数特性データDθ、および第1等価回路Aの位相θについての理論周波数特性を示す第1周波数特性データDθAに基づいて、各周波数における位相θの実測値(周波数特性データDθで示される値)と理論値(第1周波数特性データDθAで示される値)との差分の自乗の積算値および差分の自乗の積算値の平方根のうちのいずれか一方を差分値として算出すると共に、算出した差分値に基づいて第1等価回路Aについての位相θに関する第1評価値DVθAを算出して、記憶部4に記憶させる。本例では一例として、差分の自乗の積算値の平方根を差分値として算出し、この差分値を周波数特性データDθの個数で除算した平均値(積分値の平均)を第1評価値DVθAとして算出する。なお、以下において算出する各評価値DVθB,DVθC,DVθD,DVθEについても、第1評価値DVθAと同様にして、上記の平均値を使用する。
同様にして、処理部5は、実測した周波数特性データDθ、および第2等価回路Bの位相θについての理論周波数特性を示す第2周波数特性データDθBに基づいて、各周波数における位相θの実測値と理論値(第2周波数特性データDθBで示される値)との差分から上記した差分値を算出すると共に、算出した差分値に基づいて第2等価回路Bについての位相θに関する第2評価値DVθBを算出して、記憶部4に記憶させる。また、処理部5は、実測した周波数特性データDθ、および第3等価回路Cの位相θについての理論周波数特性を示す第3周波数特性データDθCに基づいて、各周波数における位相θの実測値と理論値(第3周波数特性データDθCで示される値)との差分から上記した差分値を算出すると共に、算出した差分値に基づいて第3等価回路Cについての位相θに関する第3評価値DVθCを算出して、記憶部4に記憶させる。
また、処理部5は、実測した周波数特性データDθ、および第4等価回路Dの位相θについての理論周波数特性を示す第4周波数特性データDθDに基づいて、各周波数における位相θの実測値と理論値(第4周波数特性データDθDで示される値)との差分から上記した差分値を算出すると共に、算出した差分値に基づいて第4等価回路Dについての位相θに関する第4評価値DVθDを算出して、記憶部4に記憶させる。また、処理部5は、実測した周波数特性データDθ、および第5等価回路Eの位相θについての理論周波数特性を示す第5周波数特性データDθEに基づいて、各周波数における位相θの実測値と理論値(第5波数特性データDθEで示される値)との差分から上記した差分値を算出すると共に、算出した差分値に基づいて第5等価回路Eについての位相θに関する第5評価値DVθEを算出して、記憶部4に記憶させる。
また、処理部5は、等価回路特定処理(ステップ38)において、算出した等価回路A,B,C,D,Eについての位相θに関する各評価値DVθA,DVθB,DVθC,DVθD,DVθEを比較することにより、評価値の最も小さい等価回路を、上記の実測周波数特性に最も近似する(最も近い)周波数特性を有する等価回路として、試料7の等価回路に特定(最終特定)する。これにより、等価回路特定処理が完了する。
続いて、処理部5は、パラメータ決定処理を実行する(ステップ39)。このパラメータ決定処理では、処理部5は、ステップ38での等価回路特定処理において特定した等価回路(第1等価回路A、第2等価回路B、第3等価回路C、第4等価回路Dおよび第5等価回路Eのうちのいずれか)についてパラメータ算出処理において算出した各パラメータ値Cpvおよび/またはCsv,Lv,Rvを試料7の等価回路について最終的な各パラメータ値として決定する。また、処理部5は、決定した試料7の等価回路について最終的な各パラメータ値Cv(Cpvおよび/またはCsv),Lv,Rvと、特定した等価回路を示すマークM(例えば、第5等価回路Eに特定したときには、記号「E」)とを出力部6に出力する。これにより、パラメータ決定処理が完了し、併せて、ステップ23において、極大点および極小点を検出した場合の試料7についての等価回路の各パラメータCpおよび/またはCs,L,Rのパラメータ値Cpvおよび/またはCsv,Lv,Rvの測定が完了する。
以下、等価回路パラメータ測定装置1による等価回路が未知の試料7についての等価回路パラメータの測定動作について、具体例を挙げて説明する。
処理部5が、まず、パラメータ測定処理20におけるステップ21での周波数特性実測処理において、図18に示すようなインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性を実測したときには、ステップ22において、インピーダンスZの周波数特性を示す周波数特性データDZに基づいて、極大値のみを検出する。
次いで、処理部5は、ステップ23において、極大点および極小点の検出状態を判別し、極大点のみが検出されているため、図7に示すステップ24〜ステップ29までの各処理を実行することにより、試料7についての等価回路を特定して、この等価回路についての各パラメータのパラメータ値を測定する。
まず、処理部5は、一次等価回路特定処理(ステップ24)を実行して、極大点のみが検出されていることから、試料7の等価回路が、第1等価回路A(図2参照)および第2等価回路B(図3参照)のいずれかであると特定する。
次いで、処理部5は、パラメータ算出処理AB(ステップ25)を実行して、第1等価回路Aについての各パラメータR,Cp,Lのパラメータ値Rv(=149.4kΩ),Cpv(=7.48pF),Lv(=31.7mH)を算出して、記憶部4に記憶させると共に、第2等価回路Bについての各パラメータR,Cp,Lのパラメータ値Rv(=622.2mΩ),Cpv(=7.48pF),Lv(=35.1mH)を算出して、記憶部4に記憶させる。なお、パラメータ算出処理ABでは、上記した各パラメータ値の算出に際して、検出された並列共振周波数fp(=326.7kHz)およびrmax(=149.4kΩ)と、算出されたQ(=2.293)とが使用される。
続いて、処理部5は、実測特定周波数特性算出処理(ステップ26)を実行する。なお、本例では、上記したパラメータ算出処理ABにおいて、r周波数特性算出処理を実行して算出した試料7のレジスタンスrについての周波数特性データDrを、特定成分についての実測特定周波数特性を示す実測特定周波数特性データとして使用するため、実測特定周波数特性算出処理の実行を省略可能としている。この周波数特性データDrで示されるレジスタンスrについての周波数特性は、図19,20において符号rを付して実線で示す。
次いで、処理部5は、理論特定周波数特性算出処理(ステップ27)を実行して、ステップ25において算出した第1等価回路Aについての各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて、第1等価回路Aの特定成分(本例ではレジスタンスr)についての理論値の周波数特性である理論第1周波数特性(図19において符号rを付して破線で示す)を算出すると共に、この周波数特性を示す第1周波数特性データDrAを記憶部4に記憶させる。
また、処理部5は、ステップ25において算出した第2等価回路Bについての各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて、第2等価回路Bの特定成分(本例ではレジスタンスr)についての理論値の周波数特性である理論第2周波数特性(図20において符号rを付して破線で示す)を算出すると共に、この周波数特性を示す第2周波数特性データDrBを記憶部4に記憶させる。
続いて、処理部5は、二次等価回路特定処理(ステップ28)を実行して、レジスタンスrの実測特定周波数特性を示す周波数特性データDrおよびレジスタンスrについての理論値の周波数特性を示す第1周波数特性データDrAに基づいて、第1等価回路Aについての第1評価値DVAを算出して、記憶部4に記憶させる。また、処理部5は、レジスタンスrの実測特定周波数特性を示す周波数特性データDrおよびレジスタンスrについての理論値の周波数特性を示す第2周波数特性データDrBに基づいて、第2等価回路Bについての第2評価値DVBを算出して、記憶部4に記憶させる。本例では、第1評価値DVAとして、1.788702×103が算出され、第2評価値DVBとして、3.185287×103が算出される。
さらに、この二次等価回路特定処理では、処理部5は、算出された第1評価値DVAと第2評価値DVBとを比較して、第1等価回路Aおよび第2等価回路Bのうちの算出した評価値の小さい等価回路を試料7についての等価回路として特定する。本例では、第1等価回路Aの第1評価値DVAの方が小さいため、第1等価回路Aを試料7の等価回路として特定する。これにより、二次等価回路特定処理が完了する。
次いで、処理部5は、パラメータ決定処理(ステップ29)を実行して、二次等価回路特定処理で特定した等価回路(本例では第1等価回路A)についてパラメータ算出処理において算出した各パラメータ値Cpv,Lv,Rvを試料7の等価回路について最終的な各パラメータ値として決定する。
このようにして、レジスタンスrの周波数特性に基づいて試料7の等価回路を第1等価回路Aと特定した場合には、図19に示す第1等価回路Aでのレジスタンスrの理論第1周波数特性(破線で示す周波数特性)を、図20に示す第2等価回路Bでのレジスタンスrの理論第2周波数特性(破線で示す周波数特性)よりも実測周波数特性(図19,20において実線で示す周波数特性)に、より近似させることができるのは勿論のこと、図19に示す第1等価回路AでのリアクタンスXの理論周波数特性(破線で示す周波数特性)についても、図20に示す第2等価回路BでのリアクタンスXの理論周波数特性(破線で示す周波数特性)よりも実測周波数特性(図19,20において実線で示す周波数特性)に、より近似させることができる。また、この結果から、ステップ26において、レジスタンスrに代えてリアクタンスXを特定成分として規定して使用できることが確認される。なお、例を挙げて説明はしないが、コンダクタンスGおよびサセプタンスBについても特定成分として規定することができるのは勿論である。
また、パラメータ決定処理(ステップ29)において決定した各パラメータ値Cpv,Lv,Rvを適用した第1等価回路Aおよび第2等価回路Bについて、インピーダンスZおよび位相θについての理論値の各周波数特性を算出して、インピーダンスZおよび位相θについての実測周波数特性と比較すると、第1等価回路Aについては、図21に示す結果となり、第2等価回路Bについては、図22に示す結果となる。なお、各図共に、実線は実測周波数特性を示し、破線は理論値の周波数特性を示している。
この場合、上記したレジスタンスrのときと同様にして、位相θについて上記した差分値に基づく評価値を算出すると、第1等価回路Aでの評価値は9.508478となり、第2等価回路Bでの評価値は4.458538となって、第2等価回路Bでの評価値の方が小さくなり、これらの評価値に基づけば、第2等価回路Bの方が試料7の等価回路として好ましい結果となるが、図21,22に示すように、インピーダンスZについては、第1等価回路Aの方が第2等価回路Bよりも、理論値の周波数特性が実測周波数特性に極めて近くなることから、インピーダンスZおよび位相θの双方を勘案すれば(全体としては)、第1等価回路Aを試料7の等価回路とするのが好ましい。
このため、パラメータ測定処理20において極大点および極小点が検出されたときに実行するステップ36〜ステップ39での処理(位相θに基づいて評価値を算出する処理)のときとは異なり、極大点のみが検出されたときの等価回路の特定(第1等価回路Aおよび第2等価回路Bのいずれかを特定する場合)において、インピーダンスZおよび位相θの双方に基づいて算出されるレジスタンスr、リアクタンスX、コンダクタンスGおよびサセプタンスBのいずれかを特定成分とすることにより、より好ましい等価回路を試料7の等価回路として特定することが可能となっている。
また、等価回路パラメータ測定装置1による等価回路が未知の試料7の等価回路についての等価回路パラメータの測定動作について、他の具体例を挙げて説明する。
処理部5が、まず、パラメータ測定処理20におけるステップ21での周波数特性実測処理において、図23に示すようなインピーダンスZおよび位相θの各周波数特性を実測したときには、ステップ22において、インピーダンスZの周波数特性を示す周波数特性データDZに基づいて、極大値のみを検出する。
次いで、処理部5は、ステップ23において、極大点および極小点の検出状態を判別し、極大点のみが検出されているため、図7に示すステップ24〜ステップ29までの各処理を実行することにより、試料7についての等価回路を特定すると共に、特定した等価回路についての各パラメータのパラメータ値を測定する。
まず、処理部5は、一次等価回路特定処理(ステップ24)を実行して、極大点のみが検出されていることから、試料7の等価回路が、第1等価回路A(図2参照)および第2等価回路B(図3参照)のいずれかであると特定する。
次いで、処理部5は、パラメータ算出処理AB(ステップ25)を実行して、第1等価回路Aについての各パラメータR,Cp,Lのパラメータ値Rv(=128.7kΩ),Cpv(=31.36pF),Lv(=403.8mH)を算出して、記憶部4に記憶させると共に、第2等価回路Bについての各パラメータR,Cp,Lのパラメータ値Rv(=122.5Ω),Cpv(=31.36pF),Lv(=660.5mH)を算出して、記憶部4に記憶させる。なお、パラメータ算出処理ABでは、上記した各パラメータ値の算出に際して、検出された並列共振周波数fp(=44.72kHz)およびrmax(=128.7kΩ)と、算出されたQ(=1.134)とが使用される。
続いて、処理部5は、実測特定周波数特性算出処理(ステップ26)を実行する。なお、本例では、上記したパラメータ算出処理ABにおいて、r周波数特性算出処理を実行して算出した試料7のレジスタンスrについての周波数特性データDrを、特定成分についての実測特定周波数特性を示す実測特定周波数特性データとして使用するため、実測特定周波数特性算出処理の実行を省略可能としている。この周波数特性データDrで示されるレジスタンスrについての周波数特性は、図24,25において符号rを付して実線で示す。
次いで、処理部5は、理論特定周波数特性算出処理(ステップ27)を実行して、ステップ25において算出した第1等価回路Aについての各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて、第1等価回路Aの特定成分(本例ではレジスタンスr)についての理論値の周波数特性である理論第1周波数特性(図24において符号rを付して破線で示す)を算出すると共に、この周波数特性を示す第1周波数特性データDrAを記憶部4に記憶させる。
また、処理部5は、ステップ25において算出した第2等価回路Bについての各パラメータCp,L,Rのパラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて、第2等価回路Bの特定成分(本例ではレジスタンスr)についての理論値の周波数特性である理論第2周波数特性(図25において符号rを付して破線で示す)を算出すると共に、この周波数特性を示す第2周波数特性データDrBを記憶部4に記憶させる。
続いて、処理部5は、二次等価回路特定処理(ステップ28)を実行して、実測特定周波数特性としてのレジスタンスrの周波数特性を示す周波数特性データDrおよび理論第1周波数特性としてのレジスタンスrについての理論値の周波数特性を示す第1周波数特性データDrAに基づいて、第1等価回路Aについての第1評価値DVAを算出して、記憶部4に記憶させる。また、処理部5は、実測特定周波数特性としてのレジスタンスrの周波数特性を示す周波数特性データDrおよび理論第2周波数特性としてのレジスタンスrについての理論値の周波数特性を示す第2周波数特性データDrBに基づいて、第2等価回路Bについての第2評価値DVBを算出して、記憶部4に記憶させる。本例では、第1評価値DVAとして、10.49×103が算出され、第2評価値DVBとして、297.8×103が算出される。
さらに、この二次等価回路特定処理では、処理部5は、算出された第1評価値DVAと第2評価値DVBとを比較して、第1等価回路Aおよび第2等価回路Bのうちの算出した評価値の小さい等価回路を試料7についての等価回路として特定する。本例では、第1等価回路Aの第1評価値DVAの方が小さいため、第1等価回路Aを試料7の等価回路として特定する。これにより、二次等価回路特定処理が完了する。
次いで、処理部5は、パラメータ決定処理(ステップ29)を実行して、二次等価回路特定処理で特定した等価回路(本例では第1等価回路A)についてパラメータ算出処理において算出した各パラメータ値Cpv,Lv,Rvを試料7の等価回路について最終的な各パラメータ値として決定する。
このようにして、レジスタンスrの周波数特性に基づいて試料7の等価回路を第1等価回路Aと特定した場合には、図24に示す第1等価回路Aでのレジスタンスrの理論第1周波数特性(破線で示す周波数特性)を、図25に示す第2等価回路Bでのレジスタンスrの理論第2周波数特性(破線で示す周波数特性)よりも実測周波数特性(図24,25において実線で示す周波数特性)に、より近似させることができるのは勿論のこと、図24に示す第1等価回路AでのリアクタンスXの理論周波数特性(破線で示す周波数特性)についても、図25に示す第2等価回路BでのリアクタンスXの理論周波数特性(破線で示す周波数特性)よりも実測周波数特性(図24,25において実線で示す周波数特性)に、より近似させることができる。また、この結果から、ステップ26において、レジスタンスrに代えてリアクタンスXを特定成分として規定して使用できることが確認される。なお、例を挙げて説明はしないが、コンダクタンスGおよびサセプタンスBについても特定成分として規定することができるのは勿論である。
また、パラメータ決定処理(ステップ29)において決定した各パラメータ値Cpv,Lv,Rvを適用した第1等価回路Aおよび第2等価回路Bについて、インピーダンスZおよび位相θについての理論値の各周波数特性を算出して、インピーダンスZおよび位相θについての実測周波数特性と比較すると、第1等価回路Aについては、図26に示す結果となり、第2等価回路Bについては、図27に示す結果となる。なお、各図共に、実線は実測周波数特性を示し、破線は理論値の周波数特性を示している。
この場合、上記したレジスタンスrのときと同様にして、位相θについて上記した一方の積分値に基づく評価値を算出すると、第1等価回路Aでの評価値は41.14となり、第2等価回路Bでの評価値は26.58となって、第2等価回路Bでの評価値の方が小さくなり、これらの評価値に基づけば、第2等価回路Bの方が試料7の等価回路として好ましい結果となるが、図26,27に示すように、インピーダンスZについては、第1等価回路Aの方が第2等価回路Bよりも、理論値の周波数特性が実測周波数特性に極めて近くなることから、インピーダンスZおよび位相θの双方を勘案すれば(全体としては)、第1等価回路Aを試料7の等価回路とするのが好ましい。
このため、この例においても、パラメータ測定処理20において極大点および極小点が検出されたときに実行するステップ36〜ステップ39での処理(位相θに基づいて評価値を算出する処理)のときとは異なり、極大点のみが検出されたときの等価回路の特定(第1等価回路Aおよび第2等価回路Bのいずれかを特定する場合)において、インピーダンスZおよび位相θの双方に基づいて算出されるレジスタンスr、リアクタンスX、コンダクタンスGおよびサセプタンスBのいずれかを特定成分とすることにより、より好ましい等価回路を試料7の等価回路として特定できることが確認される。
このように、この測定装置1および等価回路パラメータ測定方法では、処理部5が、極大極小検出処理において極大点のみを検出したときに、試料7の等価回路が、第1等価回路Aおよび第2等価回路Bのいずれかであると特定して、インピーダンスZおよび位相θの各実測周波数特性に基づいて、特定した第1等価回路Aについての各パラメータ値Cpv,Lv,Rvおよび第2等価回路Bについての各パラメータ値Cpv,Lv,Rvをそれぞれ算出する。次いで、処理部5が、インピーダンスZおよび位相θの各実測周波数特性に基づいて、試料7についてのコンダクタンスG、サセプタンスB、レジスタンスrおよびリアクタンスXのうちの1つの特定成分(上記例では、レジスタンスr)についての実測値の周波数特性である実測特定周波数特性を算出すると共に、パラメータ算出処理において算出した各パラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて第1等価回路Aの特定成分(レジスタンスr)についての理論第1周波数特性を算出し、かつ第2等価回路Bの特定成分(レジスタンスr)について理論第2周波数特性を算出する。続いて、処理部5が、実測特定周波数特性および理論第1周波数特性を比較すると共に実測特定周波数特性および理論第2周波数特性を比較することにより、第1等価回路Aおよび第2等価回路Bのうちから実測特定周波数特性に、より近似する周波数特性を有する等価回路を試料7の等価回路として特定し、特定した等価回路についてパラメータ算出処理において算出した各パラメータ値を試料7の等価回路について各パラメータ値として決定する。
したがって、この測定装置1および等価回路パラメータ測定方法によれば、試料7についての等価回路が自動的に特定され、特定された等価回路についての各パラメータのパラメータ値が自動的に測定されるため、オペレータによる試料7についての等価回路の選択を不要にできる結果、オペレータによる等価回路の誤選択を回避できることから、試料7についての等価回路が第1等価回路Aまたは第2等価回路Bのときのパラメータ値を正確に測定することができる。
また、この測定装置1および等価回路パラメータ測定方法によれば、極大極小検出処理において極大点のみが検出されたときに、第1等価回路Aおよび第2等価回路Bのいずれかが試料7の等価回路であると特定して、試料7についてのコンダクタンスG、サセプタンスB、レジスタンスrおよびリアクタンスXのうちの1つの特定成分についての実測値の周波数特性である実測特定周波数特性と、第1等価回路Aの特定成分についての理論値の周波数特性である理論第1周波数特性と、第2等価回路Bの特定成分について理論値の周波数特性である理論第2周波数特性とを算出し、第1等価回路Aおよび第2等価回路Bのうちから実測特定周波数特性に、より近似する理論周波数特性を有する等価回路を試料7の等価回路として特定することにより、第1等価回路Aおよび第2等価回路Bの位相θについての理論値の周波数特性と位相θの実測周波数特性との比較によって等価回路を特定する方法と比較して、より正確に試料7の等価回路を特定することができる。
また、この測定装置1および等価回路パラメータ測定方法によれば、二次等価回路特定処理において、実測特定周波数特性および理論第1周波数特性に基づいて、各周波数における実測値と理論値との差分の自乗の積算値および差分の自乗の積算値の平方根のうちのいずれか一方を差分値として算出すると共にこの差分値に基づいて第1等価回路Aについての第1評価値DVAを算出し、かつ実測特定周波数特性および理論第2周波数特性に基づいて、各周波数における実測値と理論値との差分の自乗の積算値および当該差分の自乗の積算値の平方根のうちのいずれか一方(第1評価値DVAを算出した上記の差分値に対応するいずれか一方)を差分値として算出すると共にこの差分値に基づいて第2等価回路Bについての第2評価値DVBを算出するため、実測特定周波数特性および理論第1周波数特性が複雑に交差する場合であっても、それぞれの差分の大きさに応じた第1評価値DVAを算出することができると共に、実測特定周波数特性および理論第2周波数特性が複雑に交差したりする場合であっても、それぞれの差分の大きさに応じた第2評価値DVBを算出することができる。したがって、両評価値DVA,DVBに基づいて、両等価回路A,Bのうちから試料7の等価回路として好ましい方を確実に特定することができる。
また、この測定装置1および等価回路パラメータ測定方法では、処理部5が、極大極小検出処理において極小点のみを検出したときに、試料7の等価回路が、第3等価回路Cおよび第4等価回路Dのいずれかであると特定して、インピーダンスZおよび位相θの各実測周波数特性に基づいて、特定した第3等価回路Cについての各パラメータ値Cpv,Lv,Rvおよび第4等価回路Dについての各パラメータ値Csv,Lv,Rvをそれぞれ算出する。次いで、処理部5が、インピーダンスZおよび位相θの各実測周波数特性に基づいて、試料7についてのコンダクタンスG、サセプタンスB、レジスタンスrおよびリアクタンスXのうちの1つの特定成分(上記例では、コンダクタンスG)についての実測値の周波数特性である実測特定周波数特性を算出すると共に、パラメータ算出処理において算出した各パラメータ値Cpv,Lv,Rvを用いて第3等価回路Cの特定成分(コンダクタンスG)についての理論第3周波数特性を算出し、かつ第4等価回路Dの特定成分(コンダクタンスG)について理論第4周波数特性を算出する。続いて、処理部5が、実測特定周波数特性および理論第3周波数特性を比較すると共に実測特定周波数特性および理論第4周波数特性を比較することにより、第3等価回路Cおよび第4等価回路Dのうちから実測特定周波数特性に、より近似する周波数特性を有する等価回路を試料7の等価回路として特定し、特定した等価回路についてパラメータ算出処理において算出した各パラメータ値を試料7の等価回路について各パラメータ値として決定する。
したがって、この測定装置1および等価回路パラメータ測定方法によれば、試料7についての等価回路が自動的に特定され、特定された等価回路についての各パラメータのパラメータ値が自動的に測定されるため、オペレータによる試料7についての等価回路の選択を不要にできる結果、オペレータによる等価回路の誤選択を回避できることから、試料7についての等価回路が第3等価回路Cまたは第4等価回路Dのときのパラメータ値を正確に測定することができる。
また、この測定装置1および等価回路パラメータ測定方法によれば、極大極小検出処理において極小点のみが検出されたときに、第3等価回路Cおよび第4等価回路Dのいずれかが試料7の等価回路であると特定して、試料7についてのコンダクタンスG、サセプタンスB、レジスタンスrおよびリアクタンスXのうちの1つの特定成分についての実測値の周波数特性である実測特定周波数特性と、第3等価回路Cの特定成分についての理論値の周波数特性である理論第3周波数特性と、第4等価回路Dの特定成分について理論値の周波数特性である理論第4周波数特性とを算出し、第3等価回路Cおよび第4等価回路Dのうちから実測特定周波数特性に、より近似する理論周波数特性を有する等価回路を試料7の等価回路として特定することにより、第3等価回路Cおよび第4等価回路Dの位相θについての理論値の周波数特性と位相θの実測周波数特性との比較によって等価回路を特定する方法と比較して、より正確に試料7の等価回路を特定することができる。
また、この測定装置1および等価回路パラメータ測定方法によれば、二次等価回路特定処理において、実測特定周波数特性および理論第3周波数特性に基づいて、各周波数における実測値と理論値との差分の自乗の積算値および差分の自乗の積算値の平方根のうちのいずれか一方を差分値として算出すると共にこの差分値に基づいて第3等価回路Cについての第3評価値DVCを算出し、かつ実測特定周波数特性および理論第4周波数特性に基づいて、各周波数における実測値と理論値との差分の自乗の積算値および当該差分の自乗の積算値の平方根のうちのいずれか一方(第3評価値DVCを算出した上記の差分値に対応するいずれか一方)を差分値として算出すると共にこの差分値に基づいて第4等価回路Dについての第4評価値DVDを算出するため、実測特定周波数特性および理論第3周波数特性が複雑に交差する場合であっても、それぞれの差分の大きさに応じた第3評価値DVCを算出することができると共に、実測特定周波数特性および理論第4周波数特性が複雑に交差したりする場合であっても、それぞれの差分の大きさに応じた第4評価値DVDを算出することができる。したがって、両評価値DVC,DVDに基づいて、両等価回路C,Dのうちから試料7の等価回路として好ましい方を確実に特定することができる。
また、この測定装置1および等価回路パラメータ測定方法では、極大極小検出処理において極大点および極小点が検出されたときに、試料7の等価回路を、第1等価回路A、第2等価回路B、第3等価回路C、第4等価回路Dおよび第5等価回路Eに順次特定しつつ、インピーダンスZおよび位相θの各実測周波数特性に基づいて、第1等価回路A、第2等価回路B、第3等価回路C、第4等価回路Dおよび第5等価回路Eについての各パラメータ値をそれぞれ算出する。次いで、算出した第1等価回路A、第2等価回路B、第3等価回路C、第4等価回路Dおよび第5等価回路Eについての各パラメータ値を用いて、各等価回路A,B,C,D,Eの位相θについての理論値の周波数特性である理論位相周波数特性を算出する。続いて、算出した各等価回路A,B,C,D,Eの位相θについての各理論位相周波数特性と、実測した位相θの実測周波数特性とを比較することにより、各等価回路A,B,C,D,Eのうちから実測周波数特性に、より近似する周波数特性を有する等価回路を試料7の等価回路として特定し、この特定した等価回路についての各パラメータ値を試料7について各パラメータ値として決定する。
したがって、この測定装置1および等価回路パラメータ測定方法によれば、極大極小検出処理において極大点および極小点が検出されたときには、実際に測定した位相θについての実測周波数特性を使用して、試料7についての等価回路を特定することができるため、位相θ以外のコンダクタンスG、サセプタンスB、レジスタンスrおよびリアクタンスXのような他の特定成分についての実測周波数特性をインピーダンスZおよび位相θの各実測周波数特性に基づいて算出する実測特定周波数特性算出処理を省くことができる結果、最終的な等価回路についてのパラメータ値を算出するまでに要する時間を短縮することができる。